JP2001509416A - 医療機器の形状を保持するパッケージ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】フレキシブルな括約筋切除機器等１２の先端部１４の所望の三次元形状を維持するパッケージ１０を提供する。 【解決手段】本発明のパッケージ１０は、先端部１４の動きを制限する三次元構造２０を具備する搭載用トレイ１８と、このトレイ１８に着脱可能に固着され先端部１４の一部のみをトレイ１８の三次元構造体２０に捕獲するカバー２６とを有する。このパッケージ１０はさらに、先端部１４内のボア１６に着脱可能に収納される挿入部材３８を有する。トレイ１８とカバー２６と挿入部材３８は、先端部１４をその全長に亘って支持する。トレイ１８の構造体２０は、先端部１４が配置される湾曲し傾斜した溝２４を有する。カバー２６のこの湾曲し傾斜した溝２４の上に搭載され、先端部１４を収納する一対のノッチ３０を有する。カバー２６がトレイ１８から切り離されたときには、少なくとも先端部１４は、トレイ１８から垂直方向に自由に引き出すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、医療装置に関し、特に所定の非平面状（即ち三次元形状）の先端部
を具備する括約筋切開器具またはカテーテル等を収納するパッケージに関する。
本発明は外科手術を行う装置を製造し、かつ／または貯蔵するのに有効であり、
特に、人間と動物の治療に適用性を見いだすことができる。

【０００２】

【従来の技術】

様々な細長く通常円筒状の装置が人または動物の体内に様々な目的で導入され
ている。これらの目的には治療液の供給およびその他治療装置の注入および手術
器具の導入等が含まれる。カテーテル，カニョーレ，乳頭切開器具および括約筋
切開器具は、このような数多くある装置の一例である。括約筋切開器具と乳頭切
開器具は、患者の体内のある部位を外科手術するのに有効な公知の装置である。
例えば内視鏡による括約筋手術においては、括約筋切開器具あるいは乳頭切開器
具のような電子外科手術器具は患者の体内で括約筋を構成する組織を切断するた
めに内視鏡と共に用いられている。

【０００３】 内視鏡による括約筋手術により通常切断される括約筋は、Oddiの括約筋で、通
常これはVaterの乳頭内に形成され、十二指腸に対し開口を形成するものである 。Oddiの括約筋は、Vaterの膨大部（アンプル）と連通する。この膨大部は、胆 管と膵臓管が合流する共通チャネルである。このような括約筋切除手術は、乳頭
切除機器を用いてVaterの乳頭を切り開き、他の治療の効果を上げるものである 。このような治療は、胆管の障害となっている胆石を除去することである。

【０００４】 非常に利用価値の高い括約筋切除器具（乳頭切除器具）とその外科的使用方法
は、米国特許第５，０２４，６１７号(J. Karpiel, Jun. 18, 1991）に開示され
ている。同特許の明細書は、American Society for Gastrointestinal Endoscop
y により行われた手術は、内視鏡による括約筋手術から発生した最も一般的な主
要な合併症は出血であるということを報告している。また同特許明細書は、この
ような出血の大部分は、逆行性の十二指腸動脈が切断されたときに通常発生する
ということも示している。

【０００５】 他の主要な合併症は、膵臓炎、貫通および胆管炎である。米国特許第５，３８
３，８４９号は、カニョーレが内視鏡による逆行性の胆管膵臓炎で用いられる場
合には、胆管と膵臓管のうちの所望な管にカニョーレを挿入しようとする際に、
時々問題が発生することを報告している。同特許はまた、カニョーレ挿入器の直
線上部分の長手方向軸に対し、時計の１０時から２時の方向を向いた先端部分を
有する選択的カニョーレ装置を開示している。

【０００６】 他のカテーテル，カニョーレ，括約筋切開器具等は、所望の形状、特にその機
能に適合した先端部分を具備するように製造されている。しかし、このようなカ
テーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等の全体形状は、製造後殺菌（滅菌）プ
ロセスの間と貯蔵している間形状が変化することがある。例えば、数種類のカテ
ーテルは、エチレンガスの殺菌（滅菌）プロセスの間、カテーテルのシャフト部
分は長くなり、その先端部の予め整形した所定形状はしばしば元に戻ることがあ
る。他の例としては、多くのカテーテルは、ウレタンから形成され、製造後殺菌
され、そして加熱を含む手順によりパッケージされる。殺菌プロセスの間の高温
加熱によりウレタン材料は所望の湾曲形状から直線的な形状に変化してしまう。

【０００７】 しかし、ガスと加熱による殺菌については、殺菌プロセスにより引き起こされ
るあるいは貯蔵している間の形状または長さの変化量は、個々のカテーテル毎に
変わり、その結果、殺菌プロセスあるいは貯蔵の間引き起こされる長さまたは形
状の変化を予め見積もって、それを見越して製造時にカテーテルを形成しようと
する試みは実際的ではない。さらにまたウレタン材料を採用すると、カテーテル
の湾曲した先端部は、時間と共に幾分真っ直ぐとなり、さらにまたカテーテルを
通常の周囲温度で保存している間にも真っ直ぐになる傾向がある。

【０００８】 米国特許第５，１６５，５４０号（L. Forney, Nov. 24, 1992）では、血管造
影用カテーテルを、所望の形状に滅菌プロセスあるいは蓄積している間維持する
ための１つのアプローチは、カテーテルのチューブの部分の中心部に曲げること
が可能で、柔軟性のないワイヤを挿入することである。その後、外科医または技
術者が殺菌する前にワイヤとカテーテルの組合せ体を所望の形状に物理的に曲げ
る。前掲の特許はまたこのようなアプローチで必要とされる余分のコストと時間
は、商業的には許容できないことも示している。

【０００９】 他の複数の装置が殺菌プロセスおよび／または貯蔵時に、カテーテル，カニョ
ーレ，括約筋切除器具等の形状あるいはその先端部の形状を維持するよう試みる
ものとして知られている。このような装置は、トレイ上の小部分に湾曲した先端
部をゆったりと配置している。他の装置においては、平板上のトレイ内に形成さ
れた溝の中に湾曲した先端チップを配置し、溝の壁から延びる先端の丸まった小
さな突起部でもって溝の中に保持している。さらに別の装置は、平面上のトレイ
に搭載された複数のガイドを介して先端部を挿入している。

【００１０】 これらのいずれのパッケージ方法も、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器
具等の先端部をその長さ全体に渡りサポートしていない。さらにまたこれらのい
ずれのパッケージもカテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等（通常非平面状
の三次元形状をしている）の先端部の形状を形成したり、保存したりするように
適したものではない。さらにまた、これらのパッケージのごく少数のものは、カ
テーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等の特別な形状をした先端部がそれらを
搬送するトレイから自由に垂直方向に巻き戻ってしまうことがあり、あるいはそ
の代わり先端部が延びてしまいそれにより巻き戻している間に形状が変化してし
まう。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】

殺菌プロセス時と貯蔵時の間、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具の先
端部の非平面状の三次元形状の変形を阻止するようなこれらのパッケージを得る
ことが望まれている。さらにまた、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等
の三次元形状の先端部をこれら先端部の長さ全体に亘ってサポートできるような
パッケージが必要とされている。さらにまたカテーテル，カニョーレ，括約筋切
除器具等の少なくとも先端部がそれを延ばすことなく垂直方向に引き抜くことが
可能なパッケージを得ることが望まれている。さらにまたフレキシブルなカテー
テル，カニョーレ，括約筋切除器具等の端部を形成および／または維持できるよ
うなパッケージが必要とされている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

前記の問題点は、本発明のフレキシブルなカテーテル，カニョーレ，括約筋切
除器具等のパッケージにより解決される。

【００１３】 本発明者等は、所望の非平面状の三次元形状を有する器具あるいは装置のパッ
ケージを発明した。この本発明のパッケージは、剛性のトレイとこのトレイに係
合するカバーとを有する。このトレイと／またはカバー、および／または挿入部
材は、挿入部材が保持できるよう器具または装置の三次元形状に適合できるよう
な三次元構造体をそれらの間で形成している。トレイと／またはカバー、および
／または挿入部材の剛性は、器具の先端部を形成および／またはサポートするこ
とが可能な限り製造上の便宜に従って同一または異なるものでもよい。

【００１４】 本発明者等は、カテーテル等の先端部を所望の形状に形成する、あるいは殺菌
プロセス貯蔵時にこれら先端部の所望の三次元形状が元に戻るのを阻止するよう
なパッケージを開発した。本発明のパッケージは、搭載用トレイとそのトレイに
結合され、先端部をトレイに対して保持することにより、元に戻さないカバーと
を有する。

【００１５】 特に、本発明のパッケージは、先端部の一部のみを搭載用トレイにはまり込ま
せるカバーを採用している。このカバーと搭載用トレイとは、非平面状の三次元
先端部をその全長に亘ってサポートしている。これにより先端部が元に戻るのを
阻止し、先端部の所望の三次元形状が殺菌プロセスおよび／または貯蔵時に変化
しないようにしている。本発明によるカバーにより、従来の先端部をトレイの溝
内に維持するために以前に必要とされた小型で先端の丸い突起部を省略すること
ができる。

【００１６】 このような溝の突起部を取り除くことにより、カテーテル，カニョーレ，括約
筋切除器具等の先端部は、本発明のトレイから垂直方向に引き戻され、先端部を
延ばしたり、先端部の形状を変化させることはない。トレイとカバーとは素子の
先端部の形状を形成するあるいは維持するために組み合わせて用いられるが、パ
ッケージの成形および／または保持機能をトレイとカバーの一方あるいは他方に
組み込むことも本発明の一実施例である。

【００１７】 本発明者等は、先端部を患者に導入すること、さらに前進させること、そして
Oddiの括約筋にカニョーレ挿入をすることに特に用いることのできるような形状
に括約筋切除器具の先端部を形成すること、あるいは維持するためにトレイと／
またはカバーのような他のパッケージと共にあるいはそれ単独で用いることので
きる特定の形状の挿入部を発明した。

【００１８】 本発明の第１の態様においては、本発明は所定の三次元形状を具備する先端部
を有するフレキシブルな括約筋切除器具またはカテーテルと共に使用されるパッ
ケージであり、このパッケージは、括約筋切除器具またはカテーテルの先端部が
その所望の三次元形状から元に戻るのを阻止する。

【００１９】 本発明のパッケージは、括約筋切除器具またはカテーテルの少なくとも先端部
の動きを制限するような非平面状の三次元構造を具備する剛性のある非緩和（即
ちもとの形状に戻らない）搭載用トレイと、このトレイに着脱可能に固定され、
括約筋切除器具またはカテーテルの先端部の一部のみをトレイの三次元構造には
め込む剛性のある非緩和カバーとを有し、この括約筋切除器具またはカテーテル
の先端部の一部は、トレイの反対側のカバーの上に配置される。このトレイとカ
バーでもって括約筋切除器具またはカテーテルの先端部をその全長に亘って支持
する。

【００２０】 トレイ／カバー／挿入部の材料の剛性と非緩和特性は、装置の先端部の形状を
形成しあるいはそれを保持するような性質のものである。このトレイ／カバー／
挿入部用の材料は、同一あるいは異なるものでもよくあるいは同一あるいは異な
る剛性特性および／または非緩和特性を有するものでもよい。様々な材料の選択
は製造上の便宜により行われる。

【００２１】 このトレイとカバーは、透明なプラスチック材料から構成されるのがよい。ト
レイと、カバーと、括約筋切除器具またはカテーテルは、トレイに隣接して配置
されたガス透過性の裏打ち材と、この裏打ち材に対向したトレイに隣接して配置
された透明なポリマー材料製のシートからなる外側ラッパー内に収納される。こ
のポリマー材料製のシートは、従来方法により、例えば加熱シールあるいは接合
手段により裏打ち材に結合される。

【００２２】 このトレイの非平面状の三次元構造は、括約筋切除器具またはカテーテルの先
端部が配置されるきっちりと湾曲した傾斜溝を含む。カバーがこの湾曲した傾斜
溝の上に配置され、そしてカバーは、括約筋切除器具またはカテーテルの先端部
をその全体に亘って受け入れる一対のノッチを含む。カバーの上に配置された先
端部の一部は、カバー内のこのノッチの間に延びる。

【００２３】 カバーとトレイは、従来方法により、例えば適合するシリンダ状のタブと中に
形成された凹部により互いに固着される。本発明のカバーを使用することにより
、従来のトレイの溝内に形成された以前には必要とされた小型で先端の丸まった
突起部を省略することができ、これにより括約筋切除器具またはカテーテルの少
なくとも先端部（好ましくはその全体）がカバーがトレイから取り外されたとき
にトレイから垂直方向に自由に引き出せることができるようになる。

【００２４】 本発明のパッケージは、さらに括約筋切除器具あるいはカテーテルの先端部内
に規定されたボア内に着脱可能に収納される剛性の非緩和挿入部を含む。この挿
入部は、括約筋切除器具またはカテーテルの先端部の所望の三次元形状に適合し
て構成される。トレイとカバーと挿入部のこの三次元構造により先端部は、括約
筋切除手術を行うのに特に適した形状に維持することができる。挿入部の形状を
文章で記述することは難しく、したがってトレイとカバーと挿入部の三次元構造
が括約筋切除器具またはカテーテルの先端部を図に示すような形状に維持するこ
とが望ましい。

【００２５】 本発明の第２の態様においては、本発明は、所望の三次元形状を具備する先端
部を有するフレキシブルな括約筋切除器具と共に使用され、その内側にボアを有
する括約筋切除器具の先端部と共に使用するパッケージであり、このパッケージ
が括約筋切除器具の先端部が所望の三次元形状から元に戻るのを阻止する。

【００２６】 本発明の第２態様のパッケージは、括約筋切除器具の少なくとも先端部の動き
を制限するような三次元構造を具備する剛性の非緩和搭載用トレイと、括約筋切
除器具の先端部の一部のみをトレイの三次元構造に当てて捕獲し、括約筋切除器
具の先端部の一部のみがトレイに対向するカバー状に配置されるような剛性の非
緩和カバーと、括約筋切除器具の先端部のボア内に着脱可能に収納される剛性の
非緩和挿入部とを有し、この挿入部は、括約筋切除器具の先端部の三次元形状に
合わせて構成される。

【００２７】 そしてトレイとカバーとが括約筋切除器具の先端部をその全長に亘って一緒に
サポートし、トレイの三次元構造は、括約筋切除器具の先端部が配置されるきっ
ちりと湾曲した傾斜溝を有し、カバーはこのトレイの湾曲した傾斜溝の上に配置
され、カバーは括約筋切除器具の先端部をそこを介して収納する一対のノッチを
有し、括約筋切除器具の先端部の一部がノッチ間に延びるカバーの上に配置され
、カバーがトレイから取り外されたときには括約筋切除器具の少なくとも先端部
は、トレイから垂直方向に自由に引き抜かれ、トレイの三次元構造とカバーと挿
入部とが括約筋切除器具の先端部を括約筋切除手術を行うのに適した形状に維持
される。

【００２８】 本発明の最後（第３）の態様においては、本発明は、括約筋切除器具の先端部
を括約筋切除手術を実行するのに適した形状にそれ自身で維持できるような括約
筋切除器具の先端部内のボア内に着脱可能に収納される上記の剛性の非緩和挿入
部である。この挿入部は、括約筋切除器具の先端部を時計の１０−１２時の位置
、好ましくは１１時の位置に維持し、特に挿入部が図に示したような形状をして
いるのが好ましい。

【００２９】 本発明は、フレキシブルなカテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等が殺菌
プロセスと貯蔵時にこれらの所望の三次元形状の変化を阻止するようなパッケー
ジを提供できる利点がある。本発明はまたカテーテル，カニョーレ，括約筋切除
器具等の三次元形状の先端部をその先端部全長に亘ってサポートできる利点があ
る。さらに本発明は、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具の先端部を引き
延ばすことなく搭載用トレイからその先端部を垂直（法線）方向に引き抜くこと
のできる利点がある。

【００３０】

【発明の実施の形態】

図１において、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具，乳頭切除器具等の
フレキシブルな医療用装置と共に使用されるパッケージ１０が示されている。医
療用装置は、本明細書では括約筋切除器具１２で表すがこれに限定されるもので
はない。この括約筋切除器具１２は、所定のかつ所望の非平面状（三次元形状）
の先端部１４を有する。この括約筋切除器具１２の先端部１４は、括約筋切除器
具１２を体内に導入して体内の括約筋、例えばOddiの括約筋との係合が容易とな
るような形状をしている。

【００３１】 ここに示した形状は、フレキシブルなカテーテル，カニョーレ，括約筋切除器
具，乳頭切除器具等の先端部の所定の好ましい非平面状である三次元の様々な形
状の一例にすぎない。本発明の重要な点は、医療用装置あるいはその先端部の特
定の形状に関することではなく、パッケージ１０が殺菌プロセスおよび／または
貯蔵時に、医療用装置の先端部が所望の三次元形状から変形するのを阻止するよ
うなものである。

【００３２】 括約筋切除器具１２は、括約筋切除器具１２の少なくとも先端部１４内に延び
るボア１６（図６により詳述する）を含む。このボア１６は、括約筋切除器具１
２の根元部４６を貫通して延び、括約筋切除器具１２に意図された使用を容易に
するものである。好ましくは、括約筋切除器具１２はさらに先端部１４の反対側
にあるハンドル４８の動作により組織を電気的に切断するために露出した導電性
ワイヤ（図示せず）を含む。

【００３３】 ハンドル４８を駆動することにより、括約筋切除器具１２の先端部１４は最終
的な所望な動作状態、例えば括約筋切除器具１２の根元部４６に対し、時計で１
０時の位置にあるように湾曲させる。端子５０はハンドル４８に具備され、導電
性ワイヤへ電流を供給している。括約筋切除器具１２の構造と動作は、当業者に
公知であるので詳細な説明は割愛する。

【００３４】 さらに図１において、本発明のパッケージ１０は、その上に括約筋切除器具１
２を搬送する一般的に剛性の高い非緩和（曲がりづらい）の搭載用トレイ１８を
有する。この搭載用トレイ１８は三次元構造体２０を有し、この三次元構造体２
０により括約筋切除器具１２の少なくとも先端部１４の動きが制限される。本発
明のパッケージ１０は、さらにまた搭載用トレイ１８に着脱自在に取り付けられ
る、通常剛性の非緩和性カバー２６を有する。

【００３５】 このカバー２６は括約筋切除器具１２の先端部１４の一部のみを搭載用トレイ
１８の三次元構造体２０内に閉じこめる。括約筋切除器具１２の先端部１４の部
分２８が、かくして搭載用トレイ１８に対向するカバー２６の上に配置される。
搭載用トレイ１８とカバー２６は、一体となって括約筋切除器具１２の先端部１
４をその全長に亘って支持する。

【００３６】 搭載用トレイ１８とカバー２６は、好ましくは同一材料から構成されるが必ず
しもその必要はない。それらは医療用の透明なプラスチック材料から構成される
のがいいが、それ以外の様々な公知の材料を用いることもできる。重要な点は、
搭載用トレイ１８とカバー２６は、括約筋切除器具１２の先端部１４の材料より
もより剛性が高いことであり、かつ括約筋切除器具１２を殺菌処理したり貯蔵し
たりするときに形状を自ら保持するようなものである。ＰＥＴＧ（改良グリコー
ルポリエチレンテレフタレート）、ＰＶＣ（塩化ポリビニル）とポリスチレン等
がこの目的に適したものである。

【００３７】 図２，図３Ａ，Ｂにより詳細に説明するように、搭載用トレイ１８の湾曲しか
つ傾斜した溝２４を有し、この溝２４に括約筋切除器具１２の先端部１４が配置
される。カバー２６は、搭載用トレイ１８の湾曲し傾斜した溝２４の少なくとも
一部の上に配置される。この湾曲し傾斜した溝２４は、括約筋切除器具１２の先
端部１４の全長に亘って延び、先端部１４を括約筋切除器具１２の根元部４６の
面とは異なる位置に配置し、先端部１４を搭載用トレイ１８の面に対して向ける
。この搭載用トレイ１８は、さらに湾曲し傾斜した溝２４の周囲に配置された環
状でほぼ平面状の溝２２を有し、この湾曲し傾斜した溝２４は環状の溝２２の内
側に曲がっている。この環状の溝２２は、その中に括約筋切除器具１２の根元部
４６を収納する。

【００３８】 本発明の特徴は、カバー２６が搭載用トレイ１８から取り外されたときに、括
約筋切除器具１２の少なくとも先端部１４は、搭載用トレイ１８から直交する方
向（法線方向）に自由に引き出すことができる点である。これによりこのような
取り外し作業の間、括約筋切除器具１２の先端部１４の好ましくない動きを阻止
できる。本発明の湾曲し傾斜した溝２４は、括約筋切除器具１２の先端部１４を
搭載用トレイ１８の上に保持するための従来の内側に延びたバンプ即ち突起部を
具備しない。しかし、括約筋切除器具１２の根元部４６を収納する環状で平面状
の溝２２は、複数の従来内側に延びたバンプあるいは突起部等を含む。他の類似
の手段も括約筋切除器具１２の根元部４６を搭載用トレイ１８にあてて保持する
ために含むこともできる。

【００３９】 搭載用トレイ１８は凹部３２を有し、この凹部３２内に括約筋切除器具１２の
先端部１４が延びる。しかしこの先端部１４の動きは、凹部３２内に制限されて
いる。カバー２６は複数の突起部４４を有し、これらは搭載用トレイ１８の方向
に延びて先端部１４に当接している（図４Ａ−Ｃ）。カバー２６が搭載用トレイ
１８に固定されると、突起部４４はトレイ１８の凹部３２と湾曲し傾斜した溝２
４の両方の上に配置される。

【００４０】 カバー２６はまた、括約筋切除器具１２の先端部１４を収納する一対のノッチ
３０を有し、その結果カバー２６の上に延びる括約筋切除器具１２の先端部１４
の部分２８がこのノッチ３０の間に延びる。カバー２６はまたノッチ３０の間に
延びる平面状タブ５２を有する。搭載用トレイ１８の三次元構造体２０は、カバ
ー２６が搭載用トレイ１８に固定されたときにカバー２６の平面状タブ５２が載
る傾斜部分５４を有する。

【００４１】 カバー２６と搭載用トレイ１８は、従来方法により互いに着脱可能に固定され
る。例えばカバー２６と搭載用トレイ１８は、適合する円筒状の一対のタブ３４
と凹部３６を有する。好ましくはこのような円筒状のタブ３４はカバー２６から
延び、円筒状の凹部３６は搭載用トレイ１８に形成される。

【００４２】 括約筋切除器具１２の先端部１４が湾曲し傾斜した溝２４の中に搭載されると
カバー２６を搭載用トレイ１８に固着することにより（搭載用トレイ１８の上に
ある先端部１４の部分２８により）、先端部１４の大部分は突起部４４により搭
載用トレイ１８の湾曲し傾斜した溝２４にあてて押し込められる。しかし、凹部
３２内では括約筋切除器具１２の先端部１４は突起部４４に柔軟性をもって当接
する。このような閉じこめと当接（付き当て）により、括約筋切除器具１２の殺
菌プロセスおよび／または貯蔵時に先端部１４が元に戻ったり動くのを阻止でき
る。

【００４３】 パッケージ１０は、括約筋切除器具１２の殺菌プロセスおよび貯蔵用に適した
構成をしている。特に、括約筋切除器具１２と共にエチレンのようなガスにより
殺菌する場合には、図７に示すようにパッケージ１０はさらに搭載用トレイ１８
に搭載されたガス透過性の医療用の裏張り材４０と、さらにこの裏張り材４０の
反対側の搭載用トレイ１８に隣接して配置された透明な医療用のポリマーシート
４２を有する。このポリマーシート４２は、例えば、加熱シールあるいは接合に
よりポリマーシート４２に固着される。この裏張り材４０は紙またはＴＹＶＥＫ
（登録商標）から構成される。

【００４４】 括約筋切除器具１２等の先端部１４の動きおよび元に戻る作用は、先端部１４
内のボア１６内に着脱可能に挿入される特定の形状をした挿入部材３８により、
さらに阻止することができる。この挿入部材３８は、上記のパッケージ１０の一
部であり、これによりパッケージ１０は搭載用トレイ１８とカバー２６と挿入部
材３８からなる。別の構成例として挿入部材３８は、括約筋切除器具１２の先端
部１４の動きおよび元に戻る性質を阻止するような別個の素子でもよく、また本
明細書に開示したのとは異なる剛性の非緩和パッケージを採用してもよくあるい
は剛性のパッケージを用いなくてもよい。

【００４５】 挿入部材３８を構成する材料は本発明の必須要件ではない。しかし、挿入部材
３８は、括約筋切除器具１２の先端部１４の材料よりも剛性が高い医療用材料か
ら構成しなければならない、そしてかつ括約筋切除器具１２の殺菌および／また
は貯蔵に際し、元に戻るようなものであってはならない。挿入部材３８は直径が
、例えば０．０１８インチ（０．４５７２ｍｍ）から０．０４０インチ（１．０
１６ｍｍ）の範囲、好ましくは０．０３８インチ（０．９７ｍｍ）のステンレス
スチール製のワイヤを有する可鍛金属あるいはプラスチック材料から構成するこ
ともできる。

【００４６】 いずれの場合にも挿入部材３８は、括約筋切除器具１２の先端部１４の所定の
三次元形状に合わせて形成できる。好ましくは、上記のパッケージ１０内に組み
込まれた場合には、搭載用トレイ１８の三次元構造体２０とカバー２６と挿入部
材３８は、先端部１４を括約筋切除手術を行うのに適した特定の形状に維持する
。別の構成例として、ここに開示されたパッケージ１０以外に用いられる場合に
は、挿入部材３８が先端部１４を乳頭切除手術を実行するのに適した形状に維持
する。

【００４７】 挿入部材３８は、単独であるいはカバー２６および搭載用トレイ１８の三次元
構造体２０と組み合わせて、括約筋切除器具１２の根元部４６に対し、１０時の
位置に乳頭切除器の先端部１４を維持する。搭載用トレイ１８の最適な形状と括
約筋切除器具１２の先端部１４が維持される最適な形状（挿入部材３８そのもの
によりあるいは挿入部材３８とカバー２６と搭載用トレイ１８の三次元構造体２
０との組合せにより維持される）は、図に示した形状であり、特に挿入部材３８
には図５Ａ−Ｃに示した形状である。

【００４８】 これらの図は、この点に関しては、実際の寸法に比例して表示している。特に
図５Ａ−Ｃは、挿入部材３８の実物通りに描いたものであり、即ち１：１に比例
した図面である。当業者は、本発明の医療装置を構成する素子の特定の形状を文
章で記述しようとする試みは最も良くても問題があり、最悪の場合には不完全と
なることを理解されたい。したがって当業者は、図に教示された形状を十分に再
現できるものと考えられる。

【００４９】

【発明の効果】

以上述べたように、本発明は、カテーテル，カニョーレ，括約筋切除器具等の
先端部の三次元形状が殺菌処理の間、および貯蔵時に変化するのを阻止するよう
なパッケージを提供できる。さらに本発明のパッケージは、カテーテル，カニョ
ーレ，括約筋切除器具等の三次元形状の先端部をその先端部全長に亘って所望の
形状に維持している。さらに本発明のパッケージにより、カテーテル，カニョー
レ，括約筋切除器具の少なくとも先端部を搭載用トレイからそれらを延ばすこと
なく、垂直方向に引き出すことができる。

【００５０】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す上面図

【図２】 本発明の一実施例の部分上面図

【図３】 Ａ 図１の線３Ａ−３Ａに沿って切り取った断面図 Ｂ 図３Ａの線３Ｂ−３Ｂに沿って切り取った断面図

【図４】 Ａ 本発明の一実施例の部分上面図 Ｂ 図４Ａの線４Ｂ−４Ｂに沿って見た側面図 Ｃ 図４Ａの線４Ｃ−４Ｃに沿って見た側面図

【図５】 Ａ 本発明の一実施例の部分上面図 Ｂ 図５Ａの線５Ｂ−５Ｂに沿って見た側面図 Ｃ 図５Ａの線５Ｃ−５Ｃに沿って見た側面図

【図６】 本発明の一実施例の部分上面図

【図７】 本発明の一実施例の断面図

【符号の説明】

１０ パッケージ １２ 括約筋切除器具 １４ 先端部 １６ ボア １８ 搭載用トレイ ２０ 三次元構造体 ２２ 平面状の溝 ２４ 傾斜湾曲溝 ２６ カバー ２８ 部分 ３０ ノッチ ３２ 凹部 ３４ 円筒状タブ ３６ 円筒状凹部 ３８ 挿入部 ４０ 医療用裏張り材 ４２ 医療用ポリマーシート ４４ 突起部 ４６ 根元部 ４８ ハンドル ５０ 端子 ５２ 平面状タブ ５４ 傾斜部分

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ， ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，Ｌ Ｓ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ， ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，Ｅ Ｅ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＧＷ，ＨＵ ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，Ｍ Ｄ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ， ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，Ｖ Ｎ，ＹＵ，ＺＷ (72)発明者 マーテル マーク シー. アメリカ合衆国，27009 ノースカロライ ナ、ベリューズ クリーク、レイク ポイ ント レイン 325 Ｆターム(参考） 3E068 AA31 CC15 DD06 DD11 DE02 DE10 EE01 EE02

Claims (19)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 括約筋切除機器，カテーテル等の医療機器（１２）の先端部
   （１４）を形成しかつ／またはサポートするパッケージ（１０）において、 前記先端部（１４）は、所望の三次元形状を有し、 前記パッケージ（１０）は、剛性の搭載用トレイ（１８）と、前記トレ
   イに係合する剛性のカバー（２６）とを有し、 前記搭載用トレイ（１８）またはカバー（２６）が、医療装置の三次元
   形状を保持する ことを特徴とするパッケージ。
2. 【請求項２】 所定の三次元形状を有する先端部（１４）を有するフレキシ
   ブルな括約筋切除機器またはカテーテル（１２）と共に使用され、前記括約筋切
   除機器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）が所望の三次元形状から変形
   するのを阻止するパッケージ（１０）において、 前記パッケージ（１０）は、 括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の少なくとも先端部（１４）
   の動きを制限するような三次元構造（２０）を有する剛性の非緩和搭載用トレイ
   （１８）と、 前記トレイ（１８）に結合され、括約筋切除機器またはカテーテル（１
   ２）の先端部（１４）の少なくとも一部をトレイ（１８）の三次元構造（２０）
   内に収納し、括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）の部分
   （２８）がトレイ（１８）の反対側にあるカバー（２６）の上に配置されるよう
   な剛性の非緩和カバー（２６）と を有し、 前記トレイ（１８）とカバー（２６）とが、一体となって括約筋切除機
   器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）をその全長に亘って支持する ことを特徴とするパッケージ。
3. 【請求項３】 前記トレイ（１８）とカバー（２６）とは透明材料から構成
   される ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
4. 【請求項４】 前記トレイ（１８）とカバー（２６）は、プラスチック材料
   から構成される ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
5. 【請求項５】 前記トレイ（１８）に隣接して配置されたガス透過性の裏張
   り材（４０）をさらに有する ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
6. 【請求項６】 前記裏張り材（４０）は、紙またはＴＹＶＥＫ（登録商標）
   から構成される ことを特徴とする請求項５記載のパッケージ。
7. 【請求項７】 前記裏張り材（４０）の反対側のトレイ（１８）に隣接して
   配置され、裏張り材（４０）に熱シールあるいは接合される透明なポリマー製シ
   ート（４２）をさらに有する ことを特徴とする請求項５記載のパッケージ。
8. 【請求項８】 前記トレイ（１８）の三次元構造（２０）は、括約筋切除機
   器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）が搭載される湾曲した溝（２４）
   を有する ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
9. 【請求項９】 前記カバー（２６）は、トレイ（１８）の湾曲した溝（２４
   ）の少なくとも一部の上に配置される ことを特徴とする請求項８記載のパッケージ。
10. 【請求項１０】 前記トレイ（１８）の三次元構造（２０）は、括約筋切除
    機器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）が搭載される傾斜した溝（２４
    ）を有する ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
11. 【請求項１１】 前記カバー（２６）は、トレイ（１８）の傾斜した溝（２
    ４）の少なくとも一部の上に配置される ことを特徴とする請求項１０記載のパッケージ。
12. 【請求項１２】 前記カバー（２６）は、括約筋切除機器またはカテーテル
    （１２）の先端部（１４）を収納する一対のノッチ（３０）を有し、 前記括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の先端部（１４）の部分（
    ２８）は、ノッチ（３０）間に延びるカバー（２６）の上に配置される ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
13. 【請求項１３】 前記カバー（２６）は、トレイ（１８）から切り離され括
    約筋切除機器またはカテーテル（１２）の少なくとも先端部（１４）は、トレイ
    （１８）から垂直方法に引き抜かれる ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
14. 【請求項１４】 前記カバー（２６）とトレイ（１８）は、円筒状タブ（３
    ４）と円筒状凹部（３６）により互いに固着される ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
15. 【請求項１５】 前記括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の先端部（
    １４）は、その中にボア（１６）を有し、 前記パッケージ（１０）は、さらに括約筋切除機器またはカテーテル（
    １２）の先端部（１４）のボア（１６）内に着脱可能に収納される剛性の非緩和
    挿入部材（３８）を有し、 この挿入部材（３８）は、括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の
    先端部（１４）の所望の三次元形状に合わせて構成される ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
16. 【請求項１６】 トレイ（１８）の三次元構造体（２０）とカバー（２６）
    と挿入部材（３８）は、括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の先端部（１
    ４）を括約筋切除手術を実行するのに適した形状に維持する ことを特徴とする請求項１または２記載のパッケージ。
17. 【請求項１７】 トレイ（１８）の三次元構造体（２０）とカバー（２６）
    と挿入部材（３８）は、括約筋切除機器またはカテーテル（１２）の先端部（１
    ４）を括約筋切除手術を実行するのに適した図に示した形状に維持する ことを特徴とする請求項１６記載のパッケージ。
18. 【請求項１８】 所定の三次元形状を有する先端部（１４）を有するフレキ
    シブルな括約筋切除機器（１２）と共に使用され、前記括約筋切除機器（１２）
    の先端部（１４）は、その中の形成されたボア（１６）と、括約筋切除機器（１
    ２）の先端部（１４）のボア（１６）内に着脱可能に収納される剛性の非緩和挿
    入部材（３８）とを有し、前記挿入部材（３８）は、括約筋切除機器（１２）の
    先端部（１４）の所定の三次元形状に合わせて構成され、 前記挿入部材（３８）は、括約筋切除機器（１２）の先端部（１４）を
    括約筋切除手術を実行するのに適した形状に維持される ことを特徴とする括約筋切除機器（１２）の挿入部材。
19. 【請求項１９】 前記括約筋切除機器（１２）の先端部（１４）を１０時の
    位置に維持する ことを特徴とする請求項１８記載の挿入部材。