JP2001508657A - オリゴヌクレオチドのバイオコンジュゲーション - Google Patents

オリゴヌクレオチドのバイオコンジュゲーション

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JP2001508657A JP53123098A JP53123098A JP2001508657A JP 2001508657 A JP2001508657 A JP 2001508657A JP 53123098 A JP53123098 A JP 53123098A JP 53123098 A JP53123098 A JP 53123098A JP 2001508657 A JP2001508657 A JP 2001508657A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、オリゴヌクレオチドの5’−位のみにおいてRNAオリゴヌクレオチドを他の分子体(molecular entities)とコンジュゲートする新規な方法に関する。特に、本発明の方法は5’−修飾グアノシンの存在下に転写によってRNAオリゴヌクレオチドをコンジュゲート又は誘導体化する方法を開示する。また本発明は、本発明の方法によって調製される新規なバイオコンジュゲートも含む。

Description

【発明の詳細な説明】 オリゴヌクレオチドのバイオコンジュゲーション発明の分野 本発明は、オリゴヌクレオチドの5’−位のみにおいてオリゴヌクレオチドを 他の分子体(molecular entities)とコンジュゲートする新規な方法に関する。 本発明の方法はRNAポリメラーゼによってRNAを合成する酵素的方法を利用 する。発明の背景 高い特異性でターゲット分子に結合する核酸分子をインビトロ進化させる方法 が開発されてきた。この方法,、Systematic Evolution of Ligands by Exponent ial Enrichment(指数的濃縮による系統的リガンド進化)はSELEXと呼ばれ 、下記に記載されている:米国特許出願第07/536,428号、1990年 6月11日出願、表題“指数的濃縮による系統的リガンド進化”、現在は放棄; 米国特許出願第07/714,131号、1991年6月10日出願、表題“核 酸リガンド”、現在は米国特許第5,475,096号;米国特許出願第07/ 931,473号、1992年8月17日出願、表題“核酸リガンドの同定法” 、現在は米国特許第5,270,163号(国際特許出願公開第WO91/19 813号も参照);これらをそれぞれ本明細書に援用する。これらの各特許出願( 本明細書においてはこれらをまとめてSELEX特許出願と呼ぶ)には、目的と するいずれかのターゲット分子に対する核酸リガンドを調製するための、基本的 には新規な方法が記載されている。SELEX法によれば、核酸リガンドと呼ば れる(当業界では”アプタマー(aptamer)”とも呼ばれる)一群の生成物が得ら れる。これらのリガンドはそれぞれユニークな配列をもち、目的とするターゲッ ト化合物または分子に特異的に結合する特性をもつ。 SELEX法は、候補オリゴヌクレオチド混合物からの選択、ならびに同じ一 般的選択方式を用いた結合、分配、および増幅の段階的反復を行って、実質的に いかなる目的基準の結合親和性および選択性も達成するものである。SELEX 法は、好ましくはランダム配列のセグメントを含む核酸混合物から出発し、結合 に好ましい条件下で混合物をターゲットと接触させ、ターゲット分子に特異的に 結合した核酸から結合しなかった核酸を分配し、この核酸−ターゲット複合体を 解離させ、核酸−ターゲット複合体から解離した核酸を増幅させて核酸リガンド 濃縮混合物となす工程を含み、次いで結合、分配、解離および増幅の各工程を目 的に応じたサイクル数で再反復して、ターゲット分子に対し特異性の高い高親和 性核酸リガンドを得る。 多数の特定の目的を達成するように、基本的SELEX法が変更されている。 たとえば米国特許出願第07/960,093号、1992年10月14日出願 、表題“構造に基づいて核酸を選択する方法”(これは放棄して、米国特許出願 第08/198,670号の方を選ぶ)には、SELEXをゲル電気泳動と併用 し、特定の構造特性をもつ核酸分子、たとえば折れ曲がりDNAを選択すること が記載されている。米国特許出願第08/123,935号、1993年9月1 7日出願、表題“核酸リガンドの光選択”には、SELEXに基づく方法であっ て、ターゲット分子に結合および/または光架橋し、ならびに/あるいはそれら の分子を光不活性化しうる光反応性基を含む核酸リガンドを選択する方法が記載 されている。米国特許出願第08/134,028号、1993年10月7日出 願、表題“テオフィリンとカフェインを識別する高親和性核酸リガンド”(これ は放棄して、米国特許出願第08/443,957号の方を選ぶ:現在は米国特 許第5,580,737号)には、近縁分子(非ペプチド系であってもよい)を 識別しうる高特異性核酸リガンドを同定するための、対抗SELEX(Coun ter−SELEX)と呼ばれる方法が記載されている。米国特許出願第08/ 143,564号、1993年10月25日出願、表題“指数的濃縮による系統 的リガンド進化:溶液SELEX”(これは放棄して、米国特許出願第第08/ 461,069号を選ぶ:現在は米国特許第5,567,588号)には、ター ゲット分子に対し高い親和性をもつオリゴヌクレオチドと低い親和性をもつもの とを高い効率で分配しうる、SELEXに基づく方法が記載されている。米国特 許出願第08/434,425号、1995年5月3日出願、表題“指数的濃縮 による系統的リガンド進化:組織SELEX”、及び米国特許出願第08/43 3, 124号、1995年5月3日出願、表題“組織ターゲットの核酸リガンド”に は、組織ターゲットに対する核酸リガンドを同定、調製するためにSELEXを 使用することが記載されている。 SELEX法は、たとえば改良されたインビボ安定性または改良された送達性 などの改良された特性をリガンドに与える修飾ヌクレオチドを含有する、高親和 性核酸リガンドの同定を包含する。このような修飾の例には、リボースおよび/ またはホスフェートおよび/または塩基の位置における化学的置換が含まれる。 SELEXにより同定された、修飾ヌクレオチドを含有する核酸リガンドは、米 国特許出願第08/117,991号、1993年9月8日出願、表題“修飾ヌ クレオチドを含有する高親和性核酸リガンド”(これは放棄して、米国特許出願 第08/430,709号の方を選ぶ:現在は米国特許第5,660,985号 )に記載されており、そこにはピリミジン類の5−および2’−位が化学的に修 飾されたヌクレオチド誘導体を含有する、オリゴヌクレオチドが記載されている 。前掲の米国特許出願第09/134,028号には、2’−アミノ(2’−N H2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’ −OMe)で修飾された1またはそれ以上のヌクレオチドを含有する、高特異性 核酸リガンドが記載されている。米国特許出願第08/264,029号、19 94年6月22日出願、表題“分子内求核置換による公知及び新規2’−修飾ヌ クレオチドを製造するための新規方法”には、種々の2’−修飾ピリミジンを含 有するオリゴヌクレオチドが記載されている。 SELEX法は、選択したオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレ オチドおよび非オリゴヌクレオチド官能性単位と組み合わせることを包含する。 これらはそれぞれ米国特許出願第08/284,063号、1994年8月2日 出願、表題“指数的濃縮による系統的リガンド進化:キメラSELEX”(現在 は米国特許第5,637,459号)、および米国特許出願第08/234,9 97号、1994年4月28日出願、表題“指数的濃縮による系統的リガンド進 化:ブレンドSELEX”(現在は米国特許第5,683,867号)に記載さ れている。これらの特許出願により、オリゴヌクレオチドの広範な形状その他の 特性のアレイならびに効率的な増幅特性および複製特性を、他の分子の望ましい 特性と組み合わせることが可能になる。 SELEX法はさらに、オリゴヌクレオチド複合体を包含する。米国特許出願 第08/434,465号、1995年5月4日出願、標題”核酸リガンド複合 体”は、核酸リガンドと親油性化合物もしくは非免疫原性高分子化合物を含む診 断用または療法用複合体の製造法を記載する。 SELEX法に由来する核酸リガンドは診断用途で使用されてきた(例えば、 米国特許出願第08/487,325号、1995年6月7日出願、標題”酵素 結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONAS)”、米国特許出願第08/4 79,729号、1995年6月7日出願、標題”フローサイトメトリにおける 核酸リガンドの使用”及び米国特許出願第08/628,356号、1996年 4月5日出願、標題"核酸リガンドを用いる物質中のターゲット化合物の検出法" を参照のこと)。上記特許出願の全文、全ての定義及びSELEX法の記載(但 しこれに限定されない)の全てをここに援用する。 オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体を診断用及び研究用試薬と して、また有用な治療薬として応用することに関して多くの研究が行われている 。オリゴヌクレオチドを医薬化合物として使用することについては現在少なくと も3つの研究分野がある、最も進んだ分野では、タンパク質の発現を防ぎ、ある いは種々の細胞機能を阻止するために、生物体中の特定コーディング領域と結合 するためにアンチセンスオリゴヌクレオチドが用いられている。さらに、触媒機 能をもつRNA種であるリボザイムの発見は、所望の効果を達成するであろう細 胞内反応を行うために作用するRNA種の研究につながった。そして最後に、S ELEX法(指数的濃縮による系統的リガンド進化)(Tuerk and Gold(1990)Sc ience 249:505)の発見は、ほとんど全ての生物学的に興味のあるターゲットと 結合するようなオリゴヌクレオチドを同定できることを示した。 遺伝子発現の制御手段としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用、及び 有用な医薬としてのオリゴヌクレオチドの使用の可能性は、オリゴヌクレオチド に多数の化学修飾を導入して治療活性や安定性を増加する研究を促進してきた。 このような修飾は、オリゴヌクレオチドの細胞浸透性を増加すること、体内での オリゴヌクレオチド類似体の構造又は活性を分解又は妨げるヌクレアーゼやその 他の酵素からオリゴヌクレオチドを安定化すること、ターゲットRNAとの結合 を強化すること、ターゲットRNAとの配列特異的結合をした後の分解モード( 停止事象)を提供すること及び/又はオリゴヌクレオチドの薬物動態挙動を改良 することを目的として設計される。 最近の研究は、RNAの二次及び三次構造が重要な生物学的機能をもちうるこ とを示している(Tinoco et al.(1987)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.52:13 5;Laeson et al.,(1987)Mol.Cell.Biochem.74:5;Tuerk et al.,(1988)Proc.Natl .Acad.Sci.USA 85:1364;Resnekov et al.,(1989)J.Biol.Chem.264:9953)。PC T特許出願公開公報WO91/14436号、標題”RNA模倣性による遺伝子 発現を調節する試薬及び方法”は、1以上のタンパク質と相互作用しうるRNA の一部を模倣するオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド類似体を記載する 。これらのオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ抵抗性を与える修飾ヌクレオチド 間結合を含み、細胞への浸透力が増強されており、標的オリゴヌクレオチド配列 と結合しうる。 治療薬及び診断薬としてのオリゴヌクレオチドの使用は急速に大きくなってお り、多数の化合物が前臨床試験及びヒト臨床試験に入っている。これらの応用の 多くにおいて、オリゴヌクレオチドは誘導体とされるか、あるいは別の分子体と コンジュゲートを形成する。これらのコンジュゲートは典型的には蛍光染料やそ の他の診断レポーター基を付着する目的で、あるいはオリゴヌクレオチドの活性 又は薬物動態挙動を調節する化合物を付着する目的で行われる。例えば、Smith らは蛍光ベースのDNA配列分析に使用するために蛍光染料とコンジュゲートし たプライマーの合成を記載する(Smith et al.,(1987)Method Enzymol.155:260- 301)。Pitnerらによる米国特許第5,650,275号は分光光学的に検出可 能なように標識された核酸リガンドを用いてサンプル中のターゲット化合物の存 否を決定することを記載する(また、同時継続中の米国特許出願第08/487 ,425号、1995年6月7日出願、標題”酵素結合オリゴヌクレオチドアッ セイ(ELONAS)”、米国特許出願第08/479,729号、1995年 6月7日出願、標題”フローサイトメトリにおける核酸リガンドの使用”及び米 国特許出願第08/628,356号、1996年4月5日出願、標題” 核酸リガンドを用いる物質中のターゲット化合物の検出法”も参照のこと)。米 国特許出願第08/434,465号、1995年5月4日出願、標題”核酸リ ガンド複合体”は、親油性化合物又は非免疫原性高分子量化合物と結合したオリ ゴヌクレオチドを用いてオリゴヌクレオチドの活性又は薬物動態挙動を調節する ことを記載する。ホスホエステル結合を介してアンチセンスオリゴヌクレオチド と共有結合した親油性化合物がBischofbergerのEP462145B1に記載さ れている。オリゴヌクレオチドを二量体にして、オリゴヌクレオチドを多量体プ ラットホームに付着するのにコンジュゲートも用いられている(Jones et al.(1 995)J.Med.Chem.38:2138)。 このようなコンジュゲートを達成するいくつかの化学的方法が存在する(総説 としては、Goodchild(1990)Bioconjugate Chemistry 1:165-187を参照されたい) 。オリゴヌクレオチドの5’−末端にアミンやチオールなどの化学反応官能基が 存在することにより、レポーター基(Smith et al.(1987)Methods Enzymol.155: 260-301;Sproat et al.(1987)NucleicAcidsRes.15:6181-6196)及びペプチドエ ピトープ(Tung et al.(1991)Bioconjugate Chem.2:464-465;Bruick et al.(199 7)Chem.Biol.3:39-56)を含む様々なコンジュゲートを選択的に付着することが 可能になる。末端アミノ官能基を含むオリゴヌクレオチドを用いて新規な性質を もつバイオコンジュゲートの構築が行われてきた。これらのバイオコンジュゲー トを合成するより一般的ないくつかの方法においては、合成オリゴヌクレオチド の組立の最終段階でオリゴヌクレオチドの5’−末端に一級脂肪族アミン基を導 入する(Tung et al.(1991)Bioconjugate Chem.2:464-465;Smith et al.(1987)M ethods Enzymol.155:260-301)。オリゴヌクレオチドの5’−末端に結合する市 販の試薬(実際は様々な長さのポリメチレンコネクターをもつ一連のリンカー) は5’−アミノ−モディファイアC6である。これらの試薬はGlen Research Co rp(Sterling VA)から入手可能である。これらの化合物はオリゴヌクレオチドの 5’−末端にフルオレセインを結合するためにKrieg(Krieg et al.(1971)Antise nse Res.and Dev.1:161)によって用いられた。興味のある巨大分子(macromolecu le)の多くは親水性であるので、これらの反応は一般的に水中で行われ、競合す る加水分解を克服するために大過剰の試薬を必要とする。普通はオ リゴヌクレオチド上のアミンが分子の末端に付加され、この修飾を合成後に行う 場合には、完全に脱保護されているオリゴヌクレオチド上の遊離アミン及びアル コールと競合しなければならない。 他の分子体にオリゴヌクレオチドをコンジュゲートするもう1つのよく用いら れている方法では、分子体をホスホルアミダイトに変換し、これを固相支持体に 固定した全長オリゴヌクレオチドの遊離アルコールに付加する。この方法はホス ホルアミダイトが空気と水に感受性であり、また分子がオリゴヌクレオチドの末 端にしか付加できないという事実のために理想的なものではない。さらに、充分 な脱保護と支持体からのオリゴヌクレオチドの放出のために通常必要とされる激 しい条件のために、多くの検出分子がこの方法には使えない。他の分子にオリゴ ヌクレオチドをコンジュゲートする第三の方法は、アルキルチオ誘導体としたオ リゴヌクレオチドをα−ハロアセチル又はマレイミド含有化合物とカップリング することである(Jones et al.(1995)J.Med.Chem.38:2138)。 5’−アミノ−5’−デオキシチミジンで終わるオリゴデオキシヌクレオチド を合成する別の方法が文献に記載されている(Bruick et al.(1997)Nucleic Acid s Res.25:1309-1310)。この方法は、オリゴヌクレオチドにペプチドのライゲー ションを指示するDNAテンプレートを用いるものであり、ここではペプチドが 反応性のチオエステル結合した中間体の形で第二オリゴヌクレオチドによって提 示される。 オリゴデオキシヌクレオチドは2つの方法で標識されて有力なin vivo診断画 像に使用されてきた。Hnatowichは5’−末端に一級アミンをもつオリゴデオキ シヌクレオチドを合成し、次にこれをNHSケミストリを介してペプチジルTc キレートにカップリングした(Hnatowich(1995)J.Nucl.Med.36:2306)。Hayesらは 5'-[フルオレニルメトキシカルボニル]-5-(E)-[2-トリ-n-ブチルスタニルビニル ]-2'-デオキシウリジン-3'-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホルアミダイ トを合成した(Hayes et al.(1997)Nucleic Acid Res.25:2897-2901)。この試 薬は自動固相合成に適しており、トロンビンアプタマーに導入された。修飾デオ キシヌクレオチドは123Iで容易にヨード化されて有力な血栓造影剤となる。こ れらの技術はいずれも合成デオキシオリゴヌクレオチドに適用されるものであり 、 合成で製造されたリボオリゴヌクレオチドには転用できない。 特定の機能を持つペプチドとオリゴヌクレオチドのコンジュゲートは様々な用 途に有用である。これらの例には、細胞内トラフィッキングを指示する核内輸送 シグナルペプチド(Eritja et al.(1991)Tetrahedron 47:4113-4120);細胞浸 透性を増加する疎水性ペプチド(Juby et al.(1991)Tetrahedron Lett.32:879-82 2)又はポリリシン(Leonetti et al.(1991)Bioconjugate Chem.1:149-153)、及 び非放射性リポーティングプローブに対する複数の結合部位を提供するポリリシ ン(Haralambidis et al.(1987)Tetrahedron Lett.28:5199-5202;Haralambidis et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:493-499)を含む。 T7RNAポリメラーゼを用いる合成DNAテンプレートからの転写はRNA オリゴヌクレオチドの合成に便利な方法である。T7RNAポリメラーゼによる DNA転写は、プロモーターDNA配列に関して特異的に定められる塩基から開 始する(Chamberlin and Ring(1973)J.Biol.Chem.248:2235-2244)。転写される 最初のヌクレオチドは通常プリンである。DNAテンプレートからRNAへの転 写は、その5'末端に三リン酸をもつ新しいRNAを作ることで区別される。R NA合成における開始ヌクレオチドの5’−位の修飾の効果はMartinとColeman によって研究された(Martin and Coleman(1989)Biochemistry 28:2760-2762)。M artinとColemanはRNA転写物に導入される最初のヌクレオチドは、5’−トリ ホスフェートが結合形成段階に用いられないという点でユニークであることを見 いだした。すなわち、ワトソン/クリックの塩基対が関与するが、最初のヌクレ オチドの5’領域がタンパク質への結合及び/又はDNAテンプレートへの結合 に関与しないことを意味する。従って、T7RNAポリメラーゼによるDNA転 写の開始は、グアノシン三リン酸(GTP)、グアノシン−リン酸(GMP)又 はグアノシンのいずれで開始しても有効に進行する。 酵素的RNA合成における開始剤として修飾グアノシンである5’−アミノ− 5’−デオキシグアノシンを使用することはLohseとSzostak(Lohse and Szostak (1996)Nature 381:442-444)によって記載されている。この分子の合成は難しい 。 今日までのところ、グアノシンが三リン酸よりも大きい5’−位の置換基を有 する場合の、酵素的RNA合成における開始剤としての修飾グアノシンの使用は 示されていない。発明の概要 本発明は、オリゴヌクレオチドを誘導体とするか、又は他の分子体(molecular entities)とコンジュゲートする新規で極めて効率の良い方法を記載する。特に 、本発明は、RNAの酵素的合成における開始剤として5’−置換されたグアノ シンを用いて、オリゴヌクレオチドの5’−位だけで誘導体としたオリゴヌクレ オチドを酵素的に作製する方法を記載する。ここに記載する方法によって、反応 性分子、レポーター分子、レポーター酵素、親油性分子、ペプチド及びタンパク 質を含む(ただしこれに限定されない)様々な分子体を、新生の(nascent)R NAオリゴヌクレオチドの5’−末端に付加することが可能になる。 本発明の方法の最も基本的な形は以下の工程によって示される: a)DNAテンプレートを提供し;そしてb)DNAテンプレートをヌクレオ チド三リン酸、5’−置換グアノシン及びRNAポリメラーゼと転写に適した条 件下で組み合わせる。好ましい態様では、RNA上の開始塩基はグアノシンであ り、RNAポリメラーゼはT7RNAポリメラーゼである。使用するヌクレオチ ド三リン酸のタイプはテンプレートと所望のRNA生成物の組成に依存するであ ろう。 本発明の方法は、RNAポリメラーゼで触媒されるテンプレート依存型転写に おける開始剤として5’−修飾したグアノシンーリン酸(GAP)を使用する。 グアノシン開始剤は、その化学的性質がRNA転写と適合性である分子体によっ て5’−位で修飾される。これらのグアノシンは、グアノシン三リン酸の三リン 酸基とはサイズが大きく異なる分子体によって5’−位で置換されうる。オリゴ ヌクレオチドとカップリングする分子体の例には、他の巨大分子、例えばオリゴ ヌクレオチド、親油性化合物、例えばコレステロール、リン脂質、ジアセチルク リセロール及びジアルキルグリセロール、タンパク質、ペプチド又は炭水化物、 ポリスチレンなどのポリマー又は樹脂、診断検出分子、例えばビオチン又はフル オレセイン、レポーター酵素、光親和性標識、ステロイド、PEGなどの薬物動 態調節因子、脂質又はリポソーム、ヘキシルアミンもしくはジエンもしくはジエ ノフィルなどの転写後コンジュゲーションのための反応性部分、及び結合性金属 のためのキレートを含むがこれに限定されない。 分子体は種々の機能を果たすために設計することができる。例えば、ビオチン 又は蛍光分子などのレポーター基をバイオコンジュゲートに導入して診断試薬と して使用するレポーターバイオコンジュゲートを提供することができる。ポリエ チレングリコールなどの巨大分子をバイオコンジュゲートに導入して改良された 薬物動態をもつバイオコンジュゲートを提供することができる。金属、特に99m Tcなどの放射性金属を結合するためのキレート剤をオリゴヌクレオチドに結 合して診断画像用に用いることができる。他の放射性金属、例えばレニウム−1 88をコンジュゲートして指向性のある放射線治療用途にすることができる。バ イオコンジュゲートはタンパク質の活性部位と反応性であるペプチドを含むこと もできる。Bolton-Hunter試薬のようなその他の標識性ハプテンを導入して放射 性ヨウ素化を可能にすることもできる。蛍光消光剤もしくはスピンラベルなどの 構造プローブを導入してタンパク質−核酸の相互作用を研究することができる。 共有原子価(covalent)SELEXを可能にするには、プソラレン、アクリジン もしくは同様の分子などの光親和性標識をコンジュゲートすることができる。ジ エンもしくはシッフ塩基などの化学体(chemical entity)を化学的共有原子価 SELEXのために導入することができる。パラレルSELEXの態様では、コ ンビナトリアル小分子ライブラリーを転写物にコンジュゲートできる。分子体は 光親和性標識として作用するように設計することもできる。可視化もしくは抗体 染色のために、組織学的プローブをバイオコンジュゲートに導入することができ る。 本出願はさらに、核酸リガンドの5’−位のみにおいて分子体で誘導体化され る核酸リガンドを含むバイオコンジュゲートを作製する方法を開示する。この特 定の態様は、Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment( 指数的濃縮による系統的リガンド進化)の略称であるSELEXと呼ばれる核酸 リガンドを同定する方法を利用する。 簡単に述べると、ターゲットに対するバイオコンジュゲートは以下の工程を含 むSELEX法によって同定できる: 1)(a)転写すべき配列をもつDNAテンプレートを提供し、そして(b) DNAテンプレートをヌクレオチド三リン酸、5’−置換グアノシン及びRNA ポリメラーゼと転写に適した条件下で組み合わせる、ことを含む工程によって、 候補となるバイオコンジュゲートの混合物を調製し; 2)バイオコンジュゲート候補混合物をターゲットと接触させ、ここでバイオ コンジュゲート候補混合物と比較してターゲットに対して高い親和性をもつバイ オコンジュゲートは残りのバイオコンジュゲート候補混合物から分配されうるも のであり; 3)高い親和性のバイオコンジュゲートを残りのバイオコンジュゲート候補混 合物から分配し;そして 4)高い親和性のバイオコンジュゲートを増幅して、リガンド−濃縮されたバ イオコンジュゲート混合物を得て、これによってターゲットのバイオコンジュゲ ートを同定する。 5’−置換GAPは、(1)SELEX分配工程で、例えばBIA−SELEX (米国特許出願第08/792,075号、1997年1月31日出願、表題”フローセル SELEX”を参照、これを本明細書に参照として援用する)、プレートSEL EX(Conrad et al.(1996)Methods of Enzymol.267:336)、及びストレプトア ビジンカラム分配で、(2)レポーター置換を用いるSELEXの進行をモニタ ーするのに、及び/又は(3)ターゲットタンパク質と直接参加するのに、例え ばブレンド(blended)SELEX(米国特許第5,683,867号、1997年11月 4日発行、表題”指数的濃縮による系統的リガンド進化:ブレンドSELEX” )で、役に立つ。 本発明の一つの態様は、ブレンドSELEX法(米国特許第5,683,867号、1 997年11月4日発行、表題”指数的濃縮による系統的リガンド進化:ブレン ドSELEX”:この全てを参照としてここに援用する)の延長であり、特異的 に選択された性質をもつオリゴヌクレオチドを同定し、かつ作製する新規な方法 を提供する。本発明のこの態様は、分子体で誘導体としたオリゴヌクレオチドを 同定し合成する方法を提供する。この分子体は上で例示したような所望のオリゴ ヌクレオチドの性質に基づいて選択される。 本発明の別の態様では、5’−誘導体化グアノシンは、転写物の転写後コンジ ュゲートに使用できる反応性部分を含む。本発明のこの態様は以下の工程によっ て記載される:a)DNAテンプレートを提供し、b)DNAテンプレートをヌ クレオチド三リン酸、5’−置換グアノシン(該5’−置換基は反応性部分を含 む)及びRNAポリメラーゼと転写に適した条件下で組み合わせ;そしてc)工 程b)の生成物を、該5’−置換基上の反応性部分と反応しうる部分を含む分子 体と反応させる。転写と適合性でない分子体で誘導体にしたオリゴヌクレオチド を得るには転写後のコンジュゲートが必要である。反応性部分(reactive moiet ies)の例には、アミン、ジエン、ジエノフィル、チオール、ビニルスルホン、 光親和性標識及びインターキレーターを含むが、これに限定されない。 本発明の方法で作製される新規なコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドも本 発明に含まれる。図面の簡単な説明 図1は、0から10mMの範囲のGAP濃度におけるGAPの導入率及びGA P転写物の収量をグラフで示す。 図2は、実施例2に記載するGAP−TEG−ビオチン/γ−32P−GTP開 始競合アッセイの結果を示す。転写反応の生成物を変性ゲル電気泳動で分析した 。全てのレーンはGTPに対するGAP−ビオチンの率で表してあり、レーンC だけは対照として6mMのGTPを含む。GAP−ビオチンの濃度が増加するに つれて、γ−32P−GTPは減少した。 図3は、実施例2に記載するストレプトアビジンシフトアッセイの結果を示す 。反応生成物をストレプトアビジンと組み合わせて変性ゲル電気泳動で分析した 。全てのレーンはGTPに対するGAP−ビオチンの率で表してある。 図4Aは、GAP類似体11−16で行った転写反応の結果を示す。レーン1 及び2はGAPなしの転写物を含み、レーン3はGAP−TEG転写物であり、 レーン4はGAP−ビオチン転写物であり、レーン5はGAP−TEG−ビオチ ン転写物であり、レーン6はGAP−Tcキレート転写物であり、レーン7はG AP−TEG−Tcキレート転写物であり、レーン8はGAP−フルオレセイン 転写物であり、そしてレーン9はGAP−TEG−フルオレセイン転写物である 。分析は7M尿素を含む8%ポリアクリルアミドゲル上で実施した。 図4Bは、レーン8及び9のフルオレセイン−GAPで開始した転写物の透視 を示す。 図5は、GAP−Tcキレートで開始した転写物の99m Tc標識の結果を示 す。99m Tc標識した転写物はEDTAの不在下に8%ポリアクリルアミド変 性ゲル電気泳動で分析した。レーン1は32P全長転写物対照を、レーン2は99m Tc標識したGAP−Tcキレートを含む。発明の詳細な記述 本発明は、酵素的にオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートを作製する新規 な方法を含む。特に、本発明は、5’−位で特異的に分子体(molecular entiti es)で誘導体にしたRNAオリゴヌクレオチドを含むバイオコンジュゲートを酵 素的に作製する新規な方法を記載する。この方法は、RNAポリメラーゼが触媒 するテンプレートによる(template-directed)バイオコンジュゲート合成の開 始剤として5’−置換されたグアノシン類を利用する。本発明の方法は、転写前 にオリゴヌクレオチドをコンジュゲートするのに、あるいは転写物中に反応体を 導入して次にこれを転写後にオリゴヌクレオチドをバイオコンジュゲートするの に使用できる。この方法は核酸リガンド、リボザイム及びアンチセンスRNAを 含む様々なコンジュゲートされたリボヌクレオチドの合成に応用できる。 分子体はどのような分子であってもよく、転写に適合する別の巨大分子を含む 。オリゴヌクレオチドとカップリングすることのできる分子体の例には別の巨大 分子、例えばオリゴヌクレオチド、親油性化合物、タンパク質、ペプチド又は炭 水化物、ポリマー又は樹脂、例えばポリスチレン、診断検出分子、例えばビオチ ン又はフルオレセイン、レポーター酵素、光親和性標識、ステロイド、PEGな どの薬物動態調節因子、脂質又はリポソーム、ヘキシルアミンやジエンやジエノ フィルなどの後転写コンジュゲートのための反応体、及び結合性金属のためのキ レート剤を含むがこれに限定されない。 分子体は広範な様々な機能を果たすように設計できる。例えば、ビオチンやフ ルオレセイン分子などのレポーター基をバイオコンジュゲートに導入して診断試 薬として使用するためのレポーターバイオコンジュゲートを提供する。ポリエチ レングリコールなどの巨大分子をバイオコンジュゲートに導入して改良された薬 物動態をもつバイオコンジュゲートを提供する。結合性金属、特に99m Tcの ような放射性金属のためのキレート剤を診断用画像目的のためにオリゴヌクレオ チドに付けることができる。別の放射性金属、例えばレニウム−188をコンジ ュゲートして指向性放射線治療に応用できる。バイオコンジュゲートにはタンパ ク質の活性部位に反応性であるペプチドを含むこともできる。バイオコンジュゲ ートはオリゴヌクレオチドをカラム、固体支持体マトリックス、もしくはミクロ タイタープレートの表面に付着させるのに使用できる。 本発明を記載するのに使用するいくつかの用語を以下に定義する: ”ヌクレオシド”は、デオキシリボヌクレオシドもしくはリボヌクレオシドも しくはその化学修飾体を意味する。ヌクレオシドの修飾には、2’−位の糖修飾 、5−位のピリミジン修飾、8−位のプリン修飾、シトシンの環外アミンにおけ る修飾、5−ブロモ−ウラシルの置換などを含むがこれに限定されない。 ”ヌクレオチド”は、修飾もしくは天然のデオキシリボヌクレオチドもしくは リボヌクレオチドと定義される。ヌクレオチドは典型的にはプリンとピリミジン を含み、これにはチミジン、シチジン、グアノシン、アデニン及びウリジンを含 む。 ”オリゴヌクレオチド”は、先に定義したヌクレオチド単位が複数結合して形 成されるポリヌクレオチドをいう。各ヌクレオチド単位は、典型的にはリン酸結 合基を介して結合したヌクレオシド単位を含む。オリゴヌクレオチドの用語は、 リン酸結合以外の結合を介して結合された複数のヌクレオチドも指す。オリゴヌ クレオチドは天然もしくは非天然のものであってよい。好ましい態様では本発明 のオリゴヌクレオチドは1−1,000個のヌクレオチドをもつ。 ”核酸リガンド”は、ターゲットに対して望ましい作用をもつ核酸をいう。望 ましい作用には、ターゲットへの結合、ターゲットの触媒的変更、ターゲットも しくはターゲットの機能的活性を修飾/改変するような方法でのターゲットとの 反応、自殺阻害剤(suicide inhibitor)としてのターゲットへの共有結合、タ ー ゲットと別の分子との反応を可能にすること、を含むがこれに限定されない。好 ましい態様では、作用はターゲット分子に対する特異的結合親和性であり、この ようなターゲット分子は、ワトソン/クリックの塩基対形成もしくは三重らせん 結合に主として依存するメカニズムで核酸リガンドと結合するポリヌクレオチド 以外の三次元化学構造であり、ここで該核酸リガンドはターゲット分子によって 結合される既知の生理学的機能をもつ核酸ではない。ある態様では、核酸リガン ドは非天然の核酸である。本発明の好ましい態様では、核酸リガンドはSELE X法で同定される。核酸リガンド(該核酸リガンドはあるターゲットのリガンド である)は、a)候補混合物をターゲットと接触させ、ここで候補混合物と比較 してターゲットに対して高い親和性をもつ核酸は残りの候補混合物から分配され うるものであり;b)高い親和性の核酸を残りの候補混合物から分配し;そして c)高い親和性の核酸を増幅して、リガンド−濃縮された核酸混合物を得る、こ とを含む方法によって、核酸の候補混合物から同定される核酸を含む。 ”核酸”は、一本鎖もしくは二本鎖のDNA、RNA、またはそのいかなる化 学修飾体をも意味する。修飾には、核酸リガンド塩基または核酸リガンド全体に 付加的な電荷、分極率、水素結合、静電相互作用および流動性(fluxionality) を取り込む他の基を供給するものが含まれるが、これらに限定されない。このよ うな修飾には、2’−位糖修飾、5−位ピリミジン修飾、8−位プリン修飾、環 外アミンの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラ シルの置換、主鎖修飾、メチル化、異例の塩基対合組合わせ、たとえばイソ塩基 であるイソシチジンおよびイソグアニジンなどが含まれるが、これらに限定され ない。修飾には、キャッピングのような3’および5’修飾も含めることができ る。 ”DNAテンプレード”は、”転写”と呼ばれるプロセスで相補的リボヌクレ オチドコピーを作るようにRNAポリメラーゼに指示を与えるデオキシリボヌク レオチドをいう。コピーされるDNAの鎖を”センス鎖”という。DNAテンプ レート鎖はまた、センス鎖のスタートの前の特定の位置において酵素によるコピ ー合成を開始させ、またセンス鎖のエンドのやや後ろの特定の位置においてコピ ー合成を停止させるシグナルを与える。DNAテンプレートは一本鎖もしくは二 本鎖であってよい。好ましい態様では、DNAテンプレートは二本鎖である。 “非免疫原性高分子量化合物”は、一般に免疫原応答を生じない、約1000 Daもしくはそれ以上の化合物である。免疫原応答は、生物に抗体タンパク質を 産生させるものである。非免疫原性高分子量化合物の例には、ポリエチレングリ コール(PEG);多糖、例えばデキストラン;ポリペプチドペプチド、例えば アルブミン;及び磁性構造をもつもの、例えばマグネタイトである。 ”巨大分子(macromolecule)”は、大きな有機分子を言う。巨大分子の例に は、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、炭水化物、多糖、糖タ ンパク質、親油性化合物、例えばコレステロール、リン脂質、ジアシルグリセロ ール及びジアルキルグリセロール、ホルモン、医薬、非免疫原性高分子化合物、 蛍光性、化学発光性及び生物発光性のマーカー化合物、抗体及びビオチンなどを 含むがこれに限定されない。 ”バイオコンジュゲート”は、ここでは別の分子体で誘導体とされているいか なるオリゴヌクレオチドをもさす。好ましい態様ではオリゴヌクレオチドは巨大 分子で誘導体とされる。 ”バイオコンジュゲーション”または”コンジュゲーション”は、別の分子体 によるオリゴヌクレオチドの誘導体化をいう。”分子体(molecular entity)” は、いかなる分子であってもよく、小分子もしくは別の巨大分子を含む。分子体 の例には、別の巨大分子、ポリマーもしくは樹脂、例えばポリエチレングリコー ル(PEG)もしくはポリスチレン、診断用検出分子、例えばビオチン、フルオ レセインもしくはクマリン、レポーター酵素、光親和性標識、ステロイド、PE Gなどの薬物動態的分子、脂質又はリポソーム、ヘキシルアミンもしくはジエン もしくはジエノフィルなどの転写後コンジュゲーションのための反応性部分、及 び結合性金属のためのキレートを含むがこれに限定されない。バイオコンジュゲ ーション及びコンジュゲーションの用語は本明細書では相互変換的に使用する。 ”治療剤”は、疾患及び傷害の治療もしくは予防に使用する化合物をいう。 ”診断剤”は、サンプル中のターゲットの存否を検出及び/又はその量を測定 するために使用するバイオコンジュゲートをいう。ターゲット分子の検出は、そ のターゲット分子に特異的なバイオコンジュゲートの核酸成分との結合によって 行われる。バイオコンジュゲートは放射性標識などで標識して定性もしくは定量 検出を行うことができる。 “改良された薬物動態特性”とは、バイオコンジュゲートが、バイオコンジュ ゲートの一部ではない核酸と対比して、より長い循環半減期をインビボで示すこ と、あるいは非ターゲットに対する改良されたターゲット比率などのその他の薬 物動態上の利益を意味する。 “ターゲット”は、核酸が予め定められた望ましい方法で作用するいかなる化 合物であってもよい。SELEXターゲット分子は、タンパク質、ペプチド、炭 水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、ウイル ス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態の類似体、補因子、阻害物質 、薬物、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織など、制限がない。実際、あらゆ る化学的もしくは生物的要因が適切なSELEXターゲットたりうる。あらゆる サイズの分子がSELEXターゲットとして作用しうる。ターゲットは一定の方 法で修飾してターゲットと核酸との相互作用を増強することもできる。 T7RNAポリメラーゼとGAP分子を用いる合成DNAテンプレートからの 転写は、5’−位のみで誘導体化されたRNAの合成に都合良くまた効率よく利 用できる方法である。RNAポリメラーゼで触媒されるDNAテンプレート依存 性の転写においては、酵素は相補的RNAコピーを作るためのテンプレートとし てDNAの一本の鎖を用いる。T7RNAポリメラーゼによるDNAの転写は、 プロモーターDNA配列に関連して特定して(uniquely)定められる塩基から開 始する。コピー合成の開始にはRNAのプライマー片は必要ではない。ヌクレオ チド三リン酸が順次縮合されてRNAコピーが5’−末端から3’−末端へと成 長する。酵素は最初のヌクレオチド(通常はGTPかATP)に位置し、次にこ のヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基が次に入ってくるヌクレオシドの5’−三 リン酸と反応する。次いで、ジヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基が正しい位置 に入ってくる次のヌクレオチドと縮合し、そしてこれが続く。合成はピロリン酸 の加水分解によって進行する。最後に、そして本発明の中心となることであるが 、新生の(nascent)RNA中の最初のヌクレオチドの5’−三リン酸は転写に 関与しない。本発明者はこの発見を利用してオリゴヌクレオチドバイオコンジュ ゲートを迅速且つ便宜的に合成する新規な方法を開発した。 本発明は、5’−位のみにおいて分子体で誘導体にしたRNAを含むバイオコ ンジュゲートを酵素的に合成する新規な方法を記載する。最も基本的な形では、 本発明は以下の工程で説明される: a)DNAテンプレートを提供し、そしてb)該DNAテンプレートをヌクレ オチド三リン酸、5’−置換グアノシン及びRNAポリメラーゼと転写に適した 条件下に組み合わせる。使用するヌクレオチド三リン酸のタイプはテンプレート の組成と所望するRNA産物に依存する。 本発明の方法を用いて、5’−修飾グアノシンを転写の開始フェーズ中に転写 物の開始5’−末端のみに付加することができる。上述したように、転写物の伸 長はピロホスフェートの加水分解によって進行するので、残ったヌクレオチドが ヌクレオシド三リン酸である必要がある。5’−置換グアノシンは5’−三リン 酸基をもたないので、開始には参加できるが、伸長には参加できない。従って、 置換ヌクレオチド三リン酸がRNA転写物の全体にわたって導入される、RNA 合成中に置換ヌクレオチド三リン酸を酵素的に導入するその他の方法とは対照的 に、本発明の方法は、オリゴヌクレオチドの5’−位のみに結合した分子体を含 むバイオコンジュゲートを合成するユニークな方法を提供する。 転写されるべきDNAテンプレート中の最初のヌクレオチドはシトシンである ので、5’−誘導体化グアノシン(ここではGAPと呼ぶ)は新生のRNA転写 物の最初の成分としてGTPと競合する。従って、5’−置換RNAオリゴヌク レオチドと5’−非置換RNAオリゴヌクレオチドからなるバイオコンジュゲー トを含むRNAオリゴヌクレオチドの混合物が得られるであろう。しかしながら 、転写反応中の5’−誘導体化グアノシンの濃度がGTP濃度と比較して増加す ることにより、これに比例してより多くの誘導体化グアノシンが転写物中に導入 されることになる。図1に示すように、GAP:GTPの比率が10:1である と、転写物の92%がGAPで開始することになる。理論的には、GAPとGT Pが等しい効率で開始ヌクレオチドとして使用されるとすると、GAPはその時 点の90.91%存在するはずである。5’−置換された転写物の必要とする純 度レベルに応じて、GAP−コンジュゲート:GTPの比率を変えうる。 オリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートの酵素合成に基質として5’−誘導 体化グアノシンを使用できることは、現在可能な方法やこれらの化合物の合成に 有意な利点を与える。第一に、この方法は、RNAオリゴヌクレオチドの酵素合 成中にRNAオリゴヌクレオチドの5’−位に巨大分子を特異的に導入すること ができる。これは、合成の最終工程で修飾ヌクレオチドを導入するような方法で まずオリゴヌクレオチドを化学合成し、次に修飾オリゴヌクレオチドを分子体と コンジュゲートしなければならない伝統的で時間のかかるバイオコンジュゲート の合成法とは対照的である。第二に、5’−誘導体化グアノシンを用いることに より、長すぎて化学合成できない転写物の修飾が可能となり、応用範囲を大いに 広くする。第三に、新生オリゴヌクレオチド中に修飾ヌクレオチド三リン酸を酵 素的に導入するために当業界で現在知られている方法を用いると、オリゴヌクレ オチド中にいくつかの置換されたヌクレオチドをもつ修飾ヌクレオチドを合成す ることになる。これとは対照的に、本発明の方法ではオリゴヌクレオチドの5’ −末端のみで置換されたバイオコンジュゲートの制御された酵素合成が可能にな る。 本発明の一態様は、特定のターゲット分子に対する高親和性バイオコンジュゲ ートを作製する方法を含む。好ましい方法では、核酸リガンドをSELEX法で 同定する。SELEX法は米国特許出願第07/536,428号、1990年 6月11日出願、表題“指数的濃縮による系統的リガンド進化”、現在は放棄; 米国特許出願第07/714,131号、1991年6月10日出願、表題“核 酸リガンド”、現在は米国特許第5,475,096号;米国特許出願第07/ 931,473号、1992年8月17日出願、表題“核酸リガンドの同定法” 、現在は米国特許第5,270,163号(国際特許出願公開第WO91/19 813号も参照)に記載されている。これらの出願をそれぞれ本明細書に援用し 、これを本明細書においてはこれらをまとめてSELEX特許出願と呼ぶ。 SELEX法は、その最も基本的な形態では下記の一連の工程により定義され る: 1)候補となる、種々の配列の核酸の混合物を調製する。候補混合物は一般に 固定配列の領域(すなわち候補混合物の各員子が同じ位置に同じ配列を含む)お よびランダム配列の領域を含む。固定配列領域は以下のように選択される:(a ) 後記の増幅工程を補助する、(b)ターゲットに結合することが分かっている配 列を模倣する、または(c)候補混合物中の特定の構造様式の核酸の濃度を高め る。ランダム配列は完全にランダムであってもよく(すなわちある塩基をいずれ かの位置に見出す確率は1/4である)、または部分的にランダムであってもよ い(たとえばある塩基をいずれかの位置に見出す確率は、0〜100%のいずれ の水準でも選択できる)。 2)ターゲットと候補混合物の員子の結合に好ましい条件下で、候補混合物を 選択されたターゲットと接触させる。これらの状況は、ターゲットと候補混合物 の核酸との相互作用により、ターゲットとそのターゲットに対し最も強い親和性 をもつ核酸の間に核酸−ターゲット対を形成するものと考えることができる。 3)ターゲットに対し最も高い親和性をもつ核酸を、ターゲットに対しより低 い親和性をもつ核酸から分配する。候補混合物中には最高親和性の核酸に相当す る配列はきわめて少数存在するにすぎない(おそらくわずか1分子の核酸)ので 、一般に分配に際し有意量の核酸(約5〜50%)が保持されるように分配基準 を設定することが望ましい。 4)分配に際し、ターゲットに対し比較的高い親和性をもつとして選択された 核酸を、次いで増幅させて、ターゲットに対し比較的高い親和性をもつ核酸が濃 縮された新たな候補混合物を形成する。 5)上記の分配工程および増幅工程を反復することにより、新た形成された候 補混合物が含有するユニーク配列はいっそう少なくなり、ターゲットに対する核 酸の平均親和度は一般に高まるであろう。極端にはSELEX法は、最初の候補 混合物からターゲット分子に対し最も高い親和性をもつ核酸に相当する1または 少数の核酸を含有する候補混合物を与えるであろう。 SELEX特許出願はこの方法を詳しく記載し説明してある。これには以下の ものが含まれる:この方法に使用できるターゲット;候補混合物中に核酸を分配 する方法;及び分配した核酸を増幅して濃縮された候補混合物を作製する。SE LEX特許出願はまた、タンパク質が核酸結合タンパク質であるタンパク質ター ゲットとそうでないタンパク質ターゲットの両方のタンパク質ターゲットを含む 多数のターゲット種に対して得られたリガンド溶液についても記載する。SEL EX特許出願は多数の治療及び診断用途を含む核酸リガンドの多数の使用につい 記載する。 この態様では、SELEX特許出願に記載されたSELEX法によってバイオ コンジュゲートを調製できる。簡単に述べると、ターゲットに対するバイオコン ジュゲートは以下の工程を含むSELEX法によって同定できる: 1)(a)転写すべき配列をもつDNAテンプレートを提供し、そして(b) DNAテンプレートをヌクレオチド三リン酸、置換グアノシン及びRNAポリメ ラーゼと転写に適した条件下で組み合わせる、ことを含む工程によって、候補と なるバイオコンジュゲートの混合物を調製し; 2)バイオコンジュゲート候補混合物をターゲットと接触させ、ここでバイオ コンジュゲート候補混合物と比較してターゲットに対して高い親和性をもつバイ オコンジュゲートは残りのバイオコンジュゲート候補混合物から分配されうるも のであり; 3)高い親和性のバイオコンジュゲートを残りのバイオコンジュゲート候補混 合物から分配し;そして 4)高い親和性のバイオコンジュゲートを増幅して、リガンド−濃縮されたバ イオコンジュゲート混合物を得て、これによってターゲットのバイオコンジュゲ ートを同定する。 5’−置換GAPは、(1)SELEX分配工程で、例えばBIA−SELEX (米国特許出願第08/792,075号、1997年1月31日出願、表題”フローセル SELEX”を参照、これを本明細書に参照として援用する)、プレートSEL EX(Conrad et al.(1996)Methods of Enzymol.267:336)、及びストレプトア ビジンカラム分配で、(2)レポーター置換を用いるSELEXの進行をモニタ ーするのに、及び/又は(3)ターゲットタンパク質と直接参加するのに、例え ばブレンド(blended)SELEX(米国特許第5,683,867号、1997年11月 4日発行、表題”指数的濃縮による系統的リガンド進化:ブレンドSELEX” )で、役に立つ。 この方法を用いて、転写に適合性である実質的にあらゆる分子体で核酸リガン ドの5’−位のみで誘導体化した核酸リガンドを調製し、同定することができる 。 核酸リガンドにカップリングすることのできる分子体は親油性分子、タンパク質 、ペプチド、レポーター分子、レポーター酵素及びステロイドを含むが、これに 限定されない。 本発明の別の態様では、5’−誘導体化グアノシンは、転写物の転写後コンジ ュゲートに使用できる反応性部分を含む。本発明のこの態様は以下の工程によっ て記載される:a)DNAを提供し、b)DNAテンプレートをヌクレオチド三 リン酸、5’−置換グアノシン(該5’−置換基は反応性部分を含む)及びRN Aポリメラーゼと転写に適した条件下で組み合わせ;そしてc)工程b)の生成 物を、該5’−置換基上の反応性部分と反応しうる部分を含む分子体と反応させ る。転写と適合性でない分子体で誘導体にしたオリゴヌクレオチドを得るには転 写後のコンジュゲートが必要である。反応性部分(reactive moieties)の例に は、アミン、ジエン、ジエノフィル、チオール、ビニルスルホン、光親和性標識 及びインターキレーターを含むが、これに限定されない。 いくつかの態様では、分子体は核酸リガンドにいくつかの望ましい性質、例え ばRNAの疎水性を増加して結合、膜分配及び/又は透過性を増強するなどの性 質を提供する。さらに、ビオチン、フルオレセインもしくは診断用放射性核種を 導入するためのペプチジル金属キレートなどのレポーター分子を付けて診断剤と して使用できるバイオコンジュゲートを提供することができる。 実施例1は様々な5’−修飾グアノシン一リン酸の合成を記載する。よく用い られる官能基については、転写前に関心のある部分をGAP分子にコンジュゲー トする方が効率的である。これによって開始剤の大規模な合成、開始剤の転写前 精製が可能となり、また転写後コンジュゲーションを行う必要がなくなる。合成 された修飾グアノシンはスキーム1,2,4及び5に記載されており、これには GAP(5)、GAP−フルオレセイン(11)、GAP−ビオチン(12)、 GAP−Tcキレート(13)、GAP−TEG(10)、GAP−TEG−フ ルオレセイン(14)、GAP−TEG−ビオチン(15)及びGAP−TEG −Tcキレート(16)を含む。ビオチン及びフルオレセインはRNAに極めて 有用な性質を与える非常に普遍的なコンジュゲートである。GAP−TEG類似 体は、これがGAP類似体よりも費用がかからず、親水性でなく、また多分免疫 原性が低いために合成した。GAPをビオチンなどのより疎水性である付加物と コンジュゲートするときは、水性緩衝液中での溶解度を深刻に考慮する。 実施例2は、5’−位のみで修飾されたオリゴヌクレオチドを合成するために 、5’−修飾グアノシンによる転写を用いることの実行可能性を説明する。この 実施例はGAPもGAPコンジュゲートもRNA合成の開始についてGTPと競 合できることを示している。図1に示すように、GAP:GTPの比率を10: 1にすると、転写物の92%がGAPで開始する結果となった。実施例2は全長 生成物の収量は、GAP−ビオチンが転写反応を阻害する結果として減少しない ことも示している。 実施例3は、GAPで開始した転写物の転写後コンジュゲーションを説明する 。転写後コンジュゲーションは、転写に適合性でない分子体で誘導体化したオリ ゴヌクレオチドを得るために必要である。第一級アミン開始剤による転写により 、容易に利用可能なNHSケミストリを用いて広範な様々な官能基でRNAの転 写後コンジュゲーションを行うことが可能になる。この実施例ではGAPで開始 したRNAをビオチンNHSエステルと反応させた。 実施例4は、GAP(5)とGAP−TEG(10)が同程度に取り込み、同 量の全長5’−修飾オリゴヌクレオチド産物が得られたことを示す。 実施例5(図4A)は、GAPコンジュゲート化合物11−16が同程度に取 り込み、GTPと同量の全長産物が得られたことを示す(以下の表を参照)。こ の実施例は、GAP類似体11−16の転写反応物の泳動とGAPなしのコント ロール泳動とを比較したものである。結果を以下の表に示す。図4BはGAP− フルオレセイン(11)及びGAP−TEG−フルオレセイン(14)で開始し た全長転写物がUV光を照射したときに蛍光シグナルをもたらすことを示す。こ の実施例は、グアノシンに結合した実質的にあらゆるリンカーもしくはコンジュ ゲートが、究極的に転写酵素と適合性である限り、RNA分子の5’−末端を酵 素的に誘導体化するのに使用できることを明瞭に示す。 実施例6は、GAP−Tcキレート(13)で開始した転写物の99m Tcに よる標識を記載する。 以下の実施例は本発明を説明し、具体的に示すために記載したものであり、本 発明を限定するものとみなすべきではない。実施例 一般的方法 全ての試薬と溶媒は製造者から受け取った状態で使用した。5'-ジメトキシト リチル-2N-イソブチリルグアノシン(1)はChem Genes Corp.から購入した。5' -アミノ-モディファイア(Modifier)C6−TFAはGlen Researchから購入し た。全ての反応はオーブンで乾燥したガラス容器中、不活性雰囲気で無水条件で 実施した。TLCはBaker Si250F TLCプレート-シリカゲルで行い、スポットは UV光で可視化した。フラッシュクロマトグラフィーはKiloprep Column(KP-Sil ,60A)を用いてBiotage Flash 40の装置で行った。RP-HPLCはWater's Delta Pak 5μ C18 300A,3.9x150mmカラムで行った。バッファーA:100mM TEAA,pH7.0;バ ッファーB:ACN。温度は30℃で流速は0.50mL/分であった。NMRスペクトルは 、CDCl3及び(CD3)2SOを溶媒として用い、TMSを内部標準としてBruker ARX 300分 光計で記録した。電子スプレイマススペクトルは陰イオンモードを用いてFissio ns Quattro II(Beverly MA)で実施した。試料は0.1%TEAを含む1:1 MeOH/H2O(v /v)中で10μL/分でマススペクトルメータに導入した。一般的in vitro転写 T7 RNAポリメラーゼはEnzyco,Denver,Coloradoから購入した。2'-F-CTP 及び-UTPはUSB Biochemicalsから購入した。転写のテンプレートは以下の配列を 有する線状pUCプラスミドからPCRで増幅した104-bpのDNAであった: ここで太字の塩基はT7プロモーター配列を表し、下線の塩基はPCRプライマー 領域を表す。標準の条件でin vitro転写を行い(Krupp and Soll(1987)FEBS 212 :271-275;Milligan and Uhlenbeck(1989)Methods of Enzymology 180:51-62)、 転写物に2'-F ピリミジントリホスフェートを導入してこの方法に修飾を加えた (Lin et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:5229-34)。簡単に述べると、0.5か ら1.0μMのテンプレート濃度、0.4μMのT7 RNAポリメラーゼ濃度で、40mM Tris-HCL,pH8,4%PEG8000,12mMMgCl2,5mM DTT,1mMスペルマジン,0.002%Triton X-100中で転写を行い、2'-F-CTP及び2'-F--UTPは3mMまで加え、ATPとGTPは最終 濃度1mMまで加えた。反応は37℃で16−20時間インキュベートした。 実施例1.5’置換グアノシンモノホスフェートの合成 5'-(O'- ヘキシルアミノ)グアノシンモノホスフェート(GAP)の小規模固相合成 最初に、DNA/RNA合成機を用いて市販の試薬からGAP(5)を合成した 。酢酸保護されたグアノシンCPG(Glen Research)を出発物質として、1回のカ ップリング工程を用いて5'-アミノ-モディファイア(modifier)C6−TFAホ スホルアミダイト(Glen Research)を付加した。生成物を固体支持体から知り だして、NaOHで脱保護し、逆相クロマトグラフィーで精製してGAP(5)を得た 。この実験の成功により、以下に議論するGAP分子の大規模製造が刺激された。5'-(O' ヘキシルアミノ)グアノシンモノホスフェート(5)の大規模液相合成 スキーム1はGAP(5)の大規模液相合成を示す。 スキーム1 2',3'- ジアセチル-5'-ジメトキシトリチル-2N-イソブチリルグアノシン(2) 5'-ジメトキシトリチル-2N-イソブチリルグアノシン(1)(5g,7.63mmol)を ピリジン30mLとジクロロメタン(DCM)15mLに23℃で溶解し、無水酢酸3.6mL(3 8mmol)を加えた。反応はTLC(9.5:9.5:1 ヘキサン/EtOAc/MeOH)で確認し て5時間で完了した。次に溶液をEtOAc(500mL)中にとり、飽和NaHCO3(3x30mL)で 洗浄した。NaHCO3分画をEtOAcで逆抽出した。EtOAc分画を集めてMgSO4で乾燥し 、減圧で乾燥沈殿物となるまで濃縮した。これによって1H NMR(300MHz,(CD3)2SO )で測定して純粋な生成物2を5.5g(97.6%)得た。2',3'- ジアセチル-2N-イソブチリルグアノシン(3) 2',3'-ジアセチル-5'-ジメトキシトリチル-2N-イソブチリルグアノシン(2)(5 .5g,7.44mmol)をDCM 10mL中にとり、Biotage Flash 40シリカゲルカラムに充填 した。トリクロロ酢酸(TCA)の3%溶液とDCM中の0.5%MeOHを用いてカラム上 でジメトキシトリチルを除去した。TLC(19:1 DCM/MeOH)で目視に より確認してジメトキシトリチルがカラムから溶出した後、カラムをDCM中の0.5 %MeOH 10容量で洗浄した。次に生成物をDCM中の1%-10% MeOHのグラジエント で溶出した。適当な分画を集めて減圧で固体になるまで濃縮した。これにより1H NMR(300MHz,(CD3)2SO)で測定して純粋な生成物3を2.96g(91%)得た。5'-(O'- ヘキシルアミノ)グアノシンモノホスフェート(GAP)(5) 乾燥ACN(20mL)中の3(2.96g,6.76mmol)の攪拌溶液に、5'-アミノ-モディ ファイア(Modifier)C6−TFA(3.64g,1.3当量;Glen Research)と無水AC N(374mL,26当量;Glen Research)中の0.47Mテトラゾールを加えた。反応はT LCで確認して4時間で終了した。褐色が持続するようになるまで、0.1M酸化溶 液(I2/THF/ピリジン)(100mL;Glen Research)で滴定した。溶液を約1/5の 容積になるまで減圧で濃縮し、EtOAc(500mL)中にとり、5%NaHSO3(2x300mL) と飽和NaHCO3(2x300mL)で洗浄した。水性洗浄物をEtOAc(500mL)に逆抽出し 、EtOAc分画を集めてMgSO4で乾燥し、減圧で濃縮乾燥した。これによって粗製の 4を5.57g(109.8%)得た。この粗製物質を1:1 NH4OH/CH3NH2(125当量:125当量) で30分、65℃で処理した。減圧でNH4OHとCH3NH2を除去して残った物質をRP- HPLCで精製することによって固体として5を2.5g(80%)得た。生成物を1H NMR(3 00MHz,(CD3)2SO)と、C16H26N6O8P(M+1):462.3としたときのMS計算値で確認し た。5'-(O'- テトラエチレングリコール)グアノシンモノホスフェート(GAP-TEG)(1 0)の合成 スキーム2に示すようにして、化合物3とTEG-フタルイミドホスホルアミダイト (8)とを反応させて5'-(O'-テトラエチレングリコール)グアノシンモノホスフ ェート(GAP-TEG)(10)を合成した。TEG-フタルイミドホスホルアミダイト の合成は以下のスキーム3に示してある。 スキーム2 5'-(O'- テトラエチレングリコール)グアノシンモノホスフェート(GAP-TEG)(1 0) 乾燥ACN(20mL)中の3(0.941g,2.15mmol)の攪拌溶液に、無水ACN(120mL,56.4mm ol;Glen Research)中の0.47Mテトラゾールと粗製8(1.89g)を加えた。反応は TLCで確認して4時間で終了した。褐色が持続するようになるまで、0.1M酸化 溶液(32mL;Glen Research)で滴定した。溶液を約1/5の容積になるまで減圧 で濃縮し、EtOAc(500mL)中にとり、5%NaHSO3(2x300mL)と飽和NaHCO3(2x30 0mL)で洗浄した。水性洗浄物をEtOAc(500mL)に逆抽出した。有機分画を集め てMgSO4で乾燥し、減圧で濃縮乾燥した。これによって粗製の化合物9を2.2g(11 8.8%)得た。この粗製物質を1:1 NH4OH/CH3NH2(125当量:125当量)で30分、6 5℃で処理した。減圧でNH4OHとCH3NH2を除去して残った物質をRP-HPLCで精製す ることによって、1 H NMR(300MHz,(CD3)2SO)と、C18H29N6O11P(M+1):537.1としたときのMS計算値 で確認して、純粋生成物の化合物10を0.900g(77.95%)得た。 テトラエチレングリコールフタルイミドホスホルアミダイト(8)はスキーム 3に示すようにして合成した。 スキーム3 テトラエチレングリコールモノトシレート(6) テトラエチレングリコール(100mL,575mmol)をピリジン250mLに溶解し、0℃ に冷却して、p-トルエンスルホニルクロリド(11.0g,0.1当量,575.mmol)で処 理した。溶液ができたら、反応物を一晩冷蔵庫に保存した。TLC(19:1 EtOAc /MeOH)で確認したところ反応は完了していた。反応混合物を減圧濃縮した。残 渣をEtOAc 600mLに溶解してH2O(3x2O0mL)で抽出した。H2O分画をEtOAc 400mLで 逆抽出して集めたEtOAc分画を飽和Na2HPO4水溶液で抽出した。有機相をMgSO4で 乾燥して減圧濃縮することにより、テトラエチレングリコールモノトシレート( 6)を無色オイルとして18.0g(90.2%)得た。 テトラエチレングリコールモノフタルイミド(7) 無水DMF(225mL)中の粗製6(18.0g,51.7mmol)の攪拌溶液に、フタルイミド8 .0g(1.05当量,54.3mmol)と1,8-ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデク-7-エン8.12m L(1.05当量,54.3mmol)を加えた。溶液を70℃で18時間加熱して減圧 濃縮した。TLC(19:1 EtOAc/MeOH)で確認したところ反応は完了していた。 粗製黄色オイルをBiotage Flash 40シリカゲルカラムを用いるフラッシュクロマ トグラフィーで、25% EtOAc/ヘキサン、50% EtOAc/ヘキサン、75% EtOAc/ヘ キサン、EtOAc、及び10%MeOHで溶出して精製し、化合物7をオイルとして13.7g (82%)得た。放置すると7はワックス状の白色固体となった。 1- フタルイミド-テトラエチレングリコール(ジイソプロピルアミノ)-β-シアノ エトキシホスフィン(8) 7のアリコート1g(3.1mmol)をTHF(20mL)にとり、減圧乾燥してオイル状とし、 次にこれをアルゴン下にTHF(20mL)に再溶解した。この攪拌溶液に、N,N-ジイ ソプロピルエチルアミン(702μL,4.0mmol)と2-シアノエチルジイソプロピル クロロホスホルアミダイト(762μL,3.41mmol;Aldrich)を加えた。TLCで確 認したところ反応は30分で完了した。溶液を減圧乾燥してオイル状にし、これ をEtOAc(300mL)にとり、H2O(2x100mL)で洗浄し、有機相をMgSO4で乾燥した。こ れによって粗製化合物8を1.89g(116.5%)得て、さらにこれを精製することなく 使用した。NHS エステル活性化分子を化合物5(スキーム4)及び10(スキーム5)の5'- アミノ末端とコンジュゲートするための一般的方法 DMSO(219.5μL,20mg/mL)とTEA(11.5μL,5%)中の5又は8(10mmol)の溶液に 、所望のNHSエステル分子(20mmol)を加えた。RP-HPLCで確認したところ反応は 1時間で完了した。5’修飾したグアノシンモノホスフェートの精製は逆相クロ マトグラフィーで行った。粗製反応混合物1gをWaters Delta Pak C-18カラム(50 x300mm)に充填して100mM炭酸トリエチルアミン(pH8)中のアセトニトリルの2%か ら50%グラジエント(108分)で12mL/分の速度で流して分離を行った。分析 用の分離はWaters Delta Pak C-18カラム(4.9x150mm)で、100mM酢酸トリエチル アミン(pH7)中のアセトニトリルの2%から50%グラジエント(54分)で1mL/ 分の速度で流して行った。RP-HPLC により精製して化合物11−16を得た(18mmol,90%)(スキーム3及び4) 。 スキーム4 スキーム5 ビオチンアミドカプロエート5'-(O'-ヘキシルアミノ)−グアノシンモノホスフェ ート(14) DMSO(21.85mL,20mg/mL)及びTEA(1.15mL,5%)中の5(1mmol)の溶液に、ビオ チンアミドカプロエート N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(909mg,2当量 )を加えた。RP-HPLCで確認したところ反応は1時間で完了した。RP-HPLCで精製 して純粋生成物化合物14を719.8mg(90%)得た。 実施例2.開始競合アッセイ GAP/ γ-32P-GTP開始競合アッセイ 転写反応の開始についてGTPと競合するGAP(5)の程度を測定するために γ-32P-GTPを用いて一連の転写反応を実施した。上述した標準条件下で反応を行 った。反応は、0から10mMの最終濃度でGAP分子を加え、一方GTP(1mM)とγ標識 した32P-GTPは固定濃度にした。32Pはγ位にあるので、転写を開始するGTP分子 のみが転写物中に放射性標識を取り込むことになる。反応生成物を変性ゲル電気 泳動で分析した。全長転写物のバンドをゲルから切り出し、ゲルスライスからR NAを溶出して260nmにおけるUV吸収により定量した。以下の式を用いて取り 込み率を計算した: (1−CPM[GAP」/CPM[init.])x100 式中、CPM[GAP]は、あるGAP濃度における全長バンドのCPMを表し、CPM[init.]は 、0mMのGAP濃度における全長バンドのCPMを表す。結果を図1に示すが、これに よるとGAPの濃度が増加するとこれに対応してγ-32P-GTPの取り込みが減少する ことを示す(図1)。各反応は同じ収率の全長転写物をもたらした。量からする と、GAPはGTPと同程度に開始ヌクレオシドとして用いられたことを示す。GAP-TEG- ビオチン/γ-32P-GTP競合アッセイ 固定量のGTP(1mM)とγ-32P-GTPを用い、1GTPに対して0,0.1,0.5,1,2,4及び10 の比率を与えるようにGAP-TEG-ビオチン(15)の濃度を増加させて第二の一連 の反応を行った。反応生成物を変性ゲル電気泳動で分析したところ、GAP-TEG-ビ オチン濃度の増加と対応してγ-32P-GTPの取り込みが減少した(図2)。GAP-TE G-ビオチンによる競合は、GTPに対するGAP-TEG-ビオチンの比率と一致している 。GAP- ビオチン阻害アッセイ 上述した標準条件下で転写反応を実施した。ただし、α-32P-ATPを転写産物を 内部標識するために加えた。GAP-ビオチン(12)に対するGTPの比率を再度0 から10倍過剰にして用いて同じ一連の転写反応を行った。各反応におけるGAP の量が増加しても全長生成物の量は同じであり、これはGAP-ビオチンがRNA転 写を阻害しないことを示している。ストレプトアビジンシフトアッセイ 0から10倍比率のGAP-ビオチンについての転写反応生成物を37.5mM Tris, pH7.5中の10μMストレプトアビジンと合わせた。反応生成物を変性ゲルで分析し 、ホスホイメジャー(phosphoimager)で定量した。ストレプトアビジンシフト の量は取り込まれたに違いないGAP-ビオチンの理論量と相関していた(図3)。GAP- ビオチン取り込み 5’第一級アミンの存在を、NHS-ビオチンがGAP転写物とコンジュゲートする 能力によって評価した。漸次増加する濃度のGAPの存在下に転写物を合成した。 得られる転写物を100倍過剰のNHS−ビオチンとコンジュゲートした。コン ジュゲーション転写物を5倍過剰のストレプトアビジンと混合した後、8%尿素 ポリアクリルアミドゲルに適用した。これらのデータはGAPが存在しないときに はビオチンの取り込みはなく、転写反応に加えたGAPの増加と共にゲルシフトし た転写物の率が増加することを示す。ゲルシフトアッセイは約70%で最大に達 し、これはコンジュゲートした転写物のγ-32P-ATP-GTPアッセイ又はHPLCと比較 して、最高のGAP:GTP比率におけるGAP取り込みを低く評価した。 GAPに代えてGAP-TEGで同じ実験を繰り返すと、同じ結果になるであろう。 実施例3.GAPRNA転写物の転写後ビオチン化 GAPで開始したRNAを15:1のGAP対GTP濃度で転写した。精製していない 全長GAP RNA(TEA塩)の末端にある5'アミンを無水DMSO/10%TEA中の長鎖ビオチ ンNHSエステルとコンジュゲートした。ビオチンNHSエステルをビオチン5当量で 1時間にわたって加え、次いでさらに5当量を1時間にわたって加えた。ビオチ ン化した転写物をエタノール沈殿により精製して遊離ビオチンを除去した。転写 後コンジュゲーションを確認するために転写反応生成物を大過剰のストレプトア ビジン(37.5mM Tris,pH7.5中の10μMストレプトアビジン)と合わせた。生成物 を変性ゲルで分析するとストレプトアビジンシフトを示した。ビオチンの50% のストレプトアビジンの存在下では、コンジュゲートしたRNA物質はゆっくり と移動するストレプトアビジン複合体にシフトした。 実施例4.GAP(5)及びGAP-TEG(10)による転写 上述した標準条件下で、GTP濃度に対して10から1の比率で加えたGAP(5) 又はGAP-TEG(10)による転写反応を行った。反応生成物を変性ゲルで分析し たところ、GAP及びGAP-TEGによる転写は同じ収量の全長転写物をもたらすことを 示した。 実施例5.GAP及びGAP-TEGコンジュゲートによる転写 本実施例はGAPコンジュゲート(11−13)及びGAP-TEGコンジュゲート(1 4−16)の取り込みを記載する。転写反応は、104-bpの転写テンプレートにα -32P-ATPを追加して、上述した標準条件下で転写反応を平行して行った。GTP濃 度に対して10から1倍の比率でGAPコンジュゲートを加えた。標準RNA転写 反応に修飾グアノシンを加えない対照反応を行った。反応生成物を7M尿素を含 む8%ポリアクリルアミドゲルで分析した。ゲルをオートラジオグラフィで可視 化した(図4A)。全長転写物に対応するバンドをゲルから切り出し、溶出して UV分光計で定量した。分析結果は、全ての修飾グアノシン化合物が対照と同じ 収量の全長転写物を生じたことを示した。全長GAP-フルオレセイン及びGAP-TEG- フルオレセイン転写物中のフルオレセインの存在を検出するためにレーン8及び 9を透視した。全ての場合において、GTP濃度に対して10倍過剰の修飾グアノ シンは転写収率の減少を示さなかった。 実施例6.GAP-Tcキレート(13)転写物の標識 GAP-Tcキレート(13)で開始した転写物1nmoleに、100mM NaPO4バッファー, pH8.5を200μL,シュウ酸ナトリウム23mg/mL及び、12時間以内使用の99-Moカ ラムから溶出した99mTcパーテクネテート50μL(5.0mCi)を加えた。5mg/mL SnCl2 を10μ加えて標識反応を開始した。反応混合物を90℃で15分インキュベー トした。30,000MWのカットオフメンブラン(Centrex,Schleicher & Scheull) を通すスピン透析によって未反応99m Tcから反応混合物を分離した。この標識プ ロトコルによって添加した99m Tcの30−50%が2-4mCi/nmoleRNAの特異活性 で取り込まれた。99m Tcで標識した転写物をEDTAの不在下に8%ポリアクリルア ミド変性ゲル電気泳動で分析した。定量の結果は、 スピン透析後に97%以上の99m Tcが全長転写物と関連していたことを示してい る。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.バイオコンジュゲートを合成する方法であって、以下の工程: a)転写のためのDNAテンプレートを提供し、ここで転写されるべき最初の ヌクレオチドはシトシンであり;そして b)DNAテンプレートをヌクレオチド三リン酸、リボース環の5’−位にお いて分子体で誘導体化されたグアノシン及びRNAポリメラーゼと転写に適した 条件下で組み合わせる、 を含む上記方法。 2.5’−標識グアノシンからなる群より選択される分子体が巨大分子、ポリ マー、樹脂、診断用検出分子、レポーター酵素、光親和性標識、ステロイド、薬 物動態調節因子、転写後コンジュゲーションのための反応性部分、及び結合性金 属のためのキレートからなる群より選択される請求項1記載の方法。 3.ポリマーがPEG及びポリスチレンからなる群より選択される請求項2記 載の方法。 4.診断用検出分子がビオチン、フルオレセイン及びクマリンからなる群より 選択される請求項2記載の方法。 5.薬物動態調節因子がリポソームである請求項2記載の方法。 6.反応性部分がヘキシルアミン、ジエン又はジエノフィルからなる群より選 択される請求項2記載の方法。 7.リボース環の5’−位において誘導体化されたグアノシンがGAP、GA P−フルオレセイン、GAP−ビオチン、GAP−Tcキレート、GAP−TE G、GAP−TEG−フルオレセイン、GAP−TEG−ビオチン及びGAP− TEG−Tcキレートからなる群より選択される請求項1記載の方法。 8.RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼである請求項1記載の方法 。 9.ヌクレオチド三リン酸がリボース環の2’−位で修飾されている請求項1 記載の方法。 10.ヌクレオチド三リン酸が塩基の5−位で修飾されている請求項1記載の方 法。 11.分子体が治療剤、診断剤としての用途、又は放射性治療用の用途から選択 される請求項1記載の方法。 12.分子体が薬物動態挙動の改良、疎水性の増加、結合の増強、膜分配の増強 及び透過性の増強を行うために選択される請求項1記載の方法。 13.請求項1記載の方法によって形成される生成物。 14.ターゲットに対するバイオコンジュゲートを同定する方法であって、以下 の工程: (a)(i)DNAテンプレートを提供し、そして (ii)DNAテンプレートをヌクレオチド三リン酸、リボース環の5 ’−位において分子体で誘導体化されたグアノシン及びRNAポリメラーゼと転 写に適した条件下で組み合わせる、 ことを含む工程によって、候補となるバイオコンジュゲートの混合物を調製し; (b)バイオコンジュゲート候補混合物をターゲットと接触させ、ここでター ゲットに対して高い親和性をもつバイオコンジュゲートは残りのバイオコンジュ ゲート候補混合物から分配されうるものであり; (c)高い親和性のバイオコンジュゲートを残りのバイオコンジュゲート候補 混合物から分配し;そして (d)高い親和性のバイオコンジュゲートを増幅して、リガンド−濃縮された バイオコンジュゲート混合物を得て、これによってターゲットに対するバイオコ ンジュゲートを同定する、 を含む上記方法。 15.さらに(e)工程(b)から(d)を繰り返す、ことを含む請求項14記 載の方法。 16.バイオコンジュゲートが核酸リガンドの5’−末端で分子体により誘導体 化された核酸リガンドを含む請求項14記載の方法。 17.分子体が巨大分子、ポリマー、樹脂、診断用検出分子、レポーター酵素、 光親和性標識、ステロイド、薬物動態調節因子、転写後コンジュゲーションのた めの反応性部分、及び結合性金属のためのキレートからなる群より選択される請 求項14記載の方法。 18.ポリマーがPEG及びポリスチレンからなる群より選択される請求項17 記載の方法。 19.診断用検出分子がビオチン、フルオレセイン及びクマリンからなる群より 選択される請求項17記載の方法。 20.薬物動態調節因子がリポソームである請求項17記載の方法。 21.反応性部分がヘキシルアミン、ジエン又はジエノフィルからなる群より選 択される請求項17記載の方法。 22.リボース環の5’−位において誘導体化されたグアノシンがGAP、GA P−フルオレセイン、GAP−ビオチン、GAP−Tcキレート、GAP−TE G、GAP−TEG−フルオレセイン、GAP−TEG−ビオチン及びGAP− TEG−Tcキレートからなる群より選択される請求項14記載の方法。 23.RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼである請求項14記載の方 法。 24.ヌクレオチド三リン酸がリボース環の2’−位で修飾されている請求項1 4記載の方法。 25.ヌクレオチド三リン酸が塩基の5−位で修飾されている請求項14記載の 方法。 26.RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼである請求項14記載の方 法。 27.DNAテンプレートがランダム領域及び固定領域を含む請求項14記載の 方法。 28.ターゲットが、タンパク質、ペプチド、組織、炭水化物、多糖類、糖タン パク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、補因子、阻害物質、薬物、色素、栄養 素及び増殖因子からなる群より選択される請求項14記載の方法。 29.組織が結合組織、上皮、筋肉組織、神経組織、器官、腫瘍、リンパ節、動 脈及び細胞からなる群より選択される請求項28記載の方法。 30.分子体が治療剤、診断剤としての用途、又は放射性治療用の用途から選択 される請求項14記載の方法。 31.分子体が薬物動態挙動の改良、疎水性の増加、結合の増強、膜分配の増強 及び透過性の増強を行うために選択される請求項14記載の方法。 32.請求項14記載の方法によって形成される生成物。 33.バイオコンジュゲートを合成する方法であって、以下の工程: (a)DNAテンプレートを提供し; (b)DNAテンプレートをヌクレオチド三リン酸、5’−置換グアノシン( 該5’−置換基は反応性部分を含む)及びRNAポリメラーゼと転写に適した条 件下で組み合わせ;そして (c)工程(b)の生成物を、該5’−置換基上の反応性部分と反応しうる部 分を含む分子体と反応させる、 を含む上記方法。 34.反応性部分がアミン、ジエン、ジエノフィル、チオール、ビニルスルホン 、光親和性標識及びインターキレーターからなる群より選択される請求項33記 載の方法。 35.RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼである請求項33記載の方 法。 36.分子体が治療剤、診断剤としての用途、又は放射性治療用の用途から選択 される請求項33記載の方法。 37.分子体が薬物動態挙動の改良、疎水性の増加、結合の増強、膜分配の増強 及び透過性の増強を行うために選択される請求項33記載の方法。 38.請求項33記載の方法によって形成される生成物。
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