JP2001347281A - 金属シアン錯体含有シアン排水の処理方法 - Google Patents

金属シアン錯体含有シアン排水の処理方法

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JP2001347281A
JP2001347281A JP2000169253A JP2000169253A JP2001347281A JP 2001347281 A JP2001347281 A JP 2001347281A JP 2000169253 A JP2000169253 A JP 2000169253A JP 2000169253 A JP2000169253 A JP 2000169253A JP 2001347281 A JP2001347281 A JP 2001347281A
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Wilfried Werz
ヴェルツ ウィルフリート
Hideto Kotani
秀人 小谷
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる
遊離シアンおよび全ての金属シアン錯体を、完全に、し
かも比較的安価に分解処理する方法を提供する。 【解決手段】 まず、金属シアン錯体含有シアン排水
にpH7以上の略一定値の下において酸化促進剤(過酸
化水素水など)を添加し、該排水中に含まれる遊離シア
ンを酸化分解する。次に、上記のようにして遊離シ
アンが酸化分解された排水に酸化促進剤を添加し、pH
をアルカリ側から酸性側へ段階的に下げながら紫外線照
射することにより、該排水中に含まれる非鉄系の金属シ
アン錯体を分解処理する。更に、上記のようにして
遊離シアンが酸化分解された排水について、pH7以上
の略一定値の下において紫外線照射及びエアレーション
により、該排水中に含まれる鉄系の金属シアン錯体を分
解処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属シアン錯体含
有シアン排水中に含まれる遊離シアンの分解処理方法、
並びに金属シアン錯体含有シアン排水の処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】貴金属メッキ工場などから排出される金
属シアン錯体含有シアン排水を分解処理する方法とし
て、これまで難溶性錯化合物沈澱法、電解酸化法、煮詰
高温燃焼法、熱加水分解法等の処理方法が提案されてい
る。
【0003】しかしながら、各方法には、以下に述べる
ような重大な欠点が存する。まず、難溶性錯化合物沈澱
法では、発生する沈澱物中に多量のシアン化合物が残存
し、これらを自然界に投棄した場合、猛毒のシアン化水
素が発生するという重大な懸念がある。次に、電解酸化
法では、鉄、ニッケルの錯体については分解不能である
という欠点がある。さらに、煮詰高温燃焼法、熱加水分
解法等の熱による分解方法は、エネルギーコストが非常
に高いという欠点がある。
【0004】そこで、次亜塩素酸ソーダを用いるアルカ
リ塩素法により、金属シアン錯体含有シアン排水を分解
処理することが行われている。このアルカリ塩素法によ
れば、例えば1000ppmという非常に高濃度のシア
ンを含有する排水中に含まれる遊離シアンを1ppm以
下という極めて低濃度に分解処理することができる。し
かしながら、アルカリ塩素法の場合、限界処理濃度が一
般的に全シアン濃度が200ppmまでとされている。
従って、処理すべき排水中の全シアン濃度を200pp
m以下とするために著しく多量の希釈水を必要としてお
り、処理システムを大きくせざるを得ず、このためイニ
シアルコストやランニングコストが非常に高くつくとい
う欠点がある。
【0005】このため、近年、シアン化水素の発生のお
それのない高pH下において、金属シアン錯体含有シア
ン排水中に含まれる遊離シアンと金属シアン錯体とを同
時に処理する方法が提案されている。
【0006】この方法によれば、金属シアン錯体含有シ
アン排水中に含まれる遊離シアンと金属シアン錯体とを
比較的安価に分解処理することができるものの、該排水
中に含まれる遊離シアンと金属シアン錯体とを完全に分
解処理することができないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
欠点を解消し、金属シアン錯体含有シアン排水中に含ま
れる遊離シアンを完全に、しかも比較的安価に分解処理
する方法を提供することを目的とするものである。さら
に、本発明は、金属シアン錯体含有シアン排水中に含ま
れる全ての金属シアン錯体を、完全に、しかも比較的安
価に分解処理する方法を提供することを目的とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高pH下
において金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる遊
離シアンと金属シアン錯体とを同時に処理する方法の持
つ低コストであるという利点に着目し、その利点をでき
るだけ生かしつつ、該排水中に含まれる遊離シアンと金
属シアン錯体とを完全に分解処理することができないと
いう欠点を何とか解消することができないかどうか、鋭
意検討を重ねた。
【0009】その結果、驚くべきことに、第一段階目に
おいて金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる遊離
シアンを分解除去し、次いで第二段階目において金属シ
アン錯体含有シアン排水中に含まれる他の金属錯体を分
解処理するという、二段階の処理プロセスを採用するこ
とにより、金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる
全ての金属シアン錯体を、完全に、しかも比較的安価に
分解処理することができることを見出し、この知見に基
いて本発明を完成するに到った。
【0010】即ち、請求項1に係る本発明は、金属シア
ン錯体含有シアン排水中に含まれる遊離シアンの分解処
理方法において、該排水にpH7以上の略一定値の下に
おいて酸化促進剤を添加し、該排水中に含まれる遊離シ
アンを酸化分解することを特徴とする、金属シアン錯体
含有シアン排水中に含まれる遊離シアンの分解処理方法
を提供するものである。
【0011】次に、請求項2に係る本発明は、金属シア
ン錯体含有シアン排水の処理方法において、該排水にp
H7以上の略一定値の下において酸化促進剤を添加し、
該排水中に含まれる遊離シアンを酸化分解した後、該処
理により遊離シアンが酸化分解された金属シアン錯体含
有シアン排水に、酸化促進剤を添加し、pHをアルカリ
側から酸性側へ段階的に下げながら、紫外線照射するこ
とにより、該排水中に含まれる非鉄系の金属シアン錯体
を分解処理することを特徴とする、金属シアン錯体含有
シアン排水の処理方法を提供するものである。
【0012】さらに、請求項3に係る本発明は、金属シ
アン錯体含有シアン排水の処理方法において、該排水に
pH7以上の略一定値の下において触媒及び酸化促進剤
を添加し、該排水中に含まれる遊離シアンを酸化分解し
た後、該処理により遊離シアンが酸化分解された金属シ
アン錯体含有シアン排水について、pH7以上の略一定
値の下において、紫外線照射及びエアレーション酸化に
よる酸化分解を行うことにより、該排水中に含まれる鉄
系の金属シアン錯体を分解処理することを特徴とする、
金属シアン錯体含有シアン排水の処理方法を提供するも
のである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の方法の実施に好適な金属シアン錯体含有
シアン排水処理装置の1態様を示す説明図である。本金
属シアン錯体含有シアン排水処理装置は、循環槽10、
循環ポンプ11、スタティック型混合器12、13、高
圧紫外線ランプ14、紫外線処理槽15、酸化促進剤貯
槽16、触媒貯槽17、硫酸貯槽18、苛性ソーダ貯槽
19、酸化促進剤供給ポンプ20、触媒供給ポンプ2
1、硫酸供給ポンプ22、苛性ソーダ供給ポンプ23、
コンプレッサー24等から構成されている。
【0014】請求項1に係る本発明は、金属シアン錯体
含有シアン排水中に含まれる遊離シアンの分解処理方法
に関し、金属シアン錯体含有シアン排水に、pH7以上
の略一定値の下において酸化促進剤を添加し、該排水中
に含まれる遊離シアンを酸化分解することを特徴とする
ものである。この請求項1に係る本発明は、後述する金
属シアン錯体含有シアン排水の処理方法における「第一
段階目の処理プロセス」に相当するものである。図1で
は、主に循環槽10、循環ポンプ11、スタティック型
混合器12、13、酸化促進剤貯槽16、触媒貯槽1
7、硫酸貯槽18、苛性ソーダ貯槽19、酸化促進剤供
給ポンプ20、触媒供給ポンプ21、硫酸供給ポンプ2
2、苛性ソーダ供給ポンプ23、コンプレッサー24
が、請求項1に係る本発明の実施に用いられる。
【0015】請求項1に係る本発明においては、処理の
対象である金属シアン錯体含有シアン排水に、pH7以
上の略一定値の下において酸化促進剤を添加し、これに
より該排水中に含まれる遊離シアンを酸化分解する。
【0016】処理の対象である金属シアン錯体含有シア
ン排水としては、例えば貴金属メッキ工場からの排水の
ように、1000ppmを超える高濃度の全シアンを含
有する排水に対しても適用することができる。通常は、
公知の方法により、金、銀などの有用貴金属が回収され
た後の金属シアン錯体含有シアン排水について、本発明
による処理が行われる。処理の対象である金属シアン錯
体含有シアン排水は、図1において、まず循環槽10に
導入される。循環槽10は、通常、円筒形又は角形のタ
ンクからなり、その容量は、処理する金属シアン錯体含
有シアン排水の量及び図1に示される装置の稼働時間よ
り決定される。循環槽10内の該排水は、循環ポンプ1
1によりスタティック型混合器12、13を経由して、
後述する紫外線処理槽15へ送られる。また、逆に紫外
線処理槽15へ送られた排水は、循環ポンプ11によ
り、循環槽10内へ返送されることになる。
【0017】請求項1に係る本発明においては、このよ
うな金属シアン錯体含有シアン排水に、pH7以上の略
一定値の下において、酸化促進剤、及び必要により触媒
を添加する。このとき金属シアン錯体含有シアン排水中
の遊離シアン(CN-)は、例えば次のようにして酸化
分解される。 CN-+H2O2→CNO-+H2O
【0018】酸化促進剤及び必要に応じて行われる触媒
の添加は、「pH7以上、好ましくはpH10前後、」
の略一定値の下において行う必要がある。pHが7未満
であると、シアン化水素の発生のおそれがあるため好ま
しくない。
【0019】必要に応じて添加される触媒としては、銅
化合物が用いられ、特に硫酸銅が好適である。また、酸
化促進剤としては特に過酸化水素水が好ましく用いられ
る。ここで触媒及び酸化促進剤の使用量は、処理すべき
排水の性状、処理すべき排水量などを考慮して適宜選定
すれば良い。
【0020】図1においては、酸化促進剤と触媒とは、
それぞれ酸化促進剤貯槽16、触媒貯槽17から、酸化
促進剤供給ポンプ20、触媒供給ポンプ21により、循
環槽10からの金属シアン錯体含有シアン排水に混合さ
れる。このように酸化促進剤と触媒とを金属シアン錯体
含有シアン排水にライン中で混合するために、先に述べ
たスタティック型混合器12、13が設けられている。
上記したように、酸化促進剤と触媒の注入は、インライ
ン注入とされるべきである。酸化促進剤の注入は、溶存
酸素計の指示値により、一定濃度(溶存酸素濃度)以上
になるように行われるべきである。
【0021】上記したように、請求項1に係る本発明に
おいては、金属シアン錯体含有シアン排水に、pH7以
上の略一定値の下において酸化促進剤及び必要に応じて
触媒を添加する。ここでpH7以上の略一定値に保持し
うるように、硫酸貯槽18、苛性ソーダ貯槽19から、
硫酸供給ポンプ22、苛性ソーダ供給ポンプ23によ
り、循環槽10内に所定量の硫酸或いは苛性ソーダが導
入される。
【0022】上記した酸化促進剤貯槽16、触媒貯槽1
7、硫酸貯槽18、苛性ソーダ貯槽19は、通常、それ
ぞれ円筒形又は角形のタンクからなり、その容量は、処
理する金属シアン錯体含有シアン排水の性状により決定
される。また、酸化促進剤供給ポンプ20、触媒供給ポ
ンプ21、硫酸供給ポンプ22、苛性ソーダ供給ポンプ
23としては、それぞれ通常、ダイヤフラム式定量ポン
プが用いられ、その能力は、処理する金属シアン錯体含
有シアン排水の性状により決定される。
【0023】図1に示す装置によれば、循環槽10内に
貯液された処理すべき排水を、スタティック型混合器1
2、13をパラレル経由させ、これにそれぞれのスタテ
ィック型混合器12、13の直前において、酸化促進剤
と必要に応じて触媒を、それぞれ酸化促進剤貯槽16、
触媒貯槽17から、酸化促進剤供給ポンプ20、触媒供
給ポンプ21により、定量的に注入混合し、循環槽10
へ返送するサイクルを一定時間繰り返すことにより、処
理すべき排水について遊離シアンの酸化分解処理が連続
的に行われる。なお、この酸化分解処理は、後述する金
属シアン錯体含有シアン排水の処理方法における第一段
階目の処理に相当する。循環槽10内のpHは、pH指
示調節機器により、pH7以上の略一定値(通常は、p
H10.5程度)に調整される。また、酸化促進剤の注
入は、循環槽10内に設置された溶存酸素計により、一
定値を超えると停止するようにされている。この第一段
階目の処理では、紫外線照射は行われてはいない。
【0024】次に、請求項2に係る本発明は、金属シア
ン錯体含有シアン排水の処理方法に関し、金属シアン錯
体含有シアン排水の処理方法において、該排水にpH7
以上の略一定値の下において酸化促進剤を添加し、該排
水中に含まれる遊離シアンを酸化分解した後、該処理に
より遊離シアンが酸化分解された金属シアン錯体含有シ
アン排水に、酸化促進剤を添加し、pHをアルカリ側か
ら酸性側へ段階的に下げながら、紫外線照射することに
より、該排水中に含まれる非鉄系の金属シアン錯体を分
解処理することを特徴とするものである。
【0025】請求項2に係る本発明において、金属シア
ン錯体含有シアン排水にpH7以上の略一定値の下にお
いて酸化促進剤を添加し、該排水中に含まれる遊離シア
ンを酸化分解するところまで(第一段階目の処理)は、
前記した請求項1に係る本発明と同様である。従って、
ここでは、その後に行われる第二段階目の処理(排水中
に含まれる遊離シアンを酸化分解した後、該処理により
遊離シアンが酸化分解された金属シアン錯体含有シアン
排水に、酸化促進剤を添加し、pHをアルカリ側から酸
性側へ段階的に下げながら、紫外線照射することによ
り、該排水中に含まれる非鉄系の金属シアン錯体を分解
処理すること)について述べる。
【0026】請求項2に係る本発明においては、第二段
階目の処理として、遊離シアンが酸化分解された金属シ
アン錯体含有シアン排水に、酸化促進剤を添加し、pH
をアルカリ側から酸性側へ段階的に下げながら、紫外線
照射を行い、これにより、該排水中に含まれる非鉄系の
金属シアン錯体を分解処理する。
【0027】この請求項2に係る本発明は、排水中に含
まれる鉄以外の金属シアン錯体を分解処理する方法であ
って、第一段階目の処理により遊離シアンが酸化分解さ
れた金属シアン錯体含有シアン排水に、第二段階目の処
理として、酸化促進剤を定量的に注入し、紫外線照射に
より排水中に含まれる鉄以外の金属シアン錯体を分解処
理する方法である。但し、請求項2に係る本発明におい
ては、紫外線照射を行う際に、pHをアルカリ側から酸
性側へ段階的に下げて行く必要がある。ここで、pH値
を段階的に下げない場合には、シアン化水素の発生のお
それがあり、安全衛生上極めて好ましくない。請求項2
に係る本発明では、このように酸化促進剤、及び必要に
応じて触媒の存在下、紫外線照射を行う際に、pHをア
ルカリ側から酸性側へ段階的に下げることにより、シア
ン化水素の発生のおそれが全くない。
【0028】pHをアルカリ側から酸性側へ段階的に下
げるにあたっては、通常、一定時間毎に、4〜5段階下
げていく手法が採られる。例えば、当初は前記したよう
に、pHは10.5程度とされているが、一定時間(例
えば1〜2時間)経過後、9.5程度まで下げ、次に一
定時間経過後、7.0程度まで下げ、さらに一定時間経
過後、6.0程度まで下げ、さらに一定時間経過後、
5.0程度まで下げ、さらに必要により、一定時間経過
後、4.0程度まで下げるなどの手法が採られる。どの
程度までpHを下げるかなどは、処理すべき排水中の金
属シアン錯体の濃度などを考慮して適宜決定すればよ
い。
【0029】請求項2に係る本発明において、紫外線の
照射は、通常、高圧紫外線ランプにより行われる。紫外
線の照射時間や照射量などは、処理すべき排水中の金属
シアン錯体の濃度などを考慮して適宜決定すればよい。
【0030】紫外線照射のための設備としては、例えば
図1に示すような、高圧紫外線ランプ14と紫外線処理
槽15が用いられる。高圧紫外線ランプ14としては、
通常、電気容量が2kW程度のものでは1〜4本程度、
若しくは12kW程度のものでは1本程度用いられる
が、これに制限されるものではない。この高圧紫外線ラ
ンプ14は、通常、紫外線処理槽15の内部に、該処理
槽1台につき1本程度の割合で、該処理槽の中心軸と同
軸をなして設置されている。
【0031】一方、紫外線処理槽15は、通常、前記高
圧紫外線ランプ14の中心軸と同軸をなすよう設置され
ている。該処理槽の直径は、紫外線処理が効果的に得ら
れる寸法とする。この紫外線処理槽15としては、その
内部を排水が乱流状態で流れるように、図1に示したよ
うに、入口と出口とを同一平面上に設置せず、入口から
入った排水が一旦槽内の壁に衝突した後、90度向きを
変え、槽内を移動し、この間に高圧紫外線ランプ14の
照射を受けながら、槽奥の壁に衝突したりしながら、入
口とは反対側に設置されている出口に流れるような構造
のものとすることが好ましい。また、紫外線処理槽15
内の流速が、10〜15m3/hとなるようにすること
が好ましい。
【0032】図1に示す装置によれば、第一段階の状態
で、高圧紫外線ランプ14を点灯し、この状態で酸化促
進剤と必要に応じて触媒を、それぞれ酸化促進剤貯槽1
6、触媒貯槽17から、酸化促進剤供給ポンプ20、触
媒供給ポンプ21により、定量的に注入混合し、第一段
階と同様の循環を一定時間繰り返す。この間、請求項2
に係る本発明においては、一定時間毎に排水のpHをア
ルカリ側から酸性側へ段階的に下げて行く。このような
操作を行うことにより、処理すべき排水について、排水
中に含まれる非鉄系の金属シアン錯体を分解処理するこ
とができる。
【0033】このときの金属シアン錯体含有シアン排水
の酸化プロセスは、次の通りである。 まず金属シアン錯体含有シアン排水中の遊離シアン
は、前記したように第一段階目の処理により、例えば次
のようにして、過酸化水素水により酸化分解される。 CN-+H2O2→CNO-+H2O
【0034】次に、第二段階目の処理に移ると、紫外
線(UV)照射により、次のようにして錯結合が分解さ
れる。 Me(CN)+UV照射→M++CN-
【0035】さらに、紫外線(UV)照射と過酸化水
素水の添加により発生するOH基により、次のように酸
化分解される。 UV照射+H2O2→2OH CN-+2OH→CNO-+H2O
【0036】ここで上記、の反応は、上記したよう
に、最終的にはアルカリ側から段階的に下げられた酸性
側の領域(酸性領域)で行われる。アルカリ側の領域
(アルカリ領域)で行われる場合には、水酸化鉄が沈澱
し、酸素の泡が発生してしまい、過酸化水素が無駄に消
費されてしまう。これに対して、請求項2に係る本発明
のように、酸性領域で行われる場合には、このような問
題が生じない。しかも、請求項2に係る本発明では、酸
化促進剤及び必要に応じて触媒の存在下、紫外線照射を
行う際に、pHをアルカリ側から酸性側へ段階的に下げ
ることにより、シアン化水素の発生のおそれが全くな
い。以上のようにして、繰り返し排水に紫外線(UV)
を照射することにより、毒性の高い金属シアン錯体含有
シアン排水が無毒のシアン酸まで分解され、本発明の目
的が達成される。
【0037】なお、以上の処理を施された排水は、手動
弁又は自動弁の切り替えにより、系外へ排出される。系
外への排出に際しては、必要に応じて、公知の排水処理
設備(金属の沈澱処理設備)による排水処理を併用する
こともできる。
【0038】次に、請求項3に係る本発明は、金属シア
ン錯体含有シアン排水の処理方法に関し、金属シアン錯
体含有シアン排水の処理方法において、該排水にpH7
以上の略一定値の下において触媒及び酸化促進剤を添加
し、該排水中に含まれる遊離シアンを酸化分解した後、
該処理により遊離シアンが酸化分解された金属シアン錯
体含有シアン排水について、pH7以上の略一定値の下
において、紫外線照射及びエアレーション酸化による酸
化分解を行うことにより、該排水中に含まれる鉄系の金
属シアン錯体を分解処理することを特徴とするものであ
る。
【0039】請求項3に係る本発明において、金属シア
ン錯体含有シアン排水にpH7以上の略一定値の下にお
いて触媒及び酸化促進剤を添加し、該排水中に含まれる
遊離シアンを酸化分解するところまで(第一段階目の処
理)は、触媒を必須とすること以外は、前記した請求項
1に係る本発明と基本的に同様である。従って、ここで
は、その後に行われる第二段階目の処理(排水中に含ま
れる遊離シアンを酸化分解した後、該処理により遊離シ
アンが酸化分解された金属シアン錯体含有シアン排水に
ついて、pH7以上の略一定値の下において、紫外線照
射及びエアレーション酸化による酸化分解を行うことに
より、該排水中に含まれる鉄系の金属シアン錯体を分解
処理すること)について述べる。
【0040】請求項3に係る本発明においては、第二段
階目の処理として、遊離シアンが酸化分解された金属シ
アン錯体含有シアン排水について、pH7以上の略一定
値の下において、紫外線照射及びエアレーション酸化に
よる酸化分解を行い、これにより、該排水中に含まれる
鉄系の金属シアン錯体を分解処理する。
【0041】この請求項3に係る本発明は、排水中に含
まれる鉄系の金属シアン錯体を分解処理する方法であっ
て、第一段階目の処理により、遊離シアンが酸化分解さ
れた金属シアン錯体含有シアン排水について、第二段階
目の処理として、pH7以上の略一定値の下において、
紫外線照射及びエアレーション酸化による酸化分解を行
い、これにより、該排水中に含まれる鉄系の金属シアン
錯体を分解処理する方法である。
【0042】請求項3に係る本発明における第二段階目
の処理の最大の特徴は、紫外線照射処理において酸化促
進剤(過酸化水素水)を使用しない点にある。その理由
は、酸化促進剤(過酸化水素水)を使用した場合、酸化
促進剤(過酸化水素水)が紫外線によりOHラジカルと
なっても鉄シアン錯体との反応が非常に緩慢であるため
水中に多量に残存し、紫外線を吸収して、紫外線照射に
よる鉄シアン錯体の解裂を阻害するためである。
【0043】請求項3に係る本発明における第二段階目
の処理においては、pHを7以上の略一定値、好ましく
はpHを10.0前後に保持する必要がある。ここでp
Hが7未満であると、ある種の染料が生成され、この染
料が紫外線を完全に吸収吸収紫外線照射による鉄シアン
錯体の解裂を阻害されてしまうからである。pHは、初
期においては9.5程度、最終段階において10.5程
度とされる。請求項3に係る本発明において、紫外線照
射により解裂した二価又は三価の鉄イオンは、エアレー
ションにより、水酸化鉄として濾過分離される。なお請
求項3に係る本発明において、紫外線の照射は、請求項
2に係る本発明と同様に、通常、高圧紫外線ランプによ
り行われる。紫外線の照射時間や照射量などは、処理す
べき排水中の金属シアン錯体の濃度などを考慮して適宜
決定すればよい。
【0044】図1に示す装置によれば、第一段階の状態
で、高圧紫外線ランプ14を点灯し、この状態でコンプ
レッサー24より、スタティック型混合器12、13直
前の配管中に高圧空気を連続注入し、エアレーション
(空気吹込み)を行う。高圧空気注入量は、二価の鉄イ
オンと等量か、それ以上の注入量とすべきである。前記
したように、この請求項3に係る本発明における第二段
階目の処理においては、触媒の注入は行われるものの、
酸化促進剤(過酸化水素水)の注入を行ってはいけな
い。
【0045】このような操作を行うことにより、処理す
べき排水について、排水中に含まれる鉄系の金属シアン
錯体を分解処理することができる。なお、以上の処理を
施された排水は、手動弁又は自動弁の切り替えにより、
系外へ排出される。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例について具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下の実験は。図1に示される金属シアン
錯体含有シアン排水処理装置を用いて行った。
【0047】実施例1(請求項1と請求項2に係る本発
明の実施) (1)実験用排水(原水)の作成 下記の条件で実験用排水を作成した。シアン化カリウム
(KCN)38.75g、シアン化銅(CuCN)29
g及び建浴水145.8gを水道水1Lに溶解させて得
られた溶液を、水道水にて25Lに希釈、攪拌し、得ら
れた溶液を実験用排水(原水)とした。この実験用排水
(原水)の全シアン(T−CN)濃度は950ppmで
あり、遊離シアン濃度は590ppmであった。
【0048】(2)第一段階目の処理(遊離シアンの分
解処理) 上記(1)で作成された実験用排水(原水)について、
図1に示される金属シアン錯体含有シアン排水処理装置
を用い、第一段階目の処理を行った。循環槽10として
は、直径が100mmのものを用い、実験水量は25L
であった。硫酸貯槽18から硫酸供給ポンプ22を介し
て、10倍に希釈した硫酸を循環槽10に送り、pH1
0に調整した。これに、酸化促進剤貯槽16から酸化促
進剤供給ポンプ20を介して、過酸化水素水215mL
を少量ずつ攪拌しながら60分間にて投入し、第一段階
目の処理、即ち遊離シアンの分解処理を行った。その結
果、第一段階目の処理後の実験用排水中の全シアン濃度
は280ppmであり、遊離シアン濃度は43ppmで
あった。
【0049】(3)第二段階目の処理(非鉄系の金属シ
アン錯体の分解処理) 上記(2)で得られた第一段階処理済排水について、引
き続き、図1に示される金属シアン錯体含有シアン排水
処理装置を用い、第二段階目の処理を行った。硫酸貯槽
18から硫酸供給ポンプ22を介して、10倍に希釈し
た硫酸を循環槽10に送り、pH7に調整した。容量2
kWの高圧紫外線ランプ14を点灯し、紫外線照射をス
タート(5分間)しつつ、酸化促進剤貯槽16から酸化
促進剤供給ポンプ20を介して、過酸化水素水30mL
を少量ずつ攪拌しながら5分間にて投入した。その結
果、該処理後の実験用排水中の全シアン濃度は160p
pmであり、遊離シアン濃度は16ppmであった。次
に、高圧紫外線ランプ14を一旦消灯した後、硫酸貯槽
18から硫酸送液ポンプ22を介して、10倍に希釈し
た硫酸を循環槽10に送り、pH5.5に調整した。し
かる後、紫外線照射を再タート(5分間)しながら、酸
化促進剤貯槽16から酸化促進剤供給ポンプ20を介し
て、過酸化水素水30mLを少量ずつ攪拌しながら5分
間にて投入した。その結果、該処理後の実験用排水中の
全シアン濃度は93ppmであり、遊離シアン濃度は1
2ppmであった。さらに、再度、高圧紫外線ランプ1
4を一旦消灯した後、硫酸貯槽18から硫酸供給ポンプ
22を介して、10倍に希釈した硫酸を循環槽10に送
り、pH3.5に調整した。しかる後、紫外線照射を再
タート(5分間)しながら、酸化促進剤貯槽16から酸
化促進剤供給ポンプ20を介して、過酸化水素水30m
Lを少量ずつ攪拌しながら5分間にて投入した。この第
二段階目の処理において、3段階にてpHをアルカリ側
から酸性側へ下げると共に、合計15分間紫外線の照射
を行った。また、過酸化水素水は合計で305mL使用
した。その結果、該処理後の実験用排水中の全シアン濃
度は0.88ppmとなり、1ppmを下回り、遊離シ
アン濃度は僅かに0.05ppmとなった。以上の操作
を経て、第二段階目の処理、即ち非鉄系の金属シアン錯
体の分解処理、に関する実験を終了した。
【0050】各段階における実験用排水中の全シアン濃
度と遊離シアン濃度を第1表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】第1表によれば、全シアン濃度が950p
pmと約1000ppmm近い排水について、請求項2
記載の処理を施すことにより、処理排水中の全シアン濃
度は目標値である1ppm未満をクリアーした0.88
ppmとなり、ほぼ完全に処理することができることが
分かる。
【0053】実施例2(請求項1と請求項2に係る本発
明の実施) (1)実験用排水の作成 下記の条件で実験用排水を作成した。メッキ工場からの
原水について、予め電動回収装置を用いて銀(Ag)を
回収した後の排水を実験用排水とした。この実験用排水
の全シアン(T−CN)濃度は23000ppmであ
り、遊離シアン濃度は22000ppmであった。原水
と電動回収装置処理後の実験用排水の全シアン濃度、遊
離シアン濃度、並びに目標値の全シアン濃度、遊離シア
ン濃度等を第2表に示す。
【0054】
【表2】第2表
【0055】(2)第一段階目の処理(遊離シアンの分
解処理) 上記(1)で作成された実験用排水について、図1に示
される金属シアン錯体含有シアン排水処理装置を用い、
第一段階目の処理を行った。循環槽10としては、直径
が100mmのものを用い、実験水量は25Lであっ
た。硫酸貯槽18から硫酸供給ポンプ22を介して、1
0倍に希釈した硫酸を循環槽10に送り、pH10.5
に調整した。次に、エアレーションを5NL/分で開始
し、これに、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤供給ポ
ンプ20を介して、過酸化水素水250mLを20分毎
に250mLずつ攪拌しながら合計80分間にわたり投
入し(合計投入量1000mL)、第一段階目の処理、
即ち遊離シアンの分解処理を行った。その結果、第一段
階目の処理後の実験用排水中の全シアン濃度は200p
pmであり、遊離シアン濃度は110ppmであった。
【0056】(3)第二段階目の処理(非鉄系の金属シ
アン錯体の分解処理) 上記(2)で得られた第一段階処理済排水について、引
き続き、図1に示される金属シアン錯体含有シアン排水
処理装置を用い、第二段階目の処理を行った。まずエア
レーションをストップし、次いで酸化促進剤貯槽16か
ら酸化促進剤送液ポンプ20を介して、過酸化水素水1
000mLを投入し、さらに硫酸貯槽18から硫酸送液
ポンプ22を介して、10倍に希釈した硫酸を循環槽1
0に送り、pH9に調整した。容量2kWの高圧紫外線
ランプ14を点灯し、紫外線照射を開始してから15分
後に、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤送液ポンプ2
0を介して、過酸化水素水200mLを少量ずつ攪拌し
ながら投入した。紫外線照射を開始してから30分後
に、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤送液ポンプ20
を介して、過酸化水素水150mLを少量ずつ攪拌しな
がら投入し、さらに硫酸貯槽18から硫酸送液ポンプ2
2を介して、10倍に希釈した硫酸を循環槽10に送
り、pH7に調整した。その結果、該処理後の実験用排
水中の全シアン濃度は7ppmであり、遊離シアン濃度
は0.13ppmであった。
【0057】次に、紫外線照射を開始してから37分後
に、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤送液ポンプ20
を介して、過酸化水素水150mLを少量ずつ攪拌しな
がら投入し、さらに、紫外線照射を開始してから45分
後に、同様にして過酸化水素水100mLを少量ずつ攪
拌しながら投入した。さらに、紫外線照射を開始してか
ら60分後に、硫酸貯槽18から硫酸送液ポンプ22を
介して、10倍に希釈した硫酸を循環槽10に送り、p
H4に調整した。その結果、該処理後の実験用排水中の
全シアン濃度は6.6ppmであり、遊離シアン濃度は
0.05ppmであった。
【0058】次いで、紫外線照射を開始してから70分
後に、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤送液ポンプ2
0を介して、過酸化水素水50mLを少量ずつ攪拌しな
がら?分間にて投入した。さらに、紫外線照射を開始し
てから90分後に、実験を終了した。その結果、該処理
後の実験用排水中の全シアン濃度は0.89ppmであ
り、遊離シアン濃度は0.05ppmであった。
【0059】この第二段階目の処理において、3段階に
てpHをアルカリ側から酸性側へ下げると共に、合計9
0分間紫外線の照射を行った。また、過酸化水素水は合
計で2150mL使用した。以上の操作を経て、第二段
階目の処理、即ち非鉄系の金属シアン錯体の分解処理、
に関する実験を終了した。
【0060】各段階における実験用排水中の全シアン濃
度と遊離シアン濃度を第3表に示す。なお、第一段階目
の処理の攪拌中には、過酸化水素水とシアンとの反応に
より温度が上昇した。攪拌後60分で水温が50℃を超
えた。また、攪拌中は、アンモニア臭がした。さらに、
pH7での処理の全工程とpH4(紫外線照射60−7
0分まで)の間は、アルカリ側にふれる傾向があった。
【0061】
【表3】第3表
【0062】第3表によれば、全シアン濃度が2300
0ppmと非常に高濃度であり、しかもCuを180p
pm含有する排水について、請求項2記載の処理を施す
ことにより、処理排水中の全シアン濃度は目標値である
1ppm未満をクリアーした0.89ppmとなり、ほ
ぼ完全に処理することができることが分かる。
【0063】実施例3(請求項1と請求項3に係る本発
明の実施) (1)実験用排水(原水)の作成 下記の条件で実験用排水を作成した。K3[Fe(C
N)6]57.42gとシアン化カリウム(KCN)
8.26gを水道水8Lに加え、良く攪拌して実験用排
水(原水)とした。この実験用排水(原水)の全シアン
(T−CN)濃度は980ppmであり、遊離シアン濃
度は413ppmであった。なお、目標値並びに排水基
準値は、いずれも全て1ppm未満である。
【0064】(2)第一段階目の処理(遊離シアンの分
解処理) 上記(1)で作成された実験用排水(原水)について、
図1に示される金属シアン錯体含有シアン排水処理装置
を用い、第一段階目の処理を行った。循環槽10として
は、直径が100mmのものを用い、実験水量は8Lで
あった。硫酸貯槽18から硫酸供給ポンプ22を介し
て、10倍に希釈した硫酸を循環槽10に送り、pH1
0.5に調整した。これに、酸化促進剤貯槽16から酸
化促進剤供給ポンプ20を介して、過酸化水素水40m
Lを少量ずつ攪拌しながら60分間にて投入し、また同
時に酸化触媒(銅化合物)を50ppm添加して、第一
段階目の処理、即ち遊離シアンの分解処理を行った。そ
の結果、第一段階目の処理後の実験用排水中の全シアン
濃度は622ppmであり、遊離シアン濃度は38pp
mであった。
【0065】(3)第二段階目の処理(鉄系の金属シア
ン錯体の分解処理) 上記(2)で得られた第一段階処理済排水について、引
き続き、図1に示される金属シアン錯体含有シアン排水
処理装置を用い、第二段階目の処理を行った。容量1k
Wの高圧紫外線ランプ14を点灯し、紫外線照射を開始
した。紫外線照射エネルギー量が40kWh/m3とな
る時点で、酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤供給ポン
プ20を介して、過酸化水素水40mLを少量ずつ攪拌
しながら投入した。次に、紫外線照射エネルギー量が8
0kWh/m3となる時点で、酸化促進剤貯槽16から
酸化促進剤供給ポンプ20を介して、過酸化水素水24
mLを少量ずつ攪拌しながら投入した。さらに、紫外線
照射エネルギー量が120kWh/m3となる時点で、
酸化促進剤貯槽16から酸化促進剤供給ポンプ20を介
して、過酸化水素水16mLを少量ずつ攪拌しながら投
入した。このようにして、合計の紫外線照射エネルギー
量が160kWh/m3となる時点において紫外線の照
射処理を終了した。この第二段階目の処理において、過
酸化水素水は合計で120mL(15mL/L−排水)
使用した。さらに、処理中において、常時、フィルター
25による濾過処理(砂濾過)を実施した。その結果、
シアン化鉄含有排水について、該処理後の実験用排水中
の全シアン濃度は0.5ppmとなり、1ppmを下回
り、遊離シアン濃度も0.5ppmとなった。以上の操
作を経て、第二段階目の処理、即ち鉄系の金属シアン錯
体の分解処理、に関する実験を終了した。
【0066】実験用排水(原水)、第一段階目の処理
後、並びに紫外線照射エネルギー量が20kWh/m3
から160kWh/m3となる時点までにおける実験用
排水中の全シアン濃度と遊離シアン濃度を第4表に示
す。なお、第一段階目の処理において過酸化水素水の添
加後直ぐに、排水の色は黄色から透明の変化した。ま
た、第二段階目の処理に入って、紫外線照射後数分で排
水の色は、黄色から茶色に変化し、濁り始めた。さら
に、紫外線照射直後から、pHは急激に酸性側に低下し
始めたので、NaOHを添加することで、pHを9.5−1
0.5の間に保った。
【0067】
【表4】第4表
【0068】第4表の結果によれば、シアン化鉄含有排
水について、本発明の方法により無毒化できることが分
かる。また、遊離シアンは、第二段階目の処理に入って
直ぐ、水温を35−40度に上昇させることにより、
0.5ppm未満に減少させることができた。なお、触
媒を添加しない場合には、紫外線照射エネルギーが16
0kWh/m3のエネルギーを与えても、全シアン濃度が
約200ppm残ってしまった。
【0069】実験例1 第5表に示す各種処理方法により、鉄シアン錯体含有シ
アン排水と銅シアン錯体含有シアン排水とについて、そ
れぞれ排水処理を行った結果を第5表に示す。
【0070】
【表5】第5表
【0071】第5表の結果によれば、シアン錯体を完全
に分解できる方法は、本発明による方法と、煮詰高温燃
焼法のみであることが分かる。そこで、次に、銅シアン
錯体含有シアン排水(処理前全シアン濃度:20000
mg/L、Cu濃度:3000mg/L、処理後全シア
ン濃度:1mg/L以下、処理量:300L/24h
r)について、本発明による方法と、煮詰高温燃焼法と
で、導入費及び運転費の比較を行ってみた。結果を第6
表に示す。
【0072】
【表6】第6表
【0073】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によれば、金属シ
アン錯体含有シアン排水中に含まれる遊離シアンを完全
に、しかも比較的安価に分解処理することができる。ま
た、請求項2に係る本発明によれば、金属シアン錯体含
有シアン排水中に含まれる非鉄系の金属シアン錯体を、
完全に、しかも比較的安価に分解処理することができ
る。さらに、請求項3に係る本発明によれば、金属シア
ン錯体含有シアン排水中に含まれる鉄系の金属シアン錯
体を、完全に、しかも比較的安価に分解処理することが
できる。従って、請求項2、3に係る本発明によれば、
金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる全ての金属
シアン錯体を、完全に、しかも比較的安価に分解処理す
ることができる。これまで高温加熱分解法以外に、あら
ゆる金属シアン錯体含有排水を処理できる方法が存在し
なかった中で、本発明により、高温加熱分解法によるこ
となく、該排水を処理することができるようになった。
これにより、高温加熱分解法を導入する際に必要とされ
るイニシアルコストやランニングコストが不要となり、
大幅なコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の実施に好適な金属シアン錯体
含有シアン排水処理装置の1態様を示す説明図である。
【符号の説明】
10 循環槽 11 循環ポンプ 12 スタティック型混合器 13 スタティック型混合器 14 高圧紫外線ランプ 15 紫外線処理槽 16 酸化促進剤貯槽 17 触媒貯槽 18 硫酸貯槽 19 苛性ソーダ貯槽 20 酸化促進剤供給ポンプ 21 触媒供給ポンプ 22 硫酸供給ポンプ 23 苛性ソーダ供給ポンプ 24 コンプレッサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィルフリート ヴェルツ ドイツ連邦共和国 マンハイム デー・ 68159 ハー4,3 ウルトラ テック ゲーヴェーエル内 (72)発明者 小谷 秀人 東京都中央区東日本橋2丁目15番5号 サ ーマトロニクス貿易株式会社内 Fターム(参考) 4D037 AA14 AB12 BA18 BB01 BB02 BB05 BB06 BB09 CA02 CA08 CA11 CA12 CA14 4D038 AA08 AB32 AB33 AB66 AB68 AB79 BA02 BA04 BA06 BB01 BB07 BB13 BB16 BB17 BB18 4D050 AA13 AB05 AB38 AB39 AB55 AB57 BB01 BB09 BC01 BC06 BC09 BC10 BD02 BD03 BD06 BD08 CA07 CA13 CA15 CA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属シアン錯体含有シアン排水中に含ま
    れる遊離シアンの分解処理方法において、該排水にpH
    7以上の略一定値の下において酸化促進剤を添加し、該
    排水中に含まれる遊離シアンを酸化分解することを特徴
    とする、金属シアン錯体含有シアン排水中に含まれる遊
    離シアンの分解処理方法。
  2. 【請求項2】 金属シアン錯体含有シアン排水の処理方
    法において、該排水にpH7以上の略一定値の下におい
    て酸化促進剤を添加し、該排水中に含まれる遊離シアン
    を酸化分解した後、該処理により遊離シアンが酸化分解
    された金属シアン錯体含有シアン排水に、酸化促進剤を
    添加し、pHをアルカリ側から酸性側へ段階的に下げな
    がら、紫外線照射することにより、該排水中に含まれる
    非鉄系の金属シアン錯体を分解処理することを特徴とす
    る、金属シアン錯体含有シアン排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 金属シアン錯体含有シアン排水の処理方
    法において、該排水にpH7以上の略一定値の下におい
    て触媒及び酸化促進剤を添加し、該排水中に含まれる遊
    離シアンを酸化分解した後、該処理により遊離シアンが
    酸化分解された金属シアン錯体含有シアン排水につい
    て、pH7以上の略一定値の下において、紫外線照射及
    びエアレーション酸化による酸化分解を行うことによ
    り、該排水中に含まれる鉄系の金属シアン錯体を分解処
    理することを特徴とする、金属シアン錯体含有シアン排
    水の処理方法。
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