【発明の詳細な説明】
N-(3-ヒドロキシ-スクシニル)-アミノ酸誘導体調製のためのプロセス
本発明は、化学的プロセスおよびそのようなプロセスにおいて有用な化学的中
間体に関する。
本発明の化学的プロセスは、酵素pro-TNF転換酵素によるpro-型またはより大
きな前駆体の切断により形成されると考えられるTNF(腫瘍壊死因子)の産生のイ
ンヒビターである化合物を調製するために有用である。本発明の化学的プロセス
はまた、TNFの産生のインヒビターである化合物の生成における中間体である化
合物を調製するために有用である。
TNFの産生のインヒビターである化合物は、過剰なTNF産生が、以下を含む種々
の生理学的後遺症へのプロセスのカスケードを介して生じることが知られている
疾患または医学的状態の処置において有用である:プロスタグランジンおよびロ
イコトリエンのような生理学的に活性なエイコサノイドの産生、コラゲナーゼの
ようなタンパク質分解酵素の放出の刺激、カルシウム再吸収を導く破骨細胞活性
の活性化、例えば軟骨からの、プロテオグリカンの放出の刺激、細胞増殖および
血管形成の刺激。特定の細胞系において、TNF産生が、インターロイキン-1(IL-1
)およびインターロイキン-2(IL-2)(これらもまた、炎症およびアレルギー性疾患
ならびにサイトカイン誘導毒性のような疾患状態の病状の一因となると考えられ
る)のような他のサイトカインの産生より先に起こり、そして媒介することもま
た、知られている。過剰なTNF産生はまた、種々の炎症およびアレルギー性疾患(
例えば、関節の炎症(特に、慢性関節リウマチ、変形性関節症、および痛風)、胃
腸管の炎症(特に、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎および胃炎)、皮膚疾患(特に、
乾癬、湿疹、および皮膚炎)、および呼吸疾患(特に、喘息、気管支炎、およびア
レルギー性鼻炎)など)の発病の媒介または悪化に、ならびに種々の心血管障害(
例えば、心筋梗塞、アンギナ、および末梢血管疾患など)の発生および発病に関
係している。過剰なTNF産生はまた、細菌、真菌、および/またはウイルス感染
の合併症(例えば、エンドトキシンショック、敗血症性ショックおよびトキシッ
クショック症候群など)の媒介に関係している。過剰なTNF産生はまた、以下の発
病の媒介または悪化に関係している:成人呼吸窮迫症候群、軟骨または筋肉吸収
に関与する疾患、パッジェット病および骨粗鬆症、肺繊維症、肝硬変、腎繊維症
、悪性疾患および後天性免疫不全症候群(AIDS)のような特定の慢性疾患に見られ
る悪液質、腫瘍湿潤性および腫瘍転移ならびに多発性硬化症。
本発明のプロセスにより調製され得る化合物はまた、コラゲナーゼ、ストロメ
ライシン、およびゼラチナーゼのような1つ以上のマトリックスメタロプロテイ
ナーゼのインヒビターであり得る。従って、これらはまたそのような酵素により
媒介される疾患状態(例えば、関節炎(リウマチ様のおよび変形性関節症)、骨粗
鬆症、および腫瘍転移)の治療的処置において有用であり得る。
より詳細には、本発明は以下の式(I)の化合物を調製するためのプロセスに関
する:
P1OOC-CH(OH)-CHR1-CONH-Z (I)
ここで、P1は水素、塩形成カチオン、または保護基であり、Zは基-CHR2COOP2ま
たは-CHR2CONR3R4であり、ここでP2は水素または保護基であり、そしてR1〜R4は
、この型の構造のTNFインヒビターにおいて公知の値である。
式(I)の化合物は、Zが-CHR2CONR3R4でありP1が水素または塩形成カチオンであ
る場合、活性なTNFインヒビターである。
P1が水素または塩形成カチオンである式(I)の化合物はまた、式(II)の対応す
るヒドロキサム酸に変換され得る:
HONHCO-CH(OH)-CHR1-CONH-Z (II)
ここでR1およびZは、本明細書中先に定義したとおりである。
Zが-CHR2CONR3R4である式(II)の化合物は、公知のTNFインヒビターである。Z
が-CHR2COOP2である式(II)の化合物は、標準的な方法によりZが-CHR2CONR3R4で
ある式(II)の化合物に変換され得る。
Zが-CHR2CONR3R4である式(I)および/または(II)の化合物は、TNFインヒビタ
ー
として、例えば以下において開示されている:WO 9633165、WO 9616931、WO 9606
074、WO 9532944、WO 9519961、WO 9519957、WO 9519956、WO 9424140、WO 9402
447、WO 9402446、WO 9533709、EPA 497192、EPA 236872、WO 9633176、WO 9633
968、WO 9506031、およびWO 9522966。
従って、本発明は以下の式(I)の化合物またはその塩を調製するためのプロセ
スを提供する:
P1OOC-CH(OH)-CHR1-CONH-Z (I)
ここで、P1は水素または保護基であり;
Zは基-CHR2COOP2または-CHR2CONR3R4であり、ここでP2は水素または保護基であ
り、そしてR1〜R4は、上述の開示において公知の値であり、このプロセスは式(I
II)の化合物:
P1OOC-CHL-CHR1-COOH (III)
(ここで、Lは脱離基である)と、式(IV)の化合物とを反応させる工程を含み:
NH2Z (IV)
そしてその後、必要であれば:
i)任意の保護基を除去し、
ii)塩を形成するプロセスである。
Lは脱離基である。適切なLは、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、もしくはヨー
ド)のような脱離基、またはC1 〜6アルカンスルホニルオキシ(例えば、メタンス
ルホニルオキシ、ベンセンスルホニルオキシ、もしくは4-メチルベンゼンスルホ
ニルオキシ)のようなスルホニルオキシ基である。
式(III)と(IV)の化合物の間の反応は、簡便には極端ではない温度(例えば、-2
5℃〜+50℃)で、より簡便には0℃〜+30℃で、そして最も簡便には周囲温度で行
われる。
典型的には、反応は実質的に不活性な有機溶媒、例えばアセトニトリルまたは
ジエチルエーテルのような非プロトン性溶媒中で行われる。
式(III)および(IV)の化合物の反応は、以下の式(V)のラクトンの形成を介して
進行すると考えられる。ここでP1およびR1は、本明細書中先に定義したとおりである。
式(IV)の化合物は塩基として振る舞い、式(III)の化合物のカルボン酸官能基
をカルボキシレートアニオンに変換すると考えられ、次いで、脱離基Lを置換し
てラクトンを形成する。ラクトンは式(IV)の化合物の求核攻撃により開環されて
式(I)の化合物を形成すると考えられる。
従って、本発明の別の局面は、本明細書中先に定義されるような式(I)の化合
物またはその塩を調製するためのプロセスを提供し、これは式(V)のラクトンと
式(IV)の化合物とを反応させる工程、およびその後、必要であれば、任意の保護
基を除去する工程および/または塩を形成する工程を含む。
式(IV)と(V)の化合物の間の反応は、式(III)および(IV)の化合物の反応のため
のものと類似の条件下で起こる。
別の局面において、本発明は、本明細書中先に定義されるような式(V)の化合
物を調製するためのプロセスを提供し、これは式(III)の化合物を非求核性塩基
と反応させる工程を含む。このように、塩基は式(III)の化合物のカルボン酸官
能基をカルボキシレートアニオンに変換し、これはLと置換してラクトンを形成
する。しかしながら、非求核性塩基は実質的には、単離され得るラクトンとさら
には反応しない。
適切な非求核性塩基は、有機および無機塩基の両方を含む。
好ましくは、塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩または炭酸
水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、または
炭酸水素カリウム)のような無機塩基である。適切には、極端ではない温度(例え
ば、周囲温度)で、反応は、撹拌されている、典型的には激しく撹拌されている
非プロトン性有機溶媒(例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、またはジク
ロロメタン)に溶解した式(III)の化合物と、塩基の水性溶液との2相条件下で行
われる。反応は、薄層クロマトグラフィーまたは任意の他の簡便な方法によりモ
ニターされ得、そして適切な期間の後、有機層は分離され得、後処理され得て、
式(V)の化合物を提供し得る。あるいは、反応は相転移触媒(例えば、ベンジルト
リメチルアンモニウムクロリド)の存在下、再び極端ではない温度で撹拌しなが
ら、行われる。
あるいは、式(III)の化合物と反応するための非求核性塩基は、有機塩基、例
えばジイソプロピルエチルアミンのような第三級アミンであり得る。非求核性有
機塩基と式(III)の化合物との反応は、典型的には、式(III)および(IV)の化合物
の反応のためのものと類似の条件下で行われる。
本発明は、柔軟性を提供する。有利な局面において、これは式(III)および(IV
)の化合物から式(I)の化合物を調製するための「ワンポット(one-pot)」反応を
提供する。別の局面において、これは有用な中間体として式(V)の化合物を提供
し得、それは種々の式(IV)の化合物と反応し得る。
式(V)の化合物は、本発明の別の局面を形成する。
特定の式(V)の化合物は、文献中に、特に重合体に関する文献中に開示されて
いる。従って、本発明は式(VI)の化合物を提供する:
ここで、P1は水素、または保護基であり、そしてR1aは、P1が水素、n-ブチル、
イソプロピル、エチル、またはアリル(-CH2CH=CH2)である場合、R1aは水素では
なく、そしてP1がベンジルである場合、R1aは水素、メチル、またはイソプロピ
ルではないということを除いて、本明細書中で定義されるような基R1である。個
々の局面において、R1aは水素ではない。
好ましくは、式(VI)の化合物において、P1はベンジルまたはC1 〜6アルキル(例
え
ば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、もし
くはtert-ブチル)である。
式(VI)の化合物における好ましいR1aの値は、式(I)の化合物におけるR1に関し
て本明細書中で記載されるようなものである。
本発明の個々の化合物は、3R-イソブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボン酸tert
ブチルエステルおよび3R-(4-ベンジルオキシブチル)-4-オキソ-2S-オキセタ
ンカルボン酸tertブチルエステルを含む。
好適な局面において、本発明のプロセスは式(Ia)の化合物を提供する:
ここで、P1、R1、およびZは、式(III)および(IV)の化合物から本明細書中先に定
義したとおりである。反応は、式(Va)のラクトンの形成を介して進行すると考え
られる:
ここで、P1およびR1は、本明細書中先に定義したとおりである。式(Ia)および(V
a)の化合物における、P1、R1、およびZの好ましい、そして個々の値は、それぞ
れ式(I)および(V)の化合物について記載されたとおりである。従って、さらなる
局面において、本発明は式(Va)の化合物を提供し、ここでR1はR1aであり、そし
てP1およびR1aは、本明細書中上記の式(VI)に関して定義されるとおりである。
式(III)の化合物は本発明の別の局面を形成する。特定の式(III)の化合物が、
文献において開示されている。
従って、本発明は式(VII)の化合物を提供する:
P1OOC-CHL1-CHR1-COOH (VII)
ここで、P1は水素、または保護基であり、R1は本明細書中定義されるとおりであ
り、そしてL1は、以下を除いて、スルホニルオキシ基またはハロである:
i)P1が水素であり、かつR1がメチルまたはエチルである場合、L1はブロモでは
ない;
ii)P1が水素であり、かつR1がメチルである場合、L1はクロロではない;
iii)P1がイソプロピルであり、かつR1がメチルである場合、L1はクロロでもヨ
ードでもない。
好ましくは、式(VII)の化合物において、P1はベンジルまたはC1 〜6アルキル(
例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、
もしくはtert-ブチル)である。
好ましくは、L1は、ブロモ、クロロ、またはヨードである。
式(VII)の化合物における好ましいR1の値は、式(I)の化合物におけるR1に関し
て本明細書中記載されたとおりである。
本発明の個々の化合物は、3R-クロロ-2S-イソブチルブタン-1,4-ジオン酸4-te rt
-ブチルエステルおよび3R-クロロ-2S-(4-ベンジルオキシブチル)ブタン-1,4-
ジオン酸4-tert-ブチルエステルを含む。
式(III)の化合物は、式(VIII)のジアニオンの反応により調製され得る:
ここで、P1およびR1は、基Lの供給源とともに、本明細書中先に定義したとおり
である。
ハロの適切な供給源には、四塩化炭素および四臭化炭素が挙げられる。
典型的には、式(VIII)のジアニオンは、対応する中性化合物を非求核性塩基(
例えば、リチウムジイソプロピルアミド)と低温(-78℃)で反応させてジアニオン
を形成させ、次いでそれを基Lの供給源と反応させることにより形成される。
式(VIII)に対応する中性化合物は、文献の方法において公知であるか、または
それにより形成され得る。
本明細書中上記で記述されるように、式(III)および(IV)の化合物の反応、ま
たは式(IV)および(V)の化合物の反応は、式(I)の化合物またはその塩を提供する
。式(I)の化合物は、必要に応じて、カルボン酸官能基において保護基P1で保護
される。
保護基P1は、一般に、文献において記載されるかまたは当業者に公知の任意の
基から、カルボキシル基の保護に適するように選択され得、そして従来の方法に
より導入され得る。
保護基は、文献において記載されるかまたは当業者に公知の任意の従来の方法
により、問題の保護基の除去に適するよう除去され得、そのような方法は、分子
の他の場所の基の妨害を最小限にしながら、保護基の除去に効果的であるように
選択されている。
保護基の特定の例は、簡便のため以下に与えられ、ここで「低級」は、それが
好ましく適用される1〜4個の炭素原子を有する基を意味する。これらの例が網
羅するものではないことが理解される。保護基を除去するための方法の特定の実
施例は、以下に与えられ、これらも同様に網羅するものではない。特に記述され
ない保護基および脱保護の方法の使用は、もちろん本発明の範囲内である。
カルボキシル保護基は、エステル形成脂肪族またはアリール脂肪族(araliphat
ic)アルコールまたはエステル形成シラノールの残基であり得る(ここでいうアル
コールまたはシラノールは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む)。
カルボキシ保護基の例は以下を含む:直鎖または分岐鎖(1〜12C)アルキル基(
例えば、イソプロピル、t-ブチル):低級アルコキシ低級アルキル基(例えば、メ
トキシメチル、エトキシメチル、イソブトキシメチル);低級脂肪族アシルオキ
シ低級アルキル基(例えば、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブ
チリルオキシメチル(butyryloxymethyl)、ピバロイルオキシメチル);低級アル
コキシカルボニルオキシ低級アルキル基(例えば、1-メトキシカルボニルオキシ
エチル、1-エトキシカルボニルオキシエチル);アリール低級アルキル基(例えば
、ベンジル、p-メトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、ベ
ンズヒドリル、およびフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えば、トリ
メチルシリル、およびt-ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル低
級アルキル基(例えば、トリメチルシリルエチル);および(2〜6C)アルケニル
基(例えば、アリルおよびビニルエチル)。
カルボキシル保護基の除去のために特に適した方法は、例えば、酸-、塩基-、
金属-、または酵素-触媒加水分解を含む。
式(III)〜(V)の化合物の任意の他の官能基が、必要であれば保護され得る。そ
のような保護基は、一般に、文献において記載されるかまたは当業者に公知の任
意の基から、問題の基の保護に適するように選択され得、そして従来の方法によ
り導入され得る。そのような保護基は、文献において記載されるかまたは当業者
に公知の任意の従来の方法により、問題の保護基の除去に適するように除去され
得、そのような方法は、分子の他の場所の基の妨害を最小限にしながら、保護基
の除去に効果的であるように選択されている。
ヒドロキシル保護基の例は、以下を含む:低級アルキル基(例えば、t-ブチル)
、低級アルケニル基(例えば、アリル):低級アルカノイル基(例えば、アセチル)
;低級アルコキシカルボニル基(例えば、t-ブトキシカルボニル);低級アルケニ
ルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール低級アルコ
キシカルボニル基(例えば、ベンゾイルオキシカルボニル、p-メトキシベンジル
オキシカルボニル、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキ
シカルボニル);トリ低級アルキルシリル(例えば、トリメチルシリル、t-ブチル
ジメチルシリル)およびアリール低級アルキル(例えば、ベンジル)基。
アミノ保護基の例は、以下を含む:ホルミル、アラルキル基(例えば、ベンジ
ルおよび置換ベンジル、p-メトキシベンジル、ニトロベンジル、および2,4-ジメ
トキシベンジル、ならびにトリフェニルメチル);ジ-p-アニシルメチルおよびフ
リルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えば、t-ブトキシカルボニル);低
級アルケニルオキシカルボニル(例えば、アリルオキシカルボニル);アリール低
級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベ
ンジルオキシカルボニル、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジ
ルオキシカルボニル);トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリルおよびt-
ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えば、メチリデン);ベンジリデンお
よび置換ベンジリデン基。
ヒドロキシおよびアミノ保護基の除去のために適した方法としては、例えば酸
-、塩基-、金属-、または酵素−触媒加水分解、p-ニトロベンジルオキシカルボ
ニルのような基のための水素化およびo-ニトロベンジルオキシカルボニルのよう
な基のための光分解(photolytically)が挙げられる。
P1が水素またはその活性誘導体であり、必要に応じて-CH(OH)-のヒドロキシ基
が保護されている式(I)の化合物は、ヒドロキシルアミン、O-保護ヒドロキシル
アミン、またはそれらの塩(必要であれば脱保護が続く)と反応し得、本明細書中
先に記載されるような式(II)のヒドロキサム酸化合物を提供する。
式(I)の化合物は、酸または酸ハライド、酸無水物のようなその活性誘導体あ
るいは「活性化」エステル(例えば、1H-ベンゾ[1,2,3]トリアゾール-1-イル、1-
ヒドロキシ-ベンゾ[1,2,3]トリアゾール、ペンタフルオロフェニルまたは2,4,5-
トリクロロフェニルなど)の形態で反応し得る。式(I)の化合物とヒドロキシルア
ミンとの反応は、標準的な条件下で行われる。典型的には、式(I)の化合物の活
性化エステルと、ヒドロキシルアミンまたはO-保護ヒドロキシルアミン(例えば
、ベンジル、t-ブチル、またはシリルで保護)との反応は、塩基(例えば、2,6-ル
チジン)の存在下、無水非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中、
極端ではない温度(例えば、-30℃〜+25℃の範囲、好ましくは約0℃)で、行われ
る。
本発明のプロセスは、式(I)の化合物を塩の形態で提供し得る。1つの局面に
おいて、化合物は薬学的に受容可能な塩の形態である。適切な薬学的に受容可能
な塩は、塩酸、臭化水素酸、クエン酸、およびマレイン酸塩のような、酸付加塩
、ならびにリン酸および硫酸で形成される塩を含む。別の局面において、適切な
塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムもしくはカリウム)、アルカリ土類金
属塩(例えば、カルシウムもしくはマグネシウム)、または有機アミン塩(例えば
、トリエチルアミン)のような塩基塩である。別の局面において、化合物は非薬
学的に受容可能な塩の形態であり、これは式(I)または(II)の化合物いずれかの
薬学的に受容可能な塩の調製において有用な中間体であり得る。
式(I)の化合物において、Zは-CHR2COOP2であり得、ここでP2は水素または保護
基である。そのような化合物は脱保護され得(P2は水素)そして式(IX)の化合物と
反応し得る:
HNR3R4 (IX)
ここで、R3およびR4は、標準的なペプチドカップリング条件下、本明細書中で定
義したとおりである。あるいは、式(II)の対応する化合物が脱保護され得(P2は
水素)そして標準的なペプチドカップリング条件下、式(IX)の化合物と反応し得
る。
従って、別の局面において、本発明は式(II)の化合物を調製するためのプロセ
スを提供し、これは式(III)および(IV)の化合物(または式(IV)および(V)の化合
物)を反応させる工程、ならびに引き続いて生成物をヒドロキシルアミン、O-保
護ヒドロキシルアミン、またはその塩と反応させる工程を含む。
式(I)および(II)の化合物は、文献の方法に従って、処方され得そして試験さ
れ得る。
式(I)および(II)の化合物において、R1〜R4は、TNF-阻害の文献において、お
よび特に本明細書中先に提供された開示の一覧において公知の、この構造に対し
て公知の任意の値を取り得る。
より詳細には:
R1は、アルキル;アルケニル;アルキニル;フェニルアルキル;ヘテロアリール
アルキル;シクロアルキルアルキル;シクロアルケニルアルキル;フェニ
ルアルコキシアルキル;ヘテロアリールアルコキシアルキル;
必要に応じて1つ以上の隣り合わない窒素、酸素、硫黄、CO、SO、SO2基
を割り込ませた、C13 〜24炭化水素鎖;であり、
R2は、任意の官能基が保護され得る非天然型α-アミノ酸の特徴基
(characterising group);
任意の官能基が保護され得る天然に存在するアミノ酸の側鎖;
CRxRyRz、ここで、Rx、Ry、Rzのそれぞれは独立して、水素、アルキル、
アルケニル、アルキニル、フェニルアルキル、ハロ、シアノ、カルボキシ
、アルコキシカルボニル、フェニル、ヘテロアリールであるか、またはRx
およびRyが炭素原子と一緒になって、それらが連結されることでシクロア
ルキルまたは複素環式環を形成するか、またはRx、Ry、およびRzが炭素原
子と一緒になって、それらが連結されることで二環式環(例えばアダマン
チル)を形成する;
フェニル、ピリジル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソ
キサゾリル、ピラゾリル、チオピラゾリル、イソキサゾリニル、ベンゾイ
ミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはベンゾチアゾリル、その任意の
ものが必要に応じて置換される;であり、
R3は、CHRaRb、ここでRaおよびRbは独立して、フェニルまたはヘテロアリールを
表し、その環は必要に応じて結合またはC1 〜4アルキレンもしくはC2 〜4ア
ルケニレン架橋により連結され得、そのいずれかは酸素または硫黄を割り
込ませ得る;
-(Z-O)n-Z、ここでZは必要に応じて1つ以上の隣り合わない硫黄または窒
素原子を割り込ませたC1 〜6アルキルであり、nは>1である;
C3 〜8シクロアルキルまたはC4 〜8シクロアルケニル;過フッ化C1 〜4アル
キル;アルキル;水素;フェニルアルキル;フェニル;ヘテロアリール;
ナフチル;であり、
R4は、水素またはアルキルである。
適切なアルキル(「アルキル」および「アルキル」を含む任意の用語において)
は、C1 〜12アルキル、好ましくはC1 〜6アルキルである。適切なアルケニルは、C2 〜12
アルケニル、好ましくはC2 〜6アルケニルである。適切なアルキニルは、C2 〜6
アルキニルである。適切なシクロアルキルは、C3 〜8シクロアルキルである。
任意の、アルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ナフチル、フェニル
、またはヘテロアリール環が、必要に応じて、以下から選択される1、2、また
は3つの置換基により置換される;アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、フェ
ノキシ、フェニルアルコキシ、ハロ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ
、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、アルキルアミノスルホニル
、ジアルキルアミノスルホニル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルカノイ
ルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルカノイル、トリフルオロメチル、
ア
ルカノイルアミノ、アリール、フェニル、アリールアルキル、アリールオキシ、
アリールアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロサイク
リル(heterocyclyl)、ヘテロサイクリルアルキル、アルコキシカルボニル、カル
バモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ヒドロキシエチル
、過フッ化C1 〜4アルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ニト
ロ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ベンジル、
グアニジン、ピロリジノ、モルホリノ、またはピペリジノ。
好ましくは:
R1は、水素、C1 〜8アルキル、C2 〜6アルケニル、C2 〜6アルキニル、C3 〜8シクロ
アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アリールC1 〜 6アルキル、ヘテロアリールC1 〜6アルキル、ヘテロサイクリルC1 〜6アル
キル、またはC3 〜8シクロアルキルC1 〜6アルキルであり;
R2は、C1 〜6アルキル、C2 〜6アルケニル、アリールC1 〜6アルキル、ヘテロアリ
ールC1 〜6アルキル、または天然に存在するアミノ酸の側鎖であり;
R3は、水素、C1 〜6アルキル、C3 〜8シクロアルキル、C4 〜8シクロアルケニル、
アリールC1 〜6アルキル、ヘテロアリールC1 〜6アルキル、またはヘテロサ
イクリルC1 〜6アルキルであり;
R4は、水素またはC1 〜6アルキル;あるいは、R3またはR4は、窒素原子と一緒に
結合して、複素環式環を形成する;
ここで、R1〜R4における任意の基または環は、必要に応じて置換され、そしてこ
こで用語「アリール」および「アリールC1 〜6アルキル」における「アリールは
、典型的には、フェニルまたはナフチルを、好ましくはフェニルを意味し、そし
て用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアリールC1 〜6アルキル」における「
ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から選択される5個までの環ヘテロ
原子を持つ芳香族単環式または二環式五〜十員環を意味する。(「ヘテロアリー
ル」の例は、チエニル、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリ
ミジニル、ピリジニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、
キノリニル、およびイソキノリニルを含む)。用語「ヘテロサイクリルC1 〜6アル
キル」における「ヘテロサイクリル」は、窒素、酸素および硫黄から選択される
5
個までの環ヘテロ原子を持つ非芳香族単環式または二環式五〜十員環を意味する
。(「ヘテロサイクリル」の例は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル
、ジヒドロピリジニル、およびジヒドロピリミジニルを含む)。
R1〜R4における任意の基または環は、必要に応じて、例えば3個までの置換基
により置換され得、それらは同じであっても異なっていてもよい。典型的な置換
基は以下を含む:ヒドロキシ、C1 〜6アルコキシ(例えば、メトキシ)、メルカプ
ト、C1 〜6アルキルチオ(例えば、メチルチオ)、アミノ、C1 〜6アルキルアミノ(
例えば、メチルアミノ)、ジ-(C1 〜6アルキル)アミノ(例えば、ジメチルアミノ)
、カルボキシ、カルバモイル、C1 〜6アルキルカルバモイル(例えば、メチルカル
バモイル)、ジ-C1 〜6アルキルカルバモイル(例えば、ジメチルカルバモイル)、C1 〜6
アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、アリールスルホニル(例
えば、フェニルスルホニル)、C1 〜6アルキルアミノスルホニル(例えば、メチル
アミノスルホニル)、ジ-(C1 〜6アルキル)アミノスルホニル(例えば、ジメチルア
ミノ-スルホニル)、ニトロ、シアノ、シアノC1 〜6アルキル(例えば、シアノメチ
ル)、ヒドロキシC1 〜6アルキル(例えば、ヒドロキシメチル)、アミノC1 〜6アル
キル(例えば、アミノエチル)、C1 〜6アルカノイルアミノ(例えば、アセトアミド
)、C1 〜6アルコキシカルボニルアミノ(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、C1 〜6
アルカノイル(例えば、アセチル)、C1 〜6アルカノイルオキシ(例えば、アセ
トキシ)、C1 〜6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはtert-
ブチル)、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、またはブロモ)、トリフルオロメチ
ル、アリール(例えば、フェニル)、アリールC1 〜6アルキル(例えば、ベンジル)
、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、アリールC1 〜6アルコキシ(例えば、ベ
ンジルオキシ)、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1 〜6アルキル、ヘテロサイク
リル、およびヘテロサイクリルC1 〜6アルキル。用語「天然に存在するアミノ酸
の側鎖」は、アミノ酸NH2-CHX-COOHの側鎖Xを意味する。適切なアミノ酸は、以
下を含む:アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、アスパラギン
、グルタミン、ヒスチジン、ホモセリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メ
チオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、セリン、スレオニン、トリ
プトファン、チロシン、およびバリン。
式(I)および(II)の化合物は、HONHOC-基と隣接した炭素原子において、-CHR2-
において、-CHR1-において(ここで、R1は水素ではない)、およびおそらくは可変
(variable)R1〜R4中に、多数のキラル中心を有する。本発明のプロセスは、TNF
コンバターゼを阻害し、そして/またはマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素
を阻害する、ジアステレオ異性体およびそれらの混合物を調製するために使用さ
れ得る。
R1にとって好ましい基は、以下を含む:C1 〜8アルキル(例えば、イソプロピル
、n-プロピル、イソブチル、sec-ブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチ
ル、n-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル);酸素、または硫黄原
子を割り込ませたC1 〜8アルキル(例えば、メトキシプロピル、エトキシエチル、
プロポキシメチル、エチルチオエチル、またはメチルチオプロピル);フェニルC1 〜6
アルキル(例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、またはフェ
ニルブチル);酸素、または硫黄を割り込ませたアリールC1 〜6アルキル(例えば
、ベンジルオキシブチル、またはベンジルオキシプロピル);C3 〜8シクロアルキ
ル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘ
キシル);酸素、または硫黄を割り込ませたアリールC1 〜6アルキル(例えば、ベ
ンジルオキシブチル、またはベンジルオキシプロピル);あるいは、C3 〜8シクロ
アルキルC1 〜6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル
、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロヘキシルメチル)
。
好ましくは、R1はイソブチルである。
キラル中心が、-CHR1-において存在する(ここで、R1は水素ではない);この中
心は、本明細書中後で式(X)において示される立体配置を有することが好ましい
。R1の大部分の値において、この中心は、カーン-プレローグ-インゴールド配列
法(Cahn-Prelog-Ingold sequence rule)においてR-立体化学を有する。
R2にとって好ましい基は、以下を含む:C1 〜6アルキル(例えば、メチル、エチ
ル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブ
チル、イソペンチル、n-ペンチル、またはヘキシル);酸素、または硫黄原子を
割り込ませたC1 〜6アルキル(例えば、メトキシエチル、メトキシプロピル、メト
キシチオエチル、または1,1-ジメチルメチルチオメチル(MeSCMe2-));あるいは
、フェ
ニルC1 〜6アルキル(例えば、ベンジル、またはフェネチル)。
好ましくは、R2はイソブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルメチルチオメチル
、またはベンジルであるが、tert-ブチルがもっとも好ましい。
好ましくは、-CHR2-におけるキラル中心は本明細書中後で式(X)において示さ
れる立体配置を有する。大部分のR2に対して、この中心はS-立体化学を有する。
R3にとって好ましい基は、以下を含む:C1 〜6アルキル(例えば、メチル、エチ
ル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、またはn-ブチル);酸素、または
硫黄原子を割り込ませたC1 〜6アルキル(例えば、ヒドロキシエチル、メトキシエ
チル、メチルチオエチル、またはエトキシエチル);アミノで置換されたC2 〜6ア
ルキル、C1 〜6アルキルアミノ、またはC2 〜6ジアルキルアミノ;アミノ、C1 〜6
アルキルアミノ、またはジ-C1 〜6アルキルアミノのいずれかで置換されたC2 〜6
アルキル;フェニルC1 〜6アルキル(例えば、ベンジル、フェネチル、またはフェ
ニルプロピル);ヘテロサイクリックアルキル(例えば、2-モルホリノエチル、2-
ピペラジノエチル、2-(N-メチルピペラジノ)エチル、または2-ピペリジノエチル
);あるいは、C3 〜8シクロアルキルC1 〜6アルキル(例えば、シクロプロピルメチ
ル、シクロブチルメチル、またはシクロペンチルメチル)。
好ましくは、R3はメチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、tert-ブチル、
またはベンジルである。これらのうち、メチルがもっとも好ましい。
R4にとって好ましい基は、水素、およびC1 〜6アルキル(例えば、メチルまたは
エチル)である。好ましくは、R4は水素である。
本発明のプロセスにより調製される化合物の特に適切なクラスは、以下の式(X
)のものである:
ここで、R1、R2、R3、およびR4は、本明細書中先に定義したとおりである。
式(X)の化合物の好ましいクラスは、R1がイソブチルであり;R2がイソブチル
、tert-ブチル、1,1-ジメチルメチルチオメチル、またはベンジルであり;R3が
メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、tert-ブチル、2-ジメチルアミノエ
チル、またはベンジルであり;そしてR4が水素またはメチルであるものである。
以下の実施例は、本発明を例示する:
LDAは、リチウムジ-イソプロピルアミドを意味する
THFは、テトラヒドロフランを意味する実施例1 N2-[3S- ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロ イシン-N1-メチルアミド
a) アルゴン下-78℃に冷却した、撹拌したLDA溶液[45.5mmol;ヘキサン中2.5M
のn-ブチルリチウム(18.2ml、45.5mmol)を、-78℃でジイソプロピルアミン(6.3m
l、48.3mmol)の乾燥THF(20ml)溶液に添加することにより調製]に、2R-イソブチ
ル-ブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル参照1(5.0g、21.7mmol)の乾
燥THF(15ml)溶液を滴下した。混合物を-78℃で45分間撹拌し、そして四塩化炭素
(2.3ml、23.9mmol)の乾燥THF(3ml)溶液を、内部温度が-65℃以上に上がるの避
けるために、ゆっくりと滴下して約8分にわたり添加した。混合物を-78℃で30
分間撹拌し、室温まで昇温させ、そして室温で1時間撹拌した。溶液を-78℃に
冷却し、そしてHCl(2N、3.3ml)の添加によってクエンチした。溶液を室温まで
昇温し、そしてジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾
燥し、濾過し、そして溶媒を除去して直接1つの粗単一異性体を得た。残渣を、
溶離液(eluant)としてアセトニトリルを使用するシリカ上ののフラッシュクロマ
トグラフィーにより精製して、3R-クロロ-2S-イソブチルブタン-1,4-ジオン酸-4
-tert-ブチルエステルを淡褐色油状物として得た(5.6g、98%):
b) 3R-クロロ-2S-イソブチルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(4.0
g、15mmol)の撹拌したアセトニトリル(100ml)溶液に、L-tert-ロイシンN-メチ
ルアミド(2.8g、19.4mmol)を添加した。混合物を、室温で24時間撹拌した。さ
らなる量のアセトニトリル(25ml)を添加し、そして混合物を12時間撹拌した。溶
媒を減圧でエバポレートし、そして残渣を水と酢酸エチルとの間で分配した。合
わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去した。残渣を、
溶離液としてアセトニトリルージクロロメタン(1/4〜l/3の勾配)を使用す
るシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N2-[3S-ヒドロ
キシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロイシン-N1-メ
チルアミドを白色固体として得た(2.48g、45%):
少量の未反応の3R-クロロ-2S-イソブチルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエ
ステル(336mg)は、クロマトグラフィーから回収した。実施例2 3R- イソブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボン酸tert-ブチルエステル 3R-クロロ-2S-イソブチルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(2.3g
、8.7mmol)の撹拌したジエチルエーテル(50ml)溶液に、NaHCO3の水性溶液(5%)
(45ml)を添加し、そして2相混合物を室温で48時間激しく撹拌した。層を分離し
、そして有機相を水で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去して、
直接3R-イソブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボ冫酸tert-ブチルエステルを
褐色油状物として得た(1.3g、68%):
実施例3 N2-[3S- ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロ イシン-N1-メチルアミド
3R-イソブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボン酸tert-ブチルエステル(1.2
g、5.3mmol)の撹拌したアセトニトリル(15ml)溶液に、L-tert-ロイシンN-メチ
ルアミド(0.98g、6.8mmol)を添加した。混合物を、室温で36時間撹拌した。溶
媒を減圧でエバポレートし、そして残渣を水とジエチルエーテルとの間で分配し
た。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去した。残
渣を、溶離液としてアセトニトリル-ジクロロメタン(1/9〜3/7の勾配)を
使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N2-[3S-
ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロイシン-
N1-メチルアミドを白色固体として得た(1.27g、66%): 実施例4 3R- イソブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボン酸tert-ブチルエステル
3R-クロロ-2S-イソブチルーブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(103
mg、0.4mmol)の撹拌したジクロロメタン(10ml)溶液に、NaHCO3の水性溶液(10%)
(5ml)、続いてベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(7mg、0.04mmol)を添
加し、そして2相混合物を室温で9時間激しく撹拌した。層を分離し、そして有
機相を水で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去して、直接3R-イソ
ブチル-4-オキソ-2S-オキセタンカルボン酸tert-ブチルエステルを淡褐色油状物
として得た(50mg、57%):
実施例5 N2-[3S- ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロ イシン-N1-ジメチルアミド
実施例1(b)において記載されたものと類似の様式で、3R-クロロ-2S-イソブチ
ルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(500mg、1.89mmol)のアセトニト
リル(7ml)溶液に、L-tert-ロイシン-N-ジメチルアミド注(448mg、2.83mmol)を
添加した。混合物を、室温で24時間撹拌した。混合物を水性NH4Cl(10%)に注ぎ
、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗い、MgSO4で乾燥
し、濾過し、そして溶媒を除去した。残渣を、溶離液としてアセトニトリル-ジ
クロロメタン(1/4)を使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーに
より精製して、N2-[3S-ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシ
ニル]-L-tert-ロイシン-N1-ジメチルアミドを凝固したゴム状物として得た(395m
g、54%): 注L-tert-ロイシン-N-ジメチルアミドは、L-tert-ロイシンとトリホスゲンとの
反応により3-(S)-tert-ブチルオキサゾリジン-1,4-ジオンを得、次いでこれをジ
メチルアミンの飽和エーテル溶液で処理することにより調製した。実施例6 N2-[3S- ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロ イシン-N1-(2-ジメチルアミノエチル)アミド
実施例1(b)において記載されたものと類似の様式で、3R-クロロ-2S-イソブチ
ルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(500mg、1.89mmol)のアセトニト
リル(7ml)溶液に、L-tert-ロイシン-N-(2-ジメチルアミノエチル)アミド注(455
mg、2.2mmol)を添加した。混合物を、室温で48時間撹拌した。混合物を水性NH4C
l(10%)に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗い
、MgSO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去した。残渣を、溶離液としてメタ
ノール-ジクロロメタン(1/9)を使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグ
ラフィーにより精製して、N2-[3S-ヒドロキシ-2R-イソブチル-4-tert-ブチルオ
キシスクシニル]-L-tert-ロイシン-N1-(2-ジメチルアミノエチル)アミドをゴム
状物として得た(437mg、54%):
注L-tert-ロイシン-2-ジメチルアミノエチルアミドは、L-tert-ロイシンとトリ
ホスゲンとの反応により3-(S)-tert-ブチルオキサゾリジン-1,4-ジオンを得、次
いでこれをN,N-ジメチルエチレンジアミンで処理することにより調製した。実施例7 N2-[3S- ヒドロキシ-2R-(4'-ベンジルオキシ)ブチル-4-tert-ブチルオキシスクシ ニル]-L-tert-ロイシン-N1-メチルアミド
実施例1(a)において記載されたものと類似の様式で、アルゴン下-78℃まで冷
却した、撹拌したLDA溶液[11.24mmol;ヘキサン中2.5Mのn-ブチルリチウム(4.5
ml、11.24mmol)を、-78℃でジイソプロピルアミン(1.57ml、11.24mmol)の乾燥TF
F(4ml)溶液に添加することにより調製]に、2R-(4'-ベンジルオキシ)ブチル-ブ
タン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル参照2(1.8g、5.35mmol)の乾燥THF(
2ml)溶液を滴下した。混合物を-78℃で70分間撹拌し、そして四塩化炭素(0.566
ml 5.89mmol)の乾燥THF(1ml)溶液を、内部温度が-65℃以上に上がるの避けるた
めに、ゆっくりと滴下して約8分にわたり添加した。混合物を-78℃で60分間撹
拌したままにし、そしてHCl(2N)を添加することでクエンチした。溶液を室温
まで昇温し、そしてジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO4
で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去して直接粗3R-クロロ-2S-(4'-ベンジルオ
キシ)ブチルブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステルを褐色油状物として得
(213g、100%)、以下の工程においてそれ自体使用した:
実施例1(b)において記載されたものと類似の様式で、3R-クロロ-2S-(4'-ベン
ジルオキシ)ブチル-ブタン-1,4-ジオン酸-4-tert-ブチルエステル(1.9g、5.12m
mol)のアセトニトリル(40ml)溶液に、L-tert-ロイシン-N-メチルアミド(738mg、
6.15mmol)を添加した。混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物を水性NH4Cl(1
0%)に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗い、Mg
SO4で乾燥し、濾過し、そして溶媒を除去した。残渣を、溶離液としてアセトニ
トリル-ジクロロメタン(3/17〜7/13の勾配)を使用するシリカ上でのフラッ
シュクロマトグラフィーにより精製して、N2-[3S-ヒドロキシ-2R-(4'-ベンジル
オキシ)ブチル-4-tert-ブチルオキシスクシニル]-L-tert-ロイシン-N1-メチルア
ミドを淡黄色ゴム状物として得た(520mg、27%):
一定量の未反応の3R-クロロ-2S-(4'-ベンジルオキシ)ブチルーブタン-1,4-ジ
オン酸-4-tert-ブチルエステル(412mg)をクロマトグラフィーから回収した。参照
1.British Biotechnology Ltd(M.J.Crimmin、P.R.BeckettおよびM.H.Da
vis)PCT国際出願WO 94/21625。
2.M.R.Gowravaram、J.S.Johnson、D.Delecki.E.R.Cook.B.E.Tomcz
uk、A.K.Ghose、A.M.Mathiowetz、J.C.Spurlino、B.Rubinら、J.Med.C
hem.、38(14)、2570〜81、1995。
─────────────────────────────────────────────────────
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07C 259/06 C07C 259/06
C07D 305/12 C07D 305/12
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID
,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,
TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V
N,YU,ZW
(72)発明者 バード,トーマス ジオフリー コルリッ
ク
フランス国 エフ―51689 ライムス セ
デックス 2,ボワ ポスタール 1050,
シャミン ドゥ フリリー,ゾーン イン
ダストリエール ラ ポンペール,セント
ドゥ ルシェルシュ(番地なし)
(72)発明者 パスケ,マリ−ジェンヌ
フランス国 エフ―51869 ライムス セ
デックス 2,ボワ ポスタール 1050,
シャミン ドゥ フリリー,ゾーン イン
ダストリエール ラ ポンペール,セント
ドゥ ルシェルシュ
(72)発明者 ペルター,ジャック
フランス国 エフ―51689 ライムス セ
デックス 2,ボワ ポスタール 1050,
シャミン ドゥ フリリー,ゾーン イン
ダストリエール ラ ポンペール,セント
ドゥ ルシェルシュ