JP2001336583A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents

高負荷伝動ベルト

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JP2001336583A
JP2001336583A JP2000156118A JP2000156118A JP2001336583A JP 2001336583 A JP2001336583 A JP 2001336583A JP 2000156118 A JP2000156118 A JP 2000156118A JP 2000156118 A JP2000156118 A JP 2000156118A JP 2001336583 A JP2001336583 A JP 2001336583A
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rubber
tension band
belt
load transmission
reinforcing cloth
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JP2000156118A
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English (en)
Inventor
Shoji Tsuji
勝爾 辻
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • F16G5/166V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts with non-metallic rings

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 張力帯の摩耗を小さなものにとどめることが
でき、ベルトの走行で繰り返し屈曲したとしても屈曲に
よるクラックの発生を防止することができる。 【解決手段】 張力帯4にベルト長手方向に沿って複数
のブロック5を設けた高負荷伝動ベルト1であり、張力
帯4と少なくとも片面にはアラミド繊維からなる補強布
18を配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エラストマー製の
張力帯と耐側圧性を補強するブロックからなり、自動車
や農機具などの無段変速や特に大きなトルクを伝える用
途に用いる高負荷伝動ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベルト式無段変速装置に使用するベルト
は、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻き
かかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プー
リに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧
が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでな
くてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常の
ゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動
の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用い
る必要がある。
【0003】しかし、ゴム製Vベルトでは高負荷用のも
のであっても最大面圧が10kg/cm2程度であり、
それ以上のトルクのかかる用途であるとゴム製Vベルト
が高い側圧に耐えることができず座屈変形して、動力を
十分に伝えることができなくなる、もしくは故障となっ
てしまう。
【0004】そこで、金属製のチェーンに金属製のブロ
ックを組み合わせたベルトや、金属製のバンドに金属製
のブロックを組み合せたベルトが提案されている。しか
し、これらのベルトではプーリ、ベルトが共に金属製で
あることから、走行中は常に潤滑油を供給しなければ焼
きついてしまうといったことがあった。
【0005】また、潤滑油の供給なしに走行できるよう
なベルトで、従来のゴムベルトよりも耐久性を向上させ
たものとして、ゴムベルトに樹脂素材からなるブロック
を組み合わせたものが種々提案されている。
【0006】そのようなベルトとして使用されるものの
中に、ゴム素材からなる張力帯にブロックを固定してベ
ルト幅方向の強度を高めた引張伝動式の高負荷伝動ベル
トがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエ
ラストマー中に埋設した張力帯にボルトやリベットなど
の止着材を用いて張力帯に使用しているエラストマーよ
りも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着
固定したものがある。
【0007】更に、ゴム製の張力帯とブロックとを凹凸
の嵌合により固定したようなベルトもある。これらのベ
ルトに用いるブロックは樹脂製といっても、樹脂内部に
金属製の補強材を埋設したものや、金属製の補強材のプ
ーリとの接触面に樹脂を被覆したようなものを用いるの
が通常である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このようなゴム製の張
力帯とブロックからなるベルトでは、確かに潤滑油など
を常に供給しなければならないといったこともなく、変
速装置がコンパクトにできるといった利点や、メンテナ
ンスフリーに近い状態が得られるといった有利な点があ
る。しかし、金属製のベルトと比べると素材の強度に劣
るところがあり、寿命を短くする原因となっている。そ
のような問題の一つとして、張力帯がブロックとのあい
だの摩擦で摩耗したり、クラックが発生することが挙げ
られる。
【0009】負荷が高い条件での走行では、ブロックの
プーリ突入時やプーリから脱出時にブロックが走行方向
に揺動することによってブロックと張力帯が強く擦れあ
う。そうするとブロックと張力帯とのあいだに隙間が発
生し、更に揺動が大きくなって磨耗が大きくなるといっ
た現象が起こる。
【0010】また伝動時に作用するブロックと張力帯と
の嵌合部における応力の発生や繰り返し屈曲によってク
ラックが発生し、最終的には張力帯の切断にも至ってし
まうことがある。
【0011】そこで本発明は、張力帯を補強することに
よってブロックとの摩擦が発生しても摩耗量が少なく、
また繰り返し屈曲を受けてもクラックの発生が防止でき
る高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的
を達成するために、請求項1では張力帯と、該張力帯に
ベルト長手方向に所定ピッチで設けた複数のブロックと
からなる高負荷伝動ベルトにおいて、前記張力帯はゴム
材料中に心線を埋設した構成からなり、更に張力帯と少
なくとも片面にはアラミド繊維からなる補強布を配置し
たことを特徴とする。
【0013】張力帯にアラミド繊維からなる補強布を配
置することによって、張力帯表面が補強されているの
で、ブロックとの間で摩擦したとしても張力帯の摩耗は
小さなものにとどめることができ、また、ベルトの走行
で繰り返し屈曲したとしても屈曲によるクラックの発生
を防止することができる。
【0014】請求項2では、張力帯に配置する補強布を
構成するアラミド繊維はパラ系アラミドであるとしてお
り、アラミド繊維の中でもパラ系アラミド繊維はポリア
ミド繊維の3倍近い強度を有していると共に耐摩耗性に
も優れている。そのことからベルト走行状態におけるブ
ロックのプーリ突入および脱出時の揺動による帆布の摩
耗を改善することができる。
【0015】請求項3では補強布は、レゾルシン・ホル
マリン・ラテックスまたはイソシアネートによる第1処
理およびゴム糊による第2処理の少なくとも2段階から
なる接着処理がなされているとしている。
【0016】このように補強布を接着処理することによ
って、補強布とゴムとの接着力が上がり張力帯を補強す
る上で好ましいといえる。
【0017】請求項4では補強布はイソシアネートを配
合したゴム糊にて接着処理がなされており、ゴム糊にイ
ソシアネートを配合したものを用いることによって、補
強布とゴムとの接着力を格段に向上させることができる
ので更に補強布による効果を長くもたせることができ
る。
【0018】請求項5では張力帯を構成するゴムが水素
化ニトリルゴムもしくは不飽和カルボン酸金属塩を添加
した水素化ニトリルゴムからなり、ゴム糊として使用す
るゴムが、前記張力体を構成するゴムと同じゴムを用い
ている。
【0019】張力帯を構成するゴムと補強布を処理する
ゴム糊に用いるゴムを同じゴムとし、しかも水素化ニト
リルゴムもしくは不飽和カルボン酸金属塩を添加した水
素化ニトリルゴムを用いているので、耐熱性に優れる仕
様で補強布の接着力も高いベルトを得ることができる。
【0020】請求項6では補強布を構成する糸のうち、
ベルト長手方向の糸の50%以上がアラミド繊維からな
るとしている。ベルトの屈曲により発生するクラックは
ベルト長手方向の糸にアラミド繊維を用いることによっ
て防止することができることからここでベルト長手方向
の糸に対してアラミド繊維が50%以上であるとい限定
をくわている。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる高負荷伝動ベ
ルトは形状としては特に限られるものではなく、例えば
次のような形状が挙げられる。図1は本発明高負荷伝動
ベルトの要部斜視図、図2はブロックの正面図である。
【0022】図1に示すのは本発明の高負荷伝動ベルト
1の一例であって形状は特に限定されるものではない。
図1に示すようにエラストマー2内に心線3をスパイラ
ル状に埋設してなる同じ幅の二本の張力帯4、4´と張
力帯4、4´の長手方向に複数嵌合配置するブロック5
からなる。ブロック5の両側面5a、5bは、プーリの
V溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動され
たプーリから動力を受け取ってブロック5に係止固定し
た張力帯を介して従動側のプーリに動力を伝えるもので
ある。
【0023】ブロック5は、図2に示すようにビーム部
6の両端から上方に向かって一対のサイドピラー7、8
が延びており、ビーム部6およびサイドピラー7、8で
三方を囲まれた嵌合溝9を形成している。嵌合溝9は上
方に開口部10が開いており、一対のサイドピラー7、
8の上端から嵌合溝9の内面側に向かって延びるロック
部11、12が対向するように設けられている。嵌合溝
9には、上方に開口した開口部10から張力帯4、4´
が装着されるが、装着後は前記ロック部11、12によ
って抜けないようになっている。
【0024】なお、ブロック5は補強材13とその表面
を被覆した樹脂部14からなっており、本発明では後で
説明するように樹脂部14に特定の繊維を配合したフェ
ノール樹脂を用いている。樹脂部14は補強材13の前
面を覆う必要はなく、少なくともプーリと接触する側面
5a、5bに被覆していればよい。
【0025】ブロック5のサイドピラー8、9の前面に
は突起15を設けるとともに図示はしないが後面には該
突起15が嵌る凹部を設けており、両者が嵌り合うこと
によってベルト走行中にブロックが整列するようになっ
ている。
【0026】また、図3に示すようにブロックの嵌合溝
9内においてビーム部6の上面およびロック部11、1
2の下面には凸条部16を有すると共に、張力帯4、4
にはベルト幅方向の溝条部17を有しており、それらが
噛み合うことによってブロックは張力帯に対してベルト
長手方向に移動しないよう固定されている。
【0027】なお、2本の張力帯4、4´を用いて嵌合
溝9内に嵌合しやすくした例を説明しているが、別に張
力帯を1本使用したものでも構わない。
【0028】また、別の例としては、次の図4に示すよ
うなものが挙げられる。図4は本発明の高負荷伝動ベル
ト21の正面断面図である。
【0029】この場合は、張力帯22、23に配置する
ブロック24には両側面に張力帯22、23を差し込む
嵌合溝が開口しており、2本の張力帯22、23を嵌合
したものとなっている。
【0030】本発明で用いるブロック5としては、金属
製の補強材13の表面に樹脂部14を被覆したものを用
いており、被覆する樹脂としては、フェノール樹脂やエ
ポキシ樹脂が用いられ、必要に応じて有機、無機繊維を
配合して補強したものが用いられる。
【0031】配合する繊維としては、炭素繊維、ガラス
繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維などが挙げら
れ、通常樹脂100重量部に対して20〜100重量部
程度の範囲で配合する。繊維で樹脂を補強することによ
って、本発明における技術分野の高負荷伝動ベルトの用
途で用いる場合に特に問題となりやすい耐熱性、寸法安
定性、耐摩耗性、耐衝撃性の不足などの問題が解消され
るとともに成形性の面でも非常に好適なブロックを得る
ことができる。樹脂中にはこれらの繊維以外にも必要に
応じて、フィラー、ウィスカー、シリカ、炭酸カルシウ
ムなどの無機材料等を混入してもかまわない。
【0032】また、本発明の高負荷伝動ベルト1に用い
る張力帯4を構成するエラストマー2として使用される
ものは、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジ
エンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニト
リルゴム)、ハイパロン(登録商標)(クロロスルフォ
ン化ポリエチレン)、HNBR(水素化ニトリルゴ
ム)、不飽和カルボン酸金属塩を含有したHNBR等の
ゴムの単一材、またはこれらのブレンド物からなるゴム
配合物やポリウレタン樹脂等でが挙げられる。
【0033】もちろんこれらのエラストマーに通常添加
する配合剤を添加してもよい。配合剤としては、カーボ
ンブラック、シリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、タ
ルク等の耐摩耗性を向上させる充填剤、架橋補助剤、加
硫促進剤、可塑剤、安定剤、加工補助剤、老化防止剤、
着色剤等の通常使用される種々の添加剤が挙げられ、使
用目的に応じて配合される。
【0034】エラストマー2内に埋設する心線3として
は、ポリアミド、ポリエステル、アラミド等の合成繊
維、あるいはスチールコード、ガラス繊維コード、カー
ボン繊維コード等の無機繊維の単体からなるコードやこ
れらの混紡からなる撚りコードもしくは織布が用いられ
る。
【0035】本発明ではこの張力帯4の上下面にはアラ
ミド繊維からなる補強布18が配置されている。アラミ
ド繊維が補強布18として配置されることによって張力
帯4の表面が補強され、ベルトの走行中に張力帯とブロ
ックとの摩擦や張力体の繰り返し屈曲が発生したとして
も、この補強布18によって張力帯4は保護され、摩耗
の発生や張力帯表面のクラックの発生を防止することが
でき、ベルトの寿命を大幅に向上させることができる。
【0036】補強布18として用いることができるもの
は、アラミド繊維を含んだものであるが、少なくともベ
ルト長手方向を構成する緯糸の50%以上がアラミド繊
維からなるものを用いることが好ましい。張力帯の亀裂
の発生に関しては、ベルト長手方向を補強することによ
って効果的に防止することができ、ベルト長手方向の緯
糸のうちより強度の高いアラミド繊維の占める割合が5
0%未満になると、補強布自身の摩耗や裂けが早期に発
生してしまうので好ましくない。
【0037】また、アラミド繊維以外に用いる混紡繊維
としては6ナイロン、66ナイロン、ポリエステルなど
が挙げられる。混紡繊維に限られるものではなく、アラ
ミド繊維が100%の繊維を緯糸として用いることは可
能である。更に緯糸のみならずベルト幅方向に配置され
る経糸においてもアラミド繊維とした補強布18を用い
ることも可能である。
【0038】また、張力帯4にはブロック5の凸条部1
6と噛み合うための溝条部17が設けられているが、溝
を設けた金型に補強布を巻きつけてから未加硫ゴムを被
せて、その後加熱して未加硫ゴムと共に補強布を金型の
形状に片づけするという張力帯の製造工程上の理由でベ
ルト長手方向の糸は伸縮性の糸を用いる。伸縮性を有す
る糸としては、スパンディクス(分子構造的に伸縮性を
持たせたもの)やウーリ加工(繊維をカールさせ、伸縮
性を持たせたもの)したアラミドやそれ以外のポリアミ
ドなどの繊維を用いることができる。他にも織物をバイ
アスに使用することによって伸縮性を持たせた補強布1
8を用いてもよい。
【0039】補強布18の織構成は、特に限定されるも
のではなく平織物、綾織物、朱子織物などいずれの織り
方をしたものでもよい。
【0040】上記のような補強布18は張力帯4を構成
するゴムと接着するために、接着処理が施される。接着
処理は、エポキシ樹脂溶液、イソシアネート樹脂溶液、
RFL溶液及びゴム糊等から選ばれたものの組合わせで
段階的に処理されることが望ましい。また、ゴム糊処理
(ソーキング)の代わりにゴムのコーチングやスプレデ
ィング等の塗込みを用いるのもよい。このような織物
は、上記のような接着剤又はゴムによって処理された
後、ベルト成形時にベルトを構成するゴムや繊維コード
等と接着される。
【0041】このような接着処理を補強帆布に施すこと
によって、補強布18は張力帯4に強力に接着され、張
力帯を長期にわたって保護することができ、ベルトの長
寿命化にも寄与する。また、補強布にソーキングするゴ
ム糊にイソシアネートを配合することによって更に接着
力を向上させることができる。
【0042】本発明で用いるRFL処理液は、レゾルシ
ンとホルマリンのモル比が1:2〜2:1の範囲にある
ものを用い、ゴムラテックス固形分とレゾルシンとホル
マリンの固形分の比は1:1〜1:10の範囲のものが
通常用いられる。固形分が多くなると補強布への固形分
付着量が多くなり、接着力は上がるが付着量の均一性が
失われるという問題がある。
【0043】また、ゴムラテックスとしては、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、カルボ
キシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラ
テックス、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテック
ス、ビニルピリジンゴムラテックス、クロロスルホン化
ポリエチレンゴムラテックス、水素化アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体ゴムラテックス等が用いられる
が、特にアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラ
テックスの使用が好ましい。
【0044】本発明の無段変速装置に用いるような高負
荷伝動ベルトは、非常に高温下で用いられることが多
く、張力帯4を構成するゴムが耐熱性の高い水素化ニト
リルゴムや不飽和カルボン酸金属塩を添加した水素化ニ
トリルゴムを用いることによって耐熱性をアップさせる
ことができるが、それにあわせて張力帯4に配置する補
強布18に処理するゴム糊に同じゴムを使用すると補強
布18の接着性が向上すると共に耐熱性や強度も向上さ
せることができる。
【0045】水素化ニトリルゴムは耐熱性に優れたゴム
であるが、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属
塩を添加配合することによって、水素化ニトリルゴムよ
りも耐熱性に優れると共に高強度で耐摩耗性にも優れた
ゴムとなる。
【0046】本発明に用いられる水素化ニトリルゴムと
しは特に限定されるものではないが、ムーニー粘度(M
L1+4(100℃))が70〜85のものであること
が、機械的強度や剛性を高めること、また併せて屈曲性
や加工性を良好にする上で好ましい。
【0047】水素化ニトリルゴムに配合する不飽和カル
ボン酸金属塩は、カルボキシル基を有する不飽和カルボ
ン酸と金属とがイオン結合したものであり、不飽和カル
ボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸等のモノカル
ボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカル
ボン酸が好ましく、金属としては、ベリリウム、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタ
ン、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、銀、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、
錫、鉛、アンチモン等を用いることができる。
【0048】そして水素化ニトリルゴムと不飽和カルボ
ン酸金属塩の組成比は、98:2〜55:45とする。
水素化ニトリルゴムが組成比で98より多くなると耐摩
耗性が不足することになり、55より少なくなると耐摩
耗性はよいが、ベルトの屈曲性が悪くなるのでクラック
の発生につながり好ましくない。
【0049】また、水素化ニトリルゴムや水素化ニトリ
ルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したゴムの架橋
剤としては有機過酸化物が用いられる。その例として
は、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−t
−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ビス(t−
ブチルパーオキシ−ジ−イソプロピル)ベンゼン、2,
5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)
ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾアート、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネート等
が挙げられる。そして、その配合量としてはゴム100
重量部に対して0.2〜10重量部である。0.2重量
部未満であると架橋が十分に行われず、10重量部を超
えて配合すると十分な弾性が得られなくなって好ましく
ない。
【0050】また、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボ
ン酸金属塩を微分散させたものに、水素化ニトリルゴム
単体をブレンドしたようなゴム組成物を用いることも可
能である。その場合水素化ニトリルゴム100重量部に
対して不飽和カルボン酸金属塩を10〜100重量部の
範囲で微分散させたものと水素化ニトリルゴム単体を2
0:80〜90:10の割合でブレンドしたものとす
る。
【0051】本発明ではアラミド繊維のなかでもパラ系
のアラミド繊維を用いることが強度を向上させる上で好
ましい。パラ系アラミド繊維はポリアミド繊維の3倍近
い強度があり、耐熱性も250℃で常温の半分以上の引
張強度を保持するという優れたものである。また、耐摩
耗性、耐疲労性も優れていることから、補強布として用
いることによってブロックがプーリに突入およびプーリ
から脱出する際に発生する走行方向の揺動による帆布の
摩耗を小さくすることができ、張力帯4の繰り返し屈曲
時の応力によるクラックの発生を防止することができ
る。
【0052】アラミド繊維にはパラ系アラミド繊維とメ
タ系アラミド繊維があり、パラ系アラミド繊維としては
ポリパラフェニレンイソフタルアミドが挙げられ、デュ
ポン社製のケブラーや帝人社製のテクノーラが該当す
る。メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレン
イソフタルアミドを挙げられ、帝人社製のコーネック
ス、デュポン社のノーメックスなどがある。パラ系アラ
ミド繊維はこのメタ系アラミド繊維と比較しても耐熱
性、耐疲労性、耐摩耗性の面で優れている。
【0053】
【実施例】次に、本発明の高負荷伝動ベルトを次のよう
な構成で作成し、ベルトの耐久試験、騒音試験を行い、
ブロック側面の摩耗量を測定した。
【0054】ベルトは図1に示すようなブロックを用い
たベルトであり、アルミニウム合金の補強材を用いてイ
ンサート成形した。樹脂部に用いる樹脂の構成を変えて
実施例1、2と比較例1、2のベルトとした。
【0055】(実施例1)実施例1に用いた樹脂は、フ
ェノール樹脂100重量部に対して炭素繊維30重量
部、チタン酸カリウムウィスカ20重量部を配合し、補
強材としてはアルミ合金(A2014 T6)を用い
た。張力帯のエラストマーとしては水素化ニトリルゴム
にメタクリル酸亜鉛を添加したものを用い、心線にはテ
クノーラを用い、ベルト幅は25mm、ベルト周長は6
90mmとした。
【0056】張力帯に配置する補強布としては、綾織の
織布でありベルト長手方向の緯糸は210D 100/
50mm、ベルト幅方向の経糸は210D 100/5
0mmで共にパラ系アラミド繊維である帝人社製のテク
ノーラを用いたものとし、RFL溶液で処理した後に、
イソシアネートを添加したゴム糊によるソーキングをお
こなったものを用いた。
【0057】以上のようなベルトを表1に示すような条
件で走行させて耐久試験を行った。寿命となった時間を
測定し、その時の故障現象を観察した。また、300時
間で故障の発生がなかった場合は試験を打ち切った。そ
の結果を表2に示す。
【0058】(実施例2)実施例2としては、補強布を
構成する経糸としてメタ系アラミド繊維である帝人社製
コーネックスを用いた以外は全て実施例1と同様のベル
トを作成し、表1に示すような条件で走行させて耐久試
験を行った。寿命となった時間を測定し、その時の故障
現象を観察した。また、300時間で故障の発生がなか
った場合は試験を打ち切った。その結果を表2に示す。
【0059】(比較例1)比較例1としては、補強布を
構成する緯糸および経糸が66ナイロンからなるものを
用いた以外は全て実施例1と同様のベルトを作成し、表
1に示すような条件で走行させて耐久試験を行った。寿
命となった時間を測定し、その時の故障現象を観察し
た。また、300時間で故障の発生がなかった場合は試
験を打ち切った。その結果を表2に示す。
【0060】(比較例2)比較例2としては、補強布を
構成する緯糸に66ナイロンの210D 60/50m
mとテクノーラからなる210D 60/50mmで構
成し、経糸が210D 100/50mmからなるもの
を用いた以外は全て実施例1と同様のベルトを作成し、
表1に示すような条件で走行させて耐久試験を行った。
寿命となった時間を測定し、その時の故障現象を観察し
た。また、300時間で故障の発生がなかった場合は試
験を打ち切った。その結果を表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】表2の結果からわかるように、パラ系アラ
ミド繊維を用いた実施例1、2では走行時間画300時
間に達しても特にベルトに異常が発生することなく走行
を続けていた。また、走行を停止してベルトを観察して
も特に異常はなく、張力帯の摩耗も小さなものであっ
た。
【0064】それに比べて比較例1、2はそれぞれ11
2時間と230時間で切断しており、切断したベルトを
観察すると張力帯にはクラックが発生しており、磨耗量
もパラ系アラミド繊維からなる補強布を用いた実施例と
比べると大きなものであった。
【0065】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1では張力
帯と、該張力帯にベルト長手方向に所定ピッチで設けた
複数のブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、
前記張力帯はゴム材料中に心線を埋設した構成からな
り、更に張力帯と少なくとも片面にはアラミド繊維から
なる補強布を配置したことを特徴とする。
【0066】張力帯にアラミド繊維からなる補強布を配
置することによって、張力帯表面が補強されているの
で、ブロックとの間で摩擦したとしても張力帯の摩耗は
小さなものにとどめることができ、また、ベルトの走行
で繰り返し屈曲したとしても屈曲によるクラックの発生
を防止することができる。
【0067】請求項2では、張力帯に配置する補強布を
構成するアラミド繊維はパラ系アラミドであるとしてお
り、アラミド繊維の中でもパラ系アラミド繊維はポリア
ミド繊維の3倍近い強度を有していると共に耐摩耗性に
も優れている。そのことからベルト走行状態におけるブ
ロックのプーリ突入および脱出時の揺動による帆布の摩
耗を改善することができる。
【0068】請求項3では補強布は、レゾルシン・ホル
マリン・ラテックスまたはイソシアネートによる第1処
理およびゴム糊による第2処理の少なくとも2段階から
なる接着処理がなされているとしている。
【0069】このように補強布を接着処理することによ
って、補強布とゴムとの接着力が上がり張力帯を補強す
る上で好ましいといえる。
【0070】請求項4では補強布はイソシアネートを配
合したゴム糊にて接着処理がなされており、ゴム糊にイ
ソシアネートを配合したものを用いることによって、補
強布とゴムとの接着力を格段に向上させることができる
ので更に補強布による効果を長くもたせることができ
る。
【0071】請求項5では張力帯を構成するゴムが水素
化ニトリルゴムもしくは不飽和カルボン酸金属塩を添加
した水素化ニトリルゴムからなり、ゴム糊として使用す
るゴムが、前記張力体を構成するゴムと同じゴムを用い
ている。
【0072】張力帯を構成するゴムと補強布を処理する
ゴム糊に用いるゴムを同じゴムとし、しかも水素化ニト
リルゴムもしくは不飽和カルボン酸金属塩を添加した水
素化ニトリルゴムを用いているので、耐熱性に優れる仕
様で補強布の接着力も高いベルトを得ることができる。
【0073】請求項6では補強布を構成する糸のうち、
ベルト長手方向の糸の50%以上がアラミド繊維からな
るとしている。ベルトの屈曲により発生するクラックは
ベルト長手方向の糸にアラミド繊維を用いることによっ
て防止することができることからここでベルト長手方向
の糸に対してアラミド繊維が50%以上であるとい限定
をくわている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明高負荷伝動ベルトの一例を示す要部斜視
図である。
【図2】図1の高負荷伝動ベルトで用いるブロックの正
面図である。
【図3】本発明高負荷伝動ベルトの横断面図である。
【図4】本発明高負荷伝動ベルトの別の例を示す正面断
面図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト 2 エラストマー 3 心線 4 センターベルト 5 ブロック 5a 側面 5b 側面 13 補強材 14 樹脂部 16 凸条部 17 溝条部 18 補強布

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 張力帯と、該張力帯にベルト長手方向に
    沿って設けた複数のブロック5とからなる高負荷伝動ベ
    ルトにおいて、前記張力帯はゴム材料中に心線を埋設し
    た構成からなり、更に張力帯と少なくとも片面にはアラ
    ミド繊維からなる補強布を配置したことを特徴とする高
    負荷伝動ベルト。
  2. 【請求項2】 張力帯に配置する補強布を構成するアラ
    ミド繊維はパラ系アラミドである請求項1記載の高負荷
    伝動ベルト。
  3. 【請求項3】 補強布は、レゾルシン・ホルマリン・ラ
    テックスまたはイソシアネートによる第1処理およびゴ
    ム糊による第2処理の少なくとも2段階からなる接着処
    理がなされている請求項1または2記載の高負荷伝動ベ
    ルト。
  4. 【請求項4】 補強布はイソシアネートを配合したゴム
    糊にて接着処理がなされている請求項1または2記載の
    高負荷伝動ベルト。
  5. 【請求項5】 張力帯を構成するゴムが水素化ニトリル
    ゴムもしくは不飽和カルボン酸金属塩を添加した水素化
    ニトリルゴムからなり、ゴム糊として使用するゴムが、
    前記張力体を構成するゴムと同じゴムを用いた請求項3
    または4記載の高負荷伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 補強布を構成する糸のうち、ベルト長手
    方向の糸の50%以上がアラミド繊維からなる請求項1
    〜5に記載の高負荷伝動ベルト。
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