JP2001518327A - スリップハブを有する経皮カテーテル - Google Patents

スリップハブを有する経皮カテーテル

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Abstract

(57)【要約】 「スリップ」ハブ設計が、カテーテルシャフト接続に対するハブでの曲げ移動を減少させるためのカテーテルと共に使用される。この設計は、減少した直径の断面を有し、そしてハブの長さに沿って伸張する長手方向軸を有するハブを含む。減少した直径の断面は、第１の長さを有する。この設計はまた、管腔を備えた第１の部分を有する縫合ウイング要素を含む。ウイングは第１の部分から伸張し、そして使用時には患者の皮膚、または患者の皮膚に固定されるアンカー装置へ縫合される。管腔は第２の長さを有し、これは第１の長さよりも短い。ハブの減少した直径の断面は管腔内に配置され、その結果軸はこの管腔を通って伸張し、その結果、ハブおよび縫合ウイング要素は、軸に沿って軸方向および軸の周りで回転方向の両方で、互いに対して移動可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 （関連出願の相互参照） 本発明は、１９９７年１０月１日に出願された、米国仮特許出願番号第６０／
０６０，６２４号を参考として援用し、それに対する優先権およびその利益を主
張する。
【０００２】 （技術分野） 本発明は一般に、身体で使用するためのカテーテルに関する。より詳細には、
本発明は、身体での経皮カテーテルに使用する「スリップ」ハブ設計に関する。
【０００３】 （背景情報） 長期留置経皮カテーテル（例えば、末梢的に挿入された中心カテーテル（ＰＩ
ＣＣｓ）、中心線、および血液透析カテーテル）は、種々の医療用途（例えば、
薬物投与、採血など）として広範に使用されている。これらのカテーテルは、剛
直なハブを有し、このハブは典型的には、カテーテルシャフトが不注意に抜け落
ちないように、皮膚に縫合されている。より具体的には、縫合ウイングはハブに
堅く接続され、そして皮膚に縫合される。カテーテルシャフトは縫合したハブか
ら、皮膚およびその下の組織を通って、血管系へと伸張し、そして上大静脈およ
び右心房（すなわち、ＳＶＣ／ＲＡ接合部）の接合部で終結する。このカテーテ
ルは、数週間または数ヶ月を越えて、この位置に維持される。
【０００４】 この期間中、患者は典型的には十分に動くことができる。ハブが患者に堅く固
定され（すなわち、縫合ウイング経由）、そしてカテーテルシャフトが経皮的な
侵入部位に相対的に固定されているので、これらの２つの位置間のすべての相対
的な移動は、カテーテルシャフト接続にハブの曲げ応力を与える。患者がカテー
テルを使用する期間（例えば、数週間または数ヶ月）にわたって移動をすると、
ハブと患者の間の堅い接続は、カテーテルシャフト接続にハブのすべての生じる
曲げ移動を集中する。時間が経過すると、この応力はしばしば、カテーテルシャ
フト接続にハブにおける機械的故障をもたらし、これにより故障したカテーテル
の除去および取り替えが必要になる。例えば、Ａｌａｎ Ｍａｔｓｕｍｏｔｏ博
士による表題「ＰＩＣＣ Ｌｉｎｅｓ：Ｃｈｏｏｓｉｎｇ Ｄｅｖｉｃｅｓ，
Ｐｌａｃｅｍｅｎｔ ａｎｄ Ｍａｎａｇｅｍｅｎｔ」の記事は、カテーテルシ
ャフトに接続するハブにおいて、９．７％の装置の機械的故障率を報告する。
【０００５】 （発明の要旨） 本発明の主要な目的は、カテーテル（例えば、長期留置経皮カテーテル）の機
械的故障率を減少させることである。本発明の別の目的は、ハブと縫合ウイング
の間に可撓性接続を与える長期留置経皮カテーテルを提供し、その結果曲げ移動
の割合がその領域において吸収され、それによって、カテーテルシャフトに接続
するハブ上の応力を減少し、そしてカテーテルの耐用年数を延ばすことである。
【０００６】 これらのおよび他の目的は、本発明による「スリップ」ハブ設計によって満た
される。このタイプの新規なハブ設計を採用するカテーテルを用いると、カテー
テル（例えば、長期留置経皮カテーテル）の機械的故障率が減少し、このカテー
テルは、期間を延長して（例えば、数週間、数ヶ月またはそれ以上）患者の身体
の位置に保持され得る。
【０００７】 本発明は、伸張したカテーテルシャフト、ハブ、および縫合ウイング要素を備
えるカテーテル（例えば、長期留置経皮カテーテル）を特徴とする。伸張したシ
ャフトは近位端および遠位端を有し、ここで遠位端は、身体中へ挿入するための
ものである。カテーテルシャフトの遠位端は、侵入部位で身体に入る。この侵入
部位は、身体の皮膚の穿刺であり得、これは例えば、カテーテルシャフトが挿入
される身体内の静脈へと通じる。このハブは、身体の侵入部位にまたはその近傍
に位置される。縫合ウイング要素は、ハブの一部の上に配置される（そして包囲
する）。縫合ウイング要素は身体の皮膚か、またはそれ自身が身体の皮膚に固定
されるアンカー装置に固定され、これは侵入部位に近接している。カテーテルシ
ャフトはハブを通り、皮膚およびその下部組織を通って患者の身体の血管系（例
えば、静脈中）へ伸張し、その結果カテーテルシャフトの遠位先端は、身体の所
望の地点（例えば、ＳＶＣ／ＲＡ接合部で）に位置され得る。このカテーテルは
、延長した期間中（例えば、数週間、数ヶ月またはそれ以上）、身体内でこの位
置に保持され得る。このハブは、減少した直径の断面を含み、これは縫合ウイン
グ要素の一部によって係合され、取り囲まれる。この減少した直径の断面は、ハ
ブが実質的に制限されず並進的に（すなわち、ハブおよびカテーテルの長手方向
軸に沿って前後に軸方向に）、および縫合ウイング要素に対して回転的に移動す
ることを可能にする。一つの実施態様において、縫合ウイング要素は、ハブに近
接する丸まった辺縁を含む。この縫合ウイング要素の丸まった辺縁は、ハブと縫
合ウイング要素との間の相対的な移動のさらなる自由度を可能にし、その結果、
ハブは縫合ウイング要素内で「揺動（ｒｏｃｋ）」し得る。
【０００８】 本発明の前述のおよび他の目的、局面、特徴および利点は、以下の説明および
特許請求の範囲から、より明らかになる。
【０００９】 （説明） 一つの局面において、本発明は、伸張した部材（例えば、カテーテルシャフト
）、ハブおよび縫合ウイング要素を備えるカテーテルに関する。伸張した部材は
近位端および遠位端を含み、この遠位端は本体の侵入部位で身体に挿入可能であ
る。ハブは伸張した部材の近位端に接続され、そして侵入部位に配置される。ハ
ブは減少した直径の断面を含み、そして長手方向軸はハブの長さに沿って伸張す
る。縫合ウイング要素は、侵入部位に近接する身体へ固定するためのものである
。あるいは、縫合ウイング要素はそれ自身が、侵入部位に近接する身体の皮膚に
固定されるアンカー装置へ固定または取り付けられ得る。縫合ウイング要素は侵
入部位で、ハブの減少した直径の断面の一部を取り囲み、それによって、縫合ウ
イング要素に対する軸に沿っておよび軸の周りの両方で、ハブが移動するのを可
能にする。
【００１０】 別の局面において、本発明は、ハブおよび縫合ウイング要素を備えるシステム
を特徴とする。このハブは、カテーテルと共に使用するものである。ハブは減少
した直径の断面を含み、そしてその長さに沿って伸張する長手方向軸を有する。
減少した直径の断面は、第１の長さを有する。縫合ウイング要素は、第１の部分
から伸張する管腔およびウイングを備える第１の部分を有する。管腔は、第１の
長さより短い第２の長さを有する。ハブの減少した直径の断面は、管腔内に配置
され、その結果、軸は管腔を通って伸張し、そしてその結果、ハブおよび縫合ウ
イング要素が、軸に沿って軸方向および軸の周りに回転的の両方で、互いに対し
て移動可能になる。
【００１１】 本発明のある実施態様において、縫合ウイング要素は、ハブが縫合ウイング要
素に対してさらなる移動の自由を有することを可能にする丸まった辺縁を備え、
その結果このハブは、縫合ウイング要素内で「ロック」することが可能である。
【００１２】 一般に本発明によると、「スリップ」ハブ設計は、可撓性カテーテル２（例え
ば、長期留置カテーテル）のために提供され、これは経皮中心静脈カテーテルを
含む。カテーテル２は一般に、図４にその本体の外観が示される。本発明の「ス
リップ」ハブは、減少した直径の断面を有し、これはハブが縫合ウイングに対し
て実質的に制限されない様式で移動することを可能にし、使用時には患者の皮膚
に縫合される。本発明の「スリップ」ハブ設計は、患者の皮膚、カテーテルシャ
フトおよびカテーテルハブの間の曲げ応力をより良く分散する。この「スリップ
」ハブは、カテーテルシャフト接続に対するハブでの曲げ移動を減少し、そして
このようにして、ハブから破損するカテーテルに由来する場所の故障の頻度を減
少する。
【００１３】 図１は、長期留置経皮カテーテル２（これは、本発明の「スリップ」ハブ設計
を含む）である図２の断面Ｂ−Ｂに沿った断面図である。図４に示されるように
、カテーテルシャフト１０は、近位端１２および遠位端１４（これは患者の身体
内に設置するためのものである）を有する。図１および図４に示されるように、
ハブ１６は身体の侵入部位にまたはその近傍に位置決めされ、そして縫合ウイン
グ要素１８はハブ１６を覆ってまたはその周辺に位置決めされる。縫合ウイング
要素１８の一部は、減少した直径を有するハブ１６の一部を取り囲む。すなわち
、縫合ウイング要素１８は管腔を備える第１の部分を有し、そしてハブ１６の減
少した直径の断面２０はこの管腔内部で処分され、その結果、管腔およびハブは
長手方向軸１５に関して同軸になる。縫合ウイング要素１８は、ハブ１６のこの
減少した直径の断面２０に適合するが、ハブ１６および縫合ウイング要素１８の
間で、軸方向および回転方向の両方の相対的な移動を可能にする、いくらかの「
遊び」を有する様式で適合する。このハブ１６は、カテーテル２の一体化した部
分であり得、このカテーテル２およびハブ１６は、互いから切断可能であり得、
すなわちハブ１６は、カテーテル２に対して、その場において互いから実際には
移動できないような方法で組み立てられ得る。異なるアセンブリ、接続／切断、
および製造スキームが一般に公知であり、そして実際のアセンブリの詳細部は一
般に、ハブ１６と縫合ウイング要素１８の間での長手方向および軸方向の両方の
相対的な移動を有する本発明により提供される能力よりも、本発明に対してさほ
ど主要ではない。
【００１４】 縫合ウイング要素１８が患者の皮膚に取り付けられていない（縫合されていな
い）場合、あるいは、患者の皮膚にそれ自身が固定されるアンカー装置に取り付
けられていない場合、縫合ウイング要素１８は、長手方向軸１５の周りでハブ１
６の減少した直径の断面２０内で、実質的に自由にスピンまたは回転し得、そし
てまた、ハブ１６の減少した直径の断面２０の移動範囲内で、前後に（すなわち
、長手方向軸１５に関して軸方向に）実質的に自由に移動し得る。一つの実施態
様において、移動範囲は５ミリメートルまたは約５ミリメートルである。一つの
実施態様において、ハブ１６の減少した直径の断面２０の直径は、約１ミリメー
トルから約３ミリメートルの間であり、好ましくは２ミリメートルまたは約２ミ
リメートルである。縫合ウイング要素１８は、少なくとも一つの予め成形した孔
すなわち穿刺１９を各ウイングの末端の近くに有し、カテーテル２が身体内部で
使用され設置される場合に、患者の皮膚への取り付け（例えば、縫合）が縫合ウ
イング要素１８の固定を保持するのを可能にする。皮膚へ、または皮膚に固定さ
れるアンカー装置へ固定されると、縫合ウイング要素１８は、実質的に静止状態
になり、そして患者および／またはカテーテル２の移動は典型的には、ハブ１６
の軸１５の周りの縫合ウイング要素１８内での回転、およびハブ１６の減少した
直径の断面２０の移動範囲の全てまたは一部を、軸１５に関して前後に軸方向に
移動することをもたらす。縫合ウイング要素１８の別の図が、図２に示される。
【００１５】 使用時に、カテーテルシャフト１０（これは、ハブ１６へおよび典型的にはそ
こを通って伸張する）は、身体の侵入部位（例えば、身体の皮膚の穿刺）を介し
て身体に入る。本発明のカテーテルの一つの実施例は、「スリップ」ハブ設計を
有する経皮中心静脈カテーテルである。経皮中心静脈カテーテルのシャフトの遠
位部分は皮膚およびその下の組織を通り、血管系（例えば、静脈）へと伸張し、
ＳＶＣ／ＲＡ接合部で終結する。「スリップ」ハブ設計のために、このカテーテ
ルは数週間、数ヶ月またはそれ以上の期間中、従来の留置カテーテルに関した機
械的故障が無く、この位置で保持され得る。
【００１６】 したがって、ハブ１６の減少した直径の断面２０は、ハブ１６が縫合ウイング
要素１８に対して実質的に抑制されない様式で前後に（すなわち、軸１５に沿っ
て長手方向または軸方向に）および回転方向に（すなわち、軸１５の周りに）移
動することを可能にする。
【００１７】 図３は、縫合ウイング要素１８が、ハブ１６の減少した直径の断面２０に隣接
する丸まった辺縁２２を有する本発明の実施態様を示す。この丸まった辺縁２２
は、ハブ１６が縫合ウイング要素１８内で「ロック」することを可能にする。他
のハブ設計（図１および図２）も同様に、この代替の設計もまた、カテーテルシ
ャフト接続に対するハブでの曲げ移動を減少させ、そしてこのカテーテルの耐用
年数を延ばすように作用する。
【００１８】 本発明により、ハブ１６と縫合ウイング要素１８との間の相対的な移動を、従
来のカテーテルで可能であった程度より、より大きくすることができる。本発明
を用いると、曲げ力は、ちょうど一つ（ハブに対するカテーテルシャフト）より
も、２つの接合部（ハブに対する縫合ウイング要素およびハブに対するカテーテ
ルシャフト）にわたって分散され得、したがってカテーテルの寿命を伸ばす。一
つの実施態様において、ハブ１６と縫合ウイング要素１８との間の許容される相
対的な移動の量は、１平方センチメートルの患者の皮膚表面よりもずっと少ない
ように制限され得、これは例えば、ＳＶＣ／ＲＡ接合部内のカテーテルの遠位先
端位置に影響をほとんど与えないか全く与えない。しかしこの移動は、従来のカ
テーテルに関して曲げおよび応力を大きく減少させる。
【００１９】 本明細書中に記載されたものの改変、修飾および他の実施は、請求されたよう
な本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に明らかである。した
がって、本発明は前述の例示的な説明でなく、その代わりとして、先の特許請求
の範囲の精神および範囲によって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
図面において、同じ参照番号は、一般に異なる図を通して同一の部分を示す。
さらに、図面は必ずしも縮尺が合っていないが、代わりに一般に本発明の原理を
示す際に用いられることを強調しておく。
【図１】 図１は、本発明の原理を取り入れる図２の長期留置経皮カテーテルの断面Ｂ−
Ｂに沿った断面図である。
【図２】 図２は、図１のカテーテルの断面Ａ−Ａに沿った断面図である。
【図３】 図３は、長期留置経皮カテーテルにおける代替の実施態様の縫合ウイング要素
の部分断面図である。
【図４】 図４は、一般的に留置経皮カテーテルのようなカテーテルを示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 カテーテルであって、以下： 近位端および遠位端を含む伸張した部材であって、該遠位端は身体へ挿入可能
    である、部材； 該伸張した部材の近位端に接続したハブであって、該ハブは減少した直径の断
    面を含み、長手方向軸が該ハブの長さに沿って伸張する、ハブ；および 該身体の外部に固定されるための縫合ウイング要素であって、該縫合ウイング
    要素は侵入部位で、該ハブの該減少した直径の断面の一部を取り囲み、それによ
    って該ハブが、該縫合ウイング要素に対する軸沿いにおよび軸の周りの両方で移
    動することを可能にする、要素 を備える、カテーテル。
  2. 【請求項２】 請求項１に記載のカテーテルであって、ここで、前記縫合ウ
    イング要素が丸まった辺縁を備え、それによって前記ハブが、該縫合ウイング要
    素に対してさらなる自由移動を有することを可能にする、カテーテル。
  3. 【請求項３】 請求項１に記載のカテーテルであって、ここで、前記縫合ウ
    イング要素が、前記身体の皮膚に固定されたアンカー装置に取り付け可能である
    ように構成される、カテーテル。
  4. 【請求項４】 システムであって、以下： カテーテルと共に使用するためのハブであって、該ハブは減少した直径の断面
    を含み、そして該ハブの長さに沿って伸張する長手方向軸を有し、該減少した直
    径の断面が第１の長さを有する、ハブ；および 第１の位置から伸張する管腔およびウイングを伴って、該第１の位置を有する
    縫合ウイング要素であって、該管腔は該第１の長さよりも短い第２の長さを有し
    、該ハブの該減少した直径の断面は管腔内に配置され、その結果、該軸は該管腔
    を通って伸張し、そしてその結果、該ハブおよび該縫合ウイング要素が、該軸に
    沿って軸方向および該軸の周りに回転方向の両方で、互いに対して移動可能であ
    る、要素 を備える、システム。
  5. 【請求項５】 請求項４に記載のシステムであって、ここで、前記縫合ウイ
    ング要素が丸まった辺縁を備え、それによって前記ハブが、該縫合ウイング要素
    に対してさらなる自由移動を有することを可能にする、システム。
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