JP2001351491A - チップ型ヒューズ - Google Patents

チップ型ヒューズ

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JP2001351491A JP2000169277A JP2000169277A JP2001351491A JP 2001351491 A JP2001351491 A JP 2001351491A JP 2000169277 A JP2000169277 A JP 2000169277A JP 2000169277 A JP2000169277 A JP 2000169277A JP 2001351491 A JP2001351491 A JP 2001351491A
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Yozo Obara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒューズ素子の溶断時間を短くできるチップ
型ヒューズを得る。 【解決手段】 チップ状基板1の表面にヒューズ素子と
表面側発熱用抵抗体とを横に並べて形成する。チップ状
基板1の裏面1b上に、表面側発熱用抵抗体と対向する
ように裏面側発熱用抵抗体41を形成する。裏面側発熱
用抵抗体41は、表面側発熱用抵抗体が通電されたとき
に同時に通電されてチップ状基板1を通してヒューズ素
子を溶断するための追加の熱を発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップ型ヒューズ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】国際公開番号WO00/19472号公
報等に示された従来のチップ型ヒューズは、チップ状基
板の表面上に、ヒューズ素子と、通電されるとヒューズ
素子を溶断するための熱を発生する発熱用抵抗体とを具
備した構造を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のチップ型ヒューズの構造では、ヒューズの用途によ
っては、要求される溶断時間までにヒューズを溶断でき
ない場合がある。
【0004】本発明の目的は、従来よりもヒューズ素子
の溶断時間を短くできるチップ型ヒューズを提供するこ
とにある。
【0005】本発明の他の目的は、ヒューズ素子の溶断
時間を短くでき且つチップ状基板の表面及び裏面に電極
のパターンを容易に形成できるチップ型ヒューズを提供
することにある。
【0006】本発明の他の目的は、チップ型ヒューズを
回路基板上に実装しても発熱用抵抗体から回路基板への
熱の拡散を防止できるチップ型ヒューズを提供すること
にある。
【0007】本発明の他の目的は、発熱用抵抗体から回
路基板への熱の拡散を防止するスペーサを少ない製造工
程で簡単に形成できるチップ型ヒューズ及びその製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明が改良の対象とす
るチップ型ヒューズは、チップ状基板と、チップ状基板
の表面上に配置されたヒューズ素子と、チップ状基板の
表面上に配置されて通電されるとヒューズ素子を溶断す
るための熱を発生する表面側発熱用抵抗体とを具備して
いる。本発明では、チップ状基板の裏面上に配置され、
表面側発熱用抵抗体が通電されたときに通電されてチッ
プ状基板を通してヒューズ素子を溶断するための追加の
熱を発生する裏面側発熱用抵抗体を具備している。表面
側発熱用抵抗体からの発熱は、温度の低い領域に向かっ
て流れる。そのため表面側発熱用抵抗体からの熱は、隣
接するヒューズ側に伝達されるだけでなく、チップ状基
板の裏面側にも拡散して行く。チップ状基板の裏面側に
拡散される熱が多くなればなるほど、それだけヒューズ
素子の溶断時間が長くなる。本発明のように、チップ状
基板の裏面側に裏面側発熱用抵抗体を配置すると、裏面
側発熱用抵抗体がチップ状基板の裏面側の温度を上昇さ
せることになり、表面側発熱用抵抗体からチップ状基板
の裏面側に拡散する熱が大幅に少なくなる。また裏面側
発熱用抵抗体からの熱はヒューズ素子の温度上昇にも当
然にして寄与する。そのため従来よりもヒューズ素子の
温度上昇時間を早めることができて、ヒューズ素子の溶
断時間を短くできる。
【0009】表面側発熱用抵抗体とヒューズ素子とは、
チップ状基板の表面上に横に並んで設けるのが好まし
い。このようにすると、表面側発熱用抵抗体とヒューズ
素子との間を電気的に絶縁するための絶縁層を設ける必
要がなくなる上、表面側発熱用抵抗体及びヒューズ素子
の形成が容易になる上、電極の配置のパターン設計が容
易になる。
【0010】また、裏面側発熱用抵抗体は、チップ状基
板を間に介してヒューズ素子と対向させるのが好まし
い。このようにすると裏面側発熱用抵抗体とヒューズ素
子との距離を最短にすることができ、また両者の対向面
積を最も大きくすることができるので、裏面側発熱用抵
抗体から発生した熱を短い時間で効率良くヒューズ素子
に伝達することができ、ヒューズ素子の溶断時間を更に
短くすることができる。
【0011】裏面側発熱用抵抗体と実装用回路基板上と
の短絡を防止して、しかもその保護を図るには、裏面側
発熱用抵抗体を絶縁コートで覆うのが好ましい。この場
合、チップ状基板の裏面には、先端部の位置が絶縁コー
トの表面よりもチップ基板から離れた位置にあって、チ
ップ型ヒューズが回路基板上に実装されたときに、絶縁
コートが回路基板と実質的に接触しないようにするため
のスペースを形成するスぺーサ手段が設けるのが好まし
い。このようなスぺーサ手段を設けると、チップ型ヒュ
ーズを回路基板上に実装しても表面側発熱用抵抗体及び
裏面側発熱用抵抗体から回路基板への熱の拡散を防止で
きるので、裏面側発熱用抵抗体の熱をヒューズ素子の溶
断のために最大限利用することができ、ヒューズ素子の
溶断を最短のものとすることができる。
【0012】このようなスぺーサ手段は、裏面上に分散
した状態で且つ印刷により形成した複数の突出部により
形成できる。印刷によりこれらのスぺーサ手段を形成す
ると、既製の基板を用いてしかも任意の位置に任意の高
さのスぺーサ手段を形成することができる。例えば、ス
ぺーサ手段を構成する複数の突出部を2層構造により形
成し、その1層目を前述の絶縁コートを印刷する際にこ
の絶縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料によって形
成するのが好ましい。このようにすれば、絶縁コートを
印刷する工程で複数の突出部の1層目を形成できるの
で、突出部の形成が容易になる。すなわち突出部の形成
工程が少なくなる。
【0013】より具体的な例では、複数の突出部の1層
目を、絶縁コートを印刷する際に絶縁コートを形成する
材料と同じ絶縁材料によって形成し、複数の突出部の2
層目を、絶縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料によ
って形成する。このようにすると突出部を構成する2層
の材料層の接合強度を高めることができて、突出部の機
械的強度を高めることができる。
【0014】表面側発熱用抵抗体の発熱量は、表面側発
熱用抵抗体から裏面側に移動する熱量が表面側発熱用抵
抗体からヒューズ素子側に移動する熱量より少なくなる
ように定めるのが好ましい。このようにすれば、表面側
発熱用抵抗体から発生した熱が裏面側に拡散し難くな
り、ヒューズ素子に近い位置にある表面側発熱用抵抗体
から発生した熱をヒューズ素子に迅速に伝達することが
可能になる。
【0015】チップ状基板には、表面側発熱用抵抗体、
ヒューズ素子及び裏面側発熱用抵抗体が形成されたブロ
ックの外側に該ブロックから外側に熱が放散されるのを
抑制する伝熱抵抗の高い部分を形成するのが好ましい。
このような伝熱抵抗の高い部分を形成すれば、表面側発
熱用抵抗体及び裏面側発熱用抵抗体から発生した熱の大
部分を外部に放散させることなく、ヒューズ素子に集中
して伝達することができる。
【0016】表面側発熱用抵抗体を一対の表面側抵抗体
用電極と該一対の表面側抵抗体用電極の間に配置された
表面側抵抗体用中間電極とに跨って形成し、裏面側発熱
用抵抗体を一対の裏面側抵抗体用電極と該一対の裏面側
抵抗体用電極の間に配置された裏面側抵抗体用中間電極
とに跨って形成し、ヒューズ素子を一対のヒューズ用電
極と該一対のヒューズ用電極の間に配置されたヒューズ
用中間電極とに跨って形成することができる。このよう
にすれば、直列に接続された2つの分割ヒューズ素子に
対して、それぞれチップ状基板の表面側及び裏面から熱
を加えることができ、2つの分割ヒューズ素子をそれぞ
れ確実に遮断することが可能になる。この場合、表面側
抵抗体用中間電極と裏面側抵抗体用中間電極とヒューズ
用中間電極とを電気的に共通接続し、一対の表面側抵抗
体用電極と一対の裏面側抵抗体用電極とを共通の入力電
極に接続する配置構成を採用すれば、ヒューズ、電極及
び抵抗体の形成が容易になる。
【0017】また、この場合、一対の表面側抵抗体用電
極と表面側抵抗体用中間電極との間に形成された一対の
表面側分割抵抗体の各抵抗値と、一対の裏面側抵抗体用
電極と裏面側抵抗体用中間電極との間に形成された一対
の裏面側分割抵抗体の各抵抗値とを、実質的に等しくす
る。このようにすればほぼ同じ条件で2つの分割ヒュー
ズが溶断するようになるため、安全性が高くなる。
【0018】更にこの場合、表面側抵抗体用中間電極と
ヒューズ用中間電極とは、ぞれぞれ共通中間電極の一部
として構成し、共通中間電極と裏面側抵抗体用中間電極
とを電気的に接続する共通接続パターンは、チップ状基
板の表面、外側面及びチップ状基板の裏面とに跨るよう
に形成すれば、チップ状基板の表面及び裏面に形成する
電極のパターンを簡単なものとすることができる。
【0019】本願の別の発明が改良の対象とするチップ
型ヒューズは、チップ状基板上に、ヒューズ素子と、通
電されるとヒューズ素子を溶断するための熱を発生する
発熱用抵抗体とを具備する。この発明では、ヒューズ素
子をチップ状基板の表面上に配置し、発熱用抵抗体をチ
ップ状基板の裏面上に配置して絶縁コートにより覆う。
そして、チップ状基板の裏面には、先端部の位置が絶縁
コートの表面よりもチップ状基板から離れた位置にあっ
て、チップ型ヒューズが回路基板上に実装されたとき
に、絶縁コートが回路基板と実質的に接触しないように
するためのスペースを形成するスぺーサ手段を設ける。
このスぺーサ手段は、1層目が絶縁コートを印刷する際
に絶縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料によって形
成された2層構造を有するように構成する。このように
チップ状基板の裏面上にのみ発熱用抵抗体を配置する場
合にも、前述のスぺーサ手段を用いると、スぺーサ手段
を少ない製造工程で簡単に製造することができる。
【0020】このようなチップ型ヒューズは次のような
順番で製造すればよい。まず発熱用抵抗体を印刷形成し
てから、絶縁コート及び複数の突出部の1層目を同じ絶
縁材料によって印刷形成する。次に、突出部の2層目を
印刷形成してから、ヒューズ素子を印刷形成する。この
ようにチップ型ヒューズを製造すれば、発熱用抵抗体、
絶縁コート及び複数の突出部を印刷形成する際の焼成に
よる熱影響を受けることなくヒューズ素子を形成でき
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1及び図2は一部を省略
した本発明の実施の形態のチップ型ヒューズの平面図及
び底面図である。両図に示すように、チップ型ヒューズ
は、矩形のチップ状基板1を有している。チップ状基板
1はセラミックスにより形成されており、その長手方向
に延びる2つの長辺のうちの1つの長辺には3つの半円
弧状の凹部3乃至7が形成されている。また他方の長辺
の中央部にも1つの円弧状の凹部9が形成されている。
これらの凹部3乃至9は、チップ状基板1の表面1aと
裏面1bとを結ぶ側面または外周面に沿って延びてい
る。またチップ状基板1の2つの短辺には、それぞれ平
面から見てU字状を呈する凹部11及び13が形成され
ている。これらの凹部11及び13には、チップ状基板
の表面1aを覆う図示しないケースの取付用フックが嵌
合される。
【0022】チップ状基板1の表面1aには、凹部3乃
至9に隣接して形成された表面電極15乃至21が設け
られている。表面電極15乃至21は、ガラスペースト
にAg,Ag−Pd等の導電性粉末が混練されてなるメ
タルグレーズ導電性ペーストを用いて形成されている。
パターンの印刷はスクリーン印刷を用いて行われ、ペー
ストの焼成温度は約850℃程度である。凹部3及び7
に隣接する表面電極15及び19は、接続用電極15
a,19aと一対のヒューズ用電極15b,19bとを
それぞれ有している。凹部9に隣接する表面電極21
は、接続用電極21aと、チップ状基板1の短辺に沿っ
て延びる一対の表面側抵抗体用電極21b及び21c
と、接続用電極21aと一対の表面側抵抗体用電極21
b及び21cとをそれぞれ連結する連結部21d及び2
1eとを有している。凹部5に隣接する表面電極17
は、接続用電極17aと接続用電極17aから表面電極
21の接続用電極21a側に延びる共通中間電極17b
とを有している。共通中間電極17bは、一対の表面側
抵抗体用電極21b及び21cの間に位置する表面側抵
抗体用中間電極17cと、一対のヒューズ用電極15
b,19bの間に位置するヒューズ用中間電極17dと
から構成されている。
【0023】チップ状基板1の表面1a上には矩形状の
ヒューズ素子23が形成されている。ヒューズ素子23
は、一対のヒューズ用電極15b,19bとヒューズ用
中間電極17dとを跨いで形成されている。ヒューズ素
子23は、低融点金属であるPb−Sn系、Pb−Sb
系、Sn−Sb系などの共晶半田合金を用いたクリーム
半田により形成されており、後述する表面側発熱用抵抗
体25から発生する熱により溶断する。このヒューズ素
子23は、一対の分割ヒューズ素子23A及び23Bか
ら構成されている。一方の分割ヒューズ素子23Aは、
ヒューズ素子23のヒューズ用電極15bとヒューズ用
中間電極17dとの間の部分であり、他方の分割ヒュー
ズ素子23Bは、ヒューズ素子23のヒューズ用電極1
9bとヒューズ用中間電極17dとの間の部分である。
【0024】チップ状基板1の表面1a上には、矩形状
の表面側発熱用抵抗体25が更に形成されている。表面
側発熱用抵抗体25は、その長手方向とヒューズ素子2
3の長手方向とが平行になるようにヒューズ素子23に
隣接して配置されており、一対の表面側抵抗体用電極2
1b及び21cと表面側抵抗体用中間電極17cとを跨
ぐように形成されている。表面側発熱用抵抗体25は、
ガラスをバインダとする銀−パラジウム塗料を印刷焼成
した厚膜抵抗体や、RuO2−ガラス等のメタルグレー
ズ抵抗塗料を用いて形成された厚膜抵抗体等によって形
成されている。これらの抵抗塗料の焼成温度も約850
℃である。この表面側発熱用抵抗体25は、一対の表面
側分割抵抗体25A及び25Bから構成されている。一
方の表面側分割抵抗体25Aは、表面側発熱用抵抗体2
5の表面側抵抗体用電極21bと表面側抵抗体用中間電
極17cとの間の部分であり、他方の表面側分割抵抗体
25Bは、表面側発熱用抵抗体25の表面側抵抗体用電
極21cと表面側抵抗体用中間電極17cとの間の部分
である。表面側発熱用抵抗体25は、通電されるとヒュ
ーズ素子23を溶断するための熱を発生する。この発熱
量は、表面側発熱用抵抗体25から裏面1b側に移動す
る熱量が表面側発熱用抵抗体25からヒューズ素子23
側に移動する熱量より少なくなるように定められてい
る。
【0025】チップ状基板1上に並んで配置された表面
側発熱用抵抗体25及びヒューズ素子23を幅方向に挟
む位置には、チップ状基板1を厚み方向に貫通する3つ
の貫通孔27乃至31が形成されている。貫通孔27乃
至31は、表面側発熱用抵抗体25、ヒューズ素子23
及び後述する裏面側発熱用抵抗体41が形成されたブロ
ックの外側に該ブロックから外側に熱が放散されるのを
抑制する伝熱抵抗の高い部分を構成している。このよう
に伝熱抵抗の高い部分(貫通孔27乃至31)を形成す
ると、表面側発熱用抵抗体25及び裏面側発熱用抵抗体
41から出た熱が貫通孔27乃至31の外側には放散し
難く、ヒューズ素子23の中央部に集まることになるた
め、より短い時間で表面側発熱用抵抗体25及び裏面側
発熱用抵抗体41からの熱でヒューズ素子23を溶断す
ることができるようになる。このような伝熱抵抗の高い
部分は、有底の溝により形成してもよいし、貫通孔また
は溝の中にチップ状基板1の材質(セラミックス)より
伝熱抵抗の高い材質を充填して形成してもよい。
【0026】チップ状基板1の表面1aには、ヒューズ
素子23及び各接続用電極15a…の半田付け部分を除
いた領域(一点鎖線で示す領域)に、ガラス材料からな
る絶縁材料を用いて図示しないオーバーコートが形成さ
れている。
【0027】図2に示すように、チップ状基板1の裏面
1bには、凹部3乃至9に隣接して裏面電極33乃至3
9が、前述のメタルグレーズ導電性ペーストを用いて形
成されている。凹部3及び7に隣接する裏面電極33,
37は、接続用電極33a,37aによりそれぞれ構成
されている。凹部9に隣接する裏面電極39は、接続用
電極39aと、チップ状基板1の短辺に沿って延びる一
対の裏面側抵抗体用電極39b及び39cと、接続用電
極39aと一対の裏面側抵抗体用電極39b及び39c
とをそれぞれ連結する連結部39d及び39eとを有し
ている。凹部5に隣接する裏面電極35は、接続用電極
35aと接続用電極35aから裏面電極39の接続用電
極39a側に延びる裏面側抵抗体用中間電極35bとを
有している。裏面側抵抗体用中間電極35bは、一対の
裏面側抵抗体用電極39b及び39cの間に位置してい
る。
【0028】チップ状基板1の裏面1b上には、一対の
裏面側抵抗体用電極39b及び39cと裏面側抵抗体用
中間電極35bとを跨ぐように矩形状の裏面側発熱用抵
抗体41が形成されている。裏面側発熱用抵抗体41
は、チップ状基板1を間に介して表面1上のヒューズ素
子23と対向する位置に配置されており、表面側発熱用
抵抗体25と同様の材質により形成されている。この裏
面側発熱用抵抗体41も表面側発熱用抵抗体25と同様
に、一対の裏面側分割抵抗体41A及び41Bから構成
されており、表面側発熱用抵抗体25が通電されたとき
に通電されてチップ状基板1を通してヒューズ素子23
を溶断するための追加の熱を発生する。一方の裏面側分
割抵抗体41Aは、裏面側発熱用抵抗体41の裏面側抵
抗体用電極39bと裏面側抵抗体用中間電極35bとの
間の部分であり、他方の表面側分割抵抗体41Bは、裏
面側発熱用抵抗体41の裏面側抵抗体用電極39cと裏
面側抵抗体用中間電極35bとの間の部分である。本例
では、表面側発熱用抵抗体25の一対の表面側分割抵抗
体25A及び25Bの各抵抗値と、裏面側発熱用抵抗体
41の一対の裏面側分割抵抗体41A及び41Bの各抵
抗値とが、実質的に等しく(4.1Ω)なるように表面
側発熱用抵抗体25及び裏面側発熱用抵抗体41は形成
されている。
【0029】チップ状基板1の裏面1bには、各接続用
電極33a…を除いた領域(一点鎖線で示す領域)に、
ガラス材料または樹脂からなる図示しない絶縁コートが
裏面側発熱用抵抗体41を覆うように形成されている。
【0030】また、図1及び図2には示していないが、
チップ状基板1の表面1a上の各接続用電極15a…
と、各接続用電極15a…に対応する裏面1b上の各接
続用電極33a…とを接続するために、両者に亘って図
3に示すような側面電極43…が形成されている。この
側面電極43は、前述のメタルグレーズ導電性ペースト
を用いて、チップ状基板1の表面1aと裏面1bとをつ
なぐ外側面上に形成されており、対応する表面電極の接
続用電極15a…及び裏面電極の接続用電極33a…の
上に部分的に重なっている。このように側面電極43を
形成した場合には、チップ状基板1の角部で側面電極4
3の厚みが薄くなる傾向がある。あまりこの角部の部分
の電極部分の厚みが薄くなり過ぎると、この部分の抵抗
値が大きくなって、この部分でジュール熱が発生し、ヒ
ューズ素子23の溶断時間が長くなる可能性がある。そ
こでこの例では、側面電極43と接続用電極15a…の
上に補足電極45を重ねて形成して、厚みが薄くなった
側面電極43の部分を補足している。補足電極45もメ
タルグレーズ導電性ペーストを用いて形成されている。
なお、図1及び図2においては図示を簡略化するために
側面電極43の位置を破線で示すだけでその存在は省略
してある。また、この例とは異なって、表面1a上の接
続用電極15a…の上に補足電極を直接形成し、その上
に側面電極43の端部を重ねるように形成してもよいの
は勿論である。このように側面電極43…が形成される
ことにより、表面側抵抗体用中間電極17c及びヒュー
ズ用中間電極17dと裏面側抵抗体用中間電極35bと
が接続用電極17aと接続用電極35aとに亘って形成
される側面電極43(共通接続パターン)により電気的
に共通接続される。また、一対の表面側抵抗体用電極2
1b及び21cと一対の裏面側抵抗体用電極39b及び
39cとが接続用電極21aと接続用電極39aとに亘
って形成される側面電極43(入力電極)により共通接
続される。
【0031】この実施の形態のチップ型ヒューズの回路
図は、図4に示す通りである。このチップ型ヒューズで
は、接続用電極33a及び37aが保護すべき回路の遮
断部分に接続され、また接続用電極39aが保護すべき
回路の過電圧を検出すべき箇所に接続される。そして、
過大電圧が接続用電極39aから一対の表面側分割抵抗
体25A及び25B並びに一対の裏面側分割抵抗体41
A及び41Bに印加されると一対の分割ヒューズ素子2
3A及び23Bの少なくとも一方を通って電流が流れ
る。そして分割抵抗体25A,25B,41A及び41
Bからの発熱により、一対の分割ヒューズ素子23A及
び23Bの少なくとも一つが溶融温度まで加熱されると
溶断する。また過大電流が接続用電極33aと接続用電
極37aとの間を流れると、その際の熱で一対の分割ヒ
ューズ素子23A及び23Bの少なくとも一つが溶断
し、接続用電極33aと接続用電極37aとの間で回路
が遮断する。本例のように、チップ状基板1の裏面1b
側に裏面側発熱用抵抗体41を配置すれば、裏面側発熱
用抵抗体41がチップ状基板1の裏面1b側の温度を上
昇させることになり、表面側発熱用抵抗体25からチッ
プ状基板1の裏面1b側に拡散する熱が大幅に少なくな
る。また裏面側発熱用抵抗体41からの熱はヒューズ素
子23の温度上昇にも当然にして寄与する。そのため従
来よりもヒューズ素子23の温度上昇時間を早めること
ができて、ヒューズ素子23の溶断時間を短くできる。
【0032】またチップ状基板1の裏面1bには、スぺ
ーサ手段を構成する4つの突出部47A,47B,49
A,49Bが分散した状態で形成されている。突出部4
7A,47Bは、矩形状を有しており、一対の裏面側抵
抗体用電極39b及び39cの外側にそれぞれ形成され
ている。突出部49A,49Bも矩形状を有しており、
裏面電極37と裏面電極35との間及び裏面電極35と
裏面電極33との間にそれぞれ形成されている。これら
の突出部47A…は、図5に示すように、先端部の位置
が絶縁コート51の表面よりもチップ状基板1から離れ
た位置にあって、チップ型ヒューズが回路基板S上に実
装されたときに、絶縁コート51が回路基板Sと実質的
に接触しないようにするためのスペースを形成してい
る。このような突出部47A…を設けると、チップ型ヒ
ューズを回路基板上に実装しても表面側発熱用抵抗体2
5及び裏面側発熱用抵抗体41から回路基板Sへの熱の
拡散を防止できる。これらの突出部47A…は、いずれ
も同材質からなる2層構造を有しており、次のようにし
て形成した。まず、絶縁コート51を印刷する際に絶縁
コート51を形成する材料と同じ絶縁材料(ガラス材料
または樹脂)により1層目を形成し、その後に、同じ絶
縁材料(ガラス材料または樹脂)により2層目を形成し
て完成した。このように形成すれば、絶縁コート51を
印刷する工程で4つの突出部47A…の1層目を形成で
き、突出部47A…を簡単に形成できる。
【0033】なお、上記の例では、チップ状基板の表面
上にヒューズ素子と表面側発熱用抵抗体とを形成し、チ
ップ状基板の裏面上に裏面側発熱用抵抗体を形成した
が、表面側発熱用抵抗体を設けずに、チップ状基板の表
面上にヒューズ素子を形成し、チップ状基板の裏面上に
発熱用抵抗体を形成したものであっても構わない。
【0034】このようなチップ型ヒューズは次のような
順番で製造すればよい。まず発熱用抵抗体を印刷形成し
てから、絶縁コート及び複数の突出部の1層目を同じ絶
縁材料によって印刷形成する。次に、突出部の2層目を
印刷形成してから、ヒューズ素子を印刷形成する。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、チップ状基板の裏面側
に裏面側発熱用抵抗体を配置するので、裏面側発熱用抵
抗体がチップ状基板の裏面側の温度を上昇させることに
なり、表面側発熱用抵抗体からチップ状基板の裏面側に
拡散する熱が大幅に少なくなる。また裏面側発熱用抵抗
体からの熱はヒューズ素子の温度上昇にも当然にして寄
与する。そのため従来よりもヒューズ素子の温度上昇時
間を早めることができて、ヒューズ素子の溶断時間を短
くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部を省略した本発明の実施の形態のチップ型
ヒューズの平面図である。
【図2】一部を省略した本発明の実施の形態のチップ型
ヒューズの底面図である。
【図3】図1の実施の形態のチップ型ヒューズの側面電
極の構造を示す部分拡大断面図である。
【図4】図1の実施の形態のチップ型ヒューズの回路図
である。
【図5】図1の実施の形態のチップ型ヒューズの実装状
態を示す図である。
【符号の説明】
1 チップ状基板 15b,19b 一対のヒューズ用電極 21b,22c 一対の表面側抵抗体用電極 17b 共通中間電極 17c 表面側抵抗体用中間電極 17d ヒューズ用中間電極 23 ヒューズ素子 25 表面側発熱用抵抗体 25A,25B 一対の表面側分割抵抗体 27乃至31 伝熱抵抗の高い部分(貫通孔) 39b,39c 一対の裏面側抵抗体用電極 35b 裏面側抵抗体用中間電極 41 裏面側発熱用抵抗体 47A,47B,49A,49B スぺーサ手段(突出
部) 51 絶縁コート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 盛勝 富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地 北陸電気工業株式会社内 (72)発明者 小原 陽三 富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地 北陸電気工業株式会社内 Fターム(参考) 5G502 AA02 BA08 BB13 BC01 BD02 BD20 EE01 EE06 JJ01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チップ状基板と、 前記チップ状基板の表面上に配置されたヒューズ素子
    と、 前記チップ状基板の表面上に配置されて通電されると前
    記ヒューズ素子を溶断するための熱を発生する表面側発
    熱用抵抗体とを具備するチップ型ヒューズであって、 前記チップ状基板の裏面上に配置され、前記表面側発熱
    用抵抗体が通電されたときに通電されて前記チップ状基
    板を通して前記ヒューズ素子を溶断するための追加の熱
    を発生する裏面側発熱用抵抗体を具備するチップ型ヒュ
    ーズ。
  2. 【請求項2】 前記表面側発熱用抵抗体と前記ヒューズ
    素子とは、前記チップ状基板の前記表面上に横に並んで
    設けられている請求項1に記載のチップ型ヒューズ。
  3. 【請求項3】 前記裏面側発熱用抵抗体は、前記チップ
    状基板を間に介して前記ヒューズ素子と対向している請
    求項1または2に記載のチップ型ヒューズ。
  4. 【請求項4】 前記裏面側発熱用抵抗体は絶縁コートに
    覆われており、 前記チップ状基板の前記裏面には、先端部の位置が前記
    絶縁コートの表面よりも前記チップ状基板から離れた位
    置にあって、前記チップ型ヒューズが回路基板上に実装
    されたときに、前記絶縁コートが前記回路基板と実質的
    に接触しないようにするためのスペースを形成するスぺ
    ーサ手段が設けられている請求項1,2または3に記載
    のチップ型ヒューズ。
  5. 【請求項5】 前記スぺーサ手段は、前記裏面上に分散
    した状態で且つ印刷により形成された複数の突出部から
    なり、 前記複数の突出部は、2層構造を有しており、1層目が
    前記絶縁コートを印刷する際に前記絶縁コートを形成す
    る材料と同じ絶縁材料によって形成されている請求項4
    に記載のチップ型ヒューズ。
  6. 【請求項6】 前記表面側発熱用抵抗体の発熱量は、前
    記表面側発熱用抵抗体から前記裏面側に移動する熱量が
    前記表面側発熱用抵抗体から前記ヒューズ素子側に移動
    する熱量より少なくなるように定められている請求項1
    または2に記載のチップ型ヒューズ。
  7. 【請求項7】 前記チップ状基板には、前記表面側発熱
    用抵抗体、前記ヒューズ素子及び前記裏面側発熱用抵抗
    体が形成されたブロックの外側に該ブロックから外側に
    熱が放散されるのを抑制する伝熱抵抗の高い部分が形成
    されている請求項1に記載のチップ型ヒューズ。
  8. 【請求項8】 前記表面側発熱用抵抗体は一対の表面側
    抵抗体用電極と該一対の表面側抵抗体用電極の間に配置
    された表面側抵抗体用中間電極とに跨って形成されてお
    り、 前記裏面側発熱用抵抗体は一対の裏面側抵抗体用電極と
    該一対の裏面側抵抗体用電極の間に配置された裏面側抵
    抗体用中間電極とに跨って形成されており、 前記ヒューズ素子は、一対のヒューズ用電極と該一対の
    ヒューズ用電極の間に配置されたヒューズ用中間電極と
    に跨って形成されており、 前記表面側抵抗体用中間電極と前記裏面側抵抗体用中間
    電極と前記ヒューズ用中間電極とが電気的に共通接続さ
    れており、 前記一対の表面側抵抗体用電極と前記一対の裏面側抵抗
    体用電極とが共通の入力電極に接続されている請求項1
    に記載のチップ型ヒューズ。
  9. 【請求項9】 前記一対の表面側抵抗体用電極と前記表
    面側抵抗体用中間電極との間に形成された一対の表面側
    分割抵抗体の各抵抗値と、前記一対の裏面側抵抗体用電
    極と前記裏面側抵抗体用中間電極との間に形成された一
    対の裏面側分割抵抗体の各抵抗値とが、実質的に等しい
    請求項8に記載のチップ型ヒューズ。
  10. 【請求項10】 前記表面側抵抗体用中間電極と前記ヒ
    ューズ用中間電極とは、ぞれぞれ共通中間電極の一部と
    して構成され、 前記共通中間電極と前記裏面側抵抗体用中間電極とを電
    気的に接続する共通接続パターンは、前記チップ状基板
    の表面、外側面及び前記チップ状基板の裏面とに跨るよ
    うに形成されている請求項8または9に記載のチップ型
    ヒューズ。
  11. 【請求項11】 チップ状基板と、 前記チップ状基板の表面上に配置されたヒューズ素子
    と、 前記チップ状基板の表面上に配置されて通電されると前
    記ヒューズ素子を溶断するための熱を発生する表面側発
    熱用抵抗体と、 前記チップ状基板の裏面上に配置され、前記表面側発熱
    用抵抗体が通電されたときに通電されて前記チップ状基
    板を通して前記ヒューズ素子を溶断するための追加の熱
    を発生する裏面側発熱用抵抗体と、 前記裏面側発熱用抵抗体を覆う絶縁コートと、 前記チップ状基板の前記裏面に形成されて、先端部の位
    置が前記絶縁コートの表面よりも前記チップ状基板から
    離れた位置にあって、前記チップ型ヒューズが回路基板
    上に実装されたときに、前記絶縁コートが前記回路基板
    と実質的に接触しないようにするためのスペースを形成
    するスぺーサ手段とを具備するチップ型ヒューズの製造
    方法であって、 前記スぺーサ手段は、前記裏面上に分散した状態で且つ
    印刷により形成された2層構造からなる複数の突出部か
    らなり、 前記複数の突出部の1層目を、前記絶縁コートを印刷す
    る際に前記絶縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料に
    よって形成することを特徴とするチップ型ヒューズの製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記複数の突出部の2層目を、前記絶
    縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料によって形成す
    ることを特徴とする請求項11に記載のチップ型ヒュー
    ズの製造方法。
  13. 【請求項13】 チップ状基板上に、ヒューズ素子と、
    通電されると前記ヒューズ素子を溶断するための熱を発
    生する発熱用抵抗体とを具備するチップ型ヒューズであ
    って、 前記ヒューズ素子は前記チップ状基板の表面上に配置さ
    れており、 前記発熱用抵抗体は前記チップ状基板の裏面上に配置さ
    れ且つ絶縁コートに覆われており、 前記チップ状基板の前記裏面には、先端部の位置が前記
    絶縁コートの表面よりも前記チップ状基板から離れた位
    置にあって、前記チップ型ヒューズが回路基板上に実装
    されたときに、前記絶縁コートが前記回路基板と実質的
    に接触しないようにするためのスペースを形成するスぺ
    ーサ手段が設けられており、 前記スぺーサ手段は、1層目が前記絶縁コートを印刷す
    る際に前記絶縁コートを形成する材料と同じ絶縁材料に
    よって形成された2層構造を有していることを特徴とす
    るチップ型ヒューズ。
  14. 【請求項14】 チップ状基板上に、ヒューズ素子と、
    通電されると前記ヒューズ素子を溶断するための熱を発
    生する発熱用抵抗体と、前記発熱用抵抗体を覆う絶縁コ
    ートと、前記チップ型ヒューズが回路基板上に実装され
    たときに前記絶縁コートが前記回路基板と実質的に接触
    しないようにするためのスペースを形成するスぺーサ手
    段からなる2層構造の複数の突出部とを具備するチップ
    型ヒューズの製造方法であって、 前記発熱用抵抗体を印刷形成する工程と、 前記絶縁コート及び前記複数の突出部の1層目を同じ絶
    縁材料によって印刷形成する工程と、 前記突出部の2層目を印刷形成する工程と、 前記ヒューズ素子を印刷形成する工程とを具備し、前記
    各工程をこの順番で行うことを特徴とするチップ型ヒュ
    ーズの製造方法。
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