JP2001515652A - 改良されたアーク遮断性能を持つ遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 故障電流遮断器が、１対の開離し得る接点の間に接続された重合体限流器及び電圧依存性抵抗の並列の組合せを設けることによって構成されて、接点が最初に開離されるときに接点間にアークを発生させずに電流を遮断することが出来るようにする。重合体限流器は、休止動作電流で比較的低い抵抗値を持つと共に、短絡過電流で実質的に一層高い抵抗値を持つように選ばれる。これによって、電流が接点から重合体限流器を通るように切換えられ、次いで電圧依存性抵抗の両端間の電圧が該電圧依存性抵抗を導電性にする電圧になったとき、電流は重合体限流器から切換えられるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】 改良されたアーク遮断性能を持つ遮断器 発明の背景 １９８４年５月１６日にＥ．Ｋ．ホーウエルの名前で出願された米国特許出願 第０６／６１０，９４７号、発明の名称「ソリッドステート限流遮断器」には、 遮断器接点と組合わせて半導体素子を使って、接点間にアークを生じさせずに、 接点を開離することが出来ることが記載されている。このホーウエルの出願を、 参考としてここに引用するが、この出願では、電圧依存性抵抗と組合わせてトラ ンジスタ素子を用いて、開離する接点から電流をトランジスタへ切換え、その後 トランジスタから電圧依存性抵抗に切換えている。接点が最初に開離したとき、 トランジスタを導電させる為に、並びに接点が開離して間もなくトランジスタを 非導電にする為に、トランジスタを導電状態と非導電状態との間で切換える何ら かの手段が必要である。前記ホーウエルの出願は、予定の期間内に電力トランジ スタをオン及びオフに切換える為に可飽和鉄心変流器を有利に用いている。それ 以降、トランジスタが果たすのと同じ作用を、低い温度では比較的低い抵抗値を 持ち且つそれより高い所定の温度ではずっと高い抵抗値を持つ正の温度係数を持 つ材料（ＰＴＣ）から作った抵抗によって達成出来ることが判った。 Ｌ．Ｍ．ミドルマン他に付与された米国特許第４，３２９，７２６号及び同第 ４，４１３，３０１号には、ＰＴＣ材料が所定の値より高い電流を通すときに、 回路内の直列抵抗が増加することによって回路を保護する為に、開離し得る接点 と直列に用いられていて、５乃至１００アンペアの範囲で動作するＰＴＣ材料が 記載されている。 回路遮断装置内に負の温度係数を持つ材料を使うことが、米国特許第４，０１ ９，０９７号、発明の名称「ソリッドステート受動型過電流感知装置を持つ遮断 器」に記載されている。この米国特許には、磁束切換え引外し機構と直列に二酸 化バナジウム又は酸化ランタン・コバルトのような材料を使うことが示されてい る。上に述べた材料の熱応答特性を利用して、過電流状態が存在することを感知 すると共に、引外し機構を通る電流が作動値まで増加することが出来るようにし ている。上に述べたすべての米国特許は、参考の為にここで引用する。ミドルマ ン他に付与された米国特許に記載されている材料は、配線用遮断器によって保護 されるような回路内での過電流保護を行う程の電流を通すことが出来ない。 米国特許第４，５８３，１４６号、発明の名称「故障電流遮断器」には、ＰＴ Ｃ抵抗を損傷又は破壊することなく、故障電流の遮断を行う為に、１対の開離し 得る接点の両端間に接続されたＰＴＣ抵抗及び電圧依存性抵抗の並列の組合せが 記載されている。 米国特許第５，６１４，８８１号、発明の名称「限流装置」には、抵抗の正の 温度係数（ＰＴＣＲ）特性に依存しない重合体の限流素子が記載されており、こ こで参考の為に引用する。 １９９７年２月１０日に出願された米国特許出願第０８／７９７，１５１号、 発明の名称「誘導電動機保護用電流抑圧遮断器」には、配線用遮断器と共に前に 述べた重合体の限流素子を用いて、大きな短絡電流を速やかに抑圧すると共に消 滅させることが記載されている。 １９９７年２月１０日に記載された米国特許出願第０８／７９７，１５２号、 発明の名称「遮断器限流アーク・ランナ」には、遮断器アーク・ランナに前述の 重合体の限流素子が用いられて、休止動作状態の間の加熱を伴わずに、大きな短 絡電流を速やかに抑圧することが記載されている。 １９９７年９月１８日に出願された米国特許出願第０８／９３２，４８６号、 発明の名称「電流の転流を用いる限流遮断器」には、短絡電流を限流器に速やか に転流する為に、回転式遮断器の２対の開離し得る接点の一方と並列に電気接続 された前述の重合体の限流素子が記載されている。 本発明の目的は、住居用及び工業用電力母線内で電流を遮断し得る回路内に、 ＰＴＣＲ特性に依存しない、重合体の限流器を用い、且つその遮断過程で重合体 の限流器を損傷又は破壊しない故障電流遮断器を提供することである。 発明の概要 ある配線用遮断器定格内で故障電流を反復的に遮断することが出来る故障電流 遮断回路が、１対の機械的に切換えられる接点と並列に、重合体の限流器（ＰＣ Ｌ）及び電圧依存性抵抗（ＶＤＲ）を配置することによって可能になる。接点が 開離したとき、電流が最初は初期の低い抵抗値を持つＰＣＬを通るように切換わ る。電流がＰＣＬを通過することにより、ＰＣＬの抵抗値が、前に引用した米国 特許第５，６１４，８８１号に記載されているように、数桁も増加する。並列の ＰＣＬ及びＶＤＲの両端の電圧がＶＤＲのクランプ電圧まで急速に増加して、Ｖ ＤＲをターンオンし、電流をＶＤＲへ切換える。ＶＤＲの両端間の電圧が電源電 圧よりも実質的に高いので、この後電流が急速に低い値まで低下し、１対の補助 接点が遮断過程を完了することが出来るようにする。 図面の簡単な説明 第１図は、本発明による回路遮断装置の回路図である。 第２図は、第１図に示したのとは別の実施例の遮断装置の回路図である。 好ましい実施例の説明 回路遮断装置で１対の開離し得る接点に対する直列又は並列素子としてＰＣＬ を使うことは公知であるが、接点間でのアークの発生をなくす為に、開離する接 点から電流を電圧依存性抵抗へ切換える為の並列回路素子としてこのような材料 を使うことは従来知られていない。 ＰＣＬ装置に種々の材料を使うことが知られており、何れも独特の特性が得ら れるが、大きな短絡電流の遮断には、ニッケル充填エポキシ系が適していること が示されている。ＰＣＬ装置用のこの他の材料系が、前に引用した米国特許第５ ，６１４，８８１号に記載されている。 ＰＣＬを使うこのような１つの故障電流遮断器が第１図に示されている。故障 電流遮断器１０は、固定接点１１及び１２と架橋接点１３及び１４とで構成され た主接点集成体１５の両端間に接続されている。これらの接点は、電力母線１６ に過負荷電流が流れたときに開離される。電力母線を通る電流は、１次巻線が電 力母線で構成され且つ２次巻線が作動機構に接続されている変流器によって感知 される。作動機構は、電流が所定の値に達したとき、接点集成体１５を速やかに 開路する。被保護回路内にこのような変流器及び作動機構を使うことが、例えば Ｅ．Ｋ．ホーウエルに付与された米国特許第４，１１５，８２９号及びＣ．Ｌ． ジェンクス他に付与された米国特許第４，００１，７４２号に記載されており、 詳しい説明についてはこれらの特許を参照されたい。故障電流遮断器１０は、前 に引用したＥ．Ｋ．ホーウエルの出願に記載されたソリッドステート電流遮断器 と同様な作用をし、電流を接点から固体スイッチへ切換えることにより、開離し 得る接点の間で「無アーク遮断」が行われる。固定接点１９及び可動接点１８を 持つ補助接点集成体１７も、希望によっては、故障電流遮断器１０と組合わせて 用いることが出来る。電力母線１６が線路端子２０を介して電源に接続されると 共に、負荷端子２１を介して動作負荷に接続される。前に引用した米国特許第５ ，６１４，８８１号に記載されているように動作するＰＣＬ２２が、開離し得る 接点集成体１５並びに金属酸化物バリスタ（以下、ＭＯＶと称す）２３のような 電圧依存性抵抗（以下、ＶＤＲと称す）と並列に、線２４及び２５を介して接続 される。 故障電流遮断器１０の動作について説明すると、接点集成体１５が開離したと き、電流は低い初期抵抗値を持つＰＣＬ２２へ直ちに切換わる。電流がＰＣＬを 通過することにより、前に引用した米国特許第５，６１４，８８１号に記載され ているようにＰＣＬの抵抗値が急速に増加し、それに対応して、ＰＣＬ２２及び ＭＯＶ２３の並列の組合せの両端間の電圧が増加してＭＯＶのクランプ電圧に達 し、そのとき電流は直ちにＭＯＶへ切換わる。このときの電圧は、電源電圧より も実質的に高いので、ＭＯＶを通る電流を急速に非常に小さい値まで低下させる 。ＭＯＶは、Ｊ．エリス他に付与された米国特許第４，３７４，０４９号に記載 される組成を持っていてよく、これによって、ＭＯＶ材料の組成並びに製造過程 を変えることにより、クランプ電圧を調節することが出来る。 第１図（並びに第２図）に示すようなＰＣＬ２２の電極界面については、この ＰＣＬがどのように作用するかの詳しい説明について、前に引用した米国特許第 ５，６１４，８８１号を参照されたいが、これがＩ²Ｒｔの断熱ジュール加熱に よって加熱される。ここでＲはＰＣＬ電極界面の抵抗値である。電流が最初にＰ ＣＬへ切換わるとき、Ｒは小さく、従って電力損失が小さく、界面の温度はゆっ くりと上昇する。温度が上昇するにつれて、Ｒが増加し、その結果電力損失が一 層大きくなり、更に速く加熱される。しかし、この電力が電流の自乗の関数であ るから、加熱速度は電流の大きさに非常に敏感である。第２図に示す故障電流遮 断器１０は、該故障電流遮断器が電力母線１６内で接点集成体１５の両端間に接 続されていた第１図の場合と同様である。ＰＣＬ２２が、線２４及び２５により 、接点集成体及びＭＯＶ２３と並列に接続される。ＰＣＬ２２の一端に薄いＭＯ Ｖ層２７が融着されていて、これは約５ボルト程度の非常に低いクランプ電圧を 有する。電流が接点集成体１５からＰＣＬ２２へ切換わったとき、ＭＯＶ層２７ の両端間の電圧とＭＯＶ層２７を通る電流との積により、ＭＯＶ層２７内に加熱 電力が生じる。この代りに、更に急速な電極界面の加熱を希望する場合、ＰＣＬ ２２を構成する材料又はＭＯＶ層２７と組合わせた材料の結晶粒境界に、ＭＯＶ 層２７によって生じる固定の電圧降下を分配する事が出来る。ＭＯＶ層２７内の 初期の加熱電力が、電流の線形関数であるから、この実施例に於ける初期の温度 上昇速度は一層大きく、第１図の実施例ほど、電流の大きさに敏感でもない。こ うして、ＰＣＬに於ける抵抗値の上昇速度が一層大きくなり、ＭＯＶ２３への電 流の切換え速度が一層大きくなる。 導電金属がＭＯＶ材料のマトリクスの中にカプセル封じされてＰＣＬ−ＭＯＶ 抵抗を形成するように、大電流複合金属絶縁体ＰＣＬが構成されるとき、別個の ＭＯＶ２３はもはや必要とされない。この金属がＰＣＬ−ＭＯＶ抵抗に初期の低 温及び低抵抗値の導電特性を持たせ、最初は電流を速やかに接点１５集成体から 切換える。ＰＣＬ−ＭＯＶ抵抗を通る電流が増加して、電極界面温度が上昇する と、ＰＣＬが前に引用した米国特許第５，６１４，８８１号に記載されるように 作用して、ＰＣＬ−ＭＯＶ材料へ切換わった電流を速やかに減少させる。本発明 の故障電流遮断器を、電力母線内の装置及び配線を保護する目的について説明し たが、これは例にすぎない。この故障電流遮断器は、例えば鉱山の爆発性雰囲気 のように「無アーク」切換えが必要な場合や、コンピュータ内の敏感な電子部品 等に対して「無雑音」の切換えが必要になる任意の状況で用いることが出来る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 電気回路を通る電流の流れを遮断するように配置された１対の開離し得 る電気接点と、 前記一対の電気接点の間に並列に電気接続されて、前記電気接点が最初に開離 されたときに電流を通すように電流を切換える重合体限流器と、 前記電気接点及び前記重合体限流器と並列に電気接続された抵抗とを有し、 前記重合体限流器は、重合体導体の両側に配置された第１及び第２の電極と、 有意のガス発生が８００℃より低いところで起こるような蒸発温度を持つ重合体 バインダと、導電性充填材と、前記重合体導体と直列の界面素子とで構成されて おり、前記界面素子が前記重合体導体よりも一層高い比抵抗を持っていること を特徴とする故電流遮断器。 ２． 前記抵抗がオーミック抵抗特性を持つ材料で構成されている請求項１記 載の故障電流遮断器。 ３． 前記抵抗が電圧依存特性を持つ材料で構成されている請求項１記載の故 障電流遮断器。 ４． 電気回路を通る電流の流れを遮断するように配置された１対の開離し得 る電気接点と、 前記一対の電気接点の間に並列に電気接続されていて、前記電気接点が最初に 開離されたときに電流を通すように電流を切換える重合体電流器とを有し、 前記重合体限流器は、重合体導体の両側に配置された第１及び第２の電極と、 有意のガス発生が８００℃より低いところで起こるような蒸発温度を持つ重合体 バインダと、導電性充填材と、前記重合体導体と直列の界面素子とで構成されて おり、前記界面素子が前記重合体導体より比抵抗が一層高く、更に前記重合体限 流器が結晶粒境界を持つ材料の層を持ち、該結晶粒境界は、前記重合体導電材料 の層が所定の温度に到達する速度を増加する電圧依存特性を持つ材料を含んでい ること を特徴とする故障電流遮断器。 ５． １対の接点と該接点の間に接続された抵抗とを有する故障電流遮断器で あって、 前記抵抗は、重合体導体の両側に配置された第１及び第２の電極と、有意のガ ス発生が８００℃より低いところで起こるような蒸発温度を持つ重合体バインダ と、導電性充填材と、前記重合体導体と直列の界面素子とで構成されており、 前記界面素子は前記重合体導体より一層高い比抵抗を持ち、この為、前記抵抗 は第１の休止電流で第１の抵抗値を持つと共に、第２の一層大きな短絡過電流で 一層高い第２の抵抗値を持ち、 前記抵抗はまた電圧依存特性を持つことにより、該抵抗がその両端間の第１の 電圧降下で第３の抵抗値を持つと共に、その両端間の更に高い第２の電圧降下で 第４の一層低い抵抗値を持っていること を特徴とする故障電流遮断器。 ６． 前記重合体限流器及び前記電圧依存性抵抗が複合材料で構成されている ことにより、前記電流は、前記接点が最初に開離される第１の休止電流で前記複 合材料の一方の成分を通るように切換わり、その後、前記第１の休止電流より一 層高い第２の短絡過電流で前記複合材料の別の成分を通るように切換わる請求項 ５記載の故障電流遮断器。 ７． 前記抵抗が、前記重合体限流器の第１の材料と、前記電圧依存特性を持 つ第２の材料とで構成されている請求項５記載の故障電流遮断器。