JP2001359192A - スピーカ及びこのスピーカに用いられるボイスコイルの製造方法 - Google Patents

スピーカ及びこのスピーカに用いられるボイスコイルの製造方法

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JP2001359192A
JP2001359192A JP2000178743A JP2000178743A JP2001359192A JP 2001359192 A JP2001359192 A JP 2001359192A JP 2000178743 A JP2000178743 A JP 2000178743A JP 2000178743 A JP2000178743 A JP 2000178743A JP 2001359192 A JP2001359192 A JP 2001359192A
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Kazuro Okuzawa
和朗 奥沢
Takeshi Shimokawatoko
剛 下川床
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OKAYAMA MORITETSU ELECTRIC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は移動体通信に使用されるスピーカに
関するものであり、耐熱性・高出力化に優れたスピーカ
を提供するものである。 【解決手段】 本発明のスピーカは芯線21aの外周を
絶縁被膜21bで被覆し、その外周にポリアミド樹脂を
主成分とし、これにフェノール系樹脂及びエポキシ樹脂
を配合したワニスを被覆して接着層21cを設けたボイ
スコイル用導線21を巻線して形成したボイスコイルを
用いてスピーカを構成するものであり、1次加熱により
プレキュア状態のボイスコイルを形成するポリアミド樹
脂と更に2次加熱して耐熱性・接着性に優れたボイスコ
イルとするためのフェノール系樹脂及びエポキシ樹脂を
ワニスとした接着層21cを設けたことにより、高出力
化を可能としたスピーカの提供を可能とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として携帯電話な
どの移動体通信に使用されるスピーカ及びこのスピーカ
に用いられるボイスコイルの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を図5から図9により説明す
る。図5はレシーバ用のスピーカの側断面図であり、図
6は他の従来技術であるマイクロスピーカの側断面図で
あり、図7は要部であるボイスコイルの斜視図であり、
図8は上記ボイスコイルに用いられる線材の構造図であ
り、図9は線材をボイスコイルに加工する巻線機の斜視
図である。
【0003】同図によると、1は樹脂成形されたフレー
ムであり、一対の端子2及び磁性材からなるヨーク3を
一体に成形している。4はヨークの底部に装着された円
柱状のマグネットであり、5はこのマグネット4上に装
着されたプレートである。以上のヨーク3とマグネット
4とプレート5で磁気回路部を構成している。6は上記
プレート5とヨーク3間に形成された磁気ギャップであ
り、この磁気ギャップ6には上端が振動板7に固着さ
れ、構成する線輪の両終端が上記端子に接続されたボイ
スコイル8が嵌め込まれ、上記振動板7を上記フレーム
1に装着することによって、上記ボイスコイル8は上記
磁気ギャップ6内に保持されている。
【0004】尚、9はプロテクタであり特に図示しない
が金属薄板や樹脂薄板に複数の透孔等が設けられたもの
であり、樹脂フィルム等で形成された上記振動板7を保
護するとともに、上記振動板7が発生した音波を外部へ
放音するものである。
【0005】以上のように構成されたスピーカは、上記
端子2を介して外部から入力された電気音響信号を上記
ボイスコイル8に入力し、このボイスコイル8の電気音
響振動に応じた上下動により上記振動板7を振動させ、
上記プロテクタ9より放音するものである。
【0006】尚、図6はマイクロスピーカと言われるも
のの側断面図であるが、上述のスピーカとの構成上の相
違点のみ説明すると、11は下部プレートであり、下部
プレート11の中央にはセンターポール11aが結合さ
れ、この下部プレート11の上にリング状のマグネット
12、その上にリング状の上部プレート13を重畳結合
して磁気回路部を形成している。
【0007】14は上部プレート13の上部に結合され
たフレームであり、15はこのフレーム14に結合され
た振動板であり、中央部に上端を結合したボイスコイル
16を磁気回路部の磁気ギャップ17内に保持してい
る。尚、動作は上記図5のスピーカと同じであるので説
明を省略する。以上のようなスピーカに用いられるボイ
スコイル8や16には薄型・小型・軽量化、低入力での
高出力等の要請から空芯のボイスコイルが用いられるの
が一般的である。
【0008】次に上記ボイスコイルに用いられる線材1
8の構造を図8により説明すると、18aは銅またはそ
の合金からなる芯線であり、18bは耐熱性の樹脂を被
覆した絶縁被覆層であり、18cはポリアミド系の熱可
塑性樹脂からなる熱溶融型接着剤層である。
【0009】この線材18の巻き始めを図9に示すごと
く巻線機19の巻線治具19aに繋止し、巻線治具19
aを回転させつつ、熱風機19bにより熱風を吹き付
け、線材18をコイル状に形成するとともに、熱風によ
って溶融した熱溶融型接着剤層18cを再固化した後、
巻線治具19aから取り外して、ボイスコイルを形成す
るものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述のよ
うに作製されたボイスコイル8,16においては、熱風
温度のばらつきにより接着力が不安定となるとともに、
巻線中の引っ張りによる残存応力によってボイスコイル
8,16のコイル形状が崩れ易くなる。また、スピーカ
の大入力、大出力化のための自己発熱や携帯電話等の機
器への組み込み時の組立工程で使用されるリフロー半田
処理等によって、短時間であるが高温雰囲気中へ放置さ
れるために、ボイスコイル8,16が変形しスピーカと
しての性能が劣化する等の課題を有するものであった。
従ってスピーカとしての大入出力化のネックともなって
いた。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために本発明の請求項1に記載のスピーカは、芯線
の外周を絶縁被膜で被覆し、その外周にポリアミド樹脂
を主成分とし、これにフェノール系樹脂及びエポキシ樹
脂を配合したワニスを被覆して接着層を設けたボイスコ
イル用導線を巻線して形成したボイスコイルを用いてス
ピーカを構成するものであり、1次加熱によりプレキュ
ア状態のボイスコイルを形成するポリアミド樹脂と、更
に2次加熱して耐熱性・接着性に優れたボイスコイルと
するための、フェノール系樹脂及びエポキシ樹脂をワニ
スとした接着層を設けたことにより、生産性に優れると
ともに大入出力化を可能としたスピーカの提供を可能と
するものである。
【0012】本発明のボイスコイルの製造方法の請求項
2に記載のものは、芯線の外周を絶縁被膜で被覆し、そ
の外周にポリアミド樹脂を主成分とし、これに熱硬化性
樹脂を配合したワニスを被覆して接着層を設けたボイス
コイル用導線を巻芯に巻線して、ボイスコイル用導線を
コイル状に形成し、1次加熱により接着層に配合された
ポリアミド樹脂を溶融・固化後、巻芯からコイル状に形
成された上記ボイスコイル用導線を取り外し、更に2次
加熱により熱硬化性樹脂を加熱硬化して空芯状のボイス
コイルを形成するものである。
【0013】また、1次加熱により接着層に配合された
ポリアミド樹脂を溶融・固化し、巻芯からコイル状に形
成されたプレキュア状態のボイスコイルを取り外して
後、2次加熱により熱硬化性樹脂を加熱硬化して空芯状
のボイスコイルを形成するものであるので、高耐熱性
で、接着力に優れて変形やばらけることのないボイスコ
イルを、従来の製造工程に熱硬化性樹脂を加熱硬化する
工程を加えるのみで構成でき、設備の追加も少なく、生
産性も巻線工程は従来通りで行える極めて生産性の高い
ボイスコイルの製造方法を提供できるものである。
【0014】本発明のボイスコイルの製造方法の請求項
3に記載のものは、請求項1記載のボイスコイル用導線
を巻芯に巻線して上記ボイスコイル用導線をコイル状に
形成し、1次加熱により接着層に配合されたポリアミド
樹脂を溶融・固化後、巻芯からコイル状に形成されたボ
イスコイル用導線を取り外し、更に2次加熱によりフェ
ノール樹脂及びエポキシ樹脂を加熱硬化して空芯状のボ
イスコイルを形成するものであるので、請求項2記載の
作用効果を有するとともに、接着層のポリアミド樹脂に
配合する熱硬化性樹脂をフェノール樹脂及びエポキシ樹
脂としたので大入出力のスピーカにおいてより優れた安
定した品質のボイスコイルの提供を可能とするものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスピーカの実施例
の形態について図1から図4により説明する。なお、従
来技術と同一部分は同一番号を付して説明を省略して説
明する。図1は本発明の実施例の形態のスピーカの要部
であるボイスコイルに用いる線材の構造図であり、図2
は同線材によるプレキュア状態のボイスコイルの斜視図
であり、図3はプレキュア状態のボイスコイルを更に熱
処理する状態の説明図であり、図4はスピーカが携帯電
話等の機器に組み込まれるときのリフロー半田付の温度
条件分布図である。
【0016】図1によると、21はボイスコイル用導線
であり、銅またはその合金からなる芯線21aと、エス
テルイミド系樹脂に変成ポリウレタン樹脂を配合した絶
縁被覆21bと、ポリアミド樹脂を主成分とし、これに
フェノール系樹脂及びエポキシ樹脂を配合してなるワニ
スを被覆して形成した接着層21cである。
【0017】尚、詳細は従来技術と同様であるので省略
するが、このボイスコイル用導線21の巻き始めを巻線
機19の巻線治具19aに繋止し、巻線治具19aを回
転させつつ、熱風機19bにより熱風を吹き付け、ボイ
スコイル用導線21をコイル状に形成するとともに、熱
風によって溶融した接着層21cのポリアミド樹脂を再
固化した後、巻線治具19aから取り外して、プレキュ
ア状態のボイスコイル22を形成する。この状態におい
ては接着層21cのポリアミド樹脂が固化したのみであ
り、熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂及びエポキシ
樹脂は硬化していない。
【0018】この巻線機から取り外されたプレキュア状
態のボイスコイル22は熱処理炉23により熱処理され
る。熱処理条件は、100℃の雰囲気中に約10分間、
徐々に160℃まで昇温し、5分間放置し、常温まで冷
却する。
【0019】以上のように作製されたボイスコイルは、
熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂及びエポキシ樹脂
も硬化し、耐熱性(接着強度や形状保持力)に優れたボ
イスコイルが提供できるものである。表1はプレキュア
状態のボイスコイル(従来技術相当)と熱硬化性樹脂も
硬化させたボイスコイルの線間強度の比較を行ったもの
である。
【0020】
【表1】
【0021】また、上記熱処理後のボイスコイルを図5
のレシーバに組み込み、図4のリフロー処理条件下に曝
したところボイスコイルに起因する特性劣化はみられな
かった。
【0022】以上のように上記実施の形態では、ボイス
コイル用導線の接着層にポリアミド樹脂を主成分とし、
これにフェノール系樹脂及びエポキシ樹脂を配合したワ
ニスを被覆し、巻線機による巻線時に熱風乾燥によりポ
リアミド樹脂を固化させてプレキュア状態のボイスコイ
ルを作製し、さらにエポキシ樹脂、フェノール樹脂を熱
処理により硬化させることにより、プレキュアすること
でボイスコイルとしての取り扱いを容易として生産性の
低下を防ぐとともに、更に次の熱処理でエポキシ樹脂、
フェノール樹脂を硬化させて最終形態としたことによ
り、耐熱性の向上を図り、大入出力用として優れたボイ
スコイルの提供とスピーカの提供を可能としたものであ
る。
【0023】尚、上記実施の形態においては接着層にポ
リアミド樹脂とエポキシ樹脂、フェノール樹脂を配合し
たが、フェノール樹脂によりポリアミド樹脂との相溶性
を図るとともに、耐熱性の向上を図ることを可能とする
ものである。更にエポキシ樹脂を配合することにより耐
熱性の更なる向上と接着性の向上を図ることができるも
のである。
【0024】尚、エポキシ樹脂は配合比20%以下とす
ることが相溶性の関係から望ましい。また、上記実施の
形態ではワニスにポリアミド樹脂を主体としてフェノー
ル樹脂及びエポキシ樹脂を配合したものを用いたが、い
ずれか一方を配合したものであっても従来のものより、
接着強度、耐熱性に優れ、高出入力用ボイスコイル及び
これを用いた高出入力タイプのスピーカの提供を可能と
するものであるとともに、要求される耐熱性等によって
既知の熱硬化性樹脂から適宜選択すれば良いものであ
る。尚、上記ボイスコイルは、上記実施形態のスピーカ
にのみ用いられるものではなく、マイクロフォン等にも
使用できる汎用性の高いものである。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明はボイスコイル導線
の接着層にポリアミド樹脂を主成分に熱硬化性樹脂を配
合することによって、耐熱性・接着性に優れたボイスコ
イル及びこれを用いた大入出力用小形・軽量・薄型のス
ピーカの提供を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のスピーカの要部である
ボイスコイルに用いる線材の構造図。
【図2】同線材によるプレキュア状態のボイスコイルの
斜視図。
【図3】プレキュア状態のボイスコイルを更に熱処理す
る状態の説明図。
【図4】リフロー条件の温度分布図。
【図5】従来のレシーバ用のスピーカの側断面図。
【図6】同他の従来技術であるマイクロスピーカの側断
面図。
【図7】同要部であるボイスコイルの斜視図。
【図8】同ボイスコイルに用いられる線材の構造図。
【図9】同線材をボイスコイルに加工する巻線機の斜視
図。
【符号の説明】
21 ボイスコイル用導線 21a 芯線 21b 絶縁被覆 21c 接着層 22 プレキュア状態のボイスコイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥沢 和朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 下川床 剛 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D012 BA01 CA02 HA00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯線の外周をエステルイミド系樹脂に変
    成ポリウレタン樹脂を配合した絶縁被膜で被覆し、その
    外周にポリアミド樹脂を主成分とし、これにフェノール
    系樹脂及びエポキシ樹脂を配合したワニスよりなる接着
    層を設けたボイスコイル用導線を巻線して形成したボイ
    スコイルを振動板に結合してなるスピーカ。
  2. 【請求項2】 芯線の外周をエステルイミド系樹脂に変
    成ポリウレタン樹脂を配合した絶縁被膜で被覆し、その
    外周にポリアミド樹脂を主成分とし、これに熱硬化性樹
    脂を配合したワニスよりなる接着層を設けたボイスコイ
    ル用導線を巻芯に巻線してボイスコイル用導線をコイル
    状に形成し、一次加熱により上記接着層に配合されたポ
    リアミド樹脂を溶融・固化後、巻芯からコイル状に形成
    された上記ボイスコイル用導線を取り外し、更に2次加
    熱により熱硬化性樹脂を加熱硬化して空芯状のボイスコ
    イルを形成するボイスコイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のボイスコイル用導線を巻
    芯に巻線して上記ボイスコイル用導線をコイル状に形成
    し、一次加熱により接着層に配合されたポリアミド樹脂
    を溶融・固化後、巻芯からコイル状に形成された上記ボ
    イスコイル用導線を取り外し、更に2次加熱によりフェ
    ノール樹脂及びエポキシ樹脂を加熱硬化して空芯状のボ
    イスコイルを形成するボイスコイルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7729503B2 (en) 2005-07-28 2010-06-01 Acoustic Design, Inc. Armored voice coil assembly for use in high power loudspeaker applications

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7729503B2 (en) 2005-07-28 2010-06-01 Acoustic Design, Inc. Armored voice coil assembly for use in high power loudspeaker applications

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