JP2001349690A - ろう付性に優れた熱交換器用チューブ及びそれを用いた熱交換器の製造方法 - Google Patents

ろう付性に優れた熱交換器用チューブ及びそれを用いた熱交換器の製造方法

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JP2001349690A
JP2001349690A JP2000166699A JP2000166699A JP2001349690A JP 2001349690 A JP2001349690 A JP 2001349690A JP 2000166699 A JP2000166699 A JP 2000166699A JP 2000166699 A JP2000166699 A JP 2000166699A JP 2001349690 A JP2001349690 A JP 2001349690A
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Yasunori Hiyougo
靖憲 兵庫
Ken Toma
建 当摩
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F9/00Casings; Header boxes; Auxiliary supports for elements; Auxiliary members within casings
    • F28F9/02Header boxes; End plates
    • F28F9/04Arrangements for sealing elements into header boxes or end plates
    • F28F9/16Arrangements for sealing elements into header boxes or end plates by permanent joints, e.g. by rolling
    • F28F9/18Arrangements for sealing elements into header boxes or end plates by permanent joints, e.g. by rolling by welding

Abstract

(57)【要約】 【課題】 主としてヘッダーパイプとチューブとフィン
から構成された熱交換器において、ヘッダーパイプとチ
ューブとのろう付接合を確実なものとし、熱媒体の漏洩
を防止して、熱交換性能を高める。 【解決手段】 チューブ表面の、ヘッダーパイプのスリ
ットに挿入される部分とフィンが取り付けられる部分と
の間に、ろう材層を形成していない箇所を設ける。チュ
ーブ表面のろう材層が溶融した際に、フィン接合部のみ
に集中するのを防ぎ、溶融ろう材がフィン接合部及びヘ
ッダーパイプとチューブとの接合部の双方に流れて、両
方の接合部を確実に接合することができるようにする。
ヘッダーパイプとチューブとの接合部も良好な接合状態
が得られるので、ろう付不良率を低減させることができ
る。また、フィンの数も多く取れるので熱交換率も良い
熱交換器が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一対のヘッダー
パイプとこれらのヘッダーパイプ間に架設された複数の
チューブと該チューブに付設されたフィンとを有する熱
交換器に関するものであって、さらに詳しくは、ヘッダ
ーパイプとチューブ及びチューブとフィンとのろう付性
の改善技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、空調機や自動車用に使用されてい
る熱交換器においては、ヘッダーパイプと称される左右
一対の管体の間に、ヘッダーパイプと直角に互いに平行
に間隔を保って多数のチューブを架設し、各チューブの
端部をヘッダーパイプの側面に接続して、各チューブの
内部空間とヘッダーパイプの内部空間とを連通させ、複
数のチューブの間にフィン部材を配置して、熱交換性を
高めた構造の熱交換器が知られている。この形式の熱交
換器においては、ヘッダーパイプの内部と各チューブの
内部を熱媒体が循環し、各チューブ間に配置されたフィ
ンを介して熱媒体が熱交換できるようになっている。通
常、この形式の熱交換器は、熱伝導率の良いアルミニウ
ムあるいはアルミニウム合金で構成され、ヘッダーパイ
プとチューブあるいはチューブとフィンは、ろう材によ
り接合されている。
【0003】ヘッダーパイプには、ろう付性を考慮して
アルミ−シリコン合金等のろう材層をあらかじめアルミ
ニウム合金プレートにクラッド圧着したブレージングシ
ートを用い、このブレージングシートを半割筒状に加工
し、この半割筒状のブレージングシート2枚を円筒形に
なるように張り合わせてろう付したヘッダーパイプが用
いられている。あるいはまた、アルミニウム合金製のパ
イプの表面に粉末ろう材を塗布して、あらかじめパイプ
表面にろう材層を形成したヘッダーパイプも用いられて
いる。また、チューブにもあらかじめチューブ表面に粉
末ろう材を塗布してろう材層を形成したチューブが用い
られている。そしてこれらのヘッダーパイプにチューブ
挿入用のスリットを形成しておき、このスリットにチュ
ーブを差し込み、チューブ表面に所定の間隔を保ってフ
ィンを取り付け、該ろう材の融点以上の温度に加熱し
て、接合部分のまわりのろう材層を加熱溶融させて流動
化し、チューブのヘッダーパイプへの差込み部分あるい
はチューブとフィンの接合部分周囲をろう材で覆った後
冷却して、ヘッダーパイプとチューブもしくはチューブ
とフィンをろう付して熱交換器としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構造の熱交換器を
組み立てる際に、ろう材を取込んだヘッダーパイプとろ
う材層をあらかじめチューブの表面全面に形成したチュ
ーブを用いると、加熱してろう材を溶融させたときにヘ
ッダーパイプのろう材がチューブ表面のろう材と混ざ
り、チューブ表面を伝わって流れて毛管力のより強く働
くチューブとフィンとの接合部に移動する。このためヘ
ッダーパイプとチューブの接合部ではろう材が不足し
て、十分な大きさのフィレットが形成されずに、ろう付
不良が発生する問題がある。
【0005】図7は、従来の表面全面にろう材を塗布し
たチューブを使用して、ヘッダーパイプとフィンを組み
立てた図であって、加熱ろう付けする前の状態を示して
いる。図において、符号1はヘッダーパイプを示してお
り、その表面にはろう材層5が形成されている。符号3
はチューブであり、その表面には全面にわたってろう材
層6が形成されている。チューブ3はその一端をヘッダ
ーパイプ1に設けたスリット7に挿入して取付けられて
おり、チューブ3の表面には所定の間隔を保ってフィン
4が固定される。図7のように組み立てられたヘッダー
パイプ1とチューブ3及びフィン4をろう材の融点以上
の温度に加熱すると、図8のようにろう材が溶けてヘッ
ダーパイプ1とチューブ3及びチューブ3とフィン4が
接合される。この時、ヘッダーパイプ1とチューブ3と
のなす角度よりもチューブ3とフィン4とのなす角度の
方が小さいため、溶融したろう材にはチューブ3とフィ
ン4との接合部に向けてより大きな毛管力Fが働き、ヘ
ッダーパイプの溶融したろう材はチューブ3とフィン4
との接合部に集まって大きなフィレット(溶融凝固した
ろう材)8を形成してしまう。このためヘッダーパイプ
1とチューブ3との接合部10ではろう材が不足し、小
さなフィレット8’を形成するかあるいはフィレットが
全く形成されない事態を引き起こし、しばしばろう付不
良となっていた。
【0006】本発明は、上記のようなろう付不良の問題
を解決し、ヘッダーパイプとチューブとのろう付接合を
確実なものにし、しかもチューブとフィンとの接合も良
好なものとし、かつ高い熱交換率を維持するのに十分な
フィンの数を確保できる熱交換器用のチューブを提供す
るものである。本発明の他の目的は、このような熱交換
器用のチューブを使用して、不良の発生を抑えて容易に
熱交換器を製造できる方法を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記ろう付不良を解消
し、健全な接合部を有する熱交換器とするために、本発
明では一対のヘッダーパイプと、これらヘッダーパイプ
間に架設された複数のチューブと、チューブに付設され
たフィンとを具備してなる熱交換器に使用するチューブ
として、チューブ表面にはろう材層が形成されており、
該チューブのヘッダーパイプに差し込まれる部分とフィ
ンが取り付けられる部分との間に、ろう材層が形成され
ていない部分を設けた熱交換器用チューブを採用した。
このようなチューブとすることにより、大きな毛管力が
働いてもろう材層の切れた部分で溶融したろう材の流動
が止まるので、ヘッダーパイプのろう材がチューブとフ
ィンとの接合部に引き寄せられるのを防ぐことができ
る。その結果、ヘッダーパイプとチューブとの接合部及
びチューブとフィンとの接合部のいずれにおいても良好
なろう付接合が達成されるようになる。
【0008】本発明では、前記ろう材層が形成されてい
ない部分が、該チューブが差し込まれるヘッダーパイプ
の表面から1〜30mm離れたところにあり、かつ該ろ
う材層が形成されていない部分の幅が、0.5mm以上
とするのが好ましい。ろう材層が形成されていない部分
がヘッダーパイプの表面から余り離れすぎていると、フ
ィンの取付位置が狭くなって熱交換率が悪化し、ろう材
層が形成されていない部分の幅があまり狭いと、溶融ろ
う材の流動を阻止する効果が無いからである。本発明で
は、前記ろう材層が形成されていない部分が、ヘッダー
パイプに差し込まれるチューブの端部から、ヘッダーパ
イプ表面から1〜30mm離れた位置までであっても良
い。チューブの端部から一定の長さまでろう材層を設け
ないことにより、溶融ろう材の流動を阻止する効果は同
じように得られ、かつろう材層が形成し易くなるからで
ある。
【0009】本発明の熱交換器の製造方法は、上記のよ
うなチューブ表面にろう材層を形成した熱交換器用チュ
ーブを使用して、上記チューブのヘッダーパイプに差し
込まれる部分とフィンが取り付けられる部分との間に、
ろう材層を形成していない部分を設け、ろう材層を加熱
溶融してヘッダーパイプとチューブとの接合部及びチュ
ーブとフィンとの接合部のいずれに於いても良好なろう
付接合が達成されるようにしたものである。本発明の熱
交換器の製造方法によれば、接合部におけるろう付不良
が解消し、しかも十分な数のフィンが取付けられるので
熱交換率の高い熱交換器が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係わる熱交換器
の一例を示すもので、この熱交換器100は左右に配置
されたヘッダーパイプ1,2と、これらのヘッダーパイ
プ1,2の間に相互に間隔を保って平行に、かつヘッダ
ーパイプ1,2に対して直角に接合された複数のチュー
ブ3と、チューブ3に付設された波形のフィン4を主体
として構成されている。前記ヘッダーパイプ1,2とチ
ューブ3及びフィン4は、それぞれ熱伝導性の良いアル
ミニウム合金などから構成されている。
【0011】図2は、本発明のチューブの構造を示す断
面図である。このチューブ3は、表面にろう材粉末で形
成したろう材層6を有している。ろう材層6は、チュー
ブがヘッダーパイプに挿入された場合に、ヘッダーパイ
プの表面からL(L=1〜30mm)だけ離れたところ
に、ろう材層が形成されていない部分Sを有している。
ろう材層が形成されていない部分Sがヘッダーパイプ表
面から近すぎるところに設けると、ヘッダーパイプのろ
う材がチューブとの接合部でフィレットを形成し、フィ
レットがチューブのろう材層が形成されていない部分S
を覆い、フィン側のろう材と混ざり、ろう材が流動する
のを防ぐ効果が得られないからである。ろう材層が形成
されていない部分Sの幅は0.5mm以上が好ましい。
ろう材層が形成されていない部分Sの幅が余り狭いと、
ろう付時に溶融したろう材が流動してフィン部分に集中
するのを防止できないからである。
【0012】ここで、前記ヘッダーパイプ1,2とチュ
ーブ3とを接合するろう材及びチューブ3とフィン4と
を接合するろう材には、Al−Si系ろう材、Al−S
i−Zn系ろう材やAl−Si−Cu系のろう材が多用
される。Al−Si系ろう材としては、例えばSi:
9.0〜11.0重量%、残部Alからなる組成のもの
が使用される。
【0013】上記のようなろう材を平均粒径20〜30
μmの粉末にして、前記ヘッダーパイプ1,2の表面の
所定の位置に塗布しておく。粉末ろう材をフラックスや
バインダーと混合して溶媒に溶かし、塗布装置により所
定の位置に塗布した後乾燥する工程により得られる。粉
末ろうに混合するフラックスとしては、通常フラックス
として使用されるフッ化アルミニウムカリ塩(主として
KAlF4 )、あるいはNaCl、KCl、LiCl、
ZnCl2 、LiF、LiCl、SrCl2 、Na3
lF6、KFが利用できる。 これらのフラックスを混合
したろう材の融点は、約540〜580℃前後であり流
動性も良くなることから、ヘッダーパイプとチューブあ
るいはチューブとフィンとの接合に当たり、ろう付不良
を防止することがさらに容易となる。なお、ろう材層が
形成されていない部分Sは、一度チューブ表面の全面に
ろう材層を形成した後、所定の部分だけろう材を除去し
て形成したものであっても良い。
【0014】図3は、ヘッダーパイプ1とチューブ3及
びチューブ3とフィン4との接合状態を、ろう材の溶融
接合前の断面構造で示したものである。図3では円形断
面のヘッダーパイプ1の表面にろう材層5が形成されて
いる。ヘッダーパイプ1の内側に設けられたスリット7
にチューブ3を挿入し、ヘッダーパイプ1の表面と、前
記ろう材層が形成されていない部分Sとの距離Lが1〜
30mmとなるようにする。ろう材層が形成されていな
い部分Sがヘッダーパイプ1の表面からあまり近すぎる
ところに設けると、ヘッダーパイプ1のろう材がチュー
ブ3との接合部でフィレットを形成し、フィレットがチ
ューブのろう材層を形成していない部分を覆い、フィン
側のろう材層6と混ざり、のろう材が流動するのを防ぐ
効果が得られない。チューブ3には、所定の間隔(フィ
ンピッチ)でフィン4をセットする。通常フィンピッチ
は3mm前後であり、フィンピッチが細かいほど熱交換
率が良くなる。
【0015】図3のように組み立てた後、ろう材の融点
以上の温度に加熱して前記ろう材層5,6を溶融させる
と、図4に示すようにヘッダーパイプ1とチューブ3と
の接合部近傍のろう材は、ヘッダーパイプ1とチューブ
3との間隙に流入し、そこで凝固するとヘッダーパイプ
1とチューブ3の接合部10には適度な大きさのフィレ
ット(溶融凝固したろう材層)8が形成されて、ヘッダ
ーパイプ1とチューブ3とが綺麗に接合される。一方、
チューブ3表面のろう材層6は、チューブ3とフィン4
との接合部に集まり、チューブ3とフィン4との接合部
にも適度な大きさのフィレット8が形成されて、チュー
ブ3とフィン4とが綺麗に接合される。
【0016】図5に本発明の熱交換器用チューブの別の
態様を示す。図5は、ヘッダーパイプ1とチューブ3及
びチューブ3とフィン4との接合状態を、ろう材の溶融
接合前の断面構造で示したものである。図5では円形断
面のヘッダーパイプ1の表面にろう材層5が形成されて
いる。この態様では、前記チューブ3の表面にもろう材
層6が形成されており、チューブ3の一端のろう材層が
形成されていない部分Sは、ヘッダーパイプ1の表面か
ら1〜30mmの距離:Lの範囲となるように形成され
ている。このようにヘッダーパイプ1の表面から1〜3
0mmの範囲にろう材層6を設けない結果、ヘッダーパ
イプ1の表面のろう材層5が溶融した際に、溶融ろう材
がフィン4の方向に引っ張られるのを阻止し、ヘッダー
パイプ1の近傍でフィレットを形成する。その結果、図
5に示すような接合状態でろう材を溶融接合させると、
図4と同様な状態にヘッダーパイプ1とチューブ3及び
チューブ3とフィン4とが綺麗に接合される。
【0017】図6に本発明の熱交換器用チューブのさら
に他の態様を示す。図6は、ヘッダーパイプ1とチュー
ブ3及びチューブ3とフィン4との接合状態を、ろう材
の溶融接合前の断面構造で示したものである。図6にお
いても円形断面のヘッダーパイプ1の表面にろう材層5
が形成されている。この態様でも、前記チューブ3の表
面にもろう材層6が形成されており、チューブ3の一端
のろう材層が形成されていない部分Sは、ヘッダーパイ
プ1の内部からヘッダーパイプ1の外部まで、長さ
(d)の範囲にわたっている。そしてろう材層が形成さ
れていない部分Sの一端は、ヘッダーパイプ1の表面か
ら1〜30mm離れた距離:Lとなるように形成されて
いる。このようにヘッダーパイプ1の表面から1〜30
mmの範囲にろう材層6を設けない結果、ヘッダーパイ
プ1の表面のろう材層5が溶融した際には、溶融ろう材
がフィン4の方向に引っ張られるのを阻止し、ヘッダー
パイプ1の近傍でフィレットを形成する。その結果、図
6に示すような接合状態でろう材を溶融接合させると、
図4と同様な状態にヘッダーパイプ1とチューブ3及び
チューブ3とフィン4とが綺麗に接合される。
【0018】以上説明したとおり、本発明によるチュー
ブを使用すれば、加熱してろう材を溶融させる際に、ヘ
ッダーパイプとチューブとの接合部におけるろう材流出
によるろう材不足が解消し、ヘッダーパイプとチューブ
との接合部及びチューブとフィンとの接合部のいずれに
於いても適度な大きさの綺麗なフィレットが形成される
ので、確実なろう付接合が達成できる。
【0019】
【作用】本発明は、一対のヘッダーパイプと、これらヘ
ッダーパイプ間に架設された複数のチューブと、チュー
ブに付設されたフィンを具備してなる熱交換器におい
て、チューブ表面にあらかじめろう材層を設けるにあた
り、ヘッダーパイプのチューブ挿入部とフィン取り付け
部との間にろう材層の無い部分を設けることにより、ろ
う材が溶融した際に毛管力の大きなチューブとフィンの
接合部に溶けたろう材が集中して流動するのを防止し、
ヘッダーパイプとチューブの接合部及びフィンとチュー
ブの接合部の双方へ流れるようにして、ヘッダーパイプ
とチューブとの接合を確実にしたものである。
【0020】
【実施例】以下実施例を用いて説明する。 (実施例1、比較例1)アルミニウム合金製の断面円形
のヘッダーパイプとチューブとフィンを有し、概略構成
が図1の自動車用熱交換器を製造した。ヘッダーパイプ
材には、内側が3003合金で外側が4045合金のク
ラッド材からなる電縫管を使用した。チューブ材には1
050合金からなる押出扁平チューブを使用した。ま
た、フィン材には4045合金/3003合金のクラッ
ド材を使用した。ヘッダーパイプの表面には、Al−1
0Si合金粉末を塗布したろう材層を設けた。ヘッダー
パイプの側面はチューブ挿入用のスリットを複数設けた
ものを使用した。一方、チューブ材にも表面にろう材層
としてAl−10Si合金粉末を塗布したものを使用し
た。チューブ材表面のろう材層は、チューブをヘッダー
パイプに差し込むときにヘッダーパイプ内に入る部分と
フィンが取り付けられる部分との間のろう材層を削り落
として、ろう材が形成されていない部分を設けた。その
際、ヘッダーパイプ表面と削り取られたろう材の一端と
の距離をL(mm)、ろう材を削り取った部分の幅をd
(mm)とし、Lとdを表1に示すように変化させた。
なお、試料No.7及び試料No.11は、図6に示す
ようにチューブ3の表面のヘッダーパイプ1内に入る部
分にもろう材層6を設けたものである。フィン材はフィ
ンピッチ3mmでチューブ表面に取り付けるようにし
た。
【0021】上記のようなヘッダーパイプ、チューブ及
びフィンを所定の位置に組立てた後、窒素雰囲気中で6
00℃×3分の条件で加熱し、ろう付して熱交換器を製
造した。 得られた熱交換器のヘッダーパイプとチュー
ブとの接合部について接合状態を目視観察し、熱交換率
の比較を行った。これらの結果を表1に併記する。表1
のろう付性の評価においては、溶融したろう材がフィレ
ットを形成して、ヘッダーパイプのスリットとチューブ
との間隙を完全に充填している場合は◎印、ろう材が充
填されているがフィレットがやや小さい場合は△印、フ
ィレットの形成が未完成で、ヘッダーパイプのスリット
とチューブとの間隙を完全に充填していない場合は×印
を付した。熱交換率はNo.3の熱交換器の熱交換率を
基準として、熱交換率の低下がない場合は◎印、その基
準値と比較して熱交換率の低下が10%未満の場合は○
印、熱交換率の低下が10%以上の場合は△印を付して
評価した。なお、No.1の熱交換器にはろう付不良が
発生し、ヘッダーパイプとチューブとの取り付け部分に
ろう材が充填されていない空隙が生じて熱交換率の測定
はできなかった。
【0022】
【表1】
【0023】表1の結果から、ろう材層を形成していな
い位置がヘッダーパイプ表面からの距離で1〜30m
m、かつ幅が0.5mm以上の場合には、ヘッダーパイ
プとチューブの間及びチューブとフィンとの間の接合
は、いずれも良好で綺麗なフィレットが形成されてお
り、ろう付不良の発生は認められなかった。これに対し
て、ろう材層が形成されていない部分が無い場合には、
ヘッダーパイプ部のろう材が溶融したときにフィン取付
部まで流れてしまい、ヘッダーパイプとチューブの接合
部分ではろう材がヘッダーパイプのスリットを充填する
ことができずに、ろう付不良が発生した。また、ろう材
層を形成していない位置がヘッダーパイプ表面からの距
離で35mmの場合には、チューブの全長でフィンがろ
う付されない部分の割合が多くなり、熱交換率が低下す
る結果となった。
【0024】(実施例2、比較例2)チューブ材表面の
ろう材層の形成方法を、図5に示すようにチューブ3の
一先端部のろう材を削り取るように変更した以外は、実
施例1、比較例1と同様にして熱交換器を製造した。即
ち、ろう材層を形成する部分を表2に示すとおりヘッダ
ーパイプ1の表面から削り取られたろう材の端部迄の距
離をLとし、Lを表2に示すように0〜40mmの間で
変化させてチューブを製造した。このようなチューブを
使用して図5に示すようにヘッダーパイプ、チューブ及
びフィンを所定の位置に組立てた後、実施例1と同様に
窒素雰囲気中で600℃×3分の条件で加熱し、ろう付
して熱交換器を製造した。得られた熱交換器のヘッダー
パイプとチューブとの接合部について接合状態を目視観
察し、熱交換率の比較を行った。これらの結果を表2に
併記する。
【0025】
【表2】
【0026】表2の結果から、ろう材層を形成していな
い部分がヘッダーパイプ表面からで1〜30mmの場合
には、ヘッダーパイプとチューブの間及びチューブとフ
ィンとの間の接合は、いずれも良好で綺麗なフィレット
が形成されており、ろう付不良の発生は認められなかっ
た。これに対して、ろう材層を形成していない部分がヘ
ッダーパイプ表面から1.0mm未満の0mmの場合に
は、ヘッダーパイプ部のろう材が溶融したときにフィン
取付部まで流れてしまい、ヘッダーパイプとチューブの
接合部分ではろう材がヘッダーパイプのスリットを充填
することができずに、ろう付不良が発生した。また、ろ
う材層を形成していない位置がヘッダーパイプ表面から
30mmを越える35mm又は40mmの場合には、チ
ューブの全長でフィンがろう付されない部分の割合が多
くなり、熱交換率が低下する結果となった。
【0027】
【発明の効果】ろう材を加熱溶融する際に、チューブ表
面に設けたろう材層がろう材層を形成していない部分を
境にして、ヘッダーパイプとチューブの接合部及びチュ
ーブとフィンの接合部の双方に流れるので、 ヘッダー
パイプとチューブの接合部の接合不良が解消する。その
結果、ろう付不良による冷媒の漏れは解消し、熱交換性
にも優れた熱交換器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱交換器の構造を説明する外観図である。
【図2】 本発明の熱交換器用チューブの構造を示す断
面図である。
【図3】 本発明の熱交換器用チューブを使用し、ヘッ
ダーパイプとフィンを取り付けたろう付前の状態を説明
する図である。
【図4】 図3のヘッダーパイプとチューブ及びフィ
ンとの接合状態の、ろう材を溶融した後の状態を示す図
である。
【図5】 本発明の熱交換器用チューブの別の例の構造
を示す断面図である。
【図6】 本発明の熱交換器用チューブのさらに他の例
の構造を示す断面図である。
【図7】 従来の熱交換器用チューブを使用し、ヘッダ
ーパイプとフィンを取り付けたろう付前の状態を説明す
る図である。
【図8】 図7のヘッダーパイプとチューブ及びフィン
との接合状態の、ろう材を溶融した後の状態を示す図で
ある。
【符号の説明】
1,2・・・・・ヘッダーパイプ、3・・・・・チューブ、4・・・・
・フィン、5,6・・・・・ろう材層、7・・・・・スリット、8・
・・・・フィレット(溶融凝固したろう材層)、10・・・・・
接合部、100・・・・・熱交換器、S ・・・・・ろう材が形成
されていない部分

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のヘッダーパイプと、これらヘッダ
    ーパイプ間に架設された複数のチューブと、チューブに
    付設されたフィンとを具備してなる熱交換器に使用する
    チューブであって、該チューブ表面にはろう材層が形成
    されており、該チューブのヘッダーパイプに差し込まれ
    る部分とフィンが取り付けられる部分との間に、ろう材
    層が形成されていない部分(S)が設けられてなること
    を特徴とするろう付性に優れた熱交換器用チューブ。
  2. 【請求項2】 前記ろう材層が形成されていない部分
    (S)が、該チューブが差し込まれるヘッダーパイプの
    表面から距離L(L=1〜30mm)離れたところに設
    けられており、かつ該ろう材層が形成されていない部分
    (S)の幅(d)が、0.5mm以上であることを特徴
    とする請求項1に記載のろう付性に優れた熱交換器用チ
    ューブ。
  3. 【請求項3】 一対のヘッダーパイプと、これらヘッダ
    ーパイプ間に架設された複数のチューブと、チューブに
    付設されたフィンとを具備してなる熱交換器に使用する
    チューブであって、該チューブのヘッダーパイプの差し
    込まれるチューブの端部からフィンが取り付けられる部
    分まで、ろう材層が形成されていない部分(S)が設け
    られてなることを特徴とするろう付性に優れた熱交換器
    用チューブ。
  4. 【請求項4】 前記ろう材層が形成されていない部分
    (S)が、ヘッダーパイプに差し込まれるチューブの端
    部から、ヘッダーパイプ表面から距離L(L=1〜30
    mm)離れた位置まで設けられていることを特徴とする
    請求項3に記載のろう付性に優れた熱交換器用チュー
    ブ。
  5. 【請求項5】 一対のヘッダーパイプと、これらヘッダ
    ーパイプ間に架設された複数のチューブと、チューブに
    付設されたフィンとを具備してなる熱交換器の製造方法
    であって、該チューブ表面にろう材層を形成したチュー
    ブを使用し、該チューブ表面のヘッダーパイプに差し込
    まれる部分とフィンが取り付けられる部分との間にろう
    材層を形成していない部分を設け、前記ヘッダーパイプ
    に設けたスリットに該チューブの一端を挿入し、該チュ
    ーブの表面に前記フィンを接触させた後、ろう材の融点
    以上の所定の温度に加熱して、ヘッダーパイプとチュー
    ブの接合部及びチューブとフィンの接合部を溶融ろう材
    で覆った後冷却して接合することを特徴とする熱交換器
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 一対のヘッダーパイプと、これらヘッダ
    ーパイプ間に架設された複数のチューブと、チューブに
    付設されたフィンとを具備してなる熱交換器の製造方法
    であって、該チューブ表面にろう材層を形成したチュー
    ブを使用し、該チューブ表面のヘッダーパイプに差し込
    まれるチューブの端部からフィンが取り付けられる部分
    までろう材層が形成されていない部分を設け、前記ヘッ
    ダーパイプに設けたスリットに該チューブの一端を挿入
    し、該チューブの表面に前記フィンを接触させた後、ろ
    う材の融点以上の所定の温度に加熱して、ヘッダーパイ
    プとチューブの接合部及びチューブとフィンの接合部を
    溶融ろう材で覆った後冷却して接合することを特徴とす
    る熱交換器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018173536A1 (ja) * 2017-03-21 2018-09-27 株式会社デンソー 熱交換器

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