JP4917569B2 - 高負荷伝動ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに関し、詳しくはセンターベルトにおけるカバー帆布の接合部における糸のホツレを防止した高負荷伝動ベルトに関する。
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような動力伝動の用途には特別に大きな負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた引張伝動式のベルトがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものがある。
このようなベルトのセンターベルトはゴムなどのエラストマーからなっておりブロックを嵌合固定している。ベルトを走行させることによってセンターベルトはブロックから繰り返し圧縮力や剪断力を受けて、センターベルトを形成するエラストマーに永久歪を発生してブロックとセンターベルトとの嵌合固定力が弱まり、ブロックのぐらつきやがたつきにつながり、ベルト走行時の騒音が大きくなったり、センターベルトに亀裂が生じて切断したりといったことにもなる。
特に小プーリ径にベルトが巻きかかる際に、センターベルトの内周面側がブロックに挟まれた状態になって応力が集中するとともに大きな摩擦力が発生し、センターベルトを構成するゴムが劣化してクラックが生じたり、ベルト切断の原因となったりしていた。
そこでそのようなセンターベルトを保護しセンターベルトとブロックとの間に緩みが生じるのを防止するために特許文献1には、センターベルトの表面にカバー帆布を設けており、しかもその素材をアラミド繊維からなる帆布としている。
また、特許文献2においてはセンターベルト表面のカバー帆布のジョイントにおいてラップジョイントとしそのラップ代を1mm以下としたベルトが開示されている。ラップ代を1mm以下とすることでラップすることによる厚みの変化を少なく抑えてブロックへの影響を少なくしブロックの揺動や騒音の発生の問題、センターベルトのクラック発生の問題を防止することを目的としたものである。
しかし、カバー帆布の接合をラップ接合とすることによって、ラップ部において帆布が2枚重ねとなっているのでブロックの固定力に影響したり、センターベルトの早期クラックの発生に影響したりする問題があった。
特許文献3には、カバー帆布端部の接合をミシンにて行うことが記載されている。ラップ接合の不具合を解消するために突き合わせ接合とし、接合部の強度を確保して性能を安定させるためにミシンでの接合とするものである。
特開2000−291743号公報 特開平11−325191号公報 特開平9−26000号公報
特許文献1に開示されるようにセンターベルトに設けるカバー帆布をアラミド繊維からなる帆布とすることで、動力伝動用に耐えることができるとともにブロックとの摩擦が生じてもセンターベルトが摩耗するのを防止することができベルトの寿命を大幅に延ばすことができ、特許文献3のように突合せ接合としてミシンジョイントとすることで、接合部におけるカバー帆布厚みの不均一も少なくなるとともに接合部の強度も高くなって接合部間から亀裂が生じるといった問題も解消することができる。
しかし、ミシンジョイントの場合、ミシン糸を用いて帆布の端部を縫い合わせている。そのことから接合部でミシン糸にホツレが生じたりすることで糸が浮いた状態となっており、ブロックを装着する際に前記ミシン糸に引っかかって糸が切断され、接合した帆布の端部同士の間に隙間ができたり、ほつれたミシン糸がベルト側面にはみ出したりする不具合が生じていた。
そこで、本発明はセンターベルト表面に配置するカバー帆布の端部をミシン糸で接合することによって十分な接合強度を得ることができ、且つ接合後にミシン糸のホツレや浮きが生じることがないのでブロックの装着時に糸が切断されたりベルト側面にはみ出したりするといった問題を抑えることができる高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
上記のような課題を解決するために本発明の請求項1は、少なくとも片面にベルト幅方向の凸条部と凹条部を交互に形成したセンターベルトと、該センターベルトの前記凹条部と係合する長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなり、センターベルトの少なくとも片面にカバー帆布が被覆されている高負荷伝動ベルトの製造方法において、カバー帆布は端部同士をミシン糸により接合されているとともに、接合に用いるミシン糸として融点が100〜150℃の範囲の糸を用いてなることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
請求項2では、ミシン糸の素材が超高分子量ポリエチレンである請求項1記載の高負荷伝動ベルトとしている。
本発明の請求項1のように、センターベルトの表面に被覆するカバー帆布の端部同士の接合をミシンジョイントによって行い、更に接合に用いるミシン糸として融点が100〜150℃の範囲の糸を用いることによって、ミシン糸はセンターベルトを形成するゴムの加硫時に融けてしまい、よって接合後のミシン糸の浮きやホツレを防止することができるのでほつれたミシン糸がベルトの側面に露出したり接合部に隙間が生じて亀裂を生じたりするといった問題を抑えることができる。
請求項2では、ミシン糸の素材が超高分子量ポリエチレンであるとしており、他の素材を用いる場合よりも低融点でかつ強力であり、摩擦や衝撃にも強く、ミシンで縫う際にカバー帆布との摩擦が生じても糸が切れにくいという点で優れており、好ましい素材であるといえる。
図1は、本発明の高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2はその側断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3と、このセンターベルト3に所定ピッチで取り付けられた複数のブロック2とから構成されている。ブロックの側面6、7に嵌合溝8、9を有しており、該嵌合溝にセンターベルト3が装着されている。このブロック2の両側面6、7は、プーリのV溝と接触する傾斜面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3を引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝達する。またセンターベルト3の表面には本発明の特徴であるカバー帆布10がセンターベルト3と一体的に積層配置されている。
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面には前述のようにセンターベルト3の嵌合溝8、9が形成されており、嵌合溝8、9内の溝上面および溝下面にはセンターベルト3の上面に設けた凹条部15と下面に設けた凹条部16に係合する凸条部17、18が設けられている。
図3は、別のベルトの例であり、ビーム部21の両端から上方に向かって一対のサイドピラー22、23が延びており、このサイドピラー22、23の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部24、25が対向するように設けられている。そして、これらビーム部21、サイドピラー22、23及びロック部24、25によってセンターベルト3が嵌合する嵌合溝20が形成されている。この嵌合溝20に、センターベルト3が、ロック部24、25間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部24、25の嵌合溝20側には、凸部27がそれぞれ設けられており、この凸部27が、センターベルト3に所定ピッチで設けられている凹条部26に嵌合する。これによって、センターベルト3は、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。そして、センターベルト3の表面にはカバー帆布10がセンターベルト3と一体的に積層配置されている。
センターベルト3のエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心体5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編布や金属薄板等を使用することもできる。
なお、本実施形態では、2本のセンターベルト3、3を用いて、ブロック2の嵌合溝20に装着した場合について説明しているが、別に1本のセンターベルトを使用したものであっても構わない。
図2に示すように、センターベルト3は上下両面にカバー帆布10が配置されており、ベルト走行時に発生するセンターベルトとブロックとの摩擦からセンターベルトを保護するようになっている。このような構成を採ることによって、ブロック2との間の摩擦によるセンターベルト3の摩耗が防止される。特にブロック2に酸化亜鉛ウィスカなどのウィスカ状補強材を配合している場合は、センターベルトと摩擦する中でウィスカのためにセンターベルト側の摩耗が非常に大きくなりやすいが、カバー帆布10によって摩耗を防止することができる。また、カバー帆布10の素材としてアラミド繊維を用いることによって更に摩耗防止の効果を高めることができ、ベルトの切断による故障を低減することができる。
カバー帆布10として用いられるのは、平織物、綾織物、朱子織物などを挙げることができ、全てがアラミド繊維である必要はなく例えばベルト長手方向の緯糸にアラミド繊維を用いる形態が挙げられる。アラミド繊維としてはパラ系アラミド繊維でもメタ系アラミド繊維でもいずれでもよいが、0.3〜1.2デニールの原糸を収束したマルチフィラメント糸を用いることが好ましい。また、アラミド繊維以外にポリアミド繊維やウレタン弾性糸を混撚りした糸も用いることができるが、アラミド繊維の占める割合が緯糸の全重量の20〜80%であることが好ましい。原糸の太さが0.3デニール未満であるとベルト長手方向のカバー帆布10の引張強さが低下し、耐摩耗性にも劣ることになるので好ましくない。逆に1.2デニールを超えるような太さであると製織後にカバー帆布10としての剛性が高くなりすぎて経糸と緯糸とのバランスが取れなくなったり帆布にしわを発生させたりする原因となるので好ましくない。
パラ系アラミド繊維としては、例えば商品名をケブラー、テクノーラ、トワロンを挙げることができ、メタ系アラミド繊維としては、商品名でノーメックス、コーネックスを挙げることができる。
また、ベルト幅方向の経糸についても緯糸と同様にパラ系アラミド繊維やメタ系アラミド繊維などのアラミド繊維からなるフィラメント糸としてもよく、その他6ナイロン、6,6−ナイロン、12ナイロン等のポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維などのフィラメント糸を用いることができる。
このような構成のカバー帆布10をセンターベルトの表面に積層接着するために接着処理がなされる。接着処理としては例えばRFL液、イソシアネート溶液あるいはエポキシ溶液による処理が挙げられる。RFL液はレゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはスチレン・ブタジエン・ピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンなどのラテックスである。また、ゴムを溶剤に溶かしてゴム糊状にしたものをカバー帆布10の表面に付着させる糊引き処理、ソーキング処理、コーチング処理も接着処理として挙げることができる。
これらの接着処理においてRFL液、イソシアネート溶液、エポキシ溶液、ゴム糊などの接着処理剤に摩擦係数低減材を配合することによって、ブロックとセンターベルトのカバー帆布との間の摩擦係数を下げることができ、酸化亜鉛などのウィスカを含んだブロックとセンターベルトとの摩擦による摩耗を防止することができる。摩擦係数低減材としては、具体的にはポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂、セラミックパウダー、ガラスビーズ、超高分子量ポリエチレン、グラファイト、二硫化モリブデン、フェノール樹脂、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等をあげることができ、これらのうちの少なくとも1種、好ましくはセラミックパウダー、ガラスビーズ、超高分子量ポリエチレン、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、フェノール樹脂のなかの少なくとも1種、更に好ましくはポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂を用いることが好ましい。
カバー帆布10はその端部同士をミシン糸22により縫い合わせることによって接合を行っている。従来、センターベルトをブロックに嵌合装着する際にこのカバー帆布10を縫い合わせるミシン糸がセンターベルトの側面にはみ出して、ベルトの外観を損なうといった問題があった。本発明において、このカバー帆布10を接合するミシン糸の素材として、その融点が100〜150℃の範囲内の糸を用いることによって、センターベルトを構成するゴムを加硫する工程でミシン糸が融けてしまうことで、前記のようなミシン糸がほつれてセンターベルトの側面にはみ出し、ベルトの外観を損なうといった問題が起きるのを防止することができる。ゴムを加硫する際の温度は、150〜180℃程度であり、前記の融点が100〜150℃である糸は加硫する際の温度と圧力で十分に融けてしまう。ミシン糸の融点が100℃未満であると、成形中にジョイントが外れてしまい、作業性に悪影響が出てしまう。また、150℃を超えるとゴムの加硫工程で十分に溶融することができず、ほつれが生じてセンターベルトの側面にはみ出す問題が残ってしまうので好ましくない。
ミシン糸として用いることができる素材の例としては、超高分子量ポリエチレン、アラミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド等を挙げることができ、これらの素材からなるフィラメント撚糸、モノフィラメント糸を用いることができる。前記の素材の中でも超高分子量ポリエチレンを用いることが、低融点でかつ強力であり、耐摩耗性、耐衝撃性に優れている理由から好ましい。また、カバー帆布10の端部は突き合わせた状態でミシンで縫ってもよいし、少し重ね合わせた状態で縫っても構わない。
ブロック2は、基本的に樹脂組成物からなるブロックであり、樹脂組成物のみからなるブロック2と樹脂組成物中に金属等からなりブロックと同じ略エ字形状を有するインサート材の表面に樹脂材を被覆したものでもよい。通常、インサート材を有さないブロックは有するブロックと比べると剛性が低く、カバー帆布10の接合部Sがブロック2に接している場合の影響を大きく受けてしまう。そういう意味では接合部Sがセンターベルト3の凹条部15に位置した場合の問題は、インサート材を有さないブロック2の場合に顕著に表れる問題といえる。よってインサート材を有さないブロックのほうで本発明の効果は大きなものとなる。
インサート材は、ブロック2の耐側圧性や曲げ剛性を持たせる部分となるインサート材であり、素材としてはアルミ合金、セラミックス、セラミックスとアルミニウムとの複合材料、炭素繊維強化樹脂や鉄などの素材が挙げられる。
耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が好ましく、金属材料の中ではアルミ合金の弾性率が7000kgf/mmで比重が2.8であるのに対し、鉄は弾性率が22000kgf/mmで比重が7.8であり、強度的には鉄を用いるほうが高いといえるが、高速で回転するベルトにとって、ベルト重量は寿命に大きく影響を与えるため軽量化の面で有利なアルミ合金を用いることが好ましい。ただし、耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が優れており、インサート材の所定箇所に樹脂材を被覆したブロック2を用いることが好ましい。
樹脂材を所定の箇所に配置する場合、ブロック2の大きさよりもひと回り小さい金属材料からなるインサート材を用いてそのほぼ全面を樹脂材で被覆したものを用いると、部分的に樹脂材を被覆配置したものに比べて、樹脂材の剥離などの問題が発生しにくいので好ましい形態ということができる。ただし、全面といっても製造工程の上で樹脂材を被覆する際にインサート材を固定する部材が接触しているところは、インサート材が露出する箇所が発生することになるが、少なくともブロックのプーリと接触する箇所やブロック同士が接触する箇所について樹脂で覆われていれば問題はない。
もちろん前述もしたようにブロック2としては前記のようなインサート材を有さない樹脂材のみからなっているものも使用できる。このようなインサート材を埋設していないブロック2を用いた場合、インサート材を埋設したブロックを用いたベルトよりも、軽量化が可能なので高回転で使用してもベルトに発生する遠心力が小さいという優位点があるが、自動二輪などの比較的軽負荷で高回転の用途に向いている。
樹脂材としては、比較的摩擦係数の大きく耐摩耗性に優れ、センターベルト3を構成するエラストマー4と比べると剛性の高い、具体的には硬度90°JIS A以上の硬質ゴム、硬質ポリウレタン樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等のゴムや合成樹脂が用いられる。
これらの中でもブロックを効率よく製造するために射出成形法にて製造するには、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂を用いることになる。また低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよいということからすると、ポリアミド樹脂なかでも4,6−ナイロンが好ましいといえる。
また、これらの樹脂中に、綿糸、ポリアミド繊維やアラミド繊維等の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等からなる織布、フィラー、ウィスカ、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機材料等を混入した強化樹脂からなる。
本発明では前述のようにブロックを形成する樹脂材中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐摩耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になったり射出成形が困難になったりするなどの問題があるので好ましくない。
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例である4,6−ナイロンと炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維が4,6−ナイロンの吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つ4,6−ナイロンの有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。
また、他にも二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
自動車や自動二輪車、農業機械の無段変速装置など、プーリの有効径が変化し大きなトルクを伝達するようなベルトの製造に適用することができる。
本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。 動力伝動用ベルトの側断面図である。 本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。 カバー帆布の接合部を示すセンターベルトの底面図である。
符号の説明
1 動力伝動用ベルト
2 ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 ゴム
4a 内層
4b 外層
5 心体
6 側面
7 側面
8 嵌合溝
9 嵌合溝
10 カバー帆布
10a 端部
10b 端部
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
14 溝
15 溝
16 溝上面
17 溝下面
18 凹条部
19 凹条部
20 凸条部
21 凸条部
S 接合部

Claims (2)

  1. 少なくとも片面にベルト幅方向の凸条部と凹条部を交互に形成したセンターベルトと、該センターベルトの前記凹条部と係合する長手方向に沿って所定ピッチで設けた複数のブロックとからなり、センターベルトの少なくとも片面にカバー帆布が被覆されている高負荷伝動ベルトの製造方法において、カバー帆布は端部同士をミシン糸により接合されているとともに、接合に用いるミシン糸として融点が100〜150℃の範囲の糸を用いてなることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
  2. ミシン糸の素材が超高分子量ポリエチレンである請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
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