JP2001507400A - 金属パイプのコーティングに適した重鉱物充填剤を高含量で有するポリプロピレン組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 (A) ３より大きいか、又は３と等しい比重量を有する少なくとも１つの重鉱物充填剤60〜90重量％、(B)充填剤相溶化剤0.１〜４重量％、及び(C)ゴムを含むヘテロ相ポリオレフィン組成物10〜40重量％からなるポリオレフィン組成物。この組成物は、0.5〜10g/10分の範囲のMIL、100より大きく800％までの破断点伸び、及び100〜3000未満のMPaの範囲の曲げ弾性率を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 金属パイプのコーティングに適した重鉱物 充填剤を高含量で有するポリプロピレン組成物 本発明は、押出被覆方法による金属パイプのコーティングに特に適している、 重鉱物充填剤を高含量で有するポリオレフィン組成物に関する。 ポリオレフィン、特にプロピレンポリマーは、液体及び気体の流体用のパイプ ラインに用いられる金属パイプの外表面をコートするのに申し分なく使用できる ことが知られている。 実際、プロピレンポリマーは、高度な耐蝕性及び最適な機械特性を有するコー ティングを得ることを可能とする。 しかしながら、このようにしてコーティングしたパイプが海底パイプラインに 用いられる場合には、パイプラインが浮かないようにするために、重質の材料、 特にコンクリートの付加的な外層が、しばしば必要とされる。 例えば、高度な比重量を有し、任意に弾性ポリマーを含むポリオレフィン組成 物が、ヨーロッパ特許出願EP-A-673966号に記載されている。この特許出願に記 載されているポリオレフィン組成物は、重量、耐蝕性及び高度な機械的特性の良 好なバランスを示し、破壊されて、時にはパイプに使用しにくいコンクリートの ような他の重質材料のさらなる付加層を要しないので、コーティングに適してい る。 既に公知の材料と比較して高度な重量と耐蝕性を有する一方で、より良い機械 的特性を与える材料を見出すことが、現在求められている。特に、高度な破断点 伸び、良好な弾性及び衝撃強さを有する材料が、求められている。 上記の必要性に対応して、出願人は、熱可塑性特性及び弾性特性を有し、多く の量の重鉱物充填剤を含み、金属パイプの外表面に使用しやすく、単一層又は多 層に使用でき、上記のバランスの特性を有するポリオレフィン組成物を完成した 。 多層コーティングは、発泡プラスチックのような様々な特性を有するプラスチ ック材の層からなることができる。 必要な結果を得るためには、組成物は、それらが用いられるパイプに組成物を 付着させるために、限られた最大量の弾性コポリマーを含まなければならず、他 方、弾性コポリマーの量があまりにも低い場合には、所望のバランスの機械的特 性が得られないことが、認められている。 したがって、本発明の対象は、 (A) ３より大きいか、又は３と等しい比重量を有する少なくとも１つの重鉱物充 填剤、例えばBaSO₄又はケイ酸ジルコニウムの60〜90重量％、好ましくは65〜90 重量％、さらに好ましくは75〜85重量％、 (B) ヘテロ相ポリオレフィン組成物（熱可塑性及び弾性特性を有する）10〜40重 量％、好ましくは10〜35重量％、さらに好ましくは15〜25重量％、及び (C) 成分(A)＋(B)の重量に対して0.1〜4重量％、好ましく は0.2〜2重量％の範囲の量の充填剤用の相溶化剤 からなり、組成物(B)が、（重量％）： 1)プロピレンホモポリマー画分（画分は、80％より多くが室温でキシレンに不溶 性である）か、又はエチレン及び／又はC₄-C₁₀α-オレフィンとのプロピレンコ ポリマー（80％より多いプロピレンを含み、80％より多くが室温でキシレンに不 溶性である）（画分１°）30〜60％ 2)プロピレン及び／又はC₄-C₁₀α-オレフィン、及び任意に少量のジエンとのエ チレンコポリマー（コポリマーは、エチレン15〜70％を含み、室温でキシレン可 溶性である）画分（画分２°）40〜70％、及び 3)画分（１°）及び（２°）の合計に対する、エチレンを含有し、室温でキシレ ン不溶性のコポリマー画分（画分３°）０〜30％ からなるポリオレフィン組成物である。 組成物は、0.5〜10g/分、好ましくは0.7〜6g/10分の範囲のフローインデック ス(ASTM D 1238、条件L、MIL)、100％以上から800％、好ましくは120〜550％の 破断点伸び(ASTM D 638)及び100から3000未満のMPa、好ましくは100〜2700MPaの 曲げ弾性率(ASTM D 790)を有する。 本発明のポリマーの可溶性及び不溶性は、室温、つまり約25℃でキシレンに可 溶性又は不溶性の画分として定義する（注１参照）。 上記組成物は、溶融状態で十分高度な粘性を有するために、 当該分野で公知の押出し技術を用いて金属パイプの外部表面に簡単に用いること ができ、それ故に、溶融破壊せずに伝統的なコーティング方法のあいだに付され る張力を耐えることができる。 パイプ表面への付着を最適にするために、本発明の組成物の使用前に、当該分 野で一般に用いられるタイプのホットメルト組成物（例えば、無水マレイン酸で グラフトしたポリプロピレンベースの組成物）の層で表面をコーティングするこ とが好ましい。 ヘテロ相組成物(B)は、90〜99重量％の範囲で、画分１°のコポリマーにプロ ピレン含量を有することが好ましい。画分１°のキシレン不溶性のポリマー画分 は、ホモポリマーの場合に85〜99％、コポリマーの場合に85〜95％の範囲である ことが、より好ましい。 組成物(B)に存在する上記のC₄-C₁₀α-オレフィンの例は、1-ブテン、1-ペンテ ン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンである。好ましいコモノ マーは、1-ブテンである。 組成物(B)中のジエンは、存在する場合、画分２°の全重量に対して１〜10重 量％が好ましく、2.5〜７重量％がさらに好ましい。ジエンの例は、ブタジエン 、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン及び5-エチリデン-2-ノルボルネンであ る。 画分（３°）は、存在する場合、画分（１°）及び（２°）の合計に対して１ 重量％を越えることが好ましく、１〜25重量％の範囲であることがさらに好まし い。好ましくは、画分（３ °）のエチレン含量は、画分（３°）の全重量に対して少なくとも75重量％、さ らに好ましくは80重量％である。画分（３°）のコポリマーのコモノマーは、画 分（２°）のコポリマーのコモノマーと同一であることが好ましい。画分（３° ）に含まれるコポリマーの例は、本質的に線状で半結晶性のプロピレンとのエチ レンコポリマーであり、その詳細な例は、線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)で ある。 上記のヘテロ相組成物は、画分（１°）、（２°）、及び任意に（３°）を溶 融状態、つまり、それらの軟化点又は融点より高い温度で混合して、又はより好 ましくは、高度に立体特異的なチーグラー-ナッタ触媒の存在下における１以上 の段階での逐次重合によって製造できる。特に、用いられる触媒系は、(a)塩化 マグネシウムに共に担持される、チタン化合物及び電子供与化合物を含む固体の 触媒成分、及び(b)Al-トリアルキル化合物及び電子供与化合物からなる。 ヘテロ相組成物の生産のための上記の逐次重合の方法は、少なくとも二段階か らなり、最初の段階でプロピレンを重合して画分（１°）を形成し、次の段階で 、プロピレン及び／又はC₄-C₁₀α-オレフィン、及び任意にジエンとのエチレン の混合物を重合して画分（２°）、及び任意に画分（３°）を形成する。重合方 法は、液相、気相又は液／気相で行なわれる。重合の様々な段階での反応温度は 、等しいか、又は異なっていてもよく、画分（１°）の生産には40〜90℃、好ま しくは50〜80℃、画分（２°）及び任意に画分（３°）の生産には40〜60℃が一 般的である。 逐次重合方法の例は、ヨーロッパ特許出願EP-A-472946号及びEP-A-400333号に 記載されている。 一例として、ヘテロ相組成物は、0.1〜20g/10分、好ましくは0.2〜15g/10分の 範囲のMIL値を有する。このメルトインデックス値を有するヘテロ相組成物は、 重合方法のあいだに直接得ることができ、代替案として、ヘテロ相組成物は、過 酸化物のような適切なビスブレーキング剤の存在下で行なわれる化学的なビスブ レーキング処理に付すことができる。化学的なビスブレーキング処理は、周知の 方法にしたがって行なわれる。 上記の組成物のうち、本発明の組成物の製造に特に適しているのは、 1)画分（１°）（画分１）30〜50％、 2)コポリマーにおけるエチレン量が40％より低く、20〜38％が好ましい画分（２ °）（画分２）50〜70％、及び 3)画分（３°）（画分３）０〜20％ （重量％）からなるポリオレフィン組成物(B')である。 組成物(B')において、全組成物に対する画分（２）及び（３）の合計の重量％ は、50〜90％の範囲であり、65〜80％が好ましく、重量比（３）／（２）は0.4 より低く、0.08〜0.3が好ましい。 一例として、ヘテロ相組成物(B')のエチレンの全量は、15〜35重量％である。 本発明で使用できる上記組成物(B)の他の例は、 I)画分（１°）（画分１）40〜60％、 II）コポリマーにおけるエチレン量が40〜70％の範囲である画分（２°）（画分 ２）40〜60％、及び III)画分（３°）（画分３）０〜25％ （重量％）からなるポリオレフィン組成物(B'')である。 一例として、組成物(B'')において重合したエチレンの全含量は20〜60重量％ である。 組成物(B'')の様々な画分の分子量（135℃のテトラヒドロナフタレンでの固有 粘度の測定で決定）は、成分の性質の機能及び組成物の全メルトインデックスが 異なる。 特に、固有粘度は、以下の範囲： -画分(I)について0.5〜3dl/g、及び -画分(II)及び画分(III)について２〜８dl/g からなることが好ましい。 ヘテロ相ポリオレフィン組成物(B')及び(B'')の例は、上記するヨーロッパ特 許出願EP-A-0472946号及びEP-A-400333号にそれぞれ記載されている。 充填剤用の上記の相溶化剤は、例えば無機のステアリン酸塩やステアルアミド のようなステアリン酸誘導体、例えばCaならびにZnステアリン酸塩から選択する ことが好ましい。 さらに、ステアリン酸誘導体と異なる充填剤の相溶化剤の例は、無水マレイン 酸又はカルボキシル基を含む他のグラフト可能な化合物とグラフトしたポリプロ ピレン、及びビニル置換されたアルコキシシランと過酸化物ベースの系である。 本発明の組成物は、充填剤とのポリオレフィンポリマー混合物の製造について 当該分野で公知の技術を用いて製造できる。例えば、180〜260℃の範囲の温度で 、バンバリー、バス(Buss)又はブラベンダーミキサーを用いることができる。 以下の実施例は、例示のために挙げたものであり、本発明を限定するものでは ない。 実施例及びその記載に示す特性に関するデータを得るために用いた方法は、以 下に示す。 特性 方法 メルトインデックス(MIL) ASTM-D 1238、条件L キシレン可溶性 （下記の注１参照） 曲げ弾性率(FM) ASTM D 412 23℃での引張り強さ ASTM D 638 23℃での降伏応力 ASTM D 638 23℃での破断点伸び ASTM D 638 23℃での降伏点伸び ASTM D 638 密度 B.S.4370 ノッチ付衝撃強さ（アイゾッド） ASTM D 256 注 キシレン可溶性割合の測定：１重量％濃度でサンプルのキシレン溶液を製造し 、135℃で１時間キシレン中での撹拌下にサンプルを置く。撹拌を続け、内容物 を95℃に冷却した後、溶液 を25℃の浴中に注ぎ、撹拌せずに20分、撹拌条件下で10分以上放置する。次いで 、溶液をろ過し、溶解したポリマーを沈殿させるために、アセトンをろ液の一部 に加える。次いで、このようにして得られたポリマーを回収し、洗浄、乾燥し、 キシレン可溶性の割合を測定するために、最後に重量を測定する。実施例及び比較例で用いる成分 以下のヘテロ相組成物(B)(i)〜(iii)は、MgCl₂に担持された高収率で高度に立 体特異的なチーグラー-ナッタ触媒の存在下で逐次重合により得られる。 0.6g/10分のMILを有するヘテロ相組成物(i)は、以下（重量部及び重量％） 1)エチレン4.3％との結晶性プロピレンランダムコポリマー33部（コポリマーは 、25℃でのキシレン可溶性画分約９％を含み、1.5dl/gの固有粘度［η］を有す る）、 2)エチレン30％を含み、25℃のキシレンに完全に可溶性で、3.2dl/gの固有粘度 ［η］を有するエチレン／プロピレン非晶質コポリマー61部、及び 3)25℃でのキシレンに完全に不溶性の本質的に線状のエチレン／プロピレンコポ リマー６部 からなる。 0.8g/10分のMILを有する弾性組成物(ii)は、以下（重量部及び重量％） I. 97.5％のキシレン不溶性画分及び9g/10分のMILを有する結晶性プロピレンホ モポリマー40部、 II．エチレン50％を含み、25℃でのキシレンに完全に可溶性で、3.7dl/gの固有 粘度［η］を有する非晶質のエチレン／プロピレンコポリマー47部、及び III. 25℃でのキシレンに完全に不溶性の本質的に線状のエチレン／プロピレン コポリマー13部 からなる。 10.5g/10分のMILを有する弾性組成物(iii)は、以下（重量％） -32g/10分のMILを有するエチレン３％を含む結晶性プロピレンランダムコポリ マー67％、 -エチレン55％を含み、2.35dl/gの固有粘度［η］を有する、25℃でのキシレ ンに可溶性のエチレン／プロピレンコポリマー27％、及び -25℃でのキシレンに不溶性のエチレン／プロピレンコポリマー６％ からなる。 ポリマー(iv)：エチレン3.5％（重量）及び1-ブテン６％を含み、5.5g/10分のMI Lを有し、132℃の融点を有するプロピレンランダムコポリマー（DSCで測定）。 ポリプロピレン(v)及び(vi)：室温でキシレン不溶性画分96％を含み、それぞれ ６及び10g/10分のMILを有する結晶性プロピレンホモポリマー。 イルガノックス(Irganox)B 225：チバ-ガイギーにより市販されているペンタエ ルスリトール-テトラキス[3(3,5-ジ-ter t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネート（イルガノックス1010）50重 量％＋ビス（2,4-ジ-tert-ブチルフェニル）ホスファイト（イルガフォス(Irgaf os)168)50重量％。実施例１〜５及び比較例１ｃ〜３ｃ バス200ミキサーに、表１に示す材料を導入する。鉱物充填剤は、硫酸バリウ ム(sp.w.=4.4)である。 上記の材料は、230℃の温度でバスに押出す。 このようにして得られた組成物の一部は、約190℃の温度でフラットダイを有 する一軸スクリュー押出機を用いて押出し試験に用いられ、溶融破壊の問題がな い均質な押出し物を生じる。結果より、組成物が、押出しによるパイプコーティ ング処理での使用に適していることが示された。 機械的特性を測定するために、組成物の他の部分を、230℃での射出成形によ る120mmｘ 120mmｘ3mmの試験片の製造に用いる。上記組成物のMIL値、密度及び 機械的特性は、表２に示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． (A) ３より大きいか、又は３と等しい比重量を有する少なくとも１つの重 鉱物充填剤60〜90重量％、 (B) ヘテロ相ポリオレフィン組成物10〜40重量％、及び (C) 成分(A)＋(B)の重量に対して0.1〜4重量％の範囲の量の充填剤用の相溶化剤 からなり、組成物(B)が、（重量％）： １°）室温で80％より多くがキシレンに不溶性のプロピレンホモポリマー画分、 又はエチレン及び／又はC₄-C₁₀α-オレフィンとのプロピレンコポリマー（80％ より多いプロピレンを含み、80％より多くが室温でキシレンに不溶性である）（ 画分１°）30〜60％、 ２°）プロピレン及び／又はC₄-C₁₀α-オレフィン、及び任意に少量のジエンと のエチレンコポリマー（コポリマーは、エチレン15〜70％を含み、室温でキシレ ン可溶性である）画分（画分２°）40〜70％、及び ３°）画分（１°）及び（２°）の合計に対する、エチレンを含有し、室温でキ シレン不溶性のコポリマー画分（画分３°）０〜30％ からなることを特徴とする、ポリオレフィン組成物。 ２． 相溶化剤が、ステアリン酸誘導体から選択される請求項１に記載の組成物 。 ３． 組成物(B)が、 1)画分（１°）30〜50％、 2)コポリマーにおけるエチレン量が40％より低く、20〜38％が好ましい画分（２ °）50〜70％、及び 3)画分（３°）０〜20％ （重量％）からなる請求項１に記載のポリオレフィン組成物。 ４． 組成物(B)が、 I)画分（１°）40〜60％、 II）コポリマーにおけるエチレン量が40〜70％の範囲である画分（２°）40〜60 ％、及び III)画分（３°）０〜25％ （重量％）からなる請求項１に記載のポリオレフィン組成物。 ５． 重鉱物充填剤(A)が、BaSO₄又はケイ酸ジルコニウムである請求項１に記載 の組成物。 ６． 押出しにより金属パイプの外表面をコーティングするための請求項１に記 載の組成物の使用。 ７． 外表面が、請求項１に記載の組成物の層でコートされている金属パイプ。