JP2001330530A - 圧力センサの製造方法 - Google Patents

圧力センサの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力検出用のセンサチップを、導体部材とし
てのピンがインサート成形された樹脂ケースに搭載し、
センサチップ及びピンを、熱硬化性の保護部材で被覆保
護するようにした圧力センサの製造方法において、保護
部材を硬化する際に、保護部材中に気泡が発生するのを
抑制する。 【解決手段】 樹脂ケース10内にセンサチップ20を
搭載し、センサチップ20とピン30とをワイヤボンデ
ィングした後、保護部材50を樹脂ケース10内へ充填
し、保護部材50にてピン30及びセンサチップ20を
被覆した後、保護部材50を、その外側から加圧しなが
ら熱硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力検出用のセン
サチップを、導体部材がインサート成形された樹脂ケー
スに搭載し、センサチップ及び導体部材を、電気的な絶
縁性を有する熱硬化性の保護部材で被覆保護するように
した圧力センサの製造方法に関し、特に、保護部材の配
設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の圧力センサとして
は、特開平11−304619号公報に記載のものが提
案されている。このものは、保護部材を弾性率(ヤング
率)の異なる2層構造としたものである。比較的高弾性
である第1の保護部材によって、センサチップのセンシ
ング部を露出させた状態で少なくとも導体部材及びその
周辺部を覆い、比較的低弾性である第2の保護部材によ
って、センサチップのセンシング部及び第1の保護部材
を覆うようにしている。
【0003】そして、上記従来公報によれば、比較的高
弾性である第1の保護部材によって、導体部材及びその
周辺部が覆われている。そのため、負圧検出時におい
て、インサート成形された導体部材と樹脂ケースとの隙
間に存在する空気が、保護部材中に気泡となって発生す
ることを抑制できるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等の検討によれば、従来の圧力センサにおいては、次
のような問題が生じることがわかった。一般に、上記の
保護部材は、熱硬化性のゴム材料やゲル材料を用いるた
め、保護部材は、樹脂ケースの所望部位に保護部材を配
設した後、加熱処理を行い、硬化させることで形成され
る。
【0005】このとき、図4に示す様な問題が発生す
る。図4(a)に示す様に、保護部材50を樹脂ケース
10内に充填したとき、インサート成形された導体部材
30と樹脂ケース10との隙間等が完全に保護部材50
によって埋まらず、空気層K1が残る場合がある。
【0006】この状態で、保護部材50を加熱処理する
と、保護部材の硬化途中で空気層K1が膨張し、図4
(b)に示す様に、保護部材50中に気泡K2が発生す
る。このとき、気泡K2はセンサチップ20の近傍に残
った状態で硬化する場合がある。すると、圧力検出時の
圧力変化等によって、気泡K2がセンサチップ20の近
傍で膨張収縮し、センサ特性に影響を与えたり、ワイヤ
40が切断する等の不具合が発生する。
【0007】本発明は上記問題に鑑み、圧力検出用のセ
ンサチップを、導体部材がインサート成形された樹脂ケ
ースに搭載し、センサチップ及び導体部材を、熱硬化性
の保護部材で被覆保護するようにした圧力センサの製造
方法において、保護部材を硬化する際に、保護部材中に
気泡が発生するのを抑制することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明においては、保護部材(50)
で導体部材(30)及びセンサチップ(20)を被覆し
た後、保護部材(50)を、その外側から加圧しながら
熱硬化させることを特徴としている。
【0009】それによれば、保護部材(50)を、その
外側から加圧しながら熱硬化させるため、インサート成
形された導体部材(30)と樹脂ケース(10)との隙
間等に空気層が残っていても、この空気層が保護部材
(50)中へ膨張しようとするのを押さえ込むことがで
きる。よって、本発明によれば、保護部材を硬化する際
に、保護部材中に気泡が発生するのを抑制することがで
きる。ここで、保護部材の加圧は44kPa以上の圧力
にて行うこと(請求項2の発明)が好ましい。
【0010】また、請求項3の発明は、保護部材の具体
的な配設形態を提供するものであり、保護部材(50)
を、第1の保護部材(51)の外側に、第1の保護部材
(51)よりも低弾性である第2の保護部材(52)を
積層した2層構造より構成し、第1の保護部材(51)
を、センサチップ(20)のセンシング部を露出させた
状態で少なくとも導体部材(30)及びその周辺部を覆
うように設けることを特徴とするものである。
【0011】ここで、第1の保護部材(51)としては
ゴム系材料を用い、第2の保護部材(52)としてはゲ
ル状物質を用いること(請求項4の発明)ができる。
【0012】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1は本実施形態に係る圧力センサ
100の概略断面図である。この圧力センサ100は、
例えば、自動車のインテークマニホールドに取り付けら
れ吸気圧(負圧)を検出する吸気圧センサ等に適用する
ことができる。
【0014】樹脂ケース10は、例えば、PPS(ポリ
フェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレ
フタレート)やエポキシ樹脂等の樹脂材料を型成形して
なる。樹脂ケース10の上面には、後述するセンサチッ
プ20を搭載するための開口した凹部11が形成されて
いる。
【0015】樹脂ケース10には、銅などの導電材料よ
りなる複数本のピン(本発明でいう導体部材)30がイ
ンサート成形により一体的に設けられている。これらピ
ン30の一端31は、上記凹部11の底面にて露出した
状態となるように配置されている。そして、該露出部分
は金メッキが施されることにより、ボンディングパッド
として機能するように構成されている。また、ピン30
の他端32は、外部機器(外部の配線部材等)に接続可
能となっている。
【0016】樹脂ケース10の凹部11に搭載されたセ
ンサチップ20は、圧力を検出してその検出値に応じた
レベルの電気信号を発生する半導体基板(シリコン基板
等)21と、この半導体基板21を保持するガラス台座
22と、により構成されている。半導体基板21は、ピ
エゾ抵抗効果を利用した周知構成のもので、その上面に
センシング部としてのダイヤフラム21a及び図示しな
い拡散抵抗などを備えた構成となっている。
【0017】この半導体基板21は、上記凹部11の底
面にガラス台座22を介して、例えばシリコーンゴム等
の接着剤によりダイボンディングされている。また、半
導体基板21の各入出力端子(図示せず)は、ピン30
の一端31に対し金やアルミニウム等のワイヤ40を介
して電気的に接続されている。こうして、センサチップ
20は、樹脂ケース10の凹部11に搭載された状態で
ピン30と電気的に接続されている。
【0018】また、上記凹部11内には、耐薬品性を有
する電気絶縁材料製の保護部材50が、センサチップ2
0及びワイヤ40を埋めるように充填されている。この
保護部材50により、センサチップ20、ピン30、ワ
イヤ40、半導体基板21とワイヤ40との接続部、及
び、ピン30とワイヤ40との接続部が被覆され、異物
からの保護、電気的な絶縁性の確保、並びに防食などが
図られている。
【0019】ここで、保護部材50は、第1の保護部材
51の上に、この第1の保護部材51よりも低弾性であ
る第2の保護部材52を積層した2層構造より構成され
ている。この2層構造は、基本的には「従来技術」の欄
にて記載した特開平11−304619号公報に示され
ている2層構造と同様の構成を適用することができる。
【0020】即ち、下層の第1の保護部材51は、半導
体基板21のセンシング部及びワイヤ40の上部を露出
させた状態で、センサチップ20、ワイヤ40とピン3
0との接続部、ピン30及びその周辺部を覆うように設
けられている。上層の第2の保護部材52は、第1の保
護部材51から露出するセンサチップ20のセンシング
部及びワイヤ40を被覆している。
【0021】例えば、これら両保護部材51、52は、
共に、フッ素系材料を熱硬化させたものである。そし
て、第1の保護部材51は、ピン30と樹脂ケース10
との隙間等からの気泡の発生を抑制するために高弾性率
を持ち且つ耐薬品性を有するフッ素系のゴム材料であ
る。一方、第2の保護部材52は、センサチップ20及
びワイヤ40へ応力を与えないような低弾性率を持ち且
つ耐薬品性を有するフッ素系のゲル材料である。
【0022】かかる圧力センサ100は、次のように製
造される。まず、センサチップ20を樹脂ケース10へ
搭載し、半導体基板21とピン30とをワイヤボンディ
ングにより結線する。続いて、この状態のものを密閉容
器内に配置した後、硬化前の第1の保護部材51、第2
の保護部材52を順次、真空中にて凹部11内へ充填す
る。
【0023】次に、図2に示す様に、密閉容器内へ圧縮
空気や不活性ガス等の気体を導入して、密閉容器内を加
圧状態(例えば44kPa)とする。これにより、図3
中の矢印に示されるように、圧力センサ100の周囲全
体が加圧される。この加圧状態を維持したまま、密閉容
器内の温度を、両保護部材51、52が硬化可能な硬化
温度(例えば150℃)とする。こうして、両保護部材
51、52が熱硬化されて、圧力センサ100が完成す
る。
【0024】そして、圧力センサ100は、上記した吸
気圧センサに適用される場合、その凹部11が自動車に
おけるエンジン吸気路と連通した状態で配置される。こ
れにより、印加圧力に応じた電気信号がセンサチップ2
0からワイヤ40、ピン30を経て出力され、吸気圧
(負圧)の検出がなされる。
【0025】ところで、本実施形態の製造方法では、保
護部材50(51及び52)でピン(導体部材)30及
びセンサチップ20を被覆した後、保護部材50を、そ
の外側から加圧しながら熱硬化させることを特徴として
いる。それにより、ピン30と樹脂ケース10との隙間
やセンサチップ20と凹部11の底面との接合界面の隙
間等に、空気層(図2ではピン30と樹脂ケース10と
の隙間に存在)K1が残っていても、硬化中に、空気層
K1は圧縮される。そのため、空気層K1へ熱が加わっ
ても、これら隙間の外まで空気層K1の体積が増加する
ことなく、保護部材50の硬化が行われる。
【0026】こうして、硬化中に、空気層K1が第1の
保護部材51中へ膨張しようとするのを押さえ込むこと
ができるため、保護部材50の硬化後は、空気層K1は
元の位置に止まり、第1の保護部材51中へは上がって
こない。よって、本製造方法によれば、保護部材50を
硬化する際に、保護部材50中に気泡が発生するのを抑
制することができる。そして、センサチップ20の近傍
に気泡が存在するのを防止できるため、センサ特性の安
定化、ワイヤ40の断線防止等が図れる。
【0027】ここで、上記製造方法における保護部材の
加圧は44kPa以上の圧力にて行うことが好ましい。
これは、本実施形態では保護部材50の硬化温度が15
0℃程度であり、硬化温度が150℃である場合、空気
層K1の圧力は、44kPa(100×(423[K]
−293[K])÷293[K][kPa]、Kは絶対
温度を示す)上昇することによる。そのため、44kP
a以上の圧力にて加圧すれば、空気層K1の膨張を好適
に抑制することができる。
【0028】なお、樹脂ケース10へ充填する際の保護
部材50の粘度が十分高く、保護部材50が加圧によっ
て、ピン30と樹脂ケース10との隙間からピン30の
他端32側へ漏れることがないならば、図3に示す様
に、センサチップ設置部である凹部11上方のみを加圧
しても良い。この場合、例えば、凹部11の上方に圧力
導入可能な治具を配置し、この治具から圧縮空気等を加
えることにより、凹部11上方のみを加圧することが可
能である。
【0029】また、保護部材50の種類によっても異な
るが、上記製造方法における保護部材の加圧の上限は、
加圧の際にピン30と樹脂ケース10との隙間からピン
30の他端32側へ、保護部材50(第1の保護部材5
1)が漏れ出さない程度とすることが好ましい。
【0030】また、本実施形態では、保護部材50を高
弾性である第1の保護部材51の上に低弾性である第2
の保護部材52を積層した2層構造としている。これ
は、樹脂ケース10側から発生してくる気泡等は、硬い
ゴム系材料よりなる第1の保護部材51で防止し、セン
サチップ20のセンシング部は、応力影響の少ない軟ら
かいゲル状物質よりなる第2の保護部材52で被覆する
ことを目的としたものである。
【0031】そして、上層に軟らかい第2の保護部材5
2を採用しているが故に、もし、保護部材50中に気泡
が発生すると、負圧を検出する場合、この気泡が軟らか
い第2の保護部材52中にて成長し、保護部材50の割
裂やワイヤ40の断線を引き起こす可能性がある。しか
し、本実施形態では、上記製造方法による効果が発揮さ
れるため、そのような問題はない。つまり、加圧しなが
ら熱硬化させる方法は、特に、本実施形態のような2層
構造に好適であるといえる。
【0032】(他の実施形態)なお、本発明の圧力セン
サは、比較的低い負圧を検出するものや正圧を検出する
ものに適用する場合には、保護部材として、硬いゴム系
材料を用いた上記のような2層構造を採用せずとも良
く、例えば、ゲル状物質だけを用いた単層構造としても
良い。
【0033】また、本発明の圧力センサは、上記実施形
態のようなセンサチップが半導体ダイヤフラム式のもの
に限定されるものではなく、例えば、静電容量式のもの
等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサの概略断面
図である。
【図2】図1の圧力センサの製造方法における加圧の様
子を示す概略断面図である。
【図3】上記実施形態の圧力センサの製造方法における
他の加圧方法を示す概略断面図である。
【図4】従来の圧力センサにおいて保護部材中に気泡が
発生する様子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…樹脂ケース、20…センサチップ、30…ピン、
50…保護部材、51…第1の保護部材、52…第2の
保護部材。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体部材(30)がインサート成形され
    た樹脂ケース(10)に、印加された圧力に基づく電気
    信号を発生するセンサチップ(20)を、前記導体部材
    と電気的に接続した状態で搭載した後、前記導体部材及
    び前記センサチップを、電気的な絶縁性を有する熱硬化
    性の保護部材(50)で被覆して保護するようにした圧
    力センサの製造方法において、 前記保護部材で前記導体部材及び前記センサチップを被
    覆した後、前記保護部材を、その外側から加圧しながら
    熱硬化させることを特徴とする圧力センサの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記保護部材の加圧は、44kPa以上
    の圧力にて行うことを特徴とする請求項1に記載の圧力
    センサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記保護部材(50)は、第1の保護部
    材(51)の外側に、前記第1の保護部材よりも低弾性
    である第2の保護部材(52)を積層した2層構造より
    構成されたものであり、 前記第1の保護部材を、前記センサチップ(20)のセ
    ンシング部を露出させた状態で少なくとも前記導体部材
    及びその周辺部を覆うように設けることを特徴とする請
    求項1または2に記載の圧力センサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の保護部材(51)としてゴム
    系材料を用い、前記第2の保護部材(52)としてゲル
    状物質を用いることを特徴とする請求項3に記載の圧力
    センサの製造方法。
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