JP2001504480A - 細胞内ターゲティングのためのハイブリッド組成物 - Google Patents

細胞内ターゲティングのためのハイブリッド組成物

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Abstract

(57)【要約】 第一ドメイン及び第二ドメインを含むハイブリッド化合物を提供する。前記第一ドメイン及び第二ドメインは共有結合していることが好ましく、第一ドメインは、Gb3に特異的に結合することのできるドメインを含み、第二ドメインは、薬物成分、核酸、プローブ、ポリペプチド、及びフック、のうちのいずれかから選択される成分を含むが、ただしその際、この第二ドメインはベロ毒素又はそのフラグメントではないことを条件とする。本ハイブリッド化合物の調製法及び使用法も提供されている。さらに、本発明のハイブリッド分子をコードする核酸分子、本発明の核酸分子を、ホスト細胞内でこの融合たんぱく質が発現するのに適した形で含んだ組換えベクタ、及び、本発明の組換えベクタを含むホスト細胞を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞内ターゲティングのためのハイブリッド組成物 発明の背景 近年、疾病の段階及び病状の分子レベルでの解明が進んできたことから、少な くとも原則的には合理的な根拠に基づいて、ある特定の一つの分子又は複数の分 子単位を特にターゲットとするようデザインされる治療の開発が可能となった。 残念ながら、合理的にデザインされた薬品で疾病を治療しようとすると実際には 問題が多い。即ち、薬品は生体外では期待された通りの薬効を見せるかも知れな いが、期待された治療効果を挙げるにはその薬品が代謝により不活化されたり分 解されることなく、生体内の作用部位に到達できなくてはならないのである。効 果を挙げるには細胞内の部位に到達しなければならない薬品の場合は、所望の部 位に到達できるような形状で薬品を提供することは困難な場合もある。数多くの 提案がこの問題に対してなされてきたが、幅広い薬品及び疾病の状態に広く対応 できるアプローチはほとんどない。ある一つのアプローチとしては、薬品を例え ばリポソーム製剤などの形で投与する方法があり、この方法では薬品が細胞膜を 通過できる。しかしながら、標的を定めないままのリポソームは薬品を標的以外 の細胞又は臓器に運ぶかも知れず、標的を特に絞ったリポソームの利用は高価で あったり、不便であることがある。 A(酵素)サブユニット及びB(レセプタ結合)サブユニットを別々に含む数 多くのたんぱく毒素の細胞内取り込み作用による経路は、細胞結合、内部移入、 細胞内の区画から細胞質ゾルへの転位、及び、それらの細胞内標的の酵素不活化 (1,2)を伴う。細胞質への転位後、リシン、アブリン、モデシン及びベロ毒 素のAサブユニットは60Sリボソームサブユニットの28SRNAを触媒作用 により不活化し、細胞によるたんぱく質合成を阻害する(3,4)。その上、ホ ロトキシン及びBサブユニットの両方が、プログラムされた細胞死(アボトーシ ス)を誘発できるのである(5−7)。 E.coli由来系のベロ毒素(又は志賀毒素様毒素)は、ヒトでは主に若年層及び 老年層(9)の微小血管の病因に関与する(8)VT1、VT2及びVT2cと 、ブタで浮腫病を引き起こす(10)VT2eとを含んでいる。細胞膜にある糖 脂質グロボトリアオシルセラミド(gala1-4galb1-4glccer.-Gb3)は全てのベロ 毒素の特異的レセプ タであり、ベロ毒素の感受細胞内への内部移入をキャッピングとレセプタ媒介細 胞飲食作用(RME)とにより媒介する(11)。ベロ毒素はRMEを通じて真 核細胞内に内部移入する唯一の糖脂質結合リガンドである(12−14)。レセ プタの濃度だけでなく、Gb3の異種脂肪酸組成(15,16)と、ホスホリピ ドの二重層内のホスホリピド鎖の長さ(17)との両方が、VTの結合及び内部 移入に重要な役割を果たしている。BサブユニットのGb3結合部位の分子モデ リング研究により、別々の型の膜Gb3が別々の部位で結合するのではないかと 示されている(18)。このような型はGb3脂肪酸含有量及び膜ホスホリピド の微小環境に関連があるのかも知れない(18−20)。 ベロ毒素による細胞の中毒の逆行性輸送にとっての要件はまずSandvigによっ て実証された(21)。A431細胞はVTに耐性である。これらの細胞はGb3 を発現したが、毒素レセプタの複合体はエンドソーム及びリソソームに内部移 入した。しかしながら、酪酸の存在下での成長後、細胞分化の誘起物質であるA 431細胞がVT感受性となり、ゴルジシスターネ、ER、そしてさらに核膜に おいてすら、毒素の内部移入が検出されていることと一致している(21)。毒 素感受性の高いBリンパ腫において、ホロトキシン及びBサブユニットの両方が 核膜へ同様のターゲティングを行うことが見つかっている(11)。 ヒト星状細胞腫細胞系のベロ毒素への感受性を研究すると、レセプタの発現量 と相関関係にない大きな違いがある(6)。同様に、卵巣腫瘍細胞系の多剤耐性 (MDR)変異体は親細胞系に比較してVTに過敏性であり、その際レセプタの 発現に大きな増加はなかった(22)。これらの食い違いに基づくと、Gb3依 存性の細胞内輸送は、VTへの細胞感受性を判断する上で大きな役割を果たすも のである。 発明の概要 本発明は、ハイブリッド化合物、及び、同化合物を調製及び利用する方法に関 するものである。 ある態様では、本発明は、共有結合した第一ドメイン及び第二ドメインを含む ハイブリッド分子であって、(a)前記第一ドメインはGb3に特異的に結合す ることのできるドメインを含み、(b)前記第二ドメインは薬物成分、核酸、プ ローブ、ポリ ペプチド、及びフックのうちのいずれかから選択される成分を含むが、ただしこ のとき条件としてこの第二ドメインがベロ毒素又はそのフラグメントではない、 ハイブリッド分子を提供する。好適な実施例では、この第一ドメインはベロ毒素 又はベロ毒素のサブユニットであり、第一ドメインはVT−Bであり、第二ドメ インはポリペプチドであり、前記ポリペプチドはDNA結合要素であり、前記第 二ドメインは核酸であり、前記核酸はアンチセンス核酸である。 別の態様では、本発明は、本発明のハイブリッド分子と、薬学的に容認可能な 担体とを含む薬学的組成物提供するものである。 別の態様では、本発明は、ある細胞関連活性が、本ハイブリッド分子の不存在 下でのその細胞の細胞関連活性に比較して変更されるよう、ある細胞を本発明の ハイブリッド分子に接触させるステップを含む細胞関連活性を変調するための方 法を提供するものである。 別の態様では、本発明は、細胞内の特定の細胞内位置に本発明のハイブリッド 化合物の送達を向ける方法に関するものであり、同方法は、ハイブリッド化合物 が細胞内の特定の細胞内位置に送達されるよう、選択に応じてGb3の脂肪酸組 成を変化させる化合物の存在下で、前記細胞を当該ハイブリッド化合物に接触さ せるステップを含む。 別の態様では、本発明は、治療、予防、又は診断のための薬物の製造に向けた 本発明のハイブリッド化合物の利用を提供するものである。 別の態様では、本発明は、(第二ドメインがポリペプチドである)本発明のハ イブリッド分子をコードする核酸分子を提供する。 別の態様では、本発明は、本発明の核酸分子を、ホスト細胞内での当該融合た んぱく質の発現にとって適した形で含んだ組換えベクタを提供する。 別の態様では、本発明は、本発明の組換えベクタを含むホスト細胞を提供する 。 本発明のこれらの、そしてその他の目的、特徴及び長所は、以下の説明及び請 求の範囲から明らかとなることであろう。 図面の簡単な説明 図1 異なるヒト星状細胞腫細胞系でのVT1細胞毒性、6つの星状細胞腫 細胞 系に対するVT1の細胞毒性を、方法の項で説明するように判定した。細胞のV T1細胞毒性に対する感受性はSF−539が最大であり、XF−498が最小 である。各数値は三対の中間±S.D.を表す。この実験は三回繰り返されたが、 結果は同様であった。 図2 星状細胞腫の細胞表面125IVT1結合SF529(■)、XF4 98(〇)及び酪酸処理したXF498(△)細胞を、PBSによる125I−V T1の系列希釈液で4℃で処理し、1時間インキュベートし、方法の項で説明す るように結合を判定した。三つの細胞系すべてが同じようなレベルのVT1結合 を見せていた。各数値は三対の判定結果の中間±S.D.を表す。 発明の詳細な説明 本発明は、ハイブリッド化合物、ハイブリッド分子をコードする核酸分子、前 記ハイブリッド化合物及びそれらをコードする核酸分子を調製する方法、及び、 被験者をハイブリッド組成物で処置する方法に関するものである。 ある態様では、本発明はハイブリッド化合物を提供する。当該ハイブリッド化 合物は第一ドメイン及び第二ドメインを含み、前記第一及び第二ドメインは好ま しくは共有結合しているとよい。第一ドメインは、グロボトリアオシルセラミド (Gb3)に特異的に結合すると共に、細胞表面上でGb3を発現する細胞内に内 部移入することのできる結合ドメインである。第二ドメインは、細胞に、例えば 細胞核に送達しようとする分子成分を含んだ機能ドメインである。第二ドメイン は好ましくはベロ毒素、ベロ毒素のサブユニット、又はそのフラグメントでない とよい。第二ドメインは、例えば、薬物成分(第一ドメインに結合した薬物分子 )、核酸(例えば、外生のたんぱく質をコードする遺伝子、又は、アンチセンス 、核酸、リプレッサ、又はトランスアクチベータなど、細胞内での遺伝子発現を 調節する核酸)、プローブ(例えば蛍光プローブ)、たんぱく質、等々であって よい。第二ドメインはさらに、別の一つの成分又は複数の成分が複合体形成又は 結合するための結合手又はフックとして機能するドメインであってもよい。例え ば、第二ドメインは、ある特異結合対(例えばビオチン/ストレプトアビジン、 ホルモン/レセプタ、結合たんぱく/リガンド、等々)の一方と複合体形成又は 結合の可能なその特異結合対の一員であってもよく、この特異結 合対の他方もまた、細胞内への送達が望まれる成分に結合させてもよい。 本発明のハイブリッド分子は、第一ドメイン(例えばベロ毒素Bサブユニット (VT−B))と、たんぱく様の第二ドメイン(例えばDNA結合たんぱく)と の融合たんぱく質でもよい。この融合たんぱく質を、あるいくつかの実施例では 、細胞内に送達しようとする成分に結合させたり、複合体形成させたりしてもよ い。例えば、VT−B/DNA結合たんぱく質の融合の例では(例えば下記の実 施例4を参照されたい)、この融合たんぱく質を作成し、選択に応じ精製した後 、一個の核酸分子に結合させて、そのハイブリッド化合物とその核酸分子との複 合体を形成してもよい。この融合たんぱく質/核酸複合体を細胞に提供し、この 融合たんぱく質がこの核酸を伴った状態で細胞内に飲食されると、この核酸が細 胞内、例えば細胞核へと送達されて、例えばその核酸により細胞のトランスフェ クションが促進されることとなる。 本発明のハイブリッド分子には、さらに、第一ドメイン及び第二ドメインの非 融合共有結合付加物を含めてもよい。例えば、たんぱく質の共有結合による修飾 は公知であり、たんぱく質をその他のたんぱく質及び非たんぱく成分に共有結合 させるためのキットは市販のものが入手可能である。例えば、ポリペプチド又は VT−Bなどのたんぱく質は、ヘテロ2官能連結剤を用いればその他のたんぱく 質、核酸、薬物、プローブ又は標識、等々などの成分に連結させることができる 。一例として、VT−Bなどの第一ドメインはポリリシンなどのポリペプチドに 共有結合させることができる(例えば下記の実施例5を参照されたい)。ポリリ シンは核酸を細胞に送達すべく、DNAなどの核酸と複合体形成が可能であり( 例えばWu氏の米国特許第5,635,383号及び第5,166,320号を 参照されたい)、従ってVT−B/ポリリシン結合体を用いれば核酸への結合が 可能となり、例えば遺伝子治療、アンチセンス治療、等々の用途に向けて、核酸 を細胞内に輸送することができる。 別の実施例では、本発明は、治療、予防、又は診断のために本発明のハイブリ ッド化合物を利用すること、例えば本発明のハイブリッド化合物を治療、予防、 又は診断用の薬物の調製に利用することに関する。本発明のハイブリッド化合物 は、例えば遺伝子治療(即ち、外生のたんぱく質をコードする遺伝子の細胞内へ の導入、又は、サプレッサ配列又はトランスアクチベータ配列の細胞内への導入 )、アンチセンス核酸治療(即ち、がん細胞の腫瘍遺伝子に対するアンチセンス など、アンチセンス配列の 導入)、化学療法薬品の細胞へのターゲティング、等々といった方法によるがん 治療などの治療法にも利用可能である。 以下に詳述するように、本発明はさらに、本発明のハイブリッド化合物の細胞 内ターゲットを変更する方法も提供するものである。このように、例えば、酪酸 ナトリウムを用いて細胞を処置すると、VT−B、ひいては本発明のハイブリッ ド化合物の細胞内の行き先を変えることができる。以下に説明するように、特定 の細胞では、VT−Bは通常、酪酸ナトリウムの不存在下ではゴルジ装置の構成 要素に輸送されるが、酪酸ナトリウムが存在すると、VT−Bは小胞体及び/又 は核膜の要素に輸送される。やはり以下に詳述されるように、この効果の原因は 、少なくとも部分的にではあるが、細胞表面糖脂質Gb3の脂肪酸組成の変化に よると考えられる。本発明は、細胞中の選択された位置、例えば核膜又は核、へ の本発明のハイブリッド化合物の選択的輸送を考察するものである。本発明のこ の特徴は、細胞質中又は細胞小器官のDNAではなく、核ゲノムを標的としなけ ればならない遺伝子治療用途(又はアンチセンス治療)において特に有用である 。従って、いくつかの実施例では、本発明は、ある化合物(例えば酪酸)、又は Gb3の脂肪酸組成を変化させることのできる条件下で細胞を処置して、所定の 細胞内位置(例えば核)に向けた本発明のハイブリッド化合物の選択的輸送を促 進することを考察するものである。 本発明のハイブリッド化合物を利用することにより、細胞ターゲティングの特 異性、ほとんど全ての治療成分を細胞へ送達することが可能となること、細胞下 構造を特異的にターゲットすることができること、等々といった利点がもたらさ れることは当業者には理解されるであろう。例えば、いくつかの細胞種は、特定 のがん細胞も含め、細胞表面上に大量のGb3を発現するが、その他の細胞種は 細胞上にほとんどGb3を発現しないことがよく知られている。本発明のハイブ リッド化合物は、この前者の細胞種に簡単に飲食されながら、後者の細胞種での 輸送は劣るであろう。このように、大量のGb3を細胞表面上で発現する細胞種 を、本発明のハイブリッド化合物を用いることで選択的に標的とすることができ るのである。重要なことに、特定のがん細胞のGb3レベルは正常細胞より高く 、例えば原発性卵巣腫瘍細胞のGb3値は正常な卵巣組織細胞よりも高いことが 見つかっている。このように、本発明のハイブリッド化合物を用いれば、薬剤、 遺伝子、又はその他の治療物質を、正常組織を避けてがん細 胞種に特異的に送達することが可能である。 第一ドメイン 本発明のハイブリッド化合物の第一ドメインは、グロボトリアオシルセラミド (Gb3)に特異的に結合することができると共に細胞表面上でGb3を発現する 細胞内に内部移入することができるドメインを含む。このようなドメインをしば しば適宜、ここでは「VT結合ドメイン」と呼ぶこととするが、ここで説明する ように、本発明で利用するのに適した第一ドメインはベロ毒素又はそのフラグメ ントに限定されない。本発明のハイブリッド化合物の第一ドメインとして適した ドメインには、天然ベロ毒素(VT)、Gb3に結合するベロ毒素のサブユニッ ト(例えばVT−Bサブユニット)、及び、天然VT結合ドメインのアミノ酸配 列に相同及び/又は由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれるが、その アミノ酸配列には、全長VT結合ドメインたんぱく質よりも多い、少ない(例え ば削除又は切端)、又は等しい数(例えば点変異)のアミノ酸が含まれていなが ら、Gb3(又はバーキットリンパ腫関連抗原(BLA)(Nudelman,et al.Scie nce 220:509(1983)、B細胞分化抗原CD77としても知られる)に対する特異 的結合親和性は概ね保たれているものも含めてよい。このように、ここで用いら れる場合の「VT結合ドメイン」とは、Gb3レセプタに結合するベロ毒素のサ ブユニット、又は、Gb3結合活性を有する相同のドメインを言う。ベロ毒素結 合ドメインに概ね相同(例えばCD19という、B細胞の発生初期段階からB細 胞が形質細胞へと最終的に分化するまでヒトBリンパ球の細胞表面上に存在する 95kDaの免疫グロブリンスーパーファミリーの一体膜糖たんぱく質)(Nadler ,et al.J.Immunol.131:244-250(1983);Lingwood,C.A.(1996)Trends in Microbi ol.4(4):147-153;Maloney,M.D.and Lingwood,C.A.(1994)J.Exp.Med.180:191-20 1;Nyholm,P.G.,Magnusson,G.and Lingwood,C.(1996)Chem.Biol.3:263-275)であ ると共に、Gb3又はGb3様細胞表面成分に結合することの可能ないくつかのた んぱく質又はポリペプチドが知られていることは認識されよう。このような相同 たんぱく質又はポリペプチドの利用は本発明のハイブリッド化合物において考察 されるところである。ある一つの実施例では、本発明のハイブリッド化合物の第 一ドメインは、天然ベロ毒素(又はベロ毒素のサブユニット)のGb3結合ドメ インに対して少なくとも約30%、40%、 より好ましくは少なくとも約50%、60%、さらにより好ましくは少なくとも 約70%、80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ま しくは少なくとも約95%(又はそれ以上)、相同であるとよい。典型的には、 生理活性のある部分は、VT結合ドメインの少なくとも一つの活性を持つドメイ ン又はモチーフを含むものである。VT結合ドメインたんぱく質の生理活性のあ る部分は、例えば10、25、50、100又はそれ以上のアミノ酸長のポリペ プチドであってよい。 ある一つの実施例では、VT結合ドメインたんぱく質の生理活性部分は少なく とも一つのGb3結合ドメインを含む。別の実施例では、VT結合ドメインたん ぱく質の生理活性部分は二つ、三つ又は四つのGb3結合ドメインを含む。 さらに、たんぱく質のその他の領域が削除されたその他の生理活性部分は組換 え技術により作成が可能であり、天然のVT結合ドメインたんぱく質の一つ又は それ以上の機能的活性について評価することができる。当業者であれば、VTホ ロトキシンはいくつかの細胞種にとって大きな毒性を有することは理解されるで あろう。VTホロトキシンの毒性は大部分(完全にでないにしても)VTのAサ ブユニットが原因であり、単離されたVT−Bはほとんどの細胞にとってホロト キシンよりも毒性が低い。従って、好適な実施例では、本発明のハイブリッド化 合物は、細胞毒性をVTホロトキシンにもたらしているVTサブユニット又はそ の一部分を含まない。例えば、好適な実施例では、本発明のハイブリッド化合物 には、VTのAサブユニット、又は、大きな細胞毒性を持つその何らかの部分、 が含まれていない。このように、ある好適な実施例では、本発明のハイブリッド 化合物の第一ドメインは、VTのAサブユニット又はVTのAサブユニットの一 部分を概ね含まないVT−B、又はその相同体、あるいはそのフラグメント、か ら基本的に構成される。もちろん、本発明のハイブリッド化合物を用いて細胞( 例えばがん細胞又はウィルスに感染した細胞など)を殺したい場合には、毒性成 分、例えばリシン、ジフテリア毒素、破傷風毒素、等々などの毒性たんぱく質の 全部又は一部分、を第二ドメインとして利用することも可能である。 二つの核酸の二つのアミノ酸配列のパーセント・ホモロジーを判定するために は、これらの配列を並べて比較が最適にできるようにする(例えば、最適に並べ るには、第一のアミノ酸又は核酸配列の配列と第二のアミノ酸配列又は核酸配列 との間に空白が生まれる場合もある)。対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド 位置にあるアミノ 酸残基又はヌクレオチドを次に比較する。第一の配列のなかのある位置が第二の 配列の対応する位置にあるのと同じアミノ酸残基又はヌクレオチドに占められて いる場合、それらの分子はその位置において相同である(即ちここで用いられる 場合のアミノ酸又は核酸の「相同性」は、アミノ酸又は核酸の「同一性」に等し い)。二つの配列間のパーセント・ホモロジーは、それらの配列が共有する同一 位置の数の関数である(即ち、%ホモロジー=同一位置の数/位置の総数×10 0、である)。 第二ドメイン 本発明のハイブリッド化合物の第二ドメインは、(生体外又は生体内のどちら かで)細胞内への輸送が望まれると共に本発明の化合物の第一ドメインに結合( 例えば共有結合により)することのできる、ほとんどすべての成分であってよい 。さらに第二ドメインは、第三成分(例えば核酸、等々)と結合又は複合体形成 するための結合手又はフックであってよい。 本発明のハイブリッド化合物において利用が考察される第二ドメインの例には 、たんぱく質、ポリペプチド、及びそれらのフラグメント(ペプチド擬態、アミ ノ酸類似体、等々を含め)がある。例えば、第二ドメインは、たんぱく質、例え ばエリスロポエチン、ヒト成長ホルモン、インシュリン、ソマトスタチン、EG F、及びインターロイキンI、II、III、IV及びVI、たんぱく毒素、等々を含ん でいてもよい。それ自体が特定の特異性を細胞表面レセプタに対して有するよう な第二ドメインを利用すると、被験者、例えばヒト又は動物に投与されたときの 本発明のハイブリッド化合物の特異性を高めることができることは理解されよう 。例えば、VT−Bを第一ドメインとして含み、サブスタンスPを第二ドメイン として含むハイブリッド化合物は、Gb3及びサブスタンスPの両方のレセプタ を発現する細胞を優先して標的とするかも知れない。 第二ドメインの別の例には、核酸、例えばDNA、RNA、DNA/RNAキ メラ核酸、等々や、例えばホスホチオエート核酸など、核酸の類似体が含まれる (例えば、Cornlsh et al.,Pharmacol.Com.3:239-247,1993;Crooke,Ann.Rev.Pha rm.Toxicol.32:329-376,1992;Iverscen,Anti-Cancer Drug Design 6:531-538,1 991を参照のこと)核酸は、例えばたんぱく質又はそのフラグメントをコードす るものであってもよく、例えばリ プレッサ又はプロモータ配列などの調節配列であってもよく、あるいは、例えば アンチセンス治療での利用に向けて、ある細胞に存在するヌクレオチド配列の相 補体であってもよい。 本発明のハイブリッド化合物において有用な第二ドメインのさらなる例には、 (ポリペプチド又は非ポリペプチド)ホルモン(例えばステロイド)又はその他 の、細胞成長又は分化、等々の性質に影響を与えることのできる、生理活性のあ る成分(例えばレチノイド)が含まれる。第二ドメインのさらなる例には、薬品 成分、例えばがん治療用のDNA修飾成分がある。 第二ドメインのさらに別の例には、プローブ、例えば細胞構造を調べるための プローブ(例えば生体外での利用に向けたもの、放射性同位体標識、蛍光標識( 例えばフルオレセイニソチオシアネート又はローダミンイソチオシアネート、Fu ra2、等々)、金粒子などの重原子標識、等々)、生体内研究用の標識(例えば X線、磁気共鳴影像法、等々で検出可能な標識など)、又は放射性同位体又は放 射性同位体のキレーター(例えば以下を参照されたい)、等々がある。このよう に、本発明は、細胞培養株で利用される、又は、被験者への投与に向けて薬学的 に容認可能な伝播体中に調製されて利用される、診断薬としての用途のあるハイ ブリッド化合物を提供するものである。しかしながら、いくつかの好適な実施例 では、第二ドメインはフルオレセインイソチオシアネート又はローダミンイソチ オシアネートを含まない。 第二ドメインのさらに別の例には、第三の構成成分と結合する又は複合体形成 する(ポリペプチド又は非ポリペプチドの)結合手又はフックがある。例えば、 第二成分は、特異結合対(例えばレセプタ/リガンド、ホルモン/レセプタ、核 酸/相補体、酵素/リガンド、等々)の一員であってもよい。この場合、フック を第二ドメインとして含むハイブリッド化合物を用いれば、相補の分子を細胞内 に飲食作用により輸送することができ、例えばストレプトアビジン配列(又はそ の一部分)を含むハイブリッド化合物を用いればビオチンに結合させることがで き、これをさらに細胞内に送達したい成分(例えばビオチニル化核酸、等々)に 結合又は連結することができる。さらに第二成分は、例えば、細胞内に送達しよ うとする第三の成分に非特異的に結合する成分でもよい。例えば、VT−B/ポ リカチオン(例えばポリリシン)ハイブリッド化合物(例えば下記の実施例5を 参照されたい)を用いれば、マイナスに帯電した 化合物(例えばDNAなどの核酸)を細胞に送達して飲食させることができる。 ハイブリッド化合物 本発明は、このように、数多くの用途を有する幅広いハイブリッド化合物を考 察するものである。 いくつかの実施例では、本発明のハイブリッド化合物には、共有結合した第一 ドメイン及び第二ドメイン(例えば上述したもの)が含まれる。この共有結合は 様々な方法で行わせることができるが、これらの方法は当業者には通常の技術範 囲である。例えば、一つの官能基が、ある一つのたんぱく質の一官能基(例えば 第一ドメイン)(例えば第一ドメインの側鎖チオール、アミン、又はカルボキシレ ート)と、第二ドメインの一成分と反応させることのできる第二の官能基(例え ば第二ドメインがポリペプチドである場合の側鎖の基、核酸、薬物、ホルモン、 等々の水酸基)とに反応可能であるようなヘテロ二官能性リンカーを利用するな ど、たんぱく質の共有結合による修飾に関して公知の化学法を通じて、第二ドメ インを第一ドメインに共有結合させることができる。ホモ及びヘテロ官能性の両 方の幅広い二官能性又は多官能性架橋試薬が当業において公知であり、市販のも のが入手可能である(例えばイリノイ州ロックフォード、ピアース・ケミカル社 )。従って、当業者であれば、ごく通常の実験を利用するのみで本発明によるハ イブリッド化合物を幅広く調製することができることであろう。第一ドメイン及 び第二ドメインはリンク成分を介して共有結合させることは理解されることであ ろうが、このリンク成分は、第一及び第二ドメインがそれぞれ所望の機能を確実 に果たせればいかなる所望の長さ又は化学組成のものでもよく、例えばこのリン カーは、細胞標的に結合するなど、第一又は第二ドメインがそのいずれかに意図 された機能を果たす際に、立体障害がこの能力に大きくかつ有害な影響を与えな ければ、十分な長さであってもよい。 本発明はさらに融合たんぱく質、例えばVT結合ドメインキメラ又は融合たん ぱく質を提供するものである。この「融合たんぱく質」という術語は、多くの場 合異なる源から得られた、有効に連結された少なくとも二つのポリペプチドを説 くものとして意図されている。ポリペプチドに関する場合、この「有効に連結さ れた」という術語は、二つのポリペプチドが、それぞれのポリペプチドが意図さ れた機能を果たせるよ うな態様で接続されていることを意味するものとして意図されている。典型的に は(例外がないわけではないが)、二つのポリペプチドはペプチド結合を通じて 共有結合する。融合たんぱく質は好ましくは標準的な組換えDNA技術により生 成されるとよい。例えば、第一のポリペプチドをコードするDNA分子を、第二 のポリペプチドをコードするもう一つのDNA分子に結紮し、その結果得られる ハイブリッドDNA分子をホスト細胞内で発現させて融合たんぱく質を生成させ る。DNA分子は相互に5‘から3’の方向に結紮されるが、その際、コードさ れたポリペプチドの翻訳フレームが結紮後に変わっていないようになされる(即 ちDNA分子は相互にフレーム内で結紮される)。 このように、VT結合ドメイン「キメラたんぱく質」又は「融合たんぱく質」 は、第二ポリペプチドなどの第二ドメインに有効に連結されたVT結合ドメイン ポリペプチドなどの第一ドメインを含むが、この第二ドメインは、VT結合ドメ インたんぱく質とは異なり、かつ、同じ又は異なる生体を由来とするたんぱく質 など、VT結合ドメインたんぱく質に概ね相同でないポリペプチドなどの非VT 結合ドメインポリペプチドであることが好ましい。このように、第二ドメインは 、好ましくは、Gb3に選択的に結合する天然発生型のたんぱく質の一部である ポリペプチドでないとよい。この第二ドメインポリペプチドを、第一ドメインポ リペプチドのN末端又はC末端に融合してもよい。ある好適な実施例では、この 第二ドメインは、少なくとも約5個のアミノ酸残基を含むが、より好ましくは約 10、20、30、40、50、100又は200個のアミノ酸残基を含むとよ い。ここで、例えば下記の実施例4で説明するように、融合たんぱく質には、第 一及び第二ドメイン間に、例えば6−12の疎水性残基などのリンカーポリペプ チド配列が含まれていてもよい。このようなリンカーポリペプチド配列は、第一 ドメインをコードするヌクレオチド配列と、リンカーポリペプチド配列をコード するヌクレオチド配列と、第二ドメインをコードするヌクレオチド配列とを含む 核酸構成物により提供することが可能である。 例えば、ある一つの実施例では、VT結合ドメイン融合たんぱく質は、第二ド メインの細胞外ドメインに有効に連結されたGb3結合ドメインを含む。さらに このような融合たんぱく質を、例えば薬学的組成物の送達など、ある細胞の細胞 内領域に分子を送達するのに利用することができる。 さらに別の実施例では、融合たんぱく質は、VT結合ドメイン配列がGST配 列のC末端に融合されているようなGST−VT結合ドメイン融合たんぱく質で ある。このような融合たんぱく質では、組換えVT結合ドメインの精製が容易と なる。 好ましくは、本発明のVT結合ドメインキメラ又は融合たんぱく質は標準的組 換えDNA技術により作成されるとよい。例えば、異なるポリペプチド配列をコ ードするDNA断片を、例えば平滑末端又は付着末端を用いて結紮を行う、制限 酵素による切断を行って適した末端にする、適宜付着末端を穴埋めする、アルカ リホスファターゼ処理して不要な接合を避ける、及び酵素結紮法を行うなど、従 来の技術に基づいてフレーム内で相互に結紮する。別の実施例では、自動化DN Aシンセサイザーを含めた従来の技術により融合遺伝子を合成することができる 。その代わりに、遺伝子断片のPCR増幅を行うには、二つの連続する遺伝子断 片の間に相補の張出部を生じさせるアンカー・プライマーを用い、次にこれらを アニールし、再度増幅してキメラ遺伝子配列を作成してもよい(例えば、Curren t Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubeletal.John Wiley & Sons:1992 を参照のこと)。さらに融合成分(例えばGSTポリペプチド)を既にコードし ている発現べクタが数多く市販されている。この融合成分がフレーム内でVT結 合ドメインたんぱく質に連結されるよう、VT結合ドメインをコードする核酸分 子をこのような発現ベクタ内にクローンしてもよい。 以上のことから、本発明は、本発明の融合たんぱく質をコードする核酸(例え ばDNA)をも提供するものであることは理解されよう。本発明の融合たんぱく 質をコードする核酸は本発明による核酸である。このように、別の態様では本明 は、グロボトリアオシルセラミドに特異的に結合することのできる第一ポリペプ チドドメインと、第二ポリペプチドドメインとをコードする核酸配列を含む(好 ましくは単離された)核酸分子を提供するものである。第二ポリペプチドドメイ ンは、例えばここで説明したポリペプチドドメインのうちのいずれでもよい。あ る一つの実施例では、(疑似)VT結合ドメイン作動薬又はVT結合ドメイン拮抗 薬のどちらかとして働くVT結合ドメイン融合たんぱく質のVT結合ドメイン部 分の変異体を、VT結合ドメインたんぱく質作動薬又は拮抗薬の活性について、 VT結合ドメインたんぱく質の変異体、例えば切端変異体など、の組換えライブ ラリをスクリーニングすることで、同定することができる。ある一つの実施例で は、VT結合ドメイン変異体の異型ライブラリを、 核酸レベルで組合せ変異誘発を起こさせて作成し、異型遺伝子ライブラリにコー ドさせる。VT結合ドメイン変異体の異型ライブラリは、例えば、推定VT結合 ドメイン配列の変性組が個々のポリペプチドとして、又はその代わりに、前記組 のVT結合ドメイン配列がその中に含まれた、(例えばファージディスプレイの ための)一組のより大きな融合たんぱく質として発現可能であるよう、合成オリ ゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列中に酵素により結紮することで作成可能で ある。変性オリゴヌクレオチド配列からVT結合ドメイン変異体として考えられ るもののライブラリを作成するのに利用するには多様な方法がある。変性遺伝子 配列の化学合成を自動化DNAシンセサイザーで行うことができ、次にその合成 遺伝子を適した発現ベクタ内に結紮してもよい。変性組の遺伝子を用いると、所 望の組の推定VT結合ドメイン配列をコードする配列全てを一つの混合物中に提 供することができる。変性オリゴヌクレオチドを合成する方法は当業において公 知である(例えば、Narang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.(1984) Annu.Reν.Biochem.53:323;Itakura et al.(1984)Science 198:1056:Ike et al .(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと。) さらに、VT結合ドメインたんぱく質をコードする配列の断片のライブラリを 用いれば、あるVT結合ドメインたんぱく質の変異体をスクリーニングし、続い て選択する際に用いることのできるVT結合ドメイン断片の異型集団を作成する ことができる。ある一つの実施例では、コドン配列断片のライブラリの作成は、 VT結合ドメインをコードする配列の二本鎖PCR断片を、一分子当り約一回の み、ニッキングが起きるような条件下でヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを 変性させ、このDNAを再結合させて、別々のニック生成物を由来とするセンス /アンチセンス対が含まれている可能性のある二本鎖DNAを形成し、S1ヌク レアーゼで処理することで改良された二重鎖から一本鎖部分を取り除き、その結 果得られた断片ライブラリを発現ベクタ内に結紮することで、行うことができる 。この方法により、様々な大きさのVT結合ドメインたんぱく質のN末端及び内 部断片をコードする発現ライブラリを得ることができる。 点変異又は切端により作成された組合せライブラリの遺伝子産物をスクリーニ ングしたり、所定の性質を有する遺伝子産物を求めてcDNAライブラリをスク リーニングしたりするには、いくつかの技術が当業において公知である。このよ うな技術を適 応させれば、VT結合ドメインたんぱく質の組合せ変異誘発により作成された遺 伝子ライブラリを高速でスクリーニングすることができる。大型の遺伝子ライブ ラリをスクリーニングするための、高スループットの分析になじむ最も広く用い られている技術は、多くの場合、遺伝子ライブラリを、複製可能な発現ベクタに クローニングし、適した細胞を、その結果得られたベクタのライブラリで形質転 換させ、所望の活性の検出を行うことで、その産物が検出された遺伝子をコード するベクタの単離が容易に行われるような条件下で、この組合せ遺伝子を発現さ せるといったステップを含むものである。ライブラリ中に機能的変異体が現れる 頻度を高める新しい技術であるレクルーシブ・アンサンブル・ミュータジェネシ ス(REM)を、このスクリーニング検定法と組み合わせて用いれば、VT結合 ドメイン変異体を同定することができる(Arkin and Yourvan(1992)PNAS 89:7811 -7815;Delgrave et al.(1993)protein Engineering 6(3):327-331)。 単離されたVT結合ドメインたんぱく質、又はその一部分又は断片を免疫原と して用いれば、標準的な技術を用いることで、VT結合ドメインに結合する、ポ リクローナル及びモノクローナル抗体製剤用抗体を作成することが可能である。 この全長VT結合ドメインたんぱく質を用いてもよいが、その代わりに、本発明 はVT結合ドメインの抗原性ペプチド断片を免疫原としての利用に向けて提供す るものである。VT結合ドメインのこの抗原性ペプチドは、このペプチドに対し て生じる抗体がVT結合ドメインと特異免疫複合体を形成するよう、VT結合ド メインのアミノ酸配列のうちの少なくとも8個のアミノ酸残基を含む。好ましく は、当該抗原性ペプチドが少なくとも10個のアミノ酸残基、より好ましくは少 なくとも15このアミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも20個のアミノ酸 残基、そして最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含むとよい。 本発明に基づく抗体を用いれば、ある成分をある細胞内へ送達することができ 、例えばある成分を抗体に結合させ、その抗体をVT結合ドメインに結合させて もよい。この複合体を次にここで説明したように細胞内に内部移入させれば、前 記の成分を細胞内に送達することができる。 VT結合ドメイン免疫原は、多くの場合、適した被験者(例えばウサギ、ヤギ 、マウス又はその他のほ乳類)をこの免疫原で免疫処置することにより抗原を調 製すべく、 用いられる。適した免疫原性製剤には、例えば、組換えにより発現させられたV T結合ドメインたんぱく質又は化学合成されたVT結合ドメインポリペプチドが 含まれていてよい。この製剤には、さらに、例えばフロイント完全アジュバント 又はフロイント不完全アジュバントなどのアジュバント、又は同様の免疫刺激薬 を含めてもよい。免疫原性VT結合ドメイン製剤で適した被験者を免疫処置する と、ポリクローナル抗VT結合ドメイン抗体反応が誘起される。従って、本発明 のもう一つの態様は、抗VT結合ドメイン抗体に関する。ここで用いられる場合 の「抗体」という術語は、免疫グロブリン分子、及び、免疫グロブリン分子の免 疫学的活性部分、即ち例えばVT結合ドメインなどの抗原に特異的に結合(免疫 反応)する抗原結合部位を含んだ分子、を言う。免疫グロブリン分子の免疫学的 活性部分の例には、抗体をペプシンなどの酵素で処理して作成することのできる F(ab)及びF(ab)2フラグメントがある。本発明は、VT結合ドメイン に結合するポリクローナル及びモノクローナル抗体を提供するものである。ここ で用いられる場合の「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」 という術語は、VT結合ドメインのある特定のエピトープと免疫反応することの できる、一種のみの抗原結合部位を含んだ一集団の抗体分子を言う。従ってモノ クローナル抗体組成物は、典型的には、それが免疫反応する特定のVT結合ドメ インたんぱく質に対して一種類の結合親和性を呈するものである。 ポリクローナル抗VT結合ドメイン抗体は、適した被験者をVT結合ドメイン 免疫原で免疫処置することにより、上述のように調製が可能である。免疫処置さ れた被験者の抗VT結合ドメイン抗体価は、例えば固定したVT結合ドメインを 用いた酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの標準的技術により、経時的 に観察することができる。所望であれば、VT結合ドメインを狙った抗体分子を そのほ乳類から(例えば血液から)単離し、その後さらに、例えばIgG画分を 得るためのプロテインAクロマトグラフィなどの公知の技術により精製してもよ い。免疫処置後の適した時点、例えば抗VT結合ドメイン抗体価が最も高くなっ た時点で、抗体産生細胞を被験者から得て、Kohler and Milstein(1975)Nature 256;495-497)が最初に説いたハイブリドーマ技術、(さらにBrown et al.(1981)J .Immunol.127:539-46;Brown et al.(1980)JBiol.Chem 255:4980-83;Yeh et al. (1976)PNAS 76:2927-31;and Yeh et al.(1982)Int.J.Cancer 29:269-75も参照さ れたい),最新のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.(1983)Immunol Today 4:72)、EBVハイブリドーマ技術(Cole et al.(1985) ,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss.Inc,pp77-96)、又は トリオーマ技術などの標準的技術により、モノクローナル抗体を生成すべく用い ることができる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作成する技術は公知であ る(例えばR.H.Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biologi cal Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);E.A.Lerner( 1981)Yale J.Biol.Med.,54:387-402;M.L.Gefter et al.(1977)Somatic Cell Gen et.3:231-36を参照のこと。)。簡単に説明すると、不死の細胞系(典型的には骨 髄種)を、上述したようにVT結合ドメイン免疫原で免疫処置したほ乳類から採 ったリンパ球(典型的には牌細胞)に融合させ、その結果得られるハイブリドー マ細胞の培養上清をふるい分けして、VT結合ドメインの結合するモノクローナ ル抗体を産生するハイブリドーマを同定するのである。 リンパ球及び不死細胞系を融合させるのに用いられる数多くの公知のプロトコ ルのいずれも、抗VT結合ドメインモノクローナル抗体を作成する目的で応用が 可能である(例えばG.Galfre et al.(1977)Nature 266:55052;Gefter et al.Som atic Cell Genet.,cited supra;Lerner,Yale J.Biol.Med.,cited supra;Kennet h,Monoclonal Antibodies,cited supraを参照のこと。)さらに、このような方 法にも様々な変更例があり、それらも有用であることは当業者の理解されるとこ ろであろう。典型的には、不死細胞系(例えば骨髄腫細胞系)はリンパ球と同じ ほ乳類の種から得る。例えば、マウスハイブリドーマは、本発明の免疫原性製剤 で免疫処置したマウスから採ったリンパ球を、不死のマウス細胞系と融合するこ とにより作成が可能である。好適な不死細胞系は、ヒポキサンチン、アミノプテ リン及びチミジンを含んだ培養媒質(「HAT媒質」)に感受性のあるマウス骨 髄腫細胞系である。例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag 8.653又はSp2/O−Ag14骨髄腫系など、数多くある骨髄腫細胞系の いずれも、標準的技術による融合のパートナーとすることができる。これらの骨 髄腫系はATCCから入手可能である。典型的には、HAT感受性マウス骨髄腫 細胞を、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウス牌細胞に融合す る。次に、この融合から生じたハイブリドーマ細胞を、未融合の骨髄腫細胞及び 非生産的に融合された骨髄腫細胞を殺すHAT媒質を用いて選別する(未融合の 牌細胞は形質転換されていないために数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル 抗体を産生するハイブリ ドーマ細胞は、例えば標準的ELISA検定法を用いるなどして、VT結合ドメ インに結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をふるい分けすると検出さ れる。 モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作成する代わりとして、モノ クローナル抗VT結合ドメイン抗体の同定及び単離は、VT結合ドメインで組換 え組合せ免疫グロブリンライブラリ(例えば抗体ファージディスプレイライブラ リ)をスクリーニングしてVT結合ドメインに結合する免疫グロブリンライブラ リの仲間を単離することによっても行うことができる。ファージディスプレイラ イブラリを作成しスクリーニングするためのキットは市販のものが入手可能であ る(例えばファーマシア社製、リコンビナント・ファージ・アンティボディ・シ ステム,カタログ番号27−9400−01号、及びストラータジーン社製Surf ZAPTMファージ・ディスプレイ・キット、カタログ番号第240612号)。加 えて、抗体ディスプレイファージを作成しスクリーニングするための利用に特に なじむ方法及び試薬の例は、例えば、Ladner et al.の米国特許第5,223, 409号、Kang et al.のPCT国際公開公報WO92/18619号、Dower e t al.WO91/17271号、Winter et al.のPCT国際公開公報WO92/ 20791号、Markland et al.のPCT国際公開公報WO92/15679号 、Breitling et al.のPCT国際公開公報WO93/01288号、McCafferty et al.のPCT国際公開公報WO92/01047号、Garrard et al.のPC T国際公開公報WO92/09690号、Ladner et al.のPCT国際公開公報 WO9002809号、Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9.1370-1372;Hay e t al.(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81-85;Huse et al.(1989)Science 246:1 275-1281;Griffiths et al.(1993)EMBO J 12:725-734;Hawkins et al.(1992)J M ol.Biol.226:889-896;Clarkson et al.(1991)Nature 352:624-628;Gram et al.( 1992)PNAS 89:3576-3580;Garrad et al.(1991)Bio/Technology 9:1373-1377;Hoo genboom et al.(1991)Nuc.Acid Res.19:4133-4137;Barbas et al.(1991)PNAS 88 :7978-7982;およびMcCafferty et al.Nature(1990)348:552-554に見ることがで きる。 さらに、標準的組換えDNA技術を用いて作成の可能な、ヒト及び非ヒト部分 の両方を含むキメラ及び人化モノクローナル抗体などの組換え抗VT結合ドメイ ン抗体は本発明の範囲の包含するところである。このようなキメラ及び人化モノ クローナル抗体は、当業において公知の組換えDNA技術、例えばRobinson et al.の国際出願PCT /US86/02269号、Akira,et al.の欧州特許出願184,187号、Ta niguchi,Mの欧州特許出願171,496号、Morrison et al.の欧州特許出願 173,494号、Neuberger et al.のPCT国際公開公報WO86/0153 3号、Cabilly et al.の米国特許第4,816,567号、Cabilly et al.の欧 州特許出願125,023号、Better et al.(1988)Science 240:1041-1043;Liu et al.(1987)PNAS 84:3439-3443;Liu et al.(1987)J.Immunol.139:3521-3526;S un et al.(1987)PNAS 84:214-218;Nishimura et al.(1987)Canc.Res.47:999-100 5;Wood et al.(1985)Nature 314:446-449;and Shaw et al.(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553-1559);Morrison,S.L.(1985)Science 229:1202-1207;Oi et al.( 1986)BioTechniques 4:214;Winter U.S.Patent 5,225,539;Joncs et al.(1986)N ature321:552-525;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534;およびBeidler et al.(1988)J.Immunol.141:4053-4060に説かれた方法を用いて作成が可能である 。 抗VT結合ドメイン抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いると、例えばア フィニティクロマトグラフィ又は免疫沈降法などの標準的技術によりVT結合ド メインを単離することができる。抗VT結合ドメイン抗体があれば、細胞から天 然VT結合ドメインを容易に精製できたり、また、ホスト細胞中で発現された、 組換えにより産生したVT結合ドメインを精製したりすることができる。さらに 抗VT結合ドメイン抗体は、VT結合ドメインたんぱく質の発現量及び発現パタ ーンを評価することを目的として(例えば細胞溶解産物又は細胞上清中の)VT 結合ドメインたんぱく質を検出するのにも用いることができる。抗VT結合ドメ イン抗体を診断的に用い、臨床検査手法の一部として組織中のたんぱく質レベル を観察すれば、例えばある治療養生法の効験を判定することができる。検出は、 この抗体を検出可能な物質につなげる(即ち物理的に連結する)と容易に行える 。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生 物発光物質、及び放射性物質がある。適した酵素の例には、西洋ワサビペルオキ シダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリ ンエステラーゼがあり、適した補欠分子団複合体の例には、ストレプトアビジン /ビオチン、及びアビジン/ビオチンがあり、適した蛍光物質の例にはウンベリ フェロン、フルオレセイン、フルオレセイニソチオシアネート、ローダミン、ジ クロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド又はフィコエリト リンがあり、蛍光物質の例にはルミノールがあり、生物発光物質の例にはルシフ ェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンがあり、適した放射性物質の例には125 I、131I、35S又は3Hがある。 組換え発現ベクタ及びホスト細胞 本発明のもう一つの態様は、本発明の融合たんぱく質をコードする核酸を含ん だベクタ、特に発現ベクタに関するものであり、例えば、VT結合ドメイン(又 はその一部分)をコードする核酸配列が、あるポリペプチド(例えば本発明のハ イブリッド化合物の第二ドメイン)をコードする少なくとも一つの別の核酸配列 に、その融合たんぱく質がホスト細胞で発現するのに適した形で有効に連結され たものである。「ホスト細胞で当該融合たんぱく質が発現するのに適した形で」 という術語は、その組換え発現ベクタに一つ又はそれ以上の調節配列が含まれて おり、当該融合たんぱく質をコードする核酸がmRNAに転写され、このmRN Aが当該融合たんぱく質に翻訳されるような態様で、これらの調節配列がこの核 酸に有効に連結されていることを意味するものとして意図されている。「調節配 列」という術語は当業で認識されており、プロモータ、エンハンサ及びその他の 発現制御要素(例えばポリアデニレーションシグナル)が含まれるものとして意 図されている。このような調節配列は当業者に公知であり、Goeddel,Gene Expre ssion Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1 990)に解説されている。発現ベクタのデザインを、トランスフェクトしようとす るホスト細胞、及び/又は、発現させようとする融合たんぱく質の量、の選択と いった因子に応じて変えてもよいことは理解されるはずである。 ここで用いられる場合の「ベクタ」という術語は、それが連結された別の核酸 を輸送することのできる核酸分子を言う。ベクタの一種は「プラスミド」である が、これはその中に別のDNAセグメントを結紮することのできる環状の二本鎖 DNAループを言う。もう一つの種類のベクタはウィルスベクタであり、このウ ィルスベクタでは、別のDNAセグメントはウィルスゲノム中に結紮することが できる。例えば複製欠陥レトロウィルス、アデノウィルス及びアデノ随伴ウィル スを利用可能である。組換えレトロウィルスを作成するプロトコル、及び、細胞 を生体外又は生体内でこのようなウィルスに感染させるプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology ,Ausubel,F.M.et al.(cds.)Grcene Publishing Associates,(1989),Sections 9.10-9.14や、その他の標 準的研究室用手引きに見ることができる。適したレトロウィルスの例には、当業 者に公知のpLJ、pZIP、pWE及びpEMがある。適したパッケージウィ ルス系の例には、ψCrlp、ψCre、ψ2及びψAmがある。アデノウィル スのゲノムは、トランスアクチベータ融合たんぱく質をコードし、かつ発現はす るが、通常の溶解によるウィルス生命周期で複製を行う能力という点で不活化さ れているよう、操作が可能である。例えばBerkner et al.(1988)BioTechniques 6 :616;Rosenfeld et al.(1991)Science 252:431-434;およびRosenfeld et al.(1 992)Cell 68:143-155を参照されたい。アデノウィルス株Ad型5dl324又はその 他の株のアデノウィルス(例えばAd2、Ad3、Ad7、等々)を由来とする適したア デノウィルスベクタは当業者に公知である。その代わりに、Tratschin et al.(1 985)Mol.Cell.Biol.5:3251-3260に説かれたもののようなアデノ随伴ウィルスベ クタを用いても本発明の融合たんぱく質を発現させることができる。 いくつかのベクタは、それらが導入されたホスト細胞内で自律増殖が可能であ る(例えばバクテリア複製開始点を有するバクテリアベクタ及びエピソームほ乳 類ベクタ)。その他のベクタ(例えば非エピソームほ乳類ベクタ)は、ホスト細 胞に導入されるとすぐにホスト細胞のゲノムに組み込まれてホストゲノムと共に 複製される。さらにいくつかのベクタは、それらが有効に連結された遺伝子の発 現を命令することができる。このようなベクタをここでは「発現ベクタ」と呼ぶ こととする。一般的には、組換えDNA技術で用いられる発現ベクタはしばしば 、プラスミドの形である。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクタ」は、プ ラスミドが最も普通に用いられている形のベクタであるために互換可能に用いら れている場合がある。しかしながら、本発明は、等価の機能を果たすこのような その他の形の発現ベクタ、例えばウィルスベクタ(例えば複製欠陥レトロウィル ス、アデノウィルス及びアデノ随伴ウィルスなど)、を含むものとして意図され ている。 本発明の組換え発現ベクタは、本発明の核酸を、ホスト細胞内でその核酸が発 現するのに適した形で含むが、このことは、当該組換え発現ベクタが、発現用に 用いるホスト細胞に基づいて選択された、かつ、発現させようとする核酸配列に 有効に連結された、一つ又はそれ以上の調節配列を含むことを意味するものであ る。ある組換え発現ベクタ内で「有効に連結された」とは、目的のヌクレオチド 配列が、そのヌクレオ チド配列の発現が(例えば生体外の転写/翻訳系において、又はベクタがホスト 細胞に導入される場合はホスト細胞において)可能であるような態様で調節配列 に連結されていることを意味するものとして意図されている。「調節配列」とい う術語はプロモータ、エンハンサ及びその他の発現制御要素(例えばポリアデニ レーションシグナル)を含むものとして意図されている。このような調節配列は 、例えばGoeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Aca demic Prcss,San Diego,CA(1990)に解説されている。調節配列には、数多くの種 類のホスト細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を命令するもの、及び、 特定のホスト細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を命令するもの(例えば 組織特異的調節配列)が含まれる。当業者であれば、発現ベクタのデザインを、 形質転換させようとするホスト細胞、たんぱく質の所望の発現量、等々の選択と いった因子に応じて変えてもよいことは理解されることであろう。本発明の発現 ベクタをホスト細胞内に導入すれば、ここで説明したような核酸によりコードさ れる、融合たんぱく質又はペプチドを含むたんぱく質又はペプチド(例えばVT 結合ドメインたんぱく質、VT結合ドメインの変異型、融合たんぱく質、等々) を生成させることができる。 本発明の組換え発現ベクタを、原核又は真核細胞内でその他の分子に有効に連 結されたVT結合ドメインが発現されるようにデザインすることができる。例え ば別の分子に有効に連結されたVT結合ドメインを、例えばE.coliなどのバクテ リア細胞、昆虫細胞(バキュロウィルス発現ベクタを用いて)酵母細胞又はほ乳 類細胞などで発現させることができる。適したホスト細胞はGoeddel,Gene Expre ssion Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1 990)にさらに説かれている。その代わりとしては、組換え発現ベクタを、例えば T7プロモータ調節配列及びT7ポリメラーゼを用いることで生体外で転写及び 翻訳させてもよい。 原核生物でのたんぱく質の発現は、融合又は非融合たんぱく質の発現を命令す る構成的又は誘起可能なプロモータを含んだベクタを用いてE.coliで行われるこ とが最も多い。融合ベクタにより、内部にコードされたたんぱく質、多くの場合 その組換えたんぱく質のアミノ末端、に数多くのアミノ酸が加えられる。このよ うな融合ベクタは典型的に三つの目的を果たす。即ち、1)組換えたんぱく質の 発現を増加させる、2)組換えたんぱく質の可溶性を増加させる、及び、3)ア フィニティ精製法でリガンド として作用させることで組換えたんぱく質の精製に役立てる、という目的である 。融合発現ベクタでは、しばしば、たんぱく分解による切断部位が融合成分と組 換えたんぱく質との継ぎ目に生じるため、融合たんぱく質を精製した後で融合成 分から組換えたんぱく質を単離することができる。このような酵素、及びそれら のコグネイト認識配列には、Xa因子、トロンビン、及びユーテロキナーゼ(原 語:euterokinase)が含まれる。典型的な融合発現ベクタには、それぞれグルタ チオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合たんぱく質、又 はプロテインAを目的の組換えたんぱく質に融合するpGEX(ファーマシア・ バイオテック社、Smith,D.B.andJohnson,K.S.(1988)Gene67:31.40)、pMAL( マサチューセッツ州ビバリー、ニューイングランド・バイオラブズ社)及びpR IT5(ニュージャージ州ピスカタウェイ、ファーマシア社)がある。適した誘 起可能な非融合E.coli発現ベクタの例にはpTrc(Amann et al.,(1988)Gene 69:301-315)及びpET11d(Studier et al.,Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,California(1990)60-89 )がある。pTrcベクタからの目的の遺伝子発現は、ハイブリッドtrp-lac融合 プロモータからのホストRNAポリメラーゼ転写に依拠する。pET11dベク タからの目的の遺伝子発現は、同時発現するウィルスRNAボリメラーゼ(T7 gn1)により媒介されるT7gn10-lac融合プロモータからの転写に依拠する。こ のウィルスポリメラーゼはホスト株のBL21(DE3)又はHMS174(D E3)により、lacUV5プロモータの転写制御下で、T7gn1遺伝子を持つ定住 λプロファージから提供される。 E.coliにおいて組換えたんぱく質の発現を最大にする一つの戦略は、この組換 えたんぱく質をたんぱく分解による開裂を行なう能力の損なわれたホストバクテ リアでこのたんぱく質を発現させることである(Gottesman,S.,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Californi a(1990)119-128)。もう一つの戦略は、各アミノ酸に対する個々のコドンがE.co liで優先的に用いられるものになるよう、発現ベクタ内に挿入しようとする核酸 の核酸配列を変更することである(Wada et al,(1992)Nucleic Acids Res.20:211 1-2118)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的なDNA合成技術によ り行うことができる。 別の実施例では、融合たんぱく質発現ベクタは酵母発現ベクタである。酵母 S.Cerevisiaeで発現させるベクタの例には、pYepSec1(Baldari,et al.,(1987)Em bo J.6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz,(1982)Cell 30:933-943)、pJRY 88(Schultz et al.,(1987)Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation ,San Diego,CA)、及びpicZ(InVitrogen Corp,San Dicgo,CA)がある。 その代わりに、その他の分子に有効に連結させたVT結合ドメインを、バキ ュロウィルス発現ベクタを用いることで昆虫細胞内で発現させることができる。 培養昆虫細胞(例えばSf9細胞)内でたんぱく質を発現させるのに入手可能な バキュロウィルスベクタには、pAcシリーズ(Smlth et al.(1983)Mol.Cell Biol .3:2156-2165)及びpVLシリーズ(Lucklow and Summers(1989)Virology 170:31 -39)がある。 さらに別の実施例では、本発明の核酸を、ほ乳類発現ベクタを用いてほ乳類 細胞中で発現させる。ほ乳類発現ベクタの例には、pCDM8(Seed,B.(1987)Na ture329:840))及びpMT2PC(Kaufman et al.(1987)EMBO J.6:187-195)が ある。ほ乳類細胞に用いられる場合、この発現ベクタの制御機能は、しばしば、 ウィルス調節要素により提供される。例えば、よく用いられるプロモータはポリ オーマ、アデノウィルス2、サイトメガロウィルス及びシミアンウィルス40を 由来とするものである。原核及び真核細胞の両方に適したその他の発現系につい ては、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.,and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Labor atory Manual.2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor La boratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989の16および17章を参照された い。 別の実施例では、組換えほ乳類発現ベクタは、核酸の発現を特定の細胞種で優 先的に命令できるものである(例えば組織特異的調節要素を用いて核酸を発現さ せる)。組織特異的調節要素は当業において公知である。適した組織特異的プロ モータの非制限的例には、アルブミンプロモータ(肝臓特異的、Pinkert et al. (1987)Genes Dev.l:268-277)、リンパ系特異的プロモータ(Calame and Eaton( 1988)Adv.Immunol.43:235-275))、特にT細胞レセプタのプロモータ(Winoto and Baltimore(1989)EMBOJ.8:729-733)及び免疫グロブリンのプロモータ(Banc rji et al.(1983)Cell 33:729-740;Queen and Baltimore(1983)Cell 33:741-748 ))、ニューロン特異的プロモータ(例えばニューロフィラメント・プロモータ ;Byrne and Ruddle(1989)PNAS 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモータ((Edlun d et al.(1985)Science 230:912-916))、及び乳腺特異的 プロモータ(例えば乳漿プロモータ、米国特許第4,873,316号及びヨー ロッパ出願公報第264,166号)がある。発生上調節を受けるプロモータも 包含されており、例えばマウスホックスプロモータ(Kessel and Gruss(1990) Science 249:374-379))及びa−フェトプロテインプロモータ(Campes and Til ghman(1989)GenesDev.3:537-546)である。 本発明はさらに、発現ベクタ内にアンチセンス方向でクローンされた本発明の DNA分子を含む組換え発現ベクタを提供するものである。つまり、このDNA 分子は、VT結合ドメインmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の( このDNA分子の転写による)発現が可能となるような態様で調節配列に有効に 連結されているのである。クローンされた核酸にアンチセンス方向で有効に連結 される調節配列は、例えばウィルスプロモータ及び/又はエンハンサなど、多様 な細胞種でアンチセンスRNA分子の継続的発現を命令するようなものを選択し てもよく、又は、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的又は細胞種特異的発 現を命令する調節配列を選択してもよい。アンチセンス発現ベクタは組換えプラ スミド、ファージミド又は弱毒化ウィルスの形でもよいが、このときアンチセン ス核酸は効率の高い調節領域の制御下で生成され、その活性はベクタが導入され る細胞種により決定が可能である。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調 節の議論についてはWeintraub,H.et al.,を参照されたい。遺伝分析のための分 子ツールとしてのアンチセンスRNAは,Reviews-Trends in Genetics,Vol.1(l) 1986を参照されたい。 本発明のもう一つの態様は、本発明の組換え発現ベクタを導入したホスト細胞 に関する。「ホスト細胞」及び「組換えホスト細胞」という術語はここでは互換 可能に用いられている。このような術語は、特定の対象細胞だけでなく、このよ うな細胞の子孫又は潜在的子孫も言うものとして理解される。突然変異又は環境 による影響により、いくつかの改変が次世代に起きるかも知れないため、このよ うな子孫は、実際のところ、親細胞と同一ではないかも知れないが、ここで用い られる限り、この術語の範囲に含まれている。 ホスト細胞はいかなる原核細胞でも真核細胞でもよい。例えば、本発明の融合 たんぱく質をE.coliなどのバクテリア細胞、昆虫細胞、酵母又はほ乳類細胞(例 えばチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)又はCOS細胞)などで発現 させてもよい。 その他の適したホスト細胞は当業者に公知である。 ベクタDNAは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術を用いて原核 又は真核細胞内に導入することができる。ここで用いられる場合の「形質転換」 及び「トランスフェクション」という術語は、外来の核酸(例えばDNA)をホ スト細胞に導入するための、例えばリン酸カルシウム又は塩化カルシウム同時沈 降法、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、又 は電気穿孔法などを含む、当業において認識されている様々な技術を言うものと して意図されている。ホスト細胞を形質転換又はトランスフェクトする適した方 法はSambrook,et al.(Molecular Clonlng:A Laboratory Manual.2nd,ed.,Cold S pring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)及びその他の研究室用手引きに見ることができる。 ほ乳類細胞の適したトランスフェクションに関しては、用いる発現ベクタ及び トランスフェクシヨン技術に応じて、細胞のうちのごくわずかしか、外来のDN Aをそれらのゲノムに組み込まないことがあることが知られている。これらの組 み込み体を同定かつ選別するためには、一般には選択マーカー(例えば抗生物質 耐性)をコードする遺伝子が、目的の遺伝子と共にホスト細胞に導入されている 。好適な選択マーカーの例には、例えばG418、ハイグロマイシン及びメトト レキセートなどの薬品に対する耐性をもたらすものがある。選択マーカーをコー ドする核酸は、本発明のA融合たんぱく質をコードするものと同じベクタに載せ てホスト細胞に導入してもよく、又は別のベクタに載せて導入してもよい。導入 された核酸で安定的にトランスフェクトした細胞は、薬品選別により同定が可能 である(例えば選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するがその他の細胞 は死ぬ、など)。 培養液中の本発明のホスト細胞、例えば原核又は真核ホスト細胞、を用いると 、その他の分子に有効に連結されたVT結合ドメインたんぱく質を生成(すなわ ち発現)させることができる。従って、本発明は、本発明のホスト細胞を用いて その他の分子に有効に連結されたVT結合ドメインたんぱく質を生成する方法を さらに提供するものである。ある一つの実施例では、当該方法は、本発明のホス ト細胞(その中にはその他の分子に有効に連結されたVT結合ドメインをコード する組換え発現ベクタが導入されている)を適した媒質で培養することで、その 他の分子に有効に連結されたV T結合ドメインたんぱく質を生成させるステップを含む。別の実施例では、当該 方法は、この媒質又はホスト細胞から、その他の分子に有効に連結されたVT結 合ドメインを単離するステップを含む。 本発明のホスト細胞は、さらに、非ヒトトランスジェニック動物を作成するた めにも用いることができる。例えば、ある実施例では、本発明のホスト細胞は受 精卵母細胞又は胚性幹細胞であり、その中にその他のコドン配列に有効に連結さ れたVT結合ドメインコドン配列が導入されている。個々で用いられる場合の「 トランスジェニック動物」とは、非ヒトの動物、好ましくはほ乳類、より好まし くはラット又はマウスなどのげっ歯類であって、その動物の細胞の一つ又はそれ 以上に導入遺伝子が含まれた動物である。トランスジェニック動物のその他の例 には、非ヒトの霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類、等々が ある。導入遺伝子は、ある細胞のゲノムに組み込まれる外来のDNAであり、こ の細胞からトランスジェニック動物が発生するのであるが、このDNAは成熟し たこの動物のゲノムに残るため、このトランスジェニック動物の一つ又はそれ以 上の細胞種又は組織において、コードされた遺伝子産物の発現を命令する、とい うものである。 本発明のトランスジェニック動物は、別の核酸分子に有効に連結された、VT 結合ドメインをコードする核酸を、受精卵母細胞のオスの前核に、例えば顕微注 射、レトロウィルス感染などにより導入し、この卵母細胞を擬妊娠の里親動物で 成長させることにより、作ることができる。組織特異的調節配列をこのVT結合 ドメイン導入遺伝子に有効に連結すると、特定の細胞に対し、VT結合ドメイン ハイブリッドたんぱく質の発現を命令することができる。胚操作及び顕微注射に よるトランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を作る方法は当業において 従来技術となっており、例えば、両方ともLeder et alによる米国特許第4,7 36,866号及び第4,870,009号、Wagner et al.による米国特許第 4,873,191号、及びHogan,b.,Manipulating the Mouse Embryo,(Cold S pring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)に解説されている。 同様な方法はその他のトランスジェニック動物の作成にも用いられる。トランス ジェニック創始者動物は、そのゲノム中に本発明のA融合たんぱく質の導入遺伝 子が存在するか、及び/又は、その動物の組織又は細胞のmRNAから本発明の A融合たんぱく質の発現があるか、に基づいて、同定が 可能である。その後トランスジェニック創始者動物を用い、その導入遺伝子を持 った動物をさらに繁殖させることができる。さらに、本発明のA融合たんぱく質 をコードする導入遺伝子を持ったトランスジェニック動物を、その他の導入遺伝 子を持ったその他のトランスジェニック動物に交配させることができる。 別の実施例では、導入遺伝子の発現を調節可能にする所定の系を含んだトラン スジェニック非ヒト動物を作成することが可能である。このような系の例の一つ は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコ ンビナーゼ系の説明に関しては、例えばLakso et al.(1992)PNAS 89:6232-6236 を参照されたい。リコンビナーゼ系のもう一つの例はSaccharomyces cerevisiae のFLPリコンビナーゼ系である(O'Gorman et al.(1991)Science 251:1351-135 5。cre/loxPリコンビナーゼ系を用いて導入遺伝子の発現を調節する場合は、Cre リコンビナーゼと、所定のたんぱく質の両方をコードする導入遺伝子を含んだ動 物が必要である。このような動物は、例えば、一方が所定のたんぱく質をコード する導入遺伝子を含んでおり、他方がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を 含んでいる、二種類のトランスジェニック動物を交配するなどして、「二重の」 トランスジェニック動物を構成して作ることができる。 ここで説明された非ヒトトランスジェニック動物のクローンはさらに、Wilmut ,I.et al.(1997)Nature 385:810-813に説かれた方法に基づいても作成が可能で ある。簡単に説明すると、トランスジェニック動物から細胞、例えば体細胞、を 単離し、その成長周期から出てG0段階に入るように誘発する。この静止状態の 細胞を次に、例えば電気パルスを用いるなどして、その静止状態の細胞を単離し たのと同じ種の動物から採った除核された卵母細胞に融合させることができる。 次に、この再構成された卵母細胞を培養し、桑実胚又は未分化胚芽細胞に成長さ せた後、擬妊娠のメス里親動物に移す。このメスの里親動物から生まれた子ども は、前記細胞、例えば体細胞、を単離した動物のクローンということになる。 薬学的組成物 本発明の核酸分子(例えば本発明の融合たんぱく質をコードする核酸)、本発 明のハイブリッド化合物、及び本発明の抗VT結合ドメイン抗体(ここでは「有 効化合物 とも呼ばれる」は、投与に適した薬学的組成物に組み入れることができる。この ような組成物は、典型的には、前記核酸分子、ハイブリッド化合物、又は抗体と 、薬学的に容認可能な担体とを含むものである。ここで用いられる場合の「薬学 的に容認可能な担体」という言語は、薬学的投与に適合性のある、いかなる及び あらゆる溶剤、分散媒質、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張液及び吸収 遅延剤、等々、を含むものとして意図されている。薬学的に有効な物質のための このような媒質及び作用薬の利用は当業において公知である。何らかの従来の媒 質又は作用薬が当該有効化合物に適合性がない場合を除いて、当該組成物中への その利用は考察されるところである。さらに補助的有効化合物も組成物中に組み 込んでもよい。 本発明の薬学的組成物は、その意図された投与経路にとって適合性あるように 調製される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例 えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸内投与がある。非経口、皮内、又 は皮下適用に用いられる溶液又は懸濁液には、以下の成分を含めることができる 。即ち、注射用の水などの滅菌希釈液、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリ コール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶剤や、ベンジル アルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナ トリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン4酢酸などのキレート剤、酢酸、ク エン酸又はリン酸などの緩衝剤、及び、塩化ナトリウム又はデキストロースなど の張性調節剤、である。pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用 いて調節が可能である。非経口用製剤はガラス製又はプラスチック製のアンプル 、使い捨てのシリンジ、又は、多人数用バイアルに封入することができる。 注射可能な利用に適した薬学的組成物には、無菌の水性溶液(水溶性である場 合)又は分散液、及び、無菌の注射可能な溶液又は分散液の即時調合剤用の無菌 粉末が含まれる。静脈投与に関しては、適した担体には生理学的生理食塩水、静 菌水、Cremophor ELTM(ニュージャージー州パーシパニー、バスフ社製)又はリ ン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無 菌でなければならず、また注入が容易に行える程度に流動的でなければならない 。また製造及び保存条件下で安定的であり、かつ、バクテリア及び真菌などの微 生物の汚染作用から守られて保管されなければならない。担体は、例えば水、エ タノール、ポリオール(例 えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール、 等々)、及びこれらの適した混合液を含んだ溶剤又は分散媒質であってよい。適 した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを利用したり、分散液の場 合には必要な粒子寸法を維持したり、そして界面活性剤を利用するなどして、維 持することが可能である。微生物による作用を防止するには、多様な抗菌及び抗 真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チ メロザール、等々、により行うことができる。多くの場合、例えば糖類や、マン ニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウム、などの等張剤 を組成物中に含めることが好ましいことであろう。注射可能な組成物の長期吸収 を行わせるには、組成物中に、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチ ンなど、吸収を遅らせる物質を含めると可能である。 無菌の注射可能な溶液は、必要量の当該有効化合物(例えば本発明のハイブリ ッド化合物)を、適した溶剤中に、上掲した含有成分の一つ又は組み合わせを必 要に応じて加えて組み込み、その後濾過滅菌することで調製することができる。 一般的には、分散液は、当該有効化合物を、基本となる分散媒質及び上掲した必 要なその他の含有成分を含んだ無菌の伝播体に組み込むことで調製される。無菌 の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末の場合には、好適な調製法は真空乾 燥及び凍結乾燥であり、この結果、有効含有成分の粉末と、更なる所望の含有成 分とが、先に滅菌濾過されたそれらの溶液から生じることとなる。 経口用組成物には一般には不活性の希釈剤又は食用の担体が含まれる。これら はゼラチンのカプセルに封入されても、又は錠剤に圧縮されてもよい。経口用の 治療目的の投与の場合には、有効化合物は賦形剤と一緒に組み込まれてもよく、 また錠剤、トローチ、又はカプセルの形で用いられてもよい。経口用組成物はさ らに、含嗽剤として用いられる流動性の担体を用いて調製されてもよいが、この とき流動性の担体中の当該化合物は経口で投与され、スイッシュ(原語:swish )され、吐き出され、又は飲み込まれる。 薬学的に適合性のある結合剤、及び/又はアジュバント物質を組成物の一部 として含めてもよい。錠剤、ピル、カプセル、トローチ、等々には、以下の含有 成分、又は同様の性質の化合物、のうちのいずれをも含めることができる。即ち 、微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤、でんぷん 又はラクトースな どの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(原語:Primogel)又はコーンスターチな どの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はステロート(原語:Sterotes)など の潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などのグリダント(原語:glidant)、ショ 糖又はサッカリンなどの甘味料、又はペパーミント、サリチル酸メチル、又はオ レンジ着香料などの香料、である。 吸入による投与では、当該化合物は、例えば二酸化炭素などのガスなどの適し た噴射剤を含んだ加圧容器又はディスペンサ、あるいはネブライザからエーロゾ ル噴霧という形で提供される。 全身投与はさらに経粘膜又は経皮的手段により行うことができる。経粘膜又は 経皮投与の場合は、透過の障害に適した浸透剤を製剤中に用いる。このような浸 透剤は当業において公知であるが、例えば経粘膜投与の場合には洗剤、胆汁酸塩 、及びフシジン酸誘導体がこれに含まれる。経粘膜投与は鼻腔スプレー又は座薬 の利用を通じて達成可能である。経皮投与の場合は、当該有効化合物を、当業に おいて広く公知のように軟膏、軟膏、ゲル又はクリームに調製する。 当該化合物はさらに、直腸送達に向けて座薬(例えばココアバター及びその他 のグリセリドなどの従来の座薬基剤と共に)又は固定注腸薬の形で調製してもよ い。 ある一つの実施例では、当該有効化合物は、インプラント及びマイクロカプセ ルに封入された送達系を含む、例えば制御放出製剤など、身体から急速に失われ ないよう同化合物を保護することとなる担体と共に調製される。例えばエチレン 酢酸ビニル、多価無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル 、及びポリ乳酸などの生分解性、生適合性のポリマーを用いることもできる。こ のような製剤を調製する方法は当業者には明白である。さらにこれらの材料はア ルザ・コーポレーション及びノヴァ・ファーマスーティカルズ社から市販のもの が入手可能である。(ウィルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細 胞を標的にするリポソームを含む)リポソーム懸濁液もまた薬学的に容認可能な 担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許第4,522,81 1号に解説されたように、当業において公知の方法に基づいて調製が可能である 。 投与が容易になるよう、そして用量が均一になるよう、経口用又は非経口用組 成物は用量単位の形に調製すると特に有利である。ここで用いられる場合の用量 単位の形 とは、処置を施そうとする被験者に合った単位用量としての物理的に別々の単位 を言い、各単位は、必要な薬学的担体とあいまって所望の治療効果を生じるよう 計算された所定量の有効化合物を含む。本発明の用量単位型の詳細は、当該有効 化合物に固有の性質、達成しようとする特定の治療効果、及び、個人の治療目的 のこのような化合物を配合する上で当業において内在する限界、により決定され 、また直接これらに依存するものである。 本発明の核酸分子はベクタ内に挿入可能であり、また例えばここで上述したよ うに遺伝子治療ベクタとして用いることができる。遺伝子治療ベクタは、被験者 に対し、例えば静脈注射、局部投与(米国特許第5,328,470号を参照さ れたい)又は定位注射(例えばChen et al.(1994)PNAS 91:3054-3057)により送 達することができる。遺伝子治療ベクタの薬学的製剤には、容認可能な希釈剤中 に含有させた形で遺伝子治療ベクタを含めてもよく、又は、遺伝子送達伝播体が その中に埋め込まれた遅延放出マトリックスを含めてもよい。その代わりに、完 全な遺伝子送達ベクタが組換え細胞、例えばレトロウィルスベクタ、を用いずに 作成可能である場合、この遺伝子送達系を生じる一つ又はそれ以上の細胞をこの 薬学的製剤に含めてもよい。 本薬学的組成物を、容器、パック、又はディスペンサ内に、投与に関する指示 書と共に梱包してもよい。 本発明の利用及び方法 ここで説明された核酸分子、ハイブリッド化合物、及び抗体を治療方法に用い ることができる。ここで説明したように、本発明のハイブリッド化合物は以下の 活性を有することが考えられる。即ち、(i)細胞表面上の特異レセプタ、例え ばGb3、と相互作用する(例えば結合する)ことができる、(ii)そのレセ プタに結合する一方、細胞内に内部移入する、及び(iii)細胞内の特異的位 置に送達される、である。このように、別の成分に(例えば共有結合を通じて) 結合したVT結合ドメインを用いることで、(i)小型の分子、例えばペプチド 、核酸分子、を内部移入させる、(ii)薬学的組成物を内部移入させる、及び (iii)細胞内位置を特異的にターゲットする、ことができる。 このように、本発明は、細胞関連活性(例えば細胞成長、複製、内生又は外来 の遺 伝子産物の発現、等々)を変調する方法に関連する。その方法の一例は、ある細 胞を本発明のハイブリッド化合物に接触させて、ある細胞関連活性(例えば成長 又は分化)を、そのハイブリッド化合物の不存在下でのその細胞の細胞関連活性 に比較して変化させるステップを含む。 本発明はさらに、Gb3含有細胞内への内部移入に向けて、ある細胞をターゲ ットする方法にも関連する。当該方法には前記細胞を本発明のハイブリッド化合 物に接触させるステップが含まれるが、このときこのハイブリッド化合物には内 部移入用の成分が含まれるため、このハイブリッド化合物が細胞内へ内部移入す ることとなる。当該成分は細胞内へ送達しようとするいかなる成分でもよく、例 えば(例えば細胞を殺すためなどの)毒素、ポリヌクレオチド、例えば(例えば 遺伝子改変用の、例えば細胞中で遺伝子産物を発現させるための)ある遺伝子、 たんぱく質又はペプチド(例えば抗体又は抗原)、等々、でもよい。Gb3結合 成分は、上に説明したように例えば抗Gb3抗体でもよい。ターゲットとされた 成分は上述したようにGb3結合成分に結合させても抱合させてもよい。 従って、本発明は、被験者、例えば(ヒト以外の動物及びヒトを含む)ほ乳類 を含む動物、を治療、予防、又は診断するための方法に関するものである。ある 実施例では、本発明は、ある被験者の処置、治療又は診断のためのハイブリッド 化合物の利用を提供する。ある実施例では、本発明は、被験者の治療、診断又は 予防用の薬剤を製造するための、本発明のハイブリッド化合物の利用を提供する 。例えば、本発明のハイブリッド化合物を含有する薬剤を、ある疾患の状態が治 療されるよう、被験者に投与することができる。例えば、当該ハイブリッド化合 物には、VT−Bを含む第一ドメインと、この第一ドメインに共有結合した、あ る遺伝子をコードする核酸を含んだ第二ドメインとを含めることができる。(選 択に応じて薬学的に容認可能な担体中に含有させた)当該ハイブリッド化合物の 投与は、Gb3を発現する細胞にこの遺伝子を送達する手段となる。こうしてこ の遺伝子は細胞のゲノムに組み込まれ、この細胞がその遺伝子産物を発現するこ とができるようになる。例えば、この遺伝子は、例えば先天性の遺伝子欠陥の結 果であるADA欠損症の被験者に欠けている酵素である酵素アデノシンデアミナ ーゼ(ADA)をコードするものでもよいであろう。このように本発明は、例え ば遺伝子治療による、遺伝的欠陥の治療方法に関する。別の実施例 では、当該ハイブリッド化合物には、VT−Bを含む第一ドメインと、この第一 ドメインに共有結合した、酵素を含む第二ドメインとが含まれ、この酵素は例え ば被験者又は被験者の組織にない(又は存在する量が不十分である)酵素などで ある。例えばこの酵素は例えばADAでもよいであろう。 別の例では、ハイブリッド化合物は、VT−Bを含む第一ドメインと、この第 一ドメインに共有結合した、ある細胞、例えばがん細胞、に見られる核酸に対し てアンチセンスである核酸を含む第二ドメインとを含む。このハイブリッド化合 物を投与し、このハイブリッド化合物が細胞内に内部移入すると、特定の遺伝子 又は遺伝子群の発現のアンチセンス調節が可能である。 別の実例では、ハイブリッド化合物は、VT−Bを含む第一ドメインと、放射 性核種(その多くは当業において公知である)をキレートするキレート成分を含 む第二ドメインとを含む。例えば、N22又はN3Sキレータなどのキレート成 分(例えば米国特許第5,091,514号、第5,573,748号及び第5 ,556,982号及びこれらで引用された文献を参照されたい)を用いれば、 細胞に送達する放射性核種をキレートすることができる。放射性核種にキレート すれば、このような本発明によるハイブリッド化合物を、Gb3を発現する細胞 に選択的に送達することができ、細胞内の標的をここで提供したように選別する ことができる。例えばがんの治療の場合には、このハイブリッド化合物に、その 細胞のDNAを放射すると細胞死に至らせることができるような核を標的とさせ ることができ、これは化学療法の選択的なターゲティングの形である。放射性標 識を付けたハイブリッド化合物を、例えば臓器、組織、等々の影像化に用いるこ とも可能である。 がん治療の別の方法を、マイトマイシンなどのDNA修飾薬を第一ドメイン( 例えばVT−B)につなげることで提供してもよい。DNAを修飾するこの二番 目の部分が核に送達されると、この薬品に、DNAへの損傷を与えさせ、細胞死 を引き起こさせることができる。 本発明のハイブリッド化合物を用い、核小体を標的とすれば、(例えば核小体 中の)RNAのプロセッシングに影響を与えることができる。RNAのプロセッ シングに影響を与える第二ドメインを利用して細胞内でのRNAプロセッシング を改変することができるのである。 以下の実施例により、さらに本発明の実例をさらに挙げるが以下の実施例は限 定的に捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用された全文献、特許出願 、特許、及び公開済特許出願の内容を、ここに参考文献として編入することとす る。 実施例 以下の材料及び方法を実施例で用いた。 ベロ毒素の精製 pJLB28(23)由来の組換えVT1、及びVT1Bサブユニット(24 )を、最近開発されたアフィニティクロマトグラフィ技術(25)により精製し 、PBSに分取し、−70℃で保存した。精製されたBサブユニットは、説かれ たように(11)フルオレセイン(又はローダミン)イソチオシアネートで標識 付けした。 細胞培養 永久ヒト悪性星状細胞腫細胞系(SF−126、SF−188、SF−539 、U87−MG、U251−MG、及びXF−498(J.Rutka博士により提供さ れたもの)HSC(26−29)。細胞系はすべて単層にして、MEM(ギブコ 社製)に非必須アミノ酸、グルタミン、ゲンタマイシン、及び10%の加熱不活 化ウシ胎児血清を加えたものの中で成長させたが、XF498(これはRPMI 媒質で成長させた)、及び、親のSKOV3卵巣癌細胞系の多剤耐性変異株であ るSKVLB(1μg/mlのビンブラスチンの存在下で成長させた)はその例 外とした(30)。 ベロ毒素の細胞毒性 マイクロタイタ・プレート中の準集密的細胞を三対にして10倍のVT希釈 液と共にインキュベートし、72時間後に残った細胞を0.1%のクリスタルバ イオレットで染色し、マイクロタイタ・プレート・リーダーを用いて570nm で光学密度を測定することで、定量した(31)。 図1は、VT1の濃度を増加させたときの六つの星状細胞腫細胞系の細胞毒性 反応を示すものである。各細胞系はVT1に感受性を持つが、感受性が最大(S F539)と最小(XF498)の細胞系の間に>5000倍の違いがあること が明白であった。 我々は以前に、多剤耐性卵巣癌変異株細胞系SKVLB及びSKOVCは親S KOV3細胞系に比べて、〜1000倍、VTに対する感受性が高いことを示唆 した(22)。培養細胞の糖脂質抽出液 トリプシン処理後、細胞(〜1×106)をPBSで三回洗浄し、最少量にし て再懸濁させ、20容量の2:1容量のクロロホルム/メタノール(C/M)で 抽出した。この抽出液を水に分配し、下側の相を再度、理論的上側の相に対して 分配した。次に配合された下側の相を蒸発させ、1NのNaOHのメタノール溶 液で鹸化させ、糖脂質を上述したように再抽出した。乾燥させた下相をCM98 :2に溶解させ、シリカクロマトグラフィで単離した(32)。そのカラムをク ロロホルムでよく洗浄し、アセトン/メタノール(9:1容量比)中に糖脂質を 溶出させた。存在するGb3をVT1に結合しているオーバーレイにより検出し た(16)。 VT1薄層クロマトグラフィ・オーバーレイによるGb3含有量の検定 ヒト腫瘍試料の、又は腫瘍細胞系の糖脂質抽出液のアリクォートをTLC{ク ロロホルム、メタノール、水−65:25:4(v/v/v)}で単離した。こ のプレートを乾燥し、1%のゼラチン水溶液で37℃で一晩、遮断した。次にこ れらを三回、50mMのTBSで5分間洗浄し、0.1μg/mlの毒素で1時 間、室温でインキュベートした。さらにTBSで洗浄した後、プレートを、VT 1に対するマウスモノクローナル抗VT−1抗体(33)(2μg/ml)と共 にインキュベートした後、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体と共 にインキュベートした。最後に、このプレートをTBSで洗浄し、毒素の結合を 4−クロロ−1−ナフトールペルオキシダーゼ基質で視覚化した。同様のプレー トを作成し、オルシノールを噴霧して糖脂質の含有量を比較した。 VTに対する感受性を持つには毒素レセプタ糖脂質であるGb3の存在が必須 であるため、六つの星状細胞腫細胞系のGb3含有量をTLCオーバーレイによ り分析した。星状細胞腫細胞系のそれぞれが高いレベルのGb3を発現していた 。感受性が最大の細胞系であったSF−539、及び最小のXF−498が、最 も高いレセプタ量を発現していた。このように、Gb3含有量は、これらの細胞 間にある、VTに対する感受性の著しい違いを説明するには十分ではない。 以前のGb3含有量のVT1のTLCオーバーレイ分析もまた、ゆっくり移動 する 種のGb3の量がSKVLBにおいて高いことが示されていた(22)。SKO V3及びSKVLB Gb3の脂肪酸メチルエステルの比較HPLC分析を行った 。星状細胞腫細胞に関する限り、C12より短い脂肪酸、及び、ヒドロキシ脂肪 酸は検出されなかった。この結果は、SKOV3のGb3に比較したときに、SK VLBでは短鎖の脂肪酸、即ちC16:0及び特にC18:0の脂肪酸、が著し く増加している一方、長鎖の脂肪酸、即ちC22:0、24:0及び24:1の 含有量がSKOV3のGb3に比較して大きく減少していることを示すものであ る。このように、MDR細胞系SKVLBのGb3脂肪酸含有量の変化は、SF 529対XF498細胞に関して観察された違いと同様であり、またXF498 細胞を酪酸処理した後に見られる違いとも同様である。それぞれの場合において 、VT1に対する感受性の増加は、短鎖の脂肪酸Gb3種の比率の増加と相関関 係にあった。 酪酸処理による、VTに対する細胞の感作 XF−498星状細胞腫、卵巣腫瘍及びベロ細胞系を、2mMの酪酸ナトリウ ム(又は星状細胞腫細胞に関してはプロピオン酸又はカプロン酸)を含有する媒 質中で培養した。 酪酸ナトリウムはいくつかの細胞系(12,13,43,44)においてV Tに対する感受性を増加させることが見つかっている。従って我々は、XF−4 98細胞で、酪酸のVT感受性に対する影響を調べた。 形態及び成長:当初の研究ではXF−498細胞を酪酸処理するとこれらの細 胞の形態に重大な影響があることが示されていた。XF−498細胞は小型で丸 い、積み重なる細胞であるが、集密しても単層を形成しない。対照的に、SF− 539細胞は平坦、星状であり、集密的な単層を形成する。酪酸処理したXF− 498細胞はSF−539細胞と同様な形態を採る。プロピオン酸中で培養した XF498細胞は同様な、しかしあまりそれほど大きくない形態上の変化を見せ るが、カプロン酸で培養したXF498細胞の培養株には何の影響もなかった。 糖脂質の生合成のPPMP阻害(45)が、酪酸の誘発する形態学的変化を妨げ たのである。PPMP単独ではXF498の形態には全く変化がなかった。 VT1感受性:より似ているSF596細胞に形態学的変化をもたらすだけで なく、 酪酸は、XF498細胞のVT1に対する感受性の著しい上昇(5000倍)も 誘発していた。VT1感受性はプロピオン酸処理した細胞ではこれより程度の低 い上昇を見せたが、カプロン酸では何の影響もなかった。Sandvig氏が報告した ように、PPMPは、酪酸の誘発するXF−498細胞(図示せず)のVT1感 受性を妨げたのである。 細胞レベル下VTターゲティング:XF498細胞を酪酸処理することで誘発 されたVT1に対する感受性上昇と同時に、酪酸はVT1Bの細胞内経路にも大 きな変化を引き起こし、その結果この毒素はSF−539では主にER/核膜の 周囲に局在していた。連続切断の結果、このBサブユニットは一部、核の限られ た領域に局在したことが示された。複合共焦点影像でこの核を横切って「z」ス キャンしたものをピクセル積分すると、SF529細胞では核の境界面と、中央 の核内ピークに相当する三つの標識最大値があったが、XF498細胞では周囲 又は核内に染色はなく核に近接したピークが一個あるだけであった。酪酸処理す ると、XF498細胞の主な標識が核内に来る。 免疫電子顕微鏡で見ると、VT1BがSF−539細胞及び酪酸処理したXF −498細胞で核に配置されていることが確認された。未処理のXF498細胞 では、VTIBはゴルジ体で検出されたが核の標識はバックグラウンドを越えて いなかった。 Gb3の発現:酪酸処理は既に、Gb3の合成を誘起することでVT感受性の 増加を媒介することが判明している(43,46)。従って、酪酸処理の前後に 、SF539細胞のGb3含有量を、XF498細胞のそれに、VT1のTLC オーバーレイにより比較した。XF498細胞に含まれたGb3は、腎臓の標準 であるより早いGb3のバンドに相当する一本のバンドとしてTLCを移動する ことが判明した。対照的に、SF539細胞には、より遅い移動を見せるGb3 バンドが別に含まれている。酪酸処理すると、XF498細胞中のこのより遅い Gb3バンドが劇的に、かつ選択的に増加し、その結果このバンドが今度は最も 優勢なVT1結合Gb3種となる。このGb3種はさらに、プロピオン酸処理後は 程度は小さいが選択的に上昇するが、カプロン酸では何の影響もない。 Gb3脂肪酸イソホームの発現:酪酸処理前後のSF539細胞及びXF49 8細胞から精製されたGb3の脂肪酸組成をHPLC分析した結果、SF539 のGb3 種は、XF498のGb3に比較して、短鎖の脂肪酸(C16及びC18)が増 えており、長鎖の種(C22、C24)が失われていることが分かった。酪酸処 理したXF498中のGb3種を、遅い「中間の」画分と、早い画分とに小分画 すると、酪酸により、C16脂肪酸含有量が著しく増加しており、移動の遅いG b3種のC24脂肪酸含有量が減少していることが確認された。 細胞表面のVT1結合:星状細胞腫細胞の示差的なVT1感受性が、毒素の結 合の違いを原因とするものである可能性を除外するために、4℃での細胞表面結 合を125Iで標識したVT1を用いて定量した。XF498(酪酸処理有り及び なし)及びSF539の比較を図2に示す。三つの細胞「種」はすべて似通った VT1結合を見せている。何かあるとすれば、VTにより感受性の高い酪酸処理 された細胞のVT結合がより小さいことである。 電子顕微鏡法 VT1のSF−539細胞及びXF−498細胞内でのターゲティングを、透 過型EMにより詳細に調べた。細胞を24ウェルの組織培養プレート中の移動可 能の膜インサート上で培養し、集密的な単層を形成させた。表面結合のためには 、この細胞を5μg/mlのVT1Bの存在下で4℃で30分間インキュベート し、冷却したPBSで洗浄した。次に、細胞を抗VTIB−次抗体、続いてGA M−ゴールドニ次抗体と共に30分間、4℃でインキュベートした。毒素の内部 移入を調べるためには、細胞をVT1B(5μg/ml)と共に37℃で1時間 、インキュベートした。いずれの処置でも、細胞を、2.5%のグルテアルデヒ ド(原語:gluteraldehyde)、2%のパラホルムアルデヒドのPBS溶液中に3 0分間、室温で固定した。PBSで洗浄した後、細胞を1%の四酸化オスミウム のリン酸緩衝溶液で30分間、後固定し、生理食塩水で洗浄した。この細胞をさ らに2%の酢酸ウラニルの30%エタノール溶液で15分間(38)、後固定し 、エタノール勾配して脱水した。脱水した細胞を50%から75%までのEponの 100%エタノール溶液でそれぞれ30分間、連続濾過し、最終的には100% のEponで1時間、Eponを二回取り換えて連続濾過した。膜をホルダから取り外し 、100%のEponを充填したゼラチン・カプセル中に垂直に挿入し、65℃で重 合させた。 重合させたブロックを超ミクロトーム上で切片にして、表面結合研究用の切片 を対比染色し、内部移入研究用の切片は免疫標識を付けた。これらの切片を飽和 メタ過ヨウ素酸ナトリウムで30分間処理して抗原性を明らかにし(39)、蒸 留水で洗浄した。これらの切片を次に、0.1%のBSA、0.2%のフィッシ ュ・スキン・ゼラチンの50mMのTBS(150mMのNaCl、50mMの Tris、pH7.4)溶液の一滴上に30分間浮かせて遮断し、抗VTIB抗体の 1:50希釈液、続いてGAM−15又は−10nmの金の1:50希釈液でそ れぞれ1時間、室温で免疫標識を施し、各ステップの終わりには貫流洗浄した。 最後に、切片を5%の酢酸ウラニルで、そしてレイノルズのクエン酸鉛でそれぞ れ6分間染色し、フィリップス300EM顕微鏡で60kVで分析した。 実施例1: 標識付けしたハイブリッドVT成分の調製 リソソームの標識(FITC−デキストラン及びRITC−VT1B二重標識 ) FITC−デキストランの内部移入を以前のようにリソソーム・マーカーとし て用いた(34)。カバースリップ上で一晩成長させた細胞を、0.5μg/m lのFITC−デキストランのMEM溶液と共に24時間、37℃でインキュベ ートし、新しい媒質で2時間、同じ温度で追跡した。RITC−VTIB(2− 5μg/ml)を、追跡の最後1時間の時点で、37℃でこの細胞に加えた。次 に細胞を無菌のTBSで5回洗浄し、2%のホルムアルデヒド中に固定し、DABC Oに載せ(35)、Polyvar蛍光顕微鏡を用いて入射蛍光下で視覚化した。蛍光影 像をKodak TMAX400ASAフィルムに記録した。 未処置の細胞の125Iベロ毒素結合 細胞を96ウェル・プレートで成長させた。媒質を吸引し、細胞を室温のPB S(pH7.4)で洗浄した。細胞を氷上に平衡させた後、100μlの氷温の PBSを各ウェルに加えた。放射性標識を付けた毒素を加え、氷上で1時間、イ ンキュベートした。その後結合しなかった毒素を氷温のPBSで3回、洗い落と した。細胞を、各ウェルに加えられた1mlの10%SDSで可溶化し、37℃ で15分間インキュベートし、抽出物をガンマ・カウンタで計数した。糖脂質合成の阻害 PPMP(1−フェニール−2−ヘキサデカノイルアミノ−3−モルホリノ− 1−プロパノール、ペンシルバニア州プレザントギャップ、マトレイヤ社製)は 、グリコシルセラミド合成の潜在的阻害物質であり(36)、従って大半の糖脂 質の合成を妨げるものである。実験により、27μMのPPMPは細胞死を誘発 することなくスフィンゴ糖脂質の合成を阻害できることが確定されている。こう してXF−498星状細胞腫細胞及びベロ細胞を37℃で27μMのPPMPと 共に、2mMの酪酸の存在下及び不存在下で6−7日間、インキュベートした。蛍光顕微鏡法 FITC−VT1Bをかつて述べられたように調製した(11,37)。簡単 に説明すると、50μgの精製されたVT1をホウ酸緩衝液(50mM、pH9 .0)で一晩、透析した。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(1 0mg/ml)をこの透析されたVT1Bサブユニットに加え、2時間、4℃で 暗がりで反応させた後、PBSで透析した。フルオレセインに抱合したVT1B を−70℃で保存した。ローダミンに抱合したVT1B(RITC−VT1B) も同様に調製した。星状細胞腫細胞におけるVT1の細胞レベル下ターゲティン グを調べるために、ガラス製のカバースリップ上で一晩成長させたSF−539 及びXF−498細胞を、10μg/mlのFITC−VT1Bの存在下で1時 間、37℃でインキュベートしてVT1を内部移入させた。50mMのPBSで よく洗浄した後、細胞をDABCOに載せて蛍光顕微鏡で調べた。 共焦点顕微鏡法 VT1細胞レベル下ターゲティングの三次元トポロジーを調べるために、カバ ースリップ上で成長させた腫瘍細胞を10μg/mlのFITC−VT1Bの存 在下で37℃で1時間、インキュベートした。50mMのPBSでよく洗浄した 後、細胞をDABCOに載せ、40×の対物レンズを付けたレーザー共焦点顕微鏡を 用いた共焦点顕微鏡法により、調べた。二重標識のために、RITC−VT1B 標識した細胞を固 定し、サポシン又は0.1%のTritonを浸透させ、ウサギ抗ERGIC53(バーゼ ル、ビオゼントラム、H.Hauri博士からご好意により提供されたもの)又は抗B IP(アミノ酸に向けられたものであり、その他のhsp70とは交差反応性はない 、サンタクルズ社製)、続いてFITCで標識したウサギ抗マウスIg、又はFI TCで標識したConA、で処理し、よく洗浄した。リソソームの二重標識には、R ITC−VT1Bで1時間インキュベートする前に、細胞をFITCで標識した デキストランで一晩予処理した。 488nm及び565nm波長の両方のビームを生じるよう調製したクリプト ン/アルゴンレーザーを用いてそれぞれフルオレセイン及びローダミンを励振さ せた。複式フィルタブロックであるK1K2により、フルオレセイン及びローダ ミンの発光を同時に観察することができた。シグナルは、1μmの厚さの光切片 により記録された。二つのチャンネル(FITC及びRITC)からの交差発光 を防ぐために、隔板及び蛍光検出レベルを調節した。画像をKalmanフィルタ(平 均6画像)で記録し、KodakT−max400フィルムに移した。そのデジタル画像 をコンピュータ分析することで、二重に標識された構造の精確な同定が可能であ った。 実施例2: 標識付けされたハイブリッドVT結合ドメイン成分のRME 星状細胞腫細胞系におけるVT1Bの細胞レベル下ターゲティング RMEに続いて、VT1の細胞内経路を、FITCで標識したBサブユニット を用いてSF−539細胞及びXF−498細胞において観察した。同様の結果 がFITC−VT1を用いて得られた(データは図示せず)。 FITC−VT1Bの局在化パターンは、SF−539及びXF−498星状 細胞腫細胞系において、Gb3含有量及び4℃での細胞表面結合が似たようなも のであるにもかかわらず、完全に異なっていた。VT感受性がより高いSF−5 39細胞では、37℃で、細胞内FITC−VT1−Bは核の周囲及び見かけ上 は核内にも蓄積していた。しかしながら、XF−498細胞におけるFITC− VT1−Bの細胞内局在化は核に近接した位置に起きており、ゴルジ体の位置と 一致していた。二重標識共焦点顕微鏡法により、SF−539細胞ではVT1B が核膜/ER及び核を標的としていることが証明された。SF−539細胞では 、RITC−Bもまた、ER(41) のマーカーである抗BIP(GRP78)と共に核の周りのリングのように同時 局在化していた。VT1B及びBIPの点状の染色は大部分が一致していたが、 いくつかのBIP染色には対応する毒素局在化がなく、またその逆もなかった。 後者の結果はおそらく、一つには、中間の区画の小胞(ゴルジ体とERとの間) へのVT1Bの局在化によるものである(42)。加えて、核内染色がVT1B ではっきりと見られるがBIPについては見られない。部分的に中間区画小胞の マーカーであるERGIC53の染色は、VT1Bの染色と同じ位置にあった。対照的 に、XF−498については核染色は見られなかった。二重標識共焦点顕微鏡法 の結果、XF498細胞で標識された核近接構造はConAで標識されたゴルジ体と 同じ位置にあることが示された。VTIBはゴルジ体に限られており、核の周り のERのもう一つのConA染色と一緒に局在化はしていなかった。 RITCで標識されたVT1Bと、FITC−デキストラン(リソソームのマ ーカー)との同時局在化の程度をXF−498細胞で観察すると、この毒素はリ ソソーム/エンドソームの小胞を通じてこれらの細胞中に内部移入していること が示された。SF−539細胞では(及び酪酸処理したXF−498細胞では、 −これは図示せず)FITC−デキストランはどのRITC−VT1Bとも同時 局在化していなかった。 共焦点顕微鏡法を行うと、FITC−VT1−BはSKVLB及びSKOV3 細胞では示唆的に標的したことが分かる。SKVLB細胞では、内部移入したこ の毒素は核膜/ER及び核で見られるが、SKOV3細胞では、細胞内の毒素の 大半が、ゴルジ体ターゲティングと一致して核近接位置にある。このように、細 胞内のVT1Bは、SF529及び酪酸処理したXF498さいぼうと同じよう な態様でSKVLBで局在化するが、SKOV3細胞では、毒素はXF498細 胞での場合と同じように局在化する。 実施例3: VT結合ドメイン融合たんぱく質の調製 組換えVT結合ドメインは様々な発現系で作成が可能である。例えば、成熟V T結合ドメインペプチドはE.coli中では組換えグルタチオン−S−トランスフェ ラーゼ(GST)融合たんぱく質として発現させることができ、この融合たんぱ く質を単離して特徴づけることができる。具体的には、上述したように、VT結 合ドメイン(例 えばVT−B)をGSTに融合し、この融合たんぱく質をE.coli株PEB199 内で発現させることができる。GSTが26kDであることが予測されるため、 この融合たんぱく質はVT−Bより大きな分子量の約26KDであることが予測 される。PEB199におけるGST−VT結合ドメイン融合たんぱく質の発現 は、IPTGで誘発することができる。この組換え融合たんぱく質は、誘発され たPEB199株の粗バクテリア溶解産物から、グルタチオン・ビードを用いた アフィニティ・クロマトグラフィにより精製することができる。バクテリア溶解 産物から精製されたこのたんぱく質をポリアクリルアミドゲル電気泳動分析する と、この融合たんぱく質が、VT−Bより分子量の大きな約26kDのバンドと して単離される。 カルボキシ−末端テトラペプチドを有する修飾されたVT結合ドメインの調製 及び精製は、VT結合ドメインを発現するpSU108−を基にしたプラスミドを用い て報告されている(Johannes et al.(1997)J.Biol.Chem.272:19554-1956)。本 発明に基づく融合たんぱく質もまた、そこで説明されたように精製及び標識付け が可能である。 実施例4: VT結合ドメインDNA融合分子の作成 特定のDNA配列を細胞核へ移行させるためのVT1BサブユニットλCro融合 たんぱく質の構成 λCroは、バクテリオファージラムダを由来とする、66個のアミノ酸から成 るヘリックス・ターン・へリックスDNA結合たんぱく質である。このたんぱく 質は、二量体として17塩基対λオペレータ配列に結合し、転写リプレッサとし て働く。λCroの安定した単量体型がデザインされており、その構造は、野生型 のCroに似ているが、DNA結合能力は減少している(例えばMossing and Sauer ,Science(1990)250(4988):1712-5)。 VTIB−Cro融合たんぱく質を構成するには、プラスミドpUCroRX(インディ アナ州ノートルダム大学M.Mossing贈呈)を由来とする完全野生型λCroコドン配 列を、完全VT1B配列と共にプラスミドpJLB120に下流及びイン・フレームに 挿入する(例えば、Ramotar,et al.,Blochem.J.(1990)272(3):805-11)。pJLB12 0は、pKK223-3E.coli発現ベクタ由来である。VT1Bの停止コドンを無くし、 6−12の疎水性残基をコードする短いリンカー配列に置き換える。このことで 、VT1Bサブ ユニット及びCroドメインの両方の折り畳み及び分子相互作用が正しく行われる こととなる。VT1B−CroをE.coli内で発現させ、Gb3に結合させることでア フィニティ精製する。融合たんぱく質−DNA結合を再構成するために、このV T1B−Cro融合たんぱく質を精製された(又は試験管内で翻訳された)野生型 のλCroと共にインキュベートし、その後この複合体を、プラスミドptacλ1を 由来とするλオペレータ配列を含んだDNA断片に結合させる(例えばMossing et al.,Methods Enzymol.(1991)208:604-19)。 その代わりに、この融合たんぱく質は上述したように構成されるが、その際例 外として、野生型Cro配列は、プラスミドpUCro.mDGを由来とする操作されたCro モノマー配列に置き換えることとなるであろう(例えば、Mossing and Sauer,S cience(1990)250(4988):1712-5)。精製されたVT1B−融合たんぱく質をλオ ペレータを含んだDNA断片と共にインキュベートし、電気泳動移動度シフト検 定法又はDNアーゼI分析により、DNAの結合について調べる。 上記のように構成された融合たんぱく質を、それが選択したDNAに結合さ せることができるため、こうしてこのDNAを、レセプタの媒介する細胞飲食作 用により細胞内へ輸送するのに用いることができる。 実施例5: VT−B/ポリリシンハイブリッド化合物の調製 市販のものを入手可能であるポリリシン(MWI−4000)を、グラバレッ ク及びガージリー(原語:Grabarek and Gergely)の方法("Zero Length Cross linking Procedures with the use of Active Esters"Analytical Biochemistry 185:131-134,1990)に用い、N−ヒドロキシスクシイミドの存在下でEDC( 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを用いて活性 化させた。その結果得られたスクシイミジルエステルを次に、ベロ毒素1B−サ ブユニット(上述したように精製したもの)と、0.1MのMES緩衝液、0. 5MのNaCl、pH6.0中で1時間、室温で反応させた。架橋をトリシン− SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)で観察した。このPA GE分析の結果、VT−B/ポリリシン結合体に対応した、高分子量のバンドの 存在が確かめられた。 このVT−B/ポリリシン結合体(ハイブリッド化合物)は通常の方法により 精製 され、その後DNAの複合体に用いられる。こうしてこのハイブリッド分子/D NA複合体を細胞(又は生体被験者)に投与し、このDNAを細胞に送達するこ とができる。 等価物 当業者であれば、ごく通常の実験を行なうのみでここに記載された本発明の具 体的実施例の等価物を数多く認識され、又は確認できることであろう。このよう な等価物は、以下の請求の範囲の包含するところとして意図されたものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年12月3日(1998.12.3) 【補正内容】 請求の範囲 1. 共有結合した第一ドメイン及び第二ドメインを含むハイブリッド分子であ って、 (a)前記第一ドメインが、Gb3に特異的に結合することのできるベロ毒素 又はベロ毒素サブユニットを含み、 (b)前記第二ドメインがベロ毒素又はそのフラグメントでないことを条件と して、前記第二ドメインが、薬物成分、核酸、プローブ、ポリペプチド、及びフ ックのうちのいずれかから選択される成分を含む、 ハイブリッド分子。 2. 前記第一ドメインがVT−Bである、請求項1に記載のハイブリッド分子 。 3. 前記第二下メインがポリペプチドである、請求項1に記載のハイブリッド 分子。 4. 前記ポリペプチドがDNA結合要素である、請求項4に記載のハイブリッ ド分子。 5. 前記第二ドメインが核酸である、請求項1に記載のハイブリッド分子。 6. 前記核酸がアンチセンス核酸である、請求項5に記載のハイブリッド分子 。 7. 請求項1に記載のハイブリッド分子と薬学上容認可能な担体とを含む薬学 的組成物。 8. ある細胞を、請求項1に記載のハイブリッド分子に接触させることで、細 胞関連活性を、前記ハイブリッド分子の不存在下のときの前記細胞の細胞関連活 性に対して変化させるステップを含む、細胞関連活性を変調する方法。 9. 請求項1に記載のハイブリッド化合物の送達を細胞内の特定の細胞内位置 に向ける方法であって、前記方法が、前記細胞を前記ハイブリッド化合物に、選 択に応じてGb3の脂肪酸組成を変える化合物の存在下で、接触させることで、 前記ハイブリッド化合物を前記細胞中の特定の細胞内位置に送達するステップを 含む、方法。 10. 治療、予防、又は診断用の薬物の製造のための、請求項1に記載のハイ ブリッド化合物の利用。 11. 請求項3に記載のハイブリッド分子をコードする核酸分子。 12. 請求項11に記載の核酸分子を、ホスト細胞内での融合たんぱく質の発 現に適した形で含む組換えベクタ。 13. 請求項12に記載の組換えベクタを含むホスト細胞。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/21 1/19 C12Q 1/68 A 1/21 A61K 49/02 A 5/10 37/02 15/09 C12N 15/00 A C12Q 1/68 5/00 A //(C12N 15/09 C12R 1:19) (31)優先権主張番号 60/061,044 (32)優先日 平成9年10月4日(1997.10.4) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 キーン アイ−アイ カナダ L4K 3J7 オンタリオ、コ ンコード、マリタプレイス 14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 共有結合した第一ドメイン及び第二ドメインを含むハイブリッド分子で あって、 (a)前記第一ドメインが、Gb3に特異的に結合することのできるドメイ ンを含み、 (b)前記第二ドメインがベロ毒素又はそのフラグメントではないことを条件 として、前記第二ドメインが、薬物成分、核酸、プローブ、ポリペプチド、及び フックのうちのいずれかから選択される成分を含む、 ハイブリッド分子。 2. 前記第一ドメインがベロ毒素又はベロ毒素サブユニットである、請求項 1に記載のハイブリッド分子。 3. 前記第一ドメインがVT−Bである、請求項1に記載のハイブリッド分 子。 4. 前記第二ドメインがポリペプチドである、請求項1に記載のハイブリッ ド分子。 5. 前記ポリペプチドがDNA結合要素である、請求項4に記載のハイブリ ッド分子。 6. 前記第二ドメインが核酸である、請求項1に記載のハイブリッド分子。 7. 前記核酸がアンチセンス核酸である、請求項6に記載のハイブリッド分 子。 8. 請求項1に記載のハイブリッド分子と、薬学上容認可能な担体とを含む 薬学的組成物。 9. ある細胞を、請求項1に記載のハイブリッド分子に接触させることで、 細胞関連活性を、前記ハイブリッド分子の不存在下のときの前記細胞の細胞関連 活性に対して変化させるステップを含む、細胞関連活性を変調する方法。 10. 請求項1に記載のハイブリッド化合物の送達を細胞内の特定の細胞内 位置に向ける方法であって、前記方法が、前記細胞を前記ハイブリッド化合物に 、選択に応じてGb3の脂肪酸組成を変える化合物の存在下で、接触させること で、前記ハイブリッド化合物を前記細胞中の特定の細胞内位置に送達させるステ ップを含む、方法。 11. 治療、予防、又は診断用の薬物の製造のための、請求項1に記載のハ イブリッド化合物の利用。 12. 請求項4に記載のハイブリッド分子をコードする核酸分子。 13. 請求項12に記載の核酸分子を、ホスト細胞内での融合たんぱく質の 発現に適した形で含む組換えベクタ。 14. 請求項13に記載の組換えベクタを含むホスト細胞。
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