JP2014030803A - 硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便でかつ低コストの硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法、特に、井水や地下水を対象とする硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法を提供する。
【解決手段】還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射して被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元する。強度の高い紫外線を照射する手段として、出力の高い水銀ランプを使用するとともに、照射源からの距離を短くする(例えば、反応容器の容量を小さくする)ことが望ましい。還元剤としてメタノールまたはエタノールを使用すること、メタノールに過酸化水素を共存させることが望ましい。過酸化水素により余剰メタノール等を分解し、硝酸態窒素および亜硝酸態窒素の濃度を低減させつつ、TOCも低減させ得るからである。
【選択図】なし

Description

本発明は、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法に関し、特に、井(井戸)水や地下水に含まれる硝酸イオンや亜硝酸イオンを除去し、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水として利用することを可能にする硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法に関する。
清浄な井水や地下水は、カルシウムその他のミネラル成分を適度に含み、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料等の原水として好適である。しかし、井水や地下水中には地表に散布された化学肥料(硝酸アンモニウムなど)や放牧されている牛などの排泄物に起因してアンモニア態窒素、それが酸化されて生じた亜硝酸態窒素などが含まれることがある。これらの窒素は時間を経るに伴い酸化されるため、亜硝酸態窒素、さらには安定な硝酸態窒素の形態で存在する場合が多い。なお、前記の「アンモニア態窒素」、「亜硝酸態窒素」、「硝酸態窒素」とは、NH4 +の形態で存在する窒素、NO2 -の形態で存在する窒素、NO3 -の形態で存在する窒素である。
亜硝酸イオンは、人体内に大量に取り込まれると血液中のヘモグロビンと結合して酸素運搬能力のないメトヘモグロビンを生成する。また、胃の内容物と反応して発癌性物質であるN−ニトロソ化合物を生じさせる。硝酸イオンを大量に取り込んだ場合も、体内に生息する微生物によって硝酸イオンが亜硝酸イオンに変化するため、同様のことが起こる。そのため、水道法に基づく水質基準として、「硝酸態窒素および亜硝酸態窒素」について10mg/L(リットル)以下(≒10ppm以下)と定められている。
用水や排水中に存在する硝酸態窒素や亜硝酸態窒素の濃度を下げる方法として、生物学的処理法や陰イオン交換膜を用いる方法が知られている。しかし、生物学的処理法では、大量の水を処理する場合広大な敷地が必要になり、敷地が限られているところでは使えない。また、陰イオン交換膜を用いる方法では、使用するごとに陰イオン交換膜を食塩水などで再生する必要があり、連続的な処理は困難である。
これに対し、紫外線を照射することにより、硝酸イオンや亜硝酸イオンを還元する処理方法が報告されている。例えば、非特許文献1によると、紫外線照射用の高圧水銀ランプを用い、比較的高濃度の硝酸イオンが含まれる排水を対象として、実験室レベルで、硝酸イオンを亜硝酸イオンに分解することに成功している。この場合、排水のpHを11以上に調整している。
また、非特許文献2には、工場排水のモデル溶液(硝酸アンモニウム溶液、硝酸ナトリウム溶液)を対象とし、これにEDTA、グリシン、グリコール酸などの添加剤を加え、出力400Wの高圧水銀ランプから紫外線を照射して、硝酸イオンを亜硝酸イオンに分解し、生成した亜硝酸イオンをアンモニアまたは窒素に分解して除去する窒素成分低減法が記載されている。
しかし、非特許文献1に記載される方法では、排水のpHを11以上に調整する必要があり、また、生成した亜硝酸イオンの還元にはアミド硫酸を用いており、実用化にはコストがかかりすぎる。また、非特許文献2に記載の方法によると、添加剤を加えることにより、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの分解に加え、亜硝酸イオンのアンモニアまたは窒素への分解も生じているが、アンモニアを除去するためにはpHを高くする必要があるなど、実用化に際しては課題がある。しかも、これら非特許文献に記載される方法は、いずれも硝酸イオンの含有量が比較的高い工場排水などの排水を対象とした処理方法であり、本発明で特に対象とする井水や地下水に含まれる微量の硝酸イオンや亜硝酸イオンの除去には適用できない。
小坂幸夫、永嶋茂、長谷川明良「紫外線照射−アミド硫酸添加法による排水中の窒素成分処理の制御法」東京都立産業技術研究所研究報告,第6号(2003)p.31〜34 矢野良子、伊藤沙希、田中晋「紫外線照射法による工業排水中の窒素成分低減法の検討」水環境学会誌 Jarnal of Japan Sciety on WaterEnvironment Vol.30,No.11,pp.661〜664(2007)
本発明は、このような情況に鑑みてなされたもので、簡便でかつ低コストの硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法、特に、硝酸イオンや亜硝酸イオンが含まれる井水や地下水を対象として処理し、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水としての利用を可能にする硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法を提供することを目的としている。
本発明者は、塩素や次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤の存在下で紫外線を照射することにより、亜硝酸態窒素を容易に分解除去できることを確認している。
そこで、亜硝酸イオンを酸化剤としてとらえれば、還元剤を添加し、紫外線を照射してその作用を増大させることにより、亜硝酸イオンを還元・分解できるのではないかと考えた。一方、硝酸態窒素は、還元剤としてギ酸またはリンゴ酸を加え、紫外線を照射することにより、酸化分解が可能な一酸化窒素(NO)に転換させ得ることを確認している。
また、紫外線の強度(UV照度)を高めることが有効であると考えられることから、出力の高い高圧水銀ランプを使用して、しかもランプに近いところで反応を行わせることとした。ランプに近いほど強度の高い紫外線を照射できるからである。
還元剤としては、種々試みた結果、メタノールが好適であると考えられた。メタノールは反応により分解して最終的には炭酸ガスと水になるので、処理後の水を飲料水として利用する場合を考慮すると、メタノールの使用が望ましいからである。また、類似の物質として、食品にも使用されるエタノールについても検討した。
このような着想のもとに、還元剤の存在下において紫外線照射実験を行った結果、後に詳述するように、還元剤としてメタノールを使用することにより硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを極めて短時間のうちに分解除去できることを見出した。また、エタノールでも硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを低減させることに成功した。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたもので、下記の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法を要旨とする。
すなわち、還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射して被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元することを特徴とする硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法である。
ここで、「被処理水」とは、硝酸イオンや亜硝酸イオンが含まれる水である。特に、処理後に、飲料水、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水としての利用に供される井水や地下水である。
また、「強度の高い紫外線」とは、還元剤の存在下で、硝酸イオンと亜硝酸イオンを実質的に分解できる(言い換えれば、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法として実際に適用できる)程度のエネルギーを還元剤と硝酸イオンや亜硝酸イオンに付与し得る強度をもった紫外線であることを意味する。なお、これについては後に詳述する。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法において、前記強度の高い紫外線を照射する手段としては、出力の高い水銀ランプを使用するとともに、照射源からの距離を短くする実施の形態を採ることが望ましい。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法においては、前記還元剤としてメタノールまたはエタノールを使用することが望ましい。その場合のメタノールの含有量は、被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量(モル量)の2倍以上、エタノールの含有量は、被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量(モル量)の等倍以上とすれば、還元・分解反応をすみやかに進行させることができる。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法においては、前記メタノールに過酸化水素を共存させることとすれば、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを低減させると同時に、TOC(全有機炭素)も低減することができる。その場合の過酸化水素の含有量は、TOCの分解に必要な量とすることが望ましい。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法によれば、被処理水中に含まれるこれらのイオンを、簡便にかつ低コストで処理することができる。特に、井水や地下水に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを処理して、飲料水、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水を得ることができる。
紫外線の照射実験に用いた実験装置の反応容器(内容積:740mL)の概略構成を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 紫外線の照射実験に用いた実験装置の反応容器(内容積:3.6L)の概略構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。 高圧ランプからの距離とその地点における紫外線の強度(UV照度)の関係を示す図である。 図3での距離と紫外線強度に対しての紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 メタノール添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 エタノール添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 pHを変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 メタノールを用いた場合に、過酸化水素の添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 エタノールを用いた場合に、過酸化水素の添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。 エタノールによる還元と過酸化水素によるTOC分解を分けた場合の紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図で、(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示す。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法は、前記のとおり、還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射して被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元する方法である。
還元剤は、本発明の還元・分解方法において必須である。後述する実施例に示すように、還元剤(メタノールまたはエタノールを使用)を添加しない場合、強度の高い紫外線を照射することによって、硝酸イオンは亜硝酸イオンに分解されるが、亜硝酸イオンはほとんど還元・分解されない(図5参照)。
還元剤としては、メタノール、エタノールあるいは水素などが使用できる。なかでも、メタノールは、反応により分解して最終的には炭酸ガスと水になるので、処理後の水を飲料水として利用することを考慮すると、メタノールの使用が望ましい。また、反応により消費されなかったメタノールはTOCとして残存することになるが、メタノールは分子が小さいので、TOCを最小限に抑えることができ、その処理が容易である。また、類似の物質として、食品にも使用されるエタノールについても検討したが、エタノールも使用が可能であることを確認した。
還元剤の添加量は特に規定しない。通常は、被処理液中の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量に応じて、理論的に必要な量(モル量)以上、例えば理論量の1.5倍、あるいは2倍程度を添加し、過度に添加されることはないからである。
本発明の還元・分解方法では、還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射することが必要である。「強度の高い紫外線」とは、前記のように、硝酸イオンと亜硝酸イオンを実質的に分解できる程度のエネルギーを還元剤と硝酸イオンや亜硝酸イオンに付与できる強度をもった紫外線を意味する。すなわち、紫外線を照射することにより還元剤の作用を促進させ、還元されにくい亜硝酸イオンを還元して、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法として実際に適用できる程度のエネルギーを還元剤と硝酸イオンや亜硝酸イオンに付与することが可能な強度をもった紫外線である。
例えば、出力の低い水銀ランプを使用し、通常使用される容量の大きい反応容器内の被処理液に紫外線を照射した場合、同ランプ(照射源)のすぐ近くではUV照度は極めて高く、硝酸イオンと亜硝酸イオンの分解の反応速度は大きい。しかし、光源から遠ざかるにつれて光エネルギー供給量が急激に小さくなるので、容器内全体の硝酸イオンと亜硝酸イオンの還元・分解の反応速度は極めて小さく、硝酸イオンと亜硝酸イオンを実質的に還元・分解できる程度のエネルギーを還元剤と硝酸イオンや亜硝酸イオンに付与できる強度の高い紫外線を照射することはできない。
還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射することができれば、後述する実施例に示すように、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元・分解することができる。
紫外線を照射するためのランプ(紫外線ランプ)としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプFe、メタルハライドランプGaなどが使用できる。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法においては、前記照射強度の高い紫外線を照射するための手段として、出力の高い水銀ランプを使用するとともに、照射源からの距離を短くすることが望ましい。
出力の高い水銀ランプとして、例えば後述する実施例では、出力1.5kWの高圧水銀ランプを使用しているが、これに限らず、前記各種の水銀ランプを使用してもよい。
また、照射源からの距離を短くするための具体的な方法としては、例えば以下に述べるように、紫外線が被処理水中を透過する距離(照射距離)ができるだけ短くなるような形状の反応容器を使用することが望ましい。
図1は、後述する実施例で紫外線を照射する際に用いた実験装置(以下、「実験装置(1)」と記す)の反応容器(内容積:740mL)の概略構成を示す図である。同図の(a)は反応容器の斜視図を、(b)は正面図を、(c)は側面図を表す。図1に示すように、反応容器1aは内径85mm、長さ200mmで、その軸心部分に外径50mmの石英ジャケット2aが取り付けられている。この石英ジャケット2a内には、反応容器内の被処理水に紫外線を照射するための水銀ランプが配設される。実施例では、出力1.5kW、内径25mmの高圧水銀ランプ(以下、「高圧ランプ」または単に「ランプ」ともいう)を使用した。
図2は、同じく紫外線を照射する際に用いた実験装置(以下、「実験装置(2)」と記す)の反応容器(内容積:3.6L)の概略構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。反応容器1bの内径が159mmと大きく、その軸心部分を貫通する石英ジャケット2bの外径が40mmである点を除き、図1に示した反応容器と同じ構成を有している。
また、図3は、実施例で用いた高圧水銀ランプからの距離とその地点における紫外線の強度(UV照度)の関係を示す図である。ランプの出力を1.5kW(波長:254nm)として算出されるUV照度(理論照度)をランプからの距離に対してプロットした図である。
反応容器の容量が小さい実験装置(1)では、高圧ランプからの最遠距離(すなわち、ランプの内径に相当する部位から反応容器の内面までの距離)は30mm〔(85mm/2)−(25mm/2)〕である。一方、実験装置(2)では、高圧ランプからの最遠距離は67mm〔(159mm/2)−(25mm/2)〕となる。図3に示した理論照度のグラフによれば、それら最遠距離に相当する地点における波長254nmのUV照度は、30mmでおおよそ850mW/cm2、67mmでおおよそ170mW/cm2となる。
図3に示したように、光エネルギーを利用する反応では、光源から遠ざかるにつれてエネルギー供給量が急激に小さくなるので、反応容器の容量が小さい実験装置(1)を用いる場合の方が容器内の被処理水全体に照射強度の高い紫外線を照射することができる。
このように、出力の高いランプを用い、かつ、反応容器の容量を小さくすることにより紫外線の強度を高めることができ、還元剤の作用を著しく促進させ、被処理水中の硝酸イオンだけではなく、亜硝酸イオンも還元除去することが可能となる。
照射する紫外線の強度については特に限定しない。硝酸イオンと亜硝酸イオンを実質的に還元・分解できる最低限度のエネルギーを還元剤と硝酸イオンや亜硝酸イオンに付与できる紫外線強度が下限となり、上限は、水銀ランプ、反応容器の形状など、装置上の制約により自ずと定まるからである。また、被処理水の水質(混在物、濁度、色度等)によって紫外線の透過度が異なり、同じ強度の紫外線であってもその効果が変わるからである。
照射する紫外線の波長についても特に限定しない。波長が185nm、254nm、365nmなどの紫外線が使用できるが、200nm〜300nm付近の波長が特に優れた作用効果を発揮する。したがって、実際には、254nmの波長の紫外線を主に使用し、使用するランプの種類など、場合によっては365nmの波長の紫外線を使用することになる。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法においては、還元剤としてメタノールまたはエタノールを使用することが望ましい。その場合のメタノールの含有量は、被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量(モル量)の2倍以上、還元剤としてエタノールを用いる場合は、エタノールの含有量は、被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量(モル量)の等倍以上とすることが望ましい。
後述する実施例に示すように、メタノール添加量を反応前の硝酸イオンの2倍のモル量とした場合は、還元反応をすみやかに進行させることができるが、メタノール添加量をその半分(反応前の硝酸イオンの1倍、すなわち等モル量)にした場合、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの処理に長時間を要した。これは、メタノールの濃度の減少に伴い反応速度が低下したことによるものと推察される(図5参照)。
メタノールまたはエタノールの含有量の望ましい上限は特に限定しない。メタノール添加量を反応前の硝酸イオンの2倍のモル量とした場合や、エタノール添加量を反応前の硝酸イオンの等倍のモル量とした場合でも、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンは4〜8分程度でほとんどが還元除去されており、更に添加量を増やしても効果の増大幅は小さく、逆に余剰のメタノールやエタノールによりTOC(全有機炭素)が増大するので、上限は自ずと定まるからである。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法では、前記のように、還元剤としてのメタノールに過酸化水素を共存させることとすれば、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを低減させると同時に、TOCも低減することができ、望ましい。
本発明を実施するに際し、メタノール添加量を硝酸イオンの2倍のモル量とした場合、還元反応をすみやかに進行させることができるが、後述する実施例に示すように、還元・分解後の処理水中には余剰のメタノールが残存している。そのため、TOCが増えることとなり、水道法に基づく水質基準(3mg/L以下)を超える場合も起こり得る。
このような場合、メタノールと一緒に過酸化水素を添加すれば、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンをメタノールにより還元するとともに、残余のメタノールを過酸化水素により酸化分解してTOCを低減することができる。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法では、前記のように、メタノールに共存させる過酸化水素の含有量を、被処理水中に含まれるTOCの分解に必要な量とすることが望ましい。
これにより、後述する実施例に示すように、硝酸態窒素および亜硝酸態窒素の濃度を低減させつつ、メタノールを分解し、TOCを低減させることが可能になる(図8、表6参照)。
以上説明した本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法によれば、還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射することにより、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元・分解することができる。さらに、還元剤とともに過酸化水素を適正量添加することにより、余剰の還元剤を分解してTOCも低減させることができる。
この還元・分解方法は、プロセスが基本的には還元工程のみで簡素であり、反応容器が小さく、装置全体をコンパクトにできるので、低コストで実施することができる。
(実施例1)
前記図1に示した実験装置(1)の反応容器1a内に硝酸態窒素濃度が11.4ppmの硝酸カリウム水溶液740mLとメタノール48.8μL(硝酸イオンの2倍のモル量)の混合溶液を注入し、出力1.5kWの高圧水銀ランプを反応容器1aの石英ジャケット2a内に挿入し、2分の予備点灯の後、本点灯して還元反応を行わせた(本発明例1)。
前記図2に示した実験装置(2)の反応容器1b内には前記濃度の硝酸カリウム水溶液3.6Lとメタノール237μL(同じく、硝酸イオンの2倍のモル量)の混合溶液を注入し、以下同様に、還元反応を行わせた(本発明例2)。なお、ランプ点灯中は被処理液の温度が上昇するので、反応容器1a、1bを水槽内に固定し、水槽に水道水を送通させて反応容器を冷却した。
実験装置(1)の反応容器内の被処理液は、実験装置(2)の反応容器内の被処理液に比べて、紫外線の照射源からの平均距離が短いので、被処理液全体がより強度の高い紫外線を受けることになる。
表1に、実験結果を示す。表1の「ランプ強度」とは、高圧水銀ランプから照射される紫外線の強度(UV照度)であり、前記図3に示した理論照度のグラフから求めたランプから最遠距離に相当する地点における照度を示している。また、「測定項目」の欄の「NO3−N」は硝酸態窒素を、「NO2−N」は亜硝酸態窒素を意味する。
Figure 2014030803
図4は、表1に示した実験結果を図示したものであり、前記図3での距離と紫外線強度に対しての紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表1および図4から明らかなように、実験装置(1)、(2)のいずれを用いた場合でも、硝酸態窒素濃度は実験開始直後の11.4ppmから最終的には0.2ppm未満まで低下している。また、硝酸態窒素の還元により亜硝酸態窒素が生成するので、亜硝酸態窒素濃度は、実験開始直後の0.005ppm未満から若干増大するが(表1参照)、最終的には0.005ppmまで低下する。すなわち、メタノールを還元剤として使用し、強度の強い紫外線を照射することにより、硝酸態窒素だけではなく、亜硝酸態窒素も還元することができる。
一方、還元の速度(すなわち、反応速度)は、実験装置(1)を用いた場合(本発明例1)、実験装置(2)を用いた場合(本発明例2)に比べて格段に速かった。これは、実験装置(1)を用いた場合の方が照射源から容器内の被処理水までの距離が短く、被処理水に照射される紫外線の強度が強かったことによるものである。
前述の紫外線照射実験から明らかなように、実験装置(1)、(2)のいずれを用いた場合も、還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射することにより、被処理水中の硝酸イオンだけではなく、亜硝酸イオンも還元除去することができる。このうちの実験装置(1)を用いた場合は、出力の高い水銀ランプを使用するとともに、反応容器の容量を小さくすることにより被処理水に照射される紫外線の強度を高めて還元剤の作用を著しく増大させた本発明の好適な例の一つである。
(実施例2)
反応速度が格段に速かった実験装置(1)を用いて、メタノールの添加量と還元力の関係を調査した。具体的には、実験装置(1)の反応容器に注入する硝酸カリウム水溶液とメタノールの混合溶液中のメタノール添加量を、前記実施例1(本発明例1)の場合の半分の24.4μL(硝酸イオンの1倍のモル量、すなわち硝酸イオンと等モル量)とし、その他の条件は同じにして紫外線照射実験を行った(表2の本発明例3)。なお、比較のために、メタノールを添加しない場合(表2の比較例1)についても同様に照射実験を行った。
表2に、実験結果を示す。なお、表2には、比較の便宜上、本発明例1の結果を併記している。
Figure 2014030803
図5は、表2に示した実験結果を図示したものであり、メタノール添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表2および図5から明らかなように、メタノール添加量を硝酸イオンの2倍のモル量(48.8μL)とした場合は、還元反応をすみやかに進行させることができるが、メタノール添加量をその半分(硝酸イオンと等モル量:24.4μL)にした場合(本発明例3)、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの処理に長時間を要した。これは、メタノールの濃度の減少に伴い反応速度が低下したことによるものと推察される。
エタノールに関しても同様の実験を行った。まず、メタノールで良好な結果が得られた硝酸イオンの2倍のモル量に相当する、95%エタノール72.0μLを添加して紫外線照射実験を行った。さらに、95%エタノール54.0μL(硝酸イオンの1.5倍のモル量)、36.0μL(硝酸イオンの1倍のモル量)および18.0μL(硝酸イオンの0.5倍のモル量)を添加した場合についても、同様な反応が得られるかどうか実験を行った。
表3に、実験結果を示す。
Figure 2014030803
図6は、表3に示した実験結果を図示したものであり、エタノール添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表3および図6から明らかなように、エタノール添加量を少なくしていくと反応性が低くなった。原因はエタノール濃度が減少したことによる反応性の低下が考えられる。しかし、95%エタノールの添加量が36.0μL(硝酸イオンの1倍のモル量)以上であれば、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを分解することが可能であった(本発明例4〜6)。
メタノールよりエタノールの方が反応性がよかったのは、エタノールやその酸化物がメタノールのそれよりも揮発性が低く、溶液中に留まってさらに反応したことによるものと考えられる。
還元材を添加しない場合は、例えば前記の表2(比較例1)および図5に示したように、硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元することはできたが、硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度は実験開始前とほとんど変わらなかった。これにより、還元剤は亜硝酸態窒素濃度を低下させるために必須であることがわかる。
(実施例3)
同じく実験装置(1)を用いて、被処理水のpHと還元力の関係を調査した。具体的には、実験装置(1)の反応容器に硝酸態窒素濃度が11.4ppmの硝酸カリウム水溶液740mLとメタノール48.8μL(硝酸イオンの2倍のモル量)の混合溶液を注入した後、水酸化ナトリウムを用いてpHを11に調整し、その他の条件は実施例1の場合と同じにして紫外線照射実験を行った(表4の本発明例7)。
表4に、実験結果を示す。なお、表4には、比較の便宜上、本発明例1の結果を併記している。
Figure 2014030803
図7は、表4に示した実験結果を図示したものであり、pHを変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表4および図7から明らかなように、被処理液のpHを調整してもしなくても照射時間に対する硝酸態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度の変化にほとんど違いはなかった。前掲の非特許文献1では、硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元をpH11以上で行う必要があるとしているが、紫外線の強度を高くすれば、pHの違いによる還元力の差はなくなることが判明した。なお、表4に示した本発明例7を除き、紫外線照射実験はすべて被処理液のpHを調整せずに行った。
(実施例4)
前記実施例1に示した本発明例1の紫外線照射実験では、メタノールを48.8μL(硝酸イオンの2倍のモル量)添加しており、余剰のメタノールによりTOCが増大していると推測されるので、このときのTOCの経時変化を測定した。表5にその結果を示す。
Figure 2014030803
表5に示したように、TOCは水道水質基準値(3mg/L以下≒3ppm以下)を超えている。
そこで、過酸化水素と紫外線照射によるTOCの分解について調査した。具体的には、硝酸カリウム水溶液740mLに、
メタノール48.8μL(硝酸イオンの2倍のモル量)および
35%過酸化水素79.8μL(硝酸イオンの1.5倍のモル量)を添加した場合
・・・(表6の本発明例8)、
メタノール48.8μL(硝酸イオンの2倍のモル量)および
35%過酸化水素160μL(硝酸イオンの3倍のモル量)を添加した場合
・・・(同比較例3)、
メタノール24.4μL(硝酸イオンの1倍のモル量)および
35%過酸化水素79.8μL(硝酸イオンの1.5倍のモル量)を添加した場合
・・・(同比較例4)、
の3とおりについて調査した。なお、35%過酸化水素の量は、還元剤とした場合に、硝酸イオンを一酸化窒素に還元するのに必要な量(79.8μL、硝酸イオンの1.5倍のモル量)を基準としている。
表6に、その結果を示す。
Figure 2014030803
図8は、表6に示した実験結果を図示したもので、過酸化水素の添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表6および図8に示したように、メタノール48.8μLと35%過酸化水素79.8μLを加えたとき(本発明例8)、硝酸態窒素濃度、および硝酸態窒素と亜硝酸態窒素の合計濃度のいずれについても最もよく低減することができた。また、反応後の過酸化水素濃度に関しても残留濃度が最初の添加量の99%以上が消費されており、過酸化水素処理で問題となる残留する過酸化水素の問題はクリアされると考えられる。
前記本発明の望ましい実施形態における、被処理水中に含まれるTOCの分解に必要な過酸化水素の含有量とは、この場合、79.8μL(硝酸イオンの1.5倍のモル量)となる。このTOCの分解に必要な過酸化水素の含有量は、前記のように、硝酸イオンを一酸化窒素に還元するのに必要な量(79.8μL、硝酸イオンの1.5倍のモル量)を基準とし、被処理水の水質、添加するメタノール量等に応じてあらかじめ予備的な実験を行い、定めることになる。
更なるTOCの分解を期待して35%過酸化水素を160μL加えた場合は(比較例3)、硝酸態窒素濃度、および硝酸態窒素と亜硝酸態窒素の合計濃度のいずれも十分に低減できなかった。これは過酸化水素がメタノールを酸化しすぎて還元力が下がったり、亜硝酸イオンを酸化して硝酸イオンに戻したりしたことによるものと考えられる。
過酸化水素の還元剤としての役割を期待してメタノール24.4μLと35%過酸化水素79.8μLを加えた場合は(比較例4)、照射時間15分以降、硝酸イオン、亜硝酸イオンがかなり残留したまま変化しなくなった。これは過酸化水素が酸化剤として働き、メタノールが分解したことによるものと考えられる。
メタノール48.8μLと35%過酸化水素79.8μLを加えたときの条件(本発明例8)での結果が良好だったので、TOCとメタノール濃度の経時変化を測定した。
表7に、その結果を示す。
Figure 2014030803
表7から、時間の経過に伴い、TOCとメタノール濃度が低下していることがわかった。系内では過酸化水素による余剰メタノールと還元反応で生成した物質の分解が行われており、一部は二酸化炭素になっていると考えられる。これにより硝酸態窒素および亜硝酸態窒素の濃度を低減させつつ、メタノールを分解し、TOCを低減させ得ることが確認できた。
次に、還元剤としてエタノールを用いた場合について実験を行った。
実験装置(1)を用い、pHを調節せずにエタノール36.0μL(硝酸イオンの等倍のモル量)を添加して行った実験では余剰エタノールによりTOCが増大していると推測される。そこで、このときのTOCとエタノール濃度を測定した。その結果、表8に示すようにTOCの増大が認められた。
Figure 2014030803
そこで、さらにTOCを低減できるかどうか、以下の実験を行った。
すなわち、硝酸カリウム水溶液740mLに、
エタノール36.0μLと、過酸化水素107μL(硝酸イオンの2倍のモル量)を
添加した場合、
エタノール36.0μLと、過酸化水素79.8μL(硝酸イオンの1.5倍のモル
量)を添加した場合、
エタノール36.0μLと、過酸化水素53.2μL(硝酸イオンの1倍のモル量)
を添加した場合、
または、エタノール36.0μLと、過酸化水素26.6μL(硝酸イオンの0.5
倍のモル量)を添加した場合について、
3分後、および7.5分後の濃度変化を測定した。
表9に、測定結果を示す
Figure 2014030803
図9は、表9に示した実験結果を図示したもので、過酸化水素の添加量を変化させたときの紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表9および図9に示したように、メタノールを用いた場合(表6、図8参照)とは異なり、亜硝酸態窒素濃度が低い状態に抑えることができなかった。理由は、エタノールの酸化物がメタノールのそれより還元力が強くないことによるものと思われる。
そこで、いったんエタノールで硝酸態窒素と亜硝酸態窒素を還元してから、過酸化水素でTOCを低減することを試みた。具体的には、実験装置(1)の反応容器内に硝酸態窒素濃度が11.4ppmの硝酸カリウム水溶液740mLと95%エタノール36.0μLの混合溶液を注入し、2分の予備点灯の後、本点灯してから還元反応を行わせた(還元時間は7.5分とした)。その後、いったん反応容器を取り出し、そのうちの730mLに35%過酸化水素105μLまたは52.5μLを加えてTOCの分解の程度を調査した。
表10に、測定結果を示す。この結果から明らかなように、亜硝酸態窒素濃度を低い状態に抑えることができなかった。
Figure 2014030803
図10は、表10に示した実験結果を図示したもので、エタノールによる還元と過酸化水素によるTOC分解を分けて実施した場合の紫外線照射時間の経過に伴う被処理液の窒素濃度の変化を示す図である。同図(a)は硝酸態窒素濃度の変化を、(b)は硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度を合わせた濃度の変化を示している。
表10および図10に示したように、照射時間の経過の途中(図10の還元時間の終了時点=TOC分解開始時点(0分))でいったん低下していた亜硝酸態窒素濃度が再上昇していることがわかる。これは、過酸化水素が還元力の低い有機物を分解せずに、エタノールで還元された窒素化合物を酸化してしまうことによるものと考えられる。
以上の実験の結果から、還元剤としてエタノールを用いた場合は、メタノールを用いる場合とは異なり、硝酸態窒素および亜硝酸態窒素の濃度を低減させつつ、余剰のエタノールを分解し、TOCを低減させる操作を一工程で実施することは困難であることが判明した。
本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法によれば、被処理水中の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを簡便にかつ低コストで分解除去することができる。この方法は、特に、硝酸イオンや亜硝酸イオンが含まれる井水や地下水を対象とした処理に好適であり、処理後、飲料水としてあるいは飲料用の原水としての利用を可能とする。
したがって、本発明の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法は、飲料水に関わる産業分野を始め、広範な産業分野において、有効に利用することができる。
1a、1b:反応容器、 2a、2b:石英ジャケット

Claims (6)

  1. 還元剤の存在下で、強度の高い紫外線を照射して被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを還元することを特徴とする硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
  2. 前記強度の高い紫外線を照射する手段として、出力の高い水銀ランプを使用するとともに、照射源からの距離を短くすることを特徴とする請求項1に記載の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
  3. 前記還元剤としてメタノールまたはエタノールを使用することを特徴とする請求項1または2に記載の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
  4. 前記メタノールの含有量が被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量の2倍以上であり、前記エタノールの含有量が被処理水中に含まれる硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの量の等倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
  5. 前記メタノールに過酸化水素を共存させることを特徴とする請求項3または4に記載の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
  6. 前記メタノールに共存させる過酸化水素の含有量が被処理水中のTOCの分解に必要な量であることを特徴とする請求項5に記載の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元・分解方法。
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