JP2001351817A - 多層インダクタ - Google Patents

多層インダクタ

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JP2001351817A
JP2001351817A JP2000174174A JP2000174174A JP2001351817A JP 2001351817 A JP2001351817 A JP 2001351817A JP 2000174174 A JP2000174174 A JP 2000174174A JP 2000174174 A JP2000174174 A JP 2000174174A JP 2001351817 A JP2001351817 A JP 2001351817A
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coil
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coils
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JP2000174174A
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Inventor
Satoshi Murata
諭 村田
Hideyuki Mihara
秀幸 三原
Etsuji Yamamoto
悦司 山本
Minoru Tamada
稔 玉田
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなインダクタンス値を得ることができる
小型の多層インダクタを提供する。 【解決手段】 端子電極1は薄膜コイル62の始端部6
2aに電気的に接続されている。端子電極2は、引出し
用開口部29,49や領域R3aを介して、薄膜コイル
22の終端部22bに電気的に接続されている。これに
より、端子電極1,2の間には、薄膜コイル22,4
2,62を電気的に直列に接続してなるコイルL1が接
続されることになる。また、端子電極3は、薄膜コイル
63の始端部63aに電気的に接続されている。端子電
極4は、引き出し用開口部31,51や領域R3bを介
して、薄膜コイル23の終端部23bに電気的に接続さ
れている。これにより、端子電極3,4の間には、薄膜
コイル23,43,63を電気的に直列に接続してなる
コイルL2が接続されることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層インダクタ、
特にチョークコイル、LCフィルタ、トランス、バルン
トランス等として用いられる表面実装型の多層インダク
タに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、たとえば特開平5
−41324号公報に開示されたようなコイル部品が知
られている。該コイル部品は、フェライト等の絶縁性を
有する磁性体からなる円柱状の磁性体コアを備えてい
る。該磁性体コアの表面には導体膜が形成されており、
この導体膜にレーザ光を照射して前記磁性体コアを回転
させながら軸方向に移動させることにより、螺旋状のコ
イル構成溝を形成し、導体膜の残余部分により磁性体コ
アをスパイラル状に周回するコイルを形成している。ま
た、前記公報によれば、導体膜を切削することにより、
二つもしくはそれ以上のコイルを形成することも可能で
あるとの記載もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のコイ
ル部品において、大きなインダクタンス値を得るために
は、(イ)断面積の大きな磁性体コアを使用する、
(ロ)コイルのターン数を多くする、(ハ)磁性体コア
の材料として透磁率μの大きな材料を使用する、といっ
た手法が一般に採用されている。しかしながら、磁性体
コアの透磁率μや寸法(断面積、長さ)には自ずから制
限があり、希望するインダクタンス値を得ることが困難
であった。特に、一つの磁性体コアに複数のコイルを形
成する場合、所望のインダクタンス値を得ることは実際
上不可能であった。
【0004】そこで、本発明の目的は、大きなインダク
タンス値を得ることができる小型の多層インダクタを提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するため、本発明に係る多層インダクタは、(a)巻芯
部材と、(b)前記巻芯部材の外周表面に積層された絶
縁層と薄膜コイル層と、(c)前記巻芯部材の端部に設
けられた端子電極とを備え、(d)前記薄膜コイル層の
各々には前記巻芯部材の外周をスパイラル状に周回する
複数の薄膜コイルがそれぞれ配設され、同一層の前記薄
膜コイルの各々の周回方向が互いに同方向であるととも
に、絶縁層を間にして隣り合う前記薄膜コイルの各々の
周回方向が互いに逆方向であり、前記薄膜コイル層の各
々に配設された薄膜コイルがそれぞれ前記絶縁層に設け
た薄膜コイル接続用開口部を介して電気的に直列に接続
されて複数のコイルを構成していること、を特徴とす
る。
【0006】巻芯部材は、例えば鼓形状とされる。そし
て、巻芯部材の端面および側面の少なくともいずれか一
面に、巻芯部材の方向性を識別するための識別部を設け
ることが好ましい。さらに、複数の薄膜コイルが電気的
に直列に接続されてなるコイルの始端部および終端部の
うち少なくともいずれか一つの端部は、絶縁層に設けた
引出し用開口部を介して、端子電極に電気的に接続する
ことが望ましい。
【0007】以上の構成により、複数のコイルは、絶縁
層により層間が絶縁されて多層に形成された薄膜コイル
により構成される。これにより、複数のコイルを巻芯部
材の軸方向に並べて形成したインダクタと比較して、巻
芯部材の長さが短くなり、コイルのターン数が多くな
る。また、複数のコイルを構成している薄膜コイルの各
々が同一層に配設されているため、複数のコイルは巻芯
部材の外周をスパイラル状に並行して周回することにな
り、複数のコイル間の分布容量が均一になる。
【0008】さらに、各薄膜コイルのスパイラル状コイ
ル構成溝の始端部と終端部とをそれぞれ巻芯部材の同一
面に位置させることによって、各コイルは巻芯部材の対
向する位置に設けられた端子電極に引き出されることに
なる。一方、各薄膜コイルのスパイラル状コイル構成溝
の始端部と終端部とをそれぞれ巻芯部材の周回方向に略
180度ずらせることによって、各コイルは巻芯部材の
対角位置に設けられた端子電極に引き出されることにな
る。これにより、プリント基板のパターン設計の自由度
が高くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る多層インダク
タの実施の形態について添付の図面を参照して説明す
る。
【0010】図1に示すように、巻芯部材11は鼓形状
をしており、断面が矩形のコイル巻装部11cと、この
コイル巻装部11cの両端部に設けられた鍔部11a,
11bとを有している。ここに、巻芯部材11の凹凸状
の四つの側面をそれぞれA、B、C、Dとし巻芯部材1
1の二つの端面をそれぞれE、Fとする。巻芯部材11
は、フェライト等の磁性体材料、非磁性のアルミナ等の
セラミック材料や樹脂材料等からなる。この巻芯部材1
1の表面に必要に応じて絶縁被履膜を形成した後、図2
に示すように、めっきやスパッタリング等の方法によっ
て、巻芯部材11の全面に薄膜導体12を形成する。薄
膜導体12は、Cu,Ni,Ag,Ag−Pd等からな
る。
【0011】次に、巻芯部材11をレーザ加工機のスピ
ンドル(図示せず)にチャッキングする。スピンドルを
駆動させて巻芯部材11を所定の方向に移動させなが
ら、レーザビームを巻芯部材11に照射する。これによ
り、レーザビームが照射された部分の薄膜導体12が除
去され、図2および図3に示すように、分断溝13,1
4が形成される。
【0012】分断溝13は、図2および図3に示すよう
に、巻芯部材11の側面Aのコイル巻装部11cの一端
側中央から傾斜部80、鍔部11aを通って巻芯部材1
1の一方の端面Fに達し、さらに、端面Fを回り込んで
巻芯部材11の側面Cの鍔部11a、傾斜部80を通っ
てコイル巻装部11cの一端側に達している。以下、分
断溝13のこの部分を軸分断溝部13aとする。さら
に、分断溝13は、傾斜部80をコイル巻装部11cの
外周方向に一周している。以下、分断溝13のこの部分
を周回分断溝部13bとする。
【0013】同様に、分断溝14は、巻芯部材11の側
面Cのコイル巻装部11cの他端側中央から傾斜部8
0、鍔部11bを通って巻芯部材11の他方の端面Eに
達し、さらに、端面Eを周り込んで側面Aの鍔部11
b、傾斜部80を通ってコイル巻装部11c他端側に達
している。なお、図3は図2の展開模式図であり、鍔部
11a,11bの凹凸は図示せず、コイル巻装部11c
と面一なものとして図示している。
【0014】次に、図4に示すように、巻芯部材11を
矢印K1の方向(左回り方向)に回転させるとともに軸
の方向に平行移動させながら、レーザビームを巻芯部材
11のコイル巻装部11cに照射する。これにより、レ
ーザビームが照射された部分の薄膜導体12が除去さ
れ、スパイラル状のコイル構成溝17,18が形成され
る。
【0015】図5に示すように、コイル構成溝17は、
巻芯部材11の側面Aに位置している分断溝13の端部
13cを始点とし、巻芯部材11の側面Aに位置してい
る分断溝14の端部14cを終点としている。従って、
コイル構成溝17の始点13cと終点14cは、巻芯部
材11の同一側面Aに配置されている。一方、コイル構
成溝18は、巻芯部材11の側面Cに位置している分断
溝13の端部13dを始点とし、巻芯部材11の側面C
に位置している分断溝14の端部14dを終点としてい
る。従って、コイル構成溝18の始点13dと終点14
dは、巻芯部材11の同一側面Cに配置されている。
【0016】こうして、コイル巻装部11の外周面を、
周回方向が互いに同方向の状態で、スパイラル状に周回
する第1層の薄膜コイル22,23が形成される。薄膜
コイル22は、その始端部22aから、図5において実
線の矢印で表示した径路に従って、コイル巻装部11c
の外周面を周回し、終端部22bで終わる。薄膜コイル
23は、その始端部23aから、点線の矢印で表示した
径路に従って、コイル巻装部11cの外周面を周回し、
終端部23bで終わる。
【0017】薄膜コイル22,23と、周回分断溝部1
3bによって薄膜導体12から切り離された領域R1
(図5において斜線で表示している領域)とは、電気的
に分離されている。さらに領域R1は、軸分断溝部13
aによって、巻芯部材11の側面B側の領域R1aと側
面D側の領域R1bとに2分割されている。
【0018】次に、図6および図7(図7は図6の展開
模式図)に示すように、分断溝13,14およびコイル
構成溝17,18を形成した薄膜導体12の上に絶縁層
27を形成する。この絶縁層27は、巻芯部材11の側
面B,Dのそれぞれの両端部にそれぞれ位置する薄膜コ
イル接続用開口部28,30と引出し用開口部29,3
1を有している。そして、開口部28,29には薄膜コ
イル22の始端部22aおよび終端部22bが露出し、
開口部30,31には薄膜コイル23の始端部23aお
よび終端部23bが露出している。なお、開口部28〜
31の形状は、薄膜コイル42,43(後述)などへの
電気的接続を確実なものとするため、一本の直線のもの
のほか複数本の直線やスポット、波形等の形状を有して
いてもよい。
【0019】次に、図8に示すように、めっきやスパッ
タリング等の方法によって、巻芯部材11の全面に薄膜
導体32を形成する。このとき、開口部28〜31にも
薄膜導体32が充填される。これにより、薄膜導体32
と薄膜導体12との電気的接続効果と、薄膜導体32の
物理的強度を増すくさび効果とを発揮する。
【0020】この後、レーザビームを巻芯部材11に照
射して分断溝33,34を形成する。分断溝33は、図
8および図9に示すように、巻芯部材11の側面Aのコ
イル巻装部11cの一端側中央から傾斜部80、鍔部1
1aを通って巻芯部材11の一方の端面Fに達し、さら
に、端面Fを回り込んで巻芯部材11の側面Cの鍔部1
1a、傾斜部80を通ってコイル巻装部11cの一端側
に達している。以下、分断溝33のこの部分を軸分断溝
部33aとする。さらに、分断溝33は、傾斜部80を
コイル巻装部11cの外周方向に一周している。分断溝
33のこの部分を周回分断溝部33bとする。
【0021】同様に、分断溝34は、巻芯部材11の側
面Cのコイル巻装部11cの他端側中央から傾斜部8
0、鍔部11bを通って巻芯部材11の他方の端面Eに
達し、さらに、端面Eを周り込んで側面Aの鍔部11
b、傾斜部80を通ってコイル巻装部11c他端側に達
している。以下、分断溝34のこの部分を軸分断溝部3
4aとする。さらに、分断溝34は、傾斜部80をコイ
ル巻装部11cの外周方向に一周している。以下、分断
溝34のこの部分を周回分断溝部34bとする。
【0022】次に、図8に示すように、巻芯部材11を
矢印K2の方向(右回り方向)に回転させるとともに軸
の方向に平行移動させながら、レーザビームを巻芯部材
11のコイル巻装部11cに照射する。これにより、レ
ーザビームが照射された部分の薄膜導体32が除去さ
れ、スパイラル状のコイル構成溝37,38が形成され
る。
【0023】図9に示すように、コイル構成溝37は、
巻芯部材11の側面Aに位置している分断溝33の端部
33cを始点とし、巻芯部材11の側面Aに位置してい
る分断溝34の端部34cを終点としている。従って、
コイル構成溝37の始点33cと終点34cは、巻芯部
材11の同一側面Aに配置されている。一方、コイル構
成溝38は、巻芯部材11の側面Cに位置している分断
溝33の端部33dを始点とし、巻芯部材11の側面C
に位置している分断溝34の端部34dを終点としてい
る。従って、コイル構成溝38の始点33dと終点34
dは、巻芯部材11の同一側面Cに配置されている。
【0024】こうして、薄膜コイル22,23の周回方
向とは逆の方向にコイル巻装部11cの外周面をスパイ
ラル状に周回する第2層の薄膜コイル42,43が形成
される。薄膜コイル42は、その始端部42aから、図
9において実線の矢印で表示した径路に従って、コイル
巻装部11cの外周面を周回し、終端部42bで終わ
る。薄膜コイル43は、その始端部43aから、点線の
矢印で表示した径路に従って、コイル巻装部11cの外
周面を周回し、終端部43bで終わる。これら第2層の
薄膜コイル42,43の終端部42b,43bは、絶縁
層27に形成されている薄膜コイル接続用開口部28,
30を介して、それぞれ第1層の薄膜コイル22,23
の始端部22a,23aに電気的に直列に接続されてい
る。
【0025】薄膜コイル42,43と、周回分断溝部3
3b,34bによって薄膜導体32からそれぞれ切り離
された領域R2,R3(図9において斜線で表示してい
る領域)とは電気的に分離されている。さらに、領域R
2,R3は、それぞれ軸分断溝部33a,34aによっ
て、巻芯部材11の側面B側の領域R2a,R3aと側
面D側の領域R2b,R3bとに2分割されている。領
域R3aは、引出し用開口部29を介して第1層の薄膜
コイル22の終端部22bに電気的に接続されている。
領域R3bは、引出し用開口部31を介して第1層の薄
膜コイル23の終端部23bに電気的に接続されてい
る。
【0026】次に、図10および図11(図11は図1
0の展開模式図)に示すように、分断溝33,34およ
びコイル構成溝37,38を形成した薄膜導体32の上
に絶縁層47を形成する。この絶縁層47は、巻芯部材
11の側面B,Dのそれぞれの鍔部11b側の端部にそ
れぞれ位置する薄膜コイル接続用開口部48,50と引
出し用開口部49,51を有している。そして、薄膜コ
イル接続用開口部48には薄膜コイル42の始端部42
aが露出し、薄膜コイル接続用開口部50には薄膜コイ
ル43の始端部43aが露出している。さらに、引出し
用開口部49には、薄膜導体32の領域R3aの一部が
露出している。引出し用開口部51には、薄膜導体32
の領域R3bの一部が露出している。
【0027】次に、図12に示すように、めっきやスパ
ッタリング等の方法によって、巻芯部材11の全面に薄
膜導体52を形成する。このとき、開口部48〜51に
も薄膜導体52が充填される。この後、レーザビームを
巻芯部材11に照射して分断溝53,54を形成する。
分断溝53は、図12および図13に示すように、巻芯
部材11の側面Aのコイル巻装部11cの一端側中央か
ら傾斜部80、鍔部11aを通って巻芯部材11の一方
の端面Fに達し、さらに、端面Fを回り込んで巻芯部材
11の側面Cの鍔部11a、傾斜部80を通ってコイル
巻装部11cの一端側に達している。
【0028】分断溝54は、巻芯部材11の側面Aのコ
イル巻装部11cの他端側中央から傾斜部80、鍔部1
1bを通って巻芯部材11の他方の端面Eに達し、さら
に、端面Eを回り込んで巻芯部材11の側面Cの鍔部1
1b、傾斜部80を通ってコイル巻装部11cの他端側
に達している。以下、分断溝54のこの部分を軸分断溝
部54aとする。さらに、分断溝54は、傾斜部80を
コイル巻装部11cの外周方向に一周している。以下、
分断溝54のこの部分を周回分断溝部54bとする。
【0029】次に、図12に示すように、巻芯部材11
を矢印K1の方向(左回り方向)に回転させるとともに
軸の方向に平行移動させながら、レーザビームを巻芯部
材11のコイル巻装部11cに照射する。これにより、
レーザビームが照射された部分の薄膜導体52が除去さ
れ、スパイラル状のコイル構成溝57,58が形成され
る。
【0030】図13に示すように、コイル構成溝57
は、巻芯部材11の側面Aに位置している分断溝53の
端部53cを始点とし、巻芯部材11の側面Aに位置し
ている分断溝54の端部54cを終点としている。従っ
て、コイル構成溝57の始点53cと終点54cは、巻
芯部材11の同一側面Aに配置されている。一方、コイ
ル構成溝58は、巻芯部材11の側面Cに位置している
分断溝53の端部53dを始点とし、巻芯部材11の側
面Cに位置している分断溝54の端部54dを終点とし
ている。従って、コイル構成溝58の始点53dと終点
54dは、巻芯部材11の同一側面Cに配置されてい
る。
【0031】こうして、薄膜コイル42,43の周回方
向とは逆の方向にコイル巻装部11cの外周面をスパイ
ラル状に周回する第3層の薄膜コイル62,63が形成
される。薄膜コイル62は、その始端部62aから、図
13において実線の矢印で表示した径路に従って、コイ
ル巻装部11cの外周面を周回し、終端部62bで終わ
る。薄膜コイル63は、その始端部63aから、点線の
矢印で表示した径路に従って、コイル巻装部11cの外
周面を周回し、終端部63bで終わる。これら第3層の
薄膜コイル62,63の終端部62b,63bは、絶縁
層47に形成されている薄膜コイル接続用開口部48,
50を介して、それぞれ第2層の薄膜コイル42,43
の始端部42a,43aに電気的に直列に接続されてい
る。
【0032】薄膜コイル62,63と、周回分断溝部5
4bによって薄膜導体52から切り離された領域R4
(図13において斜線で表示している領域)とは、電気
的に分離されている。さらに領域R4は、軸分断溝部5
4aによって、巻芯部材11の側面B側の領域R4aと
側面D側の領域R4bとに2分割されている。領域R4
a,R4bは、引出し用開口部49,51を介して、そ
れぞれ薄膜導体32の領域R3a,R3bに電気的に接
続されている。
【0033】この後、図14に示すように、鍔部11
a,11bを残して、絶縁性の外装部65を設け、薄膜
コイル62,63などを保護する。さらに、薄膜導体5
2の領域R4a,R4b並びに第3層の薄膜コイル6
2,63のそれぞれの始端部62a,63aの表面に、
SnめっきあるいはNi−Cu−Snめっき等を行な
い、それぞれ半田付け性等の良好な端子電極2,4,
1,3を形成する。
【0034】以上の構成からなる多層インダクタは、巻
芯部材11のコイル巻装部11cに六つの薄膜コイル2
2,23、42,43、62,63が同一層に二つづつ
絶縁層27,47を間にして積層されている。巻芯部材
11の鍔部11a,11bには、端子電極1,3、2,
4がそれぞれ形成されている。端子電極1は第3層の薄
膜コイル62の始端部62aに電気的に接続されてい
る。端子電極2は、引出し用開口部29,49や領域R
3aを介して、第1層の薄膜コイル22の終端部22b
に電気的に接続されている。これにより、端子電極1,
2の間には、第1層の薄膜コイル22、第2層の薄膜コ
イル42および第3層の薄膜コイル62を電気的に直列
に接続されてなるコイルL1(図15参照)が接続され
ることになる。
【0035】また、端子電極3は、第3層の薄膜コイル
63の始端部63aに電気的に接続されている。端子電
極4は、引出し用開口部31,51や領域R3bを介し
て、第1層の薄膜コイル23の終端部23bに電気的に
接続されている。これにより、端子電極3,4の間に
は、第1層の薄膜コイル23、第2層の薄膜コイル43
および第3層の薄膜コイル63を電気的に直列に接続さ
れてなるコイルL2(図15参照)が接続されることに
なる。コイルL1とL2は磁気的に結合し、多層インダ
クタはチョークコイル等として機能する。
【0036】また、以上に説明した分断溝13,14,
33,34,53,54の形成やコイル構成溝17,1
8,37,38,57,58の形成等の一連の加工は複
雑であるため、予め巻芯部材11の一端面もしくは他側
面に図16の(a)〜(d)もしくは図17(a)〜
(d)に例示するような凹形状の識別部67を設けてお
くことが望ましい。巻芯部材11の端面に設ける場合に
は、識別部67を端面の中心からずらして四つの側面の
いずれか一つの近傍に配置する。巻芯部材11の側面に
設ける場合には、識別部67を側面のいずれか一方の端
部に配置する。これにより、識別部67は、巻芯部材1
1の方向性を識別できると同時に、巻芯部材11の四つ
の側面A〜Dを識別することができる。従って、分断溝
13,14等の加工が、識別部67を基準にして巻芯部
材11の方向性や側面を確認しつつ正確に実行される。
なお、識別部67の形状は任意であり、凸形状等であっ
てもよい。
【0037】この多層インダクタにあっては、巻芯部材
11のコイル巻装部11cに六つの薄膜コイル22,2
3,42,43,62,63が、二つの薄膜コイル毎に
絶縁層27,47を間にして積層されているので、六つ
の薄膜コイルを巻芯部材の軸方向に並べて形成したもの
に比較して、巻芯部材11の長さを短くでき、かつ、薄
膜コイル22,23等のターン数を多くすることができ
る。これにより、小型であってしかも大きなインダクタ
ンスを有する多層インダクタを得ることができる。
【0038】また、コイルL1を構成している薄膜コイ
ル22,42,62の各々と、コイルL2を構成してい
る薄膜コイル23,43,63の各々とが同一層に配設
されているため、コイルL1,L2は巻芯部材11の周
りをスパイラル状に並行して周回することになり、バイ
ファイラ巻き構造の多層コイルを得ることができる。こ
の結果、コイルL1,L2間の分布容量がコイルL1,
L2の各部分間で均等に発生し、分布定数型の多層イン
ダクタを実現することができる。
【0039】さらに、コイル構成溝17,18,37,
38,57,58の始点と終点とが巻芯部材11の同一
側面に位置しているので、一対のコイルL1およびL2
の各々の両端に接続される端子電極1,2および3,4
が巻芯部材11の両端部の対向位置に形成される。これ
により、端子電極1〜4は、同形状および同面積とする
ことができ、また、端子電極1〜4とコイルL1,L2
との対応関係の識別も容易になる。
【0040】なお、本発明は前記実施形態に限定するも
のではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することが
できる。たとえば、巻芯部材としては、鼓形状のものに
代えて、断面が円形や三角形や五角形以上の柱状もしく
は筒状のものを使用することができる。さらに、鍔部の
形状も任意である。また、偶数の薄膜コイルを電気的に
直列に接続してコイルを構成する場合には、コイルの始
端部と終端部が同じ端子電極側に配置されるので、更に
折り返し用の薄膜導体層を一層設けてコイルの始端部と
終端部がそれぞれ異なる端子電極側に接続するようにし
てもよい。
【0041】また、分断溝およびコイル構成溝の加工
は、コンピュータ制御で実施してもよい。さらに、図1
8に示すように、軸分断溝部13a,33a,34aな
どは、巻芯部材11の両端部をスリット状に切削した切
溝74,75であってもよい。
【0042】さらに、薄膜コイルを覆って誘電体層を形
成し、この誘電体層の上にコンデンサ電極を形成して、
コンデンサを内蔵したインダクタとしてもよいし、その
他、抵抗等の電気素子を内蔵させたものであってもよ
い。
【0043】また、図19に一例を示すように、コイル
構成溝17,18,37,38,57,58の始点およ
び終点をそれぞれ巻芯部材11の軸の周りに略180度
ずらせることによって、一対のコイルL1,L2の各々
の両端に接続される端子電極1,2および3,4を、巻
芯部材11の両端部の対角位置に形成することができ
る。これにより、プリント基板のパターン設計の自由度
を高くすることができるようになる。なお、始点13c
および終点14dの位置は、分断溝13,14を設ける
位置等によって制約される場合があり、必ずしも始点1
3cと終点14dの位置が180度ずれている必要はな
く、13cと終点14dがそれぞれ側面A,Cに位置し
ていればよい。
【0044】また、複数の薄膜コイルを単に多層にする
だけであれば、第1層目および第2層目の薄膜コイル2
2,23,42,43を形成する際、電気的に絶縁され
た領域R1,R2を設ける必要はない。ただし、その場
合には、第3層目の端子電極1,3と第1および第2層
目の薄膜導体12,32との間に発生する静電容量が付
加されるため、必要以上の静電容量が追加されて多層イ
ンダクタのノイズ防止効果を減少させる場合がある。ま
た、電気的に絶縁された領域R1,R2を設けた場合に
は、仮に、製品の取り扱い傷や打痕傷やはんだ食われな
どによって端子電極1,3と領域R1,R2が電気的に
短絡しても、コイルの一部が電気的に短絡する心配がな
く回路定数に変化が生じない。
【0045】さらに、コイル構成溝17,18,37,
38などの始点や終点は、必ずしも分断溝13,14,
33,34などの端部に一致する必要はなく、図20の
(a)のように交差させてもよい。また、図20の
(b)のように、コイル構成溝17を延在させて分断溝
13に繋ぐようにしてもよい。さらに、分断溝13,1
4,33,34などの溝幅は、通常、絶縁信頼性を高く
するため、コイル構成溝17,18,37,38などの
溝幅より大きく設定されるが、同じ溝幅に設定してもよ
いことは言うまでもない。
【0046】また、分断溝やコイル構成溝を形成する
際、前記実施形態はレーザビームを利用したが、電子ビ
ームやイオンビーム等を利用してもよいし、サンドブラ
ストやダイヤモンドソーの機械切削等による方法であっ
てもよい。さらに、前記実施形態は、巻芯部材の全面に
薄膜導体を形成した後、分断溝やコイル構成溝等の不要
な部分を除去して薄膜コイルを形成する方法を採用して
いるが、必ずしもこの方法に限るものではなく、必要な
部分にのみスパッタリングや蒸着やめっき等で導体を付
与して薄膜コイルを形成する、いわゆるアディティブ法
等を採用してもよい。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、巻芯部材に複数の薄膜コイルが絶縁層を間
にして積層されるので、複数の薄膜コイルを巻芯部材の
軸方向に並べて形成したインダクタと比較して、巻芯部
材の長さを短くでき、かつ、薄膜コイルのターン数を多
くすることができる。これにより、小型でしかも大きな
インダクタンスを有するインダクタを得ることができ
る。また、複数のコイルを構成している薄膜コイルの各
々が同一層に配設されているので、複数のコイルは巻芯
部材の外周をスパイラル状に並行して周回することにな
り、複数のコイル間の分布容量が均一になり、分布定数
型の多層インダクタを実現することができる。
【0048】さらに、各薄膜コイルのスパイラル状コイ
ル構成溝の始端部と終端部とをそれぞれ巻芯部材の同一
面に位置させることによって、各々の端子電極の形状を
互いに同形状で同面積とすることができる。従って、多
層インダクタの構造が簡素になり、プリント基板等への
実装が簡単かつ容易になり、信頼性も向上する。
【0049】さらに、各薄膜コイルのスパイラル状コイ
ル構成溝の始端部と終端部とをそれぞれ巻芯部材の周回
方向に略180度ずらせることによって、各コイルは巻
芯部材の対角位置に設けられた端子電極に引き出される
ことになる。これにより、プリント基板のパターン設計
の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層インダクタの一実施形態の製
造手順を示す斜視図。
【図2】図1に続く多層インダクタの製造手順を示す斜
視図。
【図3】図2に示した多層インダクタの展開模式図。
【図4】図2に続く多層インダクタの製造手順を示す斜
視図。
【図5】図4に示した多層インダクタの展開模式図。
【図6】図4に続く多層インダクタの製造手順を示す斜
視図。
【図7】図6に示した多層インダクタの展開模式図。
【図8】図6に続く多層インダクタの製造手順を示す斜
視図。
【図9】図8に示した多層インダクタの展開模式図。
【図10】図8に続く多層インダクタの製造手順を示す
斜視図。
【図11】図10に示した多層インダクタの展開模式
図。
【図12】図10に続く多層インダクタの製造手順を示
す斜視図。
【図13】図12に示した多層インダクタの展開模式
図。
【図14】図12に示した多層インダクタの水平断面
図。
【図15】図12に示した多層インダクタの電気等価回
路図。
【図16】巻芯部材の端面に設けた識別部の例を示す斜
視図。
【図17】巻芯部材の側面に設けた識別部の例を示す斜
視図。
【図18】本発明に係る多層インダクタの他の実施形態
を示す斜視図。
【図19】本発明に係る多層インダクタのさらに他の実
施形態を説明するための展開模式図。
【図20】コイル構成溝と分断溝との繋ぎ方の例を示す
説明図。
【符号の説明】
11…巻芯部材 11a、11b…鍔部 11c…コイル巻装部 13,14,33,34,53,54…分断溝 17,18,37,38,57,58…コイル構成溝 22,23,42,43,62,63…薄膜コイル 28,30,48,50…薄膜コイル接続用開口部 29,31,49,51…引出し用開口部 1,2,3,4…端子電極 67…識別部 L1,L2…コイル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するため、本発明に係る多層インダクタは、(a)巻芯
部材と、(b)前記巻芯部材の外周表面に積層された絶
縁層と薄膜コイル層と、(c)前記巻芯部材の端部に設
けられた端子電極とを備え、(d)前記薄膜コイル層の
各々には前記巻芯部材の外周をスパイラル状に周回する
複数の薄膜コイルがそれぞれ配設され、同一層の前記薄
膜コイルの各々の周回方向が互いに同方向であるととも
に、絶縁層を間にして隣り合う前記薄膜コイルの各々の
周回方向が互いに逆方向であり、前記薄膜コイル層の各
々に配設された薄膜コイルがそれぞれ前記絶縁層に設け
た薄膜コイル接続用開口部を介して電気的に直列に接続
されて複数のコイルを構成していること、を特徴とす
る。ここに、薄膜コイルの各々は、巻芯部材の外周に形
成した薄膜導体にスパイラル状コイル構成溝を設けるこ
とにより形成することが好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 悦司 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 玉田 稔 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5E070 AA01 AA11 AB04 BA03 CC03 CC10 DA15 EA01 EB03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻芯部材と、 前記巻芯部材の外周表面に積層された絶縁層と薄膜コイ
    ル層と、 前記巻芯部材の端部に設けられた端子電極とを備え、 前記薄膜コイル層の各々には前記巻芯部材の外周をスパ
    イラル状に周回する複数の薄膜コイルがそれぞれ配設さ
    れ、同一層の前記薄膜コイルの各々の周回方向が互いに
    同方向であるとともに、絶縁層を間にして隣り合う前記
    薄膜コイルの各々の周回方向が互いに逆方向であり、前
    記薄膜コイル層の各々に配設された薄膜コイルがそれぞ
    れ前記絶縁層に設けた薄膜コイル接続用開口部を介して
    電気的に直列に接続されて複数のコイルを構成している
    こと、 を特徴とする多層インダクタ。
  2. 【請求項2】 各薄膜コイルのスパイラル状コイル構成
    溝の始端部と終端部とがそれぞれ前記巻芯部材の同一面
    に位置していることを特徴とする請求項1記載の多層イ
    ンダクタ。
  3. 【請求項3】 各薄膜コイルのスパイラル状コイル構成
    溝の始端部と終端部とがそれぞれ前記巻芯部材の周回方
    向に略180度ずれていることを特徴とする請求項1記
    載の多層インダクタ。
  4. 【請求項4】 前記複数の薄膜コイルが電気的に直列に
    接続されてなるコイルの始端部および終端部のうち少な
    くともいずれか一つの端部を、前記絶縁層に設けた引出
    し用開口部を介して、前記端子電極に電気的に接続した
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一に
    記載の多層インダクタ。
  5. 【請求項5】 前記巻芯部材が鼓形状であることを特徴
    とする請求項1から請求項4のいずれか一に記載の多層
    インダクタ。
  6. 【請求項6】 前記巻芯部材の端面および側面の少なく
    ともいずれか一面に、前記巻芯部材の方向性を識別する
    ための識別部を設けたことを特徴とする請求項1から請
    求項5のいずれか一に記載の多層インダクタ。
JP2000174174A 2000-06-09 2000-06-09 多層インダクタ Pending JP2001351817A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013544437A (ja) * 2010-11-05 2013-12-12 レビトロニクス インク 半導体物質コイルユニット、コイルユニットを有する電気装置
CN113744972A (zh) * 2020-05-27 2021-12-03 株式会社村田制作所 线圈部件

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