JP2002003372A - 造血および栄養状態改善用アミノ酸組成物 - Google Patents

造血および栄養状態改善用アミノ酸組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】特にアスリートに適するアミノ酸組成物の提
供。 【解決手段】L−アルギニン、L−グルタミン、L−バ
リン、L−イソロイシンおよびL−ロイシンの5種のア
ミノ酸を、それぞれ、10〜40重量部、10〜40重
量部、5〜20重量部、8〜30重量部および10〜3
5重量部の割合で含有することを特徴とする造血および
栄養状態改善用アミノ酸組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のアミノ酸を
特定の割合で含有する造血および栄養状態の改善に有効
なアミノ酸組成物、すなわち、L−アルギニン、L−グ
ルタミン、L−バリン、L−イソロイシンおよびL−ロ
イシンの5種のアミノ酸を、それぞれ、10〜40重量
部、10〜40重量部、5〜20重量部、8〜30重量
部および10〜35重量部の割合で含有することを特徴
とする造血および栄養状態改善用アミノ酸組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般の人々及び運動選手は様々なサプリ
メントを日常的に摂取している。例えば、アミノ酸、ビ
タミン、ミネラル、ハーブ、プロテイン、抗酸化剤、ク
レアチン等を摂取している。これらの中でも最近、後述
の理由から特にアミノ酸が着目されている。
【0003】オリンピックを目指すトップアスリートは
もちろんのこと、スポーツ愛好家、ウォーキングなどを
楽しむ中高年まで幅広い層においてアミノ酸サプリメン
トが愛用されるようになってきた。
【0004】なぜ、今アミノ酸なのかについて考えてみ
ると、第1の理由として、アミノ酸は、我々が日常的に
摂取しているタンパク質の成分であり、安全であるとい
うことである。アミノ酸サプリメントに記載されている
推奨摂取量(4〜12g程度)であれば、1日あたりに
必要なタンパク質量約70gの10〜15%程度の量に
すぎず問題は無いと考える。なぜなら、たとえアミノ酸
を多く摂取したとしても必要な量だけ体内に吸収され、
余分なアミノ酸は腎臓で尿素に代謝され、水溶性ビタミ
ンと同様尿中に排泄されてしまうからである。
【0005】第2の理由として、アミノ酸は医薬品とし
て幅広く利用されており数々の薬理作用が確認されてい
ること、すなわち効くということである。例えば、分岐
鎖アミノ酸(BCAA)のバリン、イソロイシンおよび
ロイシンにはタンパク質同化作用があり肝臓疾患の治療
薬として用いられており、アルギニンには高アンモニア
血症、免疫力の改善や尿素サイクル活性化、グルタミン
には胃潰瘍の予防や治療に効果が認められ薬の主成分と
なっている。そして、アミノ酸20種類の混合物は、ア
ミノ酸の輸液や経腸栄養剤として、術前および術後の栄
養管理に欠かせないものとなっている。以上、日本必須
アミノ酸協会「アミノ酸資料集I」(平成8年度改訂
版)参照。
【0006】第3の理由として、長期に安定性を確保で
きるサプリメントの製造技術や苦味のマスキング技術が
開発されさらに安価になったということである。
【0007】以上に示す様に「安全である」、「効果が
体感できる」、「おいしくて安くなった」ことが、最近
アミノ酸サプリメントが急速に普及してきた理由と考え
る。
【0008】次に、スポーツにおけるアミノ酸というこ
とでレビューをしてみる。
【0009】アミノ酸が「パフォーマンスの向上」、試
合やハードなトレーニング後の「早期筋力回復」や日常
の良好な「コンディションを維持」等に有効であるとい
う研究が報告されている(Antonio J他; Can J Appl Ph
ysiol 24: 1-14 (1999)、Applegate E; Int J Sport Nu
tr 9: 229-239 (1999)、Kobayashi K; 食の化学: 225,8
3-88 (1999)、およびWilliams MH; Clin Sports Med 1
8: 633-649 (1999))。
【0010】これまでスポーツとの関連では、アミノ酸
の中でも中枢性の疲労の軽減が期待できるBCAA(Bl
omstrand E他; Acta Physiologica Scandinavica 133:
115-121 (1988))や運動時に大切な作用をする各種ホル
モンの分泌刺激性があるアルギニン(Maccario M他; Me
tabolism 43: 223-226 (1994)およびVan Haeften TW他;
J Clin Endocri Metab 69: 1059-1064 (1989))、さら
にアシドーシスや免疫力低下の予防やオーバートレーニ
ングとの関連が報告されているグルタミン(Castell LM
他; Eur J Appl Physiol 73: 488-490 (1996)、Castell
LM他;Eur JAppl Physiol 75: 47-53 (1997)、Newsholm
e EA他; Nutr 13:728-730 (1997)、Rowbottom DG他; Sp
orts Med 21: 80-97 (1996)およびWelbourne TC; Am J
Physiol 253: F1069-1076 (1987))などが主に検討され
てきた。
【0011】これらの報告は、単品のアミノ酸を単回あ
るいは短期的に摂取したときのパフォーマンスや生理学
的パラメーターの変化をとらえた研究が主体である。し
かし、単品のアミノ酸を継続して摂取することは、アミ
ノ酸のインバランス(HarperAE他; Physiol Rev 50: 42
8-558 (1970))を生じる危険性があり好ましいことでは
ない。
【0012】一方、アミノ酸混合物を栄養視点からアス
リートが長期的摂取した研究は少ない。例えば、高所ト
レッキング時にBCAAを10g/日で21日間摂取し
たところ体重減少や体タンパク質の分解を抑制できたと
いう報告(Schena F他; EurJ Appl Physiol 65: 394-39
8 (1992))がある一方で、高齢者がBCAAを6g/日
で6週間摂取して運動を負荷しても筋肉組織の形態学的
変化は認められなく(Freyssenet D他; Arch Physiol B
iochem 104: 157-162 (1996))、またBCAAを2.9
g/日で1〜6週間摂取しても疲労困憊までの運動時間
に差が認められなかったなどの報告(Vukovich MD他; I
nt J Sport Nutr 7: 298-309 (1997))がある。
【0013】アルギニンの長期摂取に関しては、30g
/日で2週間摂取したところマラソンのタイムがかえっ
て悪くなったという報告(Buchman AL他; Int J Sports
Med20: 315-321 (1999))がある。
【0014】しかし、何種類のアミノ酸をどれくらいの
量でどれくらいの期間摂取するとがアスリートにとって
有用なのかについて調べた研究は殆ど無い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ア
スリートがアミノ酸混合物を栄養学的視点から摂取する
ことにより、どのような効果が見られるのかについて検
討し、延いては特にアスリートに適するアミノ酸組成物
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成すべく鋭意研究の結果、特定のアミノ酸を特
定の割合で経口摂取することにより造血および栄養状態
の改善に効果のあることを見出し、このような知見に基
いて本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明は、L−アルギニン、L
−グルタミン、L−バリン、L−イソロイシンおよびL
−ロイシンの5種のアミノ酸を、それぞれ、10〜40
重量部、10〜40重量部、5〜20重量部、8〜30
重量部および10〜35重量部の割合で含有することを
特徴とする造血および栄養状態改善用アミノ酸組成物に
関する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明のアミノ酸組成物の調製には特別の
制限や困難はなく、所定のアミノ酸を所定の割合で含有
せしめることを除いては、適宜常法に準ずることができ
る。
【0020】本発明のアミノ酸組成物は、上記所定の5
種のアミノ酸を上記所定の割合で単に混合して調製する
他に、適宜の添加剤を使用して常法により調製すること
もできる。このような添加剤としては、味を調整改良す
る果汁、デキストリン、環状オリゴ糖、糖類(果糖ぶど
う糖液糖、ショ糖)、酸味料、香料、抹茶粉末など、テ
クスチャーを改善する乳化剤、コラーゲン、全脂粉乳、
増粘多糖類や寒天(ゼリー飲料の場合)など、更には前
記5種のアミノ酸以外のアミノ酸、ビタミン類、卵殻カ
ルシウム、パントテン酸カルシウム、その他のミネラル
類、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜、食物繊維、ア
ガリクス、キチン、キトサン、漢方生薬、コンドロイチ
ン、カプサイシンなどの通常健康食品の成分として使用
されているものを挙げることができる。
【0021】本発明のアミノ酸組成物の製品形態には特
別の制限はなく、経口摂取(摂食)できる形態であれば
いずれの形態でもよい。このような形態としては、適当
な賦形剤を使用した粉末、顆粒、タブレット、液体(飲
料、ゼリー飲料など)、キャンディ(チョコレートな
ど)等を挙げることができる。製品形態の極端な場合と
しては、上記5種のアミノ酸の上記割合の単なる粉体混
合物(粉末)を挙げることができる。粉末の場合は、直
接粉薬のようにそのまま水で飲んでもよいし、またオブ
ラートに包んで飲むこともでき、あるいは水、牛乳、ジ
ュースなどに溶解して飲むこともできる。
【0022】本発明による造血や栄養状態の改善効果
は、後記実験例1の結果を考慮して、必須成分である5
種のアミノ酸を上記割合で1日当りの合計で4g以上
(平均的成人男性)摂取することで奏せしめ得る。これ
より少量では目的の効果が奏されない。一方、過剰に摂
取しても効果の向上は見込まれないので、1日当りの摂
取量は最大約12gとすることができる。このような範
囲に含まれる量として、例えば、後掲実験例1にみられ
る4〜7g程度/日を好ましい量として挙げることがで
きる。従って、本発明のアミノ酸組成物の製品における
必須成分であるアミノ酸の含有量は、1日当りの摂取回
数も考慮して、適宜このような摂取量を満足せしめるこ
とのできる量とすればよい。
【0023】
【実施例】以下、実験例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0024】実験例1(5種類のアミノ酸によるドーズ
レスポンス実験) (1)供試アミノ酸と実験の概要:現在、着目されてい
る3種のBCAA(branched-chain amino acids)バリ
ン、イソロイシンおよびロイシン(以上、必須アミノ
酸)ならびにアルギニンおよびグルタミン(以上、非必
須アミノ酸)の合計5種のアミノ酸の混合物(以下、M
MAと略称することがある)を、大学陸上部に所属する
アスリートが30日毎に摂取量を変化させた場合に、各
種血液パラメーターがどのように変化するかについて調
べる。
【0025】(2)被験者のプロフィール:大学陸上部
に所属する13名を被験者とした(年齢、21.0±
0.5才;身長、172.5±0.4cm;体重、6
0.4±1.0kg、1500mの記録、4分0秒±5
秒;5000mの記録、14分58秒±11秒。以上、
値は全て平均値±SEM)。
【0026】(3)実験プロトコール: (a)実験期間中、被験者は各人、通常の食事を摂取
し、普段どおりの生活をし、病気、怪我等の特別なこと
があった場合は申し出るように指示した。
【0027】(b)6ヶ月の実験期間中は、Washout期
間(洗い流す期間という原義からアミノ酸を飲まない期
間を云う)中も含めてアミノ酸及びその他のサプリメン
ト類の摂取を行わないように指示した。
【0028】(c)6ヶ月間にわたる毎月の練習量(走
行距離および運動強度)はほぼ一定になるように事前に
設定し、事前設定練習量に対して実際に達成できた割合
を5%の単位で記した。
【0029】(d)採血前日は、ハードなトレーニング
を行わないようにし、採血は早朝(7:00〜9:0
0)に空腹状態で行った。
【0030】(4)MMAの摂取及び採血手順:以下に
示すように、MMAの経口摂取量を後掲「アミノバイタ
ル」のスティック1本/日(2.2g/日)から3本/
日(6.6g/日)まで3段階に変化させた。MMAを
30日間摂取する前および後で採血を行った。Washout
期間として30日を設定した。
【0031】(a)1〜2ヶ月目(最初の60日間) 実験開始のためのWashout(最初の30日間)後、MM
Aを摂取する前、と毎夕食後にMMAを2.2g(1日
当たり合計2.2g)、30日間摂取した後に採血を行
った(MMA1)。
【0032】(b)3〜4ヶ月目(次の60日間) 同様にWashout後、MMAを摂取する前、と毎朝、昼、
夕食後に2.2gずつ(1日当たり合計6.6g)を3
0日間摂取した後に採血を行った(MMA3)。
【0033】(c)5〜6ヶ月目(その次の60日間) Washout後、MMAを摂取する前、と毎朝、夕食後に
2.2gずつ(1日当たり合計4.4g)を30日間摂
取した後に採血を行った(MMA2)。
【0034】(5)MMAの組成:必須アミノ酸3種類
(バリン、イソロイシンおよびロイシン)と非必須アミ
ノ酸2種類(アルギニンおよびグルタミン)を合計2,
200mg(MMA)と糖類、酸味料、香料、甘味料等
2,300mgとを無地アルミスティック(1本あたり
4,500mg)に含有する特別組成のアミノ酸製剤
「アミノバイタル」(味の素株式会社販売)を使用し
た。因みに、上記MMAにおける5種のアミノ酸の割合
は、L−アルギニン24%、L−グルタミン24%、L
−バリン14%、L−イソロイシン17%、そしてL−
ロイシン21%である(合計100%)。
【0035】(6)血液分析項目及び分析法: (a)肘静脈血10mlを採血して遠心分離後生化学分
析用とし、さらに2mlをEDTA−2Na入り真空管
に一般末梢血(CBC)分析用として採血した。
【0036】(b)総コレステロール、高比重リポ蛋
白、低比重リポ蛋白、アルプミン、尿素窒素、グルタミ
ン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ、グルタミン酸ピ
ルビン酸トランスアミナーゼ、ガンマグルタミルトラン
スペプチダーゼ、クレアチンフォスフォキナーゼおよび
ラクテートでヒドロゲナーゼは日立製作所製「自動分析
装置7170型」で分析し、一般末梢血の白血球、赤血
球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、および血小板は、
「東亜医用電子K−4500型」で分析した。フェリチ
ンは酵素イミュノアッセイ法で分析した。
【0037】(c)血中乳酸、血中アンモニアおよび血
糖値は、ランセットを用い指先末梢血を数十μlサンプ
リングし、それぞれ、京都第一科学社製の「ラクテート
プロ」(Makita S他; J Clin Sport Med 14: 815-819
(1997))、「アミチェックメーター」(Matsunaga T他;
小児科臨床 51:303-310 (1998))および「グルテスト
エース」(Kuwajima M他; 日本臨床 56: 11-18 (199
8))を用いて測定した。
【0038】(7)統計処理方法:wash out後、すなわ
ちアミノ酸5種混合物(MMA)を摂取した前および後
を比較した(ペア−ドt検定)。有意差検定の結果、p
<0.05の場合に*マーク、そしてp<0.01の場
合に**を記した。数字は平均値±SEMである。
【0039】(8)結果:結果を下記第1表に示す。6
ヶ月の実験期間中に病気や怪我等で実験を中断する被験
者はいなかった。
【0040】
【表1】
【0041】この実験期間中における被験者の体重は6
0.4〜61.3kgであり、練習量は70〜80%で
あった。そして、各アミノ酸摂取量の前と後との間で有
意差は認められなかった。
【0042】以下にMMA摂取量と血液パラメーターの
変化とについての結果を示す。
【0043】(a)有意差が認められた貧血関連パラメ
ーターを図1に、そして栄養関連パラメーターを図2に
示す。
【0044】(b)1日当たり6.6gのMMA摂取
(MMA3)により総コレステロール、アルブミン、高
比重リポ蛋白、およびヘマトクリットは有意(p<0.
05)に増加した。一方、血中尿素、白血球、および血
小板は有意(p<0.05)に減少した。
【0045】(c)1日当たり4.4gのMMA摂取
(MMA2)では、赤血球、ヘモグロビン、およびヘマ
トクリットは有意(p<0.05,0.01)に増加
し、そしてLDHは有意(p<0.05)に減少した。
【0046】(d)1日当たり2.2gのMMA摂取
(MMA1)では、すべての項目において変化は認めら
れなかった。
【0047】(9)考察:本実験では、被験者の体質、
年齢、運動鍛錬度、生活環境等をできるだけ均質になる
ように設定した。被験者は、週に5日間、一日2〜3時
間運動をするレベルの大学陸上部に所属するアスリート
を選定した。
【0048】一般的に血液量は、季節による温度変化、
持久運動量の変化などで変動すると報告(Convertimo V
A; Med Sci Sports Exerc. 23: 1338-1348 (1991)およ
びDavy KP他; J Appl Physiol 76: 2059-2062 (1994))
されているが、今回の実験期間が秋から春の涼しい季節
であり血液濃縮が起きやすい夏をはずしていること、被
験者の持久運動負荷量に有意差が認められず、体重がほ
ぼ一定であったことなどから、血液濃縮は無視できるレ
ベルと推定する。これはMMA1〜3におけるMMA摂
取前(washout後)の各種データ間で有意差が認められ
なかったことからも支持される。このようにwashout後
のデータは、ほぼ一定であったことから、30日間のwa
shout期間は充分であり、MMAの摂取前と後とのデー
タ比較を行うことに問題は無いと考える。
【0049】MMA3のデータからMMAを6.6g/
日摂取することで、造血作用(ヘマトクリットの増加
(p<0.05)と赤血球の増加傾向)および栄養状態
の改善(総コレステロール、高比重リポ蛋白およびアル
ブミンの増加(p<0.05))が見られたことについ
て考察する。
【0050】まず、造血作用について見るとMMA2で
も、ヘモグロビン、赤血球およびヘマトクリットが有意
(p<0.05、p<0.01)に増加し、同様の傾向
が得られたことから、MMAには造血を促進作用がある
と考えられる。
【0051】このようにアミノ酸を長期間にわたり経口
摂取することで、造血作用が認められたという報告は、
医療分野においていくつかある。例えば、肝臓病の患者
にBCAAあるいはBCAAが多く含まれるアミノ酸混
合物を経口投与したところ、ヘモグロビン、赤血球およ
びヘマトクリットが増加したと言う報告(Muto Y他;JJP
EN: 11,1119-1134 (1989)およびSuga M他; JJPEN 16: 2
21-226 (1994))である。
【0052】次に、栄養状態が改善したことについて
は、同様に肝臓病の患者にBCAAあるいはBCAAが
多く含まれるアミノ酸混合物を経口投与したところ、ア
ルブミンの増加(Muto Y他; JJPEN: 11,1137-1154 (198
9)、Muto Y他; JJPEN: 14,369-393 (1992)、Ohashi H
他; 日消誌: 8,1645-1653 (1989)およびWatanabe A; JJ
PEN 11: 105-107(1989))、さらにアルブミンの低下を
遅延できたという報告(Yamada N他; 北里医学: 16,268
-277(1986))などがある。
【0053】以上のことから、本実験でみられた、造血
および栄養状態の改善効果は、BCAAが関与するとこ
ろが大きいと推定される。しかし、これらの報告はいず
れも肝臓病の患者に対してであり、アミノ酸の経口摂取
量は12〜18g/日で、期間は1〜6か月であった。
【0054】本実験の様に、4.4〜6.6g/日とい
う少量のMMAを持久運動アスリートが摂取すること
で、上述する効果が見られたことは初めての知見であ
る。
【0055】アミノ酸ではなくて、タンパク質を摂取す
ることで同じような効果が得られるかについてChengら
が検討している(Cheng AHR他; Am J Clin Nutr 31: 12
-22(1978))。タンパク質の摂取量を体重1kg当たり
0.4g、0.8gおよび1.6gと3段階に変化させ
ながら血液分析を実施したが、造血(ヘモグロビン、赤
血球およびヘマトクリットの増加)作用は見られず、血
糖値およびアルブミン値も変化しなかった。そして、マ
イナス面として、血中尿素が有意(p<0.05〜0.
001)に増加したと報告している。このようにタンパ
ク質を多く摂取しても、造血作用や栄養状態の改善は認
められず、かえって血中尿素が増加し、腎臓の窒素代謝
に負担がかかることが判った。
【0056】本実験で得られたように4.4g〜6.6
g/日という少量の5種類のアミノ酸混合物(MMA)
を摂取することで上述の効果が得られる方が、タンパク
質を多く摂取するよりも腎臓にも負担かけないという点
で好ましいと言える。
【0057】以上示すように、持久運動アスリートが、
1日値当たり4.4g〜6.6gのMMAを30日間摂
取することは、造血作用および栄養状態の改善が見られ
有用であることが明らかになった。このように造血効果
が得られるということは、持久運動を行うアスリートに
とり有酸素能力の向上につながり、パフォーマンスアッ
プが期待できる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、造血および栄養状態の
改善効果に優れ、特に持久運動アスリートに有用なアミ
ノ酸組成物を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1において有意差が認められた貧血関連
パラメーターを示す。
【図2】実験例1において有意差が認められた栄養関連
パラメーターを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 正明 三重県津市上浜町1515 三重大学教育学部 内 (72)発明者 小林 寛道 東京都目黒区駒場3−8−1 東京大学大 学院総合文化研究科内 Fターム(参考) 4C206 AA01 AA02 FA53 MA03 MA04 MA72 NA05 ZA55

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−アルギニン、L−グルタミン、L−バ
    リン、L−イソロイシンおよびL−ロイシンの5種のア
    ミノ酸を、それぞれ、10〜40重量部、10〜40重
    量部、5〜20重量部、8〜30重量部および10〜3
    5重量部の割合で含有することを特徴とする造血および
    栄養状態改善用アミノ酸組成物。
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