JP2001335491A - 高脂血症の予防又は治療剤 - Google Patents
高脂血症の予防又は治療剤Info
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Abstract
予防又は治療のために用いることのできる剤を提供す
る。 【解決手段】臨床上有効量のフコイダン又はフコイダン
様多糖体を含む剤を提供する。本発明の剤は、特に抗ト
リグリセライド血症の者に対し有用である。本発明の剤
は食品の形態とすることができる。
Description
グリセライド血症の予防及び治療に用いることのでき
る、リパーゼ及びリポプロテインリパーゼ活性促進作用
を有する硫酸化糖を含む剤に関する。本発明の剤は食品
の形態とすることができる。
の日本においては、人口の高齢化、生活様式の欧米化に
伴う脂肪摂取量の増加とともに高脂血症患者の増加が指
摘されてきている。高脂血症は血清脂質が異常に高くな
った状態であり、コレステロール濃度が高値である高コ
レステロール血症、トリグリセライド濃度が高値である
高トリグリセライド血症、及びコレステロールとトリグ
リセライドとが高値である複合型高脂血症を含む。
テロール濃度が220mg/dl以上である状態である。高コ
レステロール血症はアテローム硬化を促進し、心筋梗塞
などの冠動脈疾患の発症頻度を増す。高トリグリセライ
ド血症は、早朝空腹時血清トリグリセライド値が150mg
/dl以上である状態をいい(日本動脈硬化学会高脂血症
診療ガイドライン委員会)、高トリグリセライド血症を
動脈硬化性疾患の危険因子としてとらえるべきであると
提言されている(及川真一、小竹英俊:診療ガイドライ
ンに基づく高脂血症診療の実際 わが国の高脂血症の診
療ガイドライン高トリグリセライド血症:Lipid(9),
336-341(1998))。また、高トリグリセライド血症
は、動脈硬化を促進するほか、急性膵炎、静脈血栓症な
どの原因となる(佐々木純:高脂血症:薬局(50),75
9-764(1999))。
セライド血症や高コレステロール血症を合併し、冠動脈
疾患の発症や死亡率が高いことが知られている(佐野隆
一、豊田隆謙:高脂血症をどうとらえるか 各疾患にお
ける高脂血症のとり扱い 糖尿病と高脂血症:臨床と研
究(75),1279-1282(1998))。即ち、高脂血症は、
糖尿病、高血圧、肥満等の生活習慣病を合併している頻
度が高い。このような場合は包括的な治療が必要である
と考えられている。
運動療法及び/又は薬剤による治療等が行われている。
薬剤は高コレステロール血症に対するものと高トリグリ
セライド血症に対するものに大別される。コレステロー
ルが主に高い場合にはHMG-CoA還元酵素阻害剤、プロブ
コール等が、トリグリセライドが主に高い場合はクロフ
ィブラート系薬剤、ニコチン酸製剤等が使用される。し
かしながら、これらの薬剤は、概して高価であり、ま
た、対象の年齢、妊娠・授乳の有無、他の疾病の有無に
より投与量を減量する等の注意が必要とされている(井
出朋子ら:高脂血症治療薬と患者への説明:薬局(5
0),765-776(1999))。
藻類や海鼠、両生類の卵を被っているゼリー状物質に含
まれるフコースを主成分とする硫酸化多糖である。ウロ
ン酸を実質的に含まない。フコイダン−Fと称されるこ
ともある。フコイダン様多糖体は、フコース及びマンノ
ース等を主成分とし、ウロン酸を数%含む硫酸化多糖で
ある。フコイダン−Uと称されることもある。フコイダ
ン及びフコイダン様多糖体は、いずれもヘパリン様の抗
血液凝固活性を有していることが知られている。
々の生理活性が認められてきた。例えば、再公表特許WO
98/01537号は、フコイダン又はデキストラン硫酸のア
ポトーシス誘導作用について開示する。また、特開平10
−17498号は、フコイダンの繊維芽細胞増殖促進作用に
ついて開示する。さらに特開平11−228602号は、フコイ
ダンを有効成分とする免疫強化剤を開示する。
清澄化作用に関しては、いくつかの研究がある。Rozkin
らは、ヘパリン、ヘパラン硫酸又はフコイダンを単回静
脈注射した場合に、血清脂質分解促進作用がみられたこ
とを明らかにしている(Rozkin MIa.,Levina MN.e
t al.:Anticoagulant and lipolysis-stimulating
activity of polysaccharides from brown sea
algae:Farmakol.Toksikol.(54),40-42(199
1))。また、上原らは、フコイダンを経口投与した場
合に、コレステロール低減作用がみられたことを報告し
ている(上原めぐみ他:Effects of Fucoiden extra
cted from Okinawamozuku(CladosiphonOkamuraus T
OKIDA)on the serum cholesterol levels in ch
olesterol-fed rats:J.Appl.Glycosci.(43),14
9-153(1996))。しかしながら、フコイダンと血清脂
質に関する多くの研究では、ラット等のヒト以外の動物
が対象とされてきた。また、フコイダンを血中投与では
なく経口的に、しかも繰り返し投与した場合の血清脂質
に対する効果に関しては、ほとんど報告されていない。
そして、薬物療法の対象とはならないが高脂血症のリス
クがある場合に、高脂血症の予防のために用いることの
できる実用的な剤は、現在までに開発されていない。
化糖に関する研究に従事してきている(特願平5-2843
1、桐原 修、大石 一二三ら:褐藻由来フコイダンの
抗アレルギー作用:日本農芸化学会1997年度大会(東
京)講演要旨集(176)、Ohishi H.,et al.:Glyc
osaminoglycan content in neonatal rat arotic
smooth muscle cell cultures;Atherosclerosis
(69),61-68(1988))。今回、フコイダンやフコイ
ダン様多糖体及びこれらの低分子化硫酸化糖の経口投与
によって、血中のトリグリセライドを有意に低減させる
ことが可能であるとの知見を得、本発明に到達した。即
ち、本発明は、高脂血症のリスクのある者又は高脂血症
の者に対し、臨床上有効量のフコイダン又はフコイダン
様多糖体を経口投与するための高脂血症の予防又は治療
剤を提供する。
は、将来(例えば、数年〜数十年後)に高脂血症の状態
となる可能性のある者をいう。現在の血清全コレステロ
ール濃度が常時約220mg/dl未満であり、かつ他の危険
因子(加齢、冠動脈疾患の家族歴、喫煙習慣、高血圧、
肥満、耐糖能異常、高トリグリセライド血症、低HDL-コ
レステロール血症等)のない、極低度のリスクの者を含
む。また、血清中の脂質値が高いとはいえないが、他の
危険因子を有する者、及び非薬物療法(食事療法、運動
療法等)適用の対象となるが薬物療法の適用が必ずしも
必要とはいえない者も含む。本発明でいう高脂血症の者
とは、現に高脂血症の状態にある者をいい、高脂血症と
ともに他の疾患、症状を併発している者も含む。なお、
本明細書では、「高脂血症のリスクのある者又は高脂血
症の者」を、「高脂血症の者等」ということもある。
スクのある者とは、将来(例えば、数年〜数十年後)に
高トリグリセライド血症の状態となる可能性のある者を
いう。現在の血清トリグリセライド濃度が常時約約150m
g/dl未満である、極低度のリスクの者を含む。本発明
でいう高トリグリセライド血症の者とは、現に高トリグ
リセライド血症の状態にある者をいい、高トリグリセラ
イド血症とともに他の疾患、症状を併発している者も含
む。なお、本明細書では、「高トリグリセライド血症の
リスクのある者又は高トリグリセライド血症の者」を、
「高トリグリセライド血症の者等」ということもある。
与した場合、フコイダン等の血清脂質低減作用に基づい
て、血清脂質(及び/又はトリグリセライド)値を正常
値に維持することができる量、値の上昇を低く抑えるこ
とができる量、値を低めることができる量をいう。
に、高トリグリセライド血症の者に対し投与するのに適
している。
高トリグリセライド血症の者等に対し、単回、又は繰り
返して投与することができる。繰り返して投与すること
は、血清脂質(及び/又はトリグリセライド)を効果的
に正常値に維持することができたり、血清脂質(及び/
又はトリグリセライド)を効果的に次第に低めることが
できると考えられる点で、高脂血症(及び/又は高トリ
グリセライド血症)の予防又は治療において特に好まし
い。
はなく、血清脂質(及び/又はトリグリセライド)の濃
度レベル、高脂血症の発症リスク(又は高トリグリセラ
イド血症の発症リスク)の程度に応じて適宜設定するこ
とができる。通常は、1週間以上である。投与は毎日で
もよく、数日おきでもよく又は連続投与の間に投与しな
い期間を設けてもよい。
イダン様多糖体及びこれらの低分子化物質を用いること
ができる。(なお、本明細書では、フコイダン、フコイ
ダン様多糖体及びこれらの低分子化物質のことを、「フ
コイダン等」ということもある。)また、フコイダン等
を含む原料の摩砕物、並びに原料からの抽出物、粗生成
物及び精製物を用いることができる。
て摂取可能であれば、原料は特に制限されない。例え
ば、コンブ、マコンブ、カゴメコンブ、モズク、ヒバマ
タ、ウミウチワ、ワカメ及びアミジグサ等の褐藻類並び
にマナマコ、ニセクロナマコ等のナマコを用いることが
できる。これらの原料からのフコイダン等の製造方法も
特に制限されず、通常の方法によることができる。例え
ば、酸またはアルカリ水溶液による抽出法、熱水又は冷
水による抽出法等によることができる。
又は塩酸等の酸水溶液に懸濁することにより抽出を行
い、懸濁液から沈殿を除いて上清を得て、そして必要に
応じ上清について塩析、ろ過及び/又は透析等の精製操
作を行い、更に必要に応じて凍結乾燥等の操作を行って
フコイダン等を得る。熱水抽出法は次の工程からなる:
原料を熱水に懸濁することにより抽出を行い、懸濁液か
ら沈殿を除いて上清を得て、そして必要に応じ上清につ
いて塩析、ろ過及び/又は透析等の精製操作を行い、更
に必要に応じて凍結乾燥等の操作を行ってフコイダン等
を得る。
無臭であるが、原料又は抽出操作によっては、褐色を呈
したり、原料臭や雑味を有することがある。このような
場合には食品及び医薬品の分野で脱色・脱臭等の目的で
行われる一般的な操作を上記の工程に追加するのがよ
い。例えば、活性炭、多孔性吸着樹脂、イオン交換樹
脂、透析、限外ろ過、エタノールによる分別、ピロ亜硫
酸等による処理、及び過酸化水素による処理等をさらに
行うことができる。
るが、本発明の剤に用いるフコイダン等の分子量は、ヒ
トに投与された場合に意図する作用を発揮することがで
きれば特に制限されない。消化・吸収が速やかであると
考えられる点からは、低分子化フコイダン又は低分子化
フコイダン様多糖体であることが好ましい。なお、本明
細書でフコイダン等の分子量というときは、特別の場合
を除き、フコイダン等平均分子量をいい、ゲルろ過法に
て測定した値に基づく。
の形態で経口的に投与される。本発明の剤は、年令、症
状、目的や意図する効果等によって投与量を異なるもの
とすることができる。通常成人一人当たり約0.001g〜
約100g/日、好ましくは約0.01g〜約50g/日、更に好
ましくは約0.1g〜約10g/日の範囲でフコイダン等(例
えば、本明細書実施例1で得られる粗フコイダン)が投
与されるように設計される。または、一日当たり約0.0
1mg〜約1000mg/kg、好ましくは約0.1mg〜約500mg/k
g、更に好ましくは約1mg〜約100mg/kgの範囲でフコイ
ダン等(例えば、本明細書実施例2で得られる精製フコ
イダン)が投与されるように設計される。
トリグリセライド値の低減を目的に投与する場合は、本
発明の剤は、通常成人一人当たり約0.005g〜約200g/
日、好ましくは約0.05g〜約100g/日、更に好ましくは
約0.5g〜約20g/日の範囲でフコイダン等(実施例1の
粗フコイダン等)が投与されるように設計される。また
は、一日当たり約0.05mg〜約2000mg/kg、好ましくは
約0.5mg〜約1000mg/kg、更に好ましくは約5mg〜約200
mg/kgの範囲でフコイダン等(実施例2の精製フコイダ
ン等)が投与されるように設計される。
によって変動するので、上記範囲より少ない量で充分な
場合もあるし、また範囲を超えて必要な場合もある。な
お、用いるフコイダン等の特性、意図する効果、併用す
る他の医薬との関係、食事の内容、摂取のしやすさ、及
び経済性等の観点から、投与量の上限値を定めることも
できる。
トリグリセライド治療剤と比較して、経済性に優れ、ま
た、ヒトが長期間経口的に摂取した場合の安全性に優れ
ているものと考えられる。従って、対象の年齢、妊娠・
授乳の有無、他の疾病の有無により投与が制限されるこ
とが比較的少なく、繰り返し摂取することができる。そ
して糖尿病、肥満及び高血圧からなる群より選択される
少なくとも一つの状態が併存している高脂血症の者等
(又は抗トリグリセライド血症の者等)の症状を、包括
的に治療するために摂取することができると考えられ
る。さらに、薬物療法の対象とはならないが高脂血症
(又は抗トリグリセライド血症)のリスクがある場合
に、高脂血症(又は抗トリグリセライド血症)の予防の
ために摂取することができると考えられる。
場合、有効成分であるフコイダン等が腸管から吸収さ
れ、組織中のリパーゼやリポプロテインリパーゼと複合
体を形成し、これらの活性を促進すると考えられる。そ
して、各組織に蓄積されているトリグリセライド等の脂
質を分解し、生体外に除去すると考えられる。このよう
な機序により、本発明の剤は、高脂血症、とりわけ高ト
リグリセライド血症の予防・治療に効果があると考えら
れる。
することができる。本明細書でいう「食品」には、菓子
類(例えば、チューインガム、キャンディー、ゼリー、
ビスケット、チョコレート、米菓)、乳製品(例えば、
ヨーグルト)、健康食品(例えば、カプセル、タブレッ
ト、粉末)、飲料(例えば、清涼飲料、乳飲料、野菜・
果汁飲料、茶)及びドリンク剤が含まれる。本発明の剤
を種々の食品の形態とする場合、意図した効果を発揮す
ることができ、かつ安全に摂取することができれば、食
品の形態は特に制限されない。菓子類は、携帯に便利で
ある等の観点から好ましい。乳製品は、菓子類に比較す
ると1回当たりの摂取量が多く、また健康的な習慣とし
て毎日摂取しやすい等の観点から特に好ましい。
はよく知られた工程により製造することができる。製造
工程は、フコイダン等を分解又は不可逆的に変化させる
ことがなければ特に制限されない。例えば、ヨーグルト
を製造するためには一般に、原料を調合し、殺菌し、容
器に充填し、そして発酵するか、又は原料を調合し、殺
菌し、発酵し、殺菌済みソース及び/又はシロップを混
合し、そして容器に充填する工程を経るが、ヨーグルト
の形態である本発明の剤を製造するためには、フコイダ
ン等を原料を調合する工程で原料に添加することもでき
るし、発酵工程又は発酵工程の後に添加することもでき
る。
取(食品1個、又は複数個当たり)で、上記の量を摂取
することができるようにすることができるし、複数回の
摂取によって上記の量が達成できるようにすることもで
きる。
脂血症等の予防又は治療のために単独で摂取してもよ
く、他の剤若しくは食品、又は他の療法と組み合わせて
用いてもよい。
で投与することができる。この場合、本発明の剤は種々
の剤形とすることができる。意図した効果を発揮するこ
とができ、かつ安全に投与することができれば剤形は特
に制限されない。例えば、経口投与のためには、錠剤、
カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁
剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシ
ル剤とすることができる。また、これらの製剤には薬剤
的に許容できる種々の担体を加えることができる。例え
ば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色
剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、
コーティング剤を添加することができる。本発明の剤を
持続性、徐放性のものとしてもよい。このような種々の
製剤は、当業者にはよく知られた工程により製造するこ
とができる。
あたりの量を単回で投与することができ、また、数回に
分けて投与することもできる。また、単独で投与しても
よく、他の剤又は他の治療法と組み合わせて用いてもよ
い。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
ク(Cladosiphon Okamuraus)を温水に懸濁し、数時間
撹拌しながら抽出した。固形分を除き、フコイダンを含
む抽出液を限界排除分子量50,000以下の限外ろ過モジ
ュール(旭化成社製)で脱塩・濃縮後、凍結乾燥し、白
色の粉末を得た。これをフコイダン及びフコイダン様多
糖体を含む粗フコイダンとして、以下の実験に用いた。
例1で得た粗フコイダンを、0.15M NaClを含む10mMト
リス緩衝液(pH7.2)に溶解し、同じ緩衝液で平衡化し
たダウエックス-1(Cl型、ダウケミカル社製)カラムに
負荷した。同じ緩衝液でカラムを充分洗浄した後、2M
NaClを含む同じ緩衝液で溶出した。この溶出液を実施例
1で用いたのと同一の限外ろ過モジュールで脱塩した。
これを精製フコイダンとして、以下の実験に用いた。
ト膜電気泳動像には、Rf値0.5と0.45付近の2つのスポ
ットが認められた。電気泳動の条件は、電極液にピリジ
ン-ギ酸(pH3.1)を用い、1mA/cm2で45分間泳動し
た。
ス代謝を妨害し、高脂血症を誘発することが知られてい
る(Kinoshita J., et al.:Jpn.J.Ophthalmo
l.(20),399-410(1976))。そこで、実験的高脂血
症動物モデルとして、ストレプトゾトシンで糖尿病ラッ
トを作成した(谷 久典、大石 一二三:酒粕抽出物に
よるストレプトゾトシン誘導性糖尿病の予防効果:日本
栄養・食糧学会第52回大会講演要旨集(248),(199
8))。
レア社製)、湿度と室温は相対湿度50±2%と24±1℃
で、照明は12時間サイクルとした。12時間絶食時の尾静
脈血のトリグリセライド値と血糖値が、対象(128±27m
g/dl、143±19mg/dl)に比して充分に上昇している
(215±60mg/dl、620±89mg/dl)ことを確認した。粗
フコイダン又は精製フコイダン粉末を一日当たり5、10
又は20mg/kg(体重)となるように餌に混合し、3週
間、連日経口摂取させた(各群6匹)。
群それぞれについて、血清脂質(トリグリセライド、全
コレステロール、HDL-コレステロール)及び血糖値を測
定した。結果を次の表に示す。
グリセライド値をいずれも有意に低下させ(危険率1%以
下)、その低減割合は無処置糖尿病ラットの約50%であ
った。HDL-コレステロールは正常ラットの値にまで回復
した。全コレステロール低下作用は顕著ではなかった。
とリポプロテインリパーゼ(特にリポプロテインリパー
ゼ)が無処置糖尿病ラットに比して有意に上昇していた
ことから、フコイダンの作用は、これはヘパリンで認め
られている血清リパーゼとリポプロテインリパーゼ活性
の促進に起因する(Yang J-Y.,et al.:Changeof
plasmz lipoproteins by heparin-released lipo
protein lipase:Exp.Mol.Med.(31),60-64(199
9))ものと考えられた。
体にはインスリン様作用が認められていないため、トリ
グリセライド値の改善に付随する効果であると考えられ
た。
時血清トリグリセライド値が200mg/dl以上、血圧(拡
張期/収縮期)が110/150mmHg以上の、6名の40才代の
肥満男性ボランティア(BMI 28以上)に、実施例1で得
られた粗フコイダンの粉末1日1gを一ヶ月間経口摂取さ
せた。粗フコイダンの摂取を夕食時に摂取させた他はこ
の間の食生活を含むライフスタイルには一切の制限を加
えていない。
イド値は粗フコイダン投与前に比して約31%低下してお
り、ラットで認められた現象と同様に血糖値も減少させ
る傾向にあった。それとともに拡張期及び収縮期の血圧
が、いずれも約20%低下した。これは血清トリグリセラ
イドの低下とフコイダンの抗血液凝固作用(特開平9-32
8431)によるものと考えられる。
Claims (7)
- 【請求項1】 高脂血症のリスクのある者又は高脂血症
の者に対し、臨床上有効量のフコイダン又はフコイダン
様多糖体を経口投与するための高脂血症の予防又は治療
剤。 - 【請求項2】 高トリグリセライド血症のリスクのある
者又は高トリグリセライド血症の者に対し投与するため
の、請求項1記載の高脂血症の予防又は治療剤。 - 【請求項3】 臨床上有効量が0.001g〜100g/日であ
る、請求項1記載の高脂血症の予防又は治療剤。 - 【請求項4】 臨床上有効量のフコイダン又はフコイダ
ン様多糖体を繰り返し投与するための、請求項1〜3の何
れか1項に記載の高脂血症の予防又は治療剤。 - 【請求項5】 飲料又は食品の形態である、請求項1〜4
の何れか1項に記載の高脂血症の予防又は治療剤。 - 【請求項6】 フコイダン又はフコイダン様多糖体が低
分子化フコイダン又は低分子化フコイダン様多糖体であ
る、請求項1〜5の何れか1項に記載の高脂血症の予防又
は治療剤。 - 【請求項7】 糖尿病、肥満及び高血圧からなる群より
選択される少なくとも一つの状態が併存している高脂血
症のリスクのある者又は高脂血症の者に対し投与するた
めの、請求項1〜6の何れか1項に記載の高脂血症の予防
又は治療剤。
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