JP2001354680A - 高安定性酸性リン脂質および製造方法 - Google Patents

高安定性酸性リン脂質および製造方法

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淳良 仁科
Hideyuki Torada
英之 虎田
Ron Hashizume
論 橋爪
Yoshiro Nakano
善郎 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高安定性酸性リン脂質およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】酸性リン脂質と賦形剤を共存させることに
より安定な酸性リン脂質を製造する方法において、0〜
50℃の条件下で水に酸性リン脂質と賦形剤を添加し、
均質化後、真空乾燥して水分を1%以下とすることを特
徴とする高安定性酸性リン脂質の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定性の高い酸性
リン脂質およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸性リン脂質は、リン脂質の酸性物であ
り、例えば、ホスファチジルセリンまたはホスファチジ
ン酸の塩型のものは牛脳や植物から抽出されたり、他の
リン脂質を出発原料とする塩基交換反応または加水分解
により製造されてきた(特開昭63−36190号公
報、特開昭63−36191号公報、特開昭63−36
792号公報、特開平2−79990号公報、特開平4
−171976号公報)。しかし、前記に開示された先
行技術は、反応後にホスファチジルセリンまたはホスフ
ァチジン酸を塩の形で取り出すものであって、酸型のリ
ン脂質が自然界に存在し難く得ることは困難であった。
【0003】一方、酸性リン脂質については、近年、様
々な生理活性が見出されており、特にホスファチジルセ
リンは学習効果を高めるような脳機能改善効果や、抗ス
トレス効果等の生理活性が見出されており、医薬品や食
品等への応用が期待されている。しかし、これら酸性リ
ン脂質は酸型の状態では化学的に不安定であり、酸化や
加水分解等の品質劣化を受けやすかった。このため、現
在市場では試薬グレードの酸性リン脂質が冷凍保存状態
で流通していた。ところが、酸性リン脂質は、塩型のも
のと比較し、他の油脂との相溶性に優れ、製品加工を行
いやすい利点があり、塩型とは異なる生理活性を有する
ことから、常温で、高安定性酸性リン脂質を製造する方
法が望まれていた。
【0004】特開昭54−126206号公報には、ホ
スファチジルコリン等のリン脂質含有油脂に 例えば、
オクタデシルアクリルアミド−N,N−ジメチルアクリ
ルアミドの共重合体を添加して、リン脂質の褐変を抑え
る方法が開示されているが、この方法で、酸性リン脂質
の酸化、加水分解が抑制されるか否かについては記載が
ない。特開平8−53643号公報には、アルキルアク
リルアミド、N−置換アクリルアミドからなる水溶性高
分子で被覆することによるリン脂質等の膜の安定化技術
が開示されている。しかし、この方法で、酸性リン脂質
の酸化、加水分解が抑制されるか否かについては記載が
ない。また、この技術は、膜の安定化技術であり、バル
クの酸性リン脂質には適用できないなど問題があった。
【0005】特表平8−505403号公報、特表平1
1−502851号公報では、サイトカイン等の蛋白質
を用いて、リン脂質を含む疎水性脂質を賦形剤として添
加し、蛋白質を安定化する技術が開示されている。しか
し、この方法で、酸性リン脂質の酸化、加水分解が抑制
されるか否かについては記載がない。また、この技術
は、蛋白質の安定化技術であり、酸性リン脂質には適用
できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常温
で、安定性のある酸性リン脂質およびその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点に鑑み鋭意検討した結果、特定の条件下に酸性リン脂
質と賦形剤とを配合すると、常温でも、酸性リン脂質が
著しく安定化する知見を得て、本発明を完成させるに至
った。即ち、本発明は、次の[1]〜[4]である。
【0008】[1] 酸性リン脂質と賦形剤を共存させ
ることにより安定な酸性リン脂質を製造する方法におい
て、0〜50℃の条件下で水に酸性リン脂質と賦形剤を
添加し、均質化後、真空乾燥して水分を1%以下とする
ことを特徴とする高安定性酸性リン脂質の製造方法。
【0009】[2] 酸性リン脂質がホスファチジン酸
またはホスファチジルセリンであり、賦形剤が炭水化
物、蛋白質、ペプチドおよびアミノ酸からなる群より選
択される1種または2種以上であり、賦形剤の量が酸性
リン脂質が1重量部に対して、0.01〜100重量部
である前記[2]の高安定性酸性リン脂質の製造方法。
【0010】[3] 賦形剤である蛋白質が、ラクトア
ルブミンまたはゼラチンで、賦形剤であるペプチドが卵
白ペプチドである前記の[1]の高安定性酸性リン脂質
の製造方法。
【0011】[4] 前記の[1]〜[3]の製造方法
によって得られる酸性リン脂質であって、保存温度40
℃、相対湿度75%の条件下で6カ月保存中に酸性リン
脂質の減少量が10%以下、過酸化物価の上昇が1以下
である高安定性酸性リン脂質。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いるリン脂質は、例え
ば、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾ
レシチン等が挙げられる。なかでもホスファチジルセリ
ン、ホスファチジン酸が好ましく挙げられる。用いるリ
ン脂質は、天然資源から抽出したもの、あるいは合成し
たものの如何を問わず使用できる。また、市販のもの、
または公知の方法で調製したものを使用しても良い。例
えば、大豆、脱脂大豆、卵黄等から抽出したものを単独
で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、動物、植物等の起源については特に限定されな
い。例えば、大豆レシチン、脱脂大豆レシチン、卵黄レ
シチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノ
ールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾレシチ
ン等から塩基交換反応もしくは加水分解により得られた
ものを使用することも可能である。本発明に用いる酸性
リン脂質としては、塩型のリン脂質を酸で処理すること
によって得られる。前記の酸としては、例えば、ギ酸、
酢酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、ク
エン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フィチン酸等が挙
げられる。 これらの中から選ばれる1種または2種以
上を組み合わせて用いることができる。陽イオンの除去
効果の点から塩酸、硫酸、硝酸、リン酸の無機酸、フィ
チン酸等の有機酸を使用することがより好ましい。
【0013】また、緩衝液溶液、例えば、ギ酸−ギ酸ナ
トリウム緩衝液、グリシン−塩酸緩衝液、酢酸−酢酸ナ
トリウム緩衝液、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝
液、リン酸緩衝液等を所定のpHに調整して用いること
がより望ましい。酸または緩衝液の添加量は、塩型リン
脂質1molに対し、酸を1〜100mol、好ましく
は15〜60mol、より好ましくは20〜50mol
に設定する。添加量が1mol未満では酸の効果が十分
でなく、高純度酸性リン脂質を製造することができな
い。また、酸の添加量が100molを越えると、加水
分解等の副反応が生じるので望ましくない。反応系に添
加する酸の温度は0〜50℃、好ましくは5〜30℃、
より好ましくは7〜20℃である。温度が0℃未満では
酸の粘度が上昇したり凝固するため取り扱いが難しくな
る。また、酸の温度が50℃を越えると、加水分解等の
副反応が生じるので望ましくない。また例えば酸性リン
脂質の市販品としては、牛脳由来ホスファチジルセリン
(純度98%:シグマ社製品)、大豆由来ホスファチジ
ルセリン(純度98%:シグマ社製品)、ジパルミトイ
ルホスファチジン酸(純度99%:シグマ社製品)等が
好ましいものとして挙げられる。
【0014】本発明に用いるリン脂質の構成脂肪酸は、
同一または異種であり、炭素数8〜24の飽和または不
飽和の脂肪酸である。例えば、カプロン酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、アラキジン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、
リノール酸、αおよびγ−リノレン酸、エルシン酸、ア
ラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン
酸、テトラコサテトラエン酸等が挙げられる。なかで
も、オレイン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸、
ドコサヘキサエン酸が生理活性の面から好ましい。
【0015】本発明に用いる賦形剤としては、例えば、
炭水化物、蛋白質、ペプチドおよびアミノ酸が挙げられ
る。前記の炭水化物としては、例えば、澱粉、デキスト
リン、セルロース及びその加水分解物、ブドウ糖、果糖
などの単糖類、マルトース、乳糖などの二糖類、アラビ
アゴム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プル
ラン等の多糖類等が挙げられる。これらの1種または2
種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、市販品と
して、ラクトース(ラプリノ社製品)、SD−20(シ
クロデキストリン:塩水港精糖(株)製品)、パインデ
ックス(デキストリン:松谷化学(株)製品)等が好ま
しい物として挙げられる。
【0016】前記の蛋白質としては、動物および植物系
の蛋白質が用いられる。動物性蛋白質としては、例え
ば、カゼイン、コラーゲン、ホエイ蛋白質、卵蛋白質、
魚蛋白質等が挙げられる。またさらに、植物性蛋白質と
しては、大豆蛋白質、小麦蛋白質、トウモロコシ蛋白質
等が挙げられる。前記のペプチドとしては、前記の蛋白
質の分解物またはその塩が挙げられ、例えば、卵白ペプ
チド、魚ペプチド、乳蛋白ペプチド等が挙げられる。前
記のアミノ酸としては、前記のペプチドの分解物、ある
いは各種アミノ酸を使用することができる。この中でも
供給安定性の面から、ゼラチン、卵白ペプチド、ラクト
アルブミン、カゼイネート等が好ましく挙げられる。例
えば、市販品として、低分子コラーゲンパウダーSPH
(雪印食品(株)製品)、ラクプロダン80(ラクトア
ルブミン:MDフーズイングレディエンツジャパン
(株)製品)、マグネシウムカゼイネートS(DMVジ
ャパン(株)製品)、CE90F(ホエーペプチド:D
MVジャパン(株)製品)、EP−3(卵白ペプチド:
キューピー(株)製品)等が好ましいものとして挙げら
れる。
【0017】本発明で用いる賦形剤の使用量は、原料と
なる酸性リン脂質1重量部に対して0.01〜100重
量部、好ましくは、0.2〜50重量部、より好ましく
は0.5〜10重量部である。賦形剤の添加量を酸性リ
ン脂質1重量部に対して100重量部より多くしても、
それに見合うだけの著しい安定化の向上効果が認められ
ず、0.01重量部未満では賦形剤による安定化効果が
得られない。
【0018】本発明を実施する形態は、原料となる酸性
リン脂質1重量部に対して0.01〜100重量部の範
囲の賦形剤を攪拌槽中にて水に溶解させ、次いで酸性リ
ン脂質の粉末を添加して均質化させることにより、酸性
リン脂質を賦形剤で包含させる。包含は、0〜50℃の
範囲で行う。50℃より高くなると、賦形剤である蛋白
質の変性を生じることや、酸性リン脂質の分解を伴う、
0℃より低くなると水相が凝固してしまう。包含を行う
際にはホモゲナイザー、ポリトロン、マイクロフルイダ
イザ−、ホモミキサー等の均質機を併用することができ
る。なお、反応は窒素還流下で行うことによりリン脂質
に含まれる脂肪酸の劣化を防ぐことができる。その後、
真空ベルト乾燥機、真空凍結乾燥等の真空乾燥機により
乾燥し、最終製品中の水分を1%以下とする。
【0019】本発明の方法で製造した酸性リン脂質は、
保存温度40℃、相対湿度75%の条件下で6カ月保存
中に酸性リン脂質の減少量が10%以下、過酸化物価の
上昇が1以下を達成できる安定化を著しく向上させたも
のである。
【0020】
【発明の効果】本発明の高安定性酸性リン脂質の製造方
法は、特定の条件下で、原料の酸性リン脂質と特定の賦
形剤を添加して、安定化を図るもので、0〜50℃の条
件下で水に酸性リン脂質と賦形剤を添加し、均質化後、
真空乾燥して水分を1%以下とする簡単な方法により安
定化した酸性リン脂質を得ることができる。様々な生理
活性を有する酸性リン脂質を安定化することにより、長
期間、品質を維持することができ、工業的に、健康食品
や医薬品等へ応用することができる。
【0021】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。用いた
測定方法、評価方法を示す。 1.リン脂質の定量 高速液体クロマトグラフィー(ギルソン社製、機種モデ
ル303)を用いて行った。固定相にはシリカゲルカラ
ム(径4.6mm×長さ250mm)を用い、また移動
相にはアセトニトリル:メタノール:10mMリン酸二
水素アンモニウム=612:289:100の混合溶媒
を用い検出は、紫外線UV波長202nmにおける吸収
を測定することにより定量した。 2.過酸化物価(POV)の測定 酸化の指標となるPOVは日本油化学協会制定の基準油
脂分析試験法2.4.12−86に準じて測定した。 3.水分の測定 試料中の水分は、カールフィッシャー水分計、三菱化学
(株)製、機種CA−06)を用いて測定した。 4.安定性の評価方法 安定性の評価は、粉末試料を開放状態で、40℃、相対
湿度75%の恒温槽内で6ヶ月間保存後、酸性リン脂質
の含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測
定し、その残存率を求めた。 5.酸化安定性 前記の方法により初期および粉末試料を開放状態で、4
0℃、相対湿度75%の恒温槽内で6ヶ月間保存後、過
酸化物価(POV)の測定を行った。
【0022】実施例1 ラクトアルブミン0.05gと水3gを混合し超音波洗
浄機で攪拌し溶解させ、次いで酸性の牛脳由来ホスファ
チジルセリン(純度98%:シグマ社品)0.5gを添
加後、窒素置換を行いながら30℃でポリトロン(キネ
マチカ社製)を用いて15分間均質化した。均質化後に
真空凍結乾燥を行い、粉末0.54gを得た。試料の水
分を前記の方法により測定した結果、0.2%であっ
た。
【0023】実施例2 シクロデキストリン500gを水3000gに入れ、プ
ロペラ撹拌機で溶解し、次いで酸性の大豆由来ホスファ
チジルセリン(純度98%:シグマ社品)500gを添
加後、10℃でホモミキサーにて窒素置換を行いながら
15分間均質化した。反応後に真空ベルト乾燥を行い、
粉末990gを得た。同様にして水分を測定した結果、
0.1%であった。
【0024】実施例3 カゼインナトリウム2140gと水5000gをホモミ
キサーにて攪拌し溶解させ、次いで酸性のジパルミトイ
ルホスファチジン酸(純度99%:シグマ社品)500
gを添加後、1℃でホモミキサーにより15分間均質化
した。均質化後に凍結乾燥を行い、粉末2580gを得
た。試料の水分を測定した結果、0.3%であった。
【0025】実施例4 ゼラチン100gと水800gを50℃に加温後プロペ
ラ撹拌により溶解させ、45℃に冷却した後に大豆由来
ホスファチジルセリン(純度98%:シグマ社品)1.
9gを添加後、窒素置換を行い、ソニファイヤー(ブラ
ンソン社製)により15分間均質化した。反応後に凍結
乾燥を行い、粉末101gを得た。試料の水分を同様に
測定した結果、0.1%であった。
【0026】比較例1 ラクトアルブミン0.05gと水3gを混合し超音波洗
浄機で攪拌し溶解させ、次いで酸性牛脳由来ホスファチ
ジルセリン(純度98%:シグマ社製品)0.5gを添
加後、窒素置換を行いながら30℃でポリトロン(キネ
マチカ社)を用いて15分間均質化した。均質化後に温
風乾燥を行い、粉末0.48gを得た。試料の水分を同
様にして測定した結果、3.0%であった。
【0027】比較例2 シクロデキストリン2gを水3000gに入れ、プロペ
ラ撹拌機で溶解し、次いで酸性の大豆由来ホスファチジ
ルセリン(純度98%:シグマ社品)500gを添加
後、10℃でホモミキサーにて窒素置換を行いながら1
5分間均質化した。反応後にスプレードライを行い、粉
末459gを得た。試料の水分を同様にして測定した結
果、5.0%であった。
【0028】比較例3 カゼインナトリウム2140gと水5000gをホモミ
キサーにて攪拌し溶解させ、次いで酸性のジパルミトイ
ルホスファチジン酸(純度99%:シグマ社製品)50
0gを添加後、60℃でホモミキサーにより15分間均
質化した。均質化後に温風乾燥を行い、粉末2250g
を得た。試料の水分を同様にして測定した結果、10%
であった。
【0029】比較例4 ゼラチン100gと水800gを50℃に加温後プロペ
ラ撹拌により溶解させ、45℃に冷却した後に酸性大豆
由来ホスファチジルセリン(純度98%:シグマ社製
品)1.9gを添加後、さらにプロペラ撹拌により15
分間撹拌した。反応後にスプレードライを行い、粉末8
9gの粉末を得た。試料の水分を同様にして測定した結
果、3.5%であった。
【0030】試験例1 実施例1〜4、比較例1〜4で得られた粉末を40℃、
相対湿度75%の恒温槽内で6ヶ月間保存後、ホスファ
チジルセリンまたはホスファチジン酸の残存量をHPL
Cにて測定し、下記に示す計算式で残存率を求めた。 残存率(%)=(6ヶ月後の酸性リン脂質含量/初期の
酸性リン脂質含量)×100その結果を表1および2に
示す。
【0031】試験例2 実施例1〜4および比較例1〜4で得られた粉末を40
℃、相対湿度75%の恒温槽内で6ヶ月間保存後、PO
Vの測定を行った。初期値および6カ月後のPOVを表
1および2に示した。
【0032】試験例3 原料のホスファチジルセリン及びホスファチジン酸を前
記の試験例の方法と同様にして安定性を評価した。結果
を比較例5〜7として表3に示す。
【0033】
【表1】
【0034】なお表中に用いた略号は次のとおりであ
る。 PS;ホスファチジルセリン(酸型) PA;ホスファチジン酸。 また、POVの単位はmeq/kgである。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】6カ月後の原料のホスファチジルセリンと
ホスファチジン酸および比較例1〜4の場合には酸性リ
ン脂質の残存率は少ないのに比べて、本発明の実施例1
〜4では酸性リン脂質の残存率が高いことがわかる。ま
た、初期と6ヶ月後のPOVを比較すると原料のホスフ
ァチジルセリンとホスファチジン酸および比較例1〜4
は共に値が大きくなり、酸化が進行しているのに対し、
実施例1〜4には酸化劣化がほとんど認められなかっ
た。以上の結果から、本発明の実施例に示した酸性リン
脂質は著しく安定していることが分かる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸性リン脂質と賦形剤を共存させることに
    より安定な酸性リン脂質を製造する方法において、0〜
    50℃の条件下で水に酸性リン脂質と賦形剤を添加し、
    均質化後、真空乾燥して水分を1%以下とすることを特
    徴とする高安定性酸性リン脂質の製造方法。
  2. 【請求項2】酸性リン脂質がホスファチジン酸またはホ
    スファチジルセリンであり、賦形剤が炭水化物、蛋白
    質、ペプチドおよびアミノ酸からなる群より選択される
    1種または2種以上であり、賦形剤の量が酸性リン脂質
    1重量部に対して、0.01〜100重量部である請求
    項1記載の高安定性酸性リン脂質の製造方法。
  3. 【請求項3】賦形剤である蛋白質が、ラクトアルブミン
    またはゼラチンで、賦形剤であるペプチドが卵白ペプチ
    ドである請求項2記載の高安定性酸性リン脂質の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の製造方法によって得られる
    酸性リン脂質であって、保存温度40℃、相対湿度75
    %の条件下で6カ月保存中に酸性リン脂質の減少量が1
    0%以下、過酸化物価の上昇が1以下である高安定性酸
    性リン脂質。
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