JP2001342904A - エンジンの液化ガス供給装置 - Google Patents

エンジンの液化ガス供給装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液化ガスを正圧の気化ガスとして燃料噴射弁
で噴射するにあたり、低温時に気化されなかった液化ガ
スや湿り蒸気が温度上昇により気化して気化ガスの圧力
を上昇させ、混合気過濃によるエンジン不調を招くこと
を防止する。 【解決手段】 ボンベ1から送られる液化ガスを気化す
る熱交換機構6と調圧室4の気化ガスを所定の正圧に保
持する圧力調整機構5とを有するレギュレータ2で気化
されない液化ガスや湿り蒸気が調圧室4,気化ガス通路
12に残留し、これが温度上昇により気化して圧力を上
昇したとき、逆止弁16が開いて高圧の気化ガスを液化
ガス通路11へ放出して混合気を過濃としないようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液化ガス、一般には
液化石油ガスを気化して吸気管に噴射させエンジンに燃
料として供給する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液化石油ガスを火花点火エンジンの燃料
に使用することは従前から営業車において周知であり、
ボンベに充填されている高圧液状の液化石油ガスをレギ
ュレータ(ベーパライザ)で気化させるとともに大気圧
程度に減圧し、これを吸気管路に設置した混合器のベン
チュリを流れる吸入空気が発生する負圧により吸引させ
て吸入空気と混合する、というシステムによってエンジ
ンに供給している。混合器の多くは、ベンチュリ径をエ
ンジンの低・中速域に適合させ、アイドル調整手段、高
出力手段、空燃比制御手段などを設けることにより、エ
ンジンの全運転域に亘って適正量の燃料を供給するよう
にしており、構成が著しく複雑化しているばかりか各手
段の制御システムが複雑なものとなっている。
【0003】この問題を解決する一案として、ボンベの
液化石油ガスをボンベ内の飽和蒸気圧で吸気管路に設置
した燃料噴射弁に送り、液体のまま噴射させることが実
開昭59−43659号公報などに提案されている。ま
た、このシステムにおいて、ボンベから燃料噴射弁に至
る間に液体の液化石油ガスが高温により気泡を発生して
燃料流量を狂わせることがないようにポンプを用いて加
圧する(例えば実開昭62−87162号公報参照)な
どの改善策も多数提案されている。
【0004】一方、液化石油ガスで代表される液化ガス
を構成および制御システムが複雑な混合器によることな
く、また温度の影響を受けやすい不安定な液状の液化ガ
スをそのまま燃料噴射弁で噴射することなく、正圧状態
の気体としてこれを燃料噴射弁で噴射する、という考え
が特開平6−17709号公報に提示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の液化ガスを気化
するとともに所定の正圧に調整するためには、前記のレ
ギュレータ(ベーパライザ)と同様に、液化ガスを気化
するための熱交換機構とこの気化ガスを所定の圧力に調
整するための圧力調整機構とを有してなるレギュレータ
が用いられる。このレギュレータでは気化ガスは大気圧
程度でなく正圧に調整される。
【0006】このレギュレータで気化される液化ガス
は、液化石油ガスにあっては周知のように飽和蒸気圧が
高いプロパンと低いブタンとの混合物であり、組成によ
っては飽和蒸気圧がプロパンのみに比べてかなり低い値
となる。このように、飽和蒸気圧の低い液化ガスがエン
ジン始動時や始動直後であって低温状態のレギュレータ
に送入されると、熱交換効率が低いために気化されなか
った液化ガスや湿り蒸気を含んだ状態で圧力調整され
る。エンジンが始動して温度が上昇すると熱交換効率が
高くなり、レギュレータの二次側である調圧室およびこ
れより燃料噴射弁に至る気化ガス通路内に残留する液化
ガスや湿り蒸気が気化して燃料圧力が大幅に上昇し、燃
料噴射量が著しく増加してエンジン運転を不調にする場
合を生じる、という心配がある。
【0007】本発明は液化ガスを気化して正圧で吸気管
路に噴射させることにより、構成および制御システムの
簡単化と、液化ガスが受ける温度影響の軽減化とを計っ
た案においても、液化ガスの気化と気化ガスの圧力調整
とを行なうレギュレータがもっている、液化ガスの組成
に基く飽和蒸気圧の値やレギュレータの熱交換機構の効
率によって液化ガスが温度影響を受けて燃料噴射量を狂
わせてしまい、温度影響の軽減化を計ることが依然とし
て解決されない、という問題点をなくすためになされた
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】液化ガスを充填するボン
ベと、液化ガスを気化する熱交換機構および気化ガスを
所定の正圧に調整する圧力調整機構を有するレギュレー
タと、吸気管路内に気化ガスを噴射する燃料噴射弁とを
具えているエンジンの液化ガス供給装置において、気化
ガスを所定の正圧に保持するレギュレータ内の調圧室お
よびこれより燃料噴射弁に至る気化ガス通路内の液化ガ
スや湿り蒸気が温度上昇によって気化しても、これが燃
料噴射量を著しく増加させることがなく、従って混合気
過濃によるエンジン不調を招く心配がないものとする、
という目的を達成させるため、本発明は次のようにし
た。
【0009】即ち、調圧室またはこれより燃料噴射弁に
至る気化ガス通路と、入口室またはボンベから入口室に
至る液化ガス通路とを液化ガス通路へ向かって開く逆止
弁を有する還流通路によって接続したものである。調圧
室および気化ガス通路内の液化ガスや湿り蒸気が気化し
て燃料圧力が上昇し、これがボンベ内の飽和蒸気圧によ
ってレギュレータに圧送される液化ガス圧力よりも高い
圧力となったとき逆止弁が開弁して高圧の気化ガスを放
出することにより、燃料噴射量の大幅な増加によるエン
ジン不調の心配をなくす、という目的が達成されること
となる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1を参照
して説明すると、図において符号1はボンベ、2はレギ
ュレータ、7は燃料噴射弁、8はエンジン、9は吸気マ
ニホルド、10は排気マニホルドを示している。
【0011】レギュレータ2はボンベ1から延びる液化
ガス通路11が接続された一次室である入口室3と、燃
料噴射弁7に気化ガス通路12によって接続した二次室
である調圧室4と、調圧室4の圧力を感知して所定圧力
よりも低下したとき開弁して入口室3と調圧室4とを連
通するが所定圧力よりも上昇したとき閉弁するように動
作する開閉弁および圧力感知部を含む圧力調整機構5
と、エンジン8の冷却水が流通する水室および配管を含
む熱交換機構6とを具えている。
【0012】ボンベ1に充填されている液化ガスはボン
ベ1内の飽和蒸気圧によって液化ガス通路11を通って
入口室3に圧送され、熱交換機構6のエンジン冷却水に
より加熱されて気化する。一方、圧力調整機構5は調圧
室4の圧力が所定圧力よりも低下すると入口室3から調
圧室4に気化ガスを導入し、所定圧力よりも上昇すると
入口室3と調圧室4とを遮断するように動作し、調圧室
4の内部を所定の正圧に保持する。
【0013】このことにより、エンジン8にその運転状
態に応じて燃料噴射弁7のデューティ比を電子制御する
ことによって所定空燃比の混合気を所要量供給すること
ができる。この場合、エンジン8の排気量によっては通
常の電磁式燃料噴射弁一個では燃料不足となる心配があ
るので、一気筒に複数個の電磁式燃料噴射弁を用いる場
合がある。或いは、前記特開平6−17709号公報に
記載されているように、噴口に気化ガスを別途導入する
ようにした燃料噴射弁を用いることもできる。
【0014】液化ガスが、ブタンの比率が大きい液化石
油ガスであるときは低温時に気化されにくく、またこれ
よりも高い飽和蒸気圧の液化ガスであっても極低温時に
は気化されにくいことがある。このため、低温乃至極低
温のエンジン始動時や始動直後にはエンジン冷却水温度
が低いために熱交換機構6が殆んど機能せず、レギュレ
ータ2の入口室3から調圧室4に導入された気化ガスは
気化されなかった液化ガスや湿り蒸気を含んだ状態とな
っている。
【0015】前記の気化ガスは液化ガスや湿り蒸気の一
部を連行して燃料噴射弁7から吸気マニホルド9に噴射
されエンジン8に供給されるが、液化ガスや湿り蒸気の
一部、殊に液化ガスが調圧室4更には気化ガス通路12
に残留する。エンジン8が始動してエンジン冷却水の温
度が上昇すると、熱交換機構6は本来の機能を発揮して
ボンベ1から送入される液化ガスを充分に気化するよう
になるが、これと同時に調圧室4,気化ガス通路12に
残留している未気化ガスが気化して調圧室4および気化
ガス通路12内の燃料圧力が所定正圧値から大幅に上昇
し、燃料噴射弁7からの燃料噴射量が著しく増加して混
合気過濃によるエンジン不調を招く。
【0016】図示実施の形態によると、気化ガス通路1
2の調圧室4に近い個所と液化ガス通路11の入口室3
に近い個所とを接続した還流通路15が設けられてお
り、この還流通路15は液化ガス通路11へ向かって開
く逆止弁16を具えている。
【0017】このような逆止弁16付きの還流通路15
を設けた本実施の形態によると、低温乃至極低温から温
度が上昇して気化ガスの圧力が上昇したとき、これがボ
ンベ1内の飽和蒸気圧によって入口室3に圧送される液
化ガス通路11内の液化ガス圧力よりも高いと、逆止弁
16を開いて還流通路15から液化ガス通路11に気化
ガスが放出され、燃料噴射量の大幅な増加が抑制されて
混合気過濃によるエンジン不調が防止されるものであ
る。
【0018】尚、還流通路15は気化ガス通路12では
なく調圧室4に、或いは液化ガス通路11ではなく入口
室3に接続させることもあり、いずれの場合も調圧室4
および気化ガス通路12内の気化ガス圧力が異常に上昇
したときこれを放出してエンジン不調を防止することが
できる。
【0019】
【発明の効果】以上のように、液化ガスを正圧の気化ガ
スとして吸気管路に噴射しエンジンに供給するにあた
り、レギュレータで圧力調整した気化ガスに液化ガスや
湿り蒸気が混入してこれが気化したときに発生する高圧
の気化ガスをレギュレータ入口側に還流させるようにし
た本発明によると、飽和蒸気圧の低い液化ガスを燃料に
用いて低温始動させても、温度上昇時に混合気を過濃と
することがなく、エンジン運転を円滑に継続させること
ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す配置図。
【符号の説明】
1 ボンベ,2 レギュレータ,4 調圧室,5 圧力
調整機構,6 熱交換機構,7 燃料噴射弁,8 エン
ジン,15 還流通路,16 逆止弁,

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液化ガスを充填するボンベと、液化ガス
    を気化する熱交換機構および気化ガスを所定の正圧に調
    整する圧力調整機構を有するレギュレータと、吸気管路
    内に気化ガスを噴射する燃料噴射弁とを具えているエン
    ジンの液化ガス供給装置において、 気化ガスを所定の正圧に保持する前記レギュレータ内の
    調圧室またはこれより前記燃料噴射弁に至る気化ガス通
    路と、前記レギュレータ内の入口室または前記ボンベか
    ら前記入口室に至る液化ガス通路とを、前記液化ガス通
    路へ向かって開く逆止弁を有する還流通路によって接続
    したことを特徴とするエンジンの液化ガス供給装置。
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