JP2001332450A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

Info

Publication number
JP2001332450A
JP2001332450A JP2000146803A JP2000146803A JP2001332450A JP 2001332450 A JP2001332450 A JP 2001332450A JP 2000146803 A JP2000146803 A JP 2000146803A JP 2000146803 A JP2000146803 A JP 2000146803A JP 2001332450 A JP2001332450 A JP 2001332450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
layer
electrolyte layer
polymerization
electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000146803A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Yoshida
勝洋 吉田
Toshihiko Nishiyama
利彦 西山
Tadamasa Asami
忠昌 朝見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2000146803A priority Critical patent/JP2001332450A/ja
Publication of JP2001332450A publication Critical patent/JP2001332450A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電解重合によって形成された固体電解質層に生
じる再化成時の過度の絶縁化を抑制することができる固
体電解コンデンサの製造方法を提供する。 【解決手段】本発明の固体電解コンデンサの製造方法
は、陽極体の表面に形成された誘電体層上に、化学重合
により固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質
層上に、電解重合により固体電解質層を形成する工程
と、再化成を実施して誘電体層に発生した欠陥部を修復
する工程と、を有し、前記電解重合により固体電解質層
を形成する工程と、前記再化成を実施する工程が複数回
繰り返されることを特徴とするものである。電解重合に
より固体電解質層(電解重合層)が段階的に形成される
たびに再化成が実施されることにより、固体電解質層
(電解重合層)の抵抗が広範囲で高くならず、製品のE
SRの増大を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽極リードを埋設
した陽極体の表面に誘電体層を形成し、この誘電体層上
に電解重合によって固体電解質層を形成する固体電解コ
ンデンサの製造方法に関し、特に、誘電体層に発生した
欠陥部が確実に修復されるようにした固体電解コンデン
サの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量タイプのコンデンサとして
固体電解コンデンサが使用されている。固体電解コンデ
ンサは図9に示すように、弁作用金属であるタンタル
(Ta)の陽極リード1の基端部を埋設したTaの陽極体2
の表面に、誘電体層3、固体電解質層4そして陰極層5
が積層され、前記陰極層5に陰極リード6の基端部が接
続され、そして陽極リード1と陰極リード6の先端部を
除いて、耐湿性やハンドリング性の向上を図る樹脂7が
外装された構成となっている。
【0003】ここで、このような固体電解コンデンサの
製造方法について、図10から図12を参照しながら各
工程順に説明する。最初の工程では、Taの金属粉末に、
成形性を高めるためのバインダを混合することにより、
プレス成形用の造粒粉をつくる。次の工程では、前記造
粒粉を、プレス製造方法によって圧縮成形体に成形し、
同時にTaの陽極リード1の基端部を圧縮成形体に埋設す
る。
【0004】次の工程では、1300〜1600℃程度のシンタ
ー温度で、1.33×10−4Pa 程度の高真空中において、
前記圧縮成形体を焼結することにより、陽極体2を製造
する(ステップB1)。以降、固体電解コンデンサが完
成するまで、この陽極体2に種々の処理が施されたいず
れの段階のものもペレットPと総称する。
【0005】次の工程では、前記陽極体2の表面に酸化
物の層を生成することにより、図11に示すように誘電
体層3を形成する(ステップB2)。酸化物の層は、陽
極酸化と呼ばれる手法により生成される。陽極酸化は、
陽極体2と対向電極を電解質溶液中に浸漬し、陽極体2
を正電位、対向電極をそれ以下の電位に保ち、通電する
ことにより、陽極体2の表面に酸化物の層を形成する方
法である。このときの陽極体2と対向電極との間の電位
差を化成電圧と呼んでいる。陽極酸化は、化成電圧を制
御することにより、酸化物の層の厚みを容易に設定する
ことができるという特長がある。
【0006】次の工程では、ペレットPの表面に形成さ
れた誘電体層3の上に導電性物質の層を生成することに
より固体電解質層4を形成する(ステップB3)。この
固体電解質層4の形成により、固体電解コンデンサの基
本構造が得られる。
【0007】固体電解質層4を形成する導電性物質とし
て、以前は、硝酸マンガンを熱分解することにより得ら
れる二酸化マンガンが一般的に使用されていたが、最近
ではポリピロール等の導電性の有機高分子が多く使用さ
れるようになっている。導電性の有機高分子は、二酸化
マンガンよりも抵抗が小さいため、コンデンサの等価直
列抵抗(ESR)が小さく、また熱に対する絶縁化反応
が速いためペレットPが発煙・発火しにくいといった特
長を有している。
【0008】導電性の有機高分子によって固体電解質層
4を形成する手段としては、大別して、薬品を使用して
化学反応のみにより形成する化学重合と、外部から電極
を接近または接触させて電気化学的に形成する電解重合
の2種類がある。
【0009】化学重合は、ペレットPを薬液中に浸漬す
るという処理と乾燥させるという処理を繰り返し、導電
性の有機高分子の薄い層を順次、生成することにより、
固体電解質層(化学重合層)4を順次、積層するという
方法である。
【0010】一方、電解重合は図12に示すように、ペ
レットPと陰極11を電解重合液12中に浸漬し、陽極
の給電部13に接続された接続端子14をペレットPに
接触又は近接させることにより、誘電体層3上に導電性
の有機高分子の層を生成し、固体電解質層(電解重合
層)4を形成する方法である。ただし、電解重合によっ
て、導電性の有機高分子の層を絶縁性の誘電体層3上に
生成することが困難であるため、誘電体層3上に事前に
二酸化マンガンや導電性の有機高分子によって導電層が
形成される。したがって、電解重合は、化学重合よりも
工程が複雑となる。しかし電解重合は、化学重合よりも
短時間で厚い固体電解質層(電解重合層)4を形成する
ことができるという特長があるため、固体電解質層4を
形成する有力な手法の一つとして用いられている。
【0011】誘電体層3には化学的又は機械的ストレス
が加えられ、欠陥部が発生している。そこで、次の工程
では、誘電体層3に発生した欠陥部を修復するための再
化成が実施される(ステップB4)。再化成は、誘電体
層3を形成する陽極酸化とほぼ同様な方法により、化成
液中で固体電解質層4を形成したペレットPに再度、電
圧を印加する処理である。再化成の実施時に、誘電体層
3の欠陥部を介して流れる漏れ電流により、誘電体層3
に発生した軽度の欠陥が修復され、コンデンサとしての
品質がより安定する。
【0012】化学重合の場合は、薄い固体電解質層(化
学重合層)4が形成されるたびに再化成が実施される。
固体電解質層(化学重合層)4が薄いことから、欠陥部
は軽度に発生している。したがって、化学重合によって
形成された固体電解質層(化学重合層)4は、再化成が
実施されることにより、軽度の欠陥部が早期に修復され
る。
【0013】一方、電解重合の場合は、固体電解質層
(電解重合層)4が厚く形成された後に再化成が実施さ
れる。
【0014】次の工程では、再化成を施した固体電解質
層4上に、一般的にグラファイトペーストや銀ペースト
が併用された導電性物質によって陰極層5を形成する
(ステップB5)。
【0015】次の工程では、陰極層5に金属製の陰極リ
ード6を溶接や接着等で接続し、陰極リード6を固体電
解質層4に電気的に接続する(ステップB6)。陰極層
5は、接続抵抗を減少させ、さらに固体電解コンデンサ
の外装時や実装時のストレスを緩和させる等の作用を合
わせもつ。
【0016】最後の工程では、陽極リード1と陰極リー
ド6の両先端部を除いた部分のペレットPに、耐湿性の
向上やハンドリング性の向上等を図るための樹脂7を外
装する(ステップB7)。このような工程によって、固
体電解コンデンサが製造される。
【0017】前記のように化学重合、電解重合そして再
化成を実施して、欠陥部の修復された固体電解質層を形
成した固体電解コンデンサやその製造方法が出願公開公
報や出願公告公報に開示されている。
【0018】例えば、特開平2−303017号公報に
は、金属板上の誘電体酸化皮膜に化学重合膜を形成した
後、再化成を実施することにより誘電体酸化皮膜を修復
し、その後、電解酸化重合を行うことにより、化学重合
膜上に電解重合膜を形成する固体電解コンデンサの製造
方法が開示されている。この製造方法によれば、誘電体
酸化皮膜に機械的な衝撃が加わらないため、均一な電解
重合膜を形成することができ、電解重合膜と化学重合膜
との間の短絡不良を防止することができる。
【0019】また、特開平3−76209号公報には、
酸化皮膜を形成した陽極箔にアルミニウムタブを接続
し、陽極箔よりも狭い幅のセパレータを陽極箔に重ね、
陽極箔とセパレータとを巻回して再化成を実施し、酸化
皮膜上に化学酸化重合による導電性高分子膜及び電解重
合による導電性高分子膜を形成した固体電解コンデンサ
が開示されている。この固体電解コンデンサは、化学酸
化重合時の酸化剤及びモノマー溶液、さらに電解重合時
の重合液が電極面まで滲み込むため、コンデンサ素子が
形成されてから固体電解質層を形成することができ、歩
留まりが向上し、漏れ電流を低減することができる。
【0020】また、特開平4−42912号公報には、
陽極酸化皮膜上に化学重合膜を形成した弁作用金属箔と
セパレータとを重ねて巻回することにより素子を形成
し、その後、再化成を実施することにより、陽極酸化皮
膜を修復し、この素子を重合液で少なくとも2回に分割
して電解重合し、化学重合膜上に電解重合膜を形成する
固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。この
製造方法によれば、素子中に供給される電解酸化重合液
は、拡散に頼るだけでなく、強制的に置換することがで
き、電解重合膜を均一かつ必要な厚さだけ形成すること
ができる。
【0021】また、特開平4−329619号公報に
は、再化成を実施することにより、陽極体に形成された
誘電体酸化皮膜を修復した後、低重合度の化合物ポリマ
ーを含有した複素五員環化合物溶液に浸漬し、その後、
直ちに酸化溶剤液中で化学酸化重合を行う固体電解コン
デンサの製造方法が開示されている。この製造方法によ
れば、複素五員環化合物液中に含有する低重度の化合物
ポリマーが反応核として作用し、導電性高分子膜の生成
反応を著しく促進させるため、導電性高分子膜が陽極体
の微細孔や空隙内部表面まで効率よく形成される。
【0022】また、特開平5−47612号公報には、
誘電体酸化皮膜を形成した長尺状の第1の弁作用金属板
と、所望の部分以外を絶縁性樹脂膜で被覆した長尺状の
第2の弁作用金属板とを接合し、機械的手段で固定する
工程、再化成を実施することにより、損傷した誘電体酸
化皮膜を修復する工程、電解重合により導電性高分子膜
を形成する工程、陰極導電塗膜層を形成する工程、固定
された状体に接合している長尺状の第1と第2の弁作用
金属板を絶縁性樹脂部分で切断する工程を含んでいる固
体電解コンデンサの製造方法が開示されている。この製
造方法によれば、複数の弁作用金属板を積層することに
より、小型でありながら大容量の固体電解コンデンサを
簡便に製造することができ、そして機械的ストレスが加
えられた後に再化成が実施されることにより、漏れ電流
が小さく、特性を損なわないコンデンサを提供すること
ができる。
【0023】また、特開平6−124859号公報に
は、長細い弁作用金属箔の長さ方向に線状体を蛇行状に
配置し、この線状体を内側にして弁作用金属箔を巻回し
た素子を形成し、その後、再化成を実施し、化学重合と
電解重合により導電性の高分子の膜を形成した固体電解
コンデンサが開示されている。この固体電解コンデンサ
は、蛇行状態の線状体が弁作用金属箔間に介在すること
により、弁作用金属箔間が一定の間隔に保たれ、その後
に実施される再化成によって巻回工程中に損傷した誘電
体酸化皮膜が完全に修復される。
【0024】また、特公平7−48454号公報には、
弁作用金属の表面に酸化皮膜と二酸化マンガン膜とを順
次、形成し、電解重合によって二酸化マンガン膜上に導
電性の高分子の膜を形成し、その後、前記酸化皮膜を再
化成処理する固体電解コンデンサの製造方法が開示され
ている。この製造方法によれば、二酸化マンガン膜上に
導電性の高分子の膜を形成した後、酸化皮膜が再化成処
理されることにより、漏れ電流による不良率を低下させ
ることができる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】導電性の有機高分子に
よって固体電解質層4が形成された後、再化成が実施さ
れることにより、誘電体層3に発生した欠陥部が修復さ
れる。この再化成を実施する時に誘電体層3の欠陥部を
介して流れる漏れ電流が増大する。この漏れ電流が増大
する原因は、明確には解明されていないが、誘電体層3
に存在する潜在的な欠陥が固体電解質層4の形成によっ
て顕在するためと、一般に考えられている。
【0026】漏れ電流が増大することにより、多数の顕
在化している欠陥部近傍の導電性の有機高分子が絶縁化
する。化学重合により固体電解質層(化学重合層)4が
薄く形成されるたびに再化成を実施したときよりも、電
解重合により、固体電解質層(電解重合層)4が厚く形
成された後に再化成を実施したときの方が、導電性の有
機高分子は広範囲で絶縁化するため、コンデンサのES
Rが増大し素子が不良化し易い。また、欠陥部の数や程
度は元々の陽極体の性状に依存するため、電解重合を用
いた場合の方が製品歩留まりのロット間変動は大きくな
る傾向がある。
【0027】このような課題を解決するためには、本来
的に固体電解質層4に欠陥部が生じないようにすべきで
あるが、欠陥部が発生するメカニズムが解明されていな
い現状にあっては、欠陥部が生じないようにすることは
困難である。
【0028】一方、特開平2−303017号公報、特
開平3−76209号公報、特開平4−42912号公
報、特開平4−329619号公報、特開平5−476
12号公報、特開平6−124859号公報に開示され
ている固体電解コンデンサ及びその製造方法は、化学重
合後に再化成を実施することや、再化成を実施した後に
化学重合及び/又は電解重合する方法が開示されている
ものの、電解重合後に再化成を行うことについてはまっ
たく開示されていない。
【0029】また、特公平7−48454号公報に開示
された固体電解コンデンサの製造方法は、電解重合後に
酸化皮膜を再化成処理する記載があるものの、再化成を
実施するのは、電解重合完了後の1回のみである。した
がって、いずれの公報に開示された固体電解コンデンサ
及びその製造方法も、化学重合のみを用いる場合の再化
成に関して述べているか、電解重合完了後に再化成を実
施する方法に関して述べており、電解重合を用いる場合
に生じる上記の欠点を改善することに関しては全く述べ
られていない。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサの製造方法は、陽極体の表面に形成された誘電体層
上に、化学重合により固体電解質層を形成する工程と、
前記固体電解質層上に、電解重合により固体電解質層を
形成する工程と、再化成を実施して欠陥部を修復する工
程と、を有し、前記電解重合により固体電解質層を形成
する工程と、前記再化成を実施する工程が複数回繰り返
されることを特徴とする。
【0031】この固体電解コンデンサの製造方法によれ
ば、化学重合によって固体電解質層(化学重合層)が形
成され、その固体電解質層(化学重合層)上に電解重合
によって固体電解質層(電解重合層)が形成される場合
において、電解重合により固体電解質層(電解重合層)
が段階的に形成されるたびに再化成が実施されることに
より、固体電解質層(電解重合層)の抵抗が広範囲で高
くならず、誘電体層に発生した欠陥部付近のみが局所的
に修復(絶縁化)される。
【0032】本発明の請求項2で述べている固体電解コ
ンデンサの製造方法は、前記の固体電解コンデンサの製
造方法であって、電解重合により固体電解質層を形成す
る工程と、前記再化成を実施する工程が2回繰り返さ
れ、第1回目の電解重合により、最終目標面積の75〜95
%の固体電解質層を形成し、第2回目の電解重合によ
り、最終目標面積の固体電解質層を形成することを特徴
とするものである。
【0033】この請求項2の固体電解コンデンサの製造
方法によれば、第1回目に形成する固体電解質層(電解
重合層)は部分的に形成されている状態(最終目標面積
の75〜95%の形成状態)であり、また厚みも薄い状態で
あるため、再化成時の電解重合層の絶縁化範囲が局所的
になり広範囲の高抵抗化を抑制することができる。この
時点で化成皮膜に存在していた欠陥部の大部分は絶縁化
された重合層に覆われているため、この電解重合層の上
に2回目の電解重合を実施し再化成を行っても更なる絶
縁化は起こらないため電解重合層は良好な導電性を保つ
こととなる。本製造方法によれば、化学重合によって固
体電解質層を積層(重合・再化成の繰り返し)していく
場合とほぼ同様な効果が得られ、しかも合計2回の重合
工程のみで固体電解質形成が得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の固体電解コンデンサの製
造方法について、図1から図9を参照しながら説明す
る。ただし、従来と同一部分は同一符号を付して、その
説明を簡単にする。
【0035】最初の工程では、Taの陽極リード1の基端
部を埋設した陽極体2を製造する(ステップA1)。陽
極体2は、Taの粉末に成形性を高めるためのバインダを
混合した造粒粉を圧縮成形した成形体を、約1400℃のシ
ンター温度で、1.33×10−4Pa 程度の高真空中におい
て焼結することにより製造する。
【0036】次の工程では、この陽極体2の表面に、陽
極酸化という手法により、酸化物の誘電体層3を形成す
る(ステップA2)。
【0037】次の工程では、化学重合により、図2に示
すように誘電体層3上に導電性の有機高分子によって固
体電解質層(化学重合層)4aを薄く形成する(ステッ
プA3)。詳しくは、まずペレットPを60%ドデシルベ
ンゼンスルホン酸鉄(Fe・DBS)メタノール溶液のよ
うな酸化剤溶液中に浸漬し、ペレットPの内部に酸化剤
溶液を浸透させる。次に、ペレットPを酸化剤溶液中か
ら引き揚げ、ペレットP内部の多孔質部に酸化剤を結晶
化・析出させる。続いて、ピロールを5%溶解させた重
合材溶液中に前記ペレットPを浸漬する。すると、重合
材溶液がペレットPの多孔質内部に浸透し、析出した酸
化剤と反応する。そのまま長時間、浸漬していると、重
合反応物が遊離・流出してしまうため、適当な時間で引
き揚げ、放置して乾燥させることにより、反応を空気中
で完了させる。
【0038】次の工程では、前記固体電解質層(化学重
合層)4aの上に第1回目の電解重合により、導電性の
有機高分子の固体電解質層(第1の電解重合層)4bを
形成する(ステップA4)。電解重合は、ペレットPが
電解重合液12内で陰極11と対峙するように浸漬し、
陽極の給電部13に接続された給電端子をペレットPの
先端部に接触させることにより行う(図12参照)。第
1回目の電解重合により形成する固体電解質層(第1の
電解重合層)4bの面積は、最終目標面積の約8割程度
とする。この固体電解質層(第1の電解重合層)4bを
形成する面積は、事前の実験結果をまとめた図4によ
り、電解重合の時間から設定する。本実施例で作成した
試料の場合では固体電解質層(第1の電解重合層)4b
を最終目標面積の約8割程度形成するためには、電解重
合液12内のペレットPに10分間通電する。
【0039】次の工程では、第1回目の再化成を実施
し、固体電解質層4bの形成により発生・顕在化した誘
電体層3の欠陥部を修復する(ステップA5)。再化成
は、対向電極を沈めた化成液中に、前記電解重合により
固体電解質層(第1の電解重合層)4bを形成したペレ
ットPを浸漬し、給電端子を回路的に開放の状態にし、
陽極体2を正電位、対向電極をそれ以下の電位に保ち、
通電することにより実施する。
【0040】次の工程では、第2回目の電解重合によ
り、第1回目の固体電解質層(第1の電解重合層)4b
が形成されていない部分に固体電解質層(第2の電解重
合層)4bを形成する(ステップA6)。第1回目の電
解重合と第2回目の電解重合により、最終目標面積の固
体電解質層(第1と第2の電解重合層)4bが形成され
る。
【0041】次の工程では、第2回目の再化成を実施
し、新たに発生・顕在化した欠陥部を修復する(ステッ
プA7)。この第2回目の再化成も第1回目の再化成と
同じ内容で実施する。
【0042】次の工程では、グラファイトペーストや銀
ペーストからなる導電性物質によって陰極層5を形成す
る(ステップA8)。
【0043】次の工程では、この陰極層5に金属製の外
部端子である陰極リード6を接続する(ステップA
9)。そして最後の工程で、陽極リード1の端部と陰極
リード6の両先端部を除いた部分のペレットPに耐湿性
やハンドリング性の向上を図る樹脂7によって外装する
(ステップA10)。このような工程によって、固体電
解コンデンサが完成する。
【0044】前記のように第1回目の電解重合により固
体電解質層(第1の電解重合層)4bが部分的に形成さ
れ、その後に第1回目の再化成が実施されることにより
誘電体層3の欠陥部付近の固体電解質層(電解重合層)
4bの高抵抗化が局所的に進み、その後に第2回目の電
解重合により固体電解質層(第2の電解重合層)4bが
形成され、第2回目の再化成が実施されることにより、
新たに生じた誘電体層3の欠陥部付近の固体電解質層
(電解重合層)4bの高抵抗化が進むが、1回目の再化
成で局所的な絶縁化が既に完了しているため新たに発生
・顕在化する欠陥は少なく絶縁化の進行は殆どない。
【0045】なお、本発明は、前記実施の形態に限定さ
れることなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項
の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、
電解重合及び再化成は2回に限らず、3回以上であって
も実施することができ、また、化学重合によらず、電解
重合によってのみ固体電解質層(電解重合層)4bを形
成する場合も同様に実施することができる。
【0046】
【実施例】電解重合を実施する時間やシンター温度等が
異なる実施例1から実施例4と比較例A、B、Cの具体
的な製造方法と特性について図5から図8を参照しなが
ら説明する。特性は、再化成時の漏れ電流値自体を測定
して評価することが好ましいが、漏れ電流によって導電
性の有機高分子の絶縁化が進行し、最終的に漏れ電流値
は低下するため、漏れ電流値自体を測定しても、特性を
正確に評価することができない。そこで、漏れ電流によ
り、導電性の有機高分子の絶縁化が過度に進行すると、
固体電解コンデンサの等価直列抵抗ESRが高くなる
(劣化する)ことに注目し、ESRを評価基準として用
いた。ESRの測定条件は、1.5Vの直流電圧に実効値
1Vの交流電圧を重畳させた電圧を印加したものとし
た。
【0047】比較例Aは、従来の技術のように、電解重
合を20分間連続することにより、固体電解質層を一度に
形成し、その後、再化成を1回だけ実施することにより
製造した固体電解コンデンサである。比較例Bは、本発
明の実施の形態において説明した方法と同じ工程で製造
した固体電解コンデンサであるが、第1回目の電解重合
を5分間として、最終目標面積の約60%の固体電解質層
(第1の電解重合層)を形成し、第2回目の電解重合を
15分間として、固体電解質層(第1と第2の電解重合
層)を最終目標面積の約100%形成したものである。比
較例A、BともにESRは、平均値が約70(mΩ)、最
大値が約100(mΩ)、最小値が約(50mΩ)と大きく
なっている。
【0048】また、いずれの実施例及び比較例において
も電解重合を実施するための下地として化学重合により
固体電解質層(化学重合層)を形成した。化学重合は、
いずれの実施例及び比較例もすべて同じであり、60%ド
デシルベンゼンスルホン酸鉄(Fe・DBS)メタノール
溶液を使用した酸化剤溶液内にペレットを5分間、浸漬
し、ピロールを5%溶解させた重合材溶液に20分間浸漬
することにより、固体電解質層(化学重合層)を形成し
た。さらに、電解重合のときに使用する給電端子は、金
属線(SUS304・直径0.3mm)とした。 (実施例1)実施例1の方法によって固体電解コンデン
サを製造するときの第1回目の電解重合は、5mAの電流
を10分間通電し、最終目標面積の75〜85%の固体電解質
層(第1の電解重合層)を形成した。第2回目の電解重
合でも5mAの電流を10分間通電し、固体電解質層(第1
と第2の電解重合層)を完全形成した。第1回目の電解
重合と第2回目の電解重合において使用する電解重合用
の溶液は、ともに30%ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム(Na・DBS)と5%ピロールの混合液とした。
【0049】実施例1の方法によって製造された固体電
解コンデンサのESRは図5に示すように、平均値が約
40(mΩ)、最大値が最悪のロットで約60(mΩ)、最
小値がいずれのロットも約30(mΩ)であり、比較例
A、BのESRの平均値よりも小さく、また最大値と最
小値の差も小さくなっている。 (実施例2)実施例2における固体電解コンデンサの製
造方法は、第1回目の電解重合を15分間として、固体電
解質層(第1の電解重合層)を目標面積の85〜95%形成
し、第2回目の電解重合を5分間として、固体電解質層
(第1と第2の電解重合層)を完全形成した。この実施
例2においても、第1回目と第2回目の電解重合の後に
実施した再化成、電解重合液や通電電流は、実施例1と
同じとした。
【0050】この実施例2の方法によって製造された固
体電解コンデンサのESRは図6に示すように、第1の
ロットと第3のロットの平均値が約40(mΩ)、最大値
が約50(mΩ)、最小値が約30(mΩ)であり、実施例
1とほぼ同じであるが、第2のロットの平均値が約50
(mΩ)、最高値が約90(mΩ)、最小値が40(mΩ)
と高くなっている。したがって、実施例2のESRは、
比較例A、Bよりも良好であるものの、実施例1の場合
よりも若干、高くなっている。
【0051】これは、実施例2では、第1回目の電解重
合の時間が実施例1よりも長く、固体電解質層(第1の
電解重合層)が広く形成され、導電性の有機高分子の絶
縁化が広範囲で進行しているためと考えられる。したが
って、第1回目の電解重合によって形成される固体電解
質層(第1の電解重合層)の面積が最終目標面積の95%
以上になると、ESR不良が多発しやすくなり、第1回
目の電解重合によって形成される固体電解質層(第1の
電解重合層)の面積は最終目標面積の95%に達した時点
が上限と考えられる。 (実施例3)実施例3は、電解重合を3回実施して、固
体電解質層(電解重合層)を3段階で形成する固体電解
コンデンサの製造方法である。第1回目の電解重合を5
分間、第2回目の電解重合を5分間、第3回目の電解重
合を10分間とし、固体電解層(電解重合層)の形成面積
は、段階的に最終目標面積の約60%、約80%、約100%
と形成した。実施例3においても、各電解重合の後に再
化成を実施し、また段階重合液や通電電流は、実施例1
と同じとした。
【0052】実施例3の方法によって製造した固体電解
コンデンサのESR分布は図7に示すように、どのロッ
トも平均値が約40(mΩ)前後、最大値が約50(mΩ)
ないし約60(mΩ)、最小値が約30(mΩ)前後であ
る。したがって実施例3のESRは、実施例1のESR
とほとんど同じである。この結果から、実施例3にあっ
ては第1回目の再化成が無駄になっているといえる。し
たがって、実施例1のように電解重合を2回行い、第1
回目の電解重合により、最終目標面積の75〜85%程度の
固体電解質層(電解重合層)を形成することが効率的と
考えられる。 (実施例4)実施例4における固体電解コンデンサの製
造方法は、陽極体2の材質をNbとし、約1300℃のシンタ
ー温度で圧縮成形体を成形したものであり、それ以外
は、実施例1と同じとした。したがって、実施例4にお
いても第1回目の電解重合と第2回目の電解重合をそれ
ぞれ10分間、そして各電解重合の後に再化成を実施し
た。一方、比較例Cとして、Nbの陽極体を1300℃のシン
ター温度で製造し、電解重合を20分連続で実施し、その
後、再化成を1回だけ実施した固体電解コンデンサを製
造した。
【0053】実施例4のESRは図8に示すように、平
均値が約30(mΩ)前後、最大値が約50(mΩ)前後、
最小値が約20(mΩ)前後であり、実施例1から実施例
3のESRよりも小さく、しかも最大値と最小値との差
も小さい。一方、比較例CのESRは、平均値が約125
(mΩ)、最大値が約310(mΩ)、最小値が約70(m
Ω)であり、他の比較例A、BよりもESRの平均値が
高く、最大値と最小値の差も大きく、その差は陽極体に
Taを使用した場合よりも大きい。この明確な原因は不明
であるが、陽極体にNbを用いたこと以外は実施例1と同
じであり、NbはTaよりも漏れ電流が大きいことが知られ
ていることから、Nbの陽極体の表面に形成される誘電体
層は、Taの陽極体の表面に形成される誘電体層よりも多
くの欠陥部を有している可能性が高い。したがって、欠
陥部付近の固体電解質層の絶縁化を局所的に留めること
ができている本製造方法の効果が大きく現れたと考えら
れる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、電解重合により固体電
解質層を形成する工程と再化成を実施する工程が複数回
繰り返されることにより、固体電解質層を構成する導電
性の有機高分子の過度の絶縁化を抑制し製品のESR増
大を抑制することができる。その結果、本発明に係る方
法によって製造された固体電解コンデンサは、歩留まり
が向上し、製品のコストダウンを図ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法を
説明するフローチャート図である。
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よる製造途中のペレットの要部拡大断面図である。
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よる製造途中のペレットの要部拡大断面図である。
【図4】電解重合する時間によって固体電解質層が形成
される割合の最大と最小を示す図である。
【図5】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よって製造された実施例1と比較例A、BのESRを示
す図である。
【図6】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よって製造された実施例2と比較例A、BのESRを示
す図である。
【図7】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よって製造された実施例3のESRを示す図である。
【図8】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に
よって製造された実施例4と比較例CのESRを示す図
である。
【図9】固体電解コンデンサの正面断面図である。
【図10】従来の固体電解コンデンサの製造方法を説明
するフローチャート図である。
【図11】固体電解コンデンサの製造途中であるペレッ
トの正面断面図である。
【図12】従来の固体電解コンデンサの製造方法によ
り、固体電解質層(電解重合層)を形成するときの断面
図である。
【符号の説明】
2:陽極体 3:誘電体層 4:固体電解質層 4a:固体電解質層(化学重合層) 4b:固体電解質層(電解重合層)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極体の表面に形成された誘電体層上に、
    化学重合により固体電解質層を形成する工程と、前記固
    体電解質層上に、電解重合により固体電解質層を形成す
    る工程と、再化成を実施して前記誘電体層に発生した欠
    陥部を修復する工程と、を有し、 前記電解重合により固体電解質層を形成する工程と、前
    記再化成を実施する工程が複数回繰り返されることを特
    徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】電解重合により固体電解質層を形成する工
    程と、前記再化成を実施する工程が2回繰り返され、1
    回目の電解重合により、最終目標面積の75〜95%の固体
    電解質層を形成し、2回目の電解重合により、最終目標
    面積の固体電解質層を形成することを特徴とする請求項
    1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
JP2000146803A 2000-05-18 2000-05-18 固体電解コンデンサの製造方法 Withdrawn JP2001332450A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000146803A JP2001332450A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 固体電解コンデンサの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000146803A JP2001332450A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 固体電解コンデンサの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001332450A true JP2001332450A (ja) 2001-11-30

Family

ID=18653084

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000146803A Withdrawn JP2001332450A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 固体電解コンデンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001332450A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007004556A1 (ja) * 2005-06-30 2007-01-11 Showa Denko K. K. 固体電解コンデンサ素子の製造方法
JP2014192231A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 San Denshi Kogyo Kk 固体電解コンデンサの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007004556A1 (ja) * 2005-06-30 2007-01-11 Showa Denko K. K. 固体電解コンデンサ素子の製造方法
US7842103B2 (en) 2005-06-30 2010-11-30 Showa Denko K.K. Method for manufacturing solid electrolytic capacitor device
JP4827195B2 (ja) * 2005-06-30 2011-11-30 昭和電工株式会社 固体電解コンデンサ素子の製造方法
JP2014192231A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 San Denshi Kogyo Kk 固体電解コンデンサの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3705306B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPH0794368A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
KR100279098B1 (ko) 고체전해콘덴서의제조방법
JPH1197296A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPWO2009113285A1 (ja) 固体電解コンデンサとその製造方法
JP5062770B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPWO2013088845A1 (ja) 固体電解コンデンサ
JP2001148328A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JPH1187177A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2001110685A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2001332450A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP3284993B2 (ja) 固体電解コンデンサ製造方法及び固体電解コンデンサ
JPH11204377A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2006108192A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP3469756B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2007103406A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2001068381A (ja) 固体電解コンデンサ素子
JP3891304B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JPH05304056A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2765440B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2007103468A (ja) 電解コンデンサ及びその製造方法
JP2001257131A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP3544518B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2004128035A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4484084B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051011

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20051128