【発明の詳細な説明】
液晶ライトバルブプロジェクターにおけるコントラストの改良
技術分野
本発明は、液晶ライトバルブ投写系におけるコントラストの改良、特に、投
写される光学画像のコントラストを改良するライトバルブ画像プロジェクターに
関する。
技術背景
ライトバルブプロジェクターを用いたスクリーンへの画像の拡大投写のため
に、光学画像は、ライトバルブに設置され、光束はこのライトバルブを通して送
られる。そして、この光束は、スクリーン上に結像させる適当なプロジェクショ
ンレンズ系を通過する。このような投写系に対して適当なライトバルブは、一般
にはLCDとして称される液晶ディスプレイである。
2種類の液晶ライトバルブプロジェクターが存在する。即ち、OFF軸プ口
ジェクターとON軸プロジェクターとである。
図1は、OFF軸投写系内の光路を示している。この投写系は、OFF軸プ
ロジェクター1とスクリーン2とを有する。このOFF軸プロジェクター1は、
照明系3、視野レンズ4、偏光子5、LCD6、アナライザー7並びにプロジェ
クションレンズ8を有する。前記照明系3は、ランプと、リフレクターと、イン
テグレーション系とを有し、このインテグレーション系は、リフレクターからの
円形で不均一な光の分布をLCD6の矩形で均一な照明に変換する。前記視野レ
ンズ4は、プロジェクションレンズ8の入射側のひとみに前記照明系の像を描く
。この方法によって、LCD6を照明する光が、前記プロジェクションレンズ8
の入射側のひとみに向けられることを保証する。そして、このプロジェクション
レンズ8は、照明されたLCD6の像を前記スクリーン2上に描く。さらに、前
記照明系3と、前記視野レンズ4と、前記プロジェクションレンズ8との光学中
心を通る線は、プロジェクター1の光軸9と呼ばれる。
OFF軸プロジェクター1がマルチライトバルブプロジェクターの場合(例
えば、プロジェクターが3つのライトバルブを有している場合)、光路は、さら
に複雑になる。これは、1組の誘電体ミラーを用いることによって光が3つの色
(赤、緑、青)に分けられ、光が変調した後、これらの光が、再び結合するから
である。かくして、このOFF軸プロジェクターは、照明系と、3つの視野レン
ズと、夫々が偏光子、LCD並びにアナライザーからなる3つのセットと、プロ
ジェクションレンズとを有する。照明系と、1つの視野レンズと、プロジェクシ
ョンレンズとの光学的中心を通る線は、プロジェクターの光軸である。図1示さ
れた照明系と画像システムとの概略的説明図は、前記の光を分けるミラーによっ
て変わることはない。以下に示すように、技術の有り様は、ただ1つの照明系と
、1つの視野レンズと、夫々が偏光子、LCD並びにアナライザーからなる1つ
のセットと、プロジェクションレンズとがあるように、記述されている。
プロジェクター1の光軸9の方向は、プロジェクションレンズ8の光軸10
の方向と異なる。光軸9と光軸10とのなす角は、図1に示すようにOFF軸角
αである。この角度αは、どのような正の値をもとり得るが、最も一般的なOF
F軸構成においては、前記プロジェクター1は、プロジェクションレンズ8の光
軸10が、スクリーン2上の画像の下部と交わるようにセットアップされる。
前記OFF軸角αがゼロの場合、即ち、前記プロジェクター1の光軸9の方
向が、前記プロジェクションレンズ8の光軸10の方向と等しいとき、このプロ
ジェクターは、ON軸プロジェクターと呼ばれる。図10aは、ON軸液晶ライ
トバルブ投写系の最小限の構成を示している。これは、ON軸プロジェクター1
1とスクリーン2とを有する。このON軸プロジェクター11は、前に記述した
OFF軸プロジェクター1と同様の部品を有する。これら同様の部品には、同様
の参照符号を用いて表されている。
さらに図2は、OFF軸液晶ライトバルブプロジェクター1並びに、ON軸
液晶ライトバルブプロジェクター11の画像源を示している。この画像源は、偏
光子5と、LCD6と、アナライザー7とを有する。図2では3つの分離した部
品として表されているが、これら部品の2つもしくは3つの部品は、1つのユニ
ットを形成することができる。前記偏光子5とアナライザー7とは、ともに偏光
素子であり、これらの平面内に夫々吸収方向と非吸収方向とを有する。吸収方向
は、非吸収方向と直交する。
前記LCD6は、光の方向を基準として、フロントガラスプレート15と、
バックガラスプレート16と、これらガラスプレート15、16間に封入された
ツイステッドネマティック液晶層とを有する。前記ツイステッドネマティック液
晶層に接触していないガラスプレート15とガラスプレート16との側面は、各
々画像を形成する透明な画素電極を備えた層を有する。このツイステッドネマテ
ィックLCD(TN−LCD)は、アクティブマトリクスで命令を受けることが
可能である。このようなアクティブマトリクスTN−LCDでは、薄膜トランジ
スタや複数の薄膜ダイオードのようなスイッチングデバイスが、各画素に集積さ
れている。
図2において、前記偏光子5の非吸収方向17は、前記LCD6の前記フロ
ントガラスプレート15のラビング方向18と直交する。このラビング方向18
は、前記フロントガラスプレート15との境界面で液晶分子の優先方向を決める
。前記アナライザー7の非吸収方向19は、前記バックガラスプレート16のラ
ビング方向20と直交する。ツイステッドネマティック液晶ディスプレイでは、
互いに相対したガラスプレートのラビング方向は、互いに直交し、この結果、前
記分子は、図3aと図3bとに示されているようにバルク内に90度ツイストさ
れた螺旋を形成する。図3aは、ブライトステイトでの、前記フロントガラスプ
レート15と前記バックガラスプレート16との間のツイステッドネマティック
LCD内の分子21の分布を示している。一方、図3bは、ダークステイトに対
応する分布を示している。
偏光子と、LCDと、アナライザーとを有する投写系によって投写される画
像において最適なブラックレベルを得るために、これら3つの素子の非吸収方向
は、正確に整合しなくてはならない。このために、前記偏光子と前記アナライザ
ーとは、これらの法線周りに回転できるように設置され得る。
ライトバルブとしてLCDを用いて得られた画像のコントラストは、LCD
に入射する光の入射の角度に大きく依存する。以下で説明されるものは、これに
続いて結果として起こるLCD領域に依存するもの並びに、これに続いて結果と
して起こるスクリーン領域に依存するものである。
図4は、ツイステッドネマティックLCDの代表的な視角特性を示している
。このグラフは、3ないし300の間の相対値をとる、2つの対応する駆動電圧
での前記ブライトステイトとダークステイトとの間で等しいコントラストに対す
る線である。縦軸は、−40°と40°との間の値をとる入射の垂直方向の角度
を示ている。これは、LCDの平面とLCDの画像の水平走査の方向との両方に
垂直な平面内の光線の成分を与える。横軸は、−40°と40°との間の値をと
る入射の角度を与え、LCDの平面とLCDの画像の垂直走査の方向との両方に
垂直な平面内の光線の成分である。
これから、図4は、LCDに入射する光の入射角の関数であるコントラスト
の依存度の例を表す。このコントラストは、スクリーンの水平方向においてより
も垂直方向において変化が激しい。さらに、コントラストの最大値は、光線の垂
直入射に対して得られるのではなく、垂直方向にわずかな入射角を有した光線に
対して得られる。この角度は、図3bに示される角度αvに一致する。前期角度
αvは、ツイステッドネマティック液晶層内の分子がダークステイトにある時に
残っている傾きにとてもよく一致する。
図1と図10aとは、光線が、異なる角度でLCDに入射することを示して
いる。図4で示された現象の結果として、これ以上の測定の必要はないのだが、
ライトバルブとしてツイステッドネマティックLCDを使用したプロジェクター
によって投写される画像は、不均一で、垂直方向に異なったコントラストを有す
るであろう。
図5は、前とは違った切り口で、いかに、LCD光透過率(縦軸)が、入射
の角度(異なった曲線)とLCD駆動電圧(横軸)とに依存するかを示している
。0°より大きい入射光の角度に対しては、光透過率のグラフには最小値が示さ
れる。比較的高い駆動電圧ではコントラストは、負になるけれども、この最小値
は、この入射の角度て引き出せるコントラストの最大値を決定する。入射の正の
角度が増大すればするほど、透過率の最小値が増加する。そしてそれだから、引
き出せるコントラストの最大値はこれにつれて減少する。入射の正の角度が減少
すればするほど、グラフ上での最小値の位置は、駆動電圧が増加し透過率の値が
減少
する方、もしくは引き出せるコントラストの増加する方へ移る。ゼロと負との光
の入射の角度に対しては、透過率の最小値はない。
また、作動電圧の関数であるLCDの反応を含む、コントラストの入射の角
度依存性のもう1つの説明は、図6a、図6b並びに図6c内のグラフ”0”に
よって与えられる。前記スクリーン上の規格化強度は、図1に図示されているよ
うな投写系のLCD駆動電圧の関数としてこれらの図に表されている。図6aは
、ディスプレイスクリーンの上部で測定された強度を示している。図6bは、ス
クリーンの中央部で測定された強度を示している。図6cは、スクリーンの下部
で測定された強度を示している。
図6aは、光の入射の角度が比較的大きな画像の領域において、投写される
画像の強度は、LCDの特定の作動電圧に対して最小値をとるということを示し
ている。これは、図1に図示されるような投写系における画像の上部での場合で
ある。強度の最小値に対する電圧以上の作動電圧に対しては、コントラストは、
負でさえある。また駆動電圧が、前記LCDの全面で等しい場合、このような強
度の最小値は、特定の入射の角度でスクリーン上に現れ、水平の暗線として見ら
れる。
図6bと図6cとは、入射の角度の比較的小さな画像の領域において、この
ような強度の最小値(即ち、コントラストの最大値)は、現れないということを
示している。ここで、限界は、LCD駆動電圧の最大値が許容されることにより
決められる。
上述の理由により、実際にはLCD駆動電圧は、スクリーンの全面で均一な
ブラックレベルもしくは強度の最小値が得られるように選定される。この結果、
限界は、入射の角度の比較的大きな領域で引き出せるものに基づいて決められる
ので、スクリーンのその他の領域において可能で最適なコントラストには結果と
してならない。
その他の画質を落とさずに比較的良質なコントラスト並びに比較的良質なコ
ントラストの均一性を得るために、様々なコントラストの補正の方法並びにコン
トラストを改良した装置が知られている。
様々な装置は、図1に描かれているような最低限のプロジェクターのセット
アップに関して付加的な物理的要素を有している。
US-5,576,854では、1/4波長補償板が、偏光子と液晶との間に
配置されている。これの解決策は、前記特許に記載の反射型セットアップのみに
適していて、TN-LCDを用いたプロジェクターには不適切である。
US−5,371,559では、絞りが、プロジェクションレンズの内側に
配置され、液晶パネルの垂直走査方向において、プロジェクションレンズアッセ
ンブリーの複数のレンズの光軸を中心としないレンズアッセンブリーのアパーチ
ャを形成する。レンズの入射側のひとみで光線を遮蔽することは、投写システム
の効率を低減させ、結果としてプロジェクターの出力の減少をまねく。
US−5,375,006では、TN-LCDを使用したプロジェクターの
コントラストの改良は、(1軸の)複屈折フィルムを用いることでなされる。い
くつかの請求項では、フィルムが、光軸に対して傾いているものもある。しかし
ながら、2つの新たな光学的な表面膜が導入されるので、これの解決法は、LC
D光変調デバイスの要素の完全な積み重ねを複雑にしてしまう。このことは、余
計な反射のために光の損失につながる。フィルムが、光の損失を最小限にするよ
うに光学的に結合された場合、LCDは、それ自体が厚くなり、冷却するのが一
層困難になる。さらに、薄い複屈折フィルムは、また、光の出力の大きいプロジ
ェクターにおける温度の異差によって引き起こされる温度変化並びに機械的な応
力に敏感である。
本発明の開示
本発明の目的は、ここまで述べてきた問題を克服することである。
本発明によれば、プロジェクターにより投写される光学画像のコントラスト
を改良するライトバルブ画像プロジェクターが提案される。このプロジェクター
は、少なくとも1つの照明系と、少なくとも1つの視野レンズと、夫々が偏光子
、LCD並びにアナライザーからなる少なくとも1つのセットと、少なくとも1
つのプロジェクションレンズとを有する。このことは、少なくとも1つの光軸を
与え、前記プロジェクターの各々の光軸が、プロジェクションレンズの光軸に対
して所定の角度αをなすことを与える。アナライザーの少なくとも1つは、少な
く
とも、コントラストに関して限界を与える前記LCDの領域を通過する光線に対
して、夫々が偏光子、LCD並びにアナライザーからなる同一のセットの中のL
CDに対して角度αより大きい角度βaをなす。この角度βaは、前記アナライザ
ーの少なくとも1つが、少なくとも、コントラストに関して限界を与える前記L
CDの領域を通過する光線に対して、夫々がアナライザー、LCD並びに偏光子
からなる同一のセットに属する偏光子に平行でないようにとられる。ライトバル
ブ画像プロジェクターに含まれる、コントラストに関して限界を与えるLCDの
領域は、引き出せるコントラストの最高のものが最小であるような、LCDに対
する角度で、光が通過するLCDの表面の一部として定義される。
プロジェクターは、白黒もしくは多色プロジェクターであってもよい。夫々
が偏光子、LCD並びにアナライザーからなるセットが比較的多くある場合、各
々のアナライザーの、これに対応する同一のセットの中のLCDに対する角βa
は、異なってもよい。
また、好ましい実施の形態としては、偏光子の少なくとも1つが、夫々が偏
光子、LCD並びにアナライザーからなる同一のセットの中のLCDに対して角
度βpをなすというものである。この角度は、少なくとも、コントラストに関し
て限界を与える前記LCDの領域を通過する光線に対して、角度αより大きい。
夫々が偏光子、LCD並びにアナライザーからなるセットが複数ある場合、各々
の偏光子の、これに対応する同一のセットの中のLCDに対する角βpは、異な
ってもよい。
以上で述べた角度αが、ゼロと異なる場合、プロジェクターは、OFF軸プ
ロジェクターと呼ばれる。
角度αが、ゼロと等しい場合、プロジェクターは、ON軸プロジェクターと
呼ばれる。
本発明の一実施の形態によれば、プロジェクターのアナライザーの少なくと
も1つは、平らな表面を有する。
もう1つの実施の形態によれば、アナライザーの少なくとも1つは、湾曲さ
れている。この場合、これは、コントラストに関して限界を与える同一のセット
の中のLCDの領域を通過する光線が入射する点における前記アナライザーの接
平面の、LCDの平面に対する角が角度αより大きい角度βaであるような曲率
を有する。
また、本発明のさらにもう1つの実施の形態によれば、偏光子の少なくとも
1つは、平らな表面を有する。
本発明のまたさらにもう1つの実施の形態によれば、偏光子の少なくとも1
つは、湾曲されている。この場合、これは、コントラストに関して限界を与える
同一のセットの中のLCDの領域を通過する光線が入射する点における前記偏光
子の接平面の、LCDの平面に対する角が角度αより大きい角度βpであるよう
な曲率を有する。
複数のアナライザーと複数の偏光子とは、角度βa並びに/もしくはβpが、
メーカー並びに/もしくはユーザーによって調整され得るように動き得るもので
あってもよい。
本発明の特別な実施の形態は、1つの照明系と、3つの視野レンズと、夫々
が偏光子、LCD並びにアナライザーからなる3つのセットと、1つのプロジェ
クションレンズとを有するプロジェクターである。
図面の簡単な説明
本発明は、添付した図面により、より良く理解され得るだろう。
図1は、OFF軸投写系の光路を示している(従来技術)。
図2は、液晶ライトバルブプロジェクターに通常の方法で装着されている偏
光子並びにアナライザーの非吸収方向を示している(従来技術)。
図3aと図3bとは、ツイステッドネマティック液晶ディスプレイ内の分子
分布を示している(従来技術)。
図4は、LCD上への光の入射角に関するアイソコントラスト曲線を用いた
視角特性のシミュレーションを示している(従来技術)。
図5は、駆動電圧の関数である、光の異なった入射角度に対する光透過率を
示している(従来技術)。
図6aと図6bと図6cとは、夫々スクリーンの上部、中央部並びに下部で
のLCDに印加される駆動電圧の関数である、OFF軸プロジェクターによって
投写される画像の規格化強度を示している。
図7aと図7bと図7cとは、夫々スクリーンの上部、中央部並びに下部で
のLCDに印加される駆動電圧の関数である、ON軸プロジェクターによって投
写される画像の規格化強度を示している。
図8aは、アナライザーとLCDとの間の角度がOFF軸角より大きいOF
F軸投写系を示している。
図8bは、アナライザーとLCDとの間の角度並びに、偏光子とLCDとの
間の角度がOFF軸角より大きいOFF軸プロジェクターを示している。
図9は、アナライザーと偏光子とが曲面である表面を持ったOFF軸プロジ
ェクターを示している。
図10aは、ON軸投写系内の光路を示している(従来技術)。
図10bは、アナライザーとLCDとの間の角度並びに、偏光子とLCDと
の間の角度とが0より大きいON軸プロジェクターを示している。
図11は、アナライザーと偏光子とが曲面である表面を持ったON軸プロジ
ェクターを示している。
本発明の実施の方法
本発明の第1の実施の形態は、図8aに示されている。これは、アナライザ
ー23とLCD6との間の角度βaがOFF軸角αより大きくとられるOFF軸
プロジェクター22を示している。偏光子5は、プロジェクターの光軸9と直交
し、LCD6に対して、OFF軸角αに等しい角度をなす。
図6aと図6bと図6cとは、夫々スクリーンの上部、中央部並びに下部で
の、LCDに印加される駆動電圧の関数である、OFF軸プロジェクターによっ
て投写される画像の規格化強度を示している。”0”と符号がつけられたグラフ
は、従来技術のOFF軸投写系に対応する。これによれば、偏光子とアナライザ
ーとは、プロジェクターの光軸と直交するように取り付けられる。即ち、LCD
表面に対してOFF軸角αに等しい角度をなす。”A”と符号がつけられたグラ
フは、本発明に含まれ、この第1の実施の形態で記述されたセットアップに対応
する。これによれば、アナライザーとLCDとの間の角度βaは、OFF軸角α
より大きい。
本発明のこの第1の実施の形態において、コントラストは、図6aと図6b
と図6cとの3つの図に描かれているように、スクリーンの全面にわたって改良
されている。ここで、グラフ”A”では、グラフ”0”に比較して強度の値が比
較的小さく表されている。結果として、スクリーンの上部のコントラストの最小
値を決定する領域において、コントラストは、従来技術の場合と比較して増加す
る。スクリーンの中央部と下部とに位置するその他の領域のコントラストは、全
体のコントラストの妥協による改良が、従来技術の場合と比較して向上する方法
のよってでも改良される。
本発明の第2の実施の形態は、図8bに示されている。これは、アナライザ
ー25とLCD6との間の角度βaがOFF軸角αより大きくとられるOFF軸
プロジェクター24を示している。偏光子26とLCD6との間の角度βpは、
OFF軸角αより大きい。
図6a、図6b並びに図6c内のグラフ”B”は、LCDの駆動電圧の関数
である比較的低い強度レベルの減少によって得られる画像のコントラストの改良
を示している。これは、従来技術のOFF軸投写系(グラフ”0”)に対する比
較的低い強度レベル並びに、第1の実施の形態のOFF軸投写系(グラフ”A”
)に対する強度に比較される。第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態
は、スクリーンの上部、中央部並びに下部での、減少した、即ち、改良されたブ
ラックレベルをもつ。LCDに対して、OFF軸角αより大きい角度をなすよう
に設置された偏光子を持つことは、さらにプロジェクターの全体のブラックレベ
ルさえも改良し、スクリーン全体で最も高い可能なコントラストを得ることを可
能にする。
本発明のもう1つの実施の形態は、図10bに示される。ON軸プロジェク
ター27において、アナライザー28とLCD6との間の角度βa並びに、偏光
子29とLCD6との間の角度βpは、0°より大きくとられる。
図7aと図7bと図7cとは、夫々スクリーンの上部、中央部並びに下部で
の、LCDに印加される駆動電圧の関数であるON軸液晶ライトバルブプロジェ
クターによって投写される画像の規格化強度を示している。”0”と符号がつけ
られたグラフは、従来技術の投写系に対応する。このことによって、偏光子とア
ナライザーとは、プロジェクターの光軸と直交するように設置される。即ち、L
CDと平行である。”A”と符号がつけられたグラフは、ON軸投写系に対応す
る。このことによって、アナライザーとLCDとのなす角βaは、ゼロと異なり
、そしてこのことによって、偏光子とLCDとの間の角度βpは、ゼロに等しく
なる。”B”と符号がつけられたグラフは、ON軸投写系に対応する。このこと
によって、角度βaと角度βpとの両方は、ゼロと異なる。
図7aと図7bと図7cとは、ON軸プロジェクターが、スクリーンの下部
で比較的低いコントラストをもつことを示している。これは、比較的低い強度の
値が、スクリーンの上部においてよりもここにおいて高いことによる。スクリー
ンの下部は、入射光線が負の入射角をもつLCDの上部に対応する。光の負の入
射角に対して比較的低いコントラストを示している図4の視角特性から、コント
ラストは、ON軸投写系における画像の下部で、比較的低くいので極めて決定的
であるということが説明される。グラフ”0”と比較して、アナライザーだけが
傾いていることに対応するグラフ”A”並びに、アナライザーと偏光子との両方
が傾いていることに対応するグラフ”B”は、上部、中央部並びに下部でコント
ラストが改良されていることを示している。
本発明のその他の実施の形態は、図9と図11とに示されている。これらの
実施の形態では、偏光子とアナライザーとの表面は、平らではなく湾曲されてい
る。
平らな場合と比較して、アナライザーと偏光子との湾曲されている場合には
、LCD面に対する角度が徐々に拡大することを取り入れる。この角度は、コン
トラストに関して限界を与えるLCDの側面の領域で最大になる。
偏光子とアナライザーとの湾曲された表面を含むこれらの実施の形態の長所
は、アナライザーとLCDとを配置すること並びに、偏光子と視野レンズとを配
置することによりプロジェクター内部に設けられる空間が、偏光子とアナライザ
ーとの表面が平らな場合に比べて、これらが湾曲されている場合の方が小さい、
ということである。
アナライザーと偏光子との表面の曲率は、投写系のコントラストの均一性を
減少させない。これは、一方でアナライザーもしくは偏光子と、他方でLCDの
平面との間の角度が、コントラストに関して限界を与えるLCDの側面の領域に
面して比較的大きな値をとり、その他の領域で、駆動電圧を適合させることによ
りコントラストの補償を可能にする程度に十分大きい場合に限ってである。この
ことは、以下で説明される。
LCD投写系は、均一なコントラストに対してアライメントされるので、全
体のコントラストは、図5で明らかにされたように駆動電圧の関数である最小値
を持つ領域において引き出せるものに制限される。本発明の実施の形態により得
られたコントラストの改良は、このコントラストに関して限界を与える領域では
最大でなくてはならない。そして、駆動電圧を適合することによりこれを補償出
来るようなその他の領域では、比較的小さくなり得る。このために、コントラス
トの比較的小さい改良並びに、これにつづく本発明で述べられたような角度より
小さい角度は、コントラストに関して限界を与える領域においてよりその他の領
域において可能である。
図9は、OFF軸プロジェクター30の概略図を示している。これによれば
、アナライザー31と偏光子32とは、湾曲された表面を持つ。最大の曲率は、
LCD6の側面の下部に対応する。これは、コントラストに関して限界を与える
領域を有するLCDの側面である。角度βaは、LCD平面と、光線の入射する
点における湾曲されたアナライザー31の接平面38との間の角度である。βa
は、コントラストに関して限界を与えるLCD6の領域を通過する光線に対して
αより大きい。角度βpは、LCD平面と、光線の入射する点における湾曲され
たアナライザー32の接平面39との間の角度である。βpは、コントラストに
関して限界を与えるLCD6の領域を通過する光線に対してαより大きい。
図11は、ON軸プロジェクターの概略図を示し、これによれば、アナライ
ザー34と偏光子35とは、湾曲された表面を持つ。最大の曲率は、LCD6の
側面の上部に対応する。これは、コントラストに関して限界を与える領域を有す
るLCDの側面である。角度βaは、LCD平面と、光線の入射する点における
湾曲されたアナライザー34の接平面36との間の角度である。βaは、コント
ラストに関して限界を与えるLCDの領域を通過する光線に対してゼロより大き
い。角度βpは、LCD平面と、光線の入射する点における湾曲されたアナライ
ザー35の接平面37との間の角度である。βpは、コントラストに関して限界
を与えるLCD6の領域を通過する光線に対してゼロより大きい。
図8aと図8bと図9とで示されているような本発明の実施の形態には、O
FF軸プロジェクターが記載されている。これによれば、プロジェクションレン
ズは、スクリーンの中央部より低い高さに配置される。これは、通常、テーブル
マウンテッドプロジェクターと呼ばれるものに適している。本発明はまた、OF
F軸プロジェクターに適している。これにより、プロジェクションレンズの位置
はスクリーンの高さより高い。これは、通常、セイリングマウンテッドプロジェ
クターと呼ばれるものに適している。セイリングマウンテッドプロジェクターに
対して、図8aと図8bと図9とは、適しているが垂直に投写されるべきである
。そして、スクリーンの上部について述べられたことは、スクリーンの下部にお
いても意味がある。そして逆もまた可である。
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フロントページの続き
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