JP2002001008A - 水溶液からの非プロトン性極性溶媒の回収方法 - Google Patents
水溶液からの非プロトン性極性溶媒の回収方法Info
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Abstract
均一な水溶液から、特殊な設備を必要とせずに、高純度
で非プロトン性極性溶媒を効率よく回収する方法を提供
することを目的とすること。 【解決手段】無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロト
ン性極性溶媒を含む水溶液からハロゲン系溶媒で抽出す
る工程、(2)抽出したハロゲン系溶媒層を水洗する工
程、(3)前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工程を組み合
わせる。更に、無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロ
トン性極性溶媒を含む水溶液を濃縮する工程を組み合わ
せる。
Description
溶媒と無機塩を含有する水溶液から、非プロトン性極性
溶媒を効率良く回収する方法に関する。
する高い溶解能を有する点、また、金属等に対して高い
配位能力を有することから、例えばアニオンの求核性を
向上させることができる点等、有機反応の溶媒として汎
用されており、これらの非プロトン性極性溶媒は、通常
の有機溶媒よりも高価であり、しかも排出する際その処
理が容易でないことから、工業的には、回収再利用する
ことが望まれている。しかし、非プロトン性極性溶媒
は、水を加えるとその量にかかわらず均一に混合する性
質を有していることから、純度よく回収することが困難
であるとされており、いくつかの回収方法が提案されて
いる。
報には、少なくとも非プロトン性極性溶媒と水を含む混
合物を、10重量%以上の水酸化ナトリウム等の苛性ア
ルカリを用いて、水層と分液分離する方法が記載されて
いる。
−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒を用いた反応溶
液を水で希釈し、析出する結晶を濾別後、塩化メチレン
等のハロゲン化溶媒で抽出、蒸留することで極性溶媒を
回収する方法が記載されている。
基性の極性有機溶媒を含有する水溶液に、該極性有機溶
媒よりも塩基性の高い水溶性無機化合物を添加し、極性
有機溶媒層と、前記無機化合物を含む水溶液層に分離し
た後、前記極性溶媒を分離回収することを特徴とする極
性有機溶媒の回収方法が記載されている。
機抽出剤として、一分子あたり5〜7の炭素原子を有す
る分枝状アルキルアルコールを用いて、水性液状媒質に
ついて液−液抽出を行うことを特徴とする水性液状媒質
からN−メチル−2−ピロリドンを回収する方法が記載
されている。
ロトン性極性溶媒とアルカリ性の塩を含有する水溶液を
ブラインpH値を1〜7に維持しながら電気透析によっ
て脱塩し、次に脱塩した溶液を蒸留することにより、非
プロトン性極性溶媒を回収する方法が記載されている。
較的溶解する沃化カリウム等の沃化物塩を含む場合、上
記引用文献〜に記載されている方法では、極性有機
溶媒を効率よく回収できたとしても、沃化物塩等の無機
塩を完全に除去することができず、極性有機溶媒の蒸留
精製工程において、無機塩が析出し、除去しなければな
らないという問題があった。上記引用文献に記載され
た方法では、無機塩の除去は可能であるものの、電気透
析の設備が必要となる。本発明は、工業的に溶媒回収を
行なう上で、特殊な設備を必要とせずに、高純度の非プ
ロトン性極性溶媒を効率よく回収する方法を提供するこ
とを目的とする。
を解決すべく鋭意検討した結果、ハロゲン系溶媒による
抽出、及び水洗の工程を組み合わせることで、無機塩の
大部分を除去することができ、しかも収率よく回収でき
ることを見出し本発明を完成するに至った。
溶媒を含む水溶液より非プロトン性極性溶媒を回収する
方法が、(1)前記水溶液からハロゲン系溶媒で抽出す
る工程、(2)抽出したハロゲン系溶媒層を水洗する工
程、(3)前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工程、を含む
ことを特徴とする非プロトン性極性溶媒の回収方法、 [2]無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロトン性極性
溶媒を含む水溶液より非プロトン性極性溶媒を回収する
方法が、(1)無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロ
トン性極性溶媒を含む水溶液を濃縮する工程、(2)濃
縮された水溶液からハロゲン系溶媒で抽出する工程、
(3)抽出したハロゲン系溶媒層を水洗する工程、
(4)前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工程、からなるこ
とを特徴とする非プロトン性極性溶媒の回収方法、 [3]無機塩中に少なくとも沃化物塩を含むことを特徴と
する[1]又は[2]に記載の非プロトン性極性溶媒の回収
方法、 [4]沃化物塩が沃化ナトリウム、又は沃化カリウムであ
ることを特徴とする[3]に記載の非プロトン性極性溶媒
の回収方法。 [5]無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロトン性極性
溶媒を含む水溶液を、無機塩及び/又は有機塩の飽和濃
度以下に濃縮することを特徴とする[2]に記載の非プロ
トン性極性溶媒の回収方法。 [6]水洗に用いる水の量が、用いた非プロトン性極性溶
媒の5〜15体積%であることを特徴とする[1]〜[5]
のいずれかに記載の非プロトン性極性溶媒の回収方法,
に関する。
には、非プロトン性極性溶媒と共に無機塩及び/又は有
機塩を含むことを特徴とする。無機塩としては、水及び
非プロトン性極性溶媒に溶解するものであれば、特に制
限されないが、中でも沃化物塩が好ましい。具体的に
は、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、沃化ナトリウ
ム、塩化カリウム、臭化カリウム、沃化カリウム等の金
属ハロゲン化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金
属炭酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の金属硫酸
塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の金属硝酸塩等を
例示することができ、これらが、1種又は2種以上混合
していても構わない。中でも、沃化ナトリウム又は/及
び沃化カリウムが含まれる水溶液に、本発明の回収方法
は好適に用いられる。
溶媒に溶解するものであれば、特に制限されず、具体的
には、トリエチルアミン塩酸塩、ピリジン塩酸塩等の有
機塩基塩酸塩、臭化テトラブチルアンモニウム、トリメ
チルベンジルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、テ
トラメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベン
ジルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩等を例
示することができる。無機塩及び有機塩は、例えば、反
応試薬としてそのものの形で用いられたものや、反応の
結果生成したもの等いずれの場合の塩をも意味する。
ン性極性溶媒としては、例えば、水と自由に混合するも
のであればいずれも使用することができ、より具体的に
は、水への溶解度が10〜80重量%であるものを使用
することができる。具体的には、ヘキサメチルリン酸ト
リアミド(HMPA)、N−メチルピロリドン(NM
P)、N−シクロヘキシルピロリドン(NCP)、N−
メチルカプロラクタム、テトラメチル尿素(TCU)、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジ
メチルアセトアミド(DMA)、テトラメチレンスルホ
キシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラ
ン等を例示することができる。
性溶媒を含む水溶液の溶媒濃度は、特に限定されるもの
ではないが、例えば、3〜50重量%が一般的である。
また、無機塩及び/又は有機塩の濃度は、塩が水溶液中
に溶解していれば特に限定されるものではない。
ン性極性溶媒を含む水溶液を濃縮する工程において、無
機塩及び/又は有機塩が析出しない濃度以下であれば、
その濃縮の程度は特に限定されるものでないが、極性有
機溶媒の抽出効率を高めるために行われるので、塩飽和
濃度以下に濃縮するのが好ましい。濃縮工程は、強制循
環型蒸発缶、自然循環型蒸発缶、薄膜上昇型蒸発缶、薄
膜下降型蒸発缶等いずれの装置を用いても行うことがで
きる。
出する工程において、用いるハロゲン系溶媒としては、
具体的には塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、
1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラ
クロロエタン、トリクロロエチレン等が挙げられ、これ
らは1種又は2種以上混合して用いられる。用いられる
溶媒量は、水層に対して重量比で0.1〜10の範囲、
好ましくは、1〜5の範囲である。抽出操作は、抽出効
率を上げるために、数回に分けて行うのが好ましい。
ロゲン系溶媒と水層をよく接触させることが好ましい。
そのため、撹拌や、振盪を行い、適当な時間放置して、
一液相の、溶媒層と水層が分離してから、溶媒層又は水
層のいずれか一方の層を任意の方法で取り出せばよい。
二層に分離した、いずれか一方の相を選択的に得る方法
は、デカンテーション、ストロー式吸引抽出、分離した
下層の容器下部からのドレイン抽出等が採用できる。
媒に含まれる、無機塩及び/又は有機塩を除去するため
に、更に水洗することを特徴とする。水洗に用いられる
水は、特に制限されないが、反応等に用いられた非プロ
トン性極性溶媒に対して5〜15体積%であるのが好ま
しい。5体積%以下では、塩の除去が不十分であり、1
5体積%以上では、非プロトン性極性溶媒の回収率が低
下する。ハロゲン系溶媒には、回収された非プロトン性
極性溶媒、塩類以外の有機化合物が含まれていてもよ
い。
でも構わない。その条件は、非プロトン性極性溶媒や、
ハロゲン系溶媒の分解が起こらない条件を選択して行え
ば十分である。このようにして、回収されたハロゲン系
溶媒は、抽出に、また、非プロトン性極性溶媒は反応等
に再利用することができる。
性極性溶媒等を含む水溶液としては、例えば、非プロト
ン性極性溶媒中、水酸基を有する化合物に対して、水酸
化カリウム等の塩基及び、ハロゲン化アルキルを用いて
アルキル化しエーテル化合物を得る反応において、反応
液を水にあけ、目的のエーテル化合物を結晶として析出
させた後濾別した濾液、又は、溶媒により目的化合物を
抽出した後分液した水層が該当する。
有機塩、並びに非プロトン性極性溶媒を含む水溶液から
ハロゲン系溶媒で抽出する工程、抽出したハロゲン系溶
媒層を水洗する工程、前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工
程、必要に応じて含まれる無機塩及び/又は有機塩、並
びに非プロトン性極性溶媒を含む水溶液を濃縮する工程
以外に、必要に応じて、酸、アルカリ洗浄する工程、不
溶物を濾過する工程等を含めることができる。、また、
各工程は連続、又は、回分で行うことができる。更に、
ハロゲン系溶媒で抽出する工程は、連続又回分いずれの
方式で行うことができる。
明するが、本発明の範囲は、なんら実施例に限定される
ものではない。なお、目的物である非プロトン性極性溶
媒及び塩の同定・定量は、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)を用いて行なった。
%、臭化カリウム4.5重量%、ヨウ化カリウム8.3
重量%含有水溶液1006gから全量に対して水を21
%留去した。濃縮液にクロロホルム287mlを加え、
30℃で15分間攪拌後、静置分液した。分液した水層
は、さらにクロロホルム287mlで同様に更に2回抽
出した。処理した水溶液中に含まれていたNMP、臭化
カリウム及びヨウ化カリウムに対して、抽出後のNMP
回収率は91%、有機層における臭化カリウム及びヨウ
化カリウムの残存率はそれぞれ2%、9%であった。抽
出した有機層に水60mlを加え、30℃で15分間攪
拌後、静置分液した。水洗後有機層を分析したところ、
無機塩は検出することはできなかった。水洗した有機層
から常圧下において蒸留し、クロロホルムを94%回収
した。続いて、減圧蒸留により、NMPを精製した。本
留として純度99.5%のNMPを76%回収した。
トン性極性溶媒と塩を含有する均一な水溶液を濃縮、ハ
ロゲン系溶媒で抽出、塩を除去するための水洗の工程を
有することを特徴とし、工業的に溶媒回収を行なう上
で、特殊な設備を必要とせずに、高純度の非プロトン性
極性溶媒を回収することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロト
ン性極性溶媒を含む水溶液より非プロトン性極性溶媒を
回収する方法が、(1)前記水溶液からハロゲン系溶媒
で抽出する工程、(2)抽出したハロゲン系溶媒層を水
洗する工程、(3)前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工
程、からなることを特徴とする非プロトン性極性溶媒の
回収方法。 - 【請求項2】無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロト
ン性極性溶媒を含む水溶液より非プロトン性極性溶媒を
回収する方法が、(1)無機塩及び/又は有機塩、並び
に非プロトン性極性溶媒を含む水溶液を濃縮する工程、
(2)濃縮された水溶液からハロゲン系溶媒で抽出する
工程、(3)抽出したハロゲン系溶媒層を水洗する工
程、(4)前記ハロゲン系溶媒を蒸留する工程、からな
ることを特徴とする非プロトン性極性溶媒の回収方法。 - 【請求項3】無機塩中に少なくとも沃化物塩を含むこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の非プロトン性極性
溶媒の回収方法。 - 【請求項4】沃化物塩が沃化ナトリウム、又は沃化カリ
ウムであることを特徴とする請求項3に記載の非プロト
ン性極性溶媒の回収方法。 - 【請求項5】無機塩及び/又は有機塩、並びに非プロト
ン性極性溶媒を含む水溶液を、無機塩及び/又は有機塩
の飽和濃度以下に濃縮することを特徴とする請求項2に
記載の非プロトン性極性溶媒の回収方法。 - 【請求項6】水洗に用いる水の量が、用いた非プロトン
性極性溶媒の5〜15体積%であることを特徴とする請
求項1〜5のいずれかに記載の非プロトン性極性溶媒の
回収方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012162496A (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-30 | Godo Shigen Sangyo Kk | エチレンカーボネート製造廃液からの原料回収方法及びシステム |
US10370398B2 (en) | 2016-06-23 | 2019-08-06 | Tate & Lyle Technology Limited | Liquid-liquid extraction of DMF |
US10556992B2 (en) | 2015-06-12 | 2020-02-11 | Kureha Corporation | Method of manufacturing polyarylene sulfide, and polyarylene |
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US10899783B2 (en) | 2016-06-23 | 2021-01-26 | Tate & Lyle Technology Limited | Liquid-liquid extraction of DMF |
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