JP2001345075A - 高圧蒸気放電ランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランプ点灯中の発光管細管の温度を低下さ
せ、発光管細管の内部表面での金属ハロゲン化物との反
応を抑制でき、リ−クを防止した長寿命の高圧蒸気放電
ランプを提供する。 【解決手段】 発光管として本管と本管の両端に本管よ
りも小径の細管を有する透光性セラミック管を用い、細
管を挿通して電気導入体が封着材で気密的に固定され、
かつ金属ハロゲン化物を含むイオン化可能な充填物が封
入された発光管を０．２Ｐａ以下の高真空雰囲気に保た
れたガラス製の外管内に組み込み、発光管に近接して始
動補助導体を付設した高圧蒸気放電ランプにおいて、始
動補助導体は耐熱性金属製の細線からなり、発光管両端
部の本管と細管の接合部近傍の細管の表面に巻きつけて
固定され、始動補助導体の一端は電気導入体と少なくと
もランプ始動時には電気的に接続されている高圧蒸気放
電ランプ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は発光管に透光性セラ
ミック管を使用した、高圧蒸気放電ランプに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】近年、発光管に透光性セラミック管を用
いたセラミックメタルハライドランプが実用化されてき
ている。この種のランプは発光管にセラミック管を用い
ることにより、従来の発光管に石英を用いている石英製
メタルハライドランプよりランプ効率が高い、演色性が
高い、寿命中の色温度変化が少ないなどの特徴を備えて
いる。発光管内には沃化ディスプロシウム、沃化タリウ
ム、沃化ナトリウムなどのハロゲン化金属とアルゴンな
どの希ガス、水銀が封入されている。

【０００３】発光管の封止方法としては、高圧ナトリウ
ムランプで従来から行われているように、端部でロウ材
を隙間に流し込む方法で封止されている。発光管には始
動をし易くする目的で始動補助導体が付設されている。
外管内は高真空もしくは窒素雰囲気に保たれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】セラミックメタルハラ
イドランプの寿命末期の現象としては、セラミック製発
光管と封入物との反応によりセラミック製発光管にクラ
ックが発生し、リ−クに至ることが多い。特に沃化ディ
スプロシウム、沃化ネオジウムなどの希土類金属のハロ
ゲン化物を発光元素として封入した場合に、セラミック
管がランプ点灯時に少しずつ浸食され最終的に浸食部に
ごく小さなクラックが発生する。特に発光管の管壁負荷
を高めたり、ランプ電力を高めて発光管の温度を上げた
場合に起こりやすい。リ−ク箇所は点灯中に過剰に封入
された封入物が液状に溜まる場所で起こりやすく、具体
的には発光管の形状、点灯姿勢などにより異なる。

【０００５】本発明は、上記のようなセラミックメタル
ハライドランプの寿命末期の現象を抑制し、より寿命が
長いセラミックメタルハライドランプを提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は以下の構成を備えることを特徴とする。す
なわち、本発明の放電ランプは発光管として本管と前記
本管の両端に前記本管よりも小径の細管を有する透光性
セラミック管を用い、前記細管を挿通して電気導入体が
封着材で気密的に固定され、前記電気導入体の発光管中
央側には電極が接続され、かつ金属ハロゲン化物を含む
イオン化可能な充填物が封入された発光管を０．２Ｐａ
以下の高真空雰囲気に保たれたガラス製の外管内に組み
込み、前記発光管に近接して始動補助導体を付設した高
圧放電ランプにおいて、前記始動補助導体は耐熱性金属
製の細線からなり、前記発光管両端部の前記本管と前記
細管の接合部近傍の前記細管の表面に巻きつけて固定さ
れ、前記始動補助導体の一端は前記電気導入体と少なく
ともランプ始動時には電気的に接続されていることを特
徴とする。

【０００７】発光管細管に巻いた始動補助導体により細
管の熱を伝導し、細管の温度を低下させ、封入物と発光
管との反応を抑制する。

【０００８】本発明の高圧蒸気放電灯において、始動補
助導体の材質としてはランプ点灯中の高温に耐えうる金
属であり、曲げ加工のし易いモリブデンまたはモリブデ
ン合金が最も適しており、線径はランプ光束をできるだ
け低下させないためには細いほど良いが、熱伝導効率を
高めるために０．２ｍｍないし０．５ｍｍが良い。さら
に、発光管細管の熱をより効率良く伝導するために細管
の表面に巻く始動補助導体は２巻き以上巻くのが好まし
い。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明高圧蒸気放電ランプは、発
光管として本管と本管の両端に小径の細管を有する透光
性セラミック管を用い、細管を挿通して電気導入体が封
着材で気密的に固定され、かつ金属ハロゲン化物を含む
イオン化可能な充填物が封入された発光管を０．２Ｐａ
以下の高真空雰囲気に保たれたガラス製の外管内に組み
込み、発光管に近接して始動補助導体を付設した高圧蒸
気放電ランプにおいて、始動補助導体は耐熱性金属製の
細線からなり、発光管両端部の本管と細管の接合部近傍
の細管表面に巻きつけて固定し、その一端は、少なくと
もランプ始動時には電気導入体に電気的に接続され、ま
た、始動補助導体として０．２ｍｍないし０．５ｍｍの
線径を有するモリブデンまたはモリブデン合金の細線を
用い、さらに、始動補助導体の細管表面への巻きつけを
２巻き以上とする。なお、始動補助導体の一端は発光管
端部の外まで伸ばすようにするのが好ましく、熱伝導を
良くするために熱の良導体に接続するのが良い。このよ
うにすることにより、ランプ点灯中の発光管細管の温度
を低下させ、発光管細管の内部表面での金属ハロゲン化
物との反応を抑制でき、リ−クを防止した長寿命の高圧
蒸気放電ランプを提供することができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。

【００１１】図１に本発明の実施例に用いたランプの概
略構成図を示す。１は発光管本管、２は発光管細管、３
は始動補助導体、４はバイメタルスイッチ、５は外管で
ある。発光管本管１は透光性セラミックから成り、長さ
３３ｍｍ、内径１３ｍｍ、外径１８ｍｍであり、発光管
細管２は発光管本管と同じ透光性セラミックから成り、
長さ１５ｍｍ、内径１．５ｍｍ、外径２．９ｍｍであ
る。

【００１２】第１の実施例として以下のランプを準備し
た。始動補助導体３に線径０．３ｍｍのモリブデン線を
用い、発光管本管と発光管細管の接合部近傍の発光管細
管表面に２巻きし、端部の一方は発光管細管に固定し、
もう一方はバイメタルスイッチ４を介して一方の電極と
電気的に接続した。このように始動補助導体を付設する
ことにより、ランプ始動時には電位を加えることで発光
管内の絶縁破壊を促進し、ランプの始動性を向上するこ
とができる。またランプ点灯後はバイメタルスイッチが
動作して、始動補助導体は電気的に切り離されるので、
アルカリ金属の発光管外への漏れを防止できる。

【００１３】発光管内には沃化ディスプロシウム、沃化
ツリウム、沃化ホルミウム、沃化ナトリウム、沃化タリ
ウム、沃化セシウムが合計２０ｍｇと水銀１５ｍｇおよ
びアルゴン１０ｋＰａを封入した。外管５は硬質ガラス
から成り、内部は熱ロスを減らし発光効率を高めるため
に０．２Ｐａ以下の高真空雰囲気に保った。

【００１４】このように構成したランプを水銀灯の２５
０Ｗ用安定器と組合せ寿命試験した。点灯条件は５．５
時間点灯、０．５時間消灯の繰り返しとし、点灯姿勢は
垂直２灯および水平２灯とした。結果として１２０００
時間点灯後も全てのランプでリ−クなどの不具合が無
く、継続点灯可能であった。

【００１５】第２の実施例として、始動補助導体の線形
を０．１ｍｍにしたランプを用意し、第１の実施例と同
様に垂直２灯及び水平２灯で寿命試験を行ったが、１１
０００時間で発光管がリ−クしランプ不点になった。リ
−クは発光管細管の始動補助導体を巻いている近傍で発
生し、細管の外周に沿って電極と平行方向に発生した１
ｍｍ程度の無数のクラックから起こっていた。

【００１６】分解調査の結果このクラックは発光管細管
が浸食され起こっていることがわかった。始動補助導体
が０．１ｍｍであったために０．２ｍｍと比較して、発
光管細管の温度が上昇して浸食が促進されたと考えられ
る。つまり始動補助導体は本来、ランプの始動性を向上
させる目的のために付設していたが、発光管細管に巻く
ことによって、発光管細管の温度を低下させる役割があ
ることがわかった。つまりランプ点灯中に高温の発光管
細管の熱を始動補助導体を介して温度の低い場所に熱伝
導することにより、発光管細管の温度を低下させ、発光
管細管内表面での浸食を防止できると考えられる。さら
に始動補助導体の線径が０．１ｍｍでは熱伝導量が少な
いため、充分な冷却効果が期待できないことがわかっ
た。

【００１７】第３の実施例として、線径０．２ｍｍのモ
リブデン線を用い、発光管細管に巻く回数を１巻きとし
たランプを準備し、第１および第２の実施例と同様に垂
直２灯、水平２灯で寿命試験を実施した。点灯時間１２
０００時間点灯後も全てのランプでリ−クなどの不具合
はなく継続点灯可能であった。しかし発光管細管の始動
補助導体を巻いている近傍に貫通はしていないものの内
部から小さなクラックが発生していた。このクラックは
発光管細管に始動補助導体を２巻きした第１の実施例の
ランプでは見られないことから、始動補助導体の巻き数
によって発光管細管の温度が異なることがわかった。す
なわち１巻きでは発光管細管の温度が高く、内壁の浸食
の充分な抑制ができていないことになる。よってランプ
寿命をより長くするためには、始動補助導体は２巻き以
上巻くことが好ましいということがわかった。

【００１８】以上の実施例では、始動補助導体としてモ
リブデン線を用いたが、これに限定されるものではな
く、モリブデン合金を使用しても良い。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、発光管細管に巻いた始
動補助導体によりランプ点灯中の発光管細管の温度を熱
伝導により低下させることで、発光管細管の内部表面で
の金属ハロゲン化物との反応を抑制でき、リ−クを防止
した長寿命の高圧蒸気放電灯を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明高圧蒸気放電ランプの一実施例を示す概
略構成図

【符号の説明】

１ 発光管本管 ２ 発光管細管 ３ 始動補助導体 ４ バイメタルスイッチ ５ 外管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本多 二郎 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 １番地 日本電池株式会社内 (72)発明者 森 茂行 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町 １番地 日本電池株式会社内 Ｆターム(参考） 5C039 AA03 BA07 5C043 AA07 AA09 AA14 CC03 CD05 DD03 DD11 DD20 EA03 EA19 EC01

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発光管として本管と前記本管の両端に前
   記本管よりも小径の細管を有する透光性セラミック管を
   用い、前記細管を挿通して電気導入体が封着材で気密的
   に固定され、前記電気導入体の発光管中央側には電極が
   接続され、かつ金属ハロゲン化物を含むイオン化可能な
   充填物が封入された発光管を０．２Ｐａ以下の高真空雰
   囲気に保たれたガラス製の外管内に組み込み、前記発光
   管に近接して始動補助導体を付設した高圧蒸気放電ラン
   プにおいて、前記始動補助導体は耐熱性金属製の細線か
   らなり、前記発光管両端部の前記本管と前記細管の接合
   部近傍の前記細管の表面に巻きつけて固定され、前記始
   動補助導体の一端は前記電気導入体と少なくともランプ
   始動時には電気的に接続されていることを特徴とする高
   圧蒸気放電ランプ。
2. 【請求項２】 始動補助導体が０．２ｍｍないし０．５
   ｍｍの線径を有するモリブデンまたはモリブデン合金の
   細線で構成されていることを特徴とする請求項１に記載
   の高圧蒸気放電ランプ。
3. 【請求項３】 始動補助導体が本管と細管の接合部近傍
   の前記細管の表面に２巻き以上巻いて固定されているこ
   とを特徴とする請求項２に記載の高圧蒸気放電ランプ。