JP2001500244A - 熱交換器用のチューブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 チューブ（１）は、互いに平行な内面（８）と外面（７）とを備える金属板（４）からなる。ろう付の前に、ろう合金（９）層で内面（８）のみを被覆する。中央部（１２）の両端には、端面（１３）を有する２つの平行な側辺（５）がある。側辺（５）を屈曲し、その外面（７）を互いに平行に当接し、その端面（１３）を中央部（１２）の内面（８）に当接する。これにより、２つの筒孔（１１−１）（１１−２）を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】 熱交換器用のチューブ 本発明は、特に自動車に用いられる熱交換器の分野に関し、より詳しくは、い わゆる「チューブスペーサー」技術に基づく熱交換器に用いられるチューブに関 する。 本発明は、特に、平行な内面及び外面と、２つの平行な側辺を有する中央部と を備える金属板（または心材）からなるチューブに関する。金属板は、２つの側 辺が当接するように屈曲され、その外面を互いに平行として当接させ、かつその 端面を中央部の内面に当接させて、２つの独立した筒孔を形成する。筒孔には、 例えば冷却水が流れる。 上述のチューブの外面は、通常ろう合金層で被覆され、チューブをろう付燃焼 室に入れると、その側辺同士は互いに、かつ中央部に対して固着する。 ろう付の最中に、側辺の外面に設けられたろう合金は、特にスペーサーに向か って拡散する。そのため、２つの側辺の外面の距離は、ろう合金層の元の厚さの ２倍になり、その結果、チューブは密閉されなくなってしまう。この現象は、チ ューブの端辺を嵌合させるヘッダボックスの孔のところにおいて顕著である。 本発明の目的は、上述の欠点を解消した熱交換器のチューブを提供することで ある。 このため、本発明は、ろう付の前に、ろう合金、好ましくはアルミニウムとシ リコンの合金層で、金属板の内面のみを被覆した、前記タイプのチューブを提案 している。 本出願人は、チューブの内面のみをろう合金で被覆することにより、側辺を互 いに、より強固に固着しうることに気付いた。実施例では、めっき（合金層）が ない状態でも、屈曲された管の長手方向の外面は実質的に互いに当接する。 上記側辺の間の充填されるべき空間は、極端に小さくなり、金属板の中央部、 及び側辺の内面上のろう合金が適切に内面を被覆し、かつ密閉する。ろう合金は 、毛管現象によって側辺の間に進入する。 特に、自動車用のろう付熱交換器においては、充填すべき空間が狭いので、熱 交換器のヘッダプレートの横方向の孔に対するチューブの固着が改善される。 追加層、例えば耐食性の層を、金属板の内面とろう合金層との間に設けること により、好ましい効果を発揮させることができる。 上述の耐食性の追加層は、アルミニウムと亜鉛との合金であるのが好ましい。 本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されたチューブに、特 に好適に適用しうる。 以下、実施例を図面を参照して説明する。 図１は、内面をろう合金の単一の層で被覆したチューブの金属板の断面図であ る。 図２は、内面を追加層及びろう合金層で被覆した、屈曲前の金属板の断面図で ある。 図３は、図１に示す金属板の屈曲後の断面図である。 図４は、本発明によるチューブを備える熱交換器の部分斜視図である。 図５は、図４に示す熱交換器の一部の拡大図である。 本発明は、２つの筒孔を有するチューブであって、ろう付けした熱交換器、例 えばセントラルヒーティング用のラジエータ、冷却器、スーパーチャージャー式 循環型冷却器（小型または表面冷却式）、または復水器に用いて好適なものに関 する。このような熱交換器には、いわゆる「チューブスペーサ」技術が適用され ている。 図４に示すように、熱交換器は、通常、２個のヘッダボックス（２）の間に配 置された長手方向の複数のチューブ（１）を備え、このチューブの中を、冷却水 または冷却流体が流れるようになっている。この例では、チューブ（１）は、そ の長手方向と直交させて設けたスペーサ（３）により、互いに離されている。 スペーサ（３）、チューブ（１）及びヘッダボックス（２）は、アルミニウム またはアルミニウム合金で形成するのが好ましい。 上述の熱交換器における互いに固着されるべき部材は、まず最初に組立てられ 、次に、ろう付炉内を通過させることにより互いに固着させられる。 本発明によるチューブ（１）は、金属板（４）、好ましくは上述したようにア ルミニウムの板、より好ましくは「４０００」シリーズのアルミニウム合金の板 から形成されている。また、金属板（４）は、コアとも呼ばれ、概ね平行六面体 の形状をしている。より詳しく言うと、金属板の断面は、長方形であり、２つの 長い側辺（５）と、この側辺（５）と直交する２つの短い端辺（６）とを備えて いる。 金属板（４）は、外面（７）と、外面（７）の反対側で、それと平行をなす内 面（８）とを有している。「内面」及び「外面」という語を用いる理由について は、後述する。 本発明によれば、内面（８）は、めっき層として公知のろう合金層（９）で被 覆されている。すなわち内面（８）のみが、好ましくはアルミニウムとシリコン の台金であるろう合金層（９）で被覆されている。 変形例として、図２に示すように、金属板（４）を浸食から保護するための追 加層（１０）を、例えば、内面（８）とろう合金層（９）またはろうめっき層と の間に設けることもある。この追加層（１０）は、アルミニウムと亜鉛の合金か らなることが好ましい。 金属板（４）の内面（８）のみを、ろう合金層（９）で被覆してから屈曲させ て、２つの独立した長手方向の筒孔（１１−１）及び（１１−２）を形成する。 ２つの独立した筒孔（１１−１）及び（１１−２）を形成するためには、金属 板（４）の２つの側辺（５）を屈曲して、この側辺（５）を、金属板（４）の中 央部（１２）に対して直角とし、かつ、２つの側辺（５）の外面（７）同士を互 いに当接させる。ついで、側辺（５）の端面（１３）（内面（８）及び外面（７ ）に対して垂直である）を、金属板（４）の中央部（１２）の内面（８）に被覆 されているろう合金層（９）に当接させることにより、互いに独立した２つの筒 孔（１１−１）及び（１１−２）を形成させる。 上述のように形成された金属板（４）の側辺（５）と、その端面（１３）と、 中央部（１２）の内面（８）とは、ろう付炉を通過させることにより、互いに隙 間なく固着される。 より詳しく述べると、本発明によるチューブを図４に部分的に示すタイプの熱 交換器に用いる場合には、熱交換器における互いに固着されるべき諸部材を組立 てた後に、ろう付を行う。なお、諸部材とは、主に、チューブ（１）と、チュー ブ（１）とヘッダボックス（２）のヘッダプレート（１４）との間に配置された スペーサ（３）を指している。 ヘッダプレート（１４）には、互いに平行をなす複数の横長の孔（１５）を設 けてある。この孔（１５）は、チューブ（１）の端辺（６）の端（すなわち側端 ）を嵌合しうる形状となっている。 スペーサ（３）をチューブ（１）の外面（７）に固着しうるように、各スペー サ（３）の両面は、全体的に合金ろう材で被覆（またはめっき）されている。 同様に、チューブ（１）の端辺（６）を、ヘッダプレート（１４）の孔（１５ ）に固着するために、ヘッダプレート（１４）の片面には、ろう材層（またはめ っき）が設けられている。その面は、チューブ（１）の端辺（６）を密着して固 定するために、孔（１５）の周囲に形成されたフランジの向きに応じて、ろう合 金で被覆されている。 互いにろう付するべき部材を組立てた後、部材をろう付用炉内に入れる。ろう 付の間、チューブ（１）の内面（８）の上に形成されたろう合金層（９）の内側 の面は、毛管現象により、２つの側辺（５）の外面（７）の間の、かつ側辺（５ ）の端面（１３）とチューブ（１）の中央部（１２）の内面（８）との間の小さ な空間に入る。 ろうは、側辺（５）を直角に屈曲して形成されたほぼ三角形断面の溝形状の空 隙（１６）内へ進入する。空隙（１６）の残りの部分は、特にヘッダプレート（ １４）における孔（１５）のところで、スペーサ（３）上のろうが拡散すること により充填される。 本発明は、上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載されて いる範囲内において、当業者が考えうる変形例を含むものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ろう付熱交換器、特に自動車用熱交換器のためのチューブであって、互い に平行な内面（８）及び外面（７）と、端面（１３）で終わる側辺（５）を有す る中央部（１２）とからなる金属板（４）を備え、上記金属板（４）を屈曲させ 、側辺（５）同士を互いに接合し、かつ側辺（５）の外面（７）同士を互いに平 行をなして当接させ、側辺（５）の端面（１３）が、上記中央部（１２）の内面 （８）に当接することにより、長手方向の筒孔（１１−１）（１１−２）を形成 するようになっており、ろう付に先だって、上記金属板（４）の内面（８）のみ を、ろう合金（９）層で被覆してあることを特徴とするチューブ。 ２．ろう付の前に、金属板（４）の内面（８）とろう合金層との間に追加層（ １０）を設けてあることを特徴とする請求項１記載のチューブ。 ３．追加層（１０）は、耐食性の層であることを特徴とする請求項２記載のチ ューブ。 ４．耐食性の層である追加層（１０）は、アルミニウムと亜鉛との合金からな ることを特徴とする請求項３記載のチューブ。 ５．ろう合金層（９）は、アルミニウムとシリコンとの合金からなることを特 徴とする上記いずれかの請求項に記載のチューブ。 ６．金属板（４）は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特 徴とする上記いずれかの請求項に記載のチューブ。 ７．端辺（６）は、屈曲された後に、熱交換器のヘッダプレート（１４）に設 けた孔（１５）に嵌合しうるようになっていることを特徴とする上記いずれかの 請求項に記載のチューブ。