JPH07103683A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッダとセパレータとの接合不良をなくすこ
とのできる熱交換器の提供。 【構成】 セパレータ９は、ヘッダ５内に配されて、ヘ
ッダ５内を仕切る。ヘッダ５は、ヘッダプレート６とヘ
ッダタンク７を接合してなり、ヘッダタンク７にはセパ
レータ９の位置決め用穴１６が設けられ、この穴１６内
にセパレータ９の位置決め用突起１５が嵌め合わされ
る。また、セパレータ９とろう付けされるヘッダプレー
ト６のろう付け面の中央には、フラックスＦをヘッダ５
の内部に侵入させるフラックス案内穴１７が貫通して設
けられている。ろう付け時にヘッダ５の周囲から吹きつ
けられたフラックスＦは、ヘッダプレート６とヘッダタ
ンク７の接合部Ａ、位置決め用穴１６と位置決め用突起
１５の嵌合部Ｂ、フラックス案内穴１７からヘッダ５内
に侵入してセパレータ９の全周に回り込み、結果的にヘ
ッダ５とセパレータ９とが全周に亘ってろう付けされ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヘッダ内にセパレータ
を備えた熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヘッダ内に接合されるセパレータの一例
を図１１を用いて説明する。このヘッダ１００は、ヘッ
ダプレート１０１とヘッダタンク１０２とをろう付け接
合してなるもので、ヘッダ１００の内部を区画するセパ
レータ１０３は、ヘッダ１００の内部にろう付けによっ
て接合される。なお、ヘッダタンク１０２には、セパレ
ータ１０３に設けられた位置決め用突起１０４が嵌め合
わされる位置決め用穴１０５が設けられている。

【０００３】ろう付け時、ヘッダ１００の周囲からろう
付けのためのフラックスＦが与えられる。このフラック
スＦは、ヘッダプレート１０１とヘッダタンク１０２の
接合部Ａ、および位置決め用突起１０４と位置決め用穴
１０５との嵌合部Ｂから、ヘッダ１００の内部に侵入
し、ヘッダ１００とセパレータ１０３との間のろう付け
箇所に回り込み、ヘッダ１００とセパレータ１０３のろ
う付けを行う。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、接合部Ａと
嵌合部Ｂからヘッダ１００内に侵入するフラックスＦ
は、侵入位置から距離の長い部分Ｈまで、完全に回り込
まない場合がある。つまり、ヘッダ１００とセパレータ
１０３との間に、フラックスが亘らない箇所が生じ、ヘ
ッダ１００とセパレータ１０３との接合不良が発生する
可能性があった。

【０００５】

【発明の目的】本発明の目的は、ヘッダとセパレータと
の接合不良をなくすことのできる熱交換器の提供にあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の熱交換器は、次
の技術的手段を採用した。熱交換器は、複数のチューブ
と、この複数のチューブの両端に接合されるヘッダと、
このヘッダの内部に接合され、前記ヘッダ内を区画する
板状のセパレータとを有し、前記ヘッダは、前記セパレ
ータとの接合部の一部に、前記ヘッダの内部と外部とを
連通する穴を備え、前記ヘッダと前記セパレータはろう
付けにより接合され、前記穴はろう材により塞がれてい
る。

【０００７】なお、前記ヘッダは、前記セパレータの位
置決めを行う位置決め用穴を有し、前記セパレータは、
板状形状の外縁の一部に前記位置決め用穴に嵌め合わさ
れる位置決め用突起を有し、前記セパレータは、前記位
置決め用突起の反対側の部分に、前記ヘッダとの接合部
を前記セパレータの板厚より大きくする当接部が設けら
れるようにしても良い。

【０００８】

【発明の作用】ろう付け時、ヘッダのろう付け面に設け
られた穴から、フラックスがヘッダの内部に侵入し、ヘ
ッダとセパレータとの間のろう付け箇所に回り込む。こ
のため、穴を従来であれば、フラックスの回り込みにく
い位置、あるいはフラックスの回り込みにくい位置の近
傍に設けることにより、フラックスが確実にヘッダとセ
パレータとの間のろう付け箇所に回り込み、ヘッダとセ
パレータとの間を全周に亘って確実にろう付けすること
ができる。

【０００９】

【発明の効果】本発明の熱交換器は、上記の作用で示し
たように、ヘッダとセパレータとのろう付け面に穴を設
けることにより、ヘッダとセパレータとの間を全周に亘
って確実にろう付けすることができるため、ヘッダとセ
パレータとの接合不良をなくすことができる。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の熱交換器を、冷凍サイクルの
冷媒凝縮器に使用した実施例に基づき、図面を用いて説
明する。 〔第１実施例の構成〕図１ないし図３は本発明の第１実
施例を示すもので、図３は熱交換器の概略断面図であ
る。冷媒凝縮器に使用される熱交換器１は、黄銅、アル
ミニウムなどの金属材料によって形成されたもので、大
別してチューブ２とコルゲートフィン３とを交互に積層
したコア４と、各チューブ２の両端に接合されるヘッダ
５とから構成される。

【００１１】チューブ２は内部を流れる冷媒と、チュー
ブ２の間を通過する空気との熱交換を行う偏平な管で、
内部に複数の通路が形成されている。なお、チューブ２
は、ろう付けのために表面にろう材がクラッドされて形
成されたものである。コルゲートフィン３は、各チュー
ブ２の間に挟まれた状態でチューブ２に接合され、チュ
ーブ２の内部を流れる冷媒と、チューブ２の間を流れる
空気との熱交換率を向上させるものである。このコルゲ
ートフィン３は、帯状で極薄の板材を、波状に曲折して
設けたものである。なお、コルゲートフィン３には、通
常、熱交換効率の向上を図るために、多数のルーバが形
成されている。ヘッダ５は、複数のチューブ２の両端に
それぞれ接続されたタンクである。ヘッダ５は、各チュ
ーブ２が差し込まれるヘッダプレート６と、このヘッダ
プレート６と組み合わされて筒体を構成するヘッダタン
ク７とからなる。なお、ヘッダプレート６およびヘッダ
タンク７の表面は、ろう材がクラッドされて形成された
ものである。

【００１２】また、ヘッダ５は、両端がキャップ８によ
って塞がれるとともに、内部がセパレータ９によって区
画され、ヘッダ５の内部が流入室１１と流出室１２とに
分けられている。なお、セパレータ９の位置は、冷媒の
凝縮に伴う圧力変化に適した位置に設けられている。流
入室１１側のヘッダ５には、冷媒をヘッダ５内に流入す
る入口パイプ１３が接続され、流出室１２側のヘッダ５
には、ヘッダ５内の冷媒を外部へ流出する出口パイプ１
４が接続されている。なお、キャップ８やセパレータ９
等は、ろう付けのために表面にろう材がクラッドされて
形成されたものである。

【００１３】セパレータ９は、板厚が例えば２ｍｍほど
の１枚の板状部材で、ヘッダ５の内部形状に応じた円盤
形状を呈するとともに、ヘッダ５との位置決めのための
位置決め用突起１５を備える。この位置決め用突起１５
は、ヘッダ５のヘッダタンク７に設けられた位置決め用
穴１６に嵌め合わされるもので、その位置決め用穴１６
は、セパレータ９とのろう付け面（ヘッダ５とセパレー
タ９との接合部）の中央部分に設けられている。なお、
この位置決め用穴１６は、ヘッダ５の内部と外部とを連
通して設けられている。

【００１４】一方、ヘッダ５のヘッダプレート６は、図
１および図２に示すように、セパレータ９とのろう付け
面（ヘッダ５とセパレータ９との接合部）の中心部分
に、ろう付け時にフラックスＦをヘッダ５内に侵入させ
るフラックス案内穴１７（本発明の穴）が設けられてい
る。このフラックス案内穴１７は、ヘッダ５の外部と内
部とを連通させる比較的小さな小穴で、セパレータ９に
よって塞がれる位置に設けられている。なお、このフラ
ックス案内穴１７は、熱交換器１のろう付け後、ろう材
によっても塞がれるものである。

【００１５】熱交換器１のろう付け時について説明す
る。複数のチューブ２、複数のコルゲートフィン３を交
互に積層してコア４を組付けるとともに、ヘッダプレー
ト６、ヘッダタンク７、キャップ８、セパレータ９等か
らヘッダ５を組付ける。そして、組付けられたコア４と
ヘッダ５とから熱交換器１を組付け、炉内で一体ろう付
けする。このろう付け時に、組付けられた熱交換器１に
フラックスＦが吹きつけられる。そして、ろう材がクラ
ッドされた金属表面にフラックスＦが与えられると、ろ
う材が溶け、各接合部にろう材が回り込み、接合部のろ
う付けがなされる。

【００１６】セパレータ９の周囲には、ヘッダプレート
６とヘッダタンク７との接合部Ａからと、ヘッダプレー
ト６の位置決め用位置決め用穴１６と位置決め用突起１
５との嵌合部Ｂからと、そしてフラックス案内穴１７と
から（つまり、セパレータ９の四方から）、フラックス
Ｆが侵入し、侵入したフラックスＦがヘッダ５とセパレ
ータ９との間のろう付け箇所に回り込む。これによっ
て、ヘッダ５とセパレータ９との間を全周に亘って確実
にろう付けすることができる。また、組付時やろう付け
時にヘッダ５内でセパレータ９がずれたか否かは、フラ
ックス案内穴１７から視認で検出できる。

【００１７】〔実施例の効果〕本実施例の熱交換器１
は、ヘッダプレート６におけるセパレータ９とのろう付
け面に、小さなフラックス案内穴１７を設けるのみで、
ヘッダ５とセパレータ９との間を全周に亘って確実にろ
う付けすることができる。つまり、ヘッダ５とセパレー
タ９との接合不良をなくすことができる。

【００１８】〔第２実施例〕図４は第２実施例を示すも
ので、セパレータ９部分におけるヘッダの断面図であ
る。本実施例は、セパレータ９とろう付けされるヘッダ
プレート６およびヘッダタンク７のそれぞれに、複数の
フラックス案内穴１７を設けたもので、ヘッダ５とセパ
レータ９との間の全周にフラックスＦをさらに確実に回
り込ませるものである。

【００１９】〔第３実施例〕図５ないし図８は第３実施
例を示すもので、図５はセパレータ９を含む熱交換器１
の要部断面図、図６はセパレータ９部分におけるヘッダ
５の断面図、図７および図８はヘッダ５の要部側面図で
ある。本実施例のセパレータ９は、位置決め用突起１５
の反対側（ヘッダプレート６側）に、セパレータ９の板
厚より大きい当接部１８を設けたものである。本実施例
のセパレータ９は、セパレータ９の両面側に当接部１８
を設けるために、Ｌ字形に曲折した２枚のプレート９
ａ、９ｂを接合して、断面Ｔ字形に設けたものである。
また、本実施例のフラックス案内穴１７は、ヘッダプレ
ート６に千鳥状に設け、セパレータ９のずれの検査を視
認で行えるように設けたものである。

【００２０】本実施例に示すように、セパレータ９に当
接部１８を設けることにより、セパレータ９の位置が少
しずれても、当接部１８がフラックス案内穴１７を塞ぐ
ことができる。また、セパレータ９に当接部１８を設け
ることにより、ヘッダプレート６とのろう付け面積が増
え、ろう付け不良の発生の確率を小さくすることができ
る。さらに、セパレータ９に当接部１８を設けることに
より、ヘッダ５内におけるセパレータ９のずれが規制さ
れる。つまり、セパレータ９の位置決め精度が向上す
る。

【００２１】〔第４実施例〕図９は第４実施例を示すセ
パレータ９の斜視図である。本実施例のセパレータ９
は、Ｌ字形に曲折された１枚のプレートよりなり、セパ
レータ９の板厚より大きい当接部１８は、セパレータ９
の片面のみに延びる。なお、当接部１８のヘッダの長手
方向の長さは、第３実施例における１枚のプレートの当
接部１８の長さよりも長く設けられている。

【００２２】〔第５実施例〕図１０は第５実施例を示す
セパレータ９の斜視図である。本実施例のセパレータ９
は、当接部１８がセパレータ９の両面に延びる断面Ｔ字
形のもので、鋳造等により１つの金属体よりなるもので
ある。

【００２３】〔変形例〕本実施例では、熱交換器を冷凍
サイクルの冷媒凝縮器に適用した例を示したが、冷媒蒸
発器はもちろん、ヒータコア、ラジエータ、オイルクー
ラ、インタークーラなど、気体−気体熱交換器、気体−
液体熱交換器、液体−液体熱交換器に適用が可能なもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】セパレータ部分におけるヘッダの断面図である
（第１実施例）。

【図２】ヘッダの要部側面図である（第１実施例）。

【図３】熱交換器の概略断面図である（第１実施例）。

【図４】セパレータ部分におけるヘッダの断面図である
（第２実施例）。

【図５】セパレータを含む熱交換器の要部断面図である
（第３実施例）。

【図６】セパレータ部分におけるヘッダの断面図である
（第３実施例）。

【図７】ヘッダの要部側面図である（第３実施例）。

【図８】ヘッダの要部側面図である（第３実施例）。

【図９】セパレータの斜視図である（第４実施例）。

【図１０】セパレータの斜視図である（第５実施例）。

【図１１】セパレータ部分におけるヘッダの断面図であ
る（従来技術）。

【符号の説明】

１ 熱交換器 ２ チューブ ５ ヘッダ ９ セパレータ １７ フラックス案内穴（穴）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のチューブと、 この複数のチューブの両端に接合されるヘッダと、 このヘッダの内部に接合され、前記ヘッダ内を区画する
   板状のセパレータとを有し、 前記ヘッダは、前記セパレータとの接合部の一部に、前
   記ヘッダの内部と外部とを連通する穴を備え、 前記ヘッダと前記セパレータはろう付けにより接合さ
   れ、前記穴はろう材により塞がれている熱交換器。
2. 【請求項２】前記ヘッダは、前記セパレータの位置決め
   を行う位置決め用穴を有し、 前記セパレータは、板状形状の外縁の一部に前記位置決
   め用穴に嵌め合わされる位置決め用突起を有し、 前記セパレータは、前記位置決め用突起の反対側の部分
   に、前記ヘッダとの接合部を前記セパレータの板厚より
   大きくする当接部が設けられたことを特徴とする請求項
   １記載の熱交換器。