JP2002004025A - 溶射用材料ワイヤ - Google Patents

溶射用材料ワイヤ

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JP2002004025A JP2001119148A JP2001119148A JP2002004025A JP 2002004025 A JP2002004025 A JP 2002004025A JP 2001119148 A JP2001119148 A JP 2001119148A JP 2001119148 A JP2001119148 A JP 2001119148A JP 2002004025 A JP2002004025 A JP 2002004025A
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Markus Mueller
ミューラー マルクス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた正確な送給性能を備え、かつ合金元素
が一様に分布しており、従って耐磨耗性、耐食性の成形
体の製造を保証できる溶射用材料ワイヤを提供するこ
と。 【解決手段】 溶線アーク溶射法によりアルミニウム/
ケイ素合金から耐磨耗性でトライボロジ特性の優れた成
形体を形成するための、一つの被覆12と一つの充填物14
とを有する溶射用材料ワイヤであって、前記被覆12は、
アルミニウムと少なくとも1種の他の合金成分、例えば
マグネシウムまたはマンガンを含む１つのアルミニウム
系合金からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム/ケ
イ素合金から耐磨耗性でトライボロジ特性の優れた成形
体（支持体）を溶射により形成するための溶射用材料ワ
イヤ（溶線）に関する。
【０００２】
【従来の技術】この種の合金はそれ自体、特に表面皮膜
材として公知である。特に往復動機関ないし内燃機関の
中のシリンダケーシングのシリンダ摺動面として使用さ
れる。アルミニウム/ケイ素合金製の皮膜については、
例えば米国特許第50 22 455 A号により公知である。そ
の中には溶融アルミニウムおよびケイ素粒子からなる層
の記載があり、これを別個に吹き付けて表面に皮膜を形
成する。この種の皮膜は種々の方法で基材の表面に形成
することができるが、前記の目的には特に溶射法、例え
ばプラズマ溶射または溶線アーク溶射が適している。プ
ラズマ溶射の場合には炎の中で溶融する粉末状の溶射材
料を用いるが、溶線アーク溶射法ではワイヤの形状の金
属材料を使用する。この溶線アーク溶射法はサイクル時
間が短いので高能率で皮膜の形成が可能であり、材料の
点でも装置の点でも経済的であるので、特に好ましい。
【０００３】ドイツ公開特許公報第43 41 537 A1号か
ら、溶線アーク溶射用の複合材ワイヤとその製造方法が
公知である。このワイヤは軽金属製の固体の芯線と被覆
とを備え、被覆の中で固形の芯線に相当する導電性の金
属の中に潤滑剤の固形粉末と耐磨耗性粒子とが均質に懸
濁している。しかしこの種の複合ワイヤ材は製造にかな
り手間と費用が掛かるので、全ての用途に適していると
は言えない。
【０００４】ドイツ公開特許公報第198 41 619 A1号に
は、金属アルミニウムの被覆とケイ素合金の充填物とを
備えた溶射用材料ワイヤが開示してあり、これは過共晶
アルミニウム/ケイ素合金の表面皮膜を作るのに使用さ
れる。この材料ワイヤは簡単に経済的に製造可能であ
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】溶射の場合には、使用
する材料ワイヤを正確に送給することが特に重要であ
る。即ち、溶線アーク溶射法の場合、２本のワイヤ（溶
線）を、その間に安定な共通のアークを形成してこれを
保持できるように送給しなければならない。
【０００６】従って本発明の目的は、優れた正確な送給
性能を備え、かつ合金元素が一様に分布しており、従っ
て耐磨耗性、耐食性の成形体の製造を保証できる上述の
１つの種類の溶射用材料ワイヤを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明の溶射用材料ワイ
ヤは、溶射によりアルミニウム/ケイ素合金から耐磨耗
性でトライボロジ特性の優れた成形体を形成するための
溶射用材料ワイヤであって、１種または数種の成分から
なる一つの充填物と一つの被覆とを有する充填ワイヤに
おいて、前記被覆が、アルミニウムと少なくとも1種の
他の合金成分を含む１種のアルミニウム合金を有するこ
とを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】本発明の溶射用材料ワイヤの製造
の際は、被覆材料からなる一つのパイプに充填材料を充
填してから、ワイヤの直径を縮小するためにこれを延伸
および/またはロール圧延する。被覆の材料の中のアル
ミニウムにその他の合金成分を追加すれば、材料の特性
を要求に合わせて変更することができる。
【０００９】被覆のアルミニウム合金にマグネシウムを
添加するのが好ましく、この添加により、製造の際の延
伸、圧延の工程において充填ワイヤの被覆の表面が固化
して、この固化により材料ワイヤの優れた正確な送給性
能が得られる。
【００１０】材料ワイヤの充填物の一つの成分として
は、ケイ素が好ましく、これで製造しようとする成形体
はアルミニウム/ケイ素合金からなる。充填物の中のケ
イ素の含有量は製造すべき成形体により調整、制御する
ことができる。
【００１１】好ましくは、充填物の一つの成分としてア
ルミニウムを相当する量添加して、製造しようとする成
形体の中に生じる合金の成分の比率を調整、制御するこ
とができる。
【００１２】材料ワイヤの充填物の一つの成分としてホ
ウ素を添加すれば、製造しようとする成形体の流動性が
改善されるので好ましい。
【００１３】好ましくは製造しようとする成形体の合金
に含まれるケイ素の含有量としては、約12.5重量%ない
し約50重量%の範囲が好ましい。更に好ましいのはケイ
素の含有量が約15重量%ないし約40重量%の範囲、特に好
ましいのは約20重量%ないし約30重量%の範囲で、最も好
ましいのは製造しようとする成形体の合金に含まれるケ
イ素の含有量が約25重量%である。
【００１４】被覆と充填物からなる材料ワイヤの組成
を、製造しようとする成形体のアルミニウムおよびケイ
素以外の成分の含有量が全体で約２重量%未満になるよ
うに構成するのが好ましい。
【００１５】前記ワイヤの充填物は、その成分が統計的
平均値として好ましくは45ないし700μm、特に好ましく
は300ないし600μmの粒径を有する。本実施形態では特
に、ケイ素または実質的にケイ素または少なくともケイ
素を構成成分の一部として含有する充填物に関する。
【００１６】好ましくは前記充填物は実質的にケイ素で
あり、前記被覆は実質的にアルミニウムであり、その際
ワイヤの全重量に対して、ケイ素含有量が20ないし26、
好ましくは21ないし25、最も好ましくは22ないし24重量
％で、その残りが実質的にアルミニウムである。製造し
ようとする成形体に形成される溶射皮膜の中のケイ素含
有量は、アルミニウムの焼き減りにより濃縮されて、22
ないし29、好ましくは24ないし28、最も好ましくは25な
いし27重量％である。
【００１７】前記充填物は最大1重量％のホウ素と最大1
0重量％のアルミニウムを有し、その際残りはケイ素
で、一方前記被覆は最大1重量％のケイ素と最大２重量
％のマグネシウムと最大４重量％までのマンガンとを含
み、その際残りはアルミニウムであるのが好ましい。
【００１８】本発明の溶射用材料ワイヤは好ましくは溶
線アーク溶射法に、さらには内燃機関のシリンダライナ
の製造に使用される。
【００１９】図１は、一つの被覆12と一つの充填物14と
を含む本発明の溶射用材料ワイヤ（充填ワイヤ）10の概
略図である。ここでは被覆12は、アルミニウムとその合
金成分であるケイ素、マグネシウム、マンガンとを含有
する。被覆12に密封されているのが充填物14で、これは
製造しようとする成形体に形成される合金用のその他の
粉末成分を含み、これが本発明の溶射用材料ワイヤによ
りアーク溶射法を用いて基材の上に皮膜を形成すること
ができる。この充填物はケイ素、ホウ素およびアルミニ
ウムの合金成分を含む。
【００２０】
【実施例】次に図１を参照して一つの実施例により本発
明の溶射用材料ワイヤとその製造方法とを詳細に説明す
る。製造プロセスには、被覆12として密閉した継ぎ目な
しのパイプを準備する。この被覆12はアルミニウム系の
合金で少なくとも1種の他の合金成分を含む。実施例で
はアルミニウムにマグネシウム、ケイ素およびマンガン
が加えてある。被覆12のパイプは引き抜き、溶接または
押出しにより製造することができる。次に被覆12に１種
の充填物14を充填する。充填物14の成分は粗い粉末の形
状である。本実施例ではケイ素、アルミニウムおよびホ
ウ素の混合粉末が用いられる。粗い粉末を使用する場合
でもその最大粒径は約600μmとする。全重量に対して
（充填物からの）ワイヤのケイ素の含有量は約23％で残
りはアルミニウムである。充填物14は、充填の際の方向
を定めた振動により圧縮される。続いて、溶射用材料ワ
イヤ10を最終直径まで縮小する延伸工程において充填物
14の粉末が粉砕されて密に充填され、皮膜の均質な分布
に好影響を与える。従って本発明の溶射用材料ワイヤの
製造には有機や無機の結合剤を使用する必要は無く、そ
のため形成された皮膜のポロシティが極めて僅かであ
る。こうして微細に凝集した、従って高価な粉末のみが
使用されるプラズマ溶射による表面皮膜に比べて、遥か
に改良された皮膜が得られる。生成するポロシティが僅
かであるため、細かいケイ素粒子を使用する必要は無
く、充填物14は前述のように粗い粒度の粉末を有するこ
とができる。
【００２１】形成された溶射皮膜のケイ素の含有量は、
溶射工程におけるアルミニウムの焼き減りにより幾らか
濃縮されて25ないし27重量%の間である。
【００２２】ワイヤの延伸の前の直径は約10〜11 mm、
好ましくは約10.4 mmで、そのうち被覆が 6.4 mm、充填
物が 4.0 mmである。延伸後にワイヤの直径は 3.6ない
し4 mmとなり、そのうち被覆が約2〜3 mmを占める。
【００２３】溶射層ないし形成された成形体の合金の組
成はホウ素が最大2重量%、マンガンが最大5重量%、マグ
ネシウムが最大3重量%、ケイ素が15〜40重量%で、アル
ミニウムが65〜85重量%であるが、アルミニウムの焼き
減りによりマグネシウムの含有量は幾らか増加し、好ま
しいアルミニウムの含有量は約75%、好ましい珪素の含
有量は約25%である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の溶射用材料ワイヤの概略図である。
【符号の説明】
10 溶射用材料ワイヤ（充填ワイヤ） 12 被覆 14 充填物
フロントページの続き (71)出願人 501157966 ドラットワーレンファブリック ドラート ツック シュタイン ゲゼルシャフト ミ ット ベシュレンクテル ハフツング ア ンド コー カーゲー ドイツ連邦共和国 Ｄ−67317 アルトラ イニゲン (72)発明者 マンフレッド フィッシャー ドイツ連邦共和国 Ｄ−42799 ライチン ゲン ノイエンカンパー ウェグ 42アー (72)発明者 ぺーター ギョーデル ドイツ連邦共和国 Ｄ−86495 フライエ ンリード セントベンノ ウェグ ２ (72)発明者 ヴェルナー トゥルューベンバッハ ドイツ連邦共和国 Ｄ−86573 オベルグ リースバッハ アムゼルウェグ ２ (72)発明者 マルクス ミューラー ドイツ連邦共和国 Ｄ−51399 ブルシァ イド ミッテルシュトラッセ 20 (72)発明者 ラインハルド ロゼルト ドイツ連邦共和国 Ｄ−01217 ドレスデ ン ドラ−ストック−シュトラッセ ２ Ｆターム(参考） 4K031 AA02 CA04 CB05 CB07 CB10 CB20 DA03

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 溶射によりアルミニウム／ケイ素合金か
    ら耐磨耗性でトライボロジ特性の優れた成形体を形成す
    るための溶射用材料ワイヤであって、１種または数種の
    成分からなる一つの充填物(14)と一つの被覆(12)とを有
    する充填ワイヤ(10)において、前記被覆(12)が、アルミ
    ニウムと少なくとも1種の他の合金成分を含む１種のア
    ルミニウム合金を有することを特徴とする溶射用材料ワ
    イヤ。
  2. 【請求項２】 前記被覆(12)のその他の合金成分はマグ
    ネシウムを含むことを特徴とする請求項１に記載の溶射
    用材料ワイヤ。
  3. 【請求項３】 前記被覆(12)のその他の合金成分はマン
    ガンを含むことを特徴とする請求項１に記載の溶射用材
    料ワイヤ。
  4. 【請求項４】 前記充填物(14)の一つの成分はケイ素を
    含むことを特徴とする請求項１または２に記載の溶射用
    材料ワイヤ。
  5. 【請求項５】 前記充填物(14)の一つの成分はアルミニ
    ウムを含むことを特徴とする請求項１ないし４のいずれ
    かに記載の溶射用材料ワイヤ。
  6. 【請求項６】 前記充填物(14)の一つの成分はホウ素を
    含むことを特徴とする請求項１ないし５のいずれかに記
    載の溶射用材料ワイヤ。
  7. 【請求項７】 前記充填物(14)の前記ケイ素の含有量
    は、製造しようとする成形体のケイ素の含有量が約12.5
    重量%ないし約50重量%になるように量定することを特徴
    とする請求項４に記載の溶射用材料ワイヤ。
  8. 【請求項８】 前記充填物(14)の前記ケイ素の含有量
    は、製造しようとする成形体のケイ素の含有量が約15重
    量%ないし約40重量%になるように量定することを特徴と
    する請求項１ないし７のいずれかに記載の溶射用材料ワ
    イヤ。
  9. 【請求項９】 前記充填物(14)の前記ケイ素の含有量
    は、製造しようとする成形体のケイ素の含有量が約20重
    量%ないし約30重量%になるように量定することを特徴と
    する請求項１ないし８のいずれかに記載の溶射用材料ワ
    イヤ。
  10. 【請求項１０】 前記充填物(14)の前記ケイ素の含有量
    は、製造しようとする成形体のケイ素の含有量が約25重
    量%になるように量定することを特徴とする請求項１な
    いし９のいずれかに記載の溶射用材料ワイヤ。
  11. 【請求項１１】 前記被覆(12)と前記充填物(14)との組
    成は、製造しようとする成形体のアルミニウムおよびケ
    イ素以外の成分の量が全体で約2重量%未満になるように
    量定することを特徴とする請求項１ないし１０のいずれ
    かに記載の溶射用材料ワイヤ。
  12. 【請求項１２】 前記充填物(14)の組成は有機または無
    機の結合材を含まないことを特徴とする請求項１ないし
    １１のいずれかに記載の溶射用材料ワイヤ。
  13. 【請求項１３】 前記充填物(14)は、粒径が45ないし70
    0μm、好ましくは300ないし600μmの部分を含む成分を
    有することを特徴とする請求項１ないし１２のいずれか
    に記載の溶射用材料ワイヤ。
  14. 【請求項１４】 前記充填物は実質的にケイ素であり、
    前記被覆は実質的にアルミニウムであり、その際全体の
    質量に対して、ケイ素含有量が20ないし26、好ましくは
    21ないし25、最も好ましくは22ないし24重量％で、その
    残りが実質的にアルミニウムであることを特徴とする請
    求項１ないし１３のいずれかに記載の溶射用材料ワイ
    ヤ。
  15. 【請求項１５】 形成された成形体ないし形成された溶
    射皮膜のケイ素含有量は22ないし29、好ましくは24ない
    し28、最も好ましくは25ないし27重量％で、その残りは
    実質的にアルミニウムであることを特徴とする請求項14
    に記載の溶射用材料ワイヤ。
  16. 【請求項１６】 前記充填物(14)は最大1重量％のホウ
    素と最大10重量％のアルミニウムとを有し、その際残り
    はケイ素であることを特徴とする請求項１ないし１５の
    いずれかに記載の溶射用材料ワイヤ。
  17. 【請求項１７】 前記被覆(12)は最大1重量％のケイ素
    と最大２重量％のマグネシウムと最大４重量％のマンガ
    ンとを含み、その際残りはアルミニウムであることを特
    徴とする請求項１ないし１６のいずれかに記載の溶射用
    材料ワイヤ。
  18. 【請求項１８】 アーク溶射法で使用されることを特徴
    とする請求項１ないし１７のいずれかに記載の溶射用材
    料ワイヤ。
  19. 【請求項１９】 内燃機関のシリンダライナの製造に使
    用されることを特徴とする請求項1ないし１７のいずれ
    かに記載の溶射用材料ワイヤ。
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