JP3410851B2 - 製パン用品質改良剤 - Google Patents

製パン用品質改良剤

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JP3410851B2 JP07012095A JP7012095A JP3410851B2 JP 3410851 B2 JP3410851 B2 JP 3410851B2 JP 07012095 A JP07012095 A JP 07012095A JP 7012095 A JP7012095 A JP 7012095A JP 3410851 B2 JP3410851 B2 JP 3410851B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製パン用品質改良剤お
よびそれを用いたパンの製造方法、さらには製パン用調
製粉に関する。特に本発明により調製されるパンは、膨
らみを増大させ、柔らかな食感を与えると共に、保存中
の乾燥が抑制されており、しっとりした組織を維持する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】パンの原料となる小麦は、米と並んで主
要な食糧穀物であり、カロリー源、蛋白質源として重要
な位置を占めている。小麦粉に水を加えてミキシングす
ると、特有の粘弾性を持ったドウが形成される。このド
ウ・ミキシングは、小麦粉からパンを始めとする各種加
工食品をつくるときの最も重要な工程の一つである。こ
れをオーブンに入れて焼くと多孔質のパンができ上がる
が、この多孔質のパン組織は、酵母の発酵によって生じ
た炭酸ガスによるものである。ドウは蛋白質、デンプン
粒、ペントザン、脂質、水溶成分、水などさまざまな成
分からなる複雑な分散系であり、機械的エネルギーを加
えることで小麦蛋白質であるグリアジンとグルテニンが
水和し、蛋白質の相互作用により網目状構造ができるも
のと考えられている(Bloksma, A.H., Wheat: Chemistry
and Technology", ed. by Pomeranz, Y., Am. Assoc.
Cereal Chem. Inc., St. Paul, 1978, p.523)。この網
目状構造が形成されるためには,ドウ中の蛋白質間の相
互作用,すなわち水素結合、疎水結合のような非共有結
合が関わっており、SH−SS交換反応は主体ではない
とされている。しかし、SS結合はグルテンマトリック
スを構成する一成分であるグルテニンの構造を保持する
のに役立っているため、酸化剤、還元剤、SH基ブロッ
ク剤等の添加によりドウの粘弾性は著しく影響を受け
る。このことを利用して製パン特性の改良が行われてい
る。しかし,これらはドウ中での小麦蛋白質の変化を実
験的に調べるために添加されるものであって、食用には
適していない。
【0003】また栄養上の観点から、パンに植物性およ
び動物性の蛋白質を強化することがある。このような場
合、一般にパン容積が著しく小さくなり、製パン特性が
悪くなることが知られている。これは、大豆蛋白質など
を添加した場合、添加蛋白質がグルテン蛋白質と相互作
用するためである。非イオン界面活性剤または陰イオン
界面活性剤の添加は、添加した大豆蛋白質の影響を打ち
消す効果があるために乳化剤がパン組織の改良のため通
常0.2〜0.5%程度添加されてきた。例えば小麦粉
を原料とした食品においてスポンジケーキの組織改良剤
として食用油を用いた水中油型乳化油脂組成物が例示で
きる。特開平5─30890号公報には、25℃以下の
融点をもつ油脂35〜75重量%に動物性蛋白質のよう
な乳化活性指数100m2/g 以上の蛋白質を0.1 〜20重
量%加えて乳化した組成物をスポンジケーキの生地に添
加すると、焼成後において焼きむらがなく、組織がソフ
トでしっとりしたケーキを得ることができることが開示
されている。しかし、この乳化物の乳化安定性が高くな
ければ、目的の効果は得られないため、油脂乳化物を調
製する際、グリセリン脂肪酸エステルやまたはポリグリ
セリン脂肪酸エステルといった乳化剤を添加しなければ
ならない。また,化学合成物質を食品に添加することは
消費者にとって嫌われる傾向にある。特開平2─398
52号公報には、小麦粉とホエー蛋白質濃縮物(WPC) の
混合物またはその混合物と他の食品類との混合物を加熱
処理し、冷凍または高温処理を行っても食感、風味、う
ま味が損なわれないことが述べられている。特開昭52
─117453号公報にはホエーと大豆粉をパンの製造
に用いる方法が開示されており、特開昭52─5104
7号公報には脱水したホエーを用いたパンの製造方法が
開示されている。さらに特開平1─277459号公
報、特開平1─277449号公報にはホエー蛋白質と
食塩または乳清ミネラルを用いてパンを製造する方法が
記載されており、ホエー蛋白質の栄養効果や、資源の利
用や風味改善の目的から、ホエーをパンの製造に使用す
ることが広く行われている。しかし、ホエー蛋白質を添
加した場合、ドウ中において塩分と反応して形成される
ホエー蛋白質のゲルは加熱焼成されると、弾力性に欠
け、保水性の低い組織となってしまうこと、さらにホエ
ー蛋白質のような可溶性蛋白質は、小麦粉のドウ形成に
おけるグルテニン- グリアジン間の相互作用を阻害する
ことから必ずしも満足のできるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ホエー
蛋白質の特性について検討を行った結果、ホエー蛋白質
は通常は球状の蛋白質であるが、部分加熱変性処理を行
うと、蛋白質分子が鎖状に連結した可溶性の凝集体を形
成し、さらにこの可溶性凝集体を加熱処理すると不溶性
のゲル化物を形成することを見いだした。この可溶性の
凝集体を効率良く調製するためには、ホエー蛋白質の水
溶液を加熱処理してもゲル化しないような濃度に調製
し、55〜120℃の温度で、60分以下の加熱処理を
行うと良いことを見いだした。またこの可溶性凝集体
は、噴霧乾燥や凍結乾燥処理を行うことで粉末化するこ
とができ、さらにこの粉末を水に溶解することにより、
可溶性凝集体の状態に戻ることを見いだした。この可溶
性凝集体は、凍結操作や塩によって不可逆的なゲルを形
成するために、食肉加工やデザート類の製造原料として
有用であることを見いだしすでに特許出願を行っている
(特開平5─64550号)。本発明者らはこのような
知見に基づいてさらに研究を行ったところ、上記の可溶
性凝集体をパンの製造に用いると、パンの組織が未加熱
のホエー蛋白質やホエーを添加したものと異なり、パン
の膨らみが増大し、さらにソフトでしっとりした状態を
維持できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。これは従来のホエー蛋白質をパンの製造に用いるた
めには、変性をしていないものを用いる方が好ましいと
されていることと全く異なるものである。本発明は、上
記のような知見に基づいて成されたもので、部分加熱変
性したホエー蛋白質を有効成分とする製パン用品質改良
剤および、この品質改良剤を用いたパンの製造方法、さ
らにはまたパンの製造に使用可能な、品質改良剤を含有
する調製粉を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述したよう
にホエー蛋白質の熱変性温度より高い温度で加熱した
時、加熱凝固しない濃度に調製したホエー蛋白質水溶液
を、前記蛋白質の熱変性温度で加熱して得られる、ホエ
ー蛋白質の部分加熱変性物をパンの製造に使用するもの
である。本発明に用いるホエータンパク質の部分加熱変
性物を調製するための原料であるホエー蛋白質は、牛乳
よりカゼイン製造、チーズ製造時に副産物として得られ
るホエーから調製される。ホエーを膜濃縮装置およびク
ロマトグラフィー装置によってさらに蛋白質含量を高
め、脂肪、乳糖、塩類などの低分子成分含量を低減ある
いは除去するために電気透析法(Stribley, R.C, Food P
rocessing, 24(1),49,1963), 逆浸透処理法(Marshall,
P.G., Food Technology, 22(a), 696, 1968),ゲル濾過
法(米国特許No.27806) または限外濾過法(Horton, R.S.
et al.,FoodTechnology, 26, 30, 1972) イオン交換樹
脂に吸着させる方法(Skudder, P.J.,Chem. Ind., June,
810, 1983; deWit, J.N., Proc. Int. Congr. Milk Pr
oteins, p183, 1984)等の処理を行って調製する。その
後さらに必要があれば、ホエー蛋白質溶液を濃縮し、凍
結乾燥あるいは噴霧乾燥する。また、通常入手できるホ
エー蛋白質濃縮物(WPC)やホエータンパク質分離物
(WPI)を使用することも可能である。
【0006】上記の方法によって得られたホエー蛋白質
水溶液またはその粉末を水に溶解し、ゲル化しない程度
に加熱する。すなわち、蛋白質濃度として4〜15重量
%,好ましくは5〜12重量%に調製したホエー蛋白質
水溶液を55℃以上120℃以下、好ましくは65〜9
5℃で加熱する。水溶液として用いる場合は、蛋白質濃
度が4%よりも低いとパンに添加しても十分な効果は認
められない。15%よりも高いと逆に粘度が高くなり、
パン組織内に不均一に分散してしまうため本発明には使
用できない。このような加熱処理によってホエー蛋白質
はその微細な構造に部分的な変性を生じ、分子表面に疎
水的な部分が露出したり、蛋白質間のSH/SS交換反
応を生じながら可溶性の凝集体を形成する。加熱温度が
55℃より低い場合、蛋白質変性が不十分であるため好ま
しくない。また120 ℃以上では部分的にホエー蛋白質が
ゲル化したり、焦げを生じるため避けるべきである。こ
の部分加熱変性ホエー蛋白質溶液は、低温において塩類
を添加したり(特開平5−64550)、酸性化するこ
とによって(特開平2−124067)、あるいは凍結
・解凍処理によって(特開平3−280834,特開平
3−277249)ゲル化することが知られている。
【0007】部分加熱変性ホエー蛋白質溶液は、加熱変
性したホエー蛋白質の疎水性度によって特性が異なって
くるが、通常はpHを6.0〜8.0に調整して加熱処
理を行った場合、上記加熱温度で60分以下、好ましく
は1〜60分間保持することで目的とする部分加熱変性
ホエー蛋白質を得ることができる。加熱時間が短いと変
性が起こらず、疎水性度を測定した場合、下記に定義す
る疎水性度FI値よりも低くなり目的とする効果を有し
たものが得られないため好ましくない。逆に加熱時間が
60分以上になるとFI値は高くなるが、しかしこの場
合には、水溶液は部分的にゲル化したり、また褐変化し
たりするため好ましくない。ホエー蛋白質水溶液の調製
方法は、特開平5−64550号公報に開示された方法
に従って実施することができる。このようにして調製さ
れた部分加熱変性ホエータンパク質水溶液を必要に応じ
て、凍結乾燥や噴霧乾燥することができ、この乾燥粉末
を製パン用品質改良剤として用いることができる。また
必要に応じてその他の蛋白質や酵母などの粉末を添加す
ることもできる。
【0008】上記に説明したようなホエー蛋白質の部分
加熱変性物をパンの製造の際に品質改良剤として原料に
添加した場合、焼成後のパン組織はソフトでしっとりと
し,良好な食感を有し、かつパンの膨らみを増大させる
ことができる。これは部分加熱変性したホエー蛋白質が
原料中の塩類によってゲルを形成し、さらに部分加熱変
性ホエー蛋白質がドウ中の小麦蛋白質と相互作用し、微
小なゲルがドウ中に均等に分散して形成され、加熱にと
もなってゲル中の水分が水蒸気となって放出され、パン
を膨らませるとともに、一部の水分はゲルのままパン組
織中に残留するためと考えられる。
【0009】本発明の本体である部分加熱変性ホエー蛋
白質の加熱変性度は、疎水性度を測定することで確認す
ることができる。通常は下記に定義される疎水性度(F
I/mg蛋白質)で50以上であり、特に好ましくは1
00以上である。50FI/mg蛋白質以上でないと目
的の効果は得られない。
【0010】疎水性度:被検ホエー蛋白質溶液を0.1
〜0.3g/l程度の濃度に希釈し、8mMの1−アニ
リノナフタレン−8−スルホン酸を蛍光プローブとして
添加し、蛍光光度計にて励起波長370nm、蛍光波長
470nmにて測定し、得られた値FIをホエー蛋白質
(mg)当たりで示したもの。この加熱変性度測定方法
は、上記特開平5−64550号公報に開示されている
記述にしたがって実施することができる。
【0011】上記の方法で調製された製パン用の品質改
良剤は、分析した場合、固形分あたり蛋白質 30〜9
5%、灰分0.5〜10%を示すが、必要に応じて、澱
粉や小麦粉末で希釈することもできる。
【0012】本発明の製パン用品質改良剤は、上記の部
分加熱変性蛋白質を含有する水溶液またはその乾燥粉末
を単独で使用するか、必要に応じて、通常製パン用の品
質改良剤として使用されるリン酸塩等と混合しても良
い。本溶液またはその粉末を製パンの品質改良剤として
使用する場合、ホエー蛋白質に換算して原料の小麦粉に
対して0.01〜5.0%、特に好ましくは0.05〜
3%、さらに好ましくは1%添加する。0.01重量%
より少ないと目的とする品質改良に十分な効果が得られ
ず、5重量%を越えるとドウを調製する際に逆に小麦蛋
白質の吸水を阻害するため良好な組織が得られない。ホ
エー蛋白質の部分加熱変性物である上記の可溶性凝集体
の分子表面に疎水的な領域が増加しているため、他の蛋
白質や部分加熱変性していないホエー蛋白質と異なり、
ドウ組織中でグルテン蛋白質のネットワーク形成を阻害
することがない。さらに本発明の品質改良剤の有効成分
である部分加熱変性ホエー蛋白質もパン組織中の水分を
保持し、良好な食感を付与するとともに、パンの膨らみ
を促進することができる。本発明の製パン用品質改良剤
は、上記に述べたようにホエー蛋白質の水溶液を加熱処
理して得られた水溶液を直接使用しても良いし、乾燥粉
末としても良い。水溶液の場合には、パンの製造工程で
は、必ず加水工程があるため、この加水工程において使
用し、原料粉と良く混合してその後常法によりドウを調
製する。本発明の品質改良剤を用いたパンは、公知のパ
ン製造工程において脱脂乳の代わりに使用することがで
きる。また粉末の場合は、製パンに使用する粉にあらか
じめ良く混合しておく。このように粉末の本発明品質改
良剤を混合して調製した粉は、そのまま小分け包装し、
製パン時に常法により加水、混合しドウを調製し焼成す
る。
【0013】本発明による製パン用品質改良剤は、ホエ
ー蛋白質の栄養効果にはなんの影響もないことから、小
麦などに不足がちのリジンや含硫アミノ酸を供給するこ
とができ、栄養効果の高いものである。以下に実施例を
示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】
【実施例1】本実施例では、本発明の製パン用品質改良
剤の有効成分である部分加熱変性ホエー蛋白質の調製方
法について説明する。 (1) ホエー蛋白質分離物(WPI,太陽化学(株)
製、サンラクトI−1,蛋白質含量89.8%,灰分
1.34%)2000gを脱イオン水18000gに溶
解し、10%WPI溶液(蛋白質濃度9%、灰分0.1
3%、pH7)を調製した。このWPI溶液を湯浴中で
攪拌しながら加熱し、液温が80℃になってから30分
間保持した。その後、氷水中で5℃まで冷却し,部分加
熱変性WPI溶液を得た。この水溶液を以下の実施例2
において品質改良剤として用いた。なおこの水溶液のF
I値を前記の定義にしたがって測定したところ,92F
I/mg蛋白質であった。
【0015】(2)ホエー蛋白質濃縮物(WPC,Expr
ess Food, type7502, 蛋白質含量75%,灰分5%)1
20gを脱イオン水1380gに溶解し,液温が97℃
に達してから8分間保持した。その後,30℃まで冷却
し,部分加熱変性WPC溶液を得た。この溶液のFI値
を測定したところ、114FI/mg蛋白質であった。
つぎに、この部分加熱変性WPC溶液を50℃に加温し
ながら、圧力噴霧乾燥装置により噴霧乾燥を行い、部分
加熱変性WPC粉末を得た。これを以下の実施例2にお
いて品質改良剤として用いた。なおこの粉末を再び水に
溶解し,同様にFI値を測定したところ,110FI/
mg蛋白質であった。
【0016】
【実施例2】実施例1で得られた部分加熱変性ホエー蛋
白質を有効成分とする製パン用品質改良剤(1)および
(2)を表1の配合に基づいて脱脂粉乳および水と一部
置換する形で小麦粉に添加し、パンを製造した。また、
対照として未加熱のホエー蛋白質についても同量添加し
て本発明の効果を評価した。まず強力粉、グラニュー
糖、食塩および脱脂粉乳を混合した後、2回篩にかけ
た。つぎに水を加えてさらに有塩バター、ドライイース
トおよびホエー蛋白質を加え、十分練り上げ、自動製パ
ン機で焼き上げた。焼き上がり後は、10分間製パン機
内に静置し、内釜ごと取り出して室温で10分間放置し
た後パンを取り出した。室温でさらに40分間放冷し、
パンの容積を測定した。パンの容積測定方法は、菜種法
(E.J.Pyler,Baking Science & Technology, Vol.II,p8
92,SIEBELPublishing Company, Chicago,ILL,1973) に
よって測定した。これは、測定しようとするパンを入れ
ることのできる容積を有する容器の体積を菜種種子を用
いて測定しておき、これにパンをいれ空隙を菜種で埋
め、最初の菜種の容積との差を、測定しようとするパン
の体積とするものである。官能評価および硬さについて
は,20℃で1晩放置して評価した。硬さの測定につい
ては、スライサーで約2cmの厚さにパンを切断し、直
径3cmの円筒形プランジャーを装着したレオナーRE-3
3005(山電 (株) 製)を用いてサンプル厚さの25%ま
で圧縮したときの応力を測定した。なお、圧縮速度は、
1mm/secで行った。
【0017】
【表 1】
【0018】評価結果 表1の配合に従って、6種類のパンを製造し、パンの硬
さを調べたところ、表2に示したように、実施例1の品
質改良剤(1)あるいは実施例1の品質改良剤(2)を
添加して製造したパン(4および5)は、対照の1より
も軟らかくなった。しかし、未加熱WPIあるいはWPCを添
加したパン( 2,3)は、硬く粗い組織を呈していた。
6は、5にさらに実施例1の粉末(2)を増量添加して
製造したパンであるが、小麦粉に対してホエー蛋白質換
算で5%を超えて添加すると弾力性はあるが、脆い組織を
呈していることが判明した。これは、本発明の品質改良
剤の有効成分である部分加熱ホエー蛋白質の添加量が多
すぎるとそのゲル化の効果が強く出てきたためと思われ
る。一方、パンの膨らみ度合いを示す比容積について
は、一般に高い値ほど好ましいとされるが、硬さと同様
に実施例1の品質改良剤(1)あるいは実施例2の本発
明品質改良剤(2)を添加した製品4、5および6のパ
ンが高く、未加熱WPIあるいはWPC を添加したパンが最
も低い値であった。官能評価は10名のパネルを使用し
て食感について評価を行った。本発明品質改良剤(1)
あるいは本発明品質改良剤(2)を添加して製造したパ
ンは、ソフトでしっとりと軟らかい組織という評価が得
られ、対照よりも食感の点でも好まれることが分かっ
た。しかし、6のパンは、わずかにホエー臭が認められ
ることから、パンに本発明の品質改良剤を添加する場
合、小麦粉に対して5%以下の量が好ましいと考えられ
た。
【0019】
【表 2】
【0020】
【実施例3】本実施例においては、実施例1で調製した
粉末製パン用品質改良剤を配合した製パン用調製粉の製
造例およびこれを用いて製造したパンの乾燥程度を観察
した結果を示す。強力粉100部、グラニュー糖4部、
食塩1.8部および脱脂粉乳1.56部の混合粉に実施
例1(2)の粉末2部を加え、良く混合して製パン用調
製粉を製造した。この粉末は小分けして長期間保存が可
能であった。上記粉末に有塩バター4部、水75.4
部、ドライイースト0.88部を加え、十分練り上げ、
自動製パン機で焼き上げた。焼き上がり後は、10分間
製パン機内に静置し、内釜ごと取り出して室温で10分
間放置してパンを取り出した。室温でさらに40分間放
冷した。同様に、対照品として従来の製パン方法の配合
に従い、強力粉100部、グラニュー糖4部、食塩1.
8部および脱脂粉乳3.56部の混合粉に有塩バター4
部、水75.4部、ドライイースト0.88部を加え、
十分練り上げ、自動製パン機で焼き上げ、同様にして冷
した。対照品と比較して、本発明の調製粉によるパンは
明らかにその膨らみが良く、また食感も優れていた。こ
のパンを室内に24時間放置し、その後実施例2と同様
にして官能評価を行ったところ、対照品は24時間の放
置により明らかに乾燥しパサパサ感が強くなったが、本
発明によるパンは、焼き上げた状態のしっとりした食感
を維持していた。
【0021】
【発明の効果】本発明の実施によって、部分加熱変性し
たホエー蛋白質を有効成分とする製パン用品質改良剤お
よび、この品質改良剤を用いたパンの製造方法、またパ
ンの製造に使用可能な、品質改良剤を含有する調製粉が
提供される。本発明により調製されるパンは、膨らみや
すく、保存中の乾燥が少なくしっとりとした状態が維持
される。
フロントページの続き (72)発明者 相内 雅治 埼玉県川越市吉田新町1─2─2初雁13 ─501 (72)発明者 川成 真美 埼玉県川越市吉田新町2─12─16 (56)参考文献 特表 平7−507452(JP,A) 日本食品機械研究会年次大会(平成6 年度)講演要旨集,日本食品機械研究 会,1994年 6月 3日,p.5−9 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 2/08 - 2/36 A23J 3/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白
    質濃度15%以下の濃度で水に溶解し、55〜120℃の温度
    で、60分以下の加熱処理を行った水溶液である部分加熱
    変性したホエー蛋白質であるか、またはこの加熱処理水
    溶液を乾燥して得られる部分加熱変性したホエー蛋白質
    を有効成分とする製パン用品質改良剤。
  2. 【請求項2】 実質的に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白
    質濃度15%以下の濃度で水に溶解し、55〜120℃の温度
    で60分以下の加熱処理を行って得られる疎水性度(FI)
    が50/mg蛋白質以上である部分加熱変性したホエー蛋白
    であるか、またはこの加熱処理水溶液を乾燥して得ら
    れる疎水性度(FI)が50/mg蛋白質以上である部分加熱
    変性したホエー蛋白質を有効成分とする製パン用品質改
    良剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の製パン用品質改良剤
    パン原料あたり0.1重量%以上添加混合し、次いで
    製パンを行うことを特徴とするパンの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の製パン用品質改良剤
    を、パン原料である小麦粉あたり0.1重量%以上を添加
    混合して調製した製パン用調製粉。
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日本食品機械研究会年次大会(平成6年度)講演要旨集,日本食品機械研究会,1994年 6月 3日,p.5−9

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JPH08256672A (ja) 1996-10-08

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