JP2001335518A - ポリエチレンテレフタレートの加水分解方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートの加水分解方法

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JP2001335518A
JP2001335518A JP2000157047A JP2000157047A JP2001335518A JP 2001335518 A JP2001335518 A JP 2001335518A JP 2000157047 A JP2000157047 A JP 2000157047A JP 2000157047 A JP2000157047 A JP 2000157047A JP 2001335518 A JP2001335518 A JP 2001335518A
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reactor
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hydrolysis
pressure
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Yoshiyuki Nagase
佳之 長瀬
Ryuichi Fukusato
隆一 福里
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエチレンテレフタレートを高温・高圧水
によって加水分解するに当たり、加水分解率を向上する
と共に、エチレングリコールの二次反応を抑制する。 【解決手段】 反応器内で、加水分解触媒を含有しない
高温・高圧水とポリエチレンテレフタレートとを接触さ
せることにより、ポリエチレンテレフタレートを原料成
分等へ加水分解する方法であって、反応器内の加水分解
反応領域では、温度200〜400℃で、当該温度にお
ける飽和蒸気圧以上または臨界圧力以上の高温・高圧水
とポリエチレンテレフタレートとを接触させると共に、
この高温・高圧水を反応器へ連続的に供給しながら、加
水分解によって生成した原料成分等が溶解した水溶液
を、加水分解反応領域よりも低温条件下の領域へ連続的
に導出することによって、原料成分等が加水分解反応領
域に滞留している時間を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温・高圧の水を
利用してポリエチレンテレフタレートを加水分解する方
法に関し、詳細には、ポリエチレンテレフタレートの分
解物、特にその原料であるテレフタル酸とエチレングリ
コールを高収率に回収するための加水分解方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】エステル結合を有する化合物、例えばポ
リエチレンテレフタレートと高温・高圧で液状の水とを
接触させて加水分解し、原料であるテレフタル酸とエチ
レングリコールを回収する方法が各方面で検討されてい
る。しかしながら、これまで検討された方法では、テレ
フタル酸の回収率に比べてエチレングリコールの回収率
が非常に低い。テレフタル酸は二次反応を起こしにくい
ため加水分解によって生成した量がほぼ回収されるのに
対し、エチレングリコールは加水分解触媒等によって二
次反応を起こし、ジエチレングリコールとなったり、ア
セトアルデヒドに転化してしまうことによる。
【0003】また、エチレングリコールの上記二次反応
は、加水分解触媒を添加しなくても起こることが知られ
ている。すなわち、高温・高圧の条件下では、ポリエチ
レンテレフタレートの分解によって生成したテレフタル
酸が触媒として働き、エチレングリコールの転化が起き
てしまうのである。
【0004】このことから、エチレングリコールを高収
率に回収するには、加水分解反応領域から反応生成物を
速やかに反応領域外へと移動させて、二次反応を防ぐ必
要があると考えられる。しかし、加水分解効率を上げる
ためには、なるべく長くポリエチレンテレフタレートを
加水分解反応領域に滞留させることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明において
は、ポリエチレンテレフタレートの加水分解効率を上げ
ると共に、テレフタル酸とエチレングリコールの収率を
高めるという相反する二つの目的を同時に達成するため
の最良の反応条件および加水分解方法を見出すことを課
題として掲げた。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明は、反応器内で、加水分解触媒を含有し
ない高温・高圧水とポリエチレンテレフタレートとを接
触させることにより、ポリエチレンテレフタレートを原
料成分等へ加水分解する方法であって、反応器内の加水
分解反応領域では、温度200〜400℃で、当該温度
における飽和蒸気圧以上または臨界圧力以上の高温・高
圧水とポリエチレンテレフタレートとを接触させると共
に、この高温・高圧水を反応器へ連続的に供給しなが
ら、加水分解によって生成した原料成分等が溶解した水
溶液を、加水分解反応領域よりも低温条件下の領域へ連
続的に導出することによって、原料成分等が加水分解反
応領域に滞留している時間を制御するところに要旨を有
する。
【0007】テレフタル酸やエチレングリコールといっ
た原料成分は高温・高圧水に溶解して低温領域へ導出さ
れていくので、高温・高圧水中に滞留している時間の制
御によって二次反応を抑制することができ、テレフタル
酸とエチレングリコールを高収率で回収できるようにな
った。また、分解されていないポリエチレンテレフタレ
ートはほとんど高温・高圧水に溶解せず、加水分解によ
って水に溶けることができるような分子量に分解される
まで高温・高圧の加水分解反応領域に留まるため、加水
分解効率も向上させることができた。
【0008】上記効果を高めるために、滞留時間は0.
1〜60分に制御することがより好ましい。なお、高温
・高圧水のみならず、ポリエチレンテレフタレートを溶
融状態またはスラリー状態で反応器に連続供給すると、
大量のポリエチレンテレフタレートを効率よく連続的に
分解することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の加水分解方法は、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)を高温・高圧水と接触
させることにより、そのエステル結合を切断して、PE
Tの原料として再使用可能なテレフタル酸(TPA)と
エチレングリコール(EG)へと分解し、これらを高収
率に回収するためのものである。
【0010】本発明の加水分解方法の特徴は、PETが
加水分解を速やかに起こし得る反応温度・圧力条件を見
出したことと、EGがジエチレングリコール(DEG)
やアセトアルデヒド(ACH)に転化してしまう二次反
応を可及的に抑制しながら、PETの加水分解効率をも
高めることに成功したところにある。
【0011】まず、本発明者等は、反応器にPETと水
を一括で仕込むバッチ式において、PETを高温・高圧
水で加水分解して、EGがどの程度転化するかを予備的
に検討した。PETに対する水の質量比(加水比)は5
〜10である。所定の反応時間経過後、残留物および反
応生成物について、その組成を分析した。結果を表1に
示す。表1において、ポリマーとオリゴマーは、最初に
反応器に仕込んだポリマー質量に対する割合を示してい
る。また、TPAについては、最初に仕込んだポリマー
が全て分解された場合に生成するTPAの量に対し、実
際に回収されたTPAの割合を示している。EG、AC
H、DEGに付いても、最初に仕込んだポリマーが全て
分解・転化した場合に生成するEG、ACH、DEGの
量に対し、実際に回収されたEG、ACH、DEGの割
合を示している。なお、TPA、EG、ACH、DEG
の分析はガスクロマトグラフィーで行った。
【0012】
【表1】
【0013】表1から明らかなように、300℃、30
MPaでの分解実験の場合、7分では未分解のポリマー
が残存していた。また、ポリマー鎖が部分的に加水分解
された結果生成したオリゴマーが多く認められたことか
ら、TPA等の低分子化合物にまで分解し切れていない
ことがわかる。ACHやDEGは検出限界以下(n.
d.)であったが、TPAとEGの存在量自体が反応系
中に少ないためであると考えられる。温度を350℃や
400℃に上げると、加水分解が進行しTPAの量が増
大するが、TPAと同当量生成しているはずのEGの量
はTPAに比べて低レベルであり、ACH、DEGへの
転化が確認された。これらの温度では、ポリマーは速や
かに分解し、400℃で15分も反応を行えばオリゴマ
ーもなくなることが分かった。
【0014】これらの実験結果から、EGがかなりの
量、二次反応によって他の化合物へ転化してしまうこと
が分かった。そこで、さらに、TPAがEGに対してど
の程度影響を及ぼすかを検討した。反応器に水とEGお
よびTPAのみを仕込み、所定の温度・圧力にしてEG
の濃度の経時変化を測定した。EGに対する水の質量比
(加水比)は5〜8である。結果を表2に示す。なお、
各時間におけるEGの濃度から、仕込んだEGがどれだ
け減少したかを算出し、EG減少率(質量%)として示
した。
【0015】
【表2】
【0016】表2から、EG単独ではその減少率がせい
ぜい5%程度であるのに対し、TPAが反応系中に1.
3%存在するだけで、EGの減少率が飛躍的に増大して
しまうことが分かる。さらに時間の経過と共にEGが減
少していく(減少率が増大する)こと、減少率はTPA
が多いほど大きいことが分かった。
【0017】これらの知見から、バッチ式では、EGを
高収率に得ることは困難であると考えられた。従って、
加水分解反応で生成したEGを速やかに転化反応が起こ
らない低温領域へと移すことによって、EGの減少を防
ぐと共に、未分解のPETについては、長時間加水分解
を受けさせるため、PETが溶解しない高温・高圧水と
すべきであるとの結論に至り、本発明に到達したのであ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明法における加水分解対象物はPET
である。加水分解は、高温・高圧状態を保持できる反応
器内で、PETと高温・高圧水を接触させることによっ
て行う。本発明法においては、高温・高圧水を反応器へ
連続的に供給する必要がある。PETは反応器内に一括
で仕込む方法、連続的に仕込む方法いずれも採用可能で
あるが、高温・高圧水については連続供給しなければ、
EGを加水分解反応領域から低温領域へ連続的に移すこ
とができないからである。
【0019】本発明の加水分解反応条件においては、P
ETはほとんど高温・高圧水に溶解しない。一方、加水
分解を受けて生成したTPAとEGは高温・高圧水に溶
解するので、高温・高圧水を連続的に供給すれば、これ
らの原料成分等が溶解した水溶液が連続的に反応器から
排出される。従って、TPAとEGを水と共に速やかに
加水分解反応領域外へと移すことができる。バッチ式の
場合は、たとえ反応時間を短くしたとしても、反応初期
に生成したEGがTPAと高温・高圧水中に共存するこ
ととなるため、反応時間終了までの間にEGが転化して
しまうが、本発明法においては、高温・高圧水に溶解し
たTPAとEGを速やかに反応器外の低温領域へ排出す
るため、EGの二次反応を抑制することができる。な
お、本発明法においては、高温・高圧水のみで高い加水
分解率となることから、加水分解触媒は使用しなくても
よい。
【0020】高温・高圧水が反応器内へ供給されてか
ら、原料成分等が溶解した水溶液が反応器外の低温領域
へと排出されるまでの時間が滞留時間となる。反応器外
では冷却手段で冷却するか、減圧に伴う冷却によって、
反応器内の温度よりも低温の領域とし、EGの二次反応
を抑制する。滞留時間は、反応器の大きさと高温・高圧
水の供給(流通)速度によって制御することができる。
原料成分等とあるのは、TPAとEG(これらが原料成
分)以外に、高温・高圧水に溶解するレベルの分子量の
オリゴマーやEGの転化物が含まれている可能性がある
ことを意味している。
【0021】本発明法では、1つの反応器において、入
口側を高温・高圧条件の加水分解反応領域とし、反応器
の出口側に加水分解反応よりも低温条件下の領域とする
こともできる。この場合は、反応器へ供給されてから低
温領域へ達するまでの時間が滞留時間となる。1つの反
応器に低温領域と加水分解反応領域を設けると、条件設
定によって低温の水に溶けていることができなくなった
オリゴマーが水から分離してくるので、このオリゴマー
が再び加水分解反応領域へと沈降し、加水分解効率が向
上する。
【0022】本発明法においては、加水分解反応領域の
高温・高圧水の水温を200〜400℃とする。200
℃より低温では、加水分解反応が速やかに起こらず、P
ETが残存し、原料成分の回収率が上がらない。しかし
400℃を超えるとEGの転化反応の進行が促進される
ため好ましくない。また、未分解のPETやオリゴマー
が高温・高圧水に溶解し易くなるので、これらが水に溶
けた状態で加水分解反応領域外へ導出されるため、全体
の加水分解率が低下してしまう恐れがある。より好まし
い温度の下限は250℃、上限は374℃である。
【0023】水の圧力は、加水分解反応に用いられる水
の温度の飽和蒸気圧以上または臨界圧力以上とする。上
記温度で液状を維持するためである。圧力が高い方が、
原料成分の回収率が上がるため、25MPa以上とする
ことが好ましく、30MPa前後が最も好ましい。圧力
の上限は特に限定されないが、あまり圧力が高すぎる
と、高圧を維持し得る反応器が必要となるため、40M
Pa以下が好ましい。
【0024】滞留時間は0.1〜60分とすることが好
ましい。60分を超えると、EGの二次反応が進行する
ため、好ましくない。より好ましい滞留時間の下限は1
0分である。より好ましい上限は30分、さらに好まし
くは20分である。未分解のPETは依然として反応器
内に残り、加水分解反応を受けることができるため、滞
留時間を上記のように短時間に設定しても、加水分解率
を極めて高くすることができる。
【0025】PETと高温・高圧水の比率(加水比)と
しては、PETに対し、0.1〜200質量倍の高温・
高圧水を接触させることが好ましい。0.1質量倍未満
では、加水分解反応が充分に進行しないことがある上
に、反応器内でのTPAとEGの濃度が相対的に高くな
ってEGの二次反応が進行しやすくなるため、EGの回
収率が低下する恐れがある。200倍質量を超えると、
高温・高圧水を得るためのエネルギーコストや、原料成
分を回収するときの脱水手段におけるエネルギーコスト
が膨大となり、さらに、反応器・脱水設備を大規模にし
なければならないというデメリットが生じるため、好ま
しくない。より好ましい加水比は、1〜50倍(質量
比)である。
【0026】加水分解反応を受け、高温・高圧水と共に
加水分解反応領域外へ排出されたTPAとEGは回収手
段に供される。TPAとEGの分離方法としては、例え
ば、TPAが常温・常圧の水には溶けないことを利用し
て、減圧・降温後、遠心分離を行う等の固液分離手段に
よって、固体のTPAを回収することができる。
【0027】一方、前記固液分離操作によって固体のT
PAと分離された後のEG含有水溶液は、例えば脱水塔
等による脱水工程を経ることによって、不純物として混
入しているアセトアルデヒド(常圧での沸点21℃)を
分離することができる。さらに、精留塔等によってEG
(常圧での沸点197℃)とジエチレングリコール(常
圧での沸点245℃)とを分離することにより、EGを
回収することができる。
【0028】次に、本発明法の加水分解方法を実施する
ための設備例を図1を参照しながら説明する。1が反応
器である。反応器1は、水を高温高圧状態で保持できる
ものを用いる。加熱器を有する反応器を用いてもよい。
また、複数の反応器を並列させた構成であってもよい。
【0029】加水分解対象物であるPETは、加熱タン
ク2で加熱溶融させた後、ポンプ3で、反応器1へ連続
的に供給される。ポンプに代えてスクリュー型押出機等
の供給手段を用いてもよい。また、反応前に反応器1へ
PETを仕込んでおいても良い(半連続)。水タンク4
の方へ粉砕したPETを加え、スラリー状で反応器1へ
供給することも可能である。
【0030】水は、水タンク4から、ポンプ5によって
高圧状態とされ、加熱器6によって高温状態とされて、
反応器1へ連続的に供給される。図1の例では、反応器
1のすぐ上流で、PETと高温・高圧水を合流させてか
ら、反応器1へ導入しているが、別々の供給路で導入し
てもよい。滞留時間の制御は、高温・高圧水の供給速度
でコントロールすることができる。
【0031】反応器1内でPETと高温・高圧水が接触
することにより、PETの加水分解反応が起こる。供給
速度に応じた速度で、高温・高圧水は反応器1の下方か
ら上方へと移動する。PETの加水分解によってまずオ
リゴマーが生じ、高温・高圧水に溶解するレベルの分子
量のオリゴマーは高温・高圧水に溶解して反応器の上方
へと移動しながら、TPAとEGへと分解していく。T
PAとEG等を含む水溶液(原料成分含有水溶液)が、
反応器1の塔頂から排出されることにより、加水分解反
応領域での原料成分等の滞留が終了する。反応器1から
排出された水は冷却手段8によって、または冷却手段8
がなくても圧力調整弁7による大気圧等への減圧によっ
て、例えば100℃程度に冷却されるので、EGの二次
反応はもはや起こらなくなる。なお、反応器1から、固
体のPETが原料含有水溶液に随伴して導出されてしま
うのを防止するために、反応器1の出口にはフィルター
等を取り付けることが推奨される。
【0032】反応器1の塔頂から排出された原料成分含
有水溶液は、圧力調整弁7によって、例えば大気圧に減
圧され、さらに必要により冷却手段8’を経て適宜冷却
されて、固液分離装置9へと送られる。固液分離装置9
としては、遠心分離、遠心沈降、液体サイクロン、静置
分離、濾過、圧搾、分別等が行える各装置のいずれもが
使用可能である。この固液分離によってTPAが固体と
して回収できる。固体として分離されたTPAに対し、
さらなる精製工程や、メチル化等の後処理工程を行って
もよい。
【0033】上記原料成分含有水溶液には、オリゴマー
が含まれている可能性がある。オリゴマーはTPAやE
Gよりも分子量が大きいので、高温・高圧水に対する溶
解度はTPAやEGよりも低い。従って、反応器1から
排出された原料成分含有水溶液の温度・圧力条件をオリ
ゴマーのみを沈殿させることができる条件にすることに
より、図示しない固液分離手段でオリゴマーを分離でき
る。分離されたオリゴマーは、反応器1の中央部近傍に
戻すことが好ましい。反応器1から溶液状態で排出され
たオリゴマーは、既に一部加水分解を受けているので、
反応器1の中央部近傍へ導入することにより、反応時間
を短くして、EGの二次反応を抑制することができる。
【0034】固液分離装置9で固体のTPAと分離され
たEG含有水溶液は、続いて、EG回収工程10へと送
られる。図例では、EG回収工程10は、脱水装置1
1、精製装置12とから構成されている。
【0035】脱水装置11としては、単蒸留装置、フラ
ッシュドラム等からなるフラッシュ分離装置、蒸留塔等
の(減圧)蒸留装置、吸着塔等の吸着装置、乾燥装置等
が利用できる。
【0036】精製装置12としては、単蒸留装置、蒸留
塔等の(減圧)蒸留装置、吸着塔等の吸着装置が利用可
能である。前記したように、アセトアルデヒドはEGよ
りも低沸点化合物であり、ジエチレングリコールはEG
よりも高沸点化合物であるので、蒸留塔を用いれば、目
的とするEGを精製装置12の塔頂から回収することが
できる。その他公知の精製手段を用いてもよい。
【0037】なお、13は、脱水装置11から排出され
る水を、水タンク4へ戻すための流路であり、必要に応
じてポンプ等を組み合わせてもよい。水のリサイクルが
可能となる。
【0038】以上、本発明法を実施する際に用いること
のできる設備を図1によって説明したが、本発明法の趣
旨を逸脱しない範囲で変更された設備において、本発明
の実施が可能であることは言うまでもない。
【0039】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0040】実験例1 PETの加水分解実験を、バッチ方式と本発明方式で行
った。加水分解対象物は、数平均分子量(Mn)が23
000のPETである。バッチ方式では、加熱器を備え
た反応器に、上記PETを1g、水を5〜10gを一括
で仕込み、350℃、30MPaにしてから、15分間
加水分解反応を行った。反応終了後、冷却して、常圧に
戻した。得られた反応生成物を前処理後、ガスクロマト
グラフィーで組成を分析し、結果を表3に示した。
【0041】本発明方式では、図1に示したものと同様
の実験用反応器を用い、PET1gを反応器に仕込ん
だ。350℃、30MPaの水を、滞留時間が15分と
なるように供給速度を調整し、反応器へ連続的に供給し
た。逐次、塔頂から反応生成物を導出し、減圧して冷却
した。なお、反応器出口には開孔サイズが7μmのフィ
ルターを付けておいた。得られた反応生成物について前
処理後、ガスクロマトグラフィーで組成を分析し、結果
を表3に示した。表3の収率(質量%)は、仕込みPE
Tが全てTPAとEGに分解したとしたときに回収され
得るTPAおよびEG量に対する実際に回収されたTP
AおよびEGの割合である。
【0042】
【表3】
【0043】表3から、バッチ方式の場合は、TPAが
53%、EGが34%と低いのに対し、同じ反応(滞
留)時間で行った本発明方式では、TPAが95%、E
Gが65%と、非常に高収率になっていることが分か
る。また、本発明方式のTPAの収率から、PETがほ
とんど加水分解されていることが分かる。さらにEGの
収率から、本発明方式において、EGの二次反応をかな
り抑制できたことが確認できた。
【0044】実験例2 PETポリマーが本発明方式でどの程度残存するかにつ
いて実験を行った。図1に示したものと同様の実験用反
応器を用い、PET1gを反応器に仕込んだ。表4に示
した温度・圧力の水を反応器へ連続的に供給した。運転
時間(水を供給し続けた時間)は表4に示す通りであ
る。それ以外は実験例1と同様にして、回収された水溶
液中のオリゴマー量を分析した。また、反応器内部に残
存していたPETポリマーを回収して、質量を計り、仕
込んだPETに対する割合(質量%)を表4に示した。
なお、回収物からはPETポリマーは検出されなかっ
た。
【0045】
【表4】
【0046】表4から、本発明方式では、PETの加水
分解率が非常に高いことが分かる。
【0047】
【発明の効果】本発明では、ポリエチレンテレフタレー
トを加水分解する当たり、ポリエチレンテレフタレート
が速やかに加水分解を起こし、しかも、エチレングリコ
ールの二次反応が抑制される最適反応条件・方法を見出
した。このため、従来より比較的高収率に回収されてい
たテレフタル酸はもとより、収率の低かったエチレング
リコールについても、高い収率で回収することができる
ようになった。また、ポリエチレンテレフタレートが高
温・高圧水に溶けない反応条件を選択し、水溶液のみを
連続的に排出する構成を採用したので、未分解のPET
は加水分解反応領域に留まるため、加水分解率も向上さ
せることができた。従って、PETの加水分解率向上
と、エチレングリコールの回収率向上という相反する目
的を両方達成することができた。
【0048】本発明法は、ポリエチレンテレフタレート
のリサイクル法として有用であり、ポリエチレンテレフ
タレート製のフィルム、繊維、ボトル、その他各種成形
品を製造するときに発生する不良品、あるいは製品とし
て市場に流通した後の廃プラの処理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加水分解方法を実施するための設備の
概略説明図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 PET用加熱タンク 3 PET供給用ポンプ 4 水タンク 5 水供給用ポンプ 6 加熱器 7 圧力調整弁 8、8’ 冷却器 9 固液分離装置 10 回収工程 11 脱水装置 12 精製装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 4F301 AA25 CA09 CA22 CA41 CA51 CA62 CA63 CA71 CA72 CA73 4H006 AA02 AC26 BC10 BC11 BC19 BJ50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応器内で、加水分解触媒を含有しない
    高温・高圧水とポリエチレンテレフタレートとを接触さ
    せることにより、ポリエチレンテレフタレートを原料成
    分等へ加水分解する方法であって、 反応器内の加水分解反応領域では、温度200〜400
    ℃で、当該温度における飽和蒸気圧以上または臨界圧力
    以上の高温・高圧水とポリエチレンテレフタレートとを
    接触させると共に、 この高温・高圧水を反応器へ連続的に供給しながら、加
    水分解によって生成した原料成分等が溶解した水溶液
    を、加水分解反応領域よりも低温条件下の領域へ連続的
    に導出することによって、原料成分等が加水分解反応領
    域に滞留している時間を制御することを特徴とするポリ
    エチレンテレフタレートの加水分解方法。
  2. 【請求項2】 上記原料成分等が加水分解反応領域に滞
    留している時間を0.1〜60分に制御するものである
    請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートの加水分
    解方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートを溶融状態
    またはスラリー状態で、反応器へ連続的に供給するもの
    である請求項1または2に記載の加水分解方法。
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