JP2001511044A - 短縮しない管腔内プロテーゼ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 管腔内プロテーゼ（４０）には複数の環状部材が設けられている。各環状部材は、相互に結合されて環形状を形成する複数の支柱（４２，４４）と頂点（４６）とを含んでいる。各環状部材は、圧縮状態と拡張状態とを有し、且つ圧縮状態よりも拡張状態においてより短い長手方向寸法を有している。複数の結合部材（４８）が、相互に隣接する環状部材の頂点同士を結合している。結合部材は、拡張状態における各環状部材のより短い長手方向寸法を補償するように機能する複数の交互の区分を有している。ステントは、その長さ及び／又は外周に沿って変化する可撓性を付与しても良く且つ異なる直径を有する区分を含んでも良い。

Description

【発明の詳細な説明】 短縮しない管腔内プロテーゼ 発明の背景 １．発明の分野 本発明は、哺乳類の脈管内に移植するための脈管内プロテーゼ（人工器官）に 関し、より特定すると、哺乳類の脈管の内腔の内側の特定の場所に圧縮状態で供 給され、次いで、脈管を支持するために拡張状態へと展開される管腔内ステント に関する。管腔内ステントには、圧縮状態及び拡張状態の両方においてほぼ同じ 長さでプロテーゼを維持する構造的形状が備えられている。管腔内ステントには また、その長さに沿って変化する剛性又は可撓性が備えられている。 ２．従来技術の説明 ステントのような管腔内プロテーゼは、一般的には、動脈瘤の治療において、 脈管のためのライナーとして又は狭窄した若しくは閉塞した脈管の潰れを防止す るための機械的な支持を提供するために使用される。これらのステントは、典型 的には、圧縮状態で脈管又はその他の管状構造の内腔の内側の特定の場所へ給送 され、次いで、その場所で展開されて拡張状態とされる。このステントは、拡張 状態では、圧縮状態のステントの直径の数倍の直径を有する。これらのステント はまた、血管内のアテローム性狭窄症の治療、特に経皮的管横断冠動脈血管形成 （ＰＴＣＡ）術の後においても、しばしば、手術の結果を良くするため及び狭窄 と同様の症状を減らすために展開される。 人体の脈管の内腔内の所望の位置にステントを位置決めすることは、ステント の性能及び治療方法の成功に影響を及ぼす重要なファクタである。ステントが展 開される内腔内の領域は、通常は、医師がアクセスし難いので、ステントの展開 された直径及び長さは、医師が正確な位置に正しい大きさのステントを正確に位 置決めする前に知ることができることが本質的である。例えば、人体の血管の疾 患した又は損傷を受けた区分又は領域の直径及び長さは、種々の人体の血管、疾 患の状態及び展開の目的によって変わるので、正しい直径及び長さを有するステ ントが展開のためのこの領域に給送されることが重要である。 人体の血管の内腔のこの領域を注意深く大きさを合わすことは、この領域にお ける人体の血管の正しい寸法は知っているがステントの直径及び長さについては 確実に知ってはいない多くの医師に対して困難な挑戦を提起するかもしれない。 これは、多くのステントが、圧縮状態から拡張状態へと拡張するときに受ける短 縮作用による。 この短縮作用は、図１Ａ，１Ｂ，２Ａ及び２Ｂに示されており、これらの図は 、頂点２６によって結合されたＶ字形状の支柱又は脚部２２及び２４によって作 られたメッシュ形状のパターンを有するステントの部分２０を示している。これ らのＶ字形状の支柱２２，２４の２つの対がステントのこの部分２０に示されて いる。これらの支柱２２及び２４の各々は長さｈを有している。図１Ｂは、一杯 に圧縮された状態のステントの部分２０を図示しており、ここでは、長さｈは、 長手方向すなわち水平方向成分ｌ₂を有しており(図２Ｂ参照)、図１Ａは、一杯 に拡張された状態のステントの同じ部分２０を図示しており、ここでは、長さｈ は、長手方向すなわち水平方向成分ｌ₁（図２Ａ参照）を有している。図１Ａ， １Ｂ，２Ａ及び２Ｂにおいて想像線２８及び３０によって示されているように、 ｌ₁はｌ₂よりも短い。なぜならば、支柱２２が水平軸に対してなす角度は、拡張 状態においてより大きく、従って、拡張した部分２０の長さが圧縮された部分２ ０の長さよりも２ｄだけ短くなるからである。この短縮は、ステントが圧縮状態 から拡張状態へと拡張されるときに、支柱２２及び２４の長手方向成分が短くな ることによって生じる。 この短縮作用は、この短縮される長さ２ｄの正しい寸法を決定することは容易 でないので、厄介なものである。医師は、ステントの材料、処置される血管及び 血管の内腔で正しく展開されたときのステントの予想される直径に基づいてこの 計算をしなければならない。例えば、短縮長さ２ｄは、同じステントが展開部分 において直径が異なる血管内で展開されるときに変化するであろう。 更に、血管の内腔径、解剖学的構造又は長さに沿った疾患状態の変化を経験す るある種の人体の脈管がある。このような血管において展開されるステントは、 これらの変化に対処し又はこれらの変化に適合することができる必要があるであ ろう。 このような人体の脈管の例として、頸動脈がある。血液は、総頸動脈を介して 心臓から脳へ供給される。これらの動脈は、首に沿った目のすぐ下方及び後方の 位置までたどるときに内腔が約８〜１０ｍｍである。この位置で、総頸動脈は、 血液を脳へ供給する内腔６〜８ｍｍの内腔径を有する内頸動脈と、血液を顔及び 頭皮へ供給する内腔径が６〜８ｍｍの外頸動脈とに分かれる。総頸動脈のアテロ ーム性動脈硬化による障害は、総頸動脈が内頸動脈と外頸動脈とに分かれるこの 分岐点のあたりで起こる傾向があり、従って、ステントは、この分岐点において 展開する必要がある場合が多い。 別の例は、総腸骨動脈において約８〜１０ｍｍの内腔径を有するが、外腸骨動 脈において約６〜７ｍｍの内腔径に減っている腸骨動脈である。総腸骨動脈は、 全く頻繁に石灰性であり且つ通常はより大きな径方向の強度又は剛性を有するよ り短いステントを必要とするより局部的な狭窄又は閉塞障害を経験する。腸骨組 織のより広汎性のアテローム性動脈硬化による疾患は、通常は、総腸骨動脈と内 腸骨動脈との両方を含み且つ腸骨組織が経験する曲がりくねった角のある部位に おいて展開するのに適した高い可撓性を有するより長いステントを必要とするで あろう。 大腿骨膝窩組織は、同様に、局部的な或いは広い範囲の狭窄障害を経験する。 更に、ステントの可撓性は、股関節又は膝関節のような関節の動きによって影響 される血管の位置において展開される場合に重要である。 腎臓動脈は別の有用な例を提供する。腎臓動脈の入口の最初の１ｃｍ程度は、 アテローム又は石灰化によって全く堅く狭くなっている場合が多く且つ比較的真 っ直ぐであり、一方、腎臓動脈の残りの部分は比較的湾曲している。この結果と して、腎臓動脈に移植することを意図したステントは、最初の１．５ｃｍ程度が 比較的剛性であり、次いで、より可撓性で且つ従順となるべきである。 従って、一杯に圧縮された状態及び一杯に拡張された状態の両方において並び に一杯に圧縮された状態と一杯に拡張された状態との間の全ての状態で、一貫し た長さを維持することができる管腔内プロテーゼの必要性が依然としてある。ま た、変化する内腔径、種々の解剖学的構造及び種々の疾患状態に対応できるステ ントの必要性がある。 開示の概要 本発明の目的を達成するためには、複数の環状部材を有するステントが提供さ れている。各環状部材は、圧縮状態と拡張状態とを有しており且つ圧縮状態より も拡張状態においてより短い長手方向寸法を有している。複数の結合部材が、隣 接する環状部材同士を結合し、この結合部材は、拡張状態における各環状部材の より短い長手方向寸法を補償するように作動する。 本発明の一つの実施形態においては、各環状部材は、複数の支柱と、環形状を 形成するために結合された頂点と、を含んでいる。これらの結合部材は、隣接す る環状部材の頂点に結合されている。環状部材の複数の支柱は、左側及び右側の 支柱を含んでおり、これらの左側及び右側の支柱の各対は、各頂点において相互 に結合されている。各支柱は、環状部材が圧縮状態よりも拡張状態にあるときに より短い長手方向寸法を有する。 本発明の一つの実施形態においては、少なくとも一つの環状部材が、複数の交 互の支柱及び頂点が相互に結合されて閉塞された環状部材を形成するように閉塞 された形状を有しても良い。更に、複数の交互の支柱及び頂点が少なくとも一つ の場所において結合されないように、少なくとも一つの環状部材が開口した形状 を呈することも可能である。 本発明の好ましい実施形態においては、結合部材は複数の交互の区分を有して いる。一つの実施形態においては、結合部材は、交互の頂部の湾曲した頂点と底 部の頂点とを画成している複数の交互の湾曲区分を有している。別の実施形態に おいては、結合部材は、複数の交互の湾曲した区分と真っ直ぐな区分とを有して いる。別の実施形態においては、結合部材は、複数の交互の且つ角度の付けられ た真っ直ぐな区分を有している。この結合部材は、各環状部材が拡張状態にある ときに、圧縮状態よりもより長い長手方向寸法を有して、拡張状態における環状 部材のより短い長手方向寸法を補償する。 本発明によるステントは更に、隣接する環状部材及び結合部材によって画成さ れた複数の開口を含んでいる。一つの実施形態においては、ステントの種々の区 分の開口が種々の大きさを有することが可能である。 本発明によるステントは更に、複数の区分を更に有し、そのうちの少なくとも ２つは、異なる可撓性度合いを有している。一つの実施形態においては、変化す る可撓性が複数のギャップを形成することによって達成されている。これらのギ ャップは、一つ若しくはそれ以上の結合部材若しくは隣接する環状部材間の結合 部材の部分を省略すること又は支柱の一つ若しくはそれ以上を省略するか又は結 合部材及び支柱を省略することによって形成することができる。もう一つ別の実 施形態においては、変化する可撓性は、種々の支柱区分の開口に種々の大きさを 付与することによって達成される。 本発明によるステントは、更に、ステントが拡張状態にあるときに、種々の直 径を呈する区分を提供しても良い。これらの種々の直径は、ステントに、傾斜し た又は段状の形状を付与することによって達成しても良い。 本発明の好ましい実施形態においては、ステントは、ニチノール（Ｎｉｔｉｎ ｏｌ）のような形状記憶合金によって作られているが、ステンレス鋼、タンタル 、チタン、エルジロイ(ｅｌｇｉｌｏｙ)、金、白金又はその他の金属若しくは合 金又はポリマー又は十分な生体適合性、剛性、可撓性、径方向強度、放射線不透 過性及び耐血栓性を有する複合材を、ステント材料として使用することができる 。 このように、本発明によるステントは、一杯に圧縮された状態及び一杯に拡張 された状態並びに一杯に圧縮された状態と一杯に拡張された状態との間の全ての 状態の両方において、一定の長さを維持する。この結果、本発明によるステント は、正しい大きさ及び展開を容易にし、それによって、機械的な過程を簡素化し 且つそのために必要な時間を出来限り短縮することができる。更に、本発明によ るステントは、その長さ及び／又は外周に沿って変化する可撓性及び剛性を提供 すると共に、ステントの種々の区分に沿って変化する直径を提供し、それによっ て、変化する内腔径、種々の解剖学的構造及び種々の疾患状態を有する体内の脈 管の治療を容易にする。 図面の簡単な説明 図１Ａは、拡張状態にある従来技術のステントの一部分の側面図であり、 図１Ｂは、圧縮状態にある図１Ａの一部分の側面図であり、 図２Ａは、ステ ントが拡張状態にあるときの図１Ａ及び１Ｂのステントの支柱の長手方向成分を 図示しており、 図２Ｂは、ステントが圧縮状態にあるときの図１Ａ及び１Ｂのステントの支柱 の長手方向成分を図示しており、 図３は、本発明によるステントの斜視図であり、 図４Ａは、拡張状態にある図３のステントの一部分の側面図であり、 図４Ｂは、圧縮状態にある図４Ａの一部分の側面図であり、 図５Ａは、ステントが拡張状態にあるときの図４Ａ及び４Ｂのステントの支柱 の長手方向成分と結合部材とを図示しており、 図５Ｂは、ステントが圧縮状態にあるときの図４Ａ及び４Ｂのステントの支柱 の長手方向成分と結合部材とを図示しており、 図６Ａは、拡張状態にある図３のステントの側面図であり、 図６Ｂは、圧縮状態にある図６Ａのステントの側面図であり、 図７及び８は、本発明による結合部材の別の実施形態を示しており、 図９は、図３のステントの一部分に対する変形例を示す側面図であり、 図１０は、図３のステントの一部分に対する別の変形例を示す側面図であり、 図１１Ａ〜１１Ｃは、図３のステントに対する変形例を図示している。 好ましい実施形態の詳細な説明 以下の詳細な説明は、本発明を実施する現在のところ考えられる最も良好なモ ードである。この説明は、限定的な意味でなされたものではなく、本発明の実施 形態の一般的な原理を示す目的のためにのみなされたものである。本発明の範囲 は、請求の範囲によって最も良く規定されている。 本発明による管腔内プロテーゼは、ステントであるけれども、本発明の原理は 、ライナー及びフィルタのような他のプロテーゼに適用することもできる。この ステントは、圧縮状態で人体の脈管の内腔内の所望の位置へ給送され、次いで、 拡張状態へと拡張させることによって展開される。ステントは、一杯に圧縮され た状態及び一杯に拡張された状態及びこれら２つの状態間の全ての状態の両方に おいて、ほぼ同じ長さを維持する。ステントには、同ステントが種々の解剖学的 構造及び種々の区分に沿った変化する可撓性又は剛性を設けても良い。このステ ントはまた、同一のステントが、種々の直径を有する人体の脈管内への移植を容 易にするために、ステントの種々の部分に沿って種々の直径を有する形状で提供 さ れても良い。 本発明によるステントは、自己拡張性のステント又はバルーンを膨らませるこ と若しくは拡張部材によって径方向に拡張されることができるステント又はステ ントがその大きさを変化させる熱を付与する高周波の使用によって拡張されるス テントとすることができる。このステントはまた、結合されたステント移植プロ テーゼを形成するために、ＰＴＦＥ、ダクロン若しくはその他の生体適合性材料 からなる被覆によってコーティングしても良い。本発明のステントが拡張され得 る脈管としては、導管、動脈、気管、静脈、尿管及び食道のような天然の体内脈 管に限定されず、移植片のような人工脈管も含まれる。 １．好ましい実施形態 本発明によるステント４０が拡張状態で図３〜６に図示されている。図３を参 照すると、ステント４０は、管形状を有しており且つ頂点において結合されたほ ぼＶ字形状の支柱の複数の対であって、Ｖ字形状の支柱の各対の頂点に複数の結 合部材を係合することによる複数の対によって作られている。図４Ａ及び４Ｂは 、ステント４０の一部分を更に詳細に図示している。ステント４０は、交互の左 側支柱４２と右側支柱４４との複数の対を有している。左側支柱と右側支柱４２ ，４４の各対は、頂点４６において結合されて、対のためのほぼＶ字形状を形成 している。左側の支柱４２は、各頂点４６の左側のものであるとして規定されて おり、右側支柱４４は、各頂点４６の右側のものとして規定されている。左側の 支柱４２と右側支柱４４とは、交互になっている。なぜならば、一対のＶ字形状 の支柱のうちの左側の支柱４２もまた隣接するＶ字形状の対の左側の支柱でもあ り、一対のＶ字形状の支柱のうちの右側の支柱４４もまた隣接するＶ字形状の支 柱の右側の支柱でもあるからである。このようにして、交互の左側及び右側支柱 ４２及び４４は、環状ステント４０の周囲に環状形態で延びて環状部材を形成し ている。各頂点４６は、結合部材４８によって別の頂点４６に結合されている。 従って、ステント４０は、それら自体に結合されたＶ字形状の支柱４２，４４の 対によって形成され且つ結合部材４８によって結合されたそれらの頂点４６を有 している管状格子に似ている。図３に示されているように、ステント４０の両端 は、両端の末端がこれらの交互の左側及び右側の支柱４２，４４の頂点４６によ って 画成されている、複数の交互の左側及び右側の支柱４２，４４によって画成され ている。 結合部材４８は、複数の又はパターン状の交互の区分を含んでいる形状を有し ている。結合部材４８の非限定的な第１の好ましい実施形態が図４Ａ及び４Ｂに 図示されている。各結合部材４８は、頂点４６から長手方向延長部５２に沿って 長手方向に延び、次いで、湾曲した区分５４に沿って頂部の湾曲した頂点５６ま で上方に傾斜し、そこから湾曲した区分５８に沿って底部の湾曲した頂点６０ま で下方に傾斜している。結合部材４８は、次いで、湾曲した区分６２に沿って頂 部の湾曲した頂点６４へと上方に傾斜している。結合部材４８は、頂部の湾曲し た頂点６４から湾曲した区分６６に沿って反対側の頂点４６の長手延長部６８ま で下方に傾斜している。従って、結合部材４８は、交互の頂部及び底部の頂点５ ６，６０及び６４によって画成されている複数の交互の湾曲区分を有している。 結合部材４８は、２つの機能を達成するために提供されている。第１に、結合 部材４８は、頂点４６の対を結合する。第２に、結合部材４８は、各支柱４２及 び４４の長手方向成分が受ける短縮を補償して、ステント４０を常にほぼ同じ長 さに維持するように機能する。これは、結合部材４８に、圧縮されたときにその 長さを短縮するように交互の区分と結合する自然の付勢及び弾力性を設けること によって達成される。拡張することを許容されたときに、結合部材４８は、その 自然のすなわち本来の位置へと戻るように付勢されて、各支柱４２及び４４の長 手方向成分が経験する短縮を補償するように結合部材４８を長くする。 この作用は、図４Ａ，４Ｂ，５Ａ及び５Ｂに示されている。ステント４０が圧 縮状態にあるとき、結合部材４８は、結合部材４８が拡張状態にあるときの長さ Ｌ₁よりも短い長さＬ₂を有する。結合部材４８が圧縮状態にあるとき、交互の波 形曲線は、拡張状態にあるときよりもより高い振幅とより小さい波長とを有する (図４Ａと４Ｂとを比較せよ)。従って、Ｌ₂とＬ₁との差は、結合部材４８の両端 における支柱４２，４４のｌ₁とｌ₂との差を補償する。図４Ａ及び４Ｂにおける 線７０及び７２は、ステント４０の関連する部分が如何なる短縮をも経験しない ことを示しており、図６Ａ及び６Ｂにおける線７４及び７６は、ステント４０全 体がその全ての状態に亘って一定の長さを維持することを示している。 図４Ａ，４Ｂ，５Ａ及び５Ｂにおいては、結合部材４８は特定の形状を呈する ものとして説明したが、結合部材４８は、本発明の精神及び範囲を逸脱すること なく他の形状を呈することができることは、当業者によって理解されるであろう 。例えば、結合部材４８は、これらが、各支柱４２及び４４の長手方向成分が経 験する短縮を補償するように機能する限り、如何なる湾曲した又は部分的に湾曲 した又はその他の形状で設けることができる。 図７は、結合部材４８の非限定的な第２の好ましい実施形態を示しており、こ の実施形態においては、結合部材４８ａは、交互の湾曲した区分８０と真っ直ぐ な区分８２とを有している。結合部材４８ａが圧縮されるとき、その湾曲した区 分８０もまた、それが拡張状態にあるときよりもより高い振幅とより短い波長と を有する。図８は、非限定的な第３の好ましい実施形態を示しており、この実施 形態においては、結合部材４８ｂは、相互に角度が付けられた交互の真っ直ぐな 区分８４及び８６を有している。 ステント４０が一杯に拡張された状態にあるとき、同ステントは、このステン トが展開される体内脈管の領域の内径よりも若干大きい外形を有するのが好まし い。これによって、ステント４０は、所望の位置にしっかりと係留されることが でき且つステント４０が展開位置から離れて侵入するのを防止する。 ステント４０は、その長さに沿った種々の部分又は区分に種々の可撓性又は剛 性が付与されて、このような種々の可撓性又は剛性を必要とする体内脈管におけ る展開を容易にする。この種々の可撓性又は剛性は、結合部材４８及び支柱４２ ，４４を省略すること又は一以上の支柱４２，４４及び／又は結合部材４８を結 合しないことによって、ステント４０に沿った一以上の位置で”ギャップ”を形 成することによって達成することができる。これらの位置は、ステント４０の長 さ及び／又は外周に沿ったどこであっても良い。更に、ステント４０の種々の度 合いの可撓性は、これらのギャップのパターンを変えることによって達成するこ とができる。非限定的な例は、図９に示されているようなほぼ螺旋状のパターン の省略された支柱４２，４４及び／又は結合部材４８を提供するものである。省 略された支柱４２，４４及び結合部材４８は、図９において符号４７（支柱４２ ，４４のためのもの）及び符号４９（結合部材４８のためのもの）によって想像 線 （すなわち破線）で示されている。例えば、省略された支柱４７は、図９の頂部 左隅から図９の底部右隅までステント４０の長さに沿った比較的螺旋状のパター ンを呈し且つステント４０の外周に沿って延びることができる。同様に、省略さ れた結合部材４９は、図９の底部左隅から図９の頂部右隅までステント４０の長 さに沿って比較的螺旋状のパターンを呈し且つステント４０の外周に沿って延び ることができる。 他の非限定的な代替例は、ステント４０の一端又は両端からステント４０の中 心に向かってこれらのギャップ４７，４９の数を増すか又はステント４０の中心 からステント４０の一端又は両端に向かってこれらのギャップ４７，４９の数を 増すためのものである。ある結合部材４８の一部分のみ及びこれらの結合部材４ ８のうちの全部でないいくつかを省略することも可能である。多数のギャップ４ ７，４９を有するステント４０の一部分は、より大きい可撓性又はより低い剛性 を有する。 支柱４７を省略した結果として、交互の支柱４２及び４４によって作られてい る環状部材のいくつかが閉じているか又は完全に結合された環状部材を構成し、 一方、これらの環状部材のいくつかが開口した環状部材であることが可能である 。 種々の可撓性又は剛性は、支柱４２及び４４と結合部材４８との間に画成され た、開口した領域又は開口７８（例えば、図４Ａ及び１０参照）の大きさが、ス テント４０の長さ及び／又は外周に沿って、ステント４０の種々の部分又は区分 において変化する構造的な形状を提供することによって達成することができる。 非限定的な実施形態においては、ステント４０の一つの区分内の全ての開口７８ は、ほぼ同じ第１の大きさを有し、ステント４０の別の区分は、ほぼ同じ第２の 大きさを有しており、この第１の大きさと第２の大きさとは異なっている。各々 が、その区分における他の開口７８とほぼ同じ大きさの開口７８を有するが、他 の区分においては開口７８と異なる大きさを有している付加的な区分を設けるこ ともできる。 開口７８の大きさを変えることは、支柱４２及び４４並びに結合部材４８の長 さを変えることによって達成することができる。例えば、より小さい開口７８は 、支柱４２及び４４並びに特定の開口した領域７８を画成している結合部材４８ の 長さを短縮することによって提供することができる。類似した開口７８を備えた ステント４０の部分は、より大きい開口７８を備えたステント４０の部分よりも より剛性で且つ可撓性がより低い。このことにより、ステント４０は、ステント ４０が一端でより剛性であり、この剛性の端部から徐々に可撓性となる必要があ る体内脈管内で展開することができる。このような体内脈管の例としては、上記 した腎臓及び腸骨動脈がある。 開口７８の大きさを変えることは、他の重要な目的としても機能する。例えば 、ステント４０の両端により小さい開口７８を設けることによって、脈管の壁の 適用範囲を増し又はより緊密にし、それによって、疾患した脈管壁の改良された 支持をし及び血小板の破片が塞栓した堆積物として除去されるのを防止する。堆 積物の除去は、除去された堆積物が脳へ運ばれておそらく脳卒中を生じ得る頸動 脈のようなある種の脈管においては危険である。ステント４０のある場所におい てより大きな開口７８を提供する別の例は、別の体内脈管の側方分岐の閉塞を防 止する際に重要であるかもしれない広い開口７８領域を提供する。これらのより 広い開口した領域もまた、ガイドワイヤ、カテーテル、ステント、移植片及びそ の他の展開部材がステント４０の本体を通ってこれらの側方分岐内へと通過する のを許容する。 ステント４０はまた、圧縮状態においては一定の直径を呈するが、一杯に拡張 された状態のときにはステント４０の種々の部分が異なる直径を呈するような形 態にて設けることができる。拡張可能なステント４０に異なる部分において異な る直径を呈する能力を備えることは、ステント４０が内腔径が変わるある種の体 内脈管又は体内脈管の分岐において使用される場合に重要である。このような体 内脈管及び分岐の例として、上記した頸動脈及び腸骨動脈がある。 変化するステント４０の直径は、多くの方法で設けることができる。第１の非 限定的な代替え例は、図１１Ａに示すように、ステント４０の次第に傾斜が付け られた形状を設けることである。傾斜が付けられた形状は、次第に狭くなること を経験する体内脈管における使用に最も適している。第２の非限定的な代替え例 は、各々が比較的一貫しているが異なる直径を有する２つのステント４０の区分 間に段形状のような突然の遷移部分を設けることである。この段部は、図１１Ｃ に示されている隆起した段４０Ｃまたは図１１Ｂに示されている落ち込んだ段４ ０ｂのためのものとすることができる。更に、ステント４０に、特定の解剖学的 な要件に合致するためにその長さに沿って直径にいくつかの変化を設けることが できる。 ステントの形状の傾斜又は遷移は、予め整形することによって達成することが でき且つ（１）ステント材料の厚み、（２）開口７８の大きさ及び（３）ギャッ プ４７，４９、を変えることによって高めることができる。 上記に加えて、ステント４０の長さ及び／又は外周に沿ったある位置でステン ト４０材料の幅及び厚みを変えることによっても、種々の可撓性及び剛性を達成 することができることも当業者は理解するであろう。 展開方法に応じて多くの材料が、ステント４０及びその支柱４２及び４４並び に結合部材４８の両方のために使用することができる。自己拡張型のステントと して使用される場合には、ステント４０（その支柱４２及び４４並びに結合部材 ４８を含む）は、”機械的”記憶及び訓練の特異な性能を有するニチノールのよ うな形状記憶超弾性合金によって作られるのが好ましい。この合金は、遷移温度 範囲以上で第１の所定の形状に形成することができる。この合金は、遷移温度範 囲以下で第２の形状に弾性的に変形させても良いが、この合金は、遷移温度範囲 を超える温度まで暖め戻されると、それ本来の（第１の所定の）形状へと完全に 復帰する。ニチノールは、約５０％のニッケルと約５０％のチタンとの組成物を 有するのが好ましい。ニチノールのような形状記憶合金及びそれらのステントに おける使用特性は、文献に詳しく記載されており、Ｔ．Ｗ．Ｄｕｅｒｉｇ，Ａ． Ｒ．Ｐｅｌｔｏｎ及びＤ．Ｓｔｏｃｋｅｌによる”医学における超弾性の使用( Ｔｈｅ Ｕｓｅ ｏｆ Ｓｕｐｅｒｅｌａｓｔｉｃｉｔｙ ｉｎ Ｍｅｄｉｃｉ ｎｅ)”という名称の文献を参考にすることができる。この文献のコピーが本明 細書に添付されており且つあたかも本明細書において十分に記載されているかの ように特定の参照符によって特に本明細書に組み入れられている。 別の方法として、ステント４０（その支柱４２及び４４並びに結合部材４８を 含む）は、ステンレス鋼、タンタル、チタン、エルジロイ、金、白金又はその他 のあらゆる金属若しくは合金又はポリマー又は十分な生体適合性、剛性、可撓性 、 径方向強度、放射線非透過性及び耐血栓性を有する複合材料によって作ることが できる。 結合部材４８は、支柱４２及び４４と同じ材料を有するものとして上記したけ れども、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく異なる材料によって結合部 材４８を提供することができる。このような材料は、弾性があり且つ結合部材４ ８が支柱４２及び４４が経験する短縮を補償するために長手方向において圧縮さ れ或いは拡張されるのを可能にできなければならない。このような材料の非限定 的な例には、ステント４０のための上記した材料のいずれもが含まれ得る。 ２．製造方法 ステント４０は、このステントの材料及び展開の所望の性質に応じて多くの方 法のうちの一つによって作ることができる。 非限定的な第１の好ましい方法においては、ステント４０は、ステントが一杯 に圧縮された状態にあるときにステントと等しい寸法の固体ニチノール管によっ て作られている。ステント４０（すなわち、支柱４２及び４４並びに結合部材４ ８）のパターンは、コンピュータ制御のレーザーカッター又はレース内にプログ ラムされ、このレーザーカッター又はレースは、支柱４２及び４４と結合部材４ ８との間の区分を、ステント４０の外径及び壁厚を厳密に制御する方法で切り取 る。 切断工程の後に、ステント４０は、完全に拡張された状態に達するまで徐々に 拡張される。拡張は、内側拡張取り付け具によって達成することができるが、本 発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の拡張装置及び方法を使用するこ とができる。ステント４０の全長は、ステント４０の完全に圧縮された状態から 完全に拡張された状態までの拡張全体に亘って一定に維持されなければならない 。 ステント４０が一杯に拡張された状態へと拡張されると、ニチノール材料の形 状記憶を一杯に拡張された寸法に”設定”するために熱処理される。ステント４ ０は、次いで、洗浄され且つ電解研磨される。 次の段階において、ステント４０は、穿刺による給送か又は最少侵入外科方法 によって、脈管内に給送できる寸法に再び圧縮される。特に、ステント４０は、 給送器具によって脈管内の所望の場所へ給送することができるように、より小さ い状態に圧縮されなければならない。限定的ではないが、チューブ、カテーテル 又はシースのようなあらゆる一般的な給送器具を使用することができる。この圧 縮は、ステント４０を例えば摂氏零度の低温まで冷却し且つこの温度を維持しな がらステント４０を圧縮してステント４０が給送装置の内側へ挿入できるように することによって達成される。ステント４０は、一旦給送装置の内側へ挿入され ると、給送装置によって室温で圧縮状態に維持される。 非限定的な第２の好ましい方法においては、バルーンで拡張可能なステント４ ０を、支柱４２及び４４並びに結合部材４８の所望の形状に曲げられ且つ成形さ れた複数のワイヤを結合することによって製造することができる。この結合は、 溶接、縛り付け、接着又はその他の一般的な方法によって達成することができる 。別の方法として、ワイヤー放電加工を使用することができる。ワイヤは、ステ ント４０が圧縮され或いは拡張されるときに、塑性変形を経験することができる 。ステント４０の圧縮又は拡張状態への塑性変形がなされると、ステント４０は 、ステント４０を再び塑性的に変形する別の力が加わるまでこの状態のままであ る。 ある種の製造方法を上記したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく 、他の製造方法を利用することができることは当業者によって理解されるであろ う。 ３．展開方法 ステント４０は、多くの給送装置及び給送方法によって展開させることができ る。これらの給送装置及び方法は、ステント４０が、自己拡張、径方向拡張力又 は高周波によって拡張されるか否かに応じて変わるであろう。 上記の説明は、本発明の特定の実施形態に言及しているが、本発明の精神から 逸脱することなく多くの変形を施してもよいことは理解されるであろう。請求の 範囲は、本発明の真の範囲及び精神内に包含されるこのような変形を含むことを 意図している。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イエール，スリラム・エス アメリカ合衆国アラバマ州35244，バーミ ンガム，チェスナット・オークス・ドライ ブ 3127 (72)発明者 レッドモンド，ラッセル・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州93117, ゴレタ，ノース・フェアビュー・アベニュ ー 1148 (72)発明者 ヴィダル，クロード・エイ アメリカ合衆国カリフォルニア州93111, サンタ・バーバラ，サン・パトリチオ・ド ライブ 5426

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．複数の環状部材であって、該環状部材の各々が圧縮状態と拡張状態とを有 し、各環状部材が、圧縮状態よりも拡張状態において、より短い長手方向寸法を 有する複数の環状部材と、 隣接する環状部材同士を結合する少なくとも一つの結合部材であって、拡張状 態における環状部材のより短い長手方向寸法を補償するように機能する結合部材 と、からなるステント。 ２．請求項１に記載のステントであって、 各環状部材が、相互に結合されてほぼ環形状を形成する複数の交互の支柱と頂 点とを含んでいる、ステント。 ３．請求項２に記載のステントであって、 前記結合部材が、隣接する環状部材の頂点に結合されている、ステント。 ４．請求項２に記載のステントであって、 前記複数の支柱が左側及び右側支柱を含み、同左側及び右側支柱の各々が、頂 点において相互に結合されている、ステント。 ５．請求項２に記載のステントであって、 各支柱が、環状部材が圧縮状態よりも拡張状態にあるときに、各支柱がより短 い長手方向寸法を有する、ステント。 ６．請求項２に記載のステントであって、 環状部材が拡張状態よりも圧縮状態にあるときに、各支柱がより短い長手方向 寸法を有する、ステント。 ７．請求項１に記載のステントであって、 前記結合部材が複数の交互の区分を有する、ステント。 ８．請求項７に記載のステントであって、 前記結合部材が、交互の頂部及び底部の湾曲した頂点を画成している複数の交 互の湾曲した区分を有する、ステント。 ９．請求項８に記載のステントであって、 前記複数の交互の湾曲した区分が、環状部材が圧縮状態にあるときにより高い 振幅及びより短い波長を有する、ステント。 １０．請求項７に記載のステントであって、 前記結合部材が、複数の交互の湾曲した区分と真っ直ぐな区分とを有する、ス テント。 １１．請求項７に記載のステントであって、 前記結合部材が、複数の交互の且つ角度が付けられた真っ直ぐな区分を有する 、ステント。 １２．請求項１に記載のステントであって、 前記結合部材が、各環状部材が圧縮状態にあるときよりも拡張状態にあるとき のほうがより長い長手方向寸法を有して、拡張状態における環状部材のより短い 長手方向寸法を補償するようになされた、ステント。 １３．請求項１に記載のステントであって、 前記結合部材が、各環状部材が拡張状態にあるときよりも圧縮状態にあるとき のほうがより短い長手方向寸法を有して、圧縮状態における環状部材のより長い 長手方向寸法を補償するようになされた、ステント。 １４．請求項１に記載のステントであって、 当該ステントが形状記憶合金によって作られている、ステント。 １５．請求項１４に記載のステントであって、 前記形状記憶合金がニチノールである、ステント。 １６．請求項１に記載のステントであって、 当該ステントが、その長さに沿った複数の区分を有し、同区分の各々が、当該 ステントが拡張状態にあるときに異なる直径を呈する、ステント。 １７．請求項１６に記載のステントであって、 当該ステントが、ステントの直径が一つの区分から他の区分へ移るときに徐々 に変化する傾斜が付けられた形状を有する、ステント。 １８．請求項１６に記載のステントであって、 当該ステントの直径が、一つの区分から他の区分に移るところで突然に遷移す る段形状を有する、ステント。 １９．請求項２に記載のステントであって、 前記環状部材のうちの少なくとも一つが閉じていて、前記複数の交互の支柱と 頂点とが相互に結合されて閉じた環状部材を形成するようになされている、ステ ント。 ２０．請求項１９に記載のステントであって、 前記環状部材のうちの少なくとも一つが開いていて、前記複数の交互の支柱と 頂点とが少なくとも一つの位置で結合されていないようになされている、ステン ト。 ２１．請求項１に記載のステントであって、 生体適合性の移植片による被覆と組み合わせられたステント。 ２２．複数の区分を全長に沿って有するステントであって、 各々が圧縮状態と拡張状態とを有する複数の環状部材と、 隣接する環状部材を相互に結合する少なくとも一つの結合部材と、 隣接する環状部材と結合部材とによって画成された複数の開口と、を含み、 異なるステントの区分の開口が異なる大きさを有している、ステント。 ２３．請求項２２に記載のステントであって、 各環状部材が、ほぼ環形状を形成するために相互に結合された複数の交互の支 柱と頂点とを含み、 前記結合部材は、隣接する環状部材の頂点に結合され、隣接する支柱と結合部 材とによって開口が画成されている、ステント。 ２４．請求項２２に記載のステントであって、 当該ステントの各区分が、同ステントが拡張状態にあるときに異なる直径を呈 する、ステント。 ２５．請求項２４に記載のステントであって、 当該ステントの直径が、一つの区分から他の区分へ移るところで次第に変化す る傾斜が付けられた形状を有する、ステント。 ２６．請求項２４に記載のステントであって、 当該ステントの直径が、一つの区分から他の区分へ移るところで突然に遷移す る段形状を有する、ステント。 ２７．複数の区分を有するステントであって、 各々が圧縮状態と拡張状態とを有する複数の環状部材と、 隣接する環状部材を相互に結合する少なくとも一つの結合部材と、 当該ステントの複数の区分のうちの二つに、異なる程度の可撓性を付与する手 段と、を含むステント。 ２８．請求項２７に記載のステントであって、 当該ステントの複数の区分のうちの二つに異なる程度の可撓性を付与する手段 が、隣接する環状部材の間の結合部材のうちの少なくとも一つを省略することに よって形成された複数のギャップを含む、ステント。 ２９．請求項２７に記載のステントであって、 各環状部材が、ほぼ環形状を形成するために相互に結合された複数の交互の支 柱及び頂点を含み、前記結合部材が、隣接する環状部材の頂点に結合されている 、ステント。 ３０．請求項２９に記載のステントであって、 当該ステントの複数の区分のうちの二つに異なる程度の可撓性を付与する前記 手段が、前記支柱のうちの少なくとも一つを省略することによって形成された複 数のギャップを含む、ステント。 ３１．請求項３０に記載のステントであって、 前記複数のギャップが、隣接する環状部材間の結合部材のうちの少なくとも一 つを省略することによって更に形成されている、ステント。 ３２．請求項２７に記載のステントであって、 隣接する環状部材と結合部材とによって画成された複数の開口を更に含み、 当該ステントの複数の区分のうちの二つに異なる程度の可撓性を付与する前記 手段が、異なるステントの区分の開口に異なる大きさを付与することを含む、ス テント。