JP2001518119A - 細胞活性化の選択的阻害剤としてのブラジキニン類似体 - Google Patents

細胞活性化の選択的阻害剤としてのブラジキニン類似体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、トロンビン誘発性血小板及びその他の細胞活性化を阻害するブラジキニンペプチド類似体、組成物類、及び方法を提供する。ブラジキニン類似体は、単一又は複数のペプチドセグメントを含む。本発明はトロンビン誘発性血小板及びその他の細胞の活性化を選択的に阻害する化合物を確認する方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞活性化の選択的阻害剤としてのブラジキニン類似体 政府基金関連 ここに述べる本発明は、一部、米国心、肺、血液協会による基金No.HL3 5553、HL55907、HL52779、及びHL56415による後援を 受けた研究において行われた。政府は本発明に若干の権利を有する。 関連出願の相互参照 本出願は1997年4月23日提出の米国暫定特許出願第60/046,08 5号の恩典を請求ずる。 発明の分野 本発明は、トロンビン誘発性細胞活性化の阻害、並びにトロンビン誘発性細胞 活性化阻害化合物の同定に関するものである。 発明の背景 ブラジキニンは、カリクレイン及びその他の酵素類によって前駆体血漿キニノ ゲン類から遊離する血管活性ペプチドである(シルヴァ(Silva)ら、Amer.J.P hysiol.、156、261−274(1949))。ブラジキニンは、プロスタサイ クリン産生(ホング(Hong,S.L.)、Thromb .Res.、18、787(1980);クラ チュリー(Crutchley)ら、Biochim Biophy Acta、751、99(1983))、 及びプラスミノーゲン アクチベータ類放出の刺激(スミス(Smith)ら、Blood、 66、835(1983))を含む多数の生理的機能を有することが報告されてい る。ブラジキニンはスーパーオキシド生成及び内皮依存性平滑筋過分極を誘発す る(ホランド(Holland,J.A.)、J .Cell Physiol.、143、21(1990);ナ カシマ(Nakashima,M)ら、J .Clin.Invest.、92、2867(1993))。ブ ラジキニンはアセチルコリンと並んで酸化窒素形成の主要誘導剤である(パル マー(Palmer,R.M.J.)ら、Nature、327、524(1987))。ブラジキニ ンは大部分の血管床の血管拡張を起こし、冠動脈循環では血流増加をもたらすこ とが特徴づけられでいる(ライン(Line)ら、J .Mol.Cell Cardiol.、24、9 09(1992))。これら後者の特徴は、ブラジキニンを心臓保護剤として特徴 づける何らかのものと関係する(ラインら、同上;;ゴールク(Gohlke)ら、Hyp ertension 23、411(1994);パラット(Parratt)ら、Cardiovascular Research 28、183(1994);ザンジンガー(Zanzinger)ら、Cardiovascul ar Research 28、209(1994))。アンギオテンシン変換酵素阻害剤によ るブラジキニンの増加が、これら薬剤の心不全に対する有効性のメカニズムであ ると考えられている。 ブラジキニンの親タンパク質、高分子量キニノゲン(HK)及び低分子量(L K)キニノゲンも、ブラジキニンの運搬という役割に加えて、α−トロンビンの 選択的阻害剤(インヒビター)となる能力を有し、α−トロンビンの細胞活性化 能力を、その酵素活性を妨害することなく阻害する(メロニ(Meloni)ら、J .Biol .Chem. 、266、6786(1991);プリ(Puri)ら、Blood、77、500 (1991))。この活性はキニノゲン類の固有の機能(他のタンパク質には帰せ られない機能)であると考えられた。α−トロンビンのヒト天然タンパク質阻害 剤の大部分は、そのプロテアーゼ活性に向けられている。HK及びLKは、α− トロンビンを血小板膜との結合から遮断することによる、トロンビンの血小板活 性化能力の選択的阻害剤(メロニら、同上;プリら、同上)。キニノゲン類のこの 活性はそれらの重鎖上のドメイン3に位置するように見えた。なぜならば分離し たドメイン3がその活性を保有するからである(ジアング(Jiang)ら、J .Biol .Chem. 、267、3712(1992))。 ドメイン3による血小板活性化の阻害は、血小板の、血小板中顆粒内容物の凝 集及び分泌能力の著しい減少によって認められる。顆粒内容物は、止血、血栓形 成、及び炎症反応に関与するタンパク質類を含む。内皮細胞活性化の阻害も同様 に、組織プラスミノーゲンアクチベータ及びフォンウィルブランド因子等の内皮 細胞内容物の分泌の減少によって認められる。 LKのトリプシン消化物から分離したドメイン3も、その親タンパク質HK及 びLKと同様に、トロンビンとその標的細胞との結合をブロックすることによっ て細胞活性化を阻害するように機能する。このポリペプチドは、トロンビン誘発 性血小板活性化の選択的阻害剤である。そのため、ドメイン3のin vitro(イン ビトロ:器内での)投与は、トロンビン以外の生理物質、例えばコラーゲン、ア デノシン二リン酸、エピネフリン及び血小板活性化因子等による血小板活性化の 誘発に影響を与えない。 冠状動脈血栓溶解又は経皮経管冠状動脈血管形成法などの、冠動脈疾患への措 置は、急性冠血管血栓症による死亡率を低下させた。しかし、溶解剤で冠動脈内 血栓溶解をした後の再閉塞率は高い。再閉塞の主因は血小板性血栓である。人工 的ダクロングラフトをヒト動脈に吻合する際、全患者の30%までに手術の数時 間以内に血小板性血栓症が発生する。この予期される高い合併症発生率は、合併 症が付随する更なる手術を必要とすることが多い。従って、血小板性血栓による 再閉塞事象を防止するための更なる治療が必要である。 冠動脈血栓症を予防するための2種類の競合する抗血小板剤が考えられている 。1群の薬剤は、モノクローナル抗体7E3を含み、糖タンパク質IIb/II Ia(GPIIb/IIIa)、インテグリンα11bβ3を阻害することによって血 小板活性化の最終的な一般経路をブロックすることを目的とする。7E3は有効 な薬剤であるが、それはネズミ抗体であり、ヒトでは抗原性である。第2群の抗 血小板剤は、血小板活性化の推定的一次開始剤、α−トロンビンを阻害する。P he−Pro−Arg−クロロメチルケトン(PPACK)、α−トロンビンのタ ンパク分解活性の強力な阻害剤の注入は、血小板機能のおよその尺度である出血 時間を延長する(ハンソン(Hanson,S.R.)ら、Proc .Natl.Acad.Sci.85、 3184−3188(1988))。臨床試験段階に入る、強力なα−トロンビン のタンパク分解の阻害剤の最初の世代は、医学用ヒルから誘導される組換え生成 物、ヒルジンである。分子量が小さく、抗原性はないと考えられているこの化合 物は、強力な抗トロンビン作用を有する。ヒルジンの合成類似体、ヒルログは、 ヒルジンのアニオンエキソサイトI結合特性とPPACKのタンパク分解阻害活 性とを組合わせて有する。第III相臨床試験では両薬剤共、血小板活性化の有 効な阻害剤であった。しかし、有効な抗凝固効果が見られた反面、脳への出血増 加があったため、3つの臨床試験が中止に至った。これらα−トロンビンの非選 択的阻害剤では、抗血栓性有効量が毒性用量に近く、臨床的には耐えられないた め、商業的に意味が無い。 動脈血栓症を防止する理想的な抗血栓剤は、α−トロンビンのタンパク分解活 性を阻害せずに血小板及び内皮細胞の活性化を阻害し、フィブリノーゲンを凝固 させ、タンパク質C、因子XIII、及び因子V及びVIIIを活性化するもの である。2種類の公知のタンパク質、高分子量(HK)及び低分子量(LK)キ ニノゲンのみが、天然に存在する選択的抗トロンビン剤類である(メロニ、エフ 、ジェイ(Meloni.F.J.)ら、J .Biol.Chem.、266、6786−6794(19 91);プリ、アール、エヌ(Puri.R.N.)ら、Blood、77、500−507(19 91))。低分子量及び高分子量キニノゲンは、共にそれらのアミノ末端から12 個のアミノ酸を介しでブラジキニンのカルボキシ末端までが同一のアミノ酸配列 を有する。LK及びHKは共通の重鎖(62kDa)、ブラジキニン(BK)部分( 0.9kDa)、及びLK及びHKの“軽鎖”の各々のアミノ末端部分の最初の 12アミノ酸を共有する(タカガキ(Takagaki,Y.)ら、J .Biol.Chem.、260 、8601−8609(1985);キタムラ(Kitamura,N.)ら、J .Biol.Chem. 、260、8610−8617(1985))。この同一性は残基1から約残基3 83までに相当する。サルベソン(Salbeson)ら、Biochem J.、234、429 (1986);ケラマン(Kellerman)ら、Eur .J.Biochem.、154、471(1 986)。それらは、軽鎖の大きさについて異なっている;LKの軽鎖は4kD a;HKのそれは56kDaである(タカガキら、同上;キタムラら、同上)。 改良された同定法、並びにトロンビンによって誘発される血小板又はその他の 細胞の活性化を特異的に阻害する新しい化合物の同定、及び血小板凝集を防止す る化合物類が必要である。 発明の概要 本発明は、トロンビン誘発性の血小板又はその他の細胞活性化を阻害する方法 であって、このような処置を必要とする個体に対して、トロンビンレセプターを 発現する血小板又はその他の細胞のトロンビン活性化を阻害する化合物を有効量 投与することを含む方法を含み、ここで前記化合物は、構造式、 X1−Arg−Pro−Pro−X2 (I) (ここで、X1は、0から30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、X2のN−末端アミノ酸がグリシンではないという条件で、0 から30個の天然叉は合成アミノ酸である) を有する。 本発明の一実施態様は、構造式Iに従い、X1が0から7個のアミノ酸であり 、X2が0から9個のアミノ酸である化合物を投与することを含む。 本発明の好適実施態様は、構造式Iに従い、X1が配列番号:1のアミノ酸1 −30からの、0から30個のアミノ酸である化合物を投与することを含む。 本発明の最も好適な実施態様は、構造式Iに従い、構造式Arg−Pro−P roを有する化合物を投与することを含む。本発明の他の最も好適な実施態様は 、構造式Iに従い、配列Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(配列番号: 6)を有する化合物を投与することを含む。 本発明は、トロンビン誘発性の血小板又はその他細胞の活性化を阻害する方法 であって、このような処置を必要とする個体に対して、血小板又はその他の細胞 のトロンビンによる活性化を阻害する化合物の有効量を投与することを含む方法 を含み、ここで前記化合物は、アミノ酸配列X1−Arg−Pro−Pro−X2 を有するセグメントを2つ以上含み、そして、前記化合物は、構造式、 L−(X1−Arg−Pro−Pro−X2n (II) (ここで、Lは、共有結合又は化学的な基を含むリンカーであり; X1は、各セグメントで同じであっても異なっていてもよく、0から 30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、各セグメントで同じであっても異なっていてもよく、0から 30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2のN−末端アミノ酸はグリシンではなく;及び nは、2から20までの整数である) を有する。 本発明の一実施態様は、構造式IIに従い、X1が0から7のアミノ酸であり 、 X2が0から9個のアミノ酸である化合物を投与することを含む。 本発明の他の実施態様は、構造式IIに従い、構造式、 L−(Arg−Pro−Pro−X2n を有する化合物を投与することを含む。 好適一実施態様ば、構造式IIに従い、構造式、 を有する化合物を投与することを含む。 更に他の好適実施態様は、構造式IIに従い、構造式、 を有する化合物を投与することを含む。 本発明は更に、血小板凝集を防止する方法であって、このような処置を必要と する個体に対して構造式I、II又はIIIに従う化合物の有効量を投与するこ とを含む方法を含む。 本発明は更に、in vivo(インビボ:生体内)にてADP誘発性の血小板の活 性化を阻害する方法であって、このような処置を必要とする個体に、構造式I、 II、又はIIIに従う化合物の有効量を投与することを含む方法を含む。 本発明は更に構迄式I、II、又はIIIによる化合物も含む。好適実施態様 において、前記化合物は、構造式、 を有する。 他の好適実施態様は、構造式IIIに従う化合物である。 本発明は更に、薬物学的に容認される担体及び構造式I、II、又はIIIに 従う化合物を含む医薬組成物を含む。 本発明は、構造式I、II、又はIIIによる化合物を使用して、トロンビン 誘発性の血小板又はその他の細胞の活性化を阻害する薬剤、又は血小板凝集を阻 害する薬剤を調製することも含む。 本発明は更に、トロンビン誘発性の血小板及びその他の細胞の活性化を選択的 に阻害する化合物を同定する方法であって、前記化合物の、トロンビンレセプタ ー上のトロンビン開裂部位への結合能力を測定することを含む方法も提供する。 好適実施態様において、前記化合物は、コンビナトリアル(combinatorial)ラ イブラリーに存在する。より好適な実施態様において、上記方法は、(a)前記 化合物のトロンビン誘発性の血小板凝集の阻害能力を測定し;(b)前記化合物の 線維芽細胞におけるトロンビン誘発性のカルシウム動員の阻害能力を測定するこ とを更に含む。 図の説明 図1は、RPPGF(配列番号:7)のin vivo(インビボ:生体内での)注 入後、ex vivo(生体外での)ウサギ血小板のγ−トロンビン誘発性血小板凝集 の長時間にわたる阻害を示す。 図2は、γ−トロンビン単独(対照)、及びBK類似体Arg−Pro−Pro (50μM)を加えた血小板リッチ−血漿におけるヒト血小板のγ−トロンビン 誘発性凝集のアグレゴメータ(凝集検出計)曲線を示す。 図3は、γ−トロンビン単独(対照)、ペプチドArg−Pro−Pro−Gl y−Phe(配列番号:7、125μM)、RPPヘテロダイマーペプチド(75 μM)、及びRPP MAP−4ペプチド(25μM)を添加したヒト血小板のγ −トロンビン誘発性凝集のアグリゴメーターの曲線を示す。 図4は、ビオチニル化−NAT12(配列番号:2)の、RPPGF(配列番 号:7)、RPPGC(配列番号:9)、RPP MAP−4、LNA7(配列番号 :8)、FSPFR(配列番号:10)、又はウシ血清アルブミン(BSA)に対 する直接結合を示す。 図5は、ミクロタイタープレートにおいて融合するまで増殖させた線維芽細胞 上のα−トロンビン誘発性カルシウム動員(パネルA)、及びHK(高分子量キニ ノゲン)(パネルB)、RPPGF(配列番号:7、パネルC)及びRPP(パネ ルD)によるα−トロンビン誘発性カルシウム動員の阻害を示す。 図6は、ミクロタイタープレートにおいて融合するまで増殖させたヒト臍静脈 内皮細胞(HUVEC)上のα−トロンビン誘発性カルシウム動員(パネルA)、 及びHK(高分子量キニノゲン)(パネルB)、RPP MAP−4(パネルC)、 及びRPPGF MAP−4(パネルD)によるα−トロンビン誘発性カルシウ ム動員の阻害を示す。 発明の詳細な説明 定義 “天然アミノ酸”とは、一般にはペプチド類、ポリペプチド類及びタンパク質 類を形成する20種類の一次、天然に存在するアミノ酸類のいずれかを意味する 。 “合成アミノ酸”とは、合成で調製されたか、天然源に由来するかには関係な く、その他の如何なるアミノ酸をも意味する。ここに用いる“合成アミノ酸”は 、これに限定されるものではないが塩類、誘導体類(アミド等)及び置換体を含 む、化学的に修飾されたアミノ酸をも包含する。 “ヒトキニノゲン”とは、特に記載のない限り、ヒト血漿、血小板、内皮細胞 、顆粒球、又は皮膚又はその他の組織又は器官に由来する全ての様々な形態にお ける、高分子量及び低分子量両方の形態の如何なるキニノゲン分子(それが体液 又は組織相のどちらに見いだされるかには関係ない)をも意味する。 “軽鎖”は、ヒトキニノゲンについて或は関して用いる場合は、総キニノゲン 欠乏血漿における凝固欠陥を矯正することができる、HKの56kDa中間血漿 カリクレイン開裂断片を意味する。 “重鎖”は、ヒトキニノゲンについて或は関して用いる場合は、ブラジキニン 及び“軽鎖”のない、HK又はLKの64kDaカリクレイン開裂断片を意味す る。 “ドメイン3”は、キニノゲン重鎖に関する場合は、約21kDaのヒトキニ ノゲン重鎖のトリプシン開裂断片を意味する。 “ブラジキニン”(BK)は、配列番号:5の配列を有するノナペプチドを意 味する。 “BK類似体”は、ノナペプチドであるブラジキニンの配列の全部又は一部に 類似したアミノ酸配列を含む化合物を意味する。この化合物は、α−トロンビン が血小板及び他の細胞上におけるそのレセプターを開裂するのを阻害することが でき、それによってそのペプチドは、トロンビンレセプター上のSPAN12エ ピトープの変化又は喪失を妨げる、トロンビンレセプター上のα−トロンビン開 裂部位にわたるペプチドであるNAT12(配列番号:2)の開裂をブロックす る。 “ヘテロダイマー”とは、リンカー(linker)によって結合した2つの 異なる単一鎖BK類似体を含む化合物を意味する。 “ホモダイマー”とは、リンカーによって結合した2つの同一の単一鎖BK類 似体を含む化合物を意味する。“対称的ホモダイマー”とは、単一鎖BK類似体 類における同じ位置を占めるアミノ酸をリンカーが結合しているホモダイマーを 意味する。“非対称的ホモダイマー”とは、リンカーが単一鎖BK類似体類にお ける異なる位置を占めるアミノ酸類を結合しているホモダイマーを意味する。略語 本発明の主題の命名法の幾つかは長い用語を含む。当業者はこれらの用語を当 業者に公知の方法で省略することが習慣である。これらの一般的及び習慣的略語 を以下に示し、この明細書の本文に使用することができる。 ATAP138:トロンビンレセプター上のエピトープに特異的なモノクロー ナル抗体。そのエピトープは上記レセプターのα−トロンビン開裂後、保存され る BK:ブラジキニン D3:キニノゲンのドメイン3 EDTA:エチレンジアミン四酢酸 FITC:フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate ) HBTU:2−(1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3 −テトラメチルウロニウムヘキソフルオロホスフェート(2-(1-H-benzotriazole- 1-YL)-1,1,3,3-tetramethy-uroniumhexofluorophosphate) HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール HK:ヒト高分子量キニノゲン LK:ヒト低分子量キニノゲン NAT12:トロンビンレセプター上のα−トロンビン開裂部位にわたるペプ チド配列、Asn−Ala−Thr−Leu−Asp−Pro−Arg−Ser −Phe−Leu−Leu−Arg(配列番号:2) PGEI:プロスタグランジンE1 SPAN12:トロンビンレセプター上のα−トロンビン開裂部位にわたる配 列、Asn−Ala−Thr−Leu−Asp−Pro−Arg−Ser−Ph e−Leu−Leu−Arg(配列番号:2)に特異的なモノクローナル抗体 TRAP:アミノ酸配列Ser−Phe−Leu−Leu−Arg−Asn( 配列番号:4)を有するトロンビンレセプター活性化ペプチド 本発明は、選択的抗トロンビンとして作用するBK類似体、ブラジキニン配列 関連類似ペプチド類の使用によって血栓症を予防する方法に向けられている。B K類似体は選択的抗トロンビンである。なぜならば、それらはα−トロンビンの 、その種々の基質、例えばフィブリノーゲン及び因子XIIIなどをタンパク分 解する能力を妨害することなく、ヒトα−トロンビン及びγ−トロンビンが血小 板及びその他の細胞類を活性化するのを阻害することができるからである。最も よく知られているトロンビン阻害剤、ヒルジン、ヒルログ及びPPACKは、そ のタンパク分解活性の全てをブロックすることによってα−トロンビン活性を阻 害する。これらのタンパク分解阻害剤類を使用してα−トロンビンの血小板活性 化を阻害すると、過度の抗凝固効果及び出血がある可能性がある。本発明の方法 に用いられるBK類似体は、α−トロンビンのその他の基質に対する酵素活性、 例えばフィブリノーゲンのタンパク質分解及び因子XIIIの活性化等を妨害せ ずに、トロンビン誘発性細胞活性化(例えば血小板活性化、有糸分裂促進)を阻 害 することができる。BK類似体は、冠動脈血栓症及び卒中において起きる動脈閉 塞の予防に用いることができる。 本発明のBK類似体は、100mg/dlフィブリノーゲンの存在下において 、及び血小板リッチ−血漿(血小板に富む血漿:platelet-rich plasma)中にお いて1nMのγ−トロンビンによる血小板活性化をブロックする。 本発明のBK類似体は、無傷(intact)キニノゲン及びその分離ドメイン3と 同じメカニズムによって血小板活性化を阻害するとは思われない。なぜならば、 BK類似体は、125I−α−トロンビンの血小板への結合を、過剰モルの精製H K、LK、又は分離ドメイン3のようには阻害しないからである。 如何なる理論によっても束縛されることを意図するものではないが、本発明の BK類似体は、α−トロンビンが、血小板及びその他の細胞上に発現するそのレ セプターを開裂するのを阻害することによって、血小板及びその他の細胞の活性 化を阻害すると考えられる。このように、BK類似体は、トロンビンレセプター の開裂、及びその後の、開裂されたレセプターの新しいアミノ末端の露出による 血小板の活性化をブロックすることによって、トロンビン誘発性血小板活性化を 阻害する能力を有する。 ここに記載されるようなBK類似体の投与は、血小板、内皮細胞、脳細胞、線 維芽細胞、平滑筋細胞、又はトロンビンレセプターを発現するその他の細胞のト ロンビン誘発性活性化を阻害する治療法となる。この機能は、血小板性血栓形成 、及びトロンビンレセプターによって仲介されるその他の諸活性を阻害する。 トロンビンレセプターペプチドNAT12及びモノクローナル抗体SPAN1 2及びATAP138は、例1にて説明するように、本発明の化合物、組成物及 び方法を特徴づけるために役立つ。NAT12は配列Asn−Ala−Thr− Leu−Asp−Pro−Arg−Ser−Phe−Leu−Leu−Arg( 配列番号:2)を有し、それはトロンビンレセプター上のα−トロンビン開裂部 位にわたっている。 トロンビンレセプター、SPAN12及びATAP138に対するモノクロー ナル抗体は、ペンシルバニア大学のローレンス、エフ、ブラス博士(Dr.Lawren ce F.Brass)から得たものであり、ブラスらの方法(J .Biol.Chem.、267 、1 3795(1992))によって調製された。モノクローナル抗体SPAN12は 、トロンビンレセプター上のα−トロンビン開裂部位を架橋する12個のアミノ 酸、Asn−Ala−Thr−Leu−Asp−Pro−Arg−Ser−Ph e−Leu−Leu−Arg(配列番号:2)に対して作成された。モノクロー ナル抗体ATAP138は、α−トロンビンによる開裂後に保存されているトロ ンビンレセプター上のエピトープ、Asn−Pro−Asn−Asp−Lys− Tyr−Glu−Prc−Phe(配列番号:3)を識別する。α−トロンビン がトロンビンレセプターを開裂するとき、それはSPAN12抗体によって識別 されるエピトープを排除するが、ATAP138抗体によって識別されるエピト ープを排除しない。 ヒトキニノゲン重鎖の完全配列はケラーマン(Kellerman)ら、Eur .J.Bioch em. 、154、471−478(1986)に見いだされる。その全開示は参照 により、本明細書に援用する。キニノゲンアミノ酸残基333から396にわた るヒトキニノゲン親セグメントのアミノ酸配列が、本明細書では配列番号:1と して記載されている。コアペプチド配列Arg−Pro−Proは、キニノゲン アミノ酸残基363−65に対応する。 本発明にると、一般構造式、 を有する天然発生又は合成アミノ酸(Rは水素原子又は有機側鎖である)を、コ ア配列Arg−Pro−Proを含むペプチドのカルボキシル又はアミノ末端に 付加し、鎖伸長類似体を形成する。コア配列のカルボキシル又はアミノ末端に3 0個までのアミノ酸を加えることができる。好適には、0から7個のアミノ酸を コア配列のアミノ末端に加え、0から9個のアミノ酸をコア配列のカルボキシル 末端に加える。本発明に含まれるBK類似体の例は、配列Arg−Pro−Pr o−Ala−Pheを有するBK類似体、配列番号:6である。他の例は、トリ ペプチドArg−Pro−Proである。 本発明の一実施態様によると、BK類似体は配列X1−Arg−Pro−Pr o−X2を有する。ここでX1はキニノゲン重鎖親セグメントのアミノ末端からの 0から30個のアミノ酸(配列番号:1のアミノ酸1−30)であり、そしてX 。のN末端アミノ酸がグリシンでないという条件で、X2は0から30個の天然 又は合成アミノ酸である。 本発明の他の実施態様において、BK類似体は配列X1−Arg−Pro−P ro−X2を有する。ここでX1はキニノゲン重鎖親セグメントのアミノ末端から の0から7個のアミノ酸(配列番号:1のアミノ酸24−30)であり、X2の N末端アミノ酸がグリシンでないという条件で、X2は0から9個の天然又は合 成アミノ酸である。 本発明の他の実施態様によると、2つ以上の単一鎖BK類似体が1つ以上のリ ンカー、L、によって結合し、ホモダイマー、ヘテロダイマー、トリマー又はそ の他のマルチマー(multimer)を形成する。上記リンカーは共有結合でも化学的 な基でもよい。結合できる単一鎖BK類似体の数は2から32である。好適には 、結合するBK類似体の数は2から20、より好適には2から8であり、最も好 適には2から4である。結合すべきBK類似体は同じものであっても異なっても よい。ヘテロダイマーは2つの異なる単一鎖BK類似体を含み、ホモダイマーは 2つの同一の単一鎖BK類似体を含む。マルチマーは対称的でも非対称的でもよ い。“対称的ホモダイマー”は、リンカーが、単一鎖BK類似体における同じ位 置を占めるアミノ酸を結合するホモダイマーを意味する。“非対称的ホモダイマ ー”とは、リンカーが、単一鎖BK類似体における異なる位置を占めるアミノ酸 を結合するホモダイマーを意味する。 2つの単一鎖BK類似体を結合する共有結合の例は、システインアミノ酸を含 む2つの単一鎖BK類似体の酸化によって形成されるジスルフィド結合である。 この場合、最初に親ペプチドを修飾して、上記ペプチドが適切な位置にCys残 基を含むようにする必要があり得る。次に述べるようにして単一鎖BK類似体上 のシステイン残基を酸化してBK類似体ダイマーを形成することができる。即ち 、単一鎖ペプチド1mgを0.1%(v/v)17.5mM酢酸、pH8.4、1. 5mlに溶解し、窒素を流し込み、その後0.01MのK2Fe(CN)6を流し 込む。室温で1時間インキュベーション後、ダイマーペプチドをHPLCによっ て 精製する。 2つの単一鎖BK類似体を結合するために適した共有結合のもう一つの例は、 1つの鎖上のリジンアミノ酸残基のアミノ基と、もう一つの鎖のグルタミン酸又 はアスパラギン酸のアミノ酸残基のカルボン酸基とを反応させることによって形 成されるアミド結合である。 或いは、架橋剤を用いて、2つの単一鎖BK類似体間の共有結合によって、結 合基を形成することができる。例えば、ホモダイマー及びヘテロダイマーを合成 するためには、先ずケロニス(Cheronis)らの方法、J .Med.Chem.、37、34 8(1994)、によってS−(−N−ヘキシルスクシンイミド)修飾ペプチドモ ノマー類を合成する。上記修飾ペプチドモノマーの前駆体であるN−ヘキシルマ レイミドは、N−(メトキシカルボニル)マレイミド及びN−ヘキシルアミンか ら、これら化合物を飽和NaHCO3中で0℃で、ボダンスキー及びボダンスキ ー(Bodanszky)の方法(“ペプチド合成の実際(The Practice of Peptide Synt hesis)”、Springer-Verlag、ニューヨーク、pp29−31(1984))によ って混合することにより合成される。生成した反応混合物を酢酸エチルに抽出し 、水で洗い、Na2SO4上で乾燥することによって分離した後、真空中で濃縮す るとN−ヘキシルマレイミドが淡黄色油として生成する。次に、システイン含有 ペプチド(モノマー)及びN−ヘキシルマレイミドから、ペプチド1部とN−ヘ キシルマレイミド1.5部をジメチルホルムアミド中で(3.3ml/mMペプチ ド)混合した後、30容量の0.1M炭酸水素アンモニウム(重炭酸アンモニウム )、pH7.5を加えることによって、S−(N−ヘキシルスクシンイミド)−修 飾ペプチドモノマー類が合成される。この方法で行われたS−アルキル化反応は 30分で完了する。生成S−(N−ヘキシルスクシンイミド)修飾ペプチドモノ マーを分離用逆相HPLCによって精製した後、凍結乾燥して、綿毛状の白色粉 末を得る。 ビススクシンイミドヘキサンペプチドダイマーは、ホモダイマー又はヘテロダ イマーとして、ケロニス(Cheronis)らの方法(同上)により、それぞれ同じ又 は異なる位置のシステイン置換ペプチドから調製される。ビスマレイミドヘキサ ン1部とペプチドモノマー2部との混合物をジメチルホルムアミド(3.3ml/ mMペプチド)中で調製した後、0.1M炭酸アンモニウム、pH7.5、に加え る。この反応混合物を室温で撹拌し、通常30分以内に完了する。その後、ビス スクシンイミドヘキサンペプチドダイマーを分離用逆相HPLCによって精製す る。凍結乾燥した後、その物質を綿毛状の白色粉末で得る。 本発明の共有結合で架橋されたBK類似体ダイマーは、ホモ二官能価架橋試薬 、例えばジスクシンイミジルタータレート、ジスクシンイミジルスベレート、エ チレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)、1,5−ジフルオロ− 2,4−ジニトロベンゼン(“DFNB”)、4,4’−ジイソチオシアノ−2, 2’−ジスルホン酸スチルベン(“DIDS”)、及びビスマレイミドヘキサン( “BMH”)などを用いて調製できる。架橋反応は単一鎖BK類似体間にランダ ムに起きる。 或いは、ヘテロ二官能価架橋試薬を用いてもよい。このような試薬は、例えば N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(“SPDP ”)、スルホスクシンイミジル−2−(p−アジドサリチルアミド)エチル−1 −3’−ジチオプロピオネート(“SASD”、ピアス・ケミカル・カンパニー( Pierce Chemical Company)、ロックフォード、IL)、N−マレイミドベンゾイ ル−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル(“MBS”)、m−マレイミド ベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(“スルホ−MBS”)、N−スクシン イミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(“SIAB”)、スクシン イミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレー ト(“SMCC”)、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレ ート(“SMPB”)、スルホスクジンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベ ンゾエート(“スルホ−SIAB”)、スルホスクシンイミジル−4−(N−マレ イミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(“スルホ−SMCC”) 、スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(“ スルホ−SMPB”)、ブロモアセチル−p−アミノベンゾイル−N−ヒドロキ シ−スクシンイミジルエステル、ヨードアセチル−N−ヒドロキシスクシンイミ ジルエステル等を含む。 ヘテロ二官能価架橋では、第一の単一鎖BK類似体を例えば二官能価試薬のN −ヒドロキシスクシンイミジル部分で誘導体化し、誘導体化BK類似体をゲル濾 過によって精製する。次に、第二の単一鎖BK類似体(第一のBK類似体と同じ でも異なっていてもよい)を前記二官能価試薬の第二官能基と反応させ、BKダ イマーの成分間の結合の直接配列を確実にする。 タンパク質−タンパク質結合体の形成のための典型的ヘテロ二官能価架橋剤は 、一官能基としてアミノ反応性N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS −エステル)と、もう一つの官能基としてスルフヒドリル反応性基を有する。先 ず、単一鎖BK類似体の表面リジン残基のイプシロン−アミノ基を、上記架橋剤 のNHS−エステル基でアシル化する。遊離スルフヒドリル基を有する第二の単 一鎖BK類似体を架橋剤のスルフヒドリル反応性基と反応させて共有結合性架橋 ダイマーを形成する。一般的チオール反応基はマレイミド類、ピリジルジスルフ ィド類、及び活性ハロゲンを含む。例えば、MBSはアミノ反応基としてNHS −エステルを含み、スルフヒドリル反応基としてマレイミド部分を含む。 光活性ヘテロ二官能価架橋剤、例えば光反応性フェニルアジド類も使用するこ とができる。このような試薬の一つ、SASDは、単一鎖BK類似体に、そのN HS−エステル基を介して結合する。結合反応は、pH7で室温において約10 分間行われる。架橋剤対BK類似体のモル比は約1から約20の間とし得る。 精製した誘導体化BK類似体を、BK類似体に親和性を有する基質(マトリッ クス)、例えばBK類似体に対して作成されたポリクローナル抗体を用いるアフ ィニティークロマトグラフィーによって集める。この目的のための抗体は、1− エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)一カルボジイミド−HClを用い て、BK類似体を、キーホールリンペットヘモシアニン(key hole limpet hemoc yanin)に連結することによって作成してもよい(グッドフレンド(Goodfriend)ら 、Science、144、1344(1964))。生成した結合物を用いて、ミュラー − 88))によってウサギを免疫し、抗BK類似体抗体を作る。精製抗体をAFF IGEL10(バイオ−ラド(Bio-Rad)、リッチモンド、CA)に結合して、ア フィニティーカラムを形成する。固定化抗BK類似体抗体を、それに結合した誘 導体化BK類似体と共に、0.2Mグリシン溶出によってそのカラムから取り出 し、第二の単一鎖BK類似体溶液に懸濁させる。紫外線源(例えばミネラライト UVSL−25、ウルトラバイオレット・プロダクツ社(Ultra Violet Products ,Inc.)、 サンガブリエル、CA)を緩やかに撹拌している懸濁液から1cmの場所に置き 、長波長領域で約10分間照射する。懸濁液を抗BK類似体抗体アフィニティー カラムにもどし、0.15MNaCl、0.1%ウシ血清アルブミン、0.01% ポリソルベート80及び25KIU/mlアプロチニンを含む緩衝液で洗い、反 応副生物を除去する。共有結合架橋ダイマーを、0.2Mグリシン又は5Mグア ニジンを含む同じ緩衝系で溶出する。溶出したダイマーを緩衝液に対して透析し 、カオトロピック剤を除去する。 上記のように紫外線照射下におけるBK類似体との反応、及びその反応混合物 のクロマトグラフィーの後、共有結合した架橋ダイマーを0.2Mグリシン又は 5Mグリシンで溶出ずる。 上記の方法はSASDを用いるが、β−エチル−1,3−ジチオプロポピオネ ート部分よりはむしろ例えばα−ヘキサノエートなどを含む開裂性架橋剤、非開 裂性架橋剤を用い得る。MSBは非開裂性架橋剤の一例である。 単一鎖BK類似体は自動合成を用いる一般的固相ペプチド合成法によって調製 し得る。或いは、BK類似体を組換えDNA法によって調製し得る。BK類似体 をコードする遺伝子を構成し、適切なクローニングベクターを用いて適切なホス トに導入する。このように、本発明は、ペプチド合成法によって合成されるBK 類似体の使用に限らず、組換え法によって作成されるポリペプチドも含むことを 理解されたい。 更に、このような組換え技術の利用によって、当業者は関連DNAの部位特異 的突然変異等の方法を用いてその他のBK類似体を調製ことができる。その際、 単一又は複数のアミノ酸変化、付加又は欠損を含むように、アミノ酸配列を変更 し得る。 このような配列変更は、生成した分子が実質的にトロンビン誘発性細胞活性化 を阻害する能力を保有する場合、本発明の範囲内に含まれる。 その他のBK類似体は、複数のペプチド類似体を示すコンビナトリアルライブ ラリー(組合せライブラリー:combinatorial library)をスクリーニングする ことによってによって確認できる。一例として、分解オリゴヌクレオチド類(de genarate oligonucleotide)を用いて微生物(例えばバクテリオファージ、 細菌、酵母など)表面上に異種ペプチド類(heterologous peptide)を表させる ことができる。このような一方法は、DNA配列(NNK)nを発現するディス プレイライブラリー(display library)を用いる。このDNAは、アミノ酸配 列(Xaa)n(これはnアミノ酸を有する全てのペプチドを含む)をコードす る。可能なペプチドの数(20の天然アミノ酸を用いる)は20nである。この ような微生物のライブラリーは、先ず、例2に示すように、クローン化トロンビ ンレセプター又はNAT12ペプチドとの結合性についてスクリーニングされる 。結合アッセイで活性を有するペプチドを、例1に記載のin vitro(インビトロ :器内での)機能アッセイの一つを用いてスクリーニングする。In vitro機能ア ッセイにおける活性は、例3に示すように、in vivo(インビボ:生体内での) 活性を推定する。in vitro機能アッセイにおいて活性を示す新しいBK類似体の 安全性及び効果を動物及びヒト臨床試験で試験する。 コンビナトリアルライブラリーは、固相基質支持体上に作成し、トロンビンレ セプター上のトロンビン開裂部位に結合する能力をスクリーニングすることもで きる。(1)トロンビン誘発性血小板凝集を阻害し、(2)トロンビンレセプタ ー上のトロンビン開裂部位に結合し、及び(3)線維芽細胞のトロンビン誘発性 カルシウム動員(mobilization)を阻害する化合物類のためのコンビナトリアル ライブラリーをスクリーンすることが特に好都合である。このコンビネーション スクリーニング法(組合せスクリーニング:combination screening)は、トロ ンビン誘発性血小板及ぴその他の細胞の活性化の選択的阻害剤である化合物を確 認する。コンビナトリアルライブラリーを作成し、スクリーニングするその他の 方法は当業者には公知である。 精製したBK類似体を、トロンビン誘発性又はADP誘発性血小板活性化又は 血小板凝集の阻害が要求される場合に投与できる。BK類似体を、何らかの原因 で血小板性血栓症にかかっている個体に投与し、人工的ダクロングラフト及びス テントの挿入のために手術又はカテーテル挿入を受ける個体に予防的に用いて血 小板血栓による再閉塞事象を防止することもできる。卒中及び脳浮腫を防止する ためにBK類似体を注入してもよい。 BK類似体は、静脈内投与、鼻内及び経口投与、並びに皮膚パッチ又は直腸座 剤などを含む、実質的に血流への供給をもたらす、如何なる一般的手段によって も投与できる。鼻内投与も用いられるとはいえ、現在のところ静脈内投与が好適 投与経路と考えられている。BK類似体は水に溶けるため、それらは溶液として 効果的に投与できる。実際の投与量は患者の身長及び体重、その治療の性質が予 防的であるか又は治療的であるか、患者の年齢、健康及び性別、投与経路、及び その他の要因を考慮する。当業者は患者の特殊な事情及び要求に合わせて適切な 用量及び投与スケジュールを導き出すことができる。本発明のBK類似体に関連 するBK類似体を用いたin vivoクリアランス試験に基づいた活性成分の効果的 1日用量は、体重70kgあたり1日約0.1から約10gである。効果的1日 用量は体重70kgあたり約1から約5gであるのが好ましい。好適実施態様に おいて、体重70kgあたり1日約3g用量を、単回(単一ボルス)注入として 2.4g、その後0.025g/時間の連続注入によって投与する。 投与するBK類似体の量は、所望の血小板活性化又は凝集の阻害程度にも依存 する。1日投与量3gを得るためのBK類似体の注入が好都合に用いられるが、 必要に応じてそれより多い又は少ないペプチドを投与してもよい。治療的終点は 、凝集、分泌、血管透過性、及び出血によって血小板機能をモニターすることに よって決められる。所望静脈内濃度を得るために投与するBK類似体の実際量及 び治療の長さは、当業者は日常的方法で容易に決められる。 BK類似体は、薬物学的に容認される担体との混合物である医薬組成物の形で 投与できる。医薬組成物は一般的医薬品処方技術によって配合される。担体は投 与に望ましい製剤型によって様々な形をとり得る。非経口的に投与される組成物 では、担体は一般的に滅菌水を含んでなる。但し、溶解を補助する、又は保存目 的のその他の成分も含めることができる。適切な液体担体、懸濁剤などを用いる 注射用懸濁液も調製できる。好適な非経口投与経路は静脈内投与である。 静脈内投与の場合、BK類似体を、例えば生理的条件に適合する緩衝されたp Hを有する、滅菌塩化ナトリウム等の生理的に適合する物質を含む適切な静脈内 運搬担体(vehicle)に溶解する。このような静脈内運搬担体は当業者には公知 である。 以下の例は本発明の実施を説明する。これらは説明のための例であり、本発明 の範囲を制限するものではない。 例1 in vitro機能アッセイ 機能アッセイを用いて、本発明による方法及び化合物の相対的阻害効率を評価 する。これらのアッセイでは、天然(native)BK(配列番号:5)、BK断片A rg−Pro−Pro−Gly−Phe(配列番号:7)、又はその他のBK類似 体を陽性対照ペプチドとして用いる。A. 血小板凝集阻害 ヒト血小板凝集試験では、ヒト血液50mlを、0.013Mクエン酸ナトリ ウム5mlを含む注射器に集めた。抗凝固血液を室温で180×gで10分間遠 心分離した。血小板リッチ−血漿が上澄液であった。血小板リッチ−血漿の血小 板凝集試験をアグレゴメータ(凝集検出計)のキュベット中でγ−トロンビンを 用いて行った(血液学テクノロジー、エセックス ジャンクション、VT)。アグ レゴメータの標準化後、“完全な血小板凝集をおこす最小濃度”と定義される、 γ−トロンビンの投与量閾値を血小板リッチ−血漿の各試料で確認した。典型的 には、投与量閾値は5〜30nMの間であった。 種々の濃度の被検ペプチドをアグレゴメータのキュベット中の血小板リッチ− 血漿に加えた。γ−トロンビンの添加によって血小板凝集を引き起こした。血小 板凝集程度を、血小板リッチ−血漿の撹拌懸濁液を通る光透過の増加を測定する (任意の単位にて)ことによって決定した。 対照実験においで、BK断片配列番号:7は、1mMペプチドの濃度でγ−ト ロンビン誘発性(20nM)血小板凝集を阻害した。B. 血小板凝集及び分泌の阻害 同時に行われる血小板凝集及び分泌試験では、新鮮な全血を集め、クエン酸ナ トリウムと混合した(最終濃度0.013M)。血小板リッチ−血漿をメロニ(Mwl oni)らの方法(J .Biol.Chem.、266、6786、1991)によって調製 した。セファロース2Bカラム上でヘペス−タイロード(HEPES−Tyro de)の緩衝液(20mMグルコース及び0.2%ウシ血清アルブミンを含む、 0.137MNaCl、3mMKCl、0.4mM NaH2PO4、12mM Na HCO3、1mM MgCl2、14.7mM Hepes、pH7.35)を用いて ゲル濾過することによって、洗浄済み血小板を調製した。血小板をシュマイエル (Schmaier)らの方法(Blood、56、1013、1980)により、5−[14C ]ヒドロキシトリプタミンと共に37℃で30分間インキュベートした。洗浄済 み血小板(最終濃度2×108/ml、5−[14C]ヒドロキシトリプタミンで 放射標識した)をアグレゴメータ(クロノログ社(Chronolog Corp.)、ヘイバー タウン、PA)のキュベットに加え、メロニらのプロトコル(同上)を用いて標 準化した。ZnCl2の添加後、最終濃度50μMの精製HK(1μM)又は種 々濃度のペプチド(0.1から3mM)又は緩衝液のみをそのキュベットに加え た。ベースラインが安定したとき、α−トロンビン[0.125U/ml(1n M)最終濃度]を加え、血小板活性化を開始した。撹拌下の血小板をα−トロン ビン及び添加物と共に1分間インキュベートした。その他の実験において、血小 板をTRAP(0.625から2.5μM)、ADP(1−5μM)(シグマ(Sigma) )、コラーゲン(1.25μg/ml)(ホルム(Horm)、ミュンヘン、ドイツ)、又 はU−46619(1μM)(カルバイオケム ベーリング(Calbiochem Behring) 、サンディエゴ、CA)で刺激した。ヒトフィブリノゲン(100mg/dl) の存在下でγ−トロンビン(1nM)で刺激された洗浄済み血小板で追加実験を 行った。γ−トロンビン及びヒトフィブリノゲンは両方共エンザイム・リサーチ ・ラボラトリーズ(Enzyme Research Laboratories)、サウスベンド、IN、から 購入した。インキュベーションの終わりに、全血小板サンプルを0.135mM ホルムアルデヒド−EDTA、5mM EDTA溶液(血小板懸濁液4部に対し ホルムアルデヒド1部)上で10,900×gで遠心分離し、氷上に保存し、上 澄液のアリコート(一部)について5−[14C]ヒドロキシトリプタミン分泌を 試験した。未刺激サンプルの上澄液中の5−[14C]ヒドロキシトリプタミンの レベル を両方から差し引いた後の、未刺激血小板の血小板懸濁液中の総5−[14C]ヒ ドロキシトリプタミンに対する、アゴニスト処理された試料の上澄液の5−[14 C]ヒドロキシトリプタミン損失の比によって分泌パーセントを決定した。アゴ ニスト導入後最初の1分間に、血小板凝集を光透過性の最初の変化率として任意 の単位で測定した。 対照実験においで、天然(native)BK(配列番号:5)は、α−トロンビン 誘発性(1nM)血小板活性化を阻害した。その際、100%凝集及び分泌阻害 に対するIC50はそれぞれ0.25mM及び1.0mMであった。C. α−トロンビン誘発性カルシウム動員の阻害 カルシウム動員試験では、細胞質のフリーCa2+濃度([Ca2+]i)を、蛍光 Ca2+インジケータ フラ−2 アセチルオキシメチルエステル(フラ−2(fula -2)AM、モレキュラープローブ社(Molecular Probes,Inc.)、オイゲン、OR )を用いて測定した。ラスマッセン(Rasmussen)らの方法(J .Biol.Chem.、2 68、14322、1993)により、1μMフラ−2AMと共に37℃で45 分間インキュベートすることによって、HEPES−タイロード緩衝液中のゲル 濾過した血小板にフラ−2を担持させた。標識された血小板をその後再びゲル濾 過し、過剰のプローブを除去した。標識された血小板懸濁液のアリコートをマグ ネチックスターラー(磁気撹拌機)を備えた石英キュベットに移し、それをその 後蛍光分光測定器(デュアルウエーブレングス シマヅSP5000スペクトロ フルオロメーター、シマヅ USA、ピッツバーグ、PA)の、サーモスタット で37℃に調温されたチェンバーに移した。試薬類を直接キュベットに加えた。 励起波長は340から380nmまでの範囲であった。蛍光は、フィッシャー( Fisher)らが報告したように(Mol .Pharm.、35、195(1989))、510 nmにおける発光を記録することによって測定した。最小発光を20mMジギト ニン、10mM EGTA可溶化血小板サンプルで測定した。最大発光は、同じ サンプルで10mN Ca2+を加えて測定した。血小板内フリーCa2+濃度はグ リキーウィツ(Grykiewicz)らの方法(J .Biol.Chem.、260、3440、1 985)によって計算した。蛍光の読みの比をR=340/380nmとして計 算し、等構造式[Ca2+i=KD((R−Rmin)/Rmax−R))(Sf2/Sb2)に より処理し、血小板内フリーCa2+濃度を決定した。フラ−2のKDは224n Mと推定された。Rmax及びRminは、実験の最後に測定したそれぞれ最大及び最 小蛍光比である。Sf2及びSb2はそれぞれ飽和[Ca2+]の存在しない場合、及 び存在する場合の380nmにおける蛍光値である。 対照実験において、BK断片配列番号:7は、濃度依存的方法でα−トロンビ ン誘発性カルシウム動員を阻害することができた。1mM配列番号:7は、α− トロンビン誘発性カルシウム動員を80%阻害した。これらのデータは、BK類 似体が、刺激−反応連結メカニズムのレベルで血小板のα−トロンビン活性化を 妨害し得ることを示す。 カルシウム動員アッセイの変法は、線維芽細胞(トロンビンのための単一のレ セプター、PAR1を発現する)、臍静脈内皮細胞、又はクローン化トロンビン レセプターを発現し、プラスチック・ウェルの底部に単層として増殖するその他 の細胞を用いる。トロンビンレセプターを発現し、カルシウム動員能力が阻害さ れ得るその他の種類の細胞の例は、平滑筋細胞、星状膠細胞及び神経細胞を含む 。 線維芽細胞又は内皮細胞を24−96ウェループレートに増殖させ、HEPE S−タイロード緩衝液中、37℃で60分間インキュベートすることによって蛍 光Ca2+インジケータ フラ−2 アセチルオキシメチルエステル(5μM、モレ キュラープローブ社(Molecular Probes Inc.))を担持させた。細胞を洗浄後、 細胞の蛍光をサーモスタットで37℃に調温したパッド上で1分間モニターした 後、細胞をBK類似体の非存在下、及び存在下でα−トロンビン(1から5nM )と共にインキュベートした。蛍光をパーキン−エルマーLS−50Bルミネッ センススペクトロフルオロメータによって検出した。励起は340及び380n m波長で測定し、発光は510nmで測定した。サイトゾル(細胞質)Ca2+レ ベルは上記のように決定した。Rmax値を20μMイオノフォア(Ionophor)A 23187の存在下で10mMCa2+を用いて測定した。Rminは20mMED TAの存在下で測定した。D. SPAN12によって認識されるエピトープの排除の阻害 フローサイトメトリー試験を行い、BK類似体が、レセプターのα−トロンビ ンによる開裂後に失われるトロンビンレセプター上のエピトープの排除を阻害す るかどうかを確認した。SPAN12は、このようなエピトープに特異的な、血 小板上のトロンビンレセプターに対する抗体である。 フローサイトメトリー試験用の血小板を、8.7mlクエン酸デキストロース (10mMクエン酸三ナトリウム、66mMクエン酸、111mMグルコース、 pH4.6)で抗凝固した新鮮血液55.3mlから調製した。血小板リッチ−血 漿からの洗浄済み血小板は、室温で180×g、15分間遠心分離することによ って調製した。血小板リッチ−血漿をPGE1(シグマ(Sigma))で2.8μMに し、1Mクエン酸ナトリウムで1:25(vol:vol)にした。室温で5分 間インキュベーション後、血小板リッチ−血漿を室温で1200×gで10分間 遠心分離した。次に、血小板ペレットを血小板洗浄緩衝液(128mM NaC l、4.26mM NaH2PO4、7.46mM Na2HPO4、4.77mMクエ ン酸ナトリウム、2.35mMクエン酸、5.5mMグルコース、3.5mg/m lウシ血清アルブミン、pH6.5)10mlに再懸濁した後、室温で1200 ×gで5分間遠心分離した。血小板懸濁緩衝液(137mM NaCl、2.6m M KCl、13.8mM NaHCO3、5.5mMグルコース、1mM MgCl2 、0.36mM NaH2PO4、10mM Hepes、3.5mg/mlウシ血 清アルブミン、pH7.35)5mlに再懸濁した後、血小板数を400,000 /μlに調節した。洗浄済み血小板100μlを、BK類似体の非存在下、又は 存在下で5ml丸底ポリスチレンチューブに入れた後、α−トロンビン(0.12 5U/ml又は1nM)で処理した。一次抗体類を最終濃度2μg/mlで加え 、抗体類を血小板と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーショ ン後、血小板を血小板懸濁緩衝液500μlで希釈し、再び室温で1200×g で5分間遠心分離した。次に、血小板ペレットを血小板懸濁緩衝液100μlに 再懸濁し、FITCと結合した抗マウスIgGの1:40希釈液と共にインキュ ベートした。更に、4℃で30分間インキュベーションして、血小板を再び12 00×gで5分間遠心分離した後、血小板懸濁緩衝液500μlに再懸濁した。 マウスIgG及びエピトープCD62に対する抗体を対照として用いた。マウ スIgG(コード#4350)はバイオソース(BioSource)(キャマリロ、CA )から購入した。血小板に対する結合FITC−抗−IgGの蛍光をEpics-Cフ ローサイトメーター(クルタ・エレクトロニックス(Coulter Electronics)、ハ イアレス、FL)でモニターした。光散乱及び蛍光チャンネルをロガリズムゲイ ンに設定した。レーザー励起は488nmであった。緑色蛍光を525nmバン ドパスフィルターを通して観察した。少なくとも15,000血小板の相対的蛍 光強度を各サンプルで分析した。CD62に対する抗体(P−セレクチン)をベ クトン−ディキンソン(Becton-Dickinson)(カタログ#550014)、サンジ ョス、CA、から購入した。 SPAN12は未刺激血小板上のトロンビンレセプター上の抗原を検出した。 洗浄済み血小板を1nM α−トロンビンで処理した際、モノクローナル抗体S PAN12のエピトープの抗原性発現が減少した。未刺激血小板上に見られたS PAN12エピトーブの前方散乱(forward scatter)は、α−トロンビン活性 化血小板では元の方にシフトし、対照として用いたマウスIgGのパターンと同 様な不在(absent)抗原検出パターンを与える。 対照実験においで、1mM天然(native)BK(配列番号:5)はα−トロン ビン活性化血小板上のトロンビンレセプターのエピトープの喪失を妨害した。E. NAT12のα−トロンビン開裂の阻害 トロンビンレセプター上のα−トロンビン開裂部位のアミノ酸35−46にわ たるペプチドNAT12(配列番号:2)(ヴ(Vu)ら、Cell 64、1057( 1991))も用いて、BK類似体がクローン化レセプターのα−トロンビン開 裂をブロックするかどうかを確認した。 開裂試験はモリノ(Molino)らの方法(J .Biol.Chem.、270、11168( 1995))によって行った。つまり、NAT12(配列番号:2)を0.01M NaH2PO4及び0.15M NaCl、pH7.4の溶液に溶解した。次に、混 合物を1mMのBK類似体の不在(対照)又は存在下で8nM α−トロンビン と共に37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、混合物を0 .1%トリフルオロ酢酸中Vyadec C−18HPLCカラムに入れ、80%MeC Nの 0%から100%の勾配及び0.1%トリフルオロ酢酸で溶出した。分離した生 成物のサイズを質量分析によって確認した。 NAT12(配列番号:2)は、HPLCによって分析したとき、単一ピーク (ピーク1)を生成した。NAT12をα−トロンビンで処理した際には、その ピーク面積は81%に減少し、2つの新しいピークがあらわれ、その新しいピー クは元のピーク面積のそれぞれ44%(ピーク3)及び37%(ピーク2)を占 めた。付加的ピーク、ピーク3及びピーク2は、NAT12の開裂生成物をあら わす。 対照実験においで、BK断片配列番号:7の存在下では、NAT12のピーク 1はα−トロンビン処理後57%だけ減少し、NAT12の開裂生成物(ピーク 3及びピーク2)は元のピーク面積のそれぞれ31%及び26%に過ぎなかった 。 例2 結合アッセイ タンパク質−タンパク質相互作用を示すために結合アッセイが用いられる。そ して、結合アッセイを用いてタンパク質のどのドメインが結合に関与するかを確 認し、種々のドメインの相対的結合親和性を確めることができる。結合アッセイ はコンビナトリアルライブラリーのペプチド類等、多数のペプチドのスクリーニ ングにも用いられる。それは、ペプチド類の、NAT12ペプチド又はトロンビ ンレセプターへの結合能力をスクリーニングするために特に有用である。1つ以 上の結合アッセイにおいて活性を示すペプチド類を、例1に記載したような、1 つ以上のin vitro機能試験によっても試験する。結合試験及び機能試験の組合わ せを用いて、トロンビン誘発性血小板及びその他の細胞の活性化を選択的に阻害 する化合物を確認することができる。A. NAT12ペブチドへの結合のアッセイ コンビナトリアルライブラリーからのペプチドをミクロタイタープレート(mi crotiter plate)に結合し、ウェルを1%BSAでブロックする。ビオチニル化 −NAT12をミクロタイタープレートと共にインキュベートする。洗浄後、 ペプチドを発現する基質支持体に付着したビオチン−NAT12の存在を、イム ノピュア(ImmunoPure)ストレプトアビジンホースラディッシュペルオキシダー ゼ結合物(ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Co.)、ロックヴィル、IL) とのインキュベーション、続いてペルオキシダーゼ特異的で速やかに反応する基 質、turbo−3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(turbo−T MB、ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Co.)、ロックヴィル、IL)との インキュベーションによって検出する。室温で5分間インキュベーション後、t urbo−TMBのカラー反応を1Mリン酸の添加によって停止する。ミクロプ レートオートリーダーEL311(バイオテク・インスツルメント(BioTek Inst rument)、ウィノスキVT)を用いて450nmにおける反応混合物の吸光度を 測定することによって結合ペプチドを定量する。B. トロンビンレセプターへの結合アッセイ 固相基質支持体上のコンビナトリアルライブラリーからのペプチドを、ビオチ ニル化トロンビンレセプターと共にインキュベートする。トロンビンレセプター は、当業者には公知の方法を用いて細菌、バクロウィルス、又はその他の組換え 系に発現することができる。分離したレセプターを当業者には公知の方法によっ てビオチニル化する。標識レセプターを基質支持体上のペプチドと共にインキュ ベートし、上記したNAT12結合アッセイと同様にして検出する。 例3 In vivoクリアランス及び機能:in vitro結果との相関 クリアランス試験を体重2.0から2.5kgのニュージーランド白ウサギで行 った。ウサギにミケルソン(Michelson)らの方法(J .Mol.Cell Cardiol.、2 0、547(1988))により、10mg/kgの1Mキシラジン及び10mg /kgの1Mケタミンを準備投薬した。気管切開、挿管、及び室内空気で行われ る陽圧呼吸(ハーバード・インスツルメンツ(Harvard instruments))後、静脈 内ペントバルビタール20mg/mlで段階IIIの外科的麻酔を維持した。頸 動脈及び頸静脈を露出させた。カテーテルを露出した頸動脈に挿入し、血液試料 の採取及び動物血圧のモニターを行った(グールド社(Gould,Inc.)、カルジオヴ ァスキュラー・プロダクツ、オクスナード、CA)。同様にして、露出した頸静 脈にカテーテルを挿入し、麻酔剤及びBK類似体を投与した。 BK類似体の単回静脈注入を行った。動物の体重から、注射するBK類似体の 量を血中濃度が1mMペプチドになるように計算した。例えば、2.5kgウサ ギではその体重の7%が推定血液量175mlを与える。従って、対照BK断片 配列番号:7、89mgを注射した(175ml血漿中1mM濃度を与える)。動 物の大きさに応じて、75から90mgのペプチドを注射した。血液試料を、注 入後2、4、6、8、10、20、30、40、60、90、及び120分の間 隔で、0.013Mクエン酸ナトリウム抗凝固溶液に採取した。時間毎に採取し た血液試料の各々から、その血液試料を10,000×gで2分間遠心分離する ことによって、血漿を調製した。これら血漿のアリコートについて、大日本製薬 (Dainippon Pharmaceutial Co.,Ltd.)(大阪、日本)より得たMARKIT− M[1−5]BKアッセイを用いて、ELISA法によりBK類似体抗原の存在 を試験した。 機能阻害試験では、体重2.0及び2.5kgのニュージーランド白ウサギを上 記のように外科的に準備した。上記のように計算したBK類似体の単回注射後、 5ml血液試料を、注射後2、6、10、30、60、90、120、150、 180、210、及び240分間隔で、0.013Mクエン酸ナトリウム抗凝固 溶液中に採取した。採取した血液試料を室温、180×g(1000rpms) で15分間遠心分離した。血液の血小板リッチ−血漿(PRP:platele-rich p lasma)部分は上澄液に含まれていた。H−10細胞計数器(テキサス・インタ −ナショナル.ラボラトリーズ社(Texas International Laboratories,Inc.)、 ヒューストン、TX)で得られるPRPの血小板数が、ウサギの血小板欠乏血漿 で200,000−250,000血小板/μlになるように調節した。 PRPを用いる血小板凝集試験を4−チャンネルアグレゴメータ(バイオデー ターPAP−4、バイオーデータ社(Bio Data Corp.)、ハットボロ、PA)で行 った。血小板凝集程度の測定は、37℃に維持され、撹拌されているPRP懸濁 液を通過する光透過の増加を測定することによって行われた。ハーフニスト (Harfenist)らの方法(Thromb .Haemost.、53、183(1985))による 20μM ADP及びγ−トロンビンの添加によって血小板凝集をPRPサンプ ルに誘発した。 ヒト血小板のように、ウサギ血小板もγ−トロンビンに対して種々の反応を示 した。BK類似体注入前に、各ウサギの血小板のγ−トロンビンに対する閾反応 を調べた。ウサギ血小板は一般的には10nMから40nMγ−トロンビンに反 応する。同時に行われるγ−トロンビン誘発性血小板凝集試験を10、20、及 び40nM γ−トロンビン及び20μM ADPで行った。 対照実験はBK断片配列番号:7を用いて行われた。注入後の、BK断片配列 番号:7のピーク血漿濃度はELISAによって測定したところ、ウサギ3匹中 2匹では60μg/ml(0.120mM)であった。BK断片の単回(ボルス )注射後、動物には不都合な効果は認められなかった。ウサギの血圧、脈拍、及 び血小板数は安定したままで、切開、挿管の手術部位に異常出血はなかった。血 漿中のBK断片配列番号:7抗原クリアランスの半減期は、注射後2.8分と2 0分の二相を有する。 しかし、BK断片配列番号:7の生物学的クリアランスは長引いた。単回注射 後、10nM γ−トロンビン誘発性血小板凝集は4時間以上にわたり100% 阻害され、20nM γ−トロンビン誘発性血小板凝集は2.75時間にわたり5 0%以上阻害され、そして、40nM γ−トロンビン誘発性血小板凝集は1時 間にわたり50%以上阻害された。ADP誘発性血小板凝集の50%以上の阻害 は約45分間であった。 これらのデータは、注入の2分後にわずか0.120mMのピークペプチド濃 度を示すBK類似体を単回注入した後、in vivoでのトロンビン誘発性及びAD P誘発性血小板活性化に長時間の選択的阻害効果があったことを示している。 ペプチドRPPGF(配列番号:7)をin vivoにてウサギに注入したとき、 図1に示されるように、ex vivo(生体外)にてウサギ血小板リッチ−血漿中の γ−トロンビン誘発性血小板凝集が長時間阻害された。 ヒト血小板試験は、上記の白ウサギを用いる機能試験と同様であった。つまり 、血液試料は正常ヒトボランティアから得た。血小板数をクルタカウンター2F 型 (Coulter counter Model 2F)(クルタ(Coulter)、ハイアレス、FL)で測定し 、血小板数を200,000血小板/μlに調節した。ベースラインにおける各 人の血小板の、γ−トロンビンに対する閾反応を測定した。典型的閾値は10n Mから40nMであった。 PRP中のヒト血小板を20nMγ−トロンビンで処理した。1mM BK断 片配列番号:7を20nM γ−トロンビンと反応させたとき、凝集曲線は破壊 された。この反応の特異性は、これらの結果を非BK類似体ペプチド(配列番号 :8)で得られた結果と比較することによって証明された。配列番号:8(1m M)はγ−トロンビンの血小板活性化誘発能力を阻害することができなかった。 ヒト血小板をin vitroでRPPGF(配列番号:7)で処理した。RPPGF (配列番号:7)は長時間の阻害効果を有するようである。血小板リッチ−血漿 中のヒト血小板を1mM RPPGF(配列番号:7)で処理した。37℃で1 時間インキュベーション後、血小板リッチ−血漿を遠心分離してペレットとし、 血漿を除去し、上記ペレットをRPPGF(配列番号:7)を含まない血小板欠 乏血漿に再懸濁した。血小板リッチ−血漿にRPPGF処理された血漿を再懸濁 した後、それらのγ−トロンビンの反応力を未処理血小板リッチ−血漿と比較し た。全ての試験された事例において、RPPGF処理された血小板リッチ−血漿 の完全血小板凝集を引き起こすための閾として用いられたγ−トロンビン濃度は 、同時に行われる対照の血小板リッチ−血漿で見られるものより大きかった。更 に、対照の血小板リッチ−血漿の完全凝集を引き起こしたγ−トロンビンの濃度 では、RPPGF処理された血小板の各々が62%以上阻害された。これらのデ ータは、血小板に結合したRPPGF(配列番号:7)が、γ−トロンビンによ って誘発される血小板凝集に対するそれらの閾値を実際に高めたことを示す。 例4 BK類似体の調製A. ペプチド類の調製 BKのペプチド類似体をアプライド・バイオシステムズ431型合成器(Appl ied Biosystems Model 431 peptide synthesizer)で合成した。カルボキ シ末端アミノ酸を固相支持体に共有結合させ、特に記載しない限り、続くアミノ 酸を次々にそのアミノ末端に連結した。結合すべきアミノ酸上のカルボキシル基 を、2−(1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラ メチルウロニウムヘキソフルオロホスフェート(HBTU)及び1−ヒドロキシ ベンゾトリアゾール(HOBt)で活性化した。フルオレニル−メチルオキシカ ルボニル部分をブロッキング基としてアミノ末端に結合させた。ペプチド類を分 離用逆相HPLCによって精製した。 ペプチドArg−Pro−Pro−アミドの合成を4−(2',4'−ジメトキ シフェニル)−fmoc−アミノメチルフェノキシ樹脂上で開始した。fmoc 基を除去すると、合成はプロリンの結合で進行した。 ペプチド(D−Arg)−Pro−Pro及びArg−(D−Pro)−Pr oは当業者には公知の標準的な方法を用いて合成した。B. RPPMAP−4の調製 “MAP”は“マルチプル抗原性ペプチド(multiple antigenic peptide)”の 略語である。本明細書において“RPP MAP−4”と呼ばれるRPPの4− 分岐MAPを合成した。RPP MAP−4の構造を以下に示した: RPP MAP−4を調製するために、カルボキシル基を介してβ−アラニン が結合している樹脂コアを、β−アラニン(βAla)の遊離アミンを介してリ ジンの遊離カルボキシル基に結合させ、リジン−β−アラニン錯化合物を形成し た。更に別の2つのリジン残基をそれらの遊離カルボキシル基を介して第一のリ ジンの2つの遊離アミンに結合した。それから上記のようにHBTU及びHOB tに よる活性化後、RPPの4分子が、それらのプロリン残基を介して2つのリジン 残基の遊離アミノ基に結合された。RPP MAP−4を逆相HPLCによって 精製し、それから質量分析によって特徴づけた。 同様な方法を用いて、“PP MAP−4ペプチド”(Pro−Proの4分 岐MAP)及び“RPPGF MAP−4ペプチド”(Arg−Pro−Pro −Gly−Phe)も合成した。C. RPPヘテロダイマーの調製 RPPのヘテロダイマーを製造した。リジンをアミド樹脂、4−(2',4'ジ メトキシフェニル)−fmoc−アミノメチルフェノキシ樹脂に結合させた。そ のfmoc基を除去した後、RPPを上記のように合成し、リジンをカルボキシ 末端に結合し、RPPKを得た。C−末端リジンをヒドラジン及びジメチルホル ムアミドで処理すると遊離アミノ基が生成し、それにアスパラギン酸を結合した 。次に、C−末端アスパラギン酸から標準的な方法によってRPPを合成すると 、下記のヘテロダイマーが生成した。 例5 BK類似体はin vitroヒト血小板における トロンビン誘発性血小板活性化を阻害する 例4で合成したペプチド類について血小板リッチ−血漿におけるγ−トロンビ ン誘発性血小板凝集阻害能力を分析した。A. RPPGF及びRPPAFの阻害活性 BK類似体Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(“RPPAF”、配列 番号:6)及びArg−Pro−Pro−Gly−Phe(“RPPGF”、天 然(native)BKの断片、配列番号:7)は両方共例1Aに記載したものと同様 に、 凝集アッセイにおいてγ−トロンビン誘発性血小板凝集阻害を示した。B. RPP、RPP MAP−4、及びRPPヘテロダイマーの阻害活性 BK類似体Arg−Pro−Pro(“RPP”)、RPP MAP−4、及び RPPヘテロダイマーは全て、例1Aに記載したもののように凝集アッセイでγ −トロンビン−誘発性血小板凝集の阻害を示した。 図2に示すように、RPPは50μMで27.5nM γ−トロンビン誘発性血 小板凝集を廃止することができた。3実験において、RPPは0.089mM± 0.04(平均値±SD)濃度でγ−トロンビン誘発性血小板凝集を100%阻 害した。RPPは阻害剤としてRPPGFより2.5倍以上の効果を示した。R PPGFは同じ条件下で濃度0.23mM±0.12でγ−トロンビン誘発性血小 板凝集を100%阻害した。 ペプチド RPP−アミド、(D−Arg)−Pro−Pro及びArg−( D−Pro)−Proは、RPPそのものと比較してγ−トロンビン誘発性血小 板凝集阻害能力が減少した。ジペプチド Arg-Proはγ−トロンビン誘発性 血小板凝集に阻害活性を示さなかった。 図3に示すように、RPP MAP−4は、47μMペプチド濃度(0.047 mM±0.019、5実験の平均値±SD)で、γ−トロンビン誘発性血小板凝 集を100%阻害した。PP MAP−4ペプチドはγ−トロンビン誘発性血小 板活性化に対して阻害効果をもたなかった。 図3に示すように、RPPのヘテロダイマー(HETERODIMER)は、 75μMペプチド(0.079mM±0.032、5実験の平均値±SD)でγ− トロンビン誘発性血小板凝集を100%阻害した。ヘテロダイマーの阻害活性は 、RPPGFの阻害活性より大きく、RPPの阻害活性とは等しかった。 例6 BK類似体はトロンビンレセプター開裂部位(NAT12)に結合する ビオチニル化されたNAT12のBK類似体及びその他のペプチド類との特異 的結合を例2Aに記載のように試験した。結果を図4に示す。ビオチニル化NA T12はRPPGF(配列番号:7)、RPPGC(配列番号:9)、及びRPP MAP−4に特異的に結合するが、ペプチドLNA7(配列番号:8)又はFS PFR(配列番号:10)には結合しない。 例7 BK類似体は線維芽細胞及びHUVEC細胞において α−トロンビン誘発性カルシウム動員を阻害する BK類似体の、線維芽細胞及びヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)におけるα −トロンビン誘発性カルシウム動員阻害能力を例1Cに記載のように試験した。 図5及び図6に示すように、RPPGF(配列番号:7)及びRPPは線維芽細 胞におけるカルシウム動員を阻害し、HK、RPP MAP−4、及びRPPG FMAP−4は内皮細胞におけるカルシウム動員を阻害した。 例8 コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして BK類似体を同定するA. NAT12ペプチド結合能力のスクリーニング コンビナトリアルライブラリーからのペプチドをミクロタイタープレートに連 結し、1%BSAでブロックした。ビオチニル化−NAT12をミクロタイター プレートと共にインキュベートした。洗浄後、ペプチドを発現する基質支持体に 結合したビオチン−NAT12の存在を、イムノピュア(ImmunoPure)ストレプ トアビジンホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体(ピアスケミカル社(Pie rce Chemical Co.)、ロックヴィル IL)と共にインキュベートした後、ペルオ キシダーゼー特異的で速やかに反応する基質、turbo−3,3',5,5'− テトラメチルベンジジン(turbo−TMB、ピアスケミカル社(Pierce Chem ical Co.)、ロックヴィル、IL)とインキュベートすることによって検出した 。室温で5分間インキュベーションした後、turbo-TMBのカラー(発色) 反応を1Mリン酸の添加によって停止する。ミクロプレートオートリーダーEL 311(バイオテク・インスツルメント(Bio Tek Instrument)、ウィヌースキー VT)を用いて450nmにおける反応混合物の吸収を測定することによって、 結合したペプチドを定量する。NAT12ペプチドに結合する化合物類について 、例1に記載のアッセイを用いて血小板凝集阻害能力及びカルシウム動員阻害能 力をも分析試験した。B. トロンビンレセプターに結合する能力のスクリーニング 組換えトロンビンレセプターをビオチニル化した後、コンビナトリアルライブ ラリーからのペプチドと共に固相基質支持体上でインキュベートする。標識され たレセプターの結合を上記のようにして検出する。 本明細書で述べられる全ての参考資料を引用して援用する。本発明が諸目的を 果たすようによく適合されていること、並びに本発明に固有の目的及び利点を実 現できることを当業者は容易に理解するだろう。本発明はその精神又は重要な特 性から逸脱することなくその他の特殊な形で実施することもできる。従って、本 発明の範囲を示すものとして、上述の説明よりも添付の請求を参考にされたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,HU,ID,IL,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 ハサーン,アーメイド エイ ケイ アメリカ合衆国 ミシガン州 48130 デ クスタ デクスタ―アン アーバ ロード 5940

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. トロンビン誘起性の血小板又はその他の細胞の活性化を阻害する方法で あって、このような処置を必要とする個体に対して、アミノ酸配列X1−Arg −Pro−Pro−X2を有する1つ以上のセグメントを含む有効量の化合物を 投与することを含み、前記化合物は、 X1−Arg−Pro−Pro−X2;及び L−(X1−Arg−Pro−Pro−X2n; (ここで、X1は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 0から30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 X2のN−末端アミノ酸がグリシンではないという条件で、0から30個の天然 又は合成アミノ酸であり; Lは、共有結合又は化学的な基を含むリンカーであり;及び nは、2から20までの整数である) を含む群から選択される構造式を有することを特徴とする方法。 2. X1は、0から7個のアミノ酸であり、X2は、0から9個のアミノ酸で あることを特徴とする請求項1記載の方法。 3. X1は、配列番号:1のアミノ酸1−30からの、0から30個のアミ ノ酸であることを特徴とする請求項1記載の方法。 4. X1は、配列番号:1のアミノ酸24−30からの、0から7個のアミ ノ酸であることを特徴とする請求項2記載の方法。 5. 前記化合物は2つ以上のセグメントを含み、前記セグメントの少なくと も2つが異なることを特徴とする請求項1記載の方法。 6. 前記化合物は2つ以上のセグメントを含み、前記セグメントの全てが同 一であることを特徴とする請求項1記載の方法。 7. nが2から4の整数であることを特徴とする請求項1記載の方法。 8. 前記化合物は、構造式、 L−(Arg−Pro−Pro−X2n を有することを特徴とする請求項1記載の方法。 9. 前記化合物は、構造式、 L−(Arg−Pro−Pro)n を有することを特徴とする請求項8記載の方法。 10. 前記化合物は、 (a)Arg−Pro−Pro; (b)Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(配列番号:6); を含む群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。 11. in vivoにてADP誘発性の血小板の活性化を阻害する方法であって 、このような処置を必要とする個体に対して、アミノ酸配列X1−Arg−Pr o−Pro−X2を有する1つ以上のセグメントを含む有効量の化合物を投与す ることを含み、前記化合物は、 X1−Arg−Pro−Pro−X2;及び L−(X1−Arg−Pro−Pro−X2n; (ここで、X1は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 0から30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 X2のN−末端アミノ酸がグリシンではないという条件で、0から30個の天然 又は合成アミノ酸であり; Lは、共有結合又は化学的な基を含むリンカーであり;及び nは、2から20の整数である) を含む群から選択される構造式を有することを特徴とする方法。 12. X1は、0から7個のアミノ酸であり、X2は、0から9個のアミノ酸 であることを特徴とする請求項11記載の方法。 13. 前記化合物は、 (a)Arg−Pro−Pro; (b)Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(配列番号:6); を含む群から選択されることを特徴とする請求項12記載の方法。 14. 血小板凝集を防止する方法であって、このような処置を必要とする個 体に対して、アミノ酸配列X1−Arg−Pro−Pro−X2を有する1つ以上 のセグメントを含む有効量の化合物を投与することを含み、前記化合物は、 X1−Arg−Pro−Pro−X2;及び L−(X1−Arg−Pro−Pro−X2n; (ここで、X1は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 0から30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 X2のN−末端アミノ酸がグリシンではないという条件で、0から30個の天然 又は合成アミノ酸であり; Lは、共有結合又は化学的な基を含むリンカーであり;及び nは、2から20の整数である) を含む群から選択される構造式を有することを特徴とする方法。 15. X1は、0から7個のアミノ酸であり、X2は、0から9個のアミノ酸 であることを特徴とする請求項14記載の方法。 16. X1は、配列番号:1のアミノ酸1−30からの、0から30個のア ミノ酸であることを特徴とする請求項14記載の方法。 17. X1は、配列番号:1のアミノ酸24−30からの、0から7個のア ミノ酸であることを特徴とする請求項15記載の方法。 18. 前記化合物は2つ以上セグメントを含み、前記セグメントの少なくと も2つが異なることを特徴とする請求項14記載の方法。 19. 前記化合物は2つ以上のセグメントを含み、前記セグメントの全てが 同一であることを特徴とする請求項14記載の方法。 20. nが2から4までの整数であることを特徴とする請求項14記載の方 法。 21. 前記化合物は、構造式、 L−(Arg−Pro−Pro−X2n を有することを特徴とする請求項14記載の方法。 22. 前記化合物は、構造式、 L−(Arg−Pro−Pro)n を有することを特徴とする請求項21記載の方法。 23. 前記化合物は、 (a)Arg−Pro−Pro; (b)Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(配列番号:6); を含む群から選択されることを特徴とする請求項14記載の方法。 24. 薬物学的に容認される担体と、アミノ酸配列X1−Arg−Pro− Pro−X2を有する1つ以上のセグメントを含む化合物と、を含む医薬組成物 でって、前記化合物は、 X1−Arg−Pro−Pro−X2;及び L−(X1−Arg−Pro−Pro−X2n; (ここで、X1は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 0から30個の天然又は合成アミノ酸であり; X2は、各セグメントにおいて同じであっても異なっていてもよく、 X2のN−末端アミノ酸がグリシンではないという条件で、0から30個の天然 又は合成アミノ酸であり; Lは、共有結合又は化学的な基を含むリンカーであり;及び nは、2から20の整数である) を含む群から選択される構造式を有することを特徴とする医薬組成物。 25. 薬物学的に容認される担体と、 (a)Arg−Pro−Pro; (b)Arg−Pro−Pro−Ala−Phe(配列番号:6); を含む群から選択される構造式を有する化合物と、 を含むことを特徴とする請求項24記載の医薬組成物。 26. トロンビン誘発性の血小板及びその他の細胞の活性化を選択的に阻害 する化合物を確認する方法であって、前記化合物の、トロンビンレセプター上の トロンビン開裂部位へ結合する能力を測定することを含むことを特徴とする方法 。 27. 前記化合物は、コンビナトリアルライブラリーに存在することを特徴 とする請求項26記載の方法。 28. 更に、 (a)前記化合物の、トロンビン誘発性の血小板凝集を阻害する能力を 測定し;及び (b)前記化合物の、線維芽細胞におけるトロンビン誘発性のカルシウ ム動員を阻害する能力を測定する、 ことを含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
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