JP2001520913A - 歯科用の複合材の光硬化システム - Google Patents

歯科用の複合材の光硬化システム

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Abstract

(57)【要約】 歯科的な修復部分を調製するための方法が提供される。該方法には、調製した歯に複合修復材を付着させ、次いで、複合修復材に嵌入して該複合修復材に重合反応を開始させるに十分な光度の光を付加することが含まれる。次いで、初期の重合反応によって生じた内部応力を弛緩させるための十分な時間、光の付加を中断した後、光を再度付加して重合反応が完了される。光硬化用装置は、可変調節式の、複数の光度及び調時設定値を含むものが使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は1997年10月29に出願された米国仮出願番号第60/063,
446号の利益を主張するものである。 本発明は歯の修復部分(restrations)を調製するための光硬化装
置及び光硬化方法に関する。
【0002】 (従来の技術) 直接的な口内修復のために使用する、光硬化性及び自己硬化性の歯科用の複合
修復材に生じる収縮は、歯と、歯科用複合修復材(以下、単に複合修復材とも称
する)との界面位置に微少な漏れを生じさせる恐れがあることから、長い間歯科
の研究者の関心事項となっている。複合修復材は、その硬化に際し、複合修復材
中の樹脂モノマーが重合する結果として収縮する。複合修復材の容積はほぼ3〜
4%の範囲で収縮する。そうした収縮によって生じる微少の漏れは、歯の破損(
decay)、汚れ(staining)、痛み(sensitivity)の
再発を招き得る。
【0003】 自己硬化性の複合修復材の示す収縮量は、この自己硬化性の複合修復材が、通
常は数分間である比較的遅い硬化期間中に、応力を弛緩せしめ得る流動性を有す
ることから、光硬化性の複合修復材のそれよりも少ないことが研究者によって実
証された(これに関し、Davidson他の1984年のJDR63:136
−1399並びに、Feilzer他の1993年のDent.Master9
:2−5を参照されたい)。複合修復材は、これを光硬化させると、急速に、例
えばほんの数秒の間に重合して相当高い架橋密度のものとなる。重合がこのよう
に急速に行われると、複合修復材を弛緩させて応力を釈放するために十分な時間
はなくなる。
【0004】 光重合に際しての収縮は、特に、接着剤強度が最適なものでない場合に、それ
が歯と複合修復材との間の界面位置に“剥離”を生じさせる恐れがあることから
、長い間、歯科業界での関心の的になっている。接着強度が十分であれば、重合
時の収縮方向を、複合修復材と歯との間の界面位置での応力を軽減する方向に転
向させることができる。しかしながら、重合時の収縮を転向させると、複合修復
材(複合樹脂)あるいは残った歯の構造部分内に、修復した歯列を長く保つ上で
有害な内部応力が生じる可能性がある。
【0005】 最新の歯科用接着剤を使用すると、重合時収縮に応じて、補修部分の縁辺位置
の、より脆いエナメル質部分が損傷する恐れもある。エナメル質部分が破損する
と、それによって生じる微少漏れが歯の補修部分を侵すようになる。エナメル質
は、主に桿状体あるいはプリズムからなる異方性の脆い物質であり、高い弾性係
数と、低い引張強度とを有し、それにより、その構造は極めて剛性である(19
95年のミズーリ州セントルイスのMosby−Year Book社の、C.
M.Sturdevant,T.M.Robertson,H.O.Heyma
nn並びに、J.R.Sturdevantの編集になるTHE ART AN
D SCIENCE OF OPERATIVE DENTISTRY第3版を
参照されたい)。エナメル質の桿状体方向と直交する方向で力あるいは応力を加
えると、エナメル質は、そうした力あるいは応力をエナメル質の桿状体の方向に
平衡方向で加えた場合よりもずっと容易に破損する。クラスIあるいはクラスI
I(MOD)の形式での修復部の、ぞうげ−エナメル境(DEJ)よりも上方の
部分でのエナメル質の桿状体の方向は、代表的には、接着材とエナメル質との間
に形成するべき接合ラインと平行である。エナメル質はその比較的脆い性質上、
桿状体と直交する方向の応力がそこに加わると、クラスIあるいは更に大きいク
ラスII(MOD)の形式での修復部分が、接合ラインに比較的近いエナメル質
部分内で破壊され、接合ラインと平行な亀裂を形成しやすい。
【0006】 幾つかの異なる等級(クラス)での修復部分の内、特に、接着面積が大きいク
ラスIあるいはクラスII(例えばMODでの)のタイプの修復部分は、有効な
接着材の使用に伴う高い潜在応力が内在することにより、大部分の研究での研究
対象とされている。歯科的な修復部分の応力を打ち消すための方法が幾つか研究
された。そうした方法には、歯の空隙内に複合修復材を可変量(例えば、全量及
び増分量)挿通する方法、複合修復材の収縮を最小化する方法、応力の蓄積を減
少させる流れにより応力を弛緩させる方法、多数のグループによる歪みの測定法
が含まれる。C.M.Kemp−Scholte及びC.L.Davidson
,J.Dent Res./vol.67.p.841(1988);J.R.
Bausch.他,J.Prosthetic Dent./vol.48,v
ol.59(1982);A.J.Feilzer他、J.Dent.Res.
,vol.66,p.1636;C.Davidson,J.Prosthet
ic Dent.,vol.55,p.446(1986);A.Feilze
r,他.,J.Dent.Res.,vol.68,p.48(1989);C
.M.Kemp−Scholte及びC.L.Davidson,J.Pros
t.Dent,vol.64,p.658(1990);C.M.Kemp−S
cholte及びC.L.Davidson,J.Dent.Res.,vol
.69,p.1240(1990);C.L.Davidson,他.,J.D
ent.Res.,vol.63,p.1396(1984);M.R.Bou
schlicher,他.,Amer.J.Dent.vol.10,pp88
−96(1997)を参照されたい。緩速の、自己硬化性の複合修復材が、エナ
メル質を破壊する収縮の応力速度を低下させることが分かった。
【0007】 対照的に、現在、歯科用の複合修復材を使用して行う可視光硬化プロセスは、
代表的には、重合反応の大部分が僅か数秒以内に完了する極めて高速のラジカル
重合プロセスである。この素早いプロセスは、常に、臨床医にとって大いに有益
であると考えられてきているが、歯の内部構造に非常に大きな応力速度を導き得
るものである。応力速度がそのように高速化することによって、脆い材料が早期
に破壊されることが知られている(ORGANIC COATINGS:SCI
ENCE AND TECHNOLOGY,Vol.II,Z.W.Wicks
,他.,Jhon Wiley & Sons,New York,pp.10
5−31(1994)及び、AN INTRODUCTION TO THE
MECHANICAL PROPERTIES OF SOLID POLYM
ERS,I.M.Ward及びD.W.Hadley,John Wiely
& Sons,New York,Chapter 12(1993)を参照さ
れたい)。
【0008】 光硬化性の複合修復材における応力形成の問題を、自己硬化性の複合修復材の
それと比較するために本願発明者の実施した研究には、約3×3×3mmのクラ
スI形式の歯の空隙内に、増分量の光硬化性の複合修復材(商標名AELITE
FIL,イリノイ州SchaumburgのBisco社製)を、ぞうげ−エナ
メル境に達するまで配置する段階が含まれる。この複合修復材を1平方センチメ
ートル当たり(以下、/cm2と表記する)600mWの光度の光を10秒間付
加して光硬化した後、同じ光硬化性の複合修復材を窩洞面境に第2の増分量追加
し、この追加分の複合修復材を、頬(buccal)側、舌(lingual)
側、咬合部(occlusal)側から高光度光(例えば、600mW/cm2
の光を10秒間付加)を付加して光硬化した。複合修復材の一方側(図4参照)
にエナメル質の亀裂が観察された。本願発明者は、第2の増分量の複合修復材と
して、二重硬化(自己硬化性及び光硬化性)性の歯科用の複合修復材(商標名D
UO−LINK、イリノイ州SchaumburgのBisco社製)を使用し
、光硬化に先立つ5分間において自己硬化プロセスが行われるようにして同じ研
究を実施したところ、エナメル質には亀裂が観察されなかった(図5参照)。研
究対象とされた複合修復材のぞうげ質部分には、光硬化性あるいは自己硬化性の
何れの材料においても亀裂は観察されなかった(エナメル質に亀裂が生じ、ぞう
げ質部分に亀裂が生じなかった主な理由は、最も恐らくは、ぞうげ質部分の柔軟
性が高い、即ち弾性係数が低いことによるものであろう)。かくして、硬化の遅
い自己硬化性の複合修復材が、光硬化性のそれと比較して優れた構造的一体性を
提供することが分かった。しかしながら、自己硬化性の複合修復材は、咬合面の
補修材料として使用するためには臨床的に理想的なものではない。かくして、咬
合面補修用途のためには光硬化性の複合修復材を選択するのが依然として最も望
ましい。光硬化を使用する最新の傾向は、より強い高光度光を使用する硬化シス
テムを使用して更なる高速化を目指すものであるが、これでは複合修復材の応力
は高くなる一方である。
【0009】 市販の硬化システムでは、通常、一定光度、代表的には400〜600mW/
cm2の光度の光が使用され、使用者がこの光度を調節することはできない。し
かも、市販の硬化システムの硬化時間は、通常、10秒刻みで、最小10秒から
最大60秒に予めプログラムされている。そうした硬化システムでは、歯科臨床
医は高光度光を、複合修復材中に高い応力が形成される時間にわたり使用するこ
とを要求される。市販入手することのできる硬化システムによっては10秒以下
の硬化時間は提供されない。
【0010】 可視光硬化性の歯科的な複合修復材を硬化させるための既知の装置は可視光硬
化(LC)用ユニットあるいは、大抵の場合、その把持部に発光を開始させるた
めの引き金を備え、従って銃に似ていることから、しばしば可視光硬化用銃(以
下、単に銃とも称する)と称される。代表的な可視光硬化用ユニットには、典型
的には歯科治療室のカウンター上に置くための、また、光を操作するエレクトロ
ニクスを格納する台座ユニットが含まれる。この台座ユニットは、タイマーと、
銃のためのある形式のホルダー(架台とも称する)と、“オンーオフスイッチ”
とを含み得る。台座ユニットを壁面コンセントに繋ぐ電線と、台座ユニットを把
持部に繋ぐ連結コードとを設けることができる。可視光硬化用ユニットのあるも
のは、光度を定期的にチェックし、読み取りをLEDで行うための内蔵式輻射計
(on−board radiometer)を備え得る。そうした可視光硬化
用ユニットは、台座ユニットの、光チップ(光ガイドとも称する)を配置した位
置に孔を有する。光チップはこの孔内に位置決めされ、光を活性化させると、通
常はmW/cm2での読み取り値が記録される。
【0011】 代表的な可視光硬化用ユニットには、白熱電球、冷却用ファン、指掛け式引き
金、光ガイドのためのポートとを格納する把持部も含まれる。冷却用ファンは白
熱電球の発生する熱を消散させ、また、白熱電球を消した後の可変時間にわたり
作動される。冷却サイクルが完結するよりも早く台座ユニットの電源をオフにす
る、あるいは壁コンセントから引き抜くと可視光硬化用ユニットを損傷させる恐
れがある。白熱電球は、把持部を分解することでアクセス及び手動での交換が可
能である。指掛け式引き金を押し込むと白熱電球が予めプログラムされた時間発
光する。指掛け式引き金を2度目に押し込むと、冷却サイクルが妨害され、白熱
電球が消灯する。市販の可視光硬化用ユニットが使用する可視光の代表的な波長
は約400〜500ナノメーター(nm)である。
【0012】 光チップあるいはガイドチップは、把持部の前端部位置のポート内の円筒形状
の延長部分を構成し、放射される光を患者に配向する。光チップは、口腔内に容
易にアクセスし且つ位置決めされるために、通常、その遠方端位置が僅かに曲線
化され、異なる幾つかの直径のものを入手することができる。最も一般的なもの
の直径は2mm、3mm、8mm、11mm、13mmのものである。光チップ
には、通常、眼を保護するためのアンバー色の着脱式のシールドが取り付けられ
る。シールドは使用者の眼を保護するために光チップの右側あるいは左側に調節
することができる。
【0013】 コードレス式の可視光硬化用ユニットは、例えば、PROLITEの商標名で
デラウェア州ミルフォードのDentsply/Caulk社から市販入手する
ことができる。この可視光硬化用ユニットにはコードレス式の銃が含まれる。コ
ードレス式とは、台座ユニットもしくは台座ユニットは電線を有するが、銃は、
大抵の硬化用ユニットのようには台座ユニットに連結されていないことを意味す
る。台座ユニットは3つの表示ランプ、即ち、電源、充電中、そして動作可能状
態を夫々表示するための各ランプを有する。琥珀色の充電中ランプは、光硬化用
ユニットが使用され、再充填される任意の時間にわたり活性化、即ち、点灯され
る。充電後、充電中ランプは非活性化、即ち、消灯される。台座ユニットには“
オフ”スイッチはない。銃は充電器及び台座ユニットの二役をなす架台に座着さ
れる。内蔵式輻射計は、(1)光度が300mW/cm2を越えると緑色に点灯
し、(2)光度が150〜300mW/cm2であれば琥珀色に点灯し、(3)
光度が150mW/cm2以下であれば赤色に点灯する。銃の把持部の背後には
タイマーが位置付けられ、小型のLED表示部に時間が表示される。硬化時間は
10秒単位で10〜60秒にセットすることができる。発光が開始されるとタイ
マーは現在の時間からゼロに向けてカウントダウンする。タイマーをゼロにセッ
トすると、銃を連続硬化モードで使用することができるようになる。連続硬化モ
ード下ではタイマーが120秒までカウントを継続した後、光が自動的に消灯さ
れる。先に言及したように、可視光硬化用ユニットがコードレス式である場合、
銃の把持部にバッテリーが組み込まれる。バッテリーは、一ヶ月に1度は完全に
放電させ、次いで充電することが推奨される。完全充電した銃は、電力を使い切
るまでに丸14分間作動する。バッテリーの電力が無くなりかけると電子警告音
が4回鳴る。使用寿命が30時間の35ワットの白熱電球が使用される。
【0014】 その他の市販入手することのできるコードレス式の可視光硬化用ユニットは、
商標名VIVALUXIIとしてニューヨーク州アムハーストのIvoclar
−Vivadent社から販売される。この可視光硬化用ユニットは2つの充電
用ドック、即ち充電用コンセントを有している。代表的な3ランプシステムが充
電状況をユーザーに表示する。即ち、緑色のランプが充電済みを、黄色のランプ
が充電中を、赤色ランプが要充電を夫々表示する。台座ユニットには“オン−オ
フ”スイッチはない。この可視光硬化用ユニットの銃には内蔵式輻射計は設けら
れない。銃の把持部の上部後方にはデジタル表示部が設けられる。このデジタル
表示部には、銃が完全に充電されている場合にバッテリーに似せたアイコンが表
示される。銃が放電されるとバッテリーアイコンは殆ど空の状態で表示され且つ
点滅する。この可視光硬化用ユニットにはタイマーが無く、20秒後に1回、4
0秒後に2回、60秒後に3回、夫々電子音が鳴る。再充填無しでの最大硬化時
間は8.5〜9分間である。この可視光硬化用ユニットは使用寿命が1000時
間の35ワット白熱電球を使用する。
【0015】 コード式の光硬化ユニットの例には、コネチカット州ダンベリーのDemet
ron/Kerr社が商標名OPTILUX500として販売するものがある。
この光硬化ユニットのための台座ユニットには、光度出力をチェックするための
内蔵式輻射計が備えられる。この内蔵式輻射計の読み取りはLEDの数値表示を
介して行う。ソフトタッチ式の制御パッドが台座ユニットのフェース面に位置付
けられる。制御パッドは、発光のための様々な時間サイクル設定をプログラムす
るために使用することができる。この設定には、10、20、30、40、50
、60秒の各硬化サイクル時間、もしくは連続硬化サイクルが含まれる。使用者
が台座ユニットの背後の第1のスイッチを操作することにより、10秒あるいは
20秒毎の電子音のみならず、プリセットサイクル終了時の電子音を発生可能と
する。第2のスイッチを操作することにより、電子音の音量を、また第3のスイ
ッチを操作することにより、白熱電球を交換した場合のそれまでの白熱電球の全
使用時間をリセットすることが可能となる。銃の指掛け式引き金を操作すると白
熱電球が活性化及び非活性化される。白熱電球を予め設定した時間に自動的に非
活性化するためにプリセット調時が使用される。銃内には80ワットのハロゲン
バルブを使用する。台座ユニットは、所望であれば壁取り付けすることができる
【0016】 コード式のその他の光硬化用ユニットの例には、コネチカット州ダンベリーの
Demetron/Kerr社が商標名OPTILUX401/403として販
売するものがある。これらの光硬化用ユニットの台座ユニットの上面には、円形
の既知の形状のタイマーが位置決めされ、硬化サイクル時間を10、20、30
、40、50、60秒の何れかに設定可能とする。電子音がプリセット時間の終
了を告げる。銃内には、使用寿命が約80時間である80ワットのバルブが使用
される。
【0017】 その他の市販のコード式の光硬化ユニットには、デラウェア州ミルフォードの
Dentsply/Caulk社が商標名SPECTRUMとして販売するもの
がある。この光硬化用ユニットの台座ユニットは、内蔵式輻射計と、好都合な位
置に取り付けあるいは配置することのできる取り外し式の架台とから成り立って
いる。随意的には、台座ユニットを壁取り付け式とすることができる。この光硬
化用ユニットの台座ユニットでは、内蔵式輻射計の読み取りを、LEDに代えて
、硬化用光の出力状況を表示する3つのランプを使用して行う。つまり、(a)
許容範囲の光度出力状況が緑色のランプで、(b)注意状況の光度出力状況が黄
色いランプで表示され、(c)バルブの要交換あるいは要保守点検状況が赤色の
ランプで表示される。短い電子音が硬化サイクルの開始を、また長い電子音が硬
化サイクルの終了を告げる。可変の硬化サイクル時間設定値には、10、20あ
るいは60秒が含まれる。銃には使用寿命が20時間の49ワットの白熱電球が
使用される。
【0018】 その他のコード式の光硬化用ユニットには、ミネソタ州St.Paulの3M
社が商標名XL3000として販売するものがある。この光硬化用ユニットは壁
取り付け式あるいはカウンター置き式とすることができる。揺動式ドアに、便利
な予備の白熱電球が格納される。銃には、使用寿命が40時間の75ワット型白
熱電球が使用される。内蔵式輻射計が、光度出力が受け入れ得るものであるとき
には緑色に発光し、光度出力が受け入れ得ないものである場合には発光しない。
硬化サイクルの開始及び終了時に電子音が各1回鳴る。硬化サイクルを手動的に
妨害すると2回電子音が鳴る。銃の把持部の背後にタイマーが位置付けられ、1
0、20、30、40秒あるいはXT、つまり最大200秒までの硬化延長、の
各硬化サイクル時間を設定することができる。
【0019】 その他の、市販入手することのできるコード式の光硬化用ユニットには、ペン
シルバニア州ノリスタウンのESPE社が商標名ELIPAR HIGHLIG
HTとして販売するものがある。この光硬化用ユニットは、標準の第1サイクル
設定を最大光度(700mW/cm2)とし、第2サイクル設定を“2ステップ
”モードとしたことを特徴としている。“2ステップ”モードでの光度は最初の
10秒間を低光度(150mW/cm2)で行い、その直後に、ユーザー側の必
要に応じて残余の30秒あるいは50秒間を最大光度(700mW/cm2)に
切り替える。DPRヨーロッパで1996年11月に行われた広告によれば、第
1サイクルの低光度は、“破壊のリスクを最小化し且つ境界部分の接着を最適化
し、かくして、最終的な補修材の寿命を最大化するために使用される。150m
W/cm2という初期の低光度は、材料の塑性(低粘性の)相を広げ(exte
nd)、それにより、材料の応力が打ち消され得ることが報告された。”ESP
E社の製品資料には、“2ステップモードでは光度は最初の10秒間は低くし、
それにより、材料の初期及び最終の硬化中の応力を減少させる”と記載される。
標準モードでの硬化サイクルは4つの時間、即ち、20、40、60秒、そして
“2ステップモード”に設定することができる。2ステップモードは、標準モー
ドの硬化サイクルを40秒あるいは60秒とした場合にのみ機能するようになっ
ている。この光硬化用ユニットは、ユーザー定義でプログラムすることのできる
幾つかの電子音機能を持つことを特徴としている。例えば、光を活性化させた場
合あるいは消灯した場合は10秒で電子音が鳴り、20秒及び60秒で2回鳴る
。台座ユニットに内蔵した輻射計が、光度が適切である場合に緑色ランプを点灯
させ、光度が適切でない場合には白色ランプを点灯させる。この光硬化用ユニッ
トは、異なる硬化用要光度のための2ステップモードを有することから、マイク
ロプロセッサが電圧供給を監視する。これにより、白熱電球の全使用寿命に渡る
光度が一定であることが保証される。白熱電球は75ワットのものが使用され、
推定耐用寿命は記載されていない。ELIPAR HIGHLIGHTの製品資
料には応力形成速度の減少に関する言及はなく、応力が減少することのみが記載
される。しかし、ELIPAR HIGHLIGHT光硬化用ユニットが応力を
減少させる明確な証拠はなにもない。また、このシステムでは、オペレータは2
ステップモード使用時に低光度で光硬化させるためのサイクル時間設定を調節あ
るいは変更することができず、低光度及び高光度の硬化間に休止を挟む機会もな
い。
【0020】 その他の、市販入手することのできるコード式の光硬化用ユニットには、ニュ
ージャージー州MahwahのColtene/whaledent社が商標名
COLOTOLUXとして販売するものがある。緑色のLED式のオンオフスイ
ッチが台座部分に位置付けられる。大型ダイヤル式のタイマーが台座部に設けら
れ、10、20、30、40、50、60秒の硬化サイクル時間を選択すること
が出来るようになっている。内蔵式輻射計はLED読み取り式である。銃を起動
すると、硬化サイクルの開始時点で電子音が鳴る。銃に使用する白熱電球は75
ワットのものであり、その使用寿命は28時間である。
【0021】 以下は、口腔用のコード式光硬化システムを入手することのできる製造業者及
び製品名の追加リストである。 製造業者:システム名称 Lares Research,Chico,CA:APOLLO S Coltene/whaledent,Mahwah,NJ:COLTOLU
X3 Degussa,.South Plainfield,NJ:DEGULU
X Pro−Den,Portland,OR:EXECUTOR Pro−Den,Portland,OR:POLY−LITE1000 Dolan−Jenner,Lawrence,MA:FIBER−LITE Ivoclar−Vivadent,Amherst,NY:HELIOLU
X DLX Den−Mat,Santa Maria,CA:MARATHON TWO Megadenta,Rudeberg,Germany:MEGULUX
CS Demetron/Kerr,Danbury,CT:OPTILUX150 Demetron/Kerr,Danbury,CT:OPTILUX360 Demetron/Kerr,Danbury,CT:VCL 300 Heraeus Kulzer,Irvine,CA:TRANSLUX C
L 3M,St.Paul,MN:XL1500 Henry Shein,Port Wash.,NY:MAXIMIA 2
50 Henry Shein,Port Wash.,NY:ECONOMY C
uring Light 以下は、口腔用のコードレス式光硬化システムを入手することのできる製造業
者及び製品名の追加リストである。 製造業者:製品名称 Litema Dental,Baden,Germany:ARCUS 1 Litema Dental,Baden,Germany:ARCUS 2
【0022】 (解決しようとする課題) 解決しようとする課題は、上述した1つ以上の問題を解決することである。 解決しようとする他の課題は、自己硬化性の複合修復材において既知の応力弛
緩の概念を、光硬化による歯科的修復に際して実行することである。この実行は
、応力弛緩に先立つ硬化が完全とは言えないもの(例えば部分硬化)であった場
合、及び、プロセス上必要な弛緩時間が、歯科臨床医を納得させるに十分短い場
合に限られる。本明細書では、一般の歯科臨床医が受け入れることのできる複合
修復材硬化方法、及び、クラスIあるいはもっと大きいクラスII形式での歯科
的修復に際しての初期の応力形成速度を低下させ得る可視光硬化用ユニットの設
計形状が説明される。
【0023】 (課題を解決するための手段) 本発明に従う方法には、修復上調製した歯に複合修復材を付着させ、次いで、
複合修復材に貫入する十分な光度及び時間において可視光(波長約400〜50
0ナノメーター)を付加し、複合修復材の重合を開始させる。光の付加を、複合
修復材の初期の重合によって生じる内部応力を弛緩させるに十分な時間中断する
。引き続き、通常は高光度光を複合修復材に深し、重合を完了させる。 また、本発明の方法に従えば、複数の光度及び時間設定を含む、光硬化用ユニ
ットが使用される。
【0024】 (従来の技術) 本発明によれば、歯科用の複合修復材の重合反応速度が低下され、それにより
、応力形成速度が一層減少され、かくして収縮応力が減少あるいは排除される。
光重合の反応速度は幾つかの手段により減速させることができる(S.Pete
r Pappas,の編集になる1992年のニューヨーク州Plenum P
ressのRADIATION CURING SCIENCE AND TE
CHNOLOGYを参照されたい)。
【0025】 歯科工業界では露光硬化の重要性は殆ど重要視されていない。光硬化を使用し
て化学反応あるいは重合を誘起するその他の用途、例えば、写真術、UV硬化性
コーティング、UV硬化性樹脂では、露光制御は主要な考慮事項である。露光は
、光度(mW/cm2)と時間(秒)の積として算出され、その単位は1平方セ
ンチメートル当たりのミリジュール(mJ/cm2)で表される。例えば、40
0mW/cm2の光度で10秒間硬化すると露光量は4000mJ/cm2ある
いは4ジュール/cm2となる。かくして、200mW/cm2の光度で20秒
間硬化する場合の露光量は、4ジュール/cm2と同じ400mW/cm2の光
度で10秒間硬化する場合のそれと等しい。本願発明者は、何れの場合の硬化作
業でも、硬化の深さ、堅さ、そして物理的強度は表Iに示す如く同じ結果となる
ことを見出した。
【0026】
【表1】
【0027】 低光度での硬化と、もっと高い光度での硬化における主な相違は、低光度での
硬化のほうがより遅いことである。硬化を完了させるために要する時間は増大す
るものの、硬化速度が遅いことは、エナメル質インターフェース位置での歯科的
修復のためには非常に好ましい。それは、応力形成速度が低下し、エナメル質の
ような脆弱な材料が破損する恐れが小さくなるからである。
【0028】 硬化に際して複合修復材内に生じる応力形成速度は重合反応速度に関連する。
本発明に従えば、重合反応速度(かくして応力形成速度)は、硬化用の光源の光
度を調節することにより制御することができる。低い光度は反応速度を低下させ
、かくして、応力形成速度を低下させる。
【0029】 本発明に従えば、複合修復材を低光度下に短時間光硬化して重合反応を開始さ
せ、次いで、複合修復材を弛緩(あるいは再配向)させるための時間を置いた場
合、収縮応力が低減され得る。従って、熱誘起性の重合反応を注意深く制御する
こと、及び、初期応力が付加された複合修復材を、硬化に先だってこの応力を弛
緩させ得る時間を与えること、を含む、クラスIあるいはクラスII形式での歯
科的修復を高品質下に実施するための方法が提供される。
【0030】 本発明の好ましい方法では、十分な光度(100mW/cm2及び300mW
/cm2の範囲が好ましい)の光を複合修復材の樹脂に貫入させ、樹脂組織(s
ystem)の重合を開始させるべきである。そうした光の貫入及び重合開始は
、初期の短い(パルス)時間において実施するのが好ましい。この短い硬化時間
により、複合修復材は、歯科臨床医が通常の仕上げ手順を開始させ得るに十分な
堅さに硬化される。初期の重合開始に引き続く時間中、複合修復材には、そうし
た初期の反応によって生じた内部応力を弛緩させるための時間が提供される。
【0031】 約3〜5分の弛緩時間の経過後、複合修復材は約400〜600mW/cm2
の通常の光度で、好ましくは10秒間、頬側、舌側、咬合部側の各方向から光を
付加して硬化させて複合修復材の重合を完了させると共に、最適な物理特性を生
じさせる。上述の手順により、接着部破損やエナメル質の欠けが低減される。こ
のようにして境界部分の最適な一体化が達成される。しかしながら、複合修復材
を構成する樹脂材料及び光源は、ある程度の互換性のあるものが成功裏に使用さ
れるべきである。
【0032】 本発明に従う光硬化性の複合修復材の応力弛緩技法には、製造業者の説明書に
説明されるような接着材を配置する段階が含まれるのが特に好ましい。必要に応
じて、第1の増分量の複合修復材が、ぞうげ−エナメル境付近に配置される。第
1の増分量の複合修復材が、600mW/cm2の光度の光で10秒間硬化され
る。穴が深い場合、ぞうげ−エナメル境に達するまでに幾つかの増分量の複合修
復材及びその硬化が必要となる。そうした第1の増分量の複合修復材のためには
高光度での硬化が好ましい。なぜなら、複合修復材の表面から装置の光放出先端
部までの距離が数ミリメートルあり、従って、複合修復材の表面位置での光度光
度はもっと低くなるからである。例えば、そうした距離が5ミリメートルである
と光度は約25%が失われ、10ミリメートルでは約50%が失われる。
【0033】 第2の増分量の複合修復材が、窩洞面境部分に配置され、所望に応じて彫刻さ
れ、約100〜300mW/cm2の通常の光度で約2〜6秒間、好ましくは2
00mW/cm2の光度で約3秒間、咬合面方向から合計露光量0.6ジュール
/cm2の光を付加して硬化させる。 初期仕上げ及び咬合調整を開始する。もし、複合修復材が仕上げのために柔ら
かすぎる場合、第2の増分量の複合修復材を同じ光度で再度光硬化させることが
できる(高光度光は使用しない)。
【0034】 3〜5分経過後、複合修復材を、頬側、咬合部側、舌側の各方向から(咬合部
側からを最後にするのが好ましい)の、400あるいは600mW/cm2の光
度の光で各10秒間硬化させる。大抵の市販の複合修復材は400mW/cm2
の通常の光度で適正に硬化すると考えられる。 最終仕上げ及び研磨を完了した後、複合修復材を再エッチングし、仕上げ材料
、例えば商標名FORTIFY仕上げ材(イリノイ州、Schaumburgの
Bisco社)を塗布し、これを光硬化させて修復を終わる。
【0035】 上述の技法は、以下に列挙する市販の複合修復材、即ち、Z−100(ミネソ
タ州St.Paulの3M社)、TETRIC(ニューヨーク州アムハーストの
Ivoclar−Vivadent社)、PRISMA TPH(デラウェア州
ミルフォードのDentsply/Caulk社)、CHARISMA(カリフ
ォルニア州アーヴィンのHeraeus Kulzer社)、PRODIGY(
コネチカット州ダンベリーのDemetron/Kerr社)、AELITEF
IL(イリノイ州SchaumburgのBico社)の夫々についても使用す
ることが可能である。 これらの複合修復材のバーコル硬度データを表IIに示す。表IIではCHA
RISMA及びPRODIGYの商標名で販売されるものを除き、最終硬化のた
めの光度は約400mW/cm2とすることが推奨される。
【0036】
【表2】
【0037】 本発明に従い使用するための光硬化用ユニットは、硬化手順のためのより広い
汎用性と選択性(options)とを可能とするべく開発された。光硬化用ユ
ニットには、任意の技法あるいは条件に適合し得る複数の光度及び硬化時間に対
する選択性がある。広範囲の研究を通し、本願発明者は、こうした選択性、特に
、本明細書で説明した好ましい硬化用光に対する選択性が、歯科開業医にとって
非常に有益であることを見出した。本発明に従う光硬化用ユニットによれば、開
業医は、幾つかの光度(例えば、100、200、300、400、500、6
00mW/cm2での)、短い及び長い硬化時間(例えば、2、3、4、5、1
0、20、30、40秒及び連続、例えば255秒までの)を選択することがで
きる。また、本発明の光硬化用ユニットによれば、ずっと低い光度を確実に正確
化するために容易に較正することができる。本発明のシステムによれば、任意の
光度の光を較正することができる。かくして、歯科開業医は、光硬化用ユニット
の出力光度を正確に低光度(100〜300mW/cm2)〜中光度(300〜
400mW/cm2)とし、高光度(500〜600mW/cm2)出力のみを
減少させることができる。
【0038】 同じ参照番号は同じ要素を表す図1から図3を参照するに、本発明に従う好ま
しい光硬化用ユニットが全体を番号1で示され、台座ユニット10と、ランプ2
2、引き金スイッチ24、硬化時間/光度セレクタスイッチ26を有する手持ち
型の銃20とを含んでいる。台座ユニット10は、銃用の架台30と、表示装置
32と、光センサ34と、銃コネクタ36と、出力(時間/光度の)水準スイッ
チ38と、電源オンオフスイッチ40とを含んでいる。
【0039】 本発明に従い使用するために好ましい硬化用ランプ22は12ボルト75ワッ
トのハロゲン投射ランプ(東京のウシオ電機製)である。このランプは一般に可
視光硬化用光源に使用される代表的な形式のものである。内部のフィルタシステ
ムが光の波長を約400〜500ナノメーターに制限する。
【0040】 本発明に従い使用するために好ましい硬化用光は、選択可能な光度水準での光
を供給することのできる自己較正式の精密光源である。セレクタスイッチ26に
より、開業医は2、3、4、5、10、30、40秒そして連続の硬化時間と、
100、200、300、400、500、600mW/cm2の光度とを選択
することができる。出力スイッチ38により、開業医は高光度(500〜600
mW/cm2)、中光度(300〜400mW/cm2)あるいは低光度(10
0〜200mW/cm2)を選択することができる。自己硬化モードは出力光度
の精密調整を確立し、その所要時間は僅か数秒である。硬化と較正の各作業の開
始及び終了時には可聴音が鳴る。較正は所望に応じてたびたび実行することが可
能であり、結果に確実に一貫性を持たせるべく、各手順に先立って実施されるべ
きである。
【0041】 (好ましい光硬化用ユニットの運転) 1.光度水準 都合上、セレクタ制御のために台座ユニットあるいは銃の何れかからもアクセ
スすることができるものとする。壁コンセントに接続した電気的モデルが正しい
ことを確認した後、出力(時間/光度)水準スイッチ38を任意の所望の位置に
セットすることができる。高光度にセットした場合、光硬化用ランプの光放出先
端部には、硬化用ランプからの600mW/cm2の光度の光が選択された時間
に渡り連続供給される。この設定は、LED表示装置32の最も左側に記号“H
”として表示される。低光度にセットした場合、光硬化用ランプの光放出先端部
には、硬化用ランプからの200mW/cm2の光度の光が選択された時間に渡
り連続供給される。この設定は、LED表示装置32の最も左側に記号“L”と
して表示される。工場プリセット値を使用し、このプリセット値を歯科臨床医が
望む任意の所望の値に予めプログラムすることも可能である。
【0042】 2.調時 銃20の把持部分の後方のスイッチ26により、開業医は2、3、4、5、1
0、20、30、40秒及び連続の各予定硬化時間を選択することができる。ス
イッチ26を押す毎に、表示装置に示される設定時間が次ぎの値に移動する。最
長時間、即ち40秒が表示された後にスイッチ26を押すと表示時間は最初の2
秒に戻る。
【0043】 3.較正(検証) 内臓輻射計を使用して光度を較正することができる。光度水準を較正するため
に、硬化用ランプの光放出先端部のファイバーを光センサ34の窓部の中心に直
角に位置付ける。光先端部のファイバーは光センサ34の窓部に平坦に接触させ
る必要があり、さもないと較正結果に誤差が生じてしまう。引き金スイッチ24
を押し込み、硬化用ランプを作動させるとLED表示装置32には“CAL”の
文字が表示される。較正中に光放出先端部のファイバーが光センサ34の窓部に
直角に配置されていないと表示部の“CAL”の文字が点滅する。この場合、引
き金スイッチ24を押し込んで硬化用ランプを消し、作業をやり直す。
【0044】 較正が成功するとLED表示装置32に光度水準が表示される。光度は任意の
選択した光度において較正することができる。選択した光度を得られない場合に
は、実際に達成し得る最大値が点滅表示される。これは、光硬化ユニットが、も
っと低い実際の光度でも尚、運転可能であることを示すものである。もはや硬化
用ランプの光ファイバー先端部位置に必要な光度水準を発生させ得なくなると、
LED表示装置32には“FAIL”の文字が表示される。銃20の光学的アセ
ンブリを冷却するためにファンを使用し、このファンを、硬化用ランプ消灯後、
引き続き約1分間作動させることができる。
【0045】 較正が終了したら引き金スイッチ24を再度押し込み、通常の作業に復帰する
。較正に失敗した場合には手順を反復することができる。較正が繰り返し失敗に
終わる場合にはハロゲンランプを交換する。 4.基本運転 銃20の引き金スイッチ24を押し込んで光硬化作業を開始する。この時、L
ED表示装置32には、残余の硬化時間と、作業中の時間のカウントダウンが表
示される。
【0046】 5.ランプの交換 ランプは、銃20の前方ノーズ部分をネジ戻しすることにより交換する。ラン
プをソケットに差し込む。この際、ランプに直接指が触れないように注意する。
常に綿手袋、清潔な紙タオル、あるいは、光学タオルを使用してランプを差し込
むようにし、ランプあるいはリフレクタに指紋を付けないようにする。指紋はラ
ンプの性能を劣化させ、尚悪くはランプ破壊の原因ともなる。
【0047】 先に議論したように、本発明に従い使用する光源は、露光時間、光の貫入、そ
して樹脂の重合を適切に制御するための、可変の調時及び露光能力を有するべき
である。更に、複合修復材の樹脂のためのイニシエーションシステム(イニシエ
ータ)は、それによって十分な初期重合が提供されるように“チューニング”あ
るいは調和させるべきであるが、それによって応力弛緩が妨害されないようにす
るべきである。イニシエータは修復材の最終的な強度を最適化すべきである。本
発明に従うこの技法は、以下に述べる例に従い調製したサンプルに関する走査型
電子顕微鏡(SEM)写真において、歯/補修部分界面の縁辺部の一体性が示さ
れることにより裏付けられる。
【0048】 本発明の方法及び装置によれば、台座ユニット及び銃の両方あるは何れかの側
から硬化時間サイクル及び光度を制御するための能力が提供される。歯科臨床医
にとって、台座ユニットの制御部分に、患者あるいは付添人の周囲を通って到達
する必要なしにそうした設定値をずっと容易に制御することができるのは有益で
ある。本発明の好ましい実施例では、時間設定と光度設定とのスイッチが別個に
設けられるが、単一のスイッチでそうした変量を制御することもできる。
【0049】 本発明の装置の好ましい実施例によれば、硬化時間及び光度の異なる組み合わ
せを使用する、遅延性の二重硬化のための能力も提供される。例えば、硬化時間
及び光度のある組み合わせは、初期硬化のためには夫々3秒及び200mW/c
m2であり、最終硬化のためには、夫々30秒及び600mW/cm2であり得
る。本実施例によれば、歯科開業医の所望するとおりに硬化時間及び光度を変化
させるための能力も提供される。更に、そうした所望の硬化時間及び光度は、台
座ユニット内に配置したソフトウェア及び不揮発性記憶素子を使用するプリセッ
ト値としてセーブされ得る。非揮発性記憶素子は、装置の移動時、あるいは1日
の終わりに光硬化ユニットの電源を切ったような、光硬化への電力が除去された
場合でもプリセット値を再表示させることができる。
【0050】 (例) 〈本発明に従う制御及び実験のための歯科的調製〉 患者から抜歯した第三臼歯にクラスIの歯科的調製部分(以下、調製部分と称
する)を創成した。調製部分の寸法形状は幅約3mm、長さ約4mm、深さは約
3mmであった。全ての境部分は健全であり、線角及び歯髄床を丸み付けしたエ
ナメル質を支持していた。全ての調製部分は、歯科用の高速エアロータ及び11
57裂溝バー(bur)を使用して形成された。全ての調製部分は32%燐酸を
15秒間適用することにより食刻し、大量の水でもって洗浄した。調製部分から
余分な、しかし歯が乾燥しない程度の水が圧縮空気を使用して除去された。湿潤
剤(イリノイ州SchaumburgのBisco社の商標名AQUA−PRE
P)を表面に付着させ、接着材の貫入を促進させるべく再湿潤化した。光硬化性
接着材(イリノイ州SchaumburgのBisco社の商標名ONE−ST
EP)をエナメル質及びぞうげ質に2度塗布し、この接着材を、圧縮空気を称し
て分散及び乾燥させ、硬化用ユニット(イリノイ州SchaumburgのBi
sco社製)を使用して600mW/cm2の光度で10秒間付加し、可視光硬
化させた。同一形式の接着材を更に2度塗布し、分散及び乾燥させ、同じ様式化
に光硬化させた。ブラシ先端部に乗せた接着材樹脂をエナメル質及びぞうげ質の
表面に塗布した。イリノイ州SchaumburgのBisco社製の商標名A
LL BONDのようなその他の接着材を成功裏に使用することができる。次い
で、調製した歯を以下の手順で修復した。
【0051】 〈制御(標準的な高速/高光度硬化)〉 調製部分に、ぞうげ−エナメル境の高さにまで複合修復材(イリノイ州Sch
aumburgのBisco社の商標名AELITEFIL Vita A2複
合樹脂)を第1の増分量配置し、600mW/cm2の光度の光を10秒間付加
して光硬化させた。 次いで、調製部分に、第2の増分量の複合修復材を、第1の増分量の複合修復
材及びエナメル−窩洞面境と密着させた状態で配置し、頬側、舌側、咬合部側の
各方向から600mW/cm2の光度の光を10秒間夫々付加して光硬化させた
。資料としての歯が小分けされ、図4に示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
使用して検査した。
【0052】 〈実験1(5分遅延を使用しての低光度硬化)〉 調製部分に、ぞうげ−エナメル境の高さにまで複合修復材(イリノイ州Sch
aumburgのBisco社の商標名AELITEFIL Vita A2複
合樹脂)を第1の増分量配置し、600mW/cm2の光度の光を10秒間付加
して光硬化させた。 次いで、調製部分に、第2の増分量の複合修復材を、第1の増分量の複合修復
材及びエナメル−窩洞面境と密着させた状態で配置し、200mW/cm2の光
度の光を3秒間付加して光硬化させた。 5分遅れて、頬側、舌側、咬合部側の各方向から600mW/cm2の光度の
光を10秒間夫々付加して光硬化させた。資料としての歯が小分けされ、図6に
示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真を使用して検査された。
【0053】 〈実験2(3分遅延を使用しての低光度硬化)〉 調製部分に、ぞうげ−エナメル境の高さにまで複合修復材(イリノイ州Sch
aumburgのBisco社の商標名AELITEFIL Vita A2複
合樹脂)を第1の増分量配置し、600mW/cm2の光度の光を10秒間付加
して光硬化させた。 次いで、調製部分に、第2の増分量の複合修復材を、第1の増分量の複合修復
材及びエナメル−窩洞面境と密着させた状態で配置し、200mW/cm2の光
度の光を3秒間付加して光硬化させた。 3分遅れて、頬側、舌側、咬合部側の各方向から600mW/cm2の光度の
光を10秒間夫々付加して光硬化させた。
【0054】 (試験結果) 〈制御(図4)に関し〉 全てのケースを観察した結果、ぞうげ質への接着に関して接着ラインあるいは
その付近には何らの接着不良も生じていなかった。エナメル質に対する接着では
その接着ラインに沿った何らの不具合も見られなかったが、接着ラインと平行な
、典型的には接着ラインから約2〜10ミクロンメーターの距離の位置にエナメ
ル質の亀裂が観察された。こうした亀裂はエナメル質の固有の破損を招くものと
なる。
【0055】 〈実験1(5分遅延)に関し(図6)〉 ぞうげ質及びエナメル質に対する接着は良好であることが分かった。SEM写
真の分析によっては、上述の制御サンプルにおけるようなエナメル質の亀裂は何
ら観察されなかった。 もっと大きな、クラスII形式(例えばMOD形式)での修復において、特に
咬頭部(cusp)の一体性に関して同様の結果を得た。
【0056】 〈実験2(3分遅延)に関し〉 5分遅延での試験サンプルと類似の、ぞうげ質及びエナメル質に対する接着状
況が得られた。エナメル質に亀裂は観察されなかった。 もっと大きな、クラスII形式(例えばMOD形式)での修復において、特に
咬頭部(cusp)の一体性に関して同様の結果を得た。 本発明によれば数多くの利益が提供される。例えば、本発明に従う硬化用ユニ
ット及び方法よれば、(a)10秒未満(即ち、2、3、4、5秒)といった、
予めプログラムした短い硬化時間を選択する選択性と、(b)硬化中の応力を最
小化するための低光度選択性と、(c)仕上げ硬化のための代表的な高光度と、
(d)内部較正プロセスを使用する正確な低光度と、が夫々提供される。更に、
本発明に従う低応力形成速度プロセスが、エナメル構造における良好な一体性を
伴うクラスIあるいはクラスIIでの歯科的修復を提供する。本発明に従う低応
力形成速度プロセスの別の優れた適用例は、光渦中あるいは硬化後における、応
力性の咬頭部破損をしばしば受けやすい大きなクラスII歯科的修復部分に対す
るものである。更に、本発明に従う低応力形成速度プロセスは、(a)使用が用
意であり、歯科臨床医の手順に大きな影響を及ぼさず、(b)収縮し、形成され
た応力を補償する歯科的配合物を使用して行うこともできる。
【0057】 本発明に従う方法は、全ての寸法形状の修復部分に対して適用することが可能
であるが、最良の適用例は、より問題の多い、そして恐らくは応力のずっと大き
なクラスIあるいはクラスIIでの歯科的修復であろう。本発明に従う基本的(
一般的)プロセスを、任意の代表的な光硬化性の歯科用配合物と共に使用するこ
とができる。 以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし
得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従い使用するための光硬化用装置の台座ユニットの部分破除した正面
図である。
【図2】 図1の台座ユニットの部分破除した側面図である。
【図3】 図1の台座ユニット共に使用するための、本発明に従う光硬化用銃の正面図で
ある。
【図4】 通常の光硬化プロセス(26xで示す)により調製した修復部分を示す走査型
電子顕微鏡(以下、SEMとも称する)写真であり、“C”は複合修復材を、“
E”はエナメル質を、“D”はぞうげ質を夫々示す。
【図5】 自己硬化性/光硬化性の複合修復材(25xで示す)により調製した修復部分
を示すSEM写真であり、“E”はエナメル質を、“D”はぞうげ質を、“Ae
litefil(L/C)”は光硬化性の複合修復材を、“Duo−Linl(
S/C)(L/C)”は、自己硬化性/光硬化性の複合修復材をそれぞれ示す。
【図6】 本発明(5分遅延)(26xで示す)に従い調製した修復部分を示すSEM写
真であり、“C”は複合修復材を、“E”はエナメル質を夫々示す。
【符号の説明】
1 光硬化用ユニット 10 台座ユニット 20 銃 22 ランプ 24 引き金スイッチ 26 硬化時間/光度セレクタスイッチ 30 架台 32 LED表示装置32 34 光センサ 36 銃コネクタ 38 出力(時間/光度)水準スイッチ 40 電源オンオフスイッチ
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月22日(2000.5.22)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯科用の複合材を硬化させるための方法であって、 (a)調製した歯に複合修復材を付着させること、 (b)複合修復材に嵌入して該複合修復材に重合反応を開始させるための十分
    な光度の光を複合修復材に付加すること、 (c)複合修復材の初期重合により生じる内部応力を弛緩させ得るに十分な時
    間、光付加を中断すること、 (d)複合修復材に前記光を付加し、重合を完了させること、 を含む歯科用の複合材を硬化させるための方法。
  2. 【請求項2】 段階(b)が、1平方センチメートル当たり約1ジュールも
    しくはそれ未満の最大露光量を使用して実施される請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 段階(b)が、1平方センチメートル当たり約0.6ジュー
    ルの露光量を使用して実施される請求項2の方法。
  4. 【請求項4】 段階(b)が、1平方センチメートル当たり約200mW及
    び約300mWの光度の光を約2〜3秒間付加することにより実施される請求項
    3の方法。
  5. 【請求項5】 段階(c)が約3〜5分間実施される請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 段階(d)が、1平方センチメートル当たり約400mW及
    び約600mWの間の光度を使用して実施される請求項1の方法。
  7. 【請求項7】 段階(b)が、 (i)少なくとも第1の増分量の複合修復材をぞうげ−エナメル境に配置する
    こと、 (ii)1平方センチメートル当たり約600mWの光度の光を約10秒間付
    加すること、 (iii)最終の増分量の複合修復材を窩洞面境に付着させること、 (iv)複合修復材を食刻すること、 (v)1平方センチメートル当たり約600mWの光度の光を約3秒間、咬合
    部方向から付加すること、 (vi)初期仕上げ及び咬合部の調整を開始すること、 を含んでいる請求項1の方法。
  8. 【請求項8】 段階(c)が、約3〜約5分間実施される請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 段階(d)での光の付加が、顔面、舌、咬合部の各方向から
    それぞれ約10秒間、1平方センチメートル当たり約600mWの光度の光を付
    加することを含んでいる請求項8の方法。
  10. 【請求項10】 段階(d)での光の付加が、咬合部方向からの付加を最後
    にして行われる請求項9の方法。
  11. 【請求項11】 歯科用の複合材を硬化させるための方法であって、 (a)複数の光度設定値及び時間設定値を有する光硬化装置を提供すること、 (b)調製した歯に複合修復材を付着させること、 (c)複合修復材に嵌入して該複合修復材に重合反応を開始させるための十分
    な光度に設定した光硬化装置を使用して複合修復材に光を付加すること、 (d)複合修復材の初期重合により生じる内部応力を弛緩させ得るに十分な時
    間、光の付加を中断すること、 (e)第2の光度に設定した光硬化装置を使用して複合修復材に前記光を付加
    し、重合を完了させること、 を含む歯科用の複合材を硬化させるための方法。
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