【発明の詳細な説明】植物生育の促進及び/又は植物栽培における好ましくない環境的影響の除去のた めの組成物および方法
本発明は、植物生育の促進及び/又は植物栽培における好ましくない環境的影
響の除去のための組成物および方法に関する。
より詳しくは、本発明は、活性成分として下記式で示されるヒドロキシム酸(
hydroximic acid)誘導体または生理学的に許容できるその酸付
加塩を含む組成物に関する:
式中、
R1は、水素原子またはC1 〜5アルキル基を表す、
R2は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にヒドロキシもしくはフェニル基により置換されたフェニル基を表す、または、
R1およびR2はそれが結合する窒素原子と一緒になり5〜8員環を形成し、こ
の環は任意に1またはそれ以上のさらなる窒素、酸素もしくはイオウ原子を含み
、この環は他の脂環式またはヘテロ環式環、好ましくはベンゼン、ナフタレン、
キノリン、イソキノリン、ピリジンもしくはピラゾリン環と縮合することができ
、さらに、所望であり化学的に可能な場合、窒素及び/又はイオウヘテロ原子が
酸化物または二酸化物として存在する、
R3は、水素原子、フェニル基、ナフチル基またはピリジル基を表し、これら
の基は1またはそれ以上のハロ原子またはC1 〜4アルコキシ基で置換され得る、
Yは、水素原子、ヒドロキシ基、任意にアミノ基により置換されるC1 〜24ア
ルコキシ基、1〜6の二重結合を含むC2 〜24ポリアルケニロキシ基、C1 〜25ア
ルカノイル基、C3 〜9アルケノイル基または式:R7−COO−で示される基で
あり、ここでR7は、1〜6の二重結合を含むC2 〜30ポリアルケニル基を表す、
Xは、ハロ原子、アミノ基またはC1 〜4アルコキシ基を表す、または、
Xは、Bと一緒になって酸素原子を形成する、または、
XとYはそれらが結合する炭素原子と一緒になり、−NR−O−CH2−基が
それら炭素原子の間に介在して下記式で示される環を形成する、
式中、
Zは、酸素原子または窒素原子を表す、
Rは、水素原子を表す、
Rは、Bと一緒になって化学結合を形成する、
Aは、C1 〜4アルキレン基もしくは化学結合または下記式で示される基である
、
式中、
R4は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にハロ原子、C1 〜4アルコキシ基もしくはC1 〜5アルキル基により置換されたフ
ェニル基を表す、
R5は、水素原子、C1 〜4アルキル基またはフェニル基を表す、
mは、0、1または2の値を有する、および
nは、0、1または2の値を有する。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体は公知である。HU−P No.177
,578および対応するUS−P No.4,308,399は、糖尿病性血管
障害の治療に適当な式Iで示される化合物に含まれるヒドロキシム酸誘導体を記
載している。
HU−P No.207,988および対応するE−P No.417,21
0も、選択的ベータブロック効果を有する、すなわち、糖尿病性血管障害の治療
に適当な式Iに含まれるヒドロキシム酸ハライド(ハロゲン化物)を記載してい
る。
ハンガリー特許公告番号 T/66350として公開されたHU−P 出願番
号 2385/92は、式Iに含まれるさらなるヒドロキシム酸誘導体を記載し
ている。これらの既知の化
合物は、血管変成の治療、主に糖尿病の治療において用いることができる。
植物は、地球上の生命の観点から非常に重要な役割を有する。それらは、ヒト
を含む動物界にとっての栄養源であり、生命に必須の酸素の生成に重要な役割を
有する。
植物の最適な成長および育成条件として、環境条件に適合しなくてはならない
。これらの環境因子が突然、劇的に変化すると(例えば、長期間の干ばつ、突然
の約0℃への冷却、または環境における酸性物質、突然変異性物質もしくは放射
性物質の出現による)、植物の増殖能および多くの場合、生残能が大幅に低下す
る。
植物は、その本来の防御能、すなわち特定の緩衝能がまだ充分な程度に発達し
ていないために、発芽段階においては、これらの突然の好ましくない変化に特に
感受性を示す。
すなわち、極度の環境的変化の場合に生き残るチャンスを増加させるための植
物の天然防御機構を高めることのできる分子量の低いまたは高い物質を発見する
必要がある。
おそらく、そのような物質は、植物細胞膜の生物学的一体性の維持または再生
を促進する一般的特性を有すべきである。さ
らに、そのような物質は、植物細胞の防御機構を誘発する、すなわち細胞の染色
体またはミトコンドリアゲノムの不可逆的損傷を避けることができるべきである
。
上記特性を有する物質のために、おそらく、植物は環境に出現する化学的また
は突然変異誘発性物質の激しい影響に耐えることができる。
そのような物質により植物が細胞の低水濃度を長期間耐えることができるなら
ば、水供給が制限された土地も耕すことができる。
発芽中の種子を低温に耐えるようにすることができる、または凍結温度より低
い温度まで限られた時間冷却することができるならば、一方では、特定の家庭用
植物を早期に播くことができ、他方では、その耕作地を北部地域に移すことがで
きる。両方の場合、かなりの経済的利益を期待することができる。
前記の要求は、活性成分として式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体またはそ
の生理学的に許容できる酸付加塩を含む本発明の組成物により満たされることが
わかった。
すなわち、本発明の組成物は、活性成分としての式Iで示されるヒドロキシム
酸誘導体またはその生理学的に許容できる酸
付加塩を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体または
液体キャリアと混合して含む。
明細書および請求の範囲において、C1 〜5アルキル基は、例えば、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはn−ペンチル基、好まし
くは、メチルまたはエチル基である。
C3 〜8シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル基、好ましくは、シクロペン
チルまたはシクロヘキシル基である。
1またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜8員環は、例えば、ピロール、ピラ
ゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピ
リミジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、キノリン環等であり得る。
C1 〜24アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、t
ert−ブトキシ、n−ペントキシ、デシロキシ、ドデシロキシ、オクタデシロ
キシ基等である。
C1 〜25アルカノイル基は、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブ
チリル、カプロイル、パルミチル、ステアリル基等である。
C3 〜9アルケノイル基は、例えば、アクリロイル、ペンテノイル、ヘキセノイ
ル、ヘプテノイル、オクテノイル基等である。
C1 〜4アルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチ
レン基である。
ハロ原子は、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード原子、好ましく
は、クロロまたはブロモ原子である。
Yが式:R7−COO−で示される基を表す場合、それは、例えば、リノレノ
イル、リノロイル、ドコサヘキサノイル、エイコサペンタノイル、アラキドノイ
ル基等であり得る。
式Iで示される化合物の生理学的に許容できる酸付加塩は、塩酸、硫酸等のよ
うな生理学的に許容できる無機酸とで、または、酢酸、フマル酸、乳酸等のよう
な生理学的に許容できる有機酸とで形成される酸付加塩である。
式Iで示される化合物の好ましい下位群は、下記式で示されるヒドロキシム酸
誘導体からなる:
式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式Iに関して述べられたものと
同義であり、Xはハロ原子またはアミノ基を表し、Yはヒドロキシ基を意味する
。
式IIで示される特に好ましい化合物において、R1およびR2はそれらが結合
する窒素原子と一緒になってピペリジノ基を形成し、R3はピリジル基を表し、
mおよびnは0の値を有し、Xは前記定義を表す。これらの化合物のうち、好ま
しい種を次に示す:N−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プロポキシ/
−3−ピリジンカルボキシミドイルクロライドおよびN−/2−ヒドロキシ−3
−(1−ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジンカルボキシミドアミド。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のさらに好ましい下位群は、下記式で示
される化合物からなる:
式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義である。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のもう一つの好ましい下位群は、下記式
で示される化合物からなる:
式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義であり、Zは酸
素または窒素原子を表す。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のさらに好ましい下位群は、下記式で示
される化合物からなる:
式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義であり、R6はC1 〜4
アルキル基を表す。
式Iで示される化合物は、HU−P Nos.177,578および207,
988ならびにNo.T/66350として公開されたHU−P出願から知られ
る方法により調製することができる。
本発明の化合物は、活性成分としての式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体ま
たはその生理学的に許容できる酸付加塩の0.01〜95重量%、好ましくは0
.1〜20重量%を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の
固体または液体キャリアと混合して含む。
本発明の組成物は、固体または液体、すなわち、粉末混合物、溶液、懸濁液、
乳濁液等とすることができる。本質的に、植物保護において用いられる任意のタ
イプの組成物が、式Iで示される活性成分を含むことができる。
それに対応して、キャリアは、水、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、植物油、鉱物油等のような溶
媒;イオン性または非イオン性乳化剤のような界面活性剤;粉末石灰石、粉末ド
ロマイト、パーライト粉末(perlite grist)、肥料、鉱物塩、微
量栄養素、殺かび剤のような植物保護剤のような改良作業のための耕作において
用いられる従来の試薬であり得る。
好適には、本発明の組成物は、使用前に水で希釈され、通常、式Iで示される
化合物0.0001〜1.0重量%を含む溶液、懸濁液または乳濁液が植物の処
理のために用いられる。処理において、栽培すべき植物またはその種子もしくは
苗または葉あ
るいは根を、式Iで示される化合物またはその生理学的に許容できる酸付加塩、
およびその化合物を含む溶液、懸濁液または乳濁液にそれぞれ接触させる。
例えば、栽培すべき植物の種子を式Iで示される化合物を含む種子粉衣組成物
で処理する、または植物の苗に、式Iで示される化合物を含む溶液、懸濁液また
は乳濁液を噴霧することができる。
栽培された植物またはその葉を、式Iで示される化合物の溶液、懸濁液または
乳濁液に噴霧により接触させる、または根の周囲の土に、その溶液、懸濁液また
は乳濁液を降りかけることができる。
さらなる処理の可能性は、従来の植物保護作業中に用いられるスプレーに本発
明の組成物の濃厚物または希釈物を添加して必要な濃度で化合物Iを含む最終的
スプレーを得ることからなる。このようにして、本発明の処理は、従来の植物保
護処理と一緒に行われる。
すなわち、本発明のさらなる態様は、植物育成を抑制するため及び/又は植物
栽培における好ましくない環境的影響を除去するための方法からなる。本発明の
方法によれば、栽培すべき
植物またはその種子もしくは苗または葉ならびに根を、非毒性有効量の式Iで示
されるヒドロキシム酸誘導体またはその生理学的に許容できる酸付加塩で処理す
る。
好ましくは、栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉ならびに根を
、化合物Iまたはその生理学的に許容できる酸付加塩0.0001〜1.0体積
%を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体または液体
キャリアと混合して含む組成物で処理する。
「好ましくない環境的影響」という用語は、例えば、栄養不足、ストレス、土
中の重金属塩の存在、及び/又は冷た過ぎるもしくは暖かすぎる環境等を意味す
る。式Iで示される化合物で処理された種子を栽培のために用いる、または栽培
中に、植物を化合物Iの溶液、懸濁液または乳濁液で1回または数回処理すると
、植物の成長が大きく促進され、植物は好ましくない環境的影響に抵抗を示す。
本発明の組成物および方法は、好ましくは、トウモロコシ(maize)、豆
、マスカットメロン、ヒマワリ、トマト、トウガラシ、シロガラシ、ポピー、ア
マランス、ピジョン−ベリー(pigeon−berry)、アプリコット、桃
等のような植物の栽培において用いることができる。
式Iで示される化合物の植物栽培への影響は、以下のように研究された:
実験において、以下の活性剤が使用された。
化合物「A」:
N−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジンカ
ルボキシミドイルクロライドマレート;および化合物「B」:
N−/2−ヒドロキシ−3−(1−ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジ
ンカルボキシミドアミドジヒドロクロライド。
1.トウモロコシにおける霜抵抗の研究
霜抵抗の研究のために、トウモロコシ種子の表面を活性成分の水溶液で処理す
る。溶液の濃度は:1g/l;0.1g/l;0.01g/l;0.001g/
lとした。処理後、種子をろ紙の上に載せ、必要量の水を均一割合で加えること
により発芽させた。次に、種子を、発芽の有無にかかわらず、プラスチック製フ
ラコン(flacon)内に入れられた通常の土壌に植えた。各フラコンに、毎
日、水道水20mlを添加した。種子の処理から14〜15日後、プラスチック
フラコンをフリーザー(Zanussi製、50l)内に入れ、−17℃で所定
時間放置した。次に、フラコンを取り除き、フリーザーをそのま
ま−17℃に冷却し、さらにプラスチックプラコンをそこに入れ庫内を占めるフ
ラコンの体積が常に同じであるように配慮した。
実施することのできる実験の数は、植物の天然年間バイオリズムを追跡しなく
てはならないことにより非常に制限された。バイオリズムから1ケ月以上ずれる
場合は、得られる結果は、自由地(free land)における植物の成長と
比べることができない。
トウモロコシ種子の発芽率は、ほぼ100%に等しかったので、詳細に示さな
い。
1.1 時間の関数における霜処理
化合物「A」の影響を研究するために、常に50粒のトウモロコシ種子を、同
じ濃度のその溶液で処理した。次に、種子を、10〜11粒からなる群に分けた
。発芽および植え付けられた種子の一つの群を、10分間の霜処理に付し、発芽
および植え付けられた種子のもう一つの群を、15分間の霜処理に付し、発芽お
よび植え付けられた種子のさらなる群を、20分間の霜処理に付した。化合物「
A」の0.01g/l溶液での処理の場合の生き残り植物の割合(%)を表Iに
示す。対照群においては、トウモロコシの種子を水で処理した。
表Iから、20分間の霜処理においてさえ、化合物「A」が0.01g/lの
濃度で植物を凍結から保護することができる
ことがわかる。種子の有効投与量は0.182mcgとなる。
1.2 10分間の霜処理後のトウモロコシの生き残り
化合物「A」または「B」の水溶液で処理した種子から成長した3〜4枚の葉
を有するトウモロコシを、−17℃で10分間の霜処理に付した。この研究は、
トウモロコシが4月の早霜により危険にさらされた場合の生理学的状態をシュミ
レートした。生き残り試験の結果を表IIに要約する。
表IIから、0.001g/lの濃度でも化合物「A」で処理した場合に優れ
た霜抵抗が得られることがわかる。化合物「B」の場合、最も有効な濃度は0.
1g/lである。
2. 植物成長の促進の研究
化合物「A」または「B」の異なる濃度の水溶液で処理した種子から得られる
トウモロコシを成長させ、各植物の高さおよび平均高さを、それぞれ11日およ
び14日目に決めた。対照群を水で処理した。得られた結果を表IIIおよびI
Vにそれぞれ示す。 表IIIおよびIVから、本発明の方法が、植物の成長に促進的効果を発現す
ることがわかる。対照群の場合、平均高さは11日目、および14日目において
も非常に低く、対照植物は、本発明により処理した植物よりも成育がかなり低い
。
実験において、朱処理種子から成長したトウモロコシに、3週間目に最適濃度
の化合物「A」の溶液を噴霧し、次の日に、
植物を霜処理に付したと言える。ある時間において、試験した15の植物を破壊
した。
3. マイクロ波を用いる熱処理
極端な温度変動を、マイクロ波処理により好適にモデル化することができる。
なぜならば、有機体において、水分子が刺激され、その結果、放射線のエネルギ
ーが処理した有機体の全ての細胞に影響を及ぼすからである。第2段階において
、刺激された水分子がエネルギーを溶解されたタンパク分子に送る。エネルギー
吸収のために、タンパクの立体配置が変化し、用いた照射量に比例してタンパク
が不活性化する。すなわち、主に、制御タンパクが損傷し、そのタンパクは細胞
中に最低濃度で存在する。
種子の発芽において、所定のマイクロ波照射量の場合、活性タンパク修復系が
生き残りに影響することが予想された。すなわち、別の研究において、種子を照
射後数日放置し、その後発芽させ播種した場合、マイクロ波で処理した種子が低
照射量のマイクロ波処理を「忘れた」ことが観察された。すなわち、本発明の組
成物が充分なら、所定のマイクロ波照射量の場合、それらは発芽中の種子の生き
残り率を変化させなければならない。
試験において、ヒマワリ種子を、化合物「B」の異なる濃度の水溶液に1分間
浸した。浸した直後、種子を、360Wのマイクロ波で10〜60秒処理した。
1g/lの濃度の溶液を用いて得られた結果を表Vに示す。
表Vのデータは、化合物「B」が、1分間のかなり強い熱処理に対してヒマワ
リ種子について約73%の保護効果を与えることを示している。
前記実験は、本発明の組成物が、実際に、植物生育を促進する、および植物栽
培における好ましくない環境的影響を除去するのに好適であることを証明してい
る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年2月11日(1998.2.11)
【補正内容】
請求の範囲
1.下記式で示されるヒドロキシム酸誘導体またはその酸付加塩を、植物保護に
用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体または液体キャリアと混合し
て含んでなる、環境の不利益効果に対して植物細胞を保護するための組成物の使
用:
式中、
R1は、水素原子またはC1 〜5アルキル基を表す、
R2は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にヒドロキシもしくはフェニル基により置換されたフェニル基を表す、または、
R1およびR2はそれらが結合する窒素原子と一緒になり5〜8員環を形成し、
この環は任意に1またはそれ以上のさらなる窒素、酸素もしくはイオウ原子を含
み、この環は他の脂環式
またはヘテロ環式環、好ましくはベンゼン、ナフタレン、キノリン、イソキノリ
ン、ピリジンもしくはピラゾリン環と縮合することができ、さらに、所望であり
化学的に可能な場合、窒素及び/又はイオウヘテロ原子が酸化物または二酸化物
として存在する、
R3は、水素原子、フェニル基、ナフチル基またはピリジル基を意味し、これ
らの基は1またはそれ以上のハロ原子またはC1 〜4アルコキシ基で置換され得る
、
Yは、水素原子、ヒドロキシ基、任意にアミノ基により置換されるC1 〜24ア
ルコキシ基、1〜6の二重結合を含むC2 〜24ポリアルケニルオキシ基、C1 〜25
アルカノイル基、C3 〜9アルケノイル基または式:R7−COO−で示される基
を意味し、ここでR7は、1〜6の二重結合を含むC2 〜30ポリアルケニル基を表
す、
Xは、ハロ原子、アミノ基またはC1 〜4アルコキシ基を表す、または、
Xは、Bと一緒になって酸素原子を表す、または、
XとYはそれらが結合する炭素原子と一緒になり、−NR−O−CH2−基が
それら炭素原子の間に介在して下記式で示さ
れる環を形成する、
式中、
Zは、酸素原子または窒素原子を表す、
Rは、水素原子を表す、または
Rは、Bと一緒になって化学結合を形成する、
Aは、C1 〜4アルキレン基もしくは化学結合または下記式で示される基を表す
、
式中、
R4は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にハロ原子、C1 〜4アルコキシ基もしくはC1 〜5アルキル基により置換されたフ
ェニル基を表す、
R5は、水素原子、C1 〜4アルキル基またはフェニル基を表す、
mは、0、1または2の値を有する、および
nは、0、1または2の値を有する。
2.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは請求項1で述べたものと同義で
あり、Xはハロ原子またはアミノ基を表し、Yはヒドロキシ基を表す。
3.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3およびAは請求項1に定義されたものと同義である。
4.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3およびAは請求項1で述べたものと同義であり、Zは酸素
または窒素原子を表す。
5.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:式中、R1、R2、R3およびAは請求項1で定義したものと同義であり、R6はC1 〜4
アルキル基を表す。
6.式IIで示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1または2に記載
の使用:式II中、R1およびR2はそれらが結合する窒素原子と一緒になってピ
ペリジノ基を形成し、mおよびnは0の値を有し、XおよびYは請求項2で述べ
たものと同じ定義を表す。
7.N−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジン
カルボキシミドイルクロライドまたはその酸付加塩を含む請求項1、2または6
に記載の使用。
8.N−/2−ヒドロキシ−3−(1−ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリ
ジンカルボキシミドアミドまたはその酸付加塩を含む請求項1、2または6に記
載の使用。
9.請求項1のヒドロキシム酸誘導体0.01〜95重量%を含む請求項1〜8
のいずれかに記載の使用。
10.成長時期中または発芽状態において、長期間低水分濃度に維持する、また
は凍結温度を下回る低温に制限時間維持することに対して植物細胞を保護するこ
と、または酸性物質、突然変異誘発物質または放射性物質に対する抵抗性を提供
することを含む請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
11.植物生育の促進及び/又は植物栽培における好ましくない環境的影響の除
去のための方法であって、栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉あ
るいは根を、非毒性有効量の式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体またはその酸
付加塩で処理する方法:式I中、R、R1、R2、R3、X、YおよびBは請求項
1で定義されたものと同義である。
12.栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉あるいは根を、式Iで
示されるヒドロキシム酸誘導体:式I中、R、R1、R2、R3、X、YおよびB
は請求項1で定義されたものと同義である、またはその酸付加塩0.0001〜
1.0重量%を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体
または液体キャリアと混合して含む組成物で処理する請求項11に記載の方法。
13.ヒドロキシム酸誘導体がN−/2−ヒドロキシ−3−(ピ
ペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジンカルボキシミドイルクロライドまたは
その酸付加塩である請求項11または12に記載の方法。
14.ヒドロキシム酸誘導体がN−/2−ヒドロキシ−3−(1−ピペリジニル
)プロポキシ/−3−ピリジンカルボキシミドアミドまたはその酸付加塩である
請求項11または12に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月25日(1999.11.25)
【補正内容】
明細書植物生育の促進及び/又は植物栽培における好ましくない影響の除去のための組 成物および方法
本発明は、植物生育の促進及び/又は稙物栽培における好ましくない環境的影
響の除去のための組成物および方法に関する。
より詳しくは、本発明は、活性成分として下記式で示されるヒドロキシム酸(
hydroximic acid)誘導体または生理学的に許容できるその酸付
加塩を含む組成物に関する:
式中、
R1は、水素原子またはC1 〜5アルキル基を表す、
R2は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にヒドロキシもしくはフェニル基により置換されたフェニル基を表す、または、
R1およびR2はそれが結合する窒素原子と一緒になり5〜8員環を形成し、こ
の環は任意に1またはそれ以上のさらなる窒素、酸素もしくはイオウ原子を含み
、この環は他の脂環式またはヘテロ環式環、好ましくはベンゼン、ナフタレン、
キノリン、イソキノリン、ピリジンもしくはビラゾリン環と縮合することができ
、さらに、所望であり化学的に可能な場合、窒素及び/又はイオウヘテロ原子が
酸化物または二酸化物として存在する、
R3は、水素原子、フェニル基、ナフチル基またはピリジル基を表し、これら
の基は1またはそれ以上のハロ原子またはC1 〜4アルコキシ基で置換され得る、
Yは、水素原子、ヒドロキシ基、任意にアミノ基により置換されるC1 〜24ア
ルコキシ基、1〜6の二重結合を含むC2 〜24ポリアルケニルオキシ基、C1 〜25
ア
ルカノイル基、C3 〜9アルケノイル基または式:R7−COO−で示される基で
あり、ここでR7は、1〜6の二重結合を含むC2 〜30ポリアルケニル基を表す、
Xは、ハロ原子、アミノ基またはC1 〜4アルコキシ基を表す、または、
Xは、Bと一緒になって酸素原子を形成する、または、
XとYはそれらが結合する炭素原子およびこれら炭素原子間の−NR−O−C
H2−基と一緒になり、下記式で示される環を形成する、
式中、
Zは、酸素原子または窒素原子を表す、
Rは、水素原子を表す、
Rは、Bと一緒になって化学結合を形成する、
Aは、C1 〜4アルキレン基もしくは化学結合または下記式で示される基である
、
式中、
R4は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にハロ原子、C1 〜4アルコキシ基もしくはC1 〜5アルキル基により置換されたフ
ェニル基を表す、
R5は、水素原子、C1 〜4アルキル基またはフェニル基を表す、
mは、0、1または2の値を有する、および
nは、0、1または2の値を有する、
ただし、Xがアミノ基の場合、Yはヒドロキシ以外である。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体は公知である。
US−P No.4,308,399は、糖尿病性血管障害の治療に適当な式
Iで示される化合物に含まれるヒドロキシム酸誘導体を記載している。
EP No.417,210も、選択的ベータブロック効果を有する、すなわ
ち、糖尿病性血管障害の治療に適当な式Iに含まれるヒドロキシム酸ハライド(
ハロゲン化物)を記載している。
番号 T/66350として公開されたHU−P 出願番号2385/92は
、式Iに含まれるさらなるヒドロキシム酸誘導体を記載している。これらの既知
の化合物は、血管変成の治療、主に糖尿病の治療において用いることができる。
植物は、地球上の生命の観点から非常に重要な役割を有する。それらは、ヒト
を含む動物界にとっての栄養源であり、生命に必須の酸素の生成に重要な役割を
有する。
植物の最適な成長および育成条件として、環境条件に適合できなくてはならな
い。これらの環境因子が突然、劇的に変化すると(例えば、長期間の干ばつ、突
然の約0℃への冷却、または環境における酸性物質、突然変異性物質もしくは放
射性物質の出現による)、植物の稔性および多くの場合、生存能が大幅に低下す
る。
植物は、発芽段階においては、その本来の防御能、すなわち特定の緩衝能がま
だ充分な程度に発達していないために、これらの突然の好ましくない変化に特に
感受性を示す。
すなわち、極度の環境的変化の場合に生き残るチャンスを増加させるための植
物の生来の防御機構を高めることのできる分子量の低いまたは高い物質を発見す
る必要がある。
おそらく、そのような物質は、植物細胞膜の生物学的一体性の維持または再生
を促進する一般的特性を有すべきである。さらに、そのような物質は、植物細胞
の防御機構を誘発し、したがって細胞の染色体またはミトコンドリアゲノムの不
可逆的損傷を避けることができなければならない。
上記特性を有する物質によって、おそらく、植物は環境に出現する化学物質ま
たは突然変異誘発性物質の有害な影響に耐えることができる。
そのような物質により植物が細胞の低水濃度に長期間耐えることができるなら
ば、水の供給が制限された土地も開墾することができる。
発芽中の種子を低温に耐えるようにすることができる、または凍結温度より低
い温度まで限られた時間冷却することができるならば、一方では、特定の家庭用
植物を早期に播くことができ、他方では、その耕作地を北部地域に広げることが
できる。いずれの場合も、かなりの経済的利益を期待することができる。
前記の要求は、活性成分として式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体またはそ
の生理学的に許容できる酸付加塩を含む本発明の組成物により満たされることが
わかった。
すなわち、本発明の組成物は、活性成分としての式Iで示されるヒドロキシム
酸誘導体またはその生理学的に許容できる酸付加塩を、植物保護に用いられる組
成物の1またはそれ以上の従来の固体または液体キャリアと混合して含む。
本明細書および請求の範囲において、C1 〜5アルキル基は、例えば、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはn−ペンチル基、好ま
しくは、メチルまたはエチル基である。
C3 〜8シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル基、好ましくは、シクロペン
チルまたはシクロヘキシル基である。
1またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜8員環は、例えば、ピロール、ピラ
ゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピ
リミジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、キノリン環等であり得る。
C1 〜24アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、t
ert−ブトキシ、n−ペントキシ、デシロキシ、ドデシロキシ、オクタデシロ
キシ基等である。
C1 〜25アルカノイル基は、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブ
チリル、カプロイル、パルミチル、ステアリル基等である。
C3 〜9アルケノイル基は、例えば、アクリロイル、ペンテノイル、ヘキセノイ
ル、ヘプテノイル、オクテノイル基等である。
C1 〜4アルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチ
レン基である。
ハロ原子は、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード原子、好ましく
は、クロロまたはブロモ原子である。
Yが式:R7−COO−で示される基を表す場合、それは、例えば、リノレノ
イル、リノロイル、ドコサヘキサノイル、エイコサペンタノイル、アラキドノイ
ル基等であり得る。
式Iで示される化合物の生理学的に許容できる酸付加塩は、塩酸、硫酸等のよ
うな生理学的に許容できる無機酸とで、または、酢酸、フマル酸、乳酸等のよう
な生理学的に許容できる有機酸とで形成される酸付加塩である。
式Iで示される化合物の好ましい下位群は、下記式で示されるヒドロキシム酸
誘導体からなる:
式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式Iに関して述べられたものと
同義であり、Xはハロ原子またはアミノ基を表し、Yはヒドロキシ基を意味する
。
ただし、Xがアミノ基である場合、Yはヒドロキシ以外である。
式IIで示される特に好ましい化合物において、R1およびR2はそれらが結合
する窒素原子と一緒になってピペリジノ基を形成し、R3はピリジル基を表し、
mおよびnは0の値を有し、Xは前記定義を表す。これらの化合物のうち、好ま
しい種を次に示す:N−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プロボキシ/
−3−ピリジンカルボキシミドイルクロライド。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のさらに好ましい下位群は、下記式で示
される化合物からなる:
式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義である。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のもう一つの好ましい下位群は、下記式
で示される化合物からなる:
式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義であり、Zは酸
素または窒素原子を表す。
式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体のさらに好ましい下位群は、下記式で示
される化合物からなる:式中、R1、R2、R3およびAは式Iに関して述べたものと同義であり、R6はC1 〜4
アルキル基を表す。
式Iで示される化合物は、HU−P Nos.177,578および207,
988ならびにNo.T/66350として公開されたHU−P出願により公知
の方法により調製することができる。
本発明の化合物は、活性成分としての式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体ま
たはその生理学的に許容できる酸付加塩の0.01〜95重量%、好ましくは0
.1〜20重量%を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の
固体または液体キャリアと混合して含む。
本発明の組成物は、固体または液体、すなわち、粉末混合物、溶液、懸濁液、
乳濁液等とすることができる。本質的に、植物保護において用いられる任意のタ
イプの組成物が、式Iで示される活性成分を含むことができる。
それに対応して、キャリアは、水、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、植物油、鉱物油等のような溶
媒;イオン性または非イオン性乳化剤のような界面活性剤;粉末石灰石、粉末ド
ロマイト、パーライト粉末(perlite grist)、肥料、鉱物塩、微
量栄養素、殺かび剤のような植物保護剤のような改良作業のために栽培に用いら
れる従来の薬剤であり得る。
好適には、本発明の組成物は、使用前に水で希釈され、通常、式Iで示される
化合物0.0001〜1.0重量%を含む溶液、懸濁液または乳濁液が植物の処
理のために用いられる。処理において、栽培すべき植物またはその種子もしくは
苗または葉あるいは根を、式Iで示される化合物またはその生理学的に許容でき
る酸付加塩、およびその化合物を含む溶液、懸濁液または乳濁液にそれぞれ接触
させる。
例えば、栽培すべき植物の種子を式Iで示される化合物を含む種子粉衣組成物
で処理する、または植物の苗に、式Iで示される化合物を含む溶液、懸濁液また
は乳濁液を噴霧することができる。
栽培された植物またはその葉を、式Iで示される化合物の溶液、懸濁液または
乳濁液に噴霧により接触させる、または根の周囲の土に、その溶液、懸濁液また
は乳濁液を振りかけることができる。
さらなる処理の可能性は、従来の植物保護作業中に用いられるスプレーに本発
明の組成物の濃厚物または希釈物を添加して必要な濃度で化合物Iを含む最終的
スプレーを得ることからなる。このようにして、本発明の処理は、従来の植物保
護処理と一緒に行われる。
したがって、本発明のさらなる態様は、植物育成を促進するため及び/又は植
物栽培における好ましくない環境的影響を除去するための方法からなる。本発明
の方法によれば、栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉ならびに根
を、非毒性有効量の式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体またはその生理学的に
許容できる酸付加塩で処理する。
好ましくは、栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉ならびに根を
、
化合物Iまたはその生理学的に許容できる酸付加塩0.0001〜1.0重量%
を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体または液体キ
ャリアと混合して含む組成物で処理する。
「好ましくない環境的影響」という用語は、例えば、栄養不足、ストレス、土
中の重金属塩の存在、及び/又は冷た過ぎるもしくは暖かすぎる環境等を意味す
る。式Iで示される化合物で処理された種子を栽培に用い、または栽培中に、植
物を化合物Iの溶液、懸濁液または乳濁液で1回または数回処理すると、植物の
成長が大きく促進され、植物は好ましくない環境的影響に抵抗を示す。
本発明の組成物および方法は、好ましくは、トウモロコシ(maize)、豆
、マスカットメロン、ヒマワリ、トマト、トウガラシ、シロガラシ、ポピー、ア
マランス、ピジョン−ベリー(pigeon−berry)、アプリコット、桃
等のような植物の栽培において用いることができる。
式Iで示される化合物の植物栽培に対する効果を以下のようにして研究した:
実験において、以下の活性剤を使用した。
化合物「A」:
N−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリジンカ
ルボキシミドイルクロライドマレート
1.トウモロコシにおける霜抵抗の研究
霜抵抗の研究のために、トウモロコシ種子の表面を活性成分の水溶液で処理す
る。溶液の濃度は:1g/l;0.1g/l;0.01g/l;0.001g/
lとした。処理後、種子をろ紙の上に載せ、必要量の水を均一割合で加えること
により発芽させた。次に、種子を、発芽の有無にかかわらず、プラスチック製フ
ラコン(flacon)内に入れられた通常の土壌に稙えた。各フラコンに、毎
日、水道水20mlを添加した。種子の処理から14〜15日後、プラスチック
フラコンをフリーザー(Zanussi製、50l)内に入れ、−17℃で所定
時間放置した。次に、フラコンを取り除き、フリーザーをそのまま−17℃に冷
却し、さらにプラスチックプラコンをそこに入れ庫内を占めるフラコンの体積が
常に同じであるように配慮した。
実施することのできた実験の数は、植物の天然の年間バイオリズムに従わなく
てはならないことにより非常に制限された。バイオリズムから1ケ月以上ずれる
場合は、得られる結果は、自由地(free land)における植物の成長と
比べることができない。
トウモロコシ種子の発芽率は、ほぼ100%に等しかったので、詳細に示さな
い。
1.1 時間の関数としての霜処理
化合物「A」の効果を研究するために、常に50粒のトウモロコシ種子を、同
じ濃度のその溶液で処理した。次に、種子を、10〜11粒からなる群に分けた
。発芽および植え付けられた種子の一つの群を、10分間の霜処理に付し、発芽
および植え付けられた種子のもう一つの群を、15分間の霜処理に付し、発芽お
よび植え付けられた種子の別の一群を、20分間の霜処理に付した。化合物「A
」の0.01g/l溶液での処理の場合の生き残り植物の割合(%)を表Iに示
す。対照群においては、トウモロコシの種子を水で処理した。
表Iから、20分間の霜処理においてさえ、化合物「A」が0.01g/lの
濃度で植物を凍結から保護することができることがわかる。種子に対する有効投
与量は0.182mcgとなる。
1.2 10分間の霜処理後のトウモロコシの生き残り
化合物「A」の水溶液で処理した種子から成長した3〜4枚の葉を有するトウ
モロコシを、−17℃で10分間の霜処理に付した。この研究は、トウモロコシ
が4月の早霜により危険にさらされた場合の生理学的状態をシュミレートした。
生き残り試験の結果を表IIに要約する。
表IIから、0.001g/lの濃度でも化合物「A」で処理した場合に優れ
た霜抵抗が得られることがわかる。
2. 植物成長の促進の研究
化合物「A」の異なる濃度の水溶液で処理した種子から得られるトウモロコシ
を成長させ、各植物の高さおよび平均高さを、それぞれ11日および14日目に
決めた。対照群は水で処理した。得られた結果を表IIIおよびIVにそれぞれ
示す。 表IIIおよびIVから、本発明の方法が、植物の成長に対して正の効果を発
揮することがわかる。対照群の場合、平均高さは11日目、および14日目にお
いても非常に低く、対照植物は、本発明により処理した植物よりも成育がかなり
悪い。
実験において、未処理種子から成長したトウモロコシに、3週間目に最適濃度
の化合物「A」の溶液を噴霧し、次の日に、植物を霜処理に付したところ、試験
した15の植物は数時間以内に全滅した。
前記実験は、本発明の組成物が、実際に、植物生育を促進する、および植物栽
培における好ましくない環境的影響を除去するのに好適であることを証明してい
る。請求の範囲
1.下記式で示されるヒドロキシム酸誘導体またはその酸付加塩を、植物保護に
用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体または液体キヤリアと混合し
て含んでなる、環境の有害な影響に対して稙物細胞を保護するための組成物の使
用:
式中、
R1は、水素原子またはC1 〜5アルキル基を表す、
R2は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にヒドロキシもしくはフェニル基により置換されたフェニル基を表す、または、
R1およびR2はそれらが結合する窒素原子と一緒になり5〜8員環を形成し、
この環は任意に1またはそれ以上のさらなる窒素、酸素もしくはイオウ原子を含
み、この環は他の脂環式またはヘテロ環式環、好ましくはベンゼン、ナフタレン
、キノリン、イソキノリン、ピリジンもしくはビラゾリン環と縮合することがで
き、さらに、所望であり化学的に可能な場合、窒素及び/又はイオウヘテロ原子
が酸化物または二酸化物として存在する、
R3は、水素原子、フェニル基、ナフチル基またはピリジル基を意味し、これ
らの基は1またはそれ以上のハロ原子またはC1 〜4アルコキシ基で置換され得る
、
Yは、水素原子、ヒドロキシ基、任意にアミノ基により置換されるC1 〜24ア
ルコキシ基、1〜6の二重結合を含むC2 〜24ポリアルケニルオキシ基、C1 〜25
アルカノイル基、C3 〜9アルケノイル基または式:R7−COO−で示される基
を意味し、ここでR7は、1〜6の二重結合を含むC2 〜30ポリアルケニル基を表
す、
Xは、ハロ原子、アミノ基またはC1 〜4アルコキシ基を表す、または、
Xは、Bと一緒になって酸素原子を表す、または、
XとYはそれらが結合する炭素原子およびこれら炭素原子間の−NR−O−C
H2−基と一緒になり、下記式で示される環を形成する、
式中、
Zは、酸素原子または窒素原子を表す、
Rは、水素原子を表す、または
Rは、Bと一緒になって化学結合を形成する、
Aは、C1 〜4アルキレン基もしくは化学結合または下記式で示される基を表す
、
式中、
R4は、水素原子、C1 〜5アルキル基、C3 〜8シクロアルキル基、または任意
にハロ原子、C1 〜4アルコキシ基もしくはC1 〜5アルキル基により置換されたフ
ェニル基を表す、
R5は、水素原子、C1 〜4アルキル基またはフェニル基を表す、
mは、0、1または2の値を有する、および
nは、0、1または2の値を有する、
ただし、Xがアミノ基である場合、Yはヒドキシ以外である。
2.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは請求項1で述べたものと同義で
あり、Xはハロ原子またはアミノ基を表し、Yはヒドロキシ基を表す。
3.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3およびAは請求項1に定義されたものと同義である。
4.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3およびAは請求項1で述べたものと同義であり、Zは酸素
または窒素原子を表す。
5.下記式で示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1に記載の使用:
式中、R1、R2、R3およびAは請求項1で定義したものと同義であり、R6はC1 〜4
アルキル基を表す。
6.式IIで示される化合物またはその酸付加塩を含む請求項1または2に記載
の使用:式II中、R1およびR2はそれらが結合する窒素原子と一緒になってピ
ペリジノ基を形成し、mおよびnは0の値を有し、XおよびYは請求項2で述べ
たものと同じ定義を表す。
7.N−/2−ヒドロキシ−3−(1−ピペリジニル)プロポキシ/−3−ピリ
ジンカルボキシミドイルクロライドまたはその酸付加塩を含む請求項1、2また
は6に記載の使用。
8.請求項1のヒドロキシム酸誘導体0.01〜95重量%を含む請求項1〜7
のいずれかに記載の使用。
9.成長期中または発芽状態において、長期間低水分濃度に維持する、または凍
結温度を下回る低温に制限時間維持することに対して植物細胞を保護すること、
または酸性物質、突然変異誘発物質または放射性物質に対する抵抗性を提供する
ことを含む請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
10.植物生育の促進及び/又は植物栽培における好ましくない環境的影響の除
去のための方法であって、栽培すべき植物またはその種子もしくは苗または葉あ
るいは根を、非毒性有効量の式Iで示されるヒドロキシム酸誘導体またはその酸
付加塩で処理する方法:式I中、R、R1、R2、R3、X、YおよびBは請求項
1で定義されたものと同義である。
11.栽培すべき稙物またはその種子もしくは苗または葉あるいは根を、式Iで
示されるヒドロキシム酸誘導体(式I中、R、R1、R2、R3、X、YおよびB
は請求項1で定義されたものと同義である)またはその酸付加塩0.0001〜
1.0重量%を、植物保護に用いられる組成物の1またはそれ以上の従来の固体
または液体キャリアと混合して含む組成物で処理する請求項10に記載の方法。
12.ヒドロキシム酸誘導体がN−/2−ヒドロキシ−3−(ピペリジニル)プ
ロポキシ/−3−ピリジンカルボキシミドイルクロライドまたはその酸付加塩で
ある請求項10または11に記載の方法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,IL,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN
【要約の続き】
ニル基を表す、mは、0、1または2の値を有する、お
よびnは、0、1または2の値を有する。