JP5388298B2 - 鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材並びにその製造方法及び鋳包み用の溶射皮膜付シリンダライナ - Google Patents

鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材並びにその製造方法及び鋳包み用の溶射皮膜付シリンダライナ Download PDF

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Description

本件発明は、鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材、鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法及び鋳包み用の溶射皮膜付シリンダライナに関する。
近年の内燃機関用シリンダブロックは、鋳鉄製とアルミニウム合金製とに大別できる。そして、軽量化及び冷却性能を重視した結果、アルミニウム合金製のシリンダブロックを採用することが多くなっている。鋳鉄製のシリンダブロックの場合は、ピストンが上下するシリンダボアの内壁はシリンダブロックの材質と同質であるが、アルミニウム合金製のシリンダブロックの場合には、シリンダライナと称する部品をシリンダブロックの内部に内包するため異種材同士の接合状態を考慮する必要が生じる。
このアルミニウム合金製のシリンダブロック内へのシリンダライナの内包は、高圧ダイキャスト法を用いてマトリクス材であるアルミニウム合金の溶湯で、筒状体のシリンダライナを鋳ぐるむ(鋳包む)ことで行われてきた。このシリンダライナには耐摩耗性が要求されるため、一般的に鋳鉄が用いられる。ところが、鋳鉄製品の融点(約1200℃)とアルミニウム合金の融点(約700℃)とに大きな差がある。この溶融温度の差により、鋳包み時に両者の間での相互拡散が起こりにくく、拡散接合という観点からみると密着性を向上させる事は困難であった。
仮に、アルミニウム合金製シリンダブロックと鋳鉄製シリンダライナとの界面での密着性が良好に保たれていない場合には、シリンダライナとシリンダブロック本体との間の熱伝導効率が低下して、エンジンの冷却性能に影響を及ぼすと共に、シリンダライナの場所毎で熱伝導率のバラツキが発生する。熱伝導率のバラツキがあると、熱膨張率もバラツキが生じることになり、シリンダライナとシリンダブロック本体との双方の材質の熱膨張係数が大きく異なるため、エンジンを駆動させている間の熱による膨張、振動、衝撃等を受けることで、前記界面での剥離が生じやすくなる。その結果として、エンジンの性能、耐久性が著しく劣ることになる。
このような問題を解決しようと、特許文献1(特開2001−234806号公報)には、シリンダライナの鋳包みに適用可能な方法として、鋳ぐるみ対象部品を溶融金属にて鋳ぐるむことにより鋳ぐるみ製品を製造する鋳ぐるみ方法であって、前記鋳ぐるみ対象部品を構成する金属材料とは異なる金属材料でかつ前記溶融金属の融点以下の融点を有する金属材料からなる皮膜が表面に形成された前記鋳ぐるみ対象部品に対して、前記皮膜は1〜20μmRzの面粗さの鋳ぐるみ対象部品表面に形成されていることを特徴とする鋳ぐるみ方法が開示されている。
また、特許文献2(特開2003−53508号公報)には、アルミニウム合金の鋳込み時にインサートされる鉄を主体とする熱伝導円筒部材であって、円筒部材本体の外周部に、200℃以上でかつ600℃以下の低融点材料からなる、厚さ0.3μm以上でかつ100μm以下の膜を冶金的に接合した状態で形成してあることを特徴とする熱伝導円筒部材が開示されている。前記円筒部材は、シリンダライナ等耐摩耗性および熱伝導性が要求される部位に設置されるものであることが明記されている。
特開2001−234806号公報 特開2003−53508号公報
しかしながら、特許文献1に開示の発明の場合、鋳ぐるみに用いる溶融金属の融点以下の融点を有する金属材料からなる皮膜を溶射又は吹きつけによる方法でシリンダライナの外周面に形成することになる。そして、当該皮膜の厚さを5μm以下とし、表面粗さの調整として、皮膜形成後にショットピーニング法やショットブラスト法などで凹凸を形成することにより行われている。この方法の場合には、最終的に形成される皮膜は薄く皮膜の膜厚管理が困難になり、粗さ(Rz)も1〜20μmと小さくなり、鋳包みに用いるマトリクス材に対してアンカー効果を発揮しないため安定した密着性が得られないという問題があった。
また、特許文献2に開示の発明の場合、円筒部材本体の外周部に、200℃以上で且つ600℃以下の低融点材料からなる厚さ0.3〜100μm以下の膜を溶射又は吹きつけによる方法で形成することになっている。ところが、特許文献2に開示の発明は、熱伝導性の向上を主な目的としており、円筒部材本体の外周部の粗さ制御は行っておらず、且つ、膜形成後においても表面粗さの調整は行っていない。従って、特許文献2に開示の発明も特許文献1と同様に、シリンダライナ等の鋳包み部材の製造に用いても、その周囲のマトリクス材との安定した密着性が得られないという問題があった。
以上のことから、鋳鉄製の内燃機関のシリンダライナ等を、アルミニウム合金等で鋳包む際の、相互の界面での密着性を、より安定的に向上させることが求められてきた。しかも、従来と比較して、より製造コストの低い製造方法の採用が望まれてきた。
そこで、本発明者等は、以下に示す鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材、鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法等を採用することで、上記課題を達成できることに想到した。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材: 本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成した高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材であって、当該鋳鉄部材は、溶射皮膜形成前の表面粗さRaが4μm〜190μmでありその表面にアルミニウム材マトリクスとの密着を向上させるための20μm〜60μm厚さの溶射皮膜を備え、且つ、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmであることを特徴とするものである。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材において、前記溶射皮膜には、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金、スズ系合金、亜鉛系合金、銅系合金のいずれかを用いることが好ましい。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法: 本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法は、上述の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法である。即ち、鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成した高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法であって、以下の工程A及び工程Bを備えることを特徴とするものである。
工程A: 表面粗さRaが、4μm〜190μmの外周表面を備える鋳鉄部材を準備する工程。
工程B: アーク溶射法により、厚さが20μm〜60μmの溶射皮膜を形成し、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmの外周表面を有する鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材を得る工程。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法の前記工程Aの鋳鉄部材は、鋳鉄部材に対して旋盤加工を用いて、その外周表面に溝状凹凸形状を形成したものを用いることが好ましい。
そして、前記溝状凹凸形状を備える外周表面を、更にブラスト処理で粗化した鋳鉄部材を用いることも好ましい。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法の前記工程Bのアーク溶射法は、アーク溶射装置を用い、当該装置の溶射ガンのノズルのアトマイズエアー吹き出し部の開口面積が15mm〜200mmであることが好ましい。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材製品: 上述した本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、種々の製品に応用することが出来る。中でも、内燃機関用のシリンダライナ、耐摩環、バルブガイドに好適である。そして、このシリンダライナを用い、これを高圧アルミニウムダイキャスト法で鋳包むことで、高品質のシリンダブロックの提供が可能となる。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、出発原料である鋳鉄部材に適正な表面粗さ(4μm〜190μm)を設け、その表面に適正な厚さ(20μm〜60μm)の溶射皮膜を形成して溶射皮膜付鋳鉄部材とすることで、鋳鉄製の内燃機関のシリンダライナ等を、アルミニウム合金等で鋳包む際の、相互の界面での密着性を、より安定的に向上させることができる。その結果、溶射皮膜の材質を考慮すれば、鋳包みに用いるマトリクス材であるアルミニウム又はアルミニウム合金との間での熱伝導性を向上させ、密着性を向上させるためのアンカー効果を十分に発揮する表面粗さ(Ra:4μm〜170μm)を備えるものであることを特徴とする溶射皮膜付鋳鉄部材の提供が可能となる。
また、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法は、鋳鉄部材に適正な表面粗さを設けておけば、事後的な表面粗さの調整加工が不要で、加工工程数が減少する。従って、生産コストの削減が可能であり、高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる高品質の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材を安価に提供することが可能になる。この本件発明に係る鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材は、内燃機関用のシリンダライナ、耐摩環、バルブガイドとしての使用が好適である。
以下、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材、溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法、溶射皮膜付鋳鉄部材製品のそれぞれの形態に関して説明する。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の形態: 本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成した高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材である。そして、当該鋳鉄部材は、溶射皮膜形成前の表面粗さRaが4μm〜190μmであり、その表面にアルミニウム材マトリクスとの密着を向上させるための20μm〜60μm厚さの溶射皮膜を備え、且つ、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmであることを特徴としたものである。ここで言うアルミニウムダイキャスト法とは、鋳包み用鋳鉄部材をダイカスト金型内に配置し、ダイカスト金型と鋳包み用鋳鉄部材との間に形成されたキャビティにアルミニウム材の溶湯を5000〜10000kgf/cmの高圧で注入して冷却凝固させ、アルミニウム材マトリクス内に鋳包み用鋳鉄部材が鋳ぐるまれ一体化した鋳包み製品とするものである。そして、このときのアルミニウム材に関しては、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、より具体的にはADC10、ADC12(ADC:JIS規格におけるアルミニウム合金ダイカストの種類)等を用いることができるが、特段の限定はない。
本件発明に係る鋳鉄部材の備える溶射前の表面粗さRaは4μm〜190μmであることが好ましい。ここで、溶射前の鋳鉄部材表面粗さの違いによって得られる特性が異なるため、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm、Rz=48.5μm)未満を第1粗さ範囲、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm〜24.8μm、Rz=48.5μm〜109.1μm)を第2粗さ範囲、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=24.8μm、Rz=109.1μm)を超えたものを第3粗さ範囲として各粗さ範囲毎の特性の違いを以下に述べる。
まず、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm、Rz=48.5μm)未満となる第1粗さ範囲について述べる。第1粗さ範囲である溶射前の鋳鉄部材表面粗さRaの範囲は、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜が厚くなるに従って、溶射後の表面粗さRaは大きくなる傾向が現れる範囲である。しかし、溶射前の鋳鉄部材の表面粗さが小さくなりすぎると、その後当該鋳鉄部材表面に溶射皮膜が形成されたとしても十分な表面粗さを得ることが困難となり、アンカー効果を十分に発揮し得ず、目的としたレベルの溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性が得られない。
次に、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm〜24.8μm、Rz=48.5μm〜109.1μm)となる第2粗さ範囲について述べる。第2粗さ範囲である溶射前の鋳鉄部材表面粗さの範囲は、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜が厚くなったとしても表面粗さRaに変化は殆ど生じない範囲である。よって、その後当該鋳鉄部材表面に溶射皮膜が形成されたとしても表面粗さの変動が少なく、当該溶射皮膜の厚さに関係なくアンカー効果を十分に発揮するため、目的としたレベルの溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性を安定して得ることができる。
最後に、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=24.8μm、Rz=109.1μm)を超えた第3粗さ範囲について述べる。第3粗さ範囲である溶射前の鋳鉄部材表面粗さRaの範囲は、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜が厚くなるに従って、溶射後の表面粗さRaは小さくなる傾向が現れる範囲である。従って、溶射前の鋳鉄部材の表面粗さが大きくなりすぎると、その後当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜の厚さが厚くなるに従い十分な表面粗さを得ることが困難となり、アンカー効果を十分に発揮し得ず、目的としたレベルの溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性が得られない。更に、溶射前の鋳鉄部材の表面粗さが大きくなりすぎると、当該鋳鉄部材の表面に形成される凹凸形状の底部まで、均一な厚さの溶射皮膜を形成することが困難になり、溶射皮膜を形成する前の鋳鉄部材の備える凹凸形状の備える表面粗さが、溶射皮膜の形成で大きく変動する傾向が高くなり好ましくない。
また、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の表面に形成する溶射皮膜は、厚さが20μm〜60μm厚さのものである。ここで溶射皮膜の厚さを20μm未満とすると、膜厚の場所的バラツキが大きく、溶射皮膜に期待する鋳包みのアルミニウム材マトリクスとの密着性の向上、熱伝導性の向上等の効果を確実に得ることが出来なくなる。一方、溶射皮膜の厚さが60μmを超えると、鋳鉄部材の備える表面粗さ変動を確実に抑制出来なくなり表面粗さが低下した場合にはアルミニウム材マトリクスに対する十分なアンカー効果を示さず、鋳包みアルミニウム材マトリクスとの密着安定性が低下する
そして、上記厚さの溶射皮膜を形成することで、得られる溶射皮膜付鋳鉄部材の表面粗さRaは、4μm〜170μmであることが好ましい。この表面粗さは、上述の記載で示唆したように、厚さが20μm〜60μmの溶射皮膜を形成する場合を前提としている。この溶射皮膜付鋳鉄部材の表面粗さは、アルミニウム材マトリクスとの密着性の向上を目的として、物理的なアンカー効果を発揮させるために必要となる。本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の場合、その表面粗さRaは、4μm〜170μmの範囲にあることが好ましい。当該表面粗さRaが4μm未満の場合には、アンカー効果を十分に発揮し得ず、目的としたレベルの溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性が得られない。これに対し、当該表面粗さRaが170μmを超える粗さとなれば溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性の大きな向上を期待することは困難となり経済的ではない。更に、鋳鉄部材表面の粗さが大きくなりすぎると、当該鋳鉄部材表面に均一な厚さの溶射皮膜が形成され難くなってしまう。なお、本件発明で言う表面粗さRaとは、JIS B0601:2001に準拠して測定した算術平均粗さのことである。
また、表面粗さとしてRaに代えて、十点平均粗さRzを指標として用いることも可能である。ここで、Rzを用いる場合には、Rz=20μm〜630μmの範囲であることが好ましい。このRzの上限値及び下限値を定めた理由は、上記Raの上限値及び下限値の持つ意味合いと同様であるために、重複した記載を避けるために、その記載を省略する。なお、ここで言う表面粗さRzとは、JIS B 0601:1994に準拠して測定した十点平均粗さのことである。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の溶射皮膜は、鋳込みが行われるときのアルミニウム材溶湯が凝固する過程において形成されるアルミニウム材マトリクスとの界面において相互拡散を起こす。その結果、溶射皮膜付鋳鉄部材の溶射皮膜とアルミニウム材マトリクスとの間で金属結合状態を形成し、結果として溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性を向上させる。この溶射皮膜には、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、スズ系材料、亜鉛系材料、銅系材料のいずれかを用いることが好ましい。いずれもアルミニウム材との相互拡散性に優れ、密着性を顕著に向上させるからである。また、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、その表面に一定の凹凸を備えており、ダイカスト時に当該凹凸部へのアルミニウム材溶湯の良好な充填性が求められる。しかし、上記溶射皮膜材料で構成した溶射皮膜は、アルミニウム溶湯との濡れ性に優れるため凹凸形状の底部にまで良好な溶湯充填が可能である。
また、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の溶射皮膜は、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、スズ系材料、亜鉛系材料、銅系材料を積層した複合溶射皮膜層の状態に形成しても構わない。例えば、鋳鉄部材の外表面上にスズ系材料又は亜鉛系材料を1層形成し、その上にアルミニウム系材料を形成する等である。このような層構成を採用することで、溶射皮膜と鋳鉄部材との密着性を向上させ、結果として、溶射皮膜付鋳鉄部材と鋳包みに用いるアルミニウム材マトリクスとの密着性を向上させ得るからである。このときの積層状態は、上述した2層を初め、更に3層以上の複合層としても構わない。鋳包みに用いるアルミニウム材マトリクスの材質、工程等を考慮して任意に選択すれば良い。係る場合、複数層の合計厚さが、上記20μm〜60μm厚さの溶射皮膜であればよい。
以上に述べた溶射皮膜を形成する金属材料として、現在の段階で使用可能と判明している範囲の具体的成分を、以下に述べておく。アルミニウム系材料とは、純アルミニウム(純度99.00wt%以上)、アルミニウム−マンガン合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−マグネシウム合金、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−銅−ニッケル合金、アルミニウム−ケイ素合金等である。
マグネシウム系材料とは、純マグネシウム(純度99.00wt%以上)、マグネシウム−カルシウム合金、マグネシウム−セシウム合金、マグネシウム−ジルコニウム合金、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛合金、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−亜鉛−ジルコニウム合金等である。
スズ系材料とは、純スズ(純度99.00wt%以上)、スズ−ビスマス合金、スズ−鉛合金、スズ−ビスマス−鉛−アンチモン合金等である。
亜鉛系材料とは、純亜鉛(純度99.00wt%以上)、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金、亜鉛−アルミニウム−銅−マグネシウム合金、亜鉛−アルミニウム−銅合金、亜鉛−アルミニウム−銅−チタン−クロム合金、亜鉛−アルミニウム−銅−マグネシウム−チタン−ベリリウム合金、亜鉛−マンガン合金等である。
銅系材料とは、純銅(純度99.5wt%以上)、銅−亜鉛合金、銅−亜鉛−スズ合金、銅−亜鉛−アルミニウム合金、銅−亜鉛−鉄合金、銅−亜鉛−マンガン合金、銅−亜鉛−ニッケル合金、銅−亜鉛−鉄−マンガン−アルミニウム合金、亜鉛−ケイ素合金、亜鉛−ニッケル合金、銅−スズ合金、銅−スズ−亜鉛合金、銅−スズ−リン合金、銅−クロム合金等である。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造形態: 本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法は、上述の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法であり、鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成して製造される。以下、工程A、工程Bの順に説明する。
工程Aは、表面粗さRaが4μm〜190μmの表面を備える鋳鉄部材を準備する工程である。この鋳鉄部材の表面粗さを、ここで示した範囲としていなければ、最終製品である溶射皮膜付鋳鉄部材の表面粗さRaを4μm〜170μmの範囲とすることが困難となる。鋳鉄部材の表面粗さRaで4μm未満であると、溶射皮膜を形成した後に表面粗さRaが4μmを超える粗化表面を形成できない。また、鋳鉄部材の表面粗さRaで190μmを超えると、溶射した金属成分が、表面粗さを形成する凹凸の谷部に十分に進入できず、均一な溶射皮膜を形成できなくなる。ここで、溶射前の鋳鉄部材表面粗さの違いによって得られる特性が異なるため、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm、Rz=48.5μm)未満を第1粗さ範囲、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm〜24.8μm、Rz=48.5μm〜109.1μm)を第2粗さ範囲、溶射前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=24.8μm、Rz=109.1μm)を超えたものを第3粗さ範囲としたことは上述した通りである。
そして、この工程Aで用いる鋳鉄部材は、鋳鉄部材に対して旋盤加工を用いて、その外周表面に溝状凹凸形状を形成したものを用いることが好ましい。旋盤加工を用いて、ダイスで鋳鉄部材の表面を切削加工することで溝状凹凸形状を形成することが、所望の表面粗さを最も精度良く形成できるからである。なお、鋳鉄部材の溶射皮膜形成前に所望の表面粗さが形成されるのであれば、当該鋳鉄部材の表面に旋盤加工を行うことによって溝状凹凸形状を形成させずに鋳肌の状態で用いてもよい。
そして、前記溝状凹凸形状を備える外周表面を、更にブラスト処理で粗化した鋳鉄部材を用いることも好ましい。ここで言うブラスト処理とは、硬い粒子を被加工表面に高速で衝突させ、表面の粗化状態又は改質処理を行うものである。このブラスト処理を行う際には、鋳鉄部材の表面に既に形成している凹凸形状を出来る限り消失させないことが重要である。
工程Bについて説明する。この工程Bは、アーク溶射法により、厚さが20μm〜60μmの溶射皮膜を形成し、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmの外周表面を有する鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材を得る工程である。
一般的に、溶射法は、使用する材料、熱源の種類等により、種々の方法に分類される。本件発明においても、電気式溶射法であるアーク溶射又はプラズマ溶射のいずれかを使用することが可能である。ここで言うプラズマ溶射とは、アルゴンなどの作動ガス中で、アノード陽極とカソード陰極間に直流アーク放電により、10000℃を超える高速高温のプラズマジェットを発生させ、この中に金属やセラミックスなどの粉末を投入し、溶融と加速を行い皮膜を形成する方法で、他の溶射法に比して、溶射材料の選択自由度が大きく、皮膜が高密度で母材への密着性も良いという特徴がある。これに対して、アーク溶射法とは、コーティング材料を、加熱により溶融又は軟化させて、微粒子状又は液滴状にして、これを加速して、被覆対象物表面に衝突させて、扁平化して潰れた粒子を凝固、堆積させて皮膜を形成するコーティング法である。更に具体的に言えば、2本の溶射材料であるワイヤーに直流の電流を流し、アーク放電させて溶融し、これをエアー又は他のガスにてアトマイズして母材に付着させる方法で、他の溶射法に比して、操作が簡単で、エネルギー効率が高くランニングコストが安く、溶射皮膜の密着力も高いという特徴がある。しかし、シリンダライナの表面に形成する溶射皮膜の形成には、生産性、ランニングコスト等の実装上のメリットを考慮すると、アーク溶射法を用いることが好ましい。
以上に述べた溶射装置のアトマイズエアー吹き出し部の開口面積が15mm〜200mmの溶射ガンを用いることが好ましい。ここで言うアトマイズエアー吹き出し部とは、アーク溶射においては溶射材をワークに吹き付けるエアー又は他のガスの射出開口部であり、プラズマ溶射においてはプラズマジェット気流の射出開口部のことである。このアトマイズエアー吹き出し部の開口面積が15mm未満としても、特段の問題は無いが、溶射面積が小さいため、工業的に求められる生産性を満足し得ない。一方、アトマイズエアー吹き出し部の開口面積が200mmを超えるものとすると、溶射面積が広く、溶滴の溶射速度が遅くなるため、溶射した金属成分が、溝状凹凸の谷部に十分に進入できず、溶射皮膜と鋳鉄部材との密着性が得られなくなるため好ましくない。
この工程Bで言う、鋳鉄部材の表面に形成する溶射皮膜の厚さ(20μm〜60μm)、鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の表面粗さ(Ra:4μm〜170μm)の条件に関しては、上述の通りであるので、ここでの重複した説明は省略する。
本件発明に係る鋳包み用鋳鉄部材製品: 以上に述べた本件発明に係る鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法を用いることで、溶射皮膜付鋳鉄部材が得られる。特に、内燃機関用のシリンダライナ、耐摩環、バルブガイド等種々の製品への応用に好適である。
そして、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材シリンダライナとして用いて、これを高圧アルミニウムダイキャスト法で鋳ぐるむことで、高品質のシリンダブロックの提供が可能となる。シリンダライナをアルミニウム材マトリクスで鋳ぐるむ場合の凝固過程を考えると、シリンダブロック内に配置したシリンダライナで構成されるボア間隔が最も薄く、その部位のアルミニウム材溶湯が最初に凝固し、その後ボアの周辺部の凝固が進行すると考えられる。従って、凝固が速く始まるため、シリンダライナ凹凸部へのアルミニウム溶湯の侵入が困難となる。また、金属の溶湯の凝固過程は、収縮挙動を行う。従って、高圧ダイキャストされたアルミニウム材溶湯の凝固が進行するに従い、既に凝固したボア間の薄いアルミニウム材に引張り応力が加わり、シリンダライナとアルミニウム材マトリクスとの密着性が弱い場合には、そこに割れが生じる場合がある。
しかし、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材シリンダライナとして用いた場合には、その表面にある溶射皮膜がアルミニウム溶湯との濡れ性を改善し、シリンダライナ凹凸部へのアルミニウム溶湯の侵入を容易にし、凹凸形状のアンカー効果が十分に発揮される。この結果、シリンダライナとアルミニウム材マトリクスとの密着性が向上するため、上述の割れが生じる事もなくなり、高品質のシリンダブロックの提供が可能となる。
この実施例では、シリンダライナに相当する鋳鉄部材を製造し、その鋳鉄部材を粗化処理して鋳包み処理するまでを実施した。以下、工程の順に説明する。
鋳鉄部材の製造: 炭素が3.3質量%、ケイ素が1.95質量%、マンガンが0.75質量%、リンが0.2質量%、硫黄が0.06質量%、銅が0.15質量%、クロムが0.16質量%、残部が鉄及び不可避的不純物からなる溶湯を調製した。この組成の溶湯を砂型又は金型鋳造法で、シリンダライナに相当するA型黒鉛鋳鉄である鋳造部材を製造した。このときの鋳造部材は、内径85.57mm、外径104.07mm、長さ133.6mmである。
鋳鉄部材の製造: そして、前記鋳造部材の表面に凹凸表面を形成するために、円筒研磨機又は切削加工により外周面を形成したものと加工を施さずに鋳肌のままのものを用意した。表1において、溶射部材16〜溶射部材21に示す「鋳肌」とは、鋳鉄部材の表面に研磨や切削加工を施さない状態をいい、当該溶射部材16〜溶射部材21は、当該鋳鉄部材表面が鋳肌の状態で溶射皮膜が形成されたものである。このときの切削に用いたバイトの先端Rは0.2mm〜2.0mmのものを使用し、所定溝の表面粗さを備える試料を製造した。その後、更に、ブラスト材にアランダム#12〜#60を用いて、噴射圧力0.5MPa、ワークディスタンス100mm、噴射時間1分〜5分の条件でブラスト処理して、表面粗さの調整をおこない鋳鉄部材とした。このようにして表1における溶射皮膜付鋳鉄部材1〜溶射皮膜付鋳鉄部材21(表1では、単に「溶射部材1」、「溶射部材2」等と示す。)までの21種類の鋳鉄部材を製造した。これらの溶射皮膜の厚さの変化による溶射皮膜形成後の表面粗さRaの変化に関しては、表1に纏めて示す。なお、表1において、「×」と表示しているのは、溶射皮膜が不均一であり、測定が不可能なものである。
溶射皮膜付鋳鉄部材の製造: 溶射装置としてスルザーメテコジャパン株式会社製のSmart Arc.を用いて、鋳鉄部材であるシリンダライナを50rpm〜7000rpmで回転させつつ、溶射速度3mm/sec〜280mm/sec、溶射距離20mm〜100mm、電流80A〜250A、電圧25V〜40V、エアー圧はFOCUS SPRAY AIR CAPを用いて、1次エアー圧20psi〜80psi/2次エアー圧20psi〜80psiの圧縮空気とした溶射条件を用いて、シリンダライナ(鋳鉄部材)の表面に、純アルミニウムワイヤーを用いて、3μm〜200μm厚さの純アルミニウム溶射皮膜を形成して、このようにして表1に示すような表面粗さを備える溶射皮膜付鋳鉄部材1〜溶射皮膜付鋳鉄部材21を得た。
鋳包み試験: 以上のようにして得られた21種類の溶射皮膜付鋳鉄部材1〜溶射皮膜付鋳鉄部材21を、アルミニウム合金(ADC12)で鋳ぐるむことにより、鋳包み後で内径91.9mm、外径113.2mm、長さ128.1mmとなるように、外周面のみを鋳ぐるんだ。鋳包みの条件は、330tダイキャストマシンを用いて鋳造圧力62.8MPa、溶湯温度700℃〜740℃、金型温度110℃〜180℃、シリンダライナ余熱温度200℃とした。そして、密着性評価試験片Sは、図1に示すように、溶射皮膜付鋳鉄部材であるシリンダライナ2を鋳包んだシリンダライナ1の湯口3a,3b,3c,3d側の端面から20mmの位置で、20mm幅に輪切りに切断し、更に、図1(A)に示すように、湯口3a,3b,3c,3d部分の下部に相当する部分から20mm×20mmの試料として採取した。なお、図1(B)は、湯口の位置を明瞭に理解できるように示した図である。そして、図2に示すように、鋳包み試験用に作製したアルミニウム合金層4とシリンダライナ2とが層状になった密着性評価試験片Sを、接着剤で、引張り試験用の治具5に接着固定して、図2の矢印側に引張って、引張り試験を行うことで密着性評価を行った。なお、21種類の試料は、試料1〜試料21として、表2に鋳包み試験後の密着性評価の結果を示した。
比較例
[比較例1]
この比較例では、表1に示す溶射皮膜形成前の鋳鉄部材の表面粗さが小さい(Ra=0.4μm、Rz=2.2μm)比較用鋳鉄部材A(表中では、単に「比較溶射部材A」と示す。)を用いて、その表面に3μm〜200μm厚さの溶射皮膜を形成して、このようにして表1に示すような表面粗さを備える比較用溶射皮膜付鋳鉄部材A(表1では、単に「比較溶射部材A」と示す。)を製造し、実施例と同様に鋳包み試験(表2では、単に「比較試料A」と示す。)を実施した。そして、表2に実施例と対比可能なように、鋳包み試験の結果を示した。
[比較例2]
この比較例では、表1に示す溶射皮膜形成前の鋳鉄部材の表面粗さが大きい(Ra=190.9μm、Rz=649.1μm)比較用鋳鉄部材B(表中では、単に「比較溶射部材B」と示す。)を用いて、その表面に3μm〜200μm厚さの溶射皮膜を形成して、このようにして表1に示すような表面粗さを備える比較用溶射皮膜付鋳鉄部材B(表1では、単に「比較溶射部材B」と示す。)を製造し、実施例と同様に鋳包み試験(表2では、単に「比較試料B」と示す。)を実施した。そして、表2に実施例と対比可能なように、鋳包み試験の結果を示した。
Figure 0005388298
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<実施例と比較例との対比>
この実施例では、表2に示すように溶射皮膜付鋳鉄試料とアルミニウム材マトリクスとの間における密着性評価において、試料1の溶射皮膜厚さが5μmのときの密着強度を基準強度の1.0としたとき、1.0以上の密着性を示した場合に良好な密着性を示したとして、判断を行っている。この判断基準を適用すると、試料1〜試料21、比較試料Bは、基準強度以上の密着性を示している。これに対し、比較試料Aは基準強度以上の密着性を示していない。このとき、比較試料Aの溶射皮膜形成前の表面粗さは、本件発明の適正な範囲となる表面粗さの条件を満たしていない。また、本件発明の適正な溶射皮膜形成前の表面粗さを超える粗さを備える比較試料Bは、基準強度を十分に満足しているが、比較試料Bよりも粗さの小さい試料12及び試料13と比しても密着性に殆ど差は生じていない。図3には、表1及び表2のデータから鋳鉄部材に溶射皮膜を形成した後の表面粗さと溶射皮膜付鋳鉄試料とアルミニウム材マトリクスとの密着性との関係について示している。図3に示すように、鋳鉄部材に溶射皮膜を形成した後の表面粗さRaが170を超えたあたりから密着性は大きく向上しなくなっていることが分かる。この結果から明らかなように、比較試料Bのように本件発明の適正な粗さ範囲(Ra=4μm〜170μm)を超える表面粗さを備えても、これ以上の密着性の向上を期待することはできず経済的ではない。従って、上述の結果より、実施例のように溶射皮膜付鋳鉄試料の表面粗さと溶射皮膜厚さとのバランスが適正でないと、溶射皮膜付鋳鉄試料とアルミニウム材マトリクスとの間で良好な密着性を得ることが出来なかったり、経済的でなくなることが分かる。なお、表2の中で、「×」と表示しているのは、密着性評価試料の準備段階で剥離して、評価が出来なかったものである。
ここで、表面粗さRaと溶射皮膜厚さとの関係について、実施例である溶射部材1〜溶射部材15を図4、実施例(鋳肌)である溶射部材16〜溶射部材21を図5、比較例である比較溶射部材A,Bを図6に示す。この図4〜図6と表1とから、他の溶射部材と比して溶射皮膜形成前の表面粗さの大きい溶射部材ほど、溶射皮膜形成後の皮膜厚さが厚くなるに従って溶射部材表面の粗さの変化量も大きくなることが分かる。例えば、図4に示す第3粗さ範囲である溶射皮膜形成前の表面粗さが大きい溶射部材11(Ra=89.3μm、Rz=282.7μm)、溶射部材12(Ra=126.7μm、Rz=416.0μm)、溶射部材13(Ra=159.3μm、Rz=495.5μm)、溶射部材14(Ra=170.3μm、Rz=562.0μm)、溶射部材15(Ra=180.7μm、Rz=619.3μm)、比較溶射部材B(Ra=190.9μm、Rz=649.1μm)と、これら溶射部材より溶射皮膜形成前の表面粗さが小さい他の溶射部材とを比較した場合に溶射皮膜形成後の皮膜厚さが厚くなるに従って変化する部材表面の粗さの変動量の差は明らかに上記溶射部材の方が大きくなる。この結果より、溶射部材は、溶射皮膜形成前の表面粗さが大きくなるに従って、鋳鉄部材の表面に皮膜を溶射した際の溶射部材表面粗さに及ぼす影響が大きくなることが分かる。一方、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面粗さが小さくなると、必要以上に溶射皮膜の厚さを厚くしない限り溶射皮膜形成後の鋳鉄部材の表面粗さを大きくすることは困難となり、溶射皮膜付鋳鉄部材がアルミニウム材マトリクスに対して十分なアンカー効果を得ることが難しくなる。ここで、表1及び表2に示すように、外周表面をブラスト処理で粗化した鋳鉄部材を用いても溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性は基準強度を十分に満足するものであり、ブラスト処理の条件を任意に定めることで好適な範囲の粗さに鋳鉄部材の外周表面を粗化させることが可能となる。
また、溶射皮膜厚さと溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性との関係について、実施例である試料1〜試料15を図7、実施例(鋳肌)である試料16〜試料21を図8、比較例である比較試料A,Bを図9に示す。図7〜図9に示す結果より、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面の粗さが大きすぎると、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜の厚さが厚くなるに従って、当該アルミニウム材マトリクスと溶射皮膜との密着性は低下する傾向となることが分かった。一方、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面の粗さが小さくなると、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜の厚さが厚くなっても当該アルミニウム材マトリクスと溶射皮膜との密着性に殆ど変化が生じないことが分かった。ここで、表2に示すように、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面の粗さRaが、比較溶射部材Aの0.4μm程度に小さい場合には、溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性が基準強度以下となり十分ではなく好ましくない。一方、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面の粗さRaが、比較溶射部材Bの190μmを超えて大きくなると、溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性の向上が期待できなくなり経済的ではないため好ましくない。また、図7〜図9より、溶射皮膜形成後の皮膜厚さが20μm〜60μmであれば、当該アルミニウム材マトリクスと溶射皮膜との密着性を、より安定的に向上させることが出来ることが分かる。なお、溶射皮膜形成後の皮膜厚さが160μmを超えたあたりから当該アルミニウム材マトリクスと溶射皮膜との密着性は低下するか又は変動がなくなるため、溶射皮膜の厚さが160μmを超えた場合には経済的に好ましくない。一方、上述したように、溶射皮膜の厚さを5μm未満にすると、溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性が低下する傾向があるため好ましくない。更に、図4〜図9及び表1、表2で示される結果より、鋳鉄部材の備える表面粗さ(Ra)は溶射皮膜形成前と溶射皮膜形成後とで85μm以内の変動量であれば溶射皮膜とアルミニウム材マトリクスとの間の密着性に大きな影響を及ぼすことはないことが分かった。よって、溶射皮膜形成前と溶射皮膜形成後の表面粗さRaの変動差量が85μm以下であれば、溶射皮膜付鋳鉄部材は、鋳包みに用いるアルミニウム材マトリクスに対するアンカー効果を安定して十分に発揮することができる。
また、表1又は図4〜図6より、鋳鉄部材の備える表面粗さを大きく変動させずに当該鋳鉄部材の表面に溶射皮膜を形成する際の最も好ましい溶射皮膜形成前の表面粗さは、溶射膜厚5μm〜200μmの範囲における溶射皮膜形成前後の表面粗さの最大変動量が(Ra=1.9μm、Rz=11.9μm)となる溶射部材5の溶射皮膜形成前表面粗さが(Ra=15.3μm、Rz=67.3μm)の条件のときであることが分かる。そして、表1又は図4〜図6より、他の試料と比して溶射膜厚5μm〜200μmの範囲における溶射皮膜形成前後の鋳鉄部材表面粗さの変動量が少なくなるのは、第2粗さ範囲の溶射部材3〜溶射部材7の溶射部材であることが分かる。この結果及び図4〜図6より、鋳鉄部材の備える表面粗さを大きく変動させずに当該鋳鉄部材の表面に溶射皮膜を形成する際の最も適切な溶射前の表面粗さが(Ra=8.5μm〜24.8μm、Rz=48.5μm〜109.1μm)の範囲にあるときであることが分かる。また、表2及び図7〜図9より、第2粗さ範囲である試料3〜試料7(溶射部材3〜溶射部材7)について、鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜の厚さの変化が当該アルミニウム材マトリクスと溶射皮膜との密着性に及ぼす影響は少ないことが分かる。以上の結果より、溶射皮膜形成前の表面粗さが(Ra=8.5μm〜24.8μm、Rz=48.5μm〜109.1μm)の範囲内にある鋳鉄部材を使用した場合には、溶射皮膜の厚さに関係なく安定してアルミニウム材マトリクスに対して十分なアンカー効果を得ることがきるため好ましい。なお、第2粗さ範囲にある溶射部材には、溶射部材19(鋳肌)、溶射部材20(鋳肌)も該当するが、表1及び図5に示す結果より、若干溶射皮膜形成前後の鋳鉄部材表面粗さRaの変動量が大きくなっている。これは、溶射部材19,20の試料は鋳肌であり、溶射部材3〜溶射部材7のように旋盤加工を施していないためであると考えられる。
また、第1粗さ範囲及び第3粗さ範囲に係る試料についても述べておく。表1に示すように、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材の表面粗さが他の試料と比して小さい第1粗さ範囲に該当する試料は、溶射部材1、溶射部材2、溶射部材16、比較溶射部材Aである。これら試料は全て溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=8.5μm、Rz=48.5μm)未満となるものである。表1及び図4〜図6に示すように、第1粗さ範囲である溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面粗さRaは、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜が厚くなるに従って大きくなる傾向が現れている。ここで比較溶射部材Aの表面粗さ(Ra=0.4μm、Rz=2.2μm)まで溶射皮膜形成前の表面粗さが小さくなると、表2及び図9に示すように、その後当該鋳鉄部材表面に溶射皮膜が形成されたとしても十分な表面粗さを得ることが困難となり、アンカー効果を十分に発揮し得ず、目的としたレベルの溶射皮膜付鋳鉄部材とアルミニウム材マトリクスとの密着性が得られない。
表1に示すように、溶射皮膜形成前の鋳鉄部材の表面粗さが他の試料と比して大きい第3粗さ範囲に該当する試料は、溶射部材8〜溶射部材15、溶射部材17、溶射部材18、溶射部材21、比較溶射部材Bである。これら試料は全て溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面粗さが(Ra=24.8μm、Rz=109.1μm)を超えたものである。表1及び図4〜図6に示すように、第3粗さ範囲である溶射皮膜形成前の鋳鉄部材表面粗さRaは、当該鋳鉄部材表面に形成される溶射皮膜が厚くなるに従って小さくなる傾向が現れている。ここで比較溶射部材Bの表面粗さ(Ra=190.9μm、Rz=649.1μm)まで溶射皮膜形成前の表面粗さが大きくなると、表2に示すように、その後当該鋳鉄部材表面に溶射皮膜が形成されたとしても溶射皮膜のアルミニウム材マトリクスに対する密着性の向上が期待できなくなり経済的ではないため好ましくない。
本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、表面粗さと溶射皮膜厚さとが良好なバランスを備えているため、物理的アンカー効果と鋳包みのアルミニウム材マトリクスとの相互拡散で形成される金属結合状態を同時に得ることが容易であり、相互の密着性を飛躍的に向上させる。この本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、内燃機関用のシリンダライナ、耐摩環、バルブガイド等の製造に応用可能であり、これらの品質を飛躍的に向上させることができる。
そして、本件発明に係る溶射皮膜付鋳鉄部材は、鋳鉄部材の備える表面粗さを殆ど損なうことなく、その表面に溶射皮膜を形成する。従って、出発原料である鋳鉄部材の表面粗さを適正に作り込んでおけば、溶射皮膜形成後の事後的な粗化処理が不要になるため、加工工程の省略が出来ることになる。従って、工程の短縮化によ製造コストを有効に削減することが出来る。
鋳包んだシリンダライナからの密着性評価試験片の採取位置を説明するための概念図である。 密着性評価試験片を用いた密着性評価を行う際の引張り試験の概念図である。 鋳鉄部材における溶射皮膜形成後の表面粗さRaと密着性(溶射皮膜−アルミニウム材マトリクス間)との関係を示すグラフである。 実施例において、溶射皮膜形成後の表面粗さRaと溶射皮膜厚さとの関係を示すグラフである。 実施例(鋳肌)において、溶射皮膜形成後の表面粗さRaと溶射皮膜厚さとの関係を示すグラフである。 比較例において、溶射皮膜形成後の表面粗さRaと溶射皮膜厚さとの関係を示すグラフである。 実施例において、鋳鉄部材の鋳包み試験後の密着性評価結果を示すグラフである。 実施例(鋳肌)において、鋳鉄部材の鋳包み試験後の密着性評価結果を示すグラフである。 比較例において、鋳鉄部材の鋳包み試験後の密着性評価結果を示すグラフである。
1 鋳包んだシリンダライナ
2 シリンダライナ(溶射皮膜付鋳鉄部材)
3a,3b,3c,3d 湯口
4 アルミニウム合金層
5 引張り試験用の治具
S 密着性評価試験片

Claims (7)

  1. 鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成した高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材であって、
    当該鋳鉄部材は、溶射皮膜形成前の表面粗さRaが4μm〜190μmでありその表面にアルミニウム材マトリクスとの密着を向上させるための20μm〜60μm厚さの溶射皮膜を備え、且つ、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmであることを特徴とした鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材。
  2. 前記溶射皮膜は、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金、スズ系合金、亜鉛系合金、銅系合金のいずれかである請求項1に記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材。
  3. 鋳鉄部材の備える表面粗さを所定の範囲に設定し、その表面に溶射皮膜を形成した高圧アルミニウムダイキャスト法で用いる鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法であって、
    以下の工程A及び工程Bを備えることを特徴とする請求項1に記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法。
    工程A: 表面粗さRaが、4μm〜190μmの外周表面を備える鋳鉄部材を準備する工程。
    工程B: アーク溶射法により、厚さが20μm〜60μmの溶射皮膜を形成し、当該溶射皮膜形成後の表面粗さRaが4μm〜170μmの外周表面を有するものである鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材を得る工程。
  4. 前記工程Aの鋳鉄部材は、鋳鉄部材に対して旋盤加工を用いて、その外周表面に溝状凹凸形状を形成したものを用いる請求項に記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法。
  5. 前記溝状凹凸形状を備える外周表面を、更にブラスト処理で粗化した鋳鉄部材を用いる請求項に記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法。
  6. 前記工程Bのアーク溶射法は、アーク溶射装置を用い、当該装置の溶射ガンのノズルのアトマイズエアー吹き出し部の開口面積が15mm〜200mmである請求項〜請求項のいずれかに記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材の製造方法。
  7. 請求項1又は請求項に記載の鋳包み用の溶射皮膜付鋳鉄部材として製造したことを特徴とする溶射皮膜付シリンダライナ。
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