【発明の詳細な説明】
後付け可能な鏡筒中間部材
本発明は、請求項1の上位に概念に記載した、顕微鏡特に立体顕微鏡のための
後付け可能な鏡筒中間部材に関する。
顕微鏡または立体顕微鏡によって申し分のない観察をするためには、観察者が
それぞれの接眼レンズの射出ひとみ内にその瞳孔をもたらす必要がある。同時に
、見る方向が機器の出射光学軸線を通るようにすべきである。従って、いろいろ
な観察課題(例えば物体寸法、適応させた付属品、顕微鏡の据え付け方法、顕微
鏡の据え付け高さ)と解剖学上の所与(観察者の体の寸法)により、着座位置や
姿勢が強いられる。この着座位置や姿勢は人間工学的な観点から常に望ましいと
は限らない。本発明は、鉛直線に対する鏡筒の角度を調節し、人間工学的に鏡筒
を調節することができる鏡筒中間部材に関する。
1.技術水準
取り外し可能な鏡筒を備えた顕微鏡のために、見る方向およびまたは見る高さ
を変更することができるいわゆるエルゴ鏡筒が知られている。このエルゴ鏡筒は
通常は比較的に高価であり、次のような欠点がある。すなわち、後から適応させ
る場合、そのときまで使用していた固定の鏡筒は、中間実像を生じるための機能
要素(鏡筒レンズ、反射プリズム、場合によってはビームスプリッタ)と瞳孔間
隔を調節するための機能要素が過剰装備であるという欠点がある。というのは、
公知のエルゴ鏡筒はこれらのすべての要素を備えているからである。従って、こ
のエルゴ鏡筒は中間部材ではなく、非人間工学的鏡筒の完全に代わりになる他の
人間工学的な鏡筒である。
これに対して、ドイツ連邦共和国実用新案登録第7931427号公報(米国
特許第4299439号明細書)は、対物レンズレボルバと顕微鏡鏡筒の間に挿
入可能な中間部材を示している。この中間部材によって、既存の鏡筒が使用され
、特に見る高さを変更可能である。それによって、この中間部材は既存の顕微鏡
に後付けするために使用可能である。上記ドイツ連邦共和国実用新案の根底をな
す目的が接眼レンズの高さを調節するための中間部材を提供することであるので
、この公知の構造の場合には、見る角度の変更は比較的に小さい。この中間部材
はその構造長が長いので、中間で結像する光学系を必要とするという欠点がある
。この光学系はレンズ系のための付加的なコストがかかるだけでなく、口径食の
問題およびまたはエッジ鮮鋭度の問題がある。立体顕微鏡における使用の場合に
は、第2の光路のための第2の負荷的なレンズ系のために、当然、コストが2倍
かかる。
かさばる構造および中心から大きくずれた部品の重量分布は、他の欠点がある
。その当時、専門家は、付加的な中間像が有利であると推奨していたことにより
、明らかに間違っていた。公知の場合必要である付加的な中間実像はコントラス
トを悪くするという欠点がある。
更に、有利であると記載された反転像は、今日のほとんどの顕微鏡の場合に既
に他の適当な個所(例えば双眼鏡筒内)に反転像が設けられているので、公知の
中間部材を使用すると、再び逆さまおよび左右逆の像を生じるので、技術的に時
代遅れである。
見る状況を変えるための他の方法では、交換可能なくさび状の鏡筒中間部材が
使用される。この鏡筒中間部材は一般的に、2つの反射面を有するプリズムを備
えている。このような装置は機械的コストはあまり必要としないがしかし、見る
角度も見る高さも無段階に調節できないという欠点がある。従って、1つの使用
者状況または観察者状況だけしか快適性が得られない。
2.発明の目的
本発明は、コンパクトな鏡筒中間部材を提供するという目的を有する。この鏡
筒中間部材は、特に見る方向(およびそれと関連する見る高さ)を無段階に変え
ることができるように、取り外し可能な鏡筒を備えた顕微鏡/立体顕微鏡を最少
のコストで後から人間工学的に改善することができる。この場合、この目的のた
めに従来使用された構造の欠点が回避される。
そこで、本発明の根底をなす課題は、小型にかつ安価に構成され、大きな角度
調節範囲を可能にする、顕微鏡、特に立体顕微鏡のための後付け可能な中間部材
を提供することである。
この課題は請求項1記載の特徴の組み合わせによって解決される。偏平で、ほ
ぼ同じ大きさでそして比較的に小さな2個の接続部材は、互いに近接配置された
反射鏡と共に、大きな角度調節範囲を可能する非常にコンパクトな構造を生じる
。
本発明の特別な実施形とその変形は、従属請求項、次の記載、図およびそれに
関連する記載から明らかである。
3.本発明による鏡筒中間部材の原理的な構造
顕微鏡によって既に生じた直立し左右が合っている中間像を得るために、基本
的には、偶数(好ましくは2つ)の反射面が必要である。並べて配置された2つ
の光路を有する立体顕微鏡の場合には、調節を簡単するために、この反射面が両
光路を経て延びていると合目的である。この場合、申し分のない反射、特に必要
な反射コーティングは光路によって利用される範囲に制限可能である。従来通り
の鏡筒を収容する、鏡筒接続部を備えた上側部分が、顕微鏡に装着可能な下側部
分に対して、光学軸線に対して垂直な軸線回りに回転可能に支承されている。こ
の回転軸線は好ましくは両反射鏡の一方の方向変更個所にある。顕微鏡と鏡筒の
間に配置されたこのような中間部材は、この個所で一般的に平行である光路の光
学的な長さを増大させる。それによって生じる、口径食までの像のエッジ鮮鋭度
の損失の危険は、本発明の特別な実施形に従い、もし必要であれば、中間部材が
入力側に凸レンズすなわち正のレンズを備え、出力側に凹レンズまたは負レンズ
を備えている(図2)ことによって防止可能である。
しかし、上記ドイツ連邦共和国実用新案(対応米国特許第4299439号明
細書)に記載された中間部材と異なり、実像の中間像が生じ、それによって像の
反転が行われない。しかしながら、凸レンズすなわちの正レンズまたは凹レンズ
すなわち負のレンズの組み合わせにより、顕微鏡の全体の倍率が変わり、結像さ
れる物体視野が低下する。これは多くの場合不所望である。
本発明の改良された特に有利な他の実施形では、この欠点は、両反射鏡の一方
が屈折力の大きな材料からなるプリズムの反射面として形成されることによって
回避される。それによって、光路長さの増大が妥当な限度内に保たれ、付加的な
レンズを省略することができる。
プリズムが角運動可能な上側部分に動かぬように固定されていると特に望まし
い。
上側部分の揺動軸線が第1の反射鏡の反射面または第2の反射鏡の反射面内に
あることにより、高さ調節に対する角度調節の比を必要に応じて選択することが
できる。上側部分と第1の反射鏡の揺動軸線が第1の反射面内にあると、上側部
分と第1の反射鏡の揺動軸線が第2の反射面内にある実施形と比べて、視線角度
の変化が視線高さの大幅な変化をもたらすという利点がある。
4.角度を二等分するばね伝動装置
角度を二等分する伝動装置として、例えば上記のエルゴ鏡筒の慣用の伝動装置
を用いることができるがしかし、従属請求項には、新規な2つの発明的な伝動装
置が記載されている。この伝動装置は互いに無関係に、かつ上記の発明的な基本
構造と関係なく、独自の発明的方法で(例えば立体顕微鏡の鏡筒の眼の間隔の調
節の際あるいは水平平面内での観察鏡筒の揺動の際に)使用可能である。
上記のエルゴ鏡筒と、上記のドイツ連邦共和国実用新案記載の公知の中間部材
は、鏡筒を揺動させることによって視線角度を機械的に変更するときに、光路を
対応する角度だけ一緒に変更する伝動装置を含んでいる。一般的に、1つ(また
は複数の)の反射面(反射鏡)は伝達比変更装置によって光路の揺動運動の半分
の角度でその軸線個所の回りに傾動する。この場合好ましくは、(鏡筒のための
)視線方向の揺動軸線は鏡面の回転軸線と一致する。
このような角度を二等分する伝動装置の公知の解決策は例えば不利な多数の機
能要素を備えた多段歯車伝動装置またはベルトまたはロープ式伝動装置である。
これらの伝動装置は軸を離す必要があるので、比較的に大きなスペースを必要と
する。これらのすべての伝動装置にとって、伝達比の精度、遊びのない支承およ
び光学軸線の調節に関する機能的な要求を満たすために、比較的に高い製作費用
が必要であり、必然的にコストが高くなるということが共通している。
ドイツ連邦共和国特許第1098233号公報に記載された双眼鏡筒装置は例
えば、視線角度を変更する際に反射鏡を制御するためのはずば歯車を備えた遊星
歯車装置を示している。眼の間隔を調節するために更に、角度二等分する伝動装
置によって反射鏡を動かす装置が提案されている。この伝動装置は三次元的に作
用するレバー装置として形成されている。この原理は基本的には、視線角度を変
更する際に反射鏡面を再セットするためにも適している。しかし、これは技術に
実現することが困難である。というのは、この課題の場合、調節する角度の非常
に広い範囲が所望されるからである。従って、遊びや誤差によるエラーを除去す
るための付加的な手段が設けられていないので、この公知の解決策は不充分であ
る。
更に、ドイツ連邦共和国特許第3117254号公報と日本特許第42154
19号公報には、本発明に適していると思われるレバー装置が記載されている。
両公報の内容、特に図とそれに関連する説明を参照されたし。両公報の内容は本
出願の範囲内の開示された内容であると見なされる。他の用途のためにドイツ連
邦共和国特許第2461044号公報で提案されているようなカム伝動装置も考
えられる。これらのすべての解決策にとって、機能要素の精密な形成および調整
によってのみ、角度α/2での反射鏡の正確な角度の再セットが達成可能である
ことが共通している。これは相応する製作コストを必要とし、従って本発明に従
って改善すべきである。
本発明で述べた、保護されるばね伝動装置は、機能要素の数が少なく、簡単に
製作可能であるという利点がある。このばね伝動装置は実質的に、下側部分と相
対的に回転可能に支承された上側部分と、この両部分の間で同じ軸に容易に使用
される反射鏡を備えた反射鏡支持体とからなっている。この反射鏡支持体の回転
位置は、両側のレバー(天秤の竿に似ているが、本実施の形態では板ばねとして
形成されている)の一方の側lUと他方の側lOに作用する回転モーメントMU,
MOの間のつり合いによって決まる。その際、lUは下側部分に作用する天秤竿ま
たは板ばねの部分であり、lOは上側部分に作用する部分である。回転モーメン
トMOは上側部分の作用点と反射鏡支持体の間にある予付勢されたばね要素の作
用点と、回転点に対するレバーアームによって生じる。同様に、回転モーメント
MUは下側部分の作用点から出発して生じる。角度αだけ上側部分が角運動する
と、回転モーメントMOの変化が生じる。それによって、反射鏡支持体に回転モ
ーメントの不つり合いが生じる。その結果、反射鏡支持体はMOと反対に作用す
るMU,MRとが再びつり合うまで強制的に移動する。その際、MRは摩擦
によって支承部に発生する摩擦モーメントである。これは上側部分に対してΔβO
だけ、および下側部分に対してΔβUだけ反射鏡支持体または揺動可能な反射鏡
の回転位置が変化することに相当する。個々の要素を本発明に従って対称に配置
し、パラメータを適切に選択することにより、両特性曲線MO(βO),MU(βU
)は互いに等しくなる。反射鏡支持体の充分に容易な支承(MR≪MO,MUによ
り、摩擦によって生じるΔβUとΔβOの差は無視できるほど小さい。a=ΔβU
+ΔβOとΔβU=ΔβOにより、反射鏡支持体が上側部分に導入される角度の半
分の値だけ動くことになる。出発位置と、場合によって残留エラーによってまだ
存在する非対称は、例えば両枢着個所の簡単な要素によって調整可能である。
本発明は、システム“レバーと下側部分および上側部分の間に各々1個の板ば
ねを備えた両側のレバー”を実現するために、対称な板ばねの図示した実施の形
態に限定されない。引張りばね、圧縮ばねまたは回転ばねを備えた装置も、本発
明の対象である。反射鏡回転点に関するこの回転ばねの回転モーメント特性曲線
は適切に一致させられる。残留エラーを相殺するために必要な調節個所はいろい
ろな場所に設けることができる。更に、それ自体独立したこの発明は顕微鏡の他
の用途を含んでいる。この用途の場合には、揺動運動の約半分の角度だけ一緒に
揺動する。これは例えば眼の間隔調節装置あるいは光学的な測定装置の光学的な
表示等である。
新規な角度二等分伝動装置のこの発明は更に他の用途に使用可能であり、独立
して機械工学や物理学の異なる技術で使用可能である。その際、本発明思想は更
に、角度二等分や伝達比の縮小(減速)に制限されない。勿論、lOに対するlU
の比を変えることにより、いろいろな減速を生じることができる。lUとlOの間
で回転モーメントを加える場合には、同様な上側部分と下側部分の場合に、上記
とは逆に、角度伝達比増大(増速)が生じる。
5.角度二等分のための三次元的なレバー伝動装置
視線角度の機械的な変化の半分の値で反射鏡を再びセットするために、本発明
のこの実施形では、レバーが役立つ。このレバーの端部は下側部分と上側部分に
回転可能に支承され、少なくとも一方の端部が回転軸線方向に移動可能である。
支承個所に対するレバーの相対的な回転が所定の軸線回りに行われずに、中間部
材の回転軸線に投影したレバーの長さが一定ではないので、レバー端部は、例え
ば球欠部材の形で、適当な自由度が存在するように形成される。この球欠部材は
平らな支持面が下側部分と上側部分に接触する。この構造は特に、球欠部材のた
めの接触面が回転軸線に対して平行に上側部分と下側部分の間にあり、レバーの
端個所から回転軸線までの有効半径が互いに同じであるときに、エラーの影響を
受けにくい。レバーの上記の支承の代わりに、レバーの両端を摺動可能に保持す
ることができる。一方、その中心は回転軸線に対して摺動しないように保持され
ている。レバーの伸縮調節装置を備えた変形も同様に含まれる。
反射鏡を備えた反射鏡支持体の駆動は、触覚部材によって行われる。この触覚
部材はレバーの少なくとも一方の側でレバーの中央に接触する。この触覚部材は
特に、二叉状の要素である。この場合、接触個所について、自由度に関して同じ
要求が存在する。本発明では、この特別な形成のために、ここでも、球欠部材が
選択される。それによって、レバーは原理的には、1つの軸線上にある3個の球
欠部材を備えている。中央の球欠部材の半径から離して、回転軸線に関して平行
な平面として、二叉状触覚面を反射鏡支持体に形成することにより、増速比は本
発明に従い、レバーの側方へのずれや回転軸線に対する中央の球欠部材の間隔変
更に影響を受けにくい。
ばねを用いた特別な実施形では、この触覚面と中央の球欠部材との接触が遊び
のないように維持される。運搬時に反射鏡が支配できないような動きをしないよ
うにするために、ばねが、常に(振動の場合にも)遊びのないように触覚面をレ
バーまたは球欠部材に押しつけるために充分な強さを有するときには、二叉状部
材を省略することができる。
他のばね要素は必要時に、レバー端部での支承個所の自由度を提供する。
その際、好ましい実施形に従い、球欠部材の一つの片側が平らに形成され、(
例えば板ばねの形をした)ほぼ平らな要素によって押圧力を加えられると、レバ
ーはその固有の軸線回りの不意の回転が阻止され、従って3つの球欠要素の相互
の整列エラーが角度二等分に害を及ぼさない。
球欠部材の接触面を、球半径から離れた、回転軸線に対して平行な平面として
形成することにより、この個所は、例えばこの平面に対して垂直な軸方向に調節
可能な円筒形のピンの形熊で、出射する光線の高さ方向を調節するために簡単に
使用可能である。横方向を調節するためには、例えば上述のように円筒形のピン
または板ばねに似た調節可能な要素によって、光学軸線に対する共通の回転軸線
の角度を傾斜させることで充分である。この場合、平行を維持することは、調節
運動と反対に作用する弾性的な要素によって行うことができる。
6.図面の説明
本発明の他の特徴は図から推察可能である。同じ参照符号は同じ部品を意味す
る。いろいろな添字をつけた同じ参照符号は、機能が同じで、構造が異なる部品
または位置が異なる部品を示す。図は互いに関連しておよびまたがって説明する
。添付した参照符号リストは図の説明の一部である。図において部品の寸法はほ
ぼ縮尺どおりであるかあるいは有利な形状に一致している。しかし、図は具体的
な実施の形態を示しており、本発明を限定するものではない。
図1は本発明による中間部材の例を概略的に示す図、
図2はばね伝動装置を備えた他の例を示す断面図、
図3〜6は図2の詳細断面図、
図7はレバー伝動装置を備えた第3の例を示す断面図、
図8〜12は図7の詳細図または断面図、
図13は略示した中間部材を備えた顕微鏡を示す図である。
図1に示した象徴的な構造と、図13に示したこのような構造の実施の形熊は
、本発明の要部を示している。比較的に小さな上側部分2と下側部分1の水平方
向の幅は顕微鏡ケーシング36または鏡筒13の幅とそれほど異なっていない。
上側部分と下側部分には反射鏡6,7が連結されている。この反射鏡の一方6は
部分1(図1)または部分2(残りの図)に固定連結され、他方は角度を二等分
する伝動装置(板ばね)17(図2〜6)または31(図7〜12)を介して上
側部分2に揺動可能に連結されている。それによって、鏡筒13の揺動運動は観
察者に適した仮想の光路を維持する。
図1に示した実施の形態の場合、反射鏡6aは下側部分1aに固定されている
。一方、反射鏡7aは揺動軸線8a,8bの回りに揺動可能である。図2,7の
実施の形態の場合には、反射鏡鏡6bがプリズムに形成され、上側部分2b,2
cに固定されている。
上側部分2と下側部分1が本発明に従い、接近させて一緒に設けられているの
で、中間部材内の光路の長さは短い。図1の実施の形態の場合、この光路の長さ
は凹レンズ10と凸レンズ9によって光学的に更に短縮されている。
顕微鏡ケーシングの接続部に相当する上側の接続部4には、鏡筒13が接続可
能である。一方、下側の接続部3は顕微鏡ケーシング36(図13)を固定可能
な鏡筒13の接続部に相当する。
勿論、本発明の範囲内で、両反射鏡が鏡筒13の揺動運動に依存して、それぞ
れ4分の1度(°)だけ揺動し得るような変形が考えられる。それによって、仮
想光路が揺動運動によって影響を受けることがない。
図2の実施の形態では、角度を二等分する伝動装置として、少なくとも1また
は複数の板ばね17a,17bを備えた新規な発明的な構造体が設けられている
。板ばねはばね受け材37によって上側部分2bと下側部分1bに支持されてい
る。ばね受け材は揺動軸線8bに関して対称に配置されている。板ばね17a,
17bは中央で、すなわち揺動軸線8bにおいて、保持ねじ22(図5)によっ
て反射鏡ホルダー15aに固定されている。
それによって、軸線8b回りの上側部分1bの揺動運動は、揺動角度の半分だ
け反射鏡7bを揺動させることになる。このように、光路は揺動運動に連関して
いる。板ばね17は同時に、下側部分1bと上側部分2bの間の静的力と動的力
をある程度受け止める。ばね受け材37は調節ねじ35によっておよび高さまた
は位置を調節可能である。
揺動軸8は短軸23によって形成されている。この短軸は同時に反射鏡ホルダ
ー15を揺動支承している。遊びのないようにするために、短軸は支承ばね33
cと固定ボルト20によって支承台19を介して下側部分1に連結されている。
鏡筒13を選択された揺動位置に保持する制動装置14は、揺動を緩衝し、摩
擦力によって保持力を生じる。
その際、制動装置は例えば押圧ばね24と摩擦板38を備えた付勢力調節装置
25を備えている。この摩擦板は押し棒26に押圧される。押し棒26は枢着個
所27aによって下側部分1bに揺動可能に保持されている。
図3は並べて配置された両穴5a,5bを示している。この穴を立体顕微鏡の
双眼光路が通過する。
図7の実施の形態は、角度二等分伝動装置としての板ばね17が省略され、そ
の代わりにレバー31を使用している。このレバーはその両端に球欠部材34を
備え、その幾何学的中心に同様に球欠部材34を支持している。レバー31は一
端においてレバー支承部32aを介して上側部分2cに少しだけ揺動可能に固定
され、他端においてレバー支承部32bを介して下側部分1cに少しだけ揺動可
能に固定されている。それによって、上側部分2cが上方に揺動すると、中央の
球欠部材34は下側部分1と相対的な半分の変位だけ上方に揺動することになる
。反射鏡ホルダー15bに固定連結された二叉状の触覚部材30が中央の球欠部
材34に作用するので、反射鏡ホルダーは上側部分2cの半分の揺動角度だけ反
射鏡7bを揺動運動させることになる。
一端が反射鏡ホルダー15bに、他端が上側部分2cに固定された反射鏡つり
合いばね29は、触覚部材30を球欠部材34に均一に接触させる。
軸方向に調節可能なピンを備えた調節ねじ35は、レバー端部または調節可能
な載置面を形成することにより、球欠部材34の高さ調節のために役立つ。上側
部分2cのレバー支承部32aの支持面16は、調節時に一方のレバー端部と揺
動軸線8との間隔が他方のレバー端部と揺動軸線8との間隔にほぼ同じであるよ
うに形成されている。
遊びのない保持のために、外周の球欠部材34のそばに、支承ばね33が固定
されている(図12)。この支承ばねは特別な実施の形態の場合には、落ちつく
アングル部材39を備えている(図9)。このアングル部材はレバー31の軸方
向の遊びを制限し、場合によってはレバー31を軸方向に付勢している。
つり合いばね28が上側部分2cを下側部分1cに対して付勢しているので、
鏡筒13によって生じる回転モーメントは、例えば図13に示すその位置で、少
なくとも一部が相殺される。
ベロー11は塵埃や光線が侵入しないように内部機構または反射鏡6,7を保
護している。
参照符号リスト
1 下側部分
2 上側部分
3 顕微鏡ケーシングの接続部
4 鏡筒の接続部
5 光路
6 固定された反射鏡
7 揺動可能な反射鏡
8 揺動軸線、主回転軸線
9 凸レンズ
10 凹レンズ
11 ベロー
12 駆動ねじ
13 鏡筒
14 制動装置
15 反射鏡ホルダー
16 支持面
17 角度二等分伝動装置
18 ばね載置部材用の調節可能な保持部材
19 支承台
20 固定ねじ
21 上側部分の支承ウェブ
22 保持ねじ
23 短軸
24 押圧ばね
25 付勢力調節部材
26 押し棒
27 枢着個所
28 つり合いばね
29 遊び補正ばね
30 触覚部材
31 伝動装置レバー
32 レバー支承部
33 支承ばね
34 伝動装置レバーの球欠部材
35 調節ねじ
36 顕微鏡ケーシング
37 ばね載置部材
38 摩擦板
39 アングル部材