JP2002004425A - 柱梁接合部、柱用圧延h形鋼およびその製造方法 - Google Patents
柱梁接合部、柱用圧延h形鋼およびその製造方法Info
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Abstract
易で、力学的にも明解で信頼性の高い柱梁接合部、その
柱梁接合部に用いられる柱用圧延H形鋼、および柱用圧
延H形鋼の製造方法を提供する。 【解決手段】 鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造の
柱鉄骨1として、ウェブ1bの板厚t1 とフランジ1a
の板厚t2 の関係が、1.1≦(t1 /t2 )≦2.0
であり、かつウェブの降伏点または耐力YR1 とフラン
ジの降伏点または耐力YR2 の関係が、YR1 /YR2
≧0.9である圧延H形鋼を用いる。強軸側の鉄骨梁2
の端部は、従来と同様、柱鉄骨1のフランジ1aに溶接
等により直接接合する。柱鉄骨1のウェブ1bの板厚を
上記の十分厚い板厚に設定したことで、弱軸側の鉄骨梁
3についても、その端部を、柱鉄骨1のウェブ1bに溶
接等により直接接合する。
Description
や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の柱梁接合部の
構造、およびそれに使用する柱用圧延H形鋼に関するも
のである。特に、事務所ビル、ショッピングセンター、
倉庫、工場等のスパンの大きい中低層建築物の構築に適
している。
において、柱に用いられる鋼材としてはH形鋼が一般的
であり、その他、角形鋼管、丸鋼管等が用いられてい
る。
強軸、弱軸がなく、どの方向に対しても同様な接合が可
能である反面、閉断面の部材であるため、内ダイアフラ
ムまたは外ダイアフラムを設けるなど、接合構造が複雑
となり、接合作業が難しくなる。
較的接合作業が容易であるが、強軸、弱軸があるため、
特に弱軸方向における接合構造が問題となる。
接合部の接合形式としては、ブラケットとしての端部H
形鋼を工場で溶接し、現場でスプライスプレートを用い
て高力ボルト摩擦接合により中間の梁鉄骨を接合するブ
ラケットタイプ、端部H形鋼を用いない現場溶接タイ
プ、接合金物としてスプリットティーを用い、高力ボル
ト接合を行うスプリットティータイプなどがある。
ケットタイプでの柱梁接合部の一例を示したものであ
る。
リート造に用いられるH形鋼11は、ウェブ11bの厚
みが、フランジ11aの厚み以下となっている。これ
は、H形鋼11の曲げ耐力や曲げ剛性等の断面性能を考
えた場合、フランジ11aを厚くした方が重量効率が良
いためである。
ンクリート造の柱に、H形鋼11を単材で用いた場合の
柱梁接合部では、この図4に示すように、強軸側鉄骨梁
の端部H形鋼12のフランジ12aおよびウェブ12b
は柱のH形鋼フランジ11aに直接接合されているが、
弱軸側鉄骨梁の端部H形鋼13のフランジ13aは柱H
形鋼フランジ11aと柱H形鋼ウェブ11bの両方に溶
接接合されている。
のフランジ13aはテーパー等の形状となるため、溶接
組立H形鋼を用いている。
用いた上記従来の柱梁接合部では、弱軸側鉄骨梁の端部
H形鋼が組立H形鋼になることと、そのフランジが柱に
用いたH形鋼のフランジとウェブの両方に溶接接合され
ることから、柱梁接合部について加工や溶接の手間が多
くかかるという欠点がある。
現場溶接タイプでも同様であり、柱梁接合部に補剛材や
接合金物等を必要とすることで、接合作業に手間がかか
る他、構造的にも複雑となり合理的な設計が難しくな
る。
課題を解決し、接合部の構造が大幅に簡略化でき、施工
が容易で、力学的にも明解で信頼性の高い柱梁接合部、
その柱梁接合部に用いられる柱用圧延H形鋼、および柱
用圧延H形鋼の製造方法を提供することを目的としたも
のである。
明は、鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造の柱を構成
するH形鋼に鉄骨梁を溶接してなる柱梁接合部であっ
て、柱を構成する前記H形鋼としてウェブの板厚t1 と
フランジの板厚t2 の関係が、1.1≦(t1 /t2 )
≦2.0であり、かつウェブの降伏点または耐力YR1
とフランジの降伏点または耐力YR2 の関係が、YR1
/YR2 ≧0.9であるH形鋼を用い、弱軸側の鉄骨梁
の端部をこの柱鋼材としてのH形鋼のウェブに直接接合
してあることを特徴とするものである。
直接接合というのは、従来、強軸側の鉄骨梁について適
用されている接合構造を適用できることを意味してお
り、フランジとウェブをともに溶接接合する場合(工場
溶接の場合は、通常、フランジを突合わせ溶接し、ウェ
ブをすみ肉溶接する)や、フランジを溶接接合し、ウェ
ブを接合金物を利用して接合する場合等も含まれる。
柱鋼材としてのH形鋼のウェブのみに対して接合すれば
よいので、組立H形鋼に比べ、安価で性能も安定してい
る圧延H形鋼を用いることができる。
請求項1に係る柱梁接合部を形成するためのH形鋼を規
定したものであり、ウェブの板厚t1 とフランジの板厚
t2の関係が、1.1≦(t1 /t2 )≦2.0であ
り、かつウェブの降伏点または耐力YR1 とフランジの
降伏点または耐力YR2 の関係が、YR1 /YR2 ≧
0.9であることを特徴とするものである。
鋼の製造方法は、上記請求項2に係るH形鋼の機械的性
能を確保するための製造方法を規定したものであり、製
品としてのウェブの降伏点または耐力YR1 とフランジ
の降伏点または耐力YR2 の関係が、YR1 /YR2 ≧
0.9を満足するようにウェブを冷却しつつ、熱間圧延
を行うことを特徴とするものである。
板厚t1 とフランジの板厚t2 の関係を、1.1≦(t
1 /t2 )≦2.0に限定した理由、並びにウェブの降
伏点または耐力YR1 とフランジの降伏点または耐力Y
R2 の関係を、YR1 /YR 2 ≧0.9に限定した理由
を述べる。
る圧延H形鋼の形状、そのウェブの板厚t1 とフランジ
の板厚t2 の関係を示したものである。
曲げ応力を受ける梁などに用いられており、ウェブ厚
(t1 )/フランジ厚(t2 )の比は、0.54〜0.
72となっている。これは、フランジを厚くし、ウェブ
を薄くすると、曲げ剛性や曲げ耐力の対重量効率が良く
なることに起因している。
ースなどに用いられており、ウェブ厚(t1 )/フラン
ジ厚(t2 )の比は、0.61〜0.70のものと、フ
ランジとウェブが同厚のものとの2通りの形状がある。
特に、ウェブが厚いタイプは、材軸方向に大きな圧縮力
を受ける部材に適した断面となっている。
鋼ではウェブはフランジ以下の厚みとなっている。
接合部について、構造の単純化の面からその見直しを行
い、柱に用いるH形鋼のウェブ厚を厚くすることで、弱
軸側の鉄骨梁の端部を、柱のH形鋼のウェブに直接接合
することとしたものであり、そのためにはウェブの厚さ
をどの程度とすればよいかが問題となる。
を対象に解析によるケーススタディを行った。このモデ
ルは、柱が鉄骨鉄筋コンクリート造、梁が鉄骨造の中層
建物の部分架構を抽出したもので、ケーススタディで
は、特に大地震時の柱鉄骨(柱H形鋼1)と梁鉄骨(弱
軸側鉄骨梁3)の応力伝達について検討した。なお、部
分架構の方向は、柱のH形鋼にとって弱軸側となってい
る。
て、種々の寸法を想定し、さらに柱のウェブ厚(t1 )
/フランジ厚(t2 )の比について、従来のウェブ厚が
フランジ厚以下のものと、ウェブ厚がフランジ厚より厚
くなる場合について解析を行った。解析結果をまとめた
ものが、表4である。
ブが薄い場合には、柱の曲げ降伏に達する前に、梁フラ
ンジが接合されている部分の柱ウェブが局部降伏するこ
ととなり、ウェブが厚い場合は、柱が曲げ降伏するま
で、柱ウェブは局部降伏しない。
鉄骨から柱鉄骨への応力伝達が不十分となり、この架構
が大地震時に、その耐力を十分発揮できないこととな
る。
厚は、フランジ厚の1.1倍以上が好ましい。また、ウ
ェブ厚の上限については、鋼材の重量、コスト面からフ
ランジ厚の2.0倍程度以内が適当であり、それ以上、
厚くしてもメリットはほとんどないものと考えられる。
フランジの降伏点または耐力YR2については、表4中
に示すように両者の比YR1 /YR2 が0.90〜1.
18と変化しているが、ウェブ厚(t1 )/フランジ厚
(t2 )が1.1〜2.0の範囲については、いずれも
柱の曲げ降伏を示している。
または耐力比YR1 /YR2 としては、0.9以上が好
ましいと言える。
材質規格(この場合、SN490規格)に定める性能規
定のうち、降伏点または耐力比YRの上下限値の比を取
ることで必然的に定まる。例えば、SN490規格の場
合、YR1 /YR2 の上限は445(N/mm2 )〔降
伏点または耐力の上限値〕/325(N/mm2 )〔降
伏点または耐力の下限値〕=1.37となる。
延で製造する際には、ウェブ厚が大きくなるに従って仕
上げ温度が上昇し、降伏点または耐力(YR1 )が材質
規格内であっても降伏点または耐力比(YR1 /Y
R2 )が0.90を下回ることがある。この場合には、
熱間圧延中のH形鋼のウェブを冷却水等を用いて仕上げ
温度を下げる方向に冷却すればよい。
る柱梁接合部および柱用H形鋼の一実施形態として、鉄
骨鉄筋コンクリート造の柱と鉄骨梁からなるラーメン構
造における柱梁接合部を示したものである。
は、ウェブ1bがフランジ1aより厚い圧延H形鋼を用
いている。この柱4に対して、強軸側鉄骨梁2と弱軸側
鉄骨梁3が取り付いて柱梁接合部が形成されている。な
お、鉄骨鉄筋コンクリート柱4のコンクリート部分につ
いては、図示を省略し、2点鎖線で外郭を示している。
利用して、強軸側鉄骨梁2と同様に、弱軸側鉄骨梁3に
ついても、フランジ3a、ウェブ3bをともに、柱ウェ
ブ1bに直接溶接接合している。
を溶接接合する必要がなく、また弱軸側梁3にも圧延H
形鋼を用いることが可能となる。
おける接合構造が簡略化され、かつ強固な接合構造が得
られ、応力の流れも明確であることから、図示した例で
は、この柱梁接合部について、柱主筋5を取り巻く柱フ
ープ筋6を省略することで、さらに柱梁接合部の構造を
簡略化し、施工性を高めている。ただし、設計によって
は、必要に応じ、通常の場合と同様に、柱梁接合部にも
柱フープ筋を配筋することになる。
の断面寸法として、H−300×300×22×19
(規格:SN490B、C)、強軸側、弱軸側の鉄骨梁
2,3のH形鋼の断面寸法として、H−600×200
×11×17を想定している。
圧延H形鋼によれば、柱用圧延H形鋼のウェブ厚をフラ
ンジ厚の1.1倍以上としているため、H形鋼柱の弱軸
側に鉄骨梁を取り付ける場合において、梁フランジに生
じる圧縮および引張力に対し、柱用圧延H形鋼のウェブ
の面外曲げ耐力のみで抵抗でき、梁フランジを柱ウェブ
に直接接合することが可能となる。
は、別途補強することなく、接合部パネルのせん断降伏
や柱の曲げ降伏に先行して、弱軸側の梁フランジの柱ウ
ェブへの接合部分が局部破壊するといったことが回避さ
れ、鋼材断面の効率的な利用が可能となる。
ジ厚の2.0倍以下、ウェブの降伏点または耐力をフラ
ンジのそれの0.9倍以上とすることで、上記効果を維
持しつつ、鋼材重量およびコストの増大を抑えることが
でき、柱梁接合部全体としての経済性を確保することが
できる。
り付く構造であるため、従来、溶接組み立てH形鋼が用
いられていた弱軸側の鉄骨梁に圧延H形鋼等を利用する
ことができ、従来の構造に比べて、加工、溶接の手間が
大幅に軽減される。
形鋼の一実施形態を示す斜視図である。
る。
ススタディのための柱梁接合部部分モデルの図である。
部の一例(ブラケットタイプ)を示す斜視図である。
側鉄骨梁、2a…フランジ、2b…ウェブ、3…弱軸側
鉄骨梁、3a…フランジ、3b…ウェブ、4…鉄骨鉄筋
コンクリート柱、5…柱主筋、6…柱フープ筋
Claims (3)
- 【請求項1】 鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造の
柱を構成するH形鋼に鉄骨梁を溶接してなる柱梁接合部
であって、柱を構成する前記H形鋼としてウェブの板厚
t1 とフランジの板厚t2 の関係が、1.1≦(t1 /
t2 )≦2.0であり、かつウェブの降伏点または耐力
YR1 とフランジの降伏点または耐力YR2 の関係が、
YR1 /YR2 ≧0.9であるH形鋼を用い、弱軸側の
鉄骨梁の端部を前記H形鋼のウェブに直接接合してある
ことを特徴とする柱梁接合部。 - 【請求項2】 ウェブの板厚t1 とフランジの板厚t2
の関係が、1.1≦(t1 /t2 )≦2.0であり、か
つウェブの降伏点または耐力YR1 とフランジの降伏点
または耐力YR2 の関係が、YR1 /YR2 ≧0.9で
あることを特徴とする柱用圧延H形鋼。 - 【請求項3】 製品としてのウェブの降伏点または耐力
YR1 とフランジの降伏点または耐力YR2 の関係が、
YR1 /YR2 ≧0.9を満足するようにウェブを冷却
しつつ、熱間圧延を行うことを特徴とする請求項2記載
の柱用圧延H形鋼の製造方法。
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