JP2001343461A - 核医学診断装置及び減弱補正方法 - Google Patents
核医学診断装置及び減弱補正方法Info
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Abstract
射を行わず、また、通常検査と同じデータ収集時間で減
弱補正を行い得る核医学診断装置及び減弱補正方法を提
供する。 【解決手段】 本発明に係る核医学診断装置及び減弱補
正方法は、二種以上の異なるエネルギを有する放射線を
発する放射性同位元素を被検体に投与することを一義的
に特徴とする。そして、被検体における減弱の影響を受
けた放射線データを、前記エネルギの別に応じて収集す
るデータ収集し、当該エネルギの別に応じ前記減弱の影
響の程度が異なることに基づき、前記放射線データに関
する当該減弱を補正するための係数を求める。後は、こ
の減弱補正係数を用いて前記放射線データを補正する。
なお、放射線データではなく、再構成後の画像データを
補正するようにしてもよい。
Description
び減弱補正方法に関するものである。
I」と略すことがある)により標識した薬剤を被検体内
に投与し、当該RIから放射されるガンマ線を検知・計
測した結果に基づいて、当該RIの被検体内における分
布の様子を画像化する核医学診断装置が提供されてい
る。特に、前記画像を、三次元分布画像(断層像)とし
て撮影する装置ないし手段としては、SPECT(Sing
le Photon Emission Computed Tomography)装置が広く
知られている。このような画像により、装置使用者ない
し術者は、外科的手段によることなく被検体内部の様子
を確認することができる。
マ線を検知・計測するため、いわゆる「放射線検出部」
を搭載することが必須である。この放射線検出部は、ガ
ンマ線の入射を受け、その入射位置及びエネルギを反映
しつつ、これを電気信号に変換するという機能を基本的
に備えるものである。
シンチレータ(例えばNaI結晶から構成される)及び
光電増倍管を主とした構成からなるものが広く利用され
ていた。これによれば、コリメータを介して入射したガ
ンマ線がシンチレータにより光信号に変換され、この光
信号が光電増倍管により電気信号に変換される。シンチ
レータでは、ガンマ線の入射位置及びそのエネルギが判
明するから、前記電気信号はこれらの情報を反映したも
のとなっている。したがって、この電気信号を投影デー
タとして収集し、これを再構成すれば被検体の断層像を
得ることができる。
射線検出部におけるガンマ線検知及び電気信号への変換
に関しては、次のような問題点があった。すなわち、被
検体から発せられるガンマ線は、一般に、当該被検体内
におけるコンプトン散乱及び光電効果等に起因する「減
弱」の影響を受けており、このため取得される電気信号
ないしは投影データは、必ずしも被検体におけるRI分
布を正確に反映したものとはなっていなかった。
は、被検体の外部からRI線源やX線源を照射すること
により、当該被検体内における減弱係数分布を求め、こ
れに基づき減弱を補正する手法が提案されていた。
学診断装置の機能とは別に、(1)RI線源やX線源を
別途用意する必要があり、(2)被検体に対する被曝量
が増大する等の問題がある。また、後者に関しては、被
検体だけでなく、場合により装置を使用する技師や医師
に対する放射線被曝量を増大させる可能性もある。さら
に、(3)減弱係数分布を求めるためのデータ収集を、
画像を作成するための通常のデータ収集とは別に実施す
ると、全体としてデータ収集時間が長くなるという問題
点もあった。
であり、その目的とするところは、本発明は、RI線源
やX線源による被検体外部からの照射を行わず、また、
通常検査と同じデータ収集時間で減弱補正を行い得る核
医学診断装置及び減弱補正方法を提供することにある。
するために以下の手段をとった。すなわち、請求項1記
載の核医学診断装置は、被検体における減弱の影響を受
けた放射線を検知する放射線検出手段と、前記放射線の
検知に対応して前記放射線検出手段から出力される放射
線データに基づき画像を作成する画像作成手段とを少な
くとも備えた核医学診断装置において、二種以上の異な
るエネルギを有する放射線を発する放射性同位元素を使
用するとともに、前記放射線データを前記エネルギの別
に応じて収集するデータ収集手段と、前記エネルギの別
に応じ前記減弱の影響の程度が異なることに基づき、前
記データ収集手段のデータ収集結果から当該減弱を補正
するための係数を求める減弱補正係数演算手段とを有す
ることを特徴とするものである。
請求項1記載の同装置において、前記放射線データが前
記被検体周囲を回転する前記放射線検出器の当該回転に
応じて取得されることを特徴とする。
は、請求項1又は2記載の同装置において、前記被検体
を挟んで、ある方向に関し対向する関係にある放射線デ
ータに関しては、これらの幾何学平均値をもって当該方
向に関する放射線データとすることを特徴とする。
は、請求項1乃至3のいずれかに記載の同装置におい
て、前記放射線データに対し、散乱線補正処理を実施す
ることを特徴とし、請求項5記載の核医学診断装置は、
請求項4記載の同装置において、前記散乱線補正処理
は、前記エネルギの別に応じ選択的に実施又は不実施す
ることを特徴とする。
置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の同装置におい
て、前記放射線データに対し、前記減弱補正係数たる
「減弱係数の投影データ」に基づく補正を行う減弱補正
手段を有することを特徴とし(請求項6)、前記放射線
データに基づき前記画像作成手段が再構成した画像デー
タに対し、前記減弱補正係数たる「減弱数」に基づく補
正を行う減弱補正手段を有することを特徴とする(請求
項7)ものである。
射線を検知する放射線検出手段と、前記放射線の検知に
対応して前記放射線検出手段から出力される放射線デー
タに基づき画像を作成する画像作成手段とを備えた核医
学診断装置における減弱補正方法であって、二種以上の
異なるエネルギを有する放射線を発する放射性同位元素
を使用して、前記被検体における減弱の影響を受けた前
記放射線データを、前記エネルギの別に応じて収集する
データ収集工程と、前記エネルギの別に応じ前記減弱の
影響の程度が異なることに基づき、前記放射線データに
関する当該減弱を補正するための係数を求める工程と、
前記減弱補正係数を用いて前記放射線データを補正する
工程と、からなることを特徴とするものである。
射線を検知する放射線検出手段と、前記放射線の検知に
対応して前記放射線検出手段から出力される放射線デー
タに基づき画像を作成する画像作成手段とを備えた核医
学診断装置における減弱補正方法であって、二種以上の
異なるエネルギを有する放射線を発する放射性同位元素
を使用して、前記被検体における減弱の影響を受けた前
記放射線データを、前記エネルギの別に応じて収集する
データ収集工程と、前記画像作成手段により前記放射線
データから画像データを再構成する工程と、前記エネル
ギの別に応じ前記減弱の影響の程度が異なることに基づ
き、前記画像データに関する当該減弱を補正するための
係数を求める工程と、前記減弱補正係数を用いて前記画
像データを補正する工程と、からなることを特徴とする
ものである。
請求項8又は9記載の同方法において、前記放射線デー
タが前記被検体周囲を回転する前記放射線検出器の当該
回転に応じて取得されることを特徴とする。
請求項8乃至10のいずれかに記載の同方法において、
前記被検体を挟んである方向に関し対向する関係にある
放射線データに関しては、前記データ収集工程の後に、
これらの幾何学平均値をもって当該方向に関する放射線
データとする工程を挿入することを特徴とし(請求項1
1)、請求項12記載の減弱補正方法は、請求項11記
載の工程の後、更に、前記放射線データに対し、散乱線
補正処理を実施する工程を挿入することを特徴とするも
のである。
形態について図を参照しつつ説明する。図1は、本第一
実施形態に係る核医学診断装置の構成例を示す概要図で
ある。図1において、核医学診断装置は、放射線検出部
(放射線検出手段)1、データ収集部2、減弱補正係数
演算部3、減弱補正部4、再構成部(画像作成手段)5
及び画像表示部6から構成されている。
チレータ12及び光電子増倍管13からなっており、該
放射線検出部1全体は、図示しない回動アームに支持さ
れて、被検体P周囲を、図中矢印Aに示すように、回転
することが可能となっている。
材質(例えば、鉛等)により構成され、隔壁11aによ
って複数に区分けされた開口部11bを有する形態とな
っている。被検体P内に投与された放射性同位元素から
発せられたガンマ線は、この開口部11bを介して後段
のシンチレータ12に到達する。
より構成され、前記コリメータ11を介して到達したガ
ンマ線を受けこれを光信号に変換し、光電増倍管13
は、シンチレータ12から発せられた光信号を受けこれ
を電気信号に変換するものである。ここで、この電気信
号は、その由来となった前記ガンマ線が、放射線検出部
1(ないしシンチレータ12)におけるどの位置におい
て検知ないし計数されたものであるか、また、当該ガン
マ線が如何なるエネルギを有するものか、の各々を表象
する位置情報及びエネルギ情報を含むものである。
1台のみ設けられる形態が示されているが、場合によっ
ては、周知のようにこれを2台設けるような形態として
よい。本発明は、この点に関し、特に拘泥されるもので
はない。
ら出力される電気信号を受け取り、これを投影データ
(放射線データ)として収集する。本第一実施形態にお
いては、以下にも述べるように、ガンマ線のエネルギに
応じて、投影データの収集を別個に行う。ここに「エネ
ルギに応じて」とは、前記電気信号に含まれるエネルギ
情報を参照することに基づき行われることは言うまでも
ない。図1では、本データ収集部2が、「低エネルギ」
に関する投影データ及び「高エネルギ」に関する投影デ
ータの二種についての収集を行う、として示した。
部2における投影データの収集結果に基づいて、ガンマ
線に関する減弱補正係数を演算する。ここに、「減弱」
とは、ガンマ線が被検体P内を通過するに際して、コン
プトン散乱したり、光電効果を生じること等によって、
そのデータとしての定量性に劣化をきたす現象をいう。
また、この減弱の「度合い」ないし「程度」は、一般
に、ガンマ線エネルギの高低に応じ、小さく又は大きく
なることが知られている。つまり、ガンマ線エネルギが
高ければ減弱の度合いは小さく、その逆であれば減弱の
度合いは大きい。そして、この減弱の程度を定量的に表
すのが「減弱係数」である。減弱補正係数演算部3は、
いま述べた「減弱」の性質及び上記した二種のエネルギ
のガンマ線に関するデータ収集結果に基づき、減弱の影
響を受けた投影データを、正確な投影データの値に補正
するための減弱補正係数を求める(その作用について
は、後に詳述する)。
3の演算結果としての減弱補正係数に基づいて、実際に
測定された投影データを補正する。換言すれば、減弱が
なければ本来得れれたであろう投影データを得ることを
目的として、実際に測定されたデータが受けている減弱
(の度合い・程度)を無視し得るように補正するという
ことである。このとき、補正される投影データは、デー
タ収集部2において収集された高低いずれか一方のデー
タに関するものであればよい。
により補正された投影データに基づいて、被検体P内に
存在するRIの三次元分布に関する断層像を再構成し、
画像表示部6は、この再構成された断層像を表示する。
4及び再構成部5等は、図1に示すように、互いにデー
タの交換等を行うことを可能とするデータバスBにより
接続されている。本第一実施形態においては、上の説明
からもわかるように、データ収集部2からの投影データ
が、減弱補正係数演算部3に出力されるとともに、減弱
補正部4にも出力される。また、減弱補正係数(本第一
実施形態では、後述するように「減弱係数の投影デー
タ」)は、減弱補正係数演算部3から減弱補正部4へ、
減弱補正部4において補正された投影データは、再構成
部5へ、と各々送出されることになる。
置の作用効果について、図2フローチャートに沿った説
明を行う。
おいては、被検体Pに投与する放射性同位体が、複数の
異なるエネルギのガンマ線(X線を含む、以下同じ)を放
出する性質を備えている必要がある。例えば、Tl−2
01がそれに該当し、この場合においては、図3に示す
ように、71keV付近に複数のHg-201の特性X線か
らなるピークと、135keV、167keVに光電ピ
ークを有するものとなっている。大きく捕らえれば、図
3中、符号P1及びP2を付して示したように、エネル
ギレベル71keVと167keVの二種のガンマ線を
放出するものと見ることができる。
マ線の放出割合は既知であり、いかなる外部要因にも左
右されないことも知られている。つまり、71keVの
ガンマ線放出と167keVのそれとは、ある一定の比
例係数を導入すれば規定することのできる、単純な比例
関係にある。
明では、被検体Pに投与する放射性同位体を上記Tl−
201とする場合の一例について説明する。
l−201から発せられるガンマ線を、図1に示した放
射線検出部1により受け取り、これをシンチレータ12
によって光信号に変換し、かつ、該光信号を光電子増倍
管13によって電気信号に変換する。この電気信号は、
上述したように、位置情報とエネルギ情報を含む信号で
ある。
ップS2に示すように、放射線検出部1より出力された
電気信号が、そのエネルギ情報に基づいて、高低いずれ
のエネルギに該当するものであるかを選別するととも
に、この別に応じて当該電気信号を投影データとして収
集する。いまの場合においては、図3に示したように、
Tl−201が71keV近傍のエネルギを有するガン
マ線と、167keVのエネルギを有するガンマ線とを
放出するから、前者が「低エネルギ」に関する投影デー
タとして、後者が「高エネルギ」に関する投影データと
して収集されることになる(図1参照)。
形態において、被検体Pの全周囲に関し行われる。つま
り、放射線検出部1は、図1に示す矢印Aの方向への順
次移動を繰り返し、かつ、その軌道上の各点で適宜静止
しつつ、上記投影データ収集関連の作業が行われること
になる。ここで、上述したように、放射線検出部1を2
台設けるような構成とする場合には、各々分担してデー
タ収集を行うようにしてよいことは勿論である。
投影データの収集が、各エネルギ別に完了したら、減弱
補正係数演算部3は、これら収集した投影データに基づ
き減弱補正係数を算出する。本第一実施形態において
は、この減弱補正係数の算出に際して、まず、図2ステ
ップS3に示すように、180°対向する投影データに
関する幾何学平均の算出を行う。すなわち、図1に示す
ように、角度θの方向に放射線検出部1が位置した際に
得られた投影データをP(θ)、これと正反対の方向に
放射線検出部1が位置した際に得られた投影データをP
(θ+180°)とすれば、 Pa=√(P(θ)・P(θ+180°)) … (1) なる、両者の幾何学的平均値Paを求める。
なわち、図4に概念的に示すように、被検体P内のある
対象点Hに関する投影データは、当該点Hに存在するT
l−201から発したガンマ線をθ方向位置で観察する
か、θ+180°方向位置で観察するか(あるいは一般的
に、φ≠θなる方向位置で観察するか)に応じて各々異
なったものとなる。これは端的に、図4に示す経路L
(θ)及びL(θ+180°)の長さの相違に起因して、両
者間で減弱の影響が異なるからである。したがって、同
じ対象点Hに関するものといえども、投影データP(θ)
のみに基づいて、後に説明する減弱補正係数演算ないし
画像再構成を行う場合と、投影データP(θ+180°)のみ
に基づいてそれを行う場合とでは、一般に、異なる結果
が得られることとなり、いずれにしても、RI分布の様
子を正確に反映したものとはいえないものとなる。
タP(θ)と投影データP(θ+180°)の幾何学平均をとれ
ば、上記減弱の影響の相違を軽減することが可能とな
る。というのも、図4によれば、(1)式の計算は、経
路L(θ)及び経路L(θ+180°)の両経路を合わせた
「全経路L」を考慮した投影データPaを求めることに
なるからである。なお、この点に関しては、ポジトロン
放射核種によるペアガンマ線の性質を利用し同時計数測
定を行うPET(Positron Emission
Tomography)と同様な性質であるといえ
る。
分布がどのようなものであっても、その分布如何によっ
て影響を受ける投影データの相違をほぼ完全に無視する
ことができる。換言すれば、「RI分布の位置(深さ)
による減弱の変化」を軽減することが可能となる。
エネルギの高低に応じて収集されていたから、上記(1)
式の計算はそれらの別に応じて実施されることになるの
は言うまでもない。つまり、本第一実施形態では、
(1)式に基づき、エネルギが71keV及び167k
eVであるガンマ線に関する投影データPa71及びP
a167のぞれぞれが求められることになり、 Pa71=√(P71(θ)・P71(θ+180°)) … (2) Pa167=√(P167(θ)・P167(θ+180°)) … (3) である。
a71及びPa167については、一般的に、以下の関
係式が成立する。 Pa71=Pt√(exp(−Ta71)) … (4) Pa167=Pt√(exp(−Ta167)) … (5) ここで、Ptは、本発明が目的とするところの求めるべ
き投影データ(以下、単に「真の投影データ」という)
を表し、Taは、「減弱係数の投影データ」(減弱補正
係数)を表す。
えれば、減弱の影響がないとした場合に、本来得られる
べき投影データのことである。また、「減弱係数の投影
データ」とは、被検体P内の任意の点で措定される減弱
係数μ*について、これらが積算され「投影データ」と
して得られたものであることを意味している。すなわち
例えば、図4を参照しつつ言うと、ここにいう「減弱係
数の投影データTa」とは、「経路Lに沿った減弱係数
μ*の積分値」と観念される。なお、Taにおける添え
字「71」及び「167」は、それぞれエネルギが71
keV及び167keVのガンマ線に関するものである
ことを示している。
投影データPa71及びPa167は、真の投影データ
Ptが指数関数的な減弱を受けた結果得られるものであ
ることわかる。逆に言えば、減弱係数の投影データTa
71又はTa167が判明すれば、それに基づき、
(4)又は(5)式からPtが求まることがわかる。
たように単純な比例関係にあるから、一般に、 Pa71=Kτ・Pa167 … (6) が成立する。ただし、以下では、説明の便宜上、Kτ=
1とした説明を行うこととする。
の式が成立する。 m=μ167/μ71 … (7) ここでも添え字「71」及び「167」の意味は、上記
と同様である。
マ線の減弱の程度ないし度合いを表しており、したがっ
て、これらは既知の数値であって所与のものである。ま
た、このことから明らかに、mも既知の値として考える
ことができる。さらに、この(7)式から、上記した減
弱係数の投影データTa71及びTa167について
も、 m=Ta167/Ta71 … (8) が成立する。
びμ167の値は、μ71=0.187、μ167=
0.146であるが、本第一実施形態においては、この
減弱係数μに代えて、「経験的に」得られている減弱係
数値(以下、「経験値」という)μ+をあて、これを使用
するようにしてよい。この経験値μ+とは、装置使用者
等が実際に核医学診断装置を使用する上で経験的に取得
した減弱係数の値であって、被検体Pについて適用する
に際し、より確からしい減弱係数の値のことをいうもの
である。その背景としては、被検体Pに関する減弱係数
μ*が、当該被検体P固有の影響(例えば、後述するよ
うに「散乱」)を受けているため、厳密には、「水に対
する減弱係数μ」がそのまま該当することがない(μ*
≠μ)ことによる。具体的には例えば、μ167の経験
値μ+167は、“0.10”等として使用されてい
る。なお、本第一実施形態においては、いま述べた事情
から明らかなように、減弱係数μを使用するよりも、経
験値μ+を使用するほうが好ましいといえよう。
な一般的な関係を有する各数Pa71及びPa167、
Ta71及びTa167、m等に基づいて、減弱係数の
投影データTa71について、以下のような関係式を導
ける。まず、 α=Pa167/Pa71 … (9) なるαを仮定すると、(4)及び(5)式と、(8)式
の代入により、 α=Pt√(exp(−Ta71・m))/Pt√(e
xp(−Ta71)) よって、 α=√(exp(−Ta71・m)/exp(−Ta71)) … (10) この(10)式の両辺について対数をとると、 logα=1/2((−Ta71・m)−(−Ta7
1))=(Ta71/2)・(1−m) これをTaについて解けば、 Ta71=2logα/(1−m) … (11) が得られる。
に代入することにより、減弱係数の投影データTa71
を求めることができる。ここで、α=Pa167/Pa
71だから、このαは、上記した(2)及び(3)式か
ら容易に求まり、また、mは上記したように既知である
から、減弱係数の投影データTa71は簡単に求まるこ
とになる。
数演算部3が、上記した(7)式及び(9)式、並びに
(11)式によって、減弱係数の投影データTa71を
求めることを示している。そして、この投影データTa
71が求まったら、減弱補正部4は、図2ステップS5
に示すように、上記(4)式に基づいて、真の投影デー
タPtを求める。この処理はすなわち、Pa71なるい
わば「生の」投影データに対し、減弱係数の投影データ
Ta71に基づく補正処理をなして、真の投影データP
tを求めるということに実質的に同義である。
うに、再構成部5が、補正後の投影データであるPtを
用いて断層像を再構成し、これを画像表示部6において
表示するようにすればよい。
弱の影響を排除した投影データに基づき、断層像を再構
成することができるから、被検体Pに関する、より正確
な情報を取得することができる。特に、上記第一実施形
態によれば、従来のように、RI線源やX線源による被
検体外部からの別途の照射を必要としないから、被検体
等に対する被曝量を増大させるといった不具合がなく、
また、通常検査と同じデータ収集時間で減弱補正を実施
することができる。
て説明する。本第二実施形態では、上記第一実施形態に
おいては、投影データに関し減弱補正を行っていたのに
代えて、未補正の投影データに基づき断層像再構成処理
を行うことで画像データを取得し、当該画像データにつ
いて減弱補正を行う点で相違している。したがって以下
では、この点について詳細な説明を行う。なお、その他
装置構成やデータ収集処理等については、上記と同様で
あるので、その説明を省略する。
に示すように、放射線検出部1によるガンマ線の検知、
電気信号への変換、投影データのエネルギ別による収集
及び180°対向する投影データの幾何学平均値算出に
関する処理は、図4にて説明したのと全く同様に行われ
る(図5ステップS1、S2及びS3)。
に、これら収集された二種の投影データに基づいて、各
々、断層像再構成処理を行う。つまり、再構成部5は、
第一実施形態とは異なり、未補正の投影データに基づい
て再構成処理を行う。この処理により、71keV及び
167keVの各々に関し、画像データM71(x,y)
及びM167(x,y)が得られる。ここに、x及びy
は、断層像上における座標値を表す。
来得られるべき真の画像データを、T71(x,y)及び
T167(x,y)とし、かつ、これらM71(x,y)及
びM167(x,y) 又はT71(x,y)及びT167
(x,y)なる様式に合わせ、後者から前者への減弱の影
響を示す数(減弱補正係数、以下「減弱数」という)
を、A71(x,y)及びA167(x,y)とすれば、 M71(x,y)=T71(x,y)・A71(x,y) … (12) M167(x,y)=T167(x,y)・A167(x,y) … (13) なる関係が成立する。
T167(x、y)の関係は、 T71(x,y)=Kt・T167(x,y) … (14) とできる。なぜなら、上述したように、エネルギ71k
eVを有するガンマ線放出と、エネルギ167keVを
有するそれとは、単純な比例関係にあるからである。
7(x,y)については、以下の関係がある。すなわちま
ず、水に対する減弱係数μについては、上記した(7)
式の関係があることから、 Ka=√(μ71/μ167) … (15) なるKaを導入できる(つまり、m=(1/K
a)2)。このとき、この(15)式におけるμ71及
びμ167として、上述した経験値μ+71及びμ+16
7を用いる方が好ましいことは、上記第一実施形態と同
様である。
180°対向する投影データの幾何学平均値に基づいて
行われていることにより、「RI分布の位置(深さ)に
よる減弱の変化」がないものと仮定することができるこ
とから、上記減弱数A71(x、y)及びA167(x、
y)は、一般的に、(15)式のKaを用いて、 A71(x,y)=A167(x,y)Ka … (16) と表すことができる。
(x,y)は次のように求まる。まず、(12)式及び
(13)式の辺々を互いに除し、かつ、(14)式を代
入すれば、 M71(x,y) /M167(x,y)=Kt・(A71(x,y) /A167(x ,y)) … (17) となる。次に、この式をA167(x,y)について解
き、これに(16)式を代入すれば、 A71(x,y)=((M167(x,y)・Kt・A7
1(x,y))/M71(x,y))Ka すなわち、 A71(x,y)1-Ka=((M167(x,y)・Kt)
/M71(x,y))Ka よって、 A71(x,y)=((M167(x,y)・Kt)/M71(x,y))(Ka/1-Ka ) … (18) となる。
既知であるKa及びKt、並びに、M71(x,y)及び
M167(x,y)を代入すれば、求めることができ
る。なお、この(18)式は、明らかなように、上記第一
実施形態における(11)式に相当するものとなる。
基づく演算が、減弱補正係数演算部3において実行され
る。そして減弱数A71(x,y)が求まったら、減弱補
正部4は、図5ステップT3に示すように、上記(1
2)式に基づいて、真の画像データT71(x,y)を
求める。後は、この真の画像データT71(x,y)を用
いて、画像表示部6において表示するようにすればよ
い。
投影データを減弱補正の対象とするのではなく、画像デ
ータ自体を減弱補正の対象とするが、その効果は、上記
第一実施形態に関し述べたのと同様な効果を享受し得る
ことが明らかである。
なることから、上記説明からも明らかなように、図1に
示す減弱補正係数演算部3、減弱補正部4及び再構成部
5における作用が、上記第一実施形態とは異なることと
なる。具体的には、図1に示すデータバスBを介して、
データ収集部2からの投影データが再構成部5へ出力さ
れ、再構成部5からの画像データが、減弱補正係数演算
部3に出力されるとともに、減弱補正部4にも出力され
る。また、減弱補正係数(本第二実施形態では、「減弱
数」)は、減弱補正係数演算部3から減弱補正部4へ、
減弱補正部4において補正された画像データは、画像表
示部6へと送出されることになる。
て説明する。本第三実施形態では、上記第一実施形態で
説明した処理に加え、得られた投影データに関する散乱
線補正処理を加える点で異なる。
られたガンマ線が散乱することによって、ガンマ線の計
数が余計にカウントされることによる弊害を除去するた
め、この余計なガンマ線散乱成分を収集したデータから
除去する処理を言う。このような散乱線補正処理を行え
ば、より正確な投影データが取得されることになるか
ら、本発明に係る減弱補正を行う上でも有効となること
は明白である。
えば、上記(7)及び(15)式を用いることの信頼性
が高まるという効果を得ることができる。すなわち、こ
れらの式においては、上述したように、減弱係数μとし
て経験値μ+を使用するのが好ましいとしていたが、上
記散乱線補正処理を行うことにより、得られる投影デー
タは真の分布に近づくから、水に対する減弱係数μをそ
のまま使用しても特に問題が生じないこととなるからで
ある。無論このような場合においては、経験値μ+を用
いるよりも、本発明に係る減弱補正の精度が高まること
が期待できるのは言うまでもない。
減弱補正処理の流れの中において、この散乱線補正処理
を行う時点は、図2及び図5に記号Aにて示したポイン
トとなる。
特公平7‐69428号公報で開示されているTEW
(Triple Energy Window)法を用
いることができる。このTEW法とは、図6に示すよう
に、1つの光電ピークに関して3つのウインドウW1,
W2及びW3を設定し、これら各々のウインドウW1,
W2及びW3内に存在するデータを収集して、ガンマ線
散乱成分を有効に除去する方法である。
的な例に沿って簡単に説明すると、これらの図における
ガンマ線のスペクトルをC=G(E)なる関数Gで表せ
ば、メインウインドウW1内の面積PW1、ガンマ線散乱
成分を除去した光電ピークのみの面積N、ガンマ線散乱
成分B間には、
W1の上限値及び下限値であり、各々、WU=K+Ws
/2及びWL=K−Ws/2である。ただし、Wsは、
メインウインドウW1の幅、KはメインウインドウW1
の幅の中心値である。また、残る二つのウインドウW2
及びW3については、これら両ウインドウW2及びW3
の幅を等しくWeとすると、
ンマ線散乱成分Bは、台形状にあるものと近似すること
ができるから、上記(19)、(21)及び(22)式によ
り、
入すれば、ガンマ線散乱成分を除去したデータを取得す
ることができる。
7‐69428号公報において開示されている他の手法
を用いてガンマ線散乱成分を求めてもよいことは勿論、
その他の如何なる手法も何ら制限なく用いることが可能
である。
下に説明する「選択的処理」を実施すると、なお有効で
ある。すなわち例えば、Tl−201における71ke
V付近のデータは散乱線補正処理を行うが、167ke
Vのデータは散乱線補正処理を行わない(=選択的処
理)、とすることである。
として、そもそも小さなピークとして得られる167k
eVに関する投影データにおいて(図3参照)、ここか
ら更に散乱線成分を除去することで、当該ピーク自体を
滅失させるような事態を避けることができる。
り、71keV付近では減弱が大きく、167keVで
は見かけ上減弱が小さくなる。換言すれば、71keV
におけるデータが受ける減弱の程度と167keVにお
けるそれとの相対差を大きくとることができる。このよ
うにすると、両者のデータ差がより顕著になり、エネル
ギの高低に応じた減弱の影響を、より強く反映した減弱
補正係数を求めることができる。これにより軟部組織と
肺野の領域の区分が容易になる。
関し上述したように、散乱線補正処理を行う場合には水
に対する減弱係数μを、そうでない場合には経験値μ+
を、それぞれ使用することが好ましいと述べた。ここ
で、上記したような選択的な散乱線補正処理を実施する
と、71keVに関してはμ71=0.187、167
keVに関してはμ+167=0.10(<μ167=
0.146)であるから、後者においては、見かけ上小
さな減弱係数となることがわかる。つまり、71keV
と167keVのデータ差が大きくなることを端的に表
している。
装置においては、画像として「断層像」を取り扱う形態
を念頭においていたが、本発明は、このような形態に限
定されることなく、画像が「プラナー像」であったとし
ても、容易に適用することが可能である。また、上記放
射線検出部1では、シンチレータ12及び光電増倍管1
3を構成要素とするものについて説明したが、半導体検
出素子を用い、ガンマ線を直接に電気信号に変換する放
射線検出部を採用してよいことは勿論である。
断装置及び減弱補正方法によれば、減弱を受けたデータ
を正確に補正することができるから、当該減弱の影響を
あたかも受けていないような正確な画像を取得すること
ができる。特に、本発明によれば、従来のように、RI
線源やX線源による被検体外部からの別途の照射を必要
としないから、被検体等に対する被曝量を増大させると
いった不具合がなく、また、通常検査と同じデータ収集
時間で減弱補正を実施することができる。
成例を示すブロック図である。
示すフローチャートである。
線に関するエネルギ・スペクトラム特性曲線を示すグラ
フである。
響が変化する様子を説明する概要図である。
示すフローチャートである。
る一般的な処理例を説明する説明図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 被検体における減弱の影響を受けた放射
線を検知する放射線検出手段と、前記放射線の検知に対
応して前記放射線検出手段から出力される放射線データ
に基づき画像を作成する画像作成手段とを少なくとも備
えた核医学診断装置において、二種以上の異なるエネル
ギを有する放射線を発する放射性同位元素を使用すると
ともに、前記放射線データを前記エネルギの別に応じて
収集するデータ収集手段と、前記エネルギの別に応じ前
記減弱の影響の程度が異なることに基づき、前記データ
収集手段のデータ収集結果から当該減弱を補正するため
の係数を求める減弱補正係数演算手段とを有することを
特徴とする核医学診断装置。 - 【請求項2】 前記放射線データは、前記被検体周囲を
回転する前記放射線検出器の当該回転に応じて取得され
ることを特徴とする請求項1記載の核医学診断装置。 - 【請求項3】 前記被検体を挟んで、ある方向に関し対
向する関係にある放射線データに関しては、これらの幾
何学平均値をもって当該方向に関する放射線データとす
ることを特徴とする請求項1又は2記載の核医学診断装
置。 - 【請求項4】 前記放射線データに対し、散乱線補正処
理を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
かに記載の核医学診断装置。 - 【請求項5】 前記散乱線補正処理は、前記エネルギの
別に応じ選択的に実施又は不実施することを特徴とする
請求項4に記載の核医学診断装置。 - 【請求項6】 前記放射線データに対し、前記減弱補正
係数たる減弱係数の投影データに基づく補正を行う減弱
補正手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のい
ずれかに記載の核医学診断装置。 - 【請求項7】 前記放射線データに基づき前記画像作成
手段が再構成した画像データに対し、前記減弱補正係数
たる減弱数に基づく補正を行う減弱補正手段を有するこ
とを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の核医
学診断装置。 - 【請求項8】 放射線を検知する放射線検出手段と、前
記放射線の検知に対応して前記放射線検出手段から出力
される放射線データに基づき画像を作成する画像作成手
段とを備えた核医学診断装置における減弱補正方法であ
って、二種以上の異なるエネルギを有する放射線を発す
る放射性同位元素を使用して、前記被検体における減弱
の影響を受けた前記放射線データを、前記エネルギの別
に応じて収集するデータ収集工程と、前記エネルギの別
に応じ前記減弱の影響の程度が異なることに基づき、前
記放射線データに関する当該減弱を補正するための係数
を求める工程と、前記減弱補正係数を用いて前記放射線
データを補正する工程と、からなることを特徴とする減
弱補正方法。 - 【請求項9】 放射線を検知する放射線検出手段と、前
記放射線の検知に対応して前記放射線検出手段から出力
される放射線データに基づき画像を作成する画像作成手
段とを備えた核医学診断装置における減弱補正方法であ
って、二種以上の異なるエネルギを有する放射線を発す
る放射性同位元素を使用して、前記被検体における減弱
の影響を受けた前記放射線データを、前記エネルギの別
に応じて収集するデータ収集工程と、前記画像作成手段
により前記放射線データから画像データを再構成する工
程と、前記エネルギの別に応じ前記減弱の影響の程度が
異なることに基づき、前記画像データに関する当該減弱
を補正するための係数を求める工程と、前記減弱補正係
数を用いて前記画像データを補正する工程と、からなる
ことを特徴とする減弱補正方法。 - 【請求項10】 前記放射線データが前記被検体周囲を
回転する前記放射線検出器の当該回転に応じて取得され
ることを特徴とする請求項8又は9に記載の減弱補正方
法。 - 【請求項11】 前記被検体を挟んである方向に関し対
向する関係にある放射線データに関しては、前記データ
収集工程の後に、これらの幾何学平均値をもって当該方
向に関する放射線データとする工程を挿入することを特
徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の減弱補正
方法。 - 【請求項12】 請求項11記載の工程の後、更に、前
記放射線データに対し、散乱線補正処理を実施する工程
を挿入することを特徴とする減弱補正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000163314A JP4585085B2 (ja) | 2000-05-31 | 2000-05-31 | 核医学診断装置及び減弱補正方法 |
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JP2001343461A true JP2001343461A (ja) | 2001-12-14 |
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- 2000-05-31 JP JP2000163314A patent/JP4585085B2/ja not_active Expired - Lifetime
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