JP2001340499A - ゴルフクラブヘッド及びその成型方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ゴルフクラブヘッドにおける震動吸収性及びコ
ントロール性を向上させ、ゴルフクラブヘッドのサイズ
を大きくできるゴルフクラブヘッド及びその成型方法を
提供する。 【解決手段】本体（１０）の底部に螺合孔（１５）が形
成され、螺合孔（１５）に充填ブロック（１７）が螺合
されると共に、カバー部（２０）は炭素繊維強化材から
なるものであり、その側面に一つ以上のおもり用孔（２
１）が形成され、おもり用孔（２１）にはおもり（２
２）が固設される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特に打撃時の震動
吸収性及びコントロール性を向上させ、クラブヘッドの
体積を増加させることができるゴルフクラブヘッド及び
その成型方法に関するものである。

【０００２】

【従来技術と発明が解決しようとする課題】一般に、ゴ
ルフクラブヘッドの成型方法としては、ゴルフクラブヘ
ッドの全体を鋳造成型することにより一体化のゴルフク
ラブヘッドを製造する方法と、ゴルフクラブヘッドにお
けるそれぞれ成型された部材を溶接することによりゴル
フクラブヘッドを製造する方法との二つに大別される。

【０００３】しかしながら、上記いずれの方法も金属材
料によりゴルフクラブヘッドを製造するため、ゴルフク
ラブヘッドの重量が重く、更に、ゴルフクラブヘッドの
重量はその規格によって決められているため、ゴルフク
ラブヘッドの体積を増大することはできなかった。その
ため、従来のゴルフクラブヘッドの打撃面とスイートス
ポット（sweet spot）は非常に小さく、打撃時に空振り
やすいという欠点を有すると共に、多数の部材を溶接す
ることにより製造されるゴルフクラブヘッドでは、その
全体強度及び震動吸収効果は各部材間の継ぎ目の存在に
より損なわれてしまう。

【０００４】本発明は上記の課題を解決するものであ
り、前記ゴルフクラブヘッドは本体とカバー部とからな
ると共に、本体には、打撃フェイスプレートが設けら
れ、打撃フェイスプレートの一端にシャフト固定座が延
設される。又、打撃フェイスプレートにおける打撃フェ
イスの反対側に、カバー部の形状に対応する凹部が形成
される。尚、カバー部と本体との一体化の接合、及びお
もりのカバー部への固定はホットプレス成型により行わ
れる。

【０００５】炭素繊維強化材は優れた震動吸収性を有す
るものであるため、それを本発明のゴルフクラブヘッド
におけるカバー部に適用することによって、ゴルフクラ
ブヘッドの震動吸収性をより向上させることができると
共に、炭素繊維強化材は金属材料より軽いので、ゴルフ
クラブヘッドの重量を低減させることもできる。従っ
て、ゴルフクラブヘッドのサイズを増大させることがで
き、なお且つ、炭素繊維強化材からなるカバー部はゴル
フクラブヘッドの上部に配置されるため、ゴルフクラブ
ヘッドの全体の重心位置を下げることができると共に、
ゴルフクラブヘッドのコントロール性も向上できる。上
記のように、本発明のゴルフクラブヘッドは優れた震動
吸収性とコントロール性を有する以外に、ゴルフクラブ
ヘッドのサイズを適当に増大させることもできる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、本体（１０）
と、カバー部（２０）とからなり、本体（１０）には、
打撃フェイスプレート（１１）が設けられ、その打撃フ
ェイスプレート（１１）の一端にシャフト固定座（１
２）が延設されると共に、打撃フェイスプレート（１
１）における打撃フェイスの反対側に、カバー部（２
０）の形状に対応する形状を有する凹部（１３）が形成
されるゴルフグラブヘッドにおいて、本体（１０）の底
部に螺合孔（１５）が形成され、螺合孔（１５）に充填
ブロック（１７）が螺合され、カバー部（２０）は炭素
繊維強化材からなるものであり、その側面に一つ以上の
おもり用孔（２１）が形成され、おもり用孔（２１）に
はおもり（２２）が固設されることを特徴とするゴルフ
クラブヘッドを提供する。又、本発明は、打撃フェイス
プレート（１１）が設けられ、打撃フェイスプレート
（１１）の一端にシャフト固定座（１２）が延設される
と共に、打撃フェイスプレート（１１）における打撃フ
ェイスの反対側に凹部（１３）が形成されてなる本体
（１０）を、成形型により鋳造し、それをトリミング、
シャフト固定座（１２）の角度を調整した後、本体（１
０）の底部にタップ立てすることにより螺合孔（１５）
を穿設し、次に本体（１０）に対して熱処理と研磨を行
い、更に本体（１０）における凹部（１３）の周縁部
（１４）をアルミナにてサンドブラスチングし粗化さ
せ、その後、複層の炭素繊維強化材からなり、おもり用
孔（２１）を有するカバー部（２０）を、凹部（１３）
と接合させ、おもり（２２）をおもり用孔（２１）に嵌
合してゴルフクラブヘッド（１）を得た後、成形型内に
置き、螺合孔（１５）よりエアバッグ（３）をゴルフク
ラブヘッド（１）内に詰み込み、ゴルフクラブヘッド
（１）におけるカバー部（２０）を成形型におけるキャ
ビティと密接させるまで気体をエアバッグ（３）内に充
填させた後、ゴルフクラブヘッド（１）をホットプレス
して硬化させ、その後、エアバッグ（３）を取出し、螺
合孔（１５）に充填ブロック（１７）を螺合することを
特徴とするゴルフクラブヘッドの成型方法を提供する。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態を詳細に説明する。図１は本発明に
係わるゴルフクラブヘッドの分解斜視図であり、図２は
本発明に係わるゴルフクラブヘッドの製造工程を示すフ
ローチャートであり、図３は本発明に係わるエアバッグ
入れゴルフクラブヘッドの正面断面図であり、図４は本
発明に係わるおもり付きゴルフクラブヘッドの切り欠け
図である。

【０００８】図１に示すように、本発明のゴルフクラブ
ヘッド（１）は、金属製の本体（１０）とカバー部（２
０）とからなり、本体（１０）には、打撃フェイスプレ
ート（１１）が設けられ、打撃フェイスプレート（１
１）の一端にシャフト（符号なし）を固定するためのシ
ャフト固定座（１２）が延設される。又、本体（１０）
は、打撃フェイスプレート（１１）における打撃フェイ
スの反対側に凹部（１３）が形成されると共に、底部に
螺合孔（１５）が穿設され、螺合孔（１５）の下面に外
孔（１６）が形成される。尚、タングステン製の充填ブ
ロック（１７）はその側面に突設される螺合凸部（１
８）により螺合孔（１５）に螺合され、且つ螺合孔（１
５）の下面の外孔（１６）に当接することにより位置決
めされる。又、炭素繊維強化材からなるカバー部（２
０）は、本体（１０）における凹部（１３）の形状に対
応するように形成されると共に、その側面に多数のおも
り用孔（２１）が穿設され、タングステン製のおもり
（２２）は、その周面に位置決め溝（２３）が形成さ
れ、カバー（２０）におけるおもり用孔（２１）に固設
される。

【０００９】図２に示すように、製造時は、まず成形型
により本体（１０）を鋳造すると共に、本体（１０）を
トリミングする。次に、本体（１０）におけるシャフト
固定座（１２）を角度調整した後、本体（１０）の底部
にタップ立てにより螺合孔（１５）を穿設する。その
後、本体（１０）に対して熱処理、研磨を行うことによ
り、本体（１０）のサイズを所要の規格に調節する。更
に、本体（１０）における凹部（１３）の周縁部（１
４）をアルミナにてサンドブラスチングすることによ
り、周縁部（１４）の表面を粗化させる。その後、複層
の炭素繊維強化材からなるカバー部（２０）を凹部（１
３）と接合させ、おもり（２２）をカバー部（２０）に
おけるおもり用孔（２１）に充填させ、それにより得ら
れるゴルフクラブヘッド（１）を成形型内でホットプレ
スし硬化させる。又、図３に示すように、ゴルフクラブ
ヘッド（１）を硬化させる時、予めエアバッグ（３）を
螺合孔（１５）よりゴルフクラブヘッド（１）内に詰み
込み、その後エアバッグ（３）内に気体を充填し、エア
バッグ（３）を気体充填による内圧力増大により、ある
程度まで膨張させた時、エアバッグ（３）はゴルフクラ
ブヘッド（１）における本体（１０）とカバー（２０）
と密接状態になる。これにより、カバー（２０）がその
内部からエアバッグ（３）の内圧力により支持されてい
るため、その表面が成形型におけるキャビティと密接す
る。従って、その後のホットプレスにより製造されるゴ
ルフクラブヘッド（１）におけるカバー部（２０）の表
面に発生するくぼみを防止できる。

【００１０】炭素繊維強化材は熱硬化性樹脂の一種であ
るため、ゴルフクラブヘッド（１）を成形型内で硬化さ
せる時、そのカバー部（２０）の周縁部は熱を受け凹部
（１３）における周縁部（１４）と緊密に接合すること
になる。その一方、おもり（２２）はそのものの位置決
め溝（２３）により緊密にカバー部（２０）におけるお
もり用孔（２１）に固定される。そして、ゴルフクラブ
ヘッド（１）を硬化した後、エアバッグ（３）を螺合孔
（１５）より取出し、充填ブロック（１７）を螺合孔
（１５）に螺合する（図４参照）。最後に、成型された
ゴルフクラブヘッド（１）にラッピング、パテ塗布、研
磨、焼き付け、包装などの処理を施す。

【００１１】上記の説明では、おもり（２２）にはタン
グステンを使用するが、本体（１０）の比重より大きい
比重を有する材質であれば特に限定されなく、例えば
銅、ニッケル、タングステン−ニッケル系合金なども使
用できる。又、充填ブロック（２０）の材質において
も、上述したタングステン以外にその他の金属材料を使
用できる。更に、おもり（２２）の周面に位置決め溝
（２３）が形成されるが、代りにその周面に複数のフラ
ンジを形成してもよく、又、カバー部（２０）の硬化に
よりカバー部（２０）に嵌合できるものであれば、おも
り（２２）以外の部材を使用してもよい。

【００１２】

【発明の効果】本発明は上記の構成を有するので、以下
のような効果を有する。 （１）カバー部には優れた震動吸収性を有する炭素繊維
強化材使用しているので、ゴルフクラブヘッドの震動吸
収性を向上させることができる。 （２）カバー部に多数のおもりを配置できるため、ゴル
フクラブヘッドの重心位置を、おもりの配置位置の調節
により適度に調節できる。更に、ゴルフクラブヘッドの
略下部に位置する本体においては金属材を使用するのに
対し、ゴルフクラブヘッドの略上部に位置するカバー部
においては、金属材より軽質な炭素繊維強化材を使用す
るので、ゴルフクラブヘッドの全体の重心位置を下げる
ことができる。従って、ゴルフクラブヘッドのコントロ
ール性を向上できる。 （３）ゴルフクラブヘッドの重量はゴルフクラブの規格
により決められているが、本発明のように、ゴルフクラ
ブヘッドにおけるカバー部において、金属より遥かに軽
い炭素繊維強化材を使用すれば、その分の重量を、ゴル
フクラブヘッドのその他の部分に移すことができるの
で、ゴルフクラブヘッドの全体体積を大きくすることが
でき、それに伴い打撃面積も大きくすることができる。 （４）炭素繊維強化材は熱を受けると硬化する性質を有
するので、本発明のように、炭素繊維強化材からなるカ
バー部を有するゴルフクラブヘッドを成形型内でホット
プレスすれば、カバー部はそのものの硬化により金属材
質である本体とおもりとを接合できる。従って、従来の
ように金属部材同士を溶接により接合する必要はなく、
製造上に非常に便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるゴルフクラブヘッドの分解斜視
図である。

【図２】本発明に係わるゴルフクラブヘッドの製造工程
のフローチャートである。

【図３】本発明に係わるエアバッグ入れゴルフクラブヘ
ッドの正面断面図である。

【図４】本発明に係わるおもり付きゴルフクラブヘッド
の切り欠き図である。

【符号の説明】

１ ゴルフクラブヘッド ３ エアバッグ １０ 本体 １１ 打撃フェイスプレート １２ シャフト固定座 １３ 凹部 １４ 周縁部 １５ 螺合孔 １６ 外孔 １７ 充填ブロック １８ 螺合凸部 ２０ カバー部 ２１ おもり用孔 ２２ おもり ２３ 位置決め溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体（１０）と、カバー部（２０）とか
   らなり、前記本体（１０）には、打撃フェイスプレート
   （１１）が設けられ、この打撃フェイスプレート（１
   １）の一端にシャフト固定座（１２）が延設されると共
   に、前記打撃フェイスプレート（１１）におけるこの打
   撃フェイスの反対側に、前記カバー部（２０）の形状に
   対応する形状を有する凹部（１３）が形成されるゴルフ
   グラブヘッドにおいて、 前記本体（１０）の底部に螺合孔（１５）が形成され、
   螺合孔（１５）に充填ブロック（１７）が螺合され、前
   記カバー部（２０）は炭素繊維強化材からなるものであ
   り、その側面に一つ以上のおもり用孔（２１）が形成さ
   れ、このおもり用孔（２１）にはおもり（２２）が固設
   されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 充填ブロック（１７）は、その側面に螺
   合凸部（１８）を有するものであり、本体（１０）にお
   ける螺合孔（１５）の下面には、前記充填ブロック（１
   ７）を位置決めさせるための外孔（１６）が形成される
   ことを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッ
   ド。
3. 【請求項３】 打撃フェイスプレート（１１）が設けら
   れ、この打撃フェイスプレート（１１）の一端にシャフ
   ト固定座（１２）が延設されると共に、前記打撃フェイ
   スプレート（１１）における前記打撃フェイスの反対側
   に凹部（１３）が形成されてなる本体（１０）を成形型
   により鋳造し、 この本体（１０）をトリミングしてシャフト固定座（１
   ２）の角度を調整した後、前記本体（１０）の底部にタ
   ップ立てすることにより螺合孔（１５）を穿設し、次に
   前記本体（１０）に対して熱処理と研磨を行い、更に前
   記本体（１０）における凹部（１３）の周縁部（１４）
   をアルミナにてサンドブラスチングし粗化させ、その
   後、複層の炭素繊維強化材からなりおもり用孔（２１）
   を有するカバー部（２０）を前記凹部（１３）と接合さ
   せ、おもり（２２）を前記おもり用孔（２１）に嵌合し
   てゴルフクラブヘッド（１）を得た後、成形型内に置
   き、 前記螺合孔（１５）よりエアバッグ（３）を前記ゴルフ
   クラブヘッド（１）内に詰み込み、このゴルフクラブヘ
   ッド（１）における前記カバー部（２０）を成形型にお
   けるキャビティと密接させるまで気体をエアバッグ
   （３）内に充填させた後、前記ゴルフクラブヘッド
   （１）をホットプレスして硬化させ、その後、前記エア
   バッグ（３）を取出し、前記螺合孔（１５）に充填ブロ
   ック（１７）を螺合することを特徴とするゴルフクラブ
   ヘッドの成型方法。