JP2013049000A - 硝酸態窒素含有水の処理方法 - Google Patents

硝酸態窒素含有水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便でかつ低コストの硝酸態窒素含有水の処理方法、特に、硝酸態窒素が含まれる地下水を処理し、飲料用としての利用を可能にする処理方法を提供する。
【解決手段】硝酸態窒素含有水に対し、下記(i)〜(iii)の工程をこの順に含む一連の工程による処理を施す。工程(i):有機物系還元剤の存在下で、波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。工程(ii):酸化剤の存在下で、波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。工程(iii):活性炭充填層3を通過させる工程。工程(i)で使用する有機物系還元剤をギ酸およびリンゴ酸のうちのいずれか1種以上、工程(ii)で使用する酸化剤を塩素、次亜塩素酸および次亜塩素酸塩のうちのいずれか1種以上とすることが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、硝酸態窒素含有水の処理方法に関し、特に、硝酸態窒素に加え、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素が含まれる地下水を処理し、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水として利用することを可能にする硝酸態窒素含有水の処理方法に関する。
清浄な地下水は、カルシウムその他のミネラル成分を適度に含み、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料等の原水として好適である。しかし、地下水中には地表に散布された化学肥料(硝酸アンモニウムなど)や放牧されている牛などの排泄物に起因してアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素などが含まれることがある。これらの窒素は時間を経るに伴い酸化されるため、最終的には安定な硝酸態窒素の形態で存在する場合が多い。
硝酸態窒素や亜硝酸態窒素は人体に有害であるため、水道法に基づく水質基準として、「硝酸態窒素および亜硝酸態窒素」について10mg/l(リットル)以下と定められている。
硝酸態窒素含有水の処理方法としては、例えば、特許文献1に電気分解により硝酸態窒素を分解除去する方法が開示されている。ここで開示されている方法は、陰極に導電性ダイヤモンドを用いた電解反応槽にて硝酸性窒素含有水(亜硝酸性窒素を含む。なお、「硝酸性窒素」は、硝酸態窒素を意味する)を電解して硝酸性窒素をアンモニアに還元するとともに、そのアンモニアを陽極に生成する次亜塩素酸などの酸化剤により酸化して窒素ガスとして除去する方法である。
特許文献2には、硝酸性窒素含有水を、水中で水素を発生する金属(デバルダ合金(銅−亜鉛−アルミニウム合金)、亜鉛、アルミニウムなど)と接触させて、硝酸性窒素を亜硝酸性窒素またはアンモニア性窒素に還元し(第1工程)、亜硝酸性窒素の場合は還元剤(アンモニウム等)、アンモニア性窒素の場合は酸化剤(亜硝酸塩、過酸化水素等)の存在下で、かつ酸化還元触媒(白金、パラジウム等)の存在下において、窒素に転換する(第2工程)硝酸性窒素含有水の処理方法が開示されている。
また、特許文献3には、陰イオン交換樹脂と炭酸カルシウムを含有するろ材を流路上に配置した硝酸態窒素除去装置およびそれを用いた浄水器が記載されている。陰イオン交換樹脂により被処理水(地下水等の飲料用水)中の硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が除去され、さらに炭酸カルシウム含有ろ材により、被処理水の水質(遊離炭酸濃度)によっては大きく変動するpHの調整が行われる。
しかし、前掲の特許文献1に記載される電気分解法では、設備費用が高い上に、多くのエネルギーが必要なため運転費用がかさむ。特許文献2に記載の接触還元法では、第1工程終了後、第2工程で添加する還元剤または酸化剤の量を決めるために、水質分析により亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素の存在割合を確認する必要がある。また、第2工程では第1工程の反応液を加熱(70〜200℃)して反応させなければならず、酸化還元触媒の活性を維持することも必要であり、運転費用がかさむと考えられる。特許文献3に記載のイオン交換樹脂も、吸着機能が停止した時点で交換または再生処理を行う必要があり、やはり運転コストの上昇は避けられない。そのため、簡便でかつ低コストの硝酸態窒素含有水の処理方法の開発が望まれている。
特開2004−321963号公報 特開平7−328651号公報 特開平10−80682号公報 特開2010−279909号公報
本発明は、このような情況に鑑みてなされたもので、簡便でかつ低コストの硝酸態窒素含有水の処理方法、特に、硝酸態窒素が含まれる地下水を処理し、飲料水としての、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用原水としての利用を可能にする硝酸態窒素含有水の処理方法を提供することを目的としている。
用水や排水中に含まれる有機物を、紫外線のもつ酸化作用、殺菌作用を利用して除去する比較的簡便な水の浄化方法が従来から知られている。本出願人は、ペットボトル、瓶、缶などの食品用容器類の洗浄に使用する洗浄用水の処理方法として、この紫外線のもつ酸化作用、殺菌作用を最大限に利用する方法を提案した(特許文献4)。この処理方法は、残留遊離塩素などの酸化剤の存在下で、波長を限定した紫外線を照射することにより、洗浄用水の酸化力、殺菌力および滅菌力を飛躍的に高める方法であり、簡便にかつ低コストで、洗浄用水中の有機物、特に細菌類を完全に除去し、死滅させることができる。
本発明者らは、硝酸態窒素、さらにはアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素などを含む水の処理に、酸化剤の存在下で紫外線を照射する前記の方法を適用した。その結果、アンモニア態窒素および亜硝酸態窒素は容易に分解除去されるが、硝酸態窒素の除去は困難であることが判明した。
そこで、硝酸態窒素を、前記の酸化剤存在下での紫外線照射により容易に分解可能なアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素等に還元できる方法を見いだすべく、硝酸態窒素を含有する水に、還元剤(具体的には、ギ酸(メタン酸)またはリンゴ酸(2−ヒドロキシブタン二酸))を加え、波長を限定した紫外線を照射することを試みた。その結果、後述する実施例に示すように、硝酸態窒素を還元してその濃度を大きく低減させ得ることを見いだした。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、下記の硝酸態窒素含有水の処理方法を要旨とする。
すなわち、硝酸態窒素含有水に対し、下記(i)、(ii)および(iii)の工程をこの順に含む一連の工程による処理を施すことを特徴とする硝酸態窒素含有水の処理方法。
(i)還元剤の存在下で、波長が253.7nmの紫外線および184.9nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。
(ii)酸化剤の存在下で、波長が253.7nmの紫外線および184.9nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。
(iii)活性炭充填層を通過させることにより、残存する有機物、酸化剤および還元剤を除去する工程。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法において、前記工程(i)で使用する還元剤が有機物系還元剤であって、ギ酸およびリンゴ酸のうちのいずれか1種以上とすれば、硝酸態窒素の還元を容易に行える。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法においては、還元剤の含有量は硝酸態窒素含有水中の硝酸態窒素の還元に必要な量以上とすることが望ましい。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法において、前記工程(ii)で使用する酸化剤を、塩素、次亜塩素酸および次亜塩素酸塩のうちのいずれか1種以上とすれば、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素の除去を迅速に行える。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法においては、酸化剤の含有量を1ppm以上とすることが望ましい。
本発明の処理方法によれば、被処理水に含まれる硝酸態窒素、さらにはアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素を除去することができる。特に、地下水に含まれる硝酸態窒素やアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素を簡便かつ低コストで除去して、当該地下水を飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用原水として利用可能にすることができる。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法における各工程の説明図である。 実施例の結果で、硝酸態窒素濃度と紫外線照射時間の関係を示す図である。
本発明は、硝酸態窒素含有水に対し、
(i)還元剤の存在下で、波長が253.7nm(以下、「254nm」と記す)の紫外線および184.9nm(以下、「185nm」と記す)の紫外線を含む紫外線を照射する工程
(ii)酸化剤の存在下で、波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程
(iii)活性炭充填層を通過させることにより、残存する有機物、酸化剤および還元剤を除去する工程
をこの順に含む一連の工程による処理を施すことを特徴とする硝酸態窒素含有水の処理方法である。
前記の「硝酸態窒素含有水」とは、NO3 -の形態で存在する窒素が含まれる水である。NH3またはNH4 +の形態で存在するアンモニア態窒素や、NO2 -の形態で存在する亜硝酸態窒素等、他の形態の窒素が含まれていてもよい。具体的には、前述の硝酸アンモニウムなどの化学肥料や家畜類の排泄物などに起因して硝酸態窒素が含まれるに至ったいわば特定の地域の地下水があげられるが、これに限らず、河川水、さらには電子部品等の製造分野における工業用水や排水(例えば、各種洗浄用の用水、排水)などであって硝酸態窒素が含まれるものは、いずれもその具体例としてあげられる。
図1は、本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法における各工程の説明図である。図示するように、反応塔1、反応塔2および活性炭充填層3が連設されており、被処理水(硝酸態窒素含有水)は反応塔1の下方から供給され、反応塔2および活性炭充填層3を経て処理水として排出される。前記の「工程(i)、工程(ii)、工程(iii)をこの順に含む一連の工程による処理」とは、処理が工程(i)、工程(ii)、工程(iii)の順に行われることを意味する。この例では、工程(i)〜工程(iii)のみが示されているが、工程(i)、工程(ii)、工程(iii)の実施順が変わらない限り、本発明の実施に付随する他の工程が、例えば工程(i)の前もしくは後などどの部分に含まれていてもよい。
反応塔1では工程(i)の処理が行われる。すなわち、反応塔1の下方から供給される被処理水に還元剤が添加され、被処理水が反応塔1内を下方から上方に向けて緩速度(図1中に螺旋状の流れにより表示)で通過する間に紫外線ランプ4から紫外線が照射される。反応塔2では工程(ii)の処理が行われる。反応塔1の上方から排出された被処理水は、反応塔2に供給される前に酸化剤が添加され、反応塔2内を同じく緩速度で通過する間に紫外線ランプ4から紫外線が照射される。活性炭充填層3では工程(iii)の処理が行われる。反応塔2から排出された被処理水中に残存する有機物等は、活性炭充填層3を通過する間に分解もしくは吸着除去されるとともに、反応塔1および反応塔2、さらには活性炭充填層3での処理で生成したCO2、N2等が除去され、清浄な処理水として排出される。
工程(i)で還元剤を添加し、その存在下で紫外線を照射するのは、被処理水に含まれる硝酸態窒素を強い還元作用により還元するためである。照射した紫外線は、被処理水に添加された還元剤に作用してラジカル(遊離基)を生成させる。このラジカルは強い還元力を有しており、安定な形態で存在している硝酸態窒素を、例えば後述する(i)式に示すように、一酸化窒素(NO)に転換させる。
還元剤の種類について特に限定はない。無機系還元剤、有機系還元剤のいずれでもよいが、有機物系還元剤を使用すれば、本発明の処理によって、有機物系還元剤は最終的にCO2、H2O等に分解され、還元剤が処理後に残存することがないので望ましい。これは、特に処理後の水を飲料水として利用する場合を考慮すると、極めて望ましいことである。
有機物系還元剤としては、ギ酸、リンゴ酸等を利用するのが望ましい。これらの還元剤は、紫外線の照射を受けて効果的な還元作用を発現する。これらの還元剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
工程(i)で紫外線照射時に存在させる還元剤の含有量は特に規定しない。還元剤が僅かでも存在していれば、紫外線の照射により存在する還元剤量に見合うだけのラジカルが生成し、強い還元力が作用して硝酸態窒素を還元させ得るからである。しかし、還元剤の含有量を被処理水中の硝酸態窒素の還元に必要な量以上とすれば、被処理水中の硝酸態窒素の全量を還元することが可能となるので、望ましい。ただし、還元剤の含有量を過度に高くすると、工程(ii)において、過剰の還元剤の分解除去が必要になるので、望ましくない。
工程(i)で照射する紫外線は、工程(ii)で照射する紫外線と同じ波長のものとすればよい。工程(ii)では、後述するように、波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線を照射するので、工程(i)でも波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線を照射する。
工程(ii)で酸化剤を添加し、その存在下で紫外線を照射するのは、工程(i)で発生した硝酸態窒素の還元生成物や、被処理水にもともと含まれているアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素を酸化分解するためである。
酸化剤としては、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩(例えば、次亜塩素酸ナトリウムなど)等の塩素系酸化剤、過酸化水素、オゾン等が利用可能である。特に、処理後の水を飲料水として利用する場合は、水中で遊離塩素として存在している塩素系酸化剤が望ましい。この中でも、水道水や飲料用の地下水、河川水等の殺菌剤として広く使用されており、取り扱いも比較的容易な次亜塩素酸ナトリウムが望ましい。これらの酸化剤は、1種のみで、または2種以上を同時に用いてもよい。
工程(ii)で紫外線照射時に存在させる酸化剤の含有量についても特に規定はない。還元剤の場合と同様に、酸化剤が僅かでも存在していれば、紫外線の照射により存在する酸化剤量に見合うだけのラジカルが生成し、強い酸化力、殺菌力が発揮されるからである。しかし、酸化剤の含有量を1ppm以上とすれば、酸化力、殺菌力が極めて大きく、望ましい。
工程(ii)で照射する紫外線を波長が254nmの紫外線および185nmの紫外線を含む紫外線とするのは、酸化力を著しく高めて、工程(i)で発生した硝酸態窒素の還元生成物や、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素の分解を容易にするとともに、処理後の水を飲料用として利用する場合を考慮して、殺菌作用を強めるためである。波長が185nmの紫外線は、エネルギーが大きく、塩素系酸化剤に作用してラジカル(遊離基)を生成させる。このようにして生じたラジカルは極めて強い酸化力を有している。一方、波長が254nmの紫外線は、殺菌作用が強い。
工程(i)および工程(ii)での紫外線の照射には、排水処理等の分野で通常使用されている紫外線ランプ(UVランプ)等を使用すればよい。254nmの波長域の紫外線を照射できるものと、185nmの波長域の紫外線を照射できるものを併せて用いてもよいし、これら両波長域の紫外線を含むスペクトルの紫外線を照射できるものを用いてもよい。
工程(iii)では、工程(i)、工程(ii)の処理を経た後の被処理水に対し、活性炭充填層を通過させることにより、残存する有機物、酸化剤および還元剤を除去する処理を施す。
工程(i)、工程(ii)の処理を経た後の被処理水には、工程(i)の還元反応で生成し(例えば、後述する(3)式)、工程(ii)で酸化分解されずに残存する有機物が含まれる場合がある。酸化剤や還元剤が過剰に添加された場合は、それらが残存することもある。また、地下水等の被処理水にはもともと不純物等が含まれる場合が多い。これら残存する有機物、酸化剤および還元剤等は、活性炭充填層で吸着保持される。一方、工程(i)、工程(ii)の処理を経た後の被処理水には、通常、紫外線照射により生成したラジカル(遊離基)も含まれており、このラジカルが、活性炭充填層で吸着保持されることにより一旦充填層内に留まった前記有機物や酸化剤に作用して、これらを分解する。また、その他の、地下水等の被処理水にもともと含まれている不純物等は活性炭により吸着除去される。
このように、工程(iii)での処理を施すことにより、地下水を飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用原水として利用できる高品質の処理水を得ることができる。しかも、工程(iii)では、吸着保持され、一旦充填層内に留まった有機物等の分解除去が進行し、活性炭の吸着能が自ずと回復(再生)されるので、処理を低コストで行えるという利点がある。
活性炭による処理は用排水中の有機物等の除去法として従来から広く採用されているので、活性炭充填層の構成、性能等については、対象となる被処理水の水質等に応じて適宜定めるのがよい。
以上述べたように、本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法によれば、一連の工程による処理を施すことにより、被処理水に含まれる硝酸態窒素、さらにはアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素を除去することができる。この方法は、常温でかつ簡便に実施することが可能であり、処理コストが低いという特徴を有している。特に、地下水に含まれる硝酸態窒素やアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素を除去して、当該地下水を飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用原水として利用可能にすることができる。
(実施例1)
硝酸態窒素が含まれる被処理水に対して本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法を適用する試験を行った。なお、前述のように、亜硝酸態窒素やアンモニア態窒素は酸化剤存在下での紫外線照射(すなわち、工程(ii))により容易に分解除去できるので、当該試験では、工程(i)における硝酸態窒素の除去効果について調査した。
被処理液としては、純水15リットルにつき硝酸カリウム(KNO3)325mg(硝酸態窒素に換算して3.0ppm)を溶解させて調製した硝酸カリウム水溶液を用いた。
また、還元剤としては、ギ酸またはリンゴ酸を使用し、5リットルの硝酸カリウム水溶液に対して、ギ酸の添加量は183ml(ミリリットル)、リンゴ酸の添加量は650mlとした。この添加量は、5リットルの硝酸カリウム水溶液に含まれる硝酸イオンを還元するのに必要な量の3倍である。
試験においては、その軸心が鉛直方向になるように配置された塩化ビニル製の円筒形の反応槽と、前記反応槽内にその軸心に沿って配置された紫外線ランプ(石英ジャケットにより保護されている)からなる主要部を備える還元試験装置を使用した。主要部の諸元は次のとおりである。
反応槽 :有効長147cm
内容積5リットル
石英ジャケット:外径32mm
紫外線ランプ :低圧水銀ランプを使用
波長域 185nm、254nm
出力 300W
試験は以下の手順により行った。
1)還元試験装置に5リットルの硝酸カリウム水溶液を供給する。
2)紫外線ランプを点灯する。予備点灯3分とする。
3)試験装置内の硝酸カリウム水溶液に還元剤を添加する。
4)還元剤を添加して10分後、30分後および60分後に、それぞれ硝酸カリウム水溶液を500ml採取するとともに、水温を測定する。
5)採取した硝酸カリウム水溶液の硝酸態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度およびアンモニア態窒素濃度を測定する。濃度の測定は、それぞれ銅カドミウムカラム還元−エチレンジアミン吸光光度法、ナフチルエチレンジアミン吸光光度法およびインドフェノール青吸光光度法により行った。
上記手順により行った硝酸態窒素の還元試験の結果を表1〜表3に示す。なお、比較のために、還元剤を添加せず、紫外線照射のみの場合についても同様の試験を行った。
Figure 2013049000
Figure 2013049000
Figure 2013049000
表1は、還元剤を添加せず、紫外線照射のみを行った場合(比較例)である。表1に示したように、硝酸態窒素濃度の低下は認められなかった。試験前に比べ照射時間10分後および30分後に硝酸態窒素濃度が僅かに低下したが、紫外線照射により硝酸イオンから亜硝酸イオンと酸素ラジカルが発生したことによるものと考えられる。ただし、ほとんどの酸素ラジカルは亜硝酸イオンと反応して硝酸イオンが生成すると考えられ、60分後には試験前の濃度に戻った。
なお、水温の上昇は紫外線照射によるラジカルの発生および反応の進行によるもので、次に述べる還元剤を添加した場合に比べて若干低かったが、大きな差はなかった。
表2は、還元剤としてギ酸を添加し、紫外線照射を行った場合(本発明例)である。表2に示したように、硝酸態窒素濃度は時間の経過とともに大きく低下し、30分後には試験前の3.0ppmから0.12ppm、60分後には0.05ppm未満となった。亜硝酸態窒素濃度がほとんど0ppmに近い値であったことから、下記(1)式により、硝酸イオンは一酸化窒素に還元され、ギ酸は二酸化炭素に酸化されたと考えられる。
2HNO3+3HCOOH→2NO+3CO2+4H2O ・・・(1)
アンモニア態窒素は時間の経過とともに増大したが、これは、下記(2)式の反応が進行したことによるものと考えられる。
2HNO3+4HCOOH→NH4NO3+4CO2+3H2O ・・・(2)
表3は、還元剤としてリンゴ酸を添加し、紫外線照射を行った場合(本発明例)である。なお、表3には、簡易試験法により求めたCOD(化学的酸素要求量)の値も併記している。
表3に示したように、CODはいったん大きく上昇した後、低下したが、この変化は、紫外線によりリンゴ酸分子が分解されてCODが上昇し、それが下記(3)式により硝酸イオンを還元し自らは酸化されるためCODが低下したことによるものと推測される。
2HNO3+3RR′HCOH→2NO+3RR′CO+4H2O ・・・(3)
ギ酸を添加した場合と同様に、アンモニア態窒素が時間の経過とともに増大したが、これは、下記(4)式の反応が進行したことによるものと考えられる。
2HNO3+4RR′HCOH→NH4NO3+4RR′CO+3H2O・・・(4)
前記(1)式から明らかなように、ギ酸は酸化されて二酸化炭素になり、大気中に放出される。一方、リンゴ酸は酸化されてもすべてが二酸化炭素にはならず、(3)式に示されるように、有機物(RR′CO)が残留するので、工程(ii)の酸化分解処理が必要となる。
図2は、前記の表1〜表3に示した試験結果の一部を図示したもので、硝酸態窒素濃度と紫外線照射時間の関係を示す図である。図2に明示されるように、硝酸態窒素濃度はギ酸またはリンゴ酸の存在下で紫外線照射することにより大きく低下し、還元剤の種類によらず、30分間照射することにより硝酸態窒素濃度は著しく低減して、硝酸態窒素のほとんどが除去されることがわかる。
(実施例2)
硝酸態窒素が10ppmを超えて含まれる被処理水に対して、実施例1の場合と同様に、本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法を適用する試験を行い、工程(i)における硝酸態窒素の除去効果について調査した。
被処理液として、実際の水道水や地下水等、飲料用の原水に対する処理を想定し、硝酸態窒素が13ppm含まれる原水を用いた。また、還元剤としては、ギ酸またはリンゴ酸を使用し、添加量は、実施例1の場合と同様、原水に含まれる硝酸イオンを還元するのに必要な量の3倍とした。
試験に用いた還元試験装置の主要部の諸元、および試験手順についても、実施例1の場合と同じである。
試験結果を表4および表5に示す。
Figure 2013049000
Figure 2013049000
表4は、還元剤としてギ酸を添加し、紫外線照射を行った場合(本発明例)である。表4に示したように、硝酸態窒素濃度は時間の経過とともに大きく低下し、60分後には試験前の13.0ppmから1.9ppmとなった。
表5は、還元剤としてリンゴ酸を添加し、紫外線照射を行った場合(本発明例)である。表5から、硝酸態窒素濃度は時間の経過とともに大きく低下していることがわかる。
表4および表5において、亜硝酸態窒素濃度およびアンモニア態窒素濃度は、それぞれ前記表2および表3に示した、原水の硝酸態窒素濃度が3.0ppmの場合とほぼ同等の傾向を示していることから、この場合も、前記(1)〜(4)に示した反応が進行しているものと推察される。
上記の調査により、本発明の硝酸態窒素の処理方法が、硝酸態窒素が高濃度で含まれる実際の水道水や地下水等の原水の処理方法として極めて有効であることが確認できた。
本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法は、硝酸態窒素が含まれる被処理水に対して、有機物系還元剤の存在下における紫外線照射、酸化剤の存在下における紫外線照射、活性炭処理という一連の工程による処理を施すことにより被処理水中の硝酸態窒素を除去する方法である。この処理方法によれば、特に、地下水を処理し、飲料水として、あるいは各種の清涼飲料などに使用される飲料用の原水として利用することが可能となる。
したがって、本発明の硝酸態窒素含有水の処理方法は、飲料水に関わる産業分野を始め、広範な産業分野において、有効に利用することができる。
1、2:反応塔、 3:活性炭充填層、 4:紫外線ランプ

Claims (5)

  1. 硝酸態窒素含有水に対し、下記(i)、(ii)および(iii)の工程をこの順に含む一連の工程による処理を施すことを特徴とする硝酸態窒素含有水の処理方法。
    (i)還元剤の存在下で、波長が253.7nmの紫外線および184.9nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。
    (ii)酸化剤の存在下で、波長が253.7nmの紫外線および184.9nmの紫外線を含む紫外線を照射する工程。
    (iii)活性炭充填層を通過させることにより、残存する有機物、酸化剤および還元剤を除去する工程。
  2. 前記工程(i)で使用する還元剤が有機物系還元剤であって、ギ酸およびリンゴ酸のうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の硝酸態窒素含有水の処理方法。
  3. 前記還元剤の含有量が硝酸態窒素含有水中の硝酸態窒素の還元に必要な量以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の硝酸態窒素含有水の処理方法。
  4. 前記工程(ii)で使用する酸化剤が、塩素、次亜塩素酸および次亜塩素酸塩のうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硝酸態窒素含有水の処理方法。
  5. 前記酸化剤の含有量が1ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硝酸態窒素含有水の処理方法。
JP2011187069A 2011-08-30 2011-08-30 硝酸態窒素含有水の処理方法 Pending JP2013049000A (ja)

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