JP2001345200A - 荷電粒子加速管の製作方法 - Google Patents
荷電粒子加速管の製作方法Info
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Abstract
めた荷電粒子加速管の製作を課題とする。 【解決手段】 荷電粒子発生源を内部に保持する荷電粒
子銃チャンバと、複数の加速電極と、複数の加速電極と
交互に配置されて各々加速電極と接着される複数の絶縁
体とを有する加速管の製造方法において、加速電極と絶
縁体の接着に使用する接着剤を塗布した後、該接着剤を
均一厚さとなるように機械加工し、その後接着する。
Description
の荷電粒子加速管の製作方法に係り、特に接着により加
速電極と絶縁体の組立てを行う、荷電粒子加速管の製作
方法に関する。以下、荷電粒子の内、特に電子線の加速
管製作方法について主に記載するが、本発明に係る加速
管製作方法は電子線に限定されず、他の荷電粒子の加速
管にも同様に適用できる。
染による地球温暖化や酸性雨等は、例えば火力発電所等
から排出される燃焼排ガス中に存在するSOx、NOx
等の成分に起因していると考えられる。これらのSO
x、NOx等の有害成分を除去する方法として、燃焼排
ガスに電子線を照射することによって、脱硫・脱硝(
SOx、NOx等の有害成分の除去)を行うことが実施
されている。
置の一例を示す。この燃焼排ガスの処理装置は、直流高
電圧を発生する電源装置10と、電子線を形成して燃焼
排ガスに照射する電子線照射装置11と、その装置11
の電子線の照射出口である窓箔15に沿って設けられた
燃焼排ガスの流路19とから主として構成されている。
例えばTi等の薄板からなる窓箔15から外部に放出さ
れた電子線は、燃焼排ガス中の酸素(O2)、水蒸気
(H2O)等の分子を照射する事により、これらは非常
に酸化力の強いOH、O、HO2等のラジカルとなる。
そしてこれらのラジカルが、 SOxおよびNOx等の
有害物質を酸化し、中間生成物である硫酸と硝酸とを生
成する。これらの中間生成物はあらかじめ投入しておい
たアンモニアガス(NH3)と反応し、硫安および硝安
となり、肥料原料として回収される。従って、このよう
な排ガス処理システムにおいては、燃焼排ガス中から有
害なSOx、NOx等の成分を除去することができると
共に、その副生品として有用な硫安・硝安等の肥料の原
料として回収する事ができる。
銃チャンバと加速管の構成例を示す。ここで電子線の発
生加速部は、熱電子フィラメント等の電子源1と、その
電子源1より発生した電子を略ビーム状にする電子銃7
と、電子銃7で所定のエネルギー・形状を有するビーム
となった電子線を収束・加速する多数の加速電極2を備
えた加速管5とから主に構成されている。加速管5にお
いて、加速電極2間は絶縁体3により絶縁分離されてい
る。電子銃7は、電流が流れることで、熱電子を発生す
るフィラメント(電子源)1と、フィラメントと略同電
位であるウェーネルト電極と呼ばれ、前記電子源を略取
り囲む形状であり前記電子を放出する経路を有する電極
8と、電極8よりフィラメントから放出された電子進行
方向側に配置された引き出し電極と呼ばれる電極9と、
フィラメントを保持するフィラメントフランジ6と、フ
ィラメントフランジの熱を逃がし電子線源を冷却するフ
ィン等から構成されている。
0〜3000Kの高温に熱せられて、熱電子を放出す
る。電子線発生器の場合、負の高電圧が図1での高電圧
電源10から電子銃7部分に印加される。フィラメント
から放出された熱電子はウェネルト電極8と引出し電極
9の作る電界によってある程度の方向性を有する電子ビ
ームとなり、加速電極2と絶縁体3で構成される加速管
5に進行する。加速管5部分に入射した電子ビームは加
速電極2によって作られる電界により加速・収束を繰返
し所定形状・所定エネルギーの加速された電子ビームと
なる。加速された電子ビームは図1に示すように集束コ
イル16と偏向・走査コイル17によって集束・偏向・
走査されて薄膜15を通過して被照射体(ここでは排ガ
ス19)を照射する。
よび加速電極2と絶縁体3により構成される加速管5は
真空容器を形成している。真空容器の内部は10−6P
a程度の高真空に保持される。従って、加速管5を構成
する加速電極2と絶縁体3自体が真空気密容器を構成し
ていて、加速電極2と絶縁体3とは接着剤を介して接合
することで気密封止をしている。
いて詳細に述べる。加速管を組立てるための接着剤は加
速電極2および/または絶縁体3の接着面に塗布しても
良いが、ここでは絶縁体3の接着面に接着剤を塗布した
例について述べる。接着される加速電極2、絶縁体(ガ
ラスもしくは各種セラミックス)3の接着表面を充分滑
らかなものとし、さらにアセトンなどの有機溶媒で清浄
化しておく。接着剤をトルエンやアセトンなどの有機溶
媒で溶解して塗布し易い粘度とした上で、絶縁体3に人
手、もしくは接着剤塗布装置で片面に塗布する。上記
で塗布した接着剤の溶媒が揮発し、接着剤の表面形状が
容易に変形することが無くなった時点で接着剤の塗布さ
れていない他面にと同様に接着剤を塗布する。接着剤
塗布された両面が容易に変形することが無くなった時点
で、真空加熱炉内で絶縁体に塗布した接着剤中の溶媒を
完全に除去するために絶縁体を真空加熱する。真空加熱
後、室温になった絶縁体3を加速電極2と交互に重ねて
設置し、その上部に電子銃チャンバー7、その下部に下
部電極を設置して、加熱・押圧を所定圧力値で所定時間
施し、被接着体が室温となれば、加速管の組立て接着が
完了する。
る加速管製作の問題点を示す。図10(a)では上部の
加速電極2が絶縁体3に対して平行に接着されておらず
角度αを有して接着されていることを示している。図1
0(b)は接着された加速管内部の接着剤状態を概略説
明した図である。接着剤中にボイドE、余剰接着剤C、
余剰接着剤がその形状により鋭角部分Dを形成している
ことを示している。
着組立てによれば、絶縁体の表面に接着剤を塗布した状
態で加速電極との接着工程を実施していたので、当初か
ら接着面にムラがあり、図10(a)に示すような接着
後においても接着面における接着剤厚さの変化、もしく
は図10(b)に示すようなボイド(符号E)が生じる
ことがあった。この接着面の不均一性が必要とされる加
速管の機械的強度を満足できなかったり、要求される加
速管の電気的絶縁耐力を満足しなかったりした。さらに
は図10(b)のC部のように余剰接着剤が加速管内部
にはみ出した場合(符号C)には、実際のビームでビー
ムコンディショニングと呼ばれる加速管の慣らし運転を
行っている時や加速管内の電界が乱れた時などでビーム
が余剰接着剤Cに衝突すると、真空雰囲気の加速管5内
に莫大な量のガスを放出する。ガスが放出された高電圧
が印加されている加速管5は放電し、加速管もしくは加
速管回りの電子素子を破壊する。
電子線照射装置での加速管の安定運転を阻害する大きな
原因となっていた。さらに接着面の内、図10(b)の
符号に示す接着剤と絶縁体、加速電極の界面形状が鋭角
となる場合には、上記D部には電界が集中するため、放
電が起き易く加速管の安定運転が困難となっていた。そ
のため接着面の接着剤形状・接着剤量を精密に制御でき
る方法が望まれていた。
電子ビームを発生した際に同時に発生する制動X線の影
響で接着剤の接着強度が弱まるという課題が存在し、加
速管は所定の時間運転することでその強度が劣化するこ
とが問題となっていた。
ので、高電圧を印加する加速管に絶縁劣化等の問題が生
ぜず、安定した運転を行える荷電粒子加速管の製作方法
を提供することを目的とする。
は、荷電粒子発生源を内部に保持する荷電粒子銃チャン
バと、複数の加速電極と、前記複数の加速電極と交互に
配置されて各々前記加速電極と接着される複数の絶縁体
とを有する加速管の製造方法において、前記加速電極と
絶縁体の接着に使用する接着剤を塗布した後、該接着剤
を均一厚さとなるように機械加工し、その後接着するこ
とを特徴とする荷電粒子加速管製作方法である。これに
より、接着前の段階において、塗布する接着剤を均一厚
さとしたことで、加速管の組立て精度が向上し、さらに
加速管の機械的強度を高めた荷電粒子線加速管を製作す
ることができる。
精密旋盤によることを特徴とする請求項1記載の荷電粒
子加速管の製作方法である。これにより、上記機械加工
を容易に行うことができる。
記絶縁体に塗布することを特徴とする請求項1記載の荷
電粒子加速管製作方法である。略ドーナツ状の絶縁体に
接着剤を塗布することで、容易に加速電極との接着を形
成出来るようにしたものである。
子量が100000以上の酢酸ビニールポリマーである
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子加速管製作方
法である。これにより、制動X線が生じても、接着剤の
接着強度の劣化を防止できる。
速管を製作でき、さらに接着剤量を必要最小限とするこ
とができるため、加速管強度・加速管達成真空度が安定
化できる。さらに接着剤分子量を所定以上の分子量とす
ることで、X線による劣化を防止した加速管が得られ
る。
図3乃至図9を参照しながら説明する。
よび絶縁体3の形状を示す。加速電極2は薄いドーナツ
状の金属円板であり、電子線の通過のための開口Saが
その中央に配置されている。複数の加速電極2による電
界によって荷電粒子(以下電子を代表させて述べる)を
加速・収束する。端部は電界を緩やかにするために所定
の曲率を有した形状にしている。絶縁体3は同様に短い
円筒状の絶縁体であり、絶縁体3は石英ガラスや各種セ
ラミックス(例えばアルミナセラミックス、商品名「ホ
トベール」や「マコール」)の材質である。ここで絶縁
体3の内面が段差3aを有する形状となっているのは加
速管の真空側での放電パラメータである沿面距離を長く
するためである。
なる絶縁体3の表面にトルエンもしくはアセトン等の溶
媒で溶かされ流動性を有する接着剤21が人手もしくは
図示しない接着塗布装置で塗布された様子を示してい
る。接着剤21は流動性を有し、表面張力も大きいので
当初流動性を有した接着剤に含まれる溶媒が揮発する際
の状況によって接着剤表面が凸凹になることが多い。
1を塗布した状態を示す。この状態では加工前の接着剤
21の面は凹凸を有している。このまま加速電極2と接
合すると、図10に示すような各種問題点が生じること
は上述した通りである。従って、本発明においては図6
に示すように精密施盤等を使用することで、その接着剤
表面の切削を行う。図7は図5の接着剤21面を機械加
工した後の接着剤21a面である。精密旋盤23などを
使用することで接着剤の厚さを均一とし、接着に必要な
最低限の接着剤量にすることが可能である。余剰な接着
剤は加速管の真空度を悪化させ、さらには加速管の機械
的強度・電気的絶縁耐力を低下させる大きな要因となる
ため、最小限の接着剤で均一厚みに加工した接着面を作
ることは加速管の製作上有効である。従って、接着剤の
塗布後に接着面の機械加工工程を取り入れて、接着面の
厚さ、寸法精度を高め、その後圧力および温度をかけて
接合するようにしている。また、接着剤の機械加工後の
加工面に油脂(切削油など)が残存しないようにしてい
る。
実施して、その後絶縁体3に加速電極2を接着した状態
を示し、図9は加速管接着部分の拡大図である。最小限
の接着剤量・均一厚さの接着剤21aとしたことで接着
面から接着剤が出っ張ることが無く、且つ鋭角が生じる
ことが無く放電が生じにくい良好な加速管内面が得られ
る。
リマーを使用し、その酢酸ビニールポリマー分子量を1
00000以上としている。従って、電子および荷電粒
子が加速されたときに発生する制動X線が加速管内周面
に照射されても、接着剤の分子量が大きいために接着剤
強度の劣化がほとんど無い加速管を製作できる。本発明
者はこの接着剤を使用した加速管にて、800kV、5
00mAのビームで500時間以上の連続運転を達成
し、加速管の対X線能力を実証した。
縁体に塗布する例について説明したが、加速電極に塗布
するようにしても、また絶縁体と加速電極の双方に塗布
するようにしてもよいことは勿論である。また、接着剤
として分子量が100000以上の酢酸ビニールポリマ
ーを使用する例について説明したが、同等の機能を有す
る接着剤についても同様に滴用可能であることも勿論で
ある。
電子線発生器内の加速管の加工精度を高め、且つ加速管
の機械的強度および電気的絶縁耐力を高めた加速管が製
作できる。このため、荷電粒子発生器の運転の安定化を
図れ、産業上の利用効果が絶大である。
図である。
断面図である。
盤歯により加工している説明図である。
る。
の加速電極と絶縁体を示す説明図である。
の問題点を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 荷電粒子発生源を内部に保持する荷電粒
子銃チャンバと、複数の加速電極と、前記複数の加速電
極と交互に配置されて各々前記加速電極と接着される複
数の絶縁体とを有する加速管の製造方法において、前記
加速電極と絶縁体の接着に使用する接着剤を塗布した
後、該接着剤を均一厚さとなるように機械加工し、その
後接着することを特徴とする荷電粒子加速管の製作方
法。 - 【請求項2】 前記機械加工は精密旋盤によることを特
徴とする請求項1記載の荷電粒子加速管の製作方法。 - 【請求項3】 前記接着剤は前記絶縁体に塗布すること
を特徴とする請求項1記載の荷電粒子加速管の製作方
法。 - 【請求項4】 前記接着剤は分子量が100000以上
の酢酸ビニールポリマーであることを特徴とする請求項
1記載の荷電粒子加速管の製作方法。
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2000
- 2000-05-31 JP JP2000161921A patent/JP3678631B2/ja not_active Expired - Fee Related
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