【発明の詳細な説明】
切替可能な分解能を与える分圧器
発明の背景
発明の技術分野
本発明はアナログ・ディジタル(A/D)変換に関係し、特に、改良された感度
を提供するためアナログ・ディジタル変換器入力の分解能を切替える装置に関係
する。
関連技術の説明
ここで図1を参照すると、従来技術で公知の可変センサを基にした従来のアナ
ログ・ディジタル(A/D)変換器10の回路図が図示されている。電源12は
正端子14と負(接地)端子16を有している。端子14、16間には2個の直
列接続抵抗20を含む電圧分割回路18が接続される。抵抗の第1のもの20(
1)は正端子14とノード22との間に接続される。抵抗の第2のもの20(2
)はノード22と負端子16との間に接続される。ノード22はリード線24を
介してアナログ・ディジタル変換器26の入力に接続される。
1実装例では、センサ10により検出されている変数は電源12からの電圧出
力である。電源12は従って電池を含んでもよい。他の実装例では、センサ10
により検出される変数は温度である。第2抵抗20(2)は従って温度検出サー
ミスタを含む。いずれの場合でも、計測変数(電圧又は温度)に関係する(すな
わち、比例している)電圧を有するアナログ信号がノード22の電圧分割回路1
8により発生され、リード線24を介してアナログ・ディジタル変換器26の入
力に印加される。リード線24上のアナログ信号の電圧は次いでアナログ・ディ
ジタル変換器26によりさらに処理するため又は出力用にディジタル信号値に変
換される。これに関しては、アナログ・ディジタル変換器26は(図示のように
)個別回路素子を含むか、又は(マイクロコントローラのような)多機能回路要
素28を含んでもよい。
多くの例で、変数の一般的な相対値(例えば、一定の閾値との比較)を検出す
るのみならず、その他の目的でより高分解能の変数値(例えば、変化率)を検出
する必要がある。例えば、電池電圧センサを例に取ると、ユーザーは、電池レベ
ルが高いか低いかのみならず、電圧がどのように急速に低下しているかも知る必
要がある。この両方の目的を達成するため、変数に関係している検出データを異
なる分解能で評価する必要がしばしばある。従って、アナログ・ディジタル変換
器の前に一般的に使用される分圧器からのアナログ信号出力の分解能の増大を支
援する回路の必要性がある。
発明の要旨
電圧分割回路からのアナログ信号出力の分解能の調節は、第1実施例では電圧
分割回路を含む抵抗の内の一方と並列に分解能抵抗を選択的に接続、非接続する
ことにより行なわれる。第2の実施例では、電圧分割回路からのアナログ信号出
力はスケール変更増幅回路に印加され、増幅器回路の帰還抵抗と並列な分解能抵
抗を接続、非接続して、アナログ信号の利得(増幅)の調節を行なうことにより
調節を行う。各実施例で、印加制御信号に応答して動作するトランジスタ・スイ
ッチが分解能抵抗の選択的並列接続及び非接続を実行して、検出変数の切替え可
能な(高対低)分解能を提供する。
図面の簡単な説明
本発明の方法と装置のより完全な理解は、添付の図面と関連して行なわれる以
下の詳細な説明を参照して得られる。
図1(前に部分的に説明)は従来技術のアナログ・ディジタル(A/D)変換器
をベースにした可変センサの回路図である。
図2は本発明による分解能調節付きのアナログ・ディジタル(A/D)変換器を
ベースにした可変センサの第1実施例である。
図3は本発明による分解能調節付きのアナログ・ディジタル(A/D)変換器を
ベースにした可変センサの第2実施例である。
図面の詳細な説明
再び図1を参照する。電圧分割回路18内の個別の抵抗20の相対抵抗値の選
択はセンサ10の分解能に影響する(すなわち、検出変数の変化に対する感度)
。電源12により発生された印可電圧Vに対して、ノード22に電圧分割回路1
8
により発生されるアナログ信号の電圧V'は以下により与えられる:
ここで:R1は第1抵抗20(1)の抵抗値;
R2は第2抵抗20(2)の抵抗値。
式(1)は、R1の値と比較してR2の値が大きければ大きいほど、Vの変化に対
してV'はより敏感になる、従ってV'により与えられる生成分解能は大きくなるこ
とを図示している。これは固有の例を参照することにより証明される。まず、R1
が3オーム(3Ω)に等しく、R2が5オーム(5Ω)に等しいものと仮定する。
Vが10ボルト(10V)に等しい場合に式(1)を適用すると、V'は6.25Vに等し
くなる。ここでVが12ボルト(12V)に変化したとすると、V'は7.5Vに等しい。
これはVの2ボルト変動に対してV'の1.25Vの変化である。ここでR1の値を2オー
ム(2Ω)に減少する。Vが依然として10ボルト(10V)に等しいと、V'は7.
14Vに等しい。再びVが12ボルト(12V)に変化したとすると、V'は8.57Vに等し
い。これは、Vの2ボルト変動に対してV'の1.43Vの変化である。Vの同じ2ボルト
変動に対する電圧結果の生成した変化を比較すると、R2(5Ω)に対して小さな
値のR1(2Ω対3Ω)の方にV'の大きな変化(1.43V対1.25V)が発生している。
従って、R1の値に対してR2の値が大きければ大きいほど、ノード22の電圧分割
回路18からのアナログ信号出力の分解能が増加する。高分解能を必要とする時
には、R2の相対値を増加することにより又はR1の相対値を減少することによりこ
の効果が得られる。
式(1)はさらに、一定のVに対して、R1と比較してR2が大きければ大きいほ
ど、R2の変化にV'はさらに鈍感になり、従って、V'により与えられる生成分解能
は大きくなることを図示している。これは固有の例を参照して証明できる。最初
にR1が3オーム(3Ω)に等しく、Vが10ボルト(10V)に等しいものと仮定す
る。R2が4オーム(4Ω)に等しい場合に式(1)を適用すると、V'は5.71Vに
等しい。ここでR2の値を6オーム(6Ω)に増加する。V'はここで6.67Vに等し
くなる。これはR2の2オーム変動に対してV'の0.96Vの変化である。ここでR2が
再び4オーム(4Ω)に等しい場合にR1を1オーム(1Ω)に減少した場合、V'は
8.0Vに等しい。ここで再びR2の値を6オーム(6Ω)に増加する。V'は8.57Vに
等しい。これはR2の2オーム変動に対してV'の0.57Vの変化である。R2の同じ2オ
ーム変動に対する電圧結果の生成した変化を比較すると、R2に対してR1のより大
きな値(3Ω対1Ω)に対してV'の大きな変化(0.96V対0.57V)が発生する。従っ
て、R1の値に対してR2の値が小さくなると、ノード22の電圧分割回路18から
のアナログ信号出力の分解能の増加が生じる。高い分解能を必要とする時、R1の
相対値を増大することによりこの結果が得られる。
ここで図2を参照すると、本発明によるアナログ・ディジタル(A/D)変換器
をベースにした可変センサ100の第1実施例の回路図が図示されている。電源
112は正端子114と負(接地)端子116を有している。端子114、11
6間には複数個(2個が図示)の直列接続抵抗120を含む電圧分割回路118
が接続される。抵抗の第1のもの120(1)は正端子114とノード122と
の間に接続される。抵抗の第2のもの120(2)はノード122と負端子11
6との間に接続される。ノード122はリード線124を介して、多機能回路要
素128(マイクロコントローラのような)の一部を含むアナログ・ディジタル
変換器126の入力に接続される。
センサ110はさらに、電界効果トランジスタ(FET)素子(図示するように
)又はバイポーラ・トランジスタ(図示せず)のどちらかを含む半導体トランジ
スタ・スイッチ130を含む。スイッチ130は、正端子114に接続したドレ
イン端子132、マイクロコントローラ128の出力ポート136に接続したゲ
ート端子134、及びソース端子136を含む。センサ110は、リード線12
4を介してアナログ・ディジタル変換器126の入力に接続されたノード122
とソース端子138との間に接続された分解能抵抗140を更に含む。ポート1
36からマイクロコントローラ128により選択的に出力される信号はスイッチ
130の動作(「オフ」対「オン」)を制御して、正端子114とノード122
との間の第1抵抗120(1)と並列の分解能抵抗140の非接続と接続を各各
実行する。マイクロコントローラ128出力信号によりスイッチ130がオンと
なると、分解能抵抗140と第1抵抗120(1)により有効第1抵抗120
(1)'が形成される。有効第1抵抗120(1)'の値は次式により与えられる
:
ここで:R1は第1抵抗120(1)の抵抗値;
Rrは分解能抵抗140の抵抗値;
Reffは有効抵抗120(1)'の抵抗値。
1実装例では、センサ110により検出されている変数は電源112からの電
圧出力の変化である。この場合、電源112は従って電池を含む。センサ110
は2つの分解能モードで動作する。低分解能モード(すなわち、電源112から
の電圧出力の変化にセンサ110が敏感ではないモード)では、マイクロコント
ローラ128はスイッチ130の動作を(「オフ」)に制御するポート136か
らの信号を出力するよう動作して、正端子114から分解能抵抗140の接続を
実質的に切り離す。高分解能モード(すなわち、電源112からの電圧出力の変
化にセンサ110がより敏感であるモード)では、マイクロコントローラ128
はスイッチ130の動作を(「オン」)に制御するポート136からの信号を出
力するよう動作して、分解能抵抗140を正端子114に有効に接続し、従って
有効抵抗120(1)'を形成する。式(2)によると、有効抵抗120(1)'
の値は第1抵抗120(1)の値より低い。電圧Vの与えられた変化に対して式
(1)の解析に関連して上述したように、第1抵抗120(1)又はその有効抵
抗120(1)'(すなわち、R1)に対する第2抵抗120(2)(すなわち、R2
)の値が大きくなると、ノード122の電圧分割回路118からのアナログ信
号出力に対して分解能の増大が発生し、感度を改善する。スイッチ130がオン
となり分解能抵抗140を接続した時に第2抵抗120(2)のこのような大き
な相対値が生じる。
図1では特に図示していないが、ノード122と負端子116との間の第2抵
抗120(2)と並列の分解能抵抗140を選択的に接続し非接続するスイッチ
130を使用することにより、センサ110の同様な動作が得られることを理解
すべきである。この構成では、マイクロコントローラ128によりスイッチ13
0が「オン」された時に低分解能モードが生じ、マイクロコントローラによりス
イッチ130が「オフ」された時に高分解能モードが生じる。
他の実装例では、センサ110により検出されている変数は温度である。この
実装例での第2抵抗120(2)は温度検出サーミスタである。センサ110は
再び2つの分解能モードで動作する。低分解能モード(すなわち、サーミスタの
抵抗の変化にセンサ110が敏感ではないモード)では、マイクロコントローラ
128はスイッチ130の動作を(「オン」)に制御するポート136からの信
号を出力するよう動作して、正端子114に分解能抵抗140を有効に接続し、
従って有効抵抗120(1)'を形成する。高分解能モード(すなわち、電源1
12からの電圧出力の変化にセンサ110がより敏感であるモード)では、マイ
クロコントローラ128はスイッチ130の動作を(「オフ」)に制御するポー
ト136からの信号を出力するよう動作して、分解能抵抗140を正端子114
からに有効に切り離す。式(2)によると、有効抵抗120(1)'の値は第1
抵抗120(1)の値より低い。抵抗R2の与えられた変化に対して式(1)に関
連して上述したように、第1抵抗120(1)又はその有効抵抗120(1)'
(すなわち、R1)に対する第2抵抗120(2)(すなわち、R2)の値が小さく
なると、ノード122の電圧分割回路118からのアナログ信号出力に対して分
解能の増大が発生し、感度を改善する。スイッチ130がオフとなり分解能抵抗
140を切り離した時に第2抵抗120(2)のこのような小さな相対値が生じ
る。
ここで図3を参照すると、本発明によるアナログ・ディジタル(A/D)変換器
をベースにした可変センサ210の第2実施例の回路図が図示されている。電源
212は正端子214と負(接地)端子216を有している。端子214、21
6間には複数個(2個が図示)の直列接続抵抗220を含む電圧分割回路218
が接続される。抵抗の第1のもの220(1)は正端子214とノード222と
の間に接続される。抵抗の第2のもの220(2)はノード222と負端子21
6との間に接続される。ノード222はリード線224を介して、演算増幅器2
52の第1入力250に接続される。演算増幅器252の第2入力は負(接地)
端子216に接続される。演算増幅器252の出力256は帰還抵抗58を介し
て第1入力250に接続される。これは、ノード222に発生する受信アナログ
信号に対するスケール変更器として動作する演算増幅器を実質的に構成する。演
算増幅器252の出力256は、多機能回路要素228(マイクロコントローラ
のような)の一部を含むアナログ・ディジタル変換器226の入力にさらに接続
される。
センサ210はさらに、電界効果トランジスタ(FET)素子(図示するように
)又はバイポーラ・トランジスタ(図示せず)のどちらかを含む半導体トランジ
スタ・スイッチ230を含む。スイッチ230は、演算増幅器252の出力25
6に接続したドレイン端子232、マイクロコントローラ228の出力ポート2
36に接続したゲート端子234、及びソース端子238を含む。センサ210
は、ノード222に接続された演算増幅器252の第1入力250とソース端子
238との間に接続された分解能抵抗140を更に含む。ポート236からマイ
クロコントローラ228により選択的に出力される信号は、スイッチ230の動
作(「オフ」対「オン」)を制御して、演算増幅器252の出力256と第1入
力250との間の帰還抵抗258と並列の分解能抵抗140の非接続と接続を各
々実行する。マイクロコントローラ228出力信号によりスイッチ230がオン
となると、分解能抵抗140と帰還抵抗258により有効帰還抵抗258'が形
成される。演算増幅器252はスケール変更器として構成されているため、マイ
クロコントローラ228出力信号に応答して分解能抵抗140を接続、非接続す
ることは、利得変化を実行する。有効帰還抵抗258'の値は次式により与えら
れる:
ここで:Rfは帰還抵抗258の抵抗値;
Rrは分解能抵抗240の抵抗値;
Reffは有効帰還抵抗258'の抵抗値。
1実装例では、センサ210により検出されている変数は電源212からの電
圧出力の変化である。この場合、電源212は従って電池を含む。センサ210
は2つの分解能モードで動作する。高分解能モード(すなわち、電源212から
の電圧出力の変化にセンサ210がより敏感であるモード)では、マイクロコン
トローラ228は、スイッチ230の動作を(「オフ」)に制御するポート23
6からの信号を出力するよう動作して、演算増幅器252の出力256から分解
能抵抗240の接続を実質的に切り離す。式(3)によると、帰還抵抗258の
値は有効帰還抵抗258'の値より大きい。従って、スケール変更演算増幅器2
52により高い利得が印可され、ノード222の電圧分割回路218からのアナ
ログ信号出力の変化に対して感度が増大する。低分解能モード(すなわち、電源
212からの電圧出力の変化にセンサ210がより敏感でないモード)では、マ
イクロコントローラ228は、スイッチ230の動作を(「オン」)に制御する
ポート236からの信号を出力するよう動作して、分解能抵抗240を帰還抵抗
258に有効に接続し、従って有効帰還抵抗258'を形成する。式(3)によ
ると、有効帰還抵抗258'の値は帰還抵抗258の値より小さい。従って、ス
ケール変更演算増幅器252により低い(相対)利得が印可され、ノード222
の電圧分割回路218からのアナログ信号出力の変化に対して感度が低くなる。
本発明の方法と装置の望ましい実施例を添付図面に図示し、以上の詳細な説明
で説明してきたが、本発明は開示した実施例に限定されるものではなく、以下の
請求の範囲に記述し限定する発明の要旨から逸脱することなく多数の再配置、修
正や置換えが可能であることを理解すべきである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
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CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID
,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,
TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y
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