JP2001343764A - 電荷輸送層用塗布液、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電荷輸送層用塗布液、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法

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JP2001343764A
JP2001343764A JP2000162818A JP2000162818A JP2001343764A JP 2001343764 A JP2001343764 A JP 2001343764A JP 2000162818 A JP2000162818 A JP 2000162818A JP 2000162818 A JP2000162818 A JP 2000162818A JP 2001343764 A JP2001343764 A JP 2001343764A
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charge transport
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charge
coating liquid
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Nobumichi Miki
宣道 三木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真感光体を製造する際に広い塗布条件
で白化せず、電子写真特性が従来のハロゲン系溶媒を用
いた時と同等以上であり、画像形成の初期から長期間に
わたって電位特性、耐久性、画像特性及び解像度に優れ
た電子写真感光体の電荷輸送層用塗布液、それを用いた
製造した電子写真感光体、及び該電子写真感光体の製造
方法を提供することにある。 【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
層とを積層してなる電子写真感光体の電荷輸送層を構成
するための塗布液において、該電荷輸送層塗布液の溶媒
組成が、オキサンと芳香族系炭化水素(ベンゼンを除
く)とを組み合せた電荷輸送層用塗布液、それを用いた
製造した電子写真感光体、及び該電子写真感光体の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体用
塗布液、それを用いて製造した電子写真感光体及び該電
子写真感光体の製造方法に関するもので、詳しくは積層
型の電子写真感光体の電荷輸送層用の塗布液の溶媒組成
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体としては、セレ
ン、酸化亜鉛、硫化カドミウム及びシリコン等の無機光
導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機電子写
真感光体が、広く用いられてきた。しかし、これらは感
度、熱安定性、耐湿性及び耐久性等において必ずしも満
足し得るものではなく、また一部の無機電子写真感光体
では電子写真感光体中に人体に有害な物質を含むため、
廃棄に際しての問題がある。
【0003】これら無機電子写真感光体の持つ欠点を克
服する目的で、様々な有機光導電性化合物を主成分とす
る感光層を有する有機電子写真感光体の研究・開発が近
年盛んに行われている。特に、電荷発生機能と電荷輸送
機能とを異なる物質にそれぞれ分担させた機能分離型の
電子写真感光体は、それぞれの材料を広い範囲から選択
することができ、所望の性能を有する電子写真感光体を
比較的容易に作製し得ることから多くの研究がなされて
おり、実用に供されているものも多い。
【0004】これら有機電子写真感光体を作製するに
は、導電性支持体上に電荷発生機能や電荷輸送機能を持
つ化合物を積層塗布して作製される。従って、通常は多
層構造を有し、各層は固体状の化合物を溶媒で溶解した
塗工液を、各種の塗布方式を用いて溶媒塗布することに
なる。
【0005】しかし、有機溶媒、特に工業生産に適した
高い溶解力と適当な沸点を有する溶媒は、意外に少な
い。
【0006】無論、電子写真感光体の製造に用いる溶媒
である以上、溶解能や適当な沸点をもつと共に、電子写
真感光体としての特性に悪影響を与えないものでないと
使用することができないから、これらを全て満足する溶
媒の必要性は近年ますます高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真感光体を製造する際に広い塗布条件で白化せず、電
子写真特性が従来のハロゲン系溶媒を用いた時と同等以
上であり、画像形成の初期から長期間にわたって電位特
性、耐久性、画像特性及び解像度に優れた電子写真感光
体の電荷輸送層用塗布液、それを用いて製造した電子写
真感光体、及び該電子写真感光体の製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、導電性
支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層してなる電
子写真感光体の電荷輸送層を構成するための塗布液にお
いて、該電荷輸送層塗布液の溶媒組成が、オキサンと芳
香族系炭化水素(ベンゼンを除く)とを組み合せたこと
を特徴とする電荷輸送層用塗布液が提供される。
【0009】また、本発明に従って、上記電荷輸送層用
塗布液を用いて製造されたことを特徴とする電子写真感
光体が提供される。
【0010】更に、本発明に従って、上記電荷輸送層用
塗布液を用いて製造することを特徴とする電子写真感光
体の製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。
【0012】電子写真感光体、特に有機電子写真感光体
の場合にはその感光層を形成するために、それらを構成
する各固形材料を溶媒に溶かして塗布するのが一般的な
製造方法である。
【0013】電荷発生と電荷輸送の機能を分離して積層
構造にした積層電子写真感光体の場合、感光層の膜厚の
殆どが電荷輸送層(10〜40μm程度)であり、その
ため、電荷輸送層の塗布液に使う溶媒には、高い溶解
性、適当な沸点をもつことにより感光層内に残留しない
こと、沸点が高すぎて塗布液がダレないことや不純物と
して残留し電子写真特性に悪影響を及ぼさないこと等、
種々の必要特性が求められる。
【0014】最近、電荷輸送層のバインダー樹脂によく
用いられているポリカーボネートやポリアリレート系バ
インダーは、優れたバインダー樹脂として電子写真感光
体の表面層等に用いられてきた。しかし、これらの塗布
溶媒は、メチレンクロライド、エチレンクロライド、ク
ロロホルム、モノクロロベンゼン及びジクロロベンゼン
等の含ハロゲン系の有機溶媒を組み合せたもの又は単体
である場合が多い。
【0015】ハロゲンを含まない有機溶媒としては、ア
セトン、酢酸、メチルエチルケトン、トルエン、テトラ
ヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びシクロヘキサ
ノン等多数あるが、表面層のバインダー樹脂として強度
的に優れているポリカーボネートやポリアリレート系バ
インダーに対して溶解能、塗膜形成時にダレない(適当
な沸点を有する)、更には電子写真感光体となった時に
感度的に優れている、等のあらゆる必要特性を全て満た
す非ハロゲン系溶剤はなかなか見つかっていない。特
に、電荷輸送層の場合、通常膜厚が15μm以上必要と
されるので、高分子化されたポリカーボネートやポリア
リレートをバインダーとして用いる場合等には、これら
高分子の溶解能が十分である必要がある。
【0016】ハロゲンを含まない良溶媒として、分子内
に酸素原子を含む環状エーテルのテトラヒドロフラン等
や酸素原子を2個含むジオキサン等があるが、テトラヒ
ドロフラン等は構造的に不安定なので安定化剤等のトラ
ップとなりうるものを相当量添加しなければならず、ま
た、ジオキサン等は毒性が強く、発癌性の疑いもあり極
力製造工程に投入したくない。
【0017】一方、オキサンは各種バインダー材の溶解
能が高く、沸点も88℃程度で電子写真感光体用の塗布
液の溶媒に適しているものの、実際の電子写真感光体の
製造に当たっては、湿度が高めの塗布条件では塗布後の
白化(ブラッシング)を起こすため、温度湿度を管理す
る必要があり、また、電子写真特性的にも感度が十分と
れない場合があるため、電子写真感光体の製造や性能的
に制約があった。
【0018】本発明者らは、この状況を鋭意検討した結
果、オキサンを中沸点溶媒とし、高沸点溶媒に芳香族系
炭化水素(ベンゼンを除く)を組み合せることにより、
固形分(電荷輸送材やバインダー材等)を広く溶解し、
芳香族炭化水素を含有しているため塗布〜乾燥の工程で
広い温度湿度範囲にわたって白化し難く、かつ、ハロゲ
ン系炭化水素やハロゲン系芳香族炭化水素を好ましく組
み合せた溶媒と同等かそれ以上の電子写真特性を発揮す
ることを見出した。
【0019】なお、この時のオキサンと芳香族系炭化水
素溶媒の混合比は、白化のし易さと乾燥後の膜厚ダレの
関係より所望の混合比を選択でき、通常、オキサン/芳
香族炭化水素=40/60〜95/5(質量比)で、よ
り一般的には50/50〜90/10と広い混合比率で
混合溶媒を構成できる。
【0020】本発明のオキサンは名称の通り、下記の構
造をしている。
【0021】
【化1】
【0022】オキサンは、他の脂肪族炭化水素、アルコ
ール、ケトン、エステル、カルボン酸及びエーテル等の
脂肪族溶媒にはみられない脂肪族炭化水素でありながら
高分子ポリカーボネートやポリアリレート等のバインダ
ー材高分子を溶解せしめることが可能で、かつ、電荷輸
送材等の低分子機能材料をも十分溶解させることができ
る電子写真感光体の塗布液の良溶媒である。また、沸点
も88℃程度と電子写真感光体の塗布溶媒に適した蒸発
特性を備えている。
【0023】一方、一般に芳香族系炭化水素にはベンゼ
ンの様に無置換のものの他に、トルエン、キシレン、ア
ニソール、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾー
ル、モノクロロベンゼン及びジクロロベンゼン等の各種
置換基を有するものも多数ある。この芳香族系炭化水素
は、塗布液の構成溶媒として塗布され、しかる後に高温
乾燥にて溶媒を蒸発により除去される工程をとるので、
蒸発し難い溶媒であれば感光層の中に残留溶媒として存
在し、表面層の塗布液であれば、耐摩耗性の障害とな
る。従って、本発明に係わる芳香族炭化水素は、通常の
乾燥温度とかけ離れた沸点を有するのでは電子写真感光
体用の塗布液の溶媒に適さないので、常圧下で沸点が2
00℃以下であることが好ましい。
【0024】上記の様な沸点を有する芳香族炭化水素の
例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソー
ル及びクロロベンゼン等である。ただしベンゼンは、人
体への悪影響の知見及び後述の白化防止の観点から、本
発明の芳香族系炭化水素には含めない。
【0025】この様な芳香族系炭化水素をオキサンと組
み合せた電子写真感光体の電荷輸送層用の塗布液とする
ことで、脱ハロゲン系溶媒を確立するだけでなく、塗布
〜乾燥時の急激な温度低下を妨げられるため、広い温度
湿度にわたって白化(ブラッシング)が防げ、更に、こ
の組み合せで他の非ハロゲン系溶媒単体や非ハロゲン系
溶媒の組み合せでは見られない良好な電子写真特性(電
子写真感光体の初期から耐久後にわたり高感度、低残留
電位を維持)を発現することが可能となる。
【0026】その理由は定かではないが、電荷発生層の
上に電荷輸送層を積層した電子写真感光体の電荷輸送層
の塗布液の中沸点良溶媒に適当量の芳香族系炭化水素
(蒸発の遅い溶媒)が混合されていることで、芳香族系
炭化水素のポリカーボネートやポリアリレート等のバイ
ンダー材や各種電荷輸送材への高溶解能をもちながら
も、電荷発生層に用いられる樹脂(各種アセタール樹脂
等)を膨潤させることはできても自由に溶解させること
はできない性質のため、電荷発生層と電荷輸送層の界面
を残しつつも、電荷輸送層塗布液は十分に電荷発生層を
濡らすことができるので、結果として非常に広い面積の
電荷発生層/電荷輸送層界面を形成することができ、か
つ、電荷発生材である顔料を覆う樹脂を溶解せしめるこ
とはないこと、等が高感度の一因と考えられる。
【0027】また、芳香族有機化合物であれば、感光層
中に微少量残留しても他の脂肪族飽和炭化水素や極性の
強い有機化合物等に比べて、電荷の電導性や移動性の妨
げになることが幾分小さくなることも期待できる。
【0028】また、よりシビアな電荷輸送層の膜厚管理
(ダレ等)を行う場合は、低沸点溶媒であればバインダ
ー材や電荷輸送材の低溶解度溶媒であってもオキサンに
置換えて、全溶媒質量の〜20%程度まで混合すること
により良化させることができる。 この時、電子写真特
性に悪影響を及ぼす溶媒であってはならない。 これに
該当する低沸点溶媒としては、ジメトキシメタン(沸点
42.5℃)やアセトン(沸点56.1℃)等である。
【0029】本発明のオキサンや芳香族炭化水素の電子
写真感光体中に含まれる残留含有量は電荷輸送層厚、バ
インダーとの親和性、塗布スピード、ドラム径及び工程
プロセス等によって微妙に変わってくるので、実際はド
ラム中の含有量分析によって確認後に生産するのが良
い。含有量制御は、乾燥温度、乾燥時間、乾燥風速及び
風量等の好ましい組み合せにより行われる。
【0030】本発明の塗布溶媒の電子写真感光体中に含
まれる残留含有量の検出は、当業者において良く知られ
ている方法、例えばガスクロマトグラフィー等により定
量できる。
【0031】本発明に特に適した電荷輸送層用塗布液に
溶解させるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート
やポリアリレート等があり、これらのバインダーは公知
であり、各種資料例えば、特開平7−92703号公報
や特開平10−20523号公報等に記述されている。
これらポリカーボネートやポリアリレートの例を以下に
示すが、これらに限定されるものではない。なお、例示
中のn及びmは、重合度(モル比)を表す。
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】オキサンの保存安定性を高めるために酸化
防止剤(AO剤)の添加を行ってもよい。その際、用い
られる酸化防止剤としては、電子写真特性に悪影響を及
ぼすものでなければ特に化学構造等に限定は無い。好ま
しく用いられる化合物の例としては、例えばヒンダード
アミン構造単位もしくはヒンダードフェノール構造単位
を有するもの、あるいはその双方を有するもの、有機リ
ン系化合物、有機硫黄系化合物、ハイドロキノン系化合
物及びフェニルアミン系化合物等があるが、これらに限
定されるものではない。
【0035】(1)ヒンダードフェノール構造単位を有
する化合物例
【0036】
【化4】
【0037】(2)ヒンダードアミン構造単位を有する
化合物例
【0038】
【化5】
【0039】(3)有機リン系化合物例
【0040】
【化6】
【0041】(4)有機硫黄系化合物例 S(C24COOC12252 (3−8) S(C24COOC14292 (3−9)
【0042】(5)ハイドロキノン系化合物例{(3−
10)及び誘導体}
【0043】
【化7】
【0044】好ましい酸化防止剤としては、分子内にヒ
ンダードフェノール構造単位を有するものが、塗布液組
成物の安定性と成膜された電子写真感光体の繰り返し特
性や電位の安定性の点で有利であり、酸化防止剤の異種
混合物を用いてもよい。
【0045】酸化防止剤の添加量は、オキサンに対して
30〜500ppmが好ましく、添加量が少ないと塗布
液の経時劣化が早く、添加量が多すぎると電子写真特性
に悪影響を及ぼす(感度劣化や残留電位の増加等)の
で、所望の液保存期間に応じてできるだけ少ない添加量
にとどめるのが好ましい。
【0046】以下、本発明に用いる電子写真感光体の構
成について説明する。
【0047】本発明における電子写真感光体は、電荷輸
送層と電荷発生層に分離した積層型で、表面層は電荷輸
送層である方がより機能を発現できる。
【0048】使用する導電性支持体は、導電性を有する
ものであればよく、アルミニウムやステンレス等の金
属、あるいは導電層を設けた金属、紙及びプラスチック
等が挙げられ、形状はシート状や円筒状等が挙げられ
る。
【0049】支持体の傷を被覆することを目的とした導
電層を設けてもよい。これは、カーボンブラックや金属
粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成
することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmが好
ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0050】その上に接着機能を有する中間層を設け
る。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、
カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が
挙げられる。これらは、適当な溶剤に溶解して塗布され
る。中間層の膜厚は、0.05〜5μmが好ましく、特
には0.3〜1μmが好ましい。
【0051】中間層の上には、電荷発生層が形成され
る。本発明に用いられる電荷発生層としては、電荷発生
材料及びバインダー樹脂を溶剤中に分散させた塗料を塗
工乾燥して形成する。機能分離型の場合、電荷発生層は
電荷発生材料をバインダー樹脂及び溶剤と共にホモジナ
イザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サ
ンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速
分散機等の方法でよく分散する。
【0052】ここで用いる電荷発生材料としては、ピリ
リウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アン
トアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シ
アニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン
及び非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。バイ
ンダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ
アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキ
シ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリア
リレート樹脂、塩化ビニルデン、ポリビニルベンザール
樹脂及びポリブチラール樹脂等が主として用いられる。
顔料とバインダー樹脂の比率(質量比)は、1/0.1
〜1/10が好ましく、より好ましくは1/1〜3/1
である。分散液を塗布、乾燥させて形成される電荷発生
層の膜厚は、5μm以下が好ましく、特には0.1〜2
μmが好ましい。
【0053】電荷輸送層は、主として電荷輸送材料とバ
インダー材とを本発明に基づく混合溶媒中に溶解させた
塗料を塗工/乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材
料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン
化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキ
サゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物及びチ
アゾール系化合物等の低分子化合物が挙げられる。電荷
輸送層のバインダー樹脂としては例えば、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリレート樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−
アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エス
テル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体
樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。電荷輸送材は0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組
み合わされ塗工、乾燥し電荷輸送層を形成する。電荷輸
送層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、特には15〜
30μmが好ましい。
【0054】次に、電子写真感光体の近傍の構成につい
て説明する。
【0055】図1に電子写真感光体を有する接触帯電方
式の電子写真装置の一例を示した。本例は転写式複写機
もしくはプリンタであり、電子写真感光体1、帯電ロー
ラ2、現像器4及びクリーニングブレード8がプロセス
カートリッジ枠体9の中に組み込まれたカートリッジ方
式の場合の例である。
【0056】1は本発明の対象となっている電子写真感
光体でドラム型のものである。この電子写真感光体1
は、矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をも
って回転駆動される。
【0057】帯電手段としての接触帯電部材は、帯電ロ
ーラ2である。この帯電ローラ2は、該帯電ローラに圧
接した電子写真感光体1の回転に従動して回転し、バイ
アス電源(不図示)からAC電圧を重畳されたDC電圧
が印加される。この帯電ローラ2により電子写真感光体
1の周面が所定の極性/電位に一様に帯電される。その
電子写真感光体1の帯電処理面に、不図示の露光手段
(レーザービームスキャナ等)により目的画像情報の露
光光3がなされて、電子写真感光体1面に目的画像情報
に対応した静電潜像が形成されていく。
【0058】その形成静電潜像は、現像器4内の荷電粒
子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子
像(トナー像)として顕画化される。
【0059】次いで、そのトナー像は、電子写真感光体
1と該電子写真感光体に圧接している転写ローラ5との
間に給送された転写材6に転写される。この時、転写ロ
ーラ5には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有
電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加されている。
【0060】トナー像転写を受けた転写材6は、電子写
真感光体1面から分離されて定着ローラ7へ搬送されて
トナー像の定着処理を受ける。
【0061】トナー像転写後の電子写真感光体1面は、
クリーナー(クリーニングブレード)8により転写残り
トナー等の付着物の除去を受け、全工程を終了する。
【0062】
【実施例】以下に、本発明を実施例に従って詳細に説明
する。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
【0063】(実施例1)28℃/70%RHの環境下
で、30φ×358mmのアルミニウムシリンダーを支
持体とし、それに、以下の材料より構成される塗布液を
支持体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分間熱硬
化、乾燥させることにより、膜厚が15μmの導電層を
形成した。
【0064】 導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部 抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部 バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部 レベリング材:シリコーンオイル 0.001部 溶剤:メタノール/メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
【0065】次に、この上にN−メトキシメチル化ナイ
ロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/
n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した塗工液を浸
漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0066】次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角
2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°及
び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフ
タロシアニン(TiOPc)4部及びポリビニルブチラ
ール(商品名:エスレックBM2、積水化学工業製)2
部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズ
を用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルア
セテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製し
た。これを浸漬法で塗布し、膜厚が0.2μmの電荷発
生層を形成した。
【0067】次に、下記構造式(4)
【0068】
【化8】 の電荷輸送材10部及び、ポリカーボネート樹脂(商品
名:Z−400、三菱エンジニアリングプラスチックス
社製)10部をオキサン50部/トルエン(沸点11
0.6℃)30部の混合溶媒に溶解させて電荷輸送層用
塗布液とした。
【0069】この塗布液で浸漬法で塗布(塗布速度一
定)し、120℃で1時間乾燥することによって、膜厚
が28μm(中心付近)の電荷輸送層を形成した。この
時、乾燥後の電荷輸送層を光学顕微鏡で観察して微小泡
が多数観察された場合は白化:×、見られないものは白
化:○とした。結果を表2に示した。
【0070】更に、電荷輸送層の(未塗布側)上端から
180mmの位置(電子写真感光体のほぼ中心)と同2
0mmの位置の膜厚差を測定し、膜厚差が9μm未満の
場合をダレ:○、9μm以上の場合をダレ:×と評価し
た。結果を表2に示した。
【0071】次に、機械を用いた評価について説明す
る。
【0072】装置は、キヤノン製LBP−930 (プ
ロセススピード106mm/秒の初期設定を倍速の21
2mm/秒に、レーザー照射部にフィルターをつけ、レ
ーザー光量は通常の50%まで弱めた設定に改造した)
及びそのプロセスカートリッジを用いた。
【0073】作製した電子写真感光体をこの装置で常温
常湿(23℃/60%RH程度)の環境下でレター紙耐
久を行い、シーケンスはプリント1枚ごとに1回停止す
る間欠モードで、印字率は2%の文字画像で、初期と2
000枚後の明部電位(Vl)を測定した。結果を表2
に示した。
【0074】(実施例2〜13)表1に記載されたN
o.2〜13の電荷輸送層の溶媒組成であること、酸化
防止剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェノール)の添加の有無と電荷輸送層の膜
厚を26μmに代えたこと以外は、実施例1と同様にし
て電子写真感光体を作製し、白化、ダレと耐久前後の感
度(Vl)を評価/測定した。結果を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】(比較例1〜7)表3に記載されたNo.
1〜7の電荷輸送層の溶媒組成であることと電荷輸送層
の膜厚を26μmに代えたこと以外は、実施例1と同様
にして電子写真感光体を作製し、白化、ダレと耐久前後
の感度(Vl)を評価/測定した。結果を表4に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】(実施例14〜16)表5に記載されたN
o.14〜16の電荷輸送層の溶媒組成であること、電
荷輸送層用のバインダー樹脂に前記(2−2)のポリア
リレート樹脂(Mw=10万)を使用し、電荷輸送層の
膜厚を26μmに代えたこと以外は、実施例1と同様に
して電子写真感光体を作製し、白化、ダレと耐久前後の
感度(Vl)を評価/測定した。結果を表6に示す。
【0081】(実施例17)表5に記載されたNo.1
7の電荷輸送層の溶媒組成であること、電荷輸送層用の
バインダー樹脂に前記ポリカーボネート樹脂Z−400
と前記(2−2)のポリアリレートを1:1(質量比)
の比率で混合して使用したこと、電荷輸送層の膜厚を2
6μmに代えたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作製し、白化、ダレと耐久前後の感度(V
l)を評価/測定した。結果を表6に示す。
【0082】(実施例18)表5に記載されたNo.1
8の電荷輸送層の溶媒組成であること、電荷輸送層用の
バインダー樹脂にポリメチルメタクリレート(Mw=1
0万)を使用し、電荷輸送層の膜厚を26μmに代えた
こと以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作
製し、白化、ダレと耐久前後の感度(Vl)を評価/測
定した。結果を表6に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】また、実施例No.1〜7の電荷輸送層用
塗布液を調合後12ヶ月後に外観を観察すると、酸化防
止剤が添加されている実施例5〜7に変化は見られなか
ったが、無添加の実施例1〜4は僅かに黄色味が増加
し、環状エーテル溶媒の劣化を示唆する結果となった。
【0086】
【発明の効果】オキサンと芳香族系炭化水素溶媒(ベン
ゼンを除く)を組み合せて電荷輸送層用塗布液の溶媒と
して用いることにより、固形分の十分な溶解能、白化し
ない温度湿度範囲が広いこと、膜厚のダレが少ないこ
と、更には電子写真感光体として十分な特性を有するこ
と、というハロゲン系溶媒でなければ困難であった電荷
輸送層用の溶媒に求められる各種特性を、本発明はハロ
ゲン系溶媒に限定されない溶媒構成で全て満たすことが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置
の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体 2 帯電ローラ 3 露光光 4 現像器 5 転写ローラ 6 転写材 7 定着ローラ 8 クリーニングブレード 9 プロセスカートリッジ枠体 10 プロセスカートリッジガイド

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
    層とを積層してなる電子写真感光体の電荷輸送層を構成
    するための塗布液において、該電荷輸送層塗布液の溶媒
    組成が、オキサンと芳香族系炭化水素(ベンゼンを除
    く)とを組み合せたことを特徴とする電荷輸送層用塗布
    液。
  2. 【請求項2】 前記芳香族系炭化水素の沸点が200℃
    以下(1気圧下で)である請求項1に記載の電荷輸送層
    用塗布液。
  3. 【請求項3】 前記オキサンと芳香族系炭化水素の混合
    比率が50/50〜90/10(質量比)である請求項
    1又は2に記載の電荷輸送層用塗布液。
  4. 【請求項4】 電荷輸送層用塗布液にバインダー樹脂が
    溶解され、該バインダー樹脂がポリカーボネートを含有
    する請求項1〜3のいずれかに記載の電荷輸送層用塗布
    液。
  5. 【請求項5】 電荷輸送層用塗布液にバインダー樹脂が
    溶解され、該バインダー樹脂がポリアリレートを含有す
    る請求項1〜3のいずれかに記載の電荷輸送層用塗布
    液。
  6. 【請求項6】 前記電荷輸送層用塗布液に酸化防止剤が
    含有されている請求項1〜5のいずれかに記載の電荷輸
    送層用塗布液。
  7. 【請求項7】 前記酸化防止剤がヒンダードフェノール
    構造単位を有する請求項6に記載の電荷輸送層用塗布
    液。
  8. 【請求項8】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
    層とを積層してなる電子写真感光体において、該電荷輸
    送層を請求項1〜7のいずれかに記載の電荷輸送層用塗
    布液を用いて製造されたことを特徴とする電子写真感光
    体。
  9. 【請求項9】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
    層とを積層してなる電子写真感光体の製造方法におい
    て、該電荷輸送層を請求項1〜7のいずれかに記載の電
    荷輸送層用塗布液を用いて製造することを特徴とする電
    子写真感光体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003029447A (ja) * 2001-07-16 2003-01-29 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真感光体の製造方法

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