JP2001342038A - 結晶化ガラス - Google Patents

結晶化ガラス

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JP2001342038A JP2000231859A JP2000231859A JP2001342038A JP 2001342038 A JP2001342038 A JP 2001342038A JP 2000231859 A JP2000231859 A JP 2000231859A JP 2000231859 A JP2000231859 A JP 2000231859A JP 2001342038 A JP2001342038 A JP 2001342038A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度補償技術に必要な負の熱膨張係数を有
し、しかも熱膨張のヒステリシスが小さく、低コストで
生産が可能な結晶化ガラスを提供することを目的とす
る。 【構成】 β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固
溶体を主結晶として析出し、結晶化度が70質量%以
上、結晶粒径が0.5μm以下であり、結晶粒界に実質
的に空隙や亀裂が存在せず、−40℃〜100℃の温度
範囲における熱膨張係数が−10×10-7/℃よりも負
に大きく、かつ、この温度範囲における熱膨張のヒステ
リシスが10ppm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主結晶として、β−石
英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体を析出した結
晶化ガラスに関し、特に光通信デバイスに用いられる温
度補償用部材として適した結晶化ガラスに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、主結晶として、β−石英固溶
体又はβ−ユークリプタイト固溶体を析出し、熱膨張係
数がゼロに近い結晶化ガラスは公知であり、ストーブ用
窓ガラスや建築用防火ガラスを始めとして各種の用途に
用いられている。
【0003】ところで近年、光通信技術の発達に伴い、
光ファイバを用いたネットワークが急速に整備されつつ
ある。このネットワークの中では、複数の波長の光を一
括して伝送する波長多重技術が用いられるようになり、
波長フィルタやカプラ、導波路等が重要なデバイスにな
りつつある。
【0004】この種の光通信デバイスの中には、温度に
よって特性が変化し、屋外での使用に支障を来すものが
あるため、そのような光通信デバイスの特性を温度変化
によらずに一定に保つ技術、いわゆる温度補償技術が必
要とされている。
【0005】温度補償を必要とする光通信デバイスの代
表的なものとして、ファイバブラッググレーティング
(以下、FBGという)がある。FBGは、光ファイバ
のコア内に格子状に屈折率変化を持たせた部分、いわゆ
るグレーティング部分を形成したデバイスであり、下記
の数1の式に示した関係に従って、特定の波長の光を反
射する特徴を有している。このため、波長の異なる光信
号が1本の光ファイバを介して多重伝送される、波長分
割多重伝送方式の光通信システムにおける重要な光通信
デバイスとして注目を浴びている。
【0006】
【数1】
【0007】ここで、λは反射波長、nはコアの実効屈
折率、Λは格子状に屈折率に変化を設けた部分の格子間
隔を表す。
【0008】しかしながら、このようなFBGは、その
周囲温度が変化すると反射波長が変動するという問題が
ある。反射波長の温度依存性は数1の式を温度Tで微分
して得られる下記の数2の式で示される。
【0009】
【数2】
【0010】この数2の式の右辺第2項の(∂Λ/∂
T)/Λは光ファイバの熱膨張係数に相当し、その値は
およそ0.6×10-6/℃である。一方、右辺第1項は
光ファイバのコア部分の屈折率の温度依存性であり、そ
の値はおよそ7.5×10-6/℃である。つまり、反射
波長の温度依存性はコア部分の屈折率変化と熱膨張によ
る格子間隔の変化の双方に依存するが、大部分は屈折率
の温度変化に起因していることが分かる。
【0011】このような反射波長の変動を防止するため
の手段として、温度変化に応じた張力をFBGに印可し
格子間隔を変化させることによって、屈折率変化に起因
する成分を相殺する方法が知られている。
【0012】この方法の具体例としては、例えば熱膨張
係数の小さい合金や石英ガラス等の材料と熱膨張係数の
大きなアルミニウム等の金属とを組み合わせた温度補償
用部材にFBGを固定する方法が提案されている。すな
わち、図2に示すように、熱膨張係数の小さいインバー
(商標)棒10の両端にそれぞれ熱膨張係数の比較的大
きいアルミニウム製ブラケット11a、11bを取り付
け、これらのアルミニウム製ブラケット11a、11b
に、留め金12a、12bを用いてFBG13を所定の
張力で引っ張った状態で固定するようにしている。この
時、FBG13のグレーティング部分13aが2つの留
め金12a、12bの中間にくるようにする。
【0013】この状態で周囲温度が上昇すると、アルミ
ニウム製ブラケット11a、11bが伸張し、2つの留
め金12a、12b間の距離が短縮するため、FBG1
3のグレーティング部分13aに印加されている張力が
減少する。一方、周囲温度が低下するとアルミニウム製
ブラケット11a、11bが収縮し、2つの留め金12
a、12b間の距離が増加するため、FBG13のグレ
ーティング部分13aに印加されている張力が増加す
る。この様に、温度変化によってFBGにかかる張力を
変化させることによってグレーティング部分の格子間隔
を調節することができ、これによって反射中心波長の温
度依存性を相殺することができる。
【0014】しかしながら、このような温度補償装置
は、機構的に複雑になり、その取り扱いが難しいという
問題がある。
【0015】そこで上記の問題を解消する方法として、
WO97/28480には、図1に示すように、予め板
状に成形した原ガラス体を熱処理することによって、内
部にβ−石英固溶体を析出した負膨張の結晶化ガラス1
4を作製し、この結晶化ガラス14の上に錘15によっ
て張力を付与した状態でFBG16を接着剤17で固定
し、この張力を結晶化ガラス14の膨張収縮によって制
御する方法が開示されている。尚、図1中、16aはグ
レーティング部分を示している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】WO97/28480
に開示された結晶化ガラスは、熱膨張係数は負に大き
く、また単一部材で温度補償が行えるため機構的に簡単
であるが、意図的に結晶粒界に空隙や亀裂を多数発生さ
せているため、熱膨張のヒステリシスが大きいという問
題がある。
【0017】熱膨張のヒステリシスとは、温度変化によ
って材料が膨張、収縮する際に、昇温過程の膨張挙動と
降温過程のそれが一致しない現象を指すものであり、熱
膨張のヒステリシスが大きい材料を温度補償用部材とし
て使用しても、反射中心波長の温度依存性を正確に相殺
することができない。
【0018】またWO97/28480には、結晶化ガ
ラスの熱膨張のヒステリシスを小さくする目的で、40
0〜800℃の温度範囲で加熱処理を繰り返して行うこ
とが示されているが、このような熱処理は、生産性を大
幅に低下させ、コストを上昇させるという問題がある。
【0019】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あり、温度補償技術に必要な負の熱膨張係数を有し、し
かも熱膨張のヒステリシスが小さく、低コストで生産が
可能な結晶化ガラスを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の結晶化ガラス
は、β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体を
主結晶として析出し、結晶化度が70質量%以上、結晶
粒径が0.5μm以下であり、結晶粒界に実質的に空隙
や亀裂が存在せず、−40℃〜100℃の温度範囲にお
ける熱膨張係数が−10×10-7/℃よりも負に大き
く、かつ、この温度範囲における熱膨張のヒステリシス
が10ppm以下であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を明らかにする
ため、まずβ−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固
溶体を析出し、負に大きな熱膨張係数を有する結晶化ガ
ラスを得るための一般的原理を説明する。
【0022】この原理は、二つの原理に大別され、第一
の原理は、熱膨張に異方性を有する結晶を析出させ、結
晶粒界に多数の空隙や亀裂を生じさせることによって、
正の熱膨張成分の寄与度を減少させることで負の熱膨張
成分の寄与度を増大させ、全体として負の熱膨張を発現
させるというものである。この場合、結晶粒界の空隙や
亀裂は結晶粒界に働く熱応力によって形成され、結晶粒
径がある程度大きくなければ十分な熱応力が発生しない
ため、空隙や亀裂が形成されず、負に大きな熱膨張係数
を得ることはできない。この第一の原理で、十分な負の
熱膨張係数を得るのに必要な結晶粒径は1μm以上と考
えられる。この原理では、温度上昇や温度下降の過程
で、微小な空隙や亀裂が再結合や再解離を起こすため、
必然的に熱膨張挙動にヒステリシスが現れる。因みにW
O97/28480に開示された結晶化ガラスは、この
原理に基づくものである。
【0023】第二の原理は、ガラスマトリックス中に負
の熱膨張係数を有する結晶を多量に析出させ、結晶のも
つ熱膨張挙動を材料全体に反映させることである。この
種の結晶化ガラスは、結晶粒界に空隙や亀裂を形成する
必要がないため、熱膨張のヒステリシスが極めて小さい
という利点があるが、ガラスマトリックス部分の正の熱
膨張に打ち勝って全体として負の熱膨張を達成するため
には、結晶の含有割合、すなわち結晶化度を高くする必
要がある。結晶化ガラスの結晶化度を高めるためには、
結晶化する時の熱処理温度(結晶化温度)を高めること
が有効な方法の一つである。しかしながら、β−石英固
溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体は、ある温度を超
えると正の熱膨張係数を有するβ−スポジュメン固溶体
等に転移し始めるため、結晶化度を高くする目的で高温
で結晶化させても、大きな負の熱膨張係数を有する結晶
化ガラスを得ることができない。
【0024】本発明者等は、上記した第二の原理に基づ
く結晶化ガラスの結晶化度や結晶の転移温度について種
々の検討を重ねた結果、ガラス組成や結晶化温度を厳密
に調整し、結晶粒径を一定値以下に制御することによっ
て、β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体か
ら、β−スポジュメン固溶体等への転移を防止できると
いう知見を得、本発明を提案するに至った。
【0025】すなわち本発明者等は、種々の光通信デバ
イスの温度補償を行うためには、−10×10-7/℃よ
りも大きな負の熱膨張係数を有する材料が必要であり、
そのような材料を結晶化ガラスで得るためには、主結晶
としてβ−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体
を析出し、その結晶化度を70質量%以上(好ましくは
75質量%以上、より好ましくは80質量%以上)とす
る必要があることを見いだした。また結晶化ガラス中の
結晶粒径を0.5μm以下(好ましくは0.2μm以
下)に制御すると、β−スポジュメン固溶体への転移温
度を高めることができ、高い結晶化温度で熱処理して
も、β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体の
結晶構造を保ったまま、70質量%以上の結晶化度を得
ることができることを見いだした。尚、結晶粒径が0.
5μm以下になると、β−スポジュメン固溶体への転移
温度が高くなる理由は定かでないが、結晶粒径が小さい
ほど、結晶粒界での結晶構成原子の再配列が起こりにく
くなるからであろうと推測される。
【0026】また本発明の結晶化ガラスは、結晶粒径が
0.5μm以下であり、結晶粒界に働く熱応力が小さく
なり、実質的に結晶粒界に空隙や亀裂が発生しないた
め、−40℃〜100℃の温度範囲における熱膨張のヒ
ステリシスを10ppm以下に制御することができる。
【0027】さらに本発明の結晶化ガラスは、結晶粒径
が0.5μm以下であるため、透光性を有しており、具
体的には、400〜1700nmにおける、厚さ3mm
での光透過率が20%以上となり、接着樹脂を用いてデ
バイスを組み立てる際の接着状態が確認できるため好ま
しい。また光透過率が高いと、紫外線透過率も高くなる
ため、紫外線硬化性樹脂を用いてデバイスを組み立てる
ことが可能となる。よって光透過率は、高いほど好まし
く、30%以上とすることが望ましい。
【0028】また本発明の結晶化ガラスは、波長400
〜1700nmにおける、厚さ3mmでの光透過率が2
0%以上であるため、その光学特性を利用したデバイス
にも適用できる。この場合には、結晶化ガラスの光路長
の温度依存性dS/dTが、5×10-6/℃以下である
ことが好ましい。ここで、Sは光路長、Tは温度を表
す。すなわち近年、光路長が一定である光学デバイスの
重要性が高まりつつあり、光路長の温度依存性dS/d
Tの小さな透光性材料が必要とされているが、材料のd
S/dTが5×10-6/℃以下であると、温度が変化す
る環境下においてもデバイスの特性が安定するからであ
る。
【0029】この光路長の依存性について、以下詳細に
説明する。
【0030】従来より、レーザー発振器などでは、その
構造上、透光性材料以外の部分の光路長もデバイス特性
に関与し、デバイスの光路長の温度依存性は、dS/d
T=(dn/dT)+(n−1)αの式で表される。
尚、式中、nは屈折率、dn/dTは屈折率の温度依存
性、αは熱膨張係数を示している。この式では、熱膨張
係数の寄与度が小さいため、熱膨張係数が正に大きく、
dn/dTが負である性質の非晶質ガラスによって、d
S/dTを小さくすることが可能であった。
【0031】一方、本発明が対象としている光学デバイ
スでは、その構造上、透光性材料中のみでの光路長が問
題となり、デバイスの光路長の温度依存性dS/dT
は、dS/dT=(dn/dT)+nαの式で表され
る。この式においては、前述の式よりも、dS/dTに
対する熱膨張係数の影響が大きいため、従来の非晶質ガ
ラスのように熱膨張係数の大きな材料では、dS/dT
を小さくすることは困難である。ところが、本発明の結
晶化ガラスは、負の熱膨張係数を有するため、dn/d
Tを適当な正の値にすることによって、dS/dTを5
×10-6/℃以下にすることが可能となる。
【0032】本発明の結晶化ガラスは、質量%で、Si
2 60〜72%、Al23 18〜26%、Li2
3.8〜6.5%、ZrO2 1.5〜4.1%、P2
50〜4.5%を含有することが望ましいが、その理
由は次のとおりである。
【0033】まずSiO2は、ガラスの網目を構成する
主成分であると共に析出結晶の構成成分である。SiO
2が60%より少ないと、ガラスが不安定になると共に
所望の結晶粒径を有するβ−石英固溶体又はβ−ユーク
リプタイト固溶体を主結晶として析出させることが困難
となる。一方、72%より多くなると、ガラスの溶融が
困難となる。SiO2の好ましい範囲は、62〜70
%、より好ましい範囲は、63〜69%である。
【0034】Al23も、ガラスの網目構成成分である
と共に結晶構成成分である。Al23が18%より少な
いと、所望の結晶を析出させることが困難となる。一
方、26%より多くなると、ガラスが失透しやすくな
る。Al23の好ましい範囲は、20〜24%、より好
ましい範囲は、20.5〜23%である。
【0035】Li2Oは、β−石英固溶体結晶又はβ−
ユークリプタイト固溶体結晶の構成成分である。Li2
Oが3.8%より少ないと、結晶化度を70%以上にす
ることが困難となる。一方、6.5%より多くなると、
ガラスが失透しやすくなると共に結晶粒径を0.5μm
以下に制御することが困難となる。Li2Oの好ましい
範囲は、4〜6%、より好ましい範囲は、4.2〜5.
7%である。
【0036】ZrO2は、ガラス中に結晶核を形成する
作用を有する成分である。ZrO2が1.5%より少な
いと、核形成作用が不十分となり、所望の粒径を有する
結晶を均一に析出させることができなくなる。一方、
4.1%より多くなると、ガラスの溶融が困難となり、
失透が発生しやすくなるため好ましくない。ZrO2
好ましい範囲は、1.8〜3.8%、より好ましい範囲
は、2〜3.5%である。
【0037】P25は、核形成作用を促進すると共に、
屈折率の温度依存性dS/dTを小さくする効果があ
り、これによって光路長の温度依存性dS/dTを小さ
くすることが可能となる。しかしながら4.5%より多
くなると、ガラスの粘度が高くなり、溶融が困難とな
る。P25の好ましい範囲は、0〜4%、より好ましい
範囲は、0〜3.5%である。
【0038】尚、本発明では、必要に応じて他の成分、
例えばTiO2、As23、B23、SnO2、MgO、
Na2O、K2O、BaO、ZnO、Sb23、CaO、
SrO等の成分を添加することが可能である。例えば、
ガラスの溶融性を向上するため、B23を4%まで添加
することができる。
【0039】ただしTiO2とAs23を添加する場合
には、各々の添加量を1%以下に制御すべきである。
【0040】すなわちTiO2は、一般に核形成成分と
して用いられるが、β−石英固溶体又はβ−ユークリプ
タイト固溶体から、β−スポジュメン固溶体への転移を
促進する作用を有する。そのためTiO2が1%より多
くなると、β−スポジュメン固溶体が析出しやすくな
り、−10×10-7/℃以下の負の熱膨張係数が得られ
難くなる。しかも短波長域での透光性が低下する。よっ
てTiO2は、好ましくは0.8%以下、より好ましく
は0.7%以下に抑えるべきである。
【0041】As23は、一般にガラスの清澄剤として
用いられているが、TiO2と同様、結晶の転移を促進
する作用を有する。そのためAs23が1%より多くな
ると、β−スポジュメン固溶体が析出しやすくなり、結
晶化度を70質量%以上にすることが困難で、−10×
10-7/℃以下の負の熱膨張係数が得られ難くなる。よ
ってAs23は、好ましくは0.8%以下、より好まし
くは0.6%以下に抑えるべきである。
【0042】以上のように本発明では、As23の使用
量をできるだけ抑えるべきであるが、清澄性の低下を補
う目的でSnO2を5%まで添加することができる。す
なわちSnO2は、As23と同様、ガラスを清澄する
作用を有するが、結晶の転移を促進する作用は殆ど見ら
れないからである。さらに、SnO2は核形成能も有し
ている。
【0043】また本発明では、結晶性ガラスを880〜
1000℃の結晶化温度で熱処理することが望ましい。
すなわち結晶化温度が880℃未満では、主結晶として
β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体を析出
させ、結晶化度を70質量%以上とすることが困難とな
り、1000℃より高いと、β−スポジュメン固溶体へ
転移しやすくなるからである。
【0044】
【実施例】以下、本発明の結晶化ガラスを実施例に基づ
いて詳細に説明する。
【0045】表1、2は、本発明の結晶化ガラス(試料
No.1〜8)と、比較例の結晶化ガラス(試料No.
9〜12)を示すものである。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1、2の各結晶化ガラスは、次のように
して調製した。
【0049】まず表中の各組成が得られるように原料を
調合した後、白金るつぼに入れ、1580℃で20時間
溶融した。次いで、この溶融ガラスをカーボン板上に流
し出してロール成形することによって、厚さ4mmのガ
ラス板を成形し、室温まで徐冷した。
【0050】次に各ガラス板に対し、780℃、2時間
の核形成処理を施した後、表中の結晶化温度で1時間の
結晶化処理を施し、室温まで冷却させた。
【0051】こうして得られた各試料について、β−ス
ポジュメン固溶体への転移の有無、結晶粒径、粒界での
空隙および亀裂の有無、結晶化度、熱膨張係数、熱膨張
のヒステリシス、400nmにおける光透過率、および
光路長の温度依存性を評価した。
【0052】表から明らかなように、実施例であるN
o.1〜8の各試料は、いずれも主結晶としてβ−石英
固溶体又はβ−ユークリプタイト固溶体を析出し、結晶
粒径が0.15μm以下であり、粒界空隙や亀裂が無
く、結晶化度が77質量%以上であった。また熱膨張係
数が、−16×10-7/℃よりも負に大きく、熱膨張の
ヒステリシスも3ppm以下であった。さらに光透過率
が55%以上であり、光路長の温度依存性(dS/d
T)は、3×10-6/℃以下であった。
【0053】一方、比較例であるNo.9の試料は、結
晶化度が65質量%と低いため、熱膨張係数が−4×1
-7/℃であり、温度補償用部材としては不適合であっ
た。また光路長の温度依存性は、7×10-6/℃と大き
かった。No.10と11の各試料は、いずれも結晶粒
径が1.0μm以上と大きいため、主結晶がβ−スポジ
ュメン固溶体に転移しており、熱膨張係数が正の値を示
した。No.12の試料は、負に大きな熱膨張係数を示
すものの、粒界空隙を有するため、ヒステリシスが大き
く、また光透過率が0%であった。さらにNo.10〜
12の各試料は、いずれも不透明であり、また光路長の
温度依存性を測定することができなかった。
【0054】尚、表中のβ−スポジュメン固溶体への転
移と結晶化度は、周知のX線回折法によって求め、結晶
粒径と粒界空隙・亀裂の有無は、走査型電子顕微鏡を使
用して調べた。また熱膨張係数とヒステリシスは、ディ
ラトメーターを使用して測定した。さらに光透過率は、
各試料の厚さを3mmとし、400nmにおける光透過
率を分光光度計を使用して測定した。また光路長の温度
依存性に関しては、波長1100〜1700nmの範囲
の光を用いた干渉光学系中の一方の光路中に試料を配置
し、試料温度を変化させた時に観察された干渉縞の変化
から求められた光路長の温度依存性の内、最も大きかっ
た値によって評価した。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明の結晶化ガラスは、
−10×10-7/℃より負に大きな熱膨張係数を有し、
しかも熱膨張のヒステリシスが10ppm以下と小さい
ため、特に光通信デバイスに用いられる温度補償用部材
として好適である。
【0056】また光路長の温度依存性dS/dTを5×
10-6/℃以下に抑えることが可能であるため、光路長
を一定に保つ必要のある各種デバイスにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面にFGBを固定した負の熱膨張係数を有す
る結晶化ガラスを示す斜視図である。
【図2】従来のFBGの反射波長の温度変化に対する変
動を防止する装置を示す正面図である。
【符号の説明】
10 インバー棒 11a、11b アルミニウム製ブラケット 12a、12b 留め金 13、16 FBG 13a、16a グレーティング部分 14 負膨張の結晶化ガラス 15 錘 17 接着剤
フロントページの続き Fターム(参考) 2H038 AA35 CA52 2H050 AC82 AC84 AC90 4G062 AA11 DA06 DA07 DB04 DC01 DD01 DD02 DD03 DE01 DF01 EA03 EB01 EC01 ED01 EE01 EF01 EG01 FA01 FB01 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM04 NN15 NN29 QQ02 QQ11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−石英固溶体又はβ−ユークリプタイ
    ト固溶体を主結晶として析出し、結晶化度が70質量%
    以上、結晶粒径が0.5μm以下であり、結晶粒界に実
    質的に空隙や亀裂が存在せず、−40℃〜100℃の温
    度範囲における熱膨張係数が−10×10-7/℃よりも
    負に大きく、かつ、この温度範囲における熱膨張のヒス
    テリシスが10ppm以下であることを特徴とする結晶
    化ガラス。
  2. 【請求項2】 質量%で、SiO2 60〜72%、A
    23 18〜26%、Li2O 3.8〜6.5%、
    ZrO2 1.5〜4.1%、P25 0〜4.5%を
    含有することを特徴とする請求項1記載の結晶化ガラ
    ス。
  3. 【請求項3】 波長400〜1700nmにおける、厚
    さ3mmでの光線透過率が20%以上であることを特徴
    とする請求項1、2記載の結晶化ガラス。
  4. 【請求項4】 光路長の温度依存性dS/dTが、5×
    10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1〜3記
    載の結晶化ガラス。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の結晶化ガラスを構成
    部材の一部に含むことを特徴とする、光学デバイス。
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