JP2001329180A - ヘテロ凝集体 - Google Patents

ヘテロ凝集体

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JP2001329180A JP2000153516A JP2000153516A JP2001329180A JP 2001329180 A JP2001329180 A JP 2001329180A JP 2000153516 A JP2000153516 A JP 2000153516A JP 2000153516 A JP2000153516 A JP 2000153516A JP 2001329180 A JP2001329180 A JP 2001329180A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合するだけで耐熱性や機械的強度の優れた
複合化ポリマー材料が得られるヘテロ凝集体を提供す
る。 【解決手段】 膨潤性層状ケイ酸塩と、高分子原料とを
含有するヘテロ凝集体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヘテロ凝集体に関
し、更に詳しくは、膨潤性層状ケイ酸塩と、高分子原料
とを含有するヘテロ凝集体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステルやポリアミド等のポ
リマーに対する諸特性、特に機械的特性、耐熱性を改良
するために、これらのポリマーに炭酸カルシウム、粘土
鉱物、雲母等の無機質材料を混合・混練することが行わ
れている。しかしながら、これらの無機質材料を単に混
合・混練するだけでは無機質材料が微細粒子となり難く
分散しないため、これまで満足すべき特性を有するもの
は得られていない。
【0003】そのため、モンモリロナイトやフッ素雲母
系膨潤性粘土鉱物を化学処理して微粒子化を試み、有機
分子中への均一分散を狙った発明について多くの特許出
願がなされている。それらの例として、特開昭62−7
4957号公報、特開平2−173160号公報、特開
平3−7729号公報、特開平3−41149号公報、
特開平8−3310号公報、特開平8−59822号公
報、特開平8−120071号公報、特開平8−134
205号公報が挙げられる。しかしながら、これらの手
法で対処しても、実際は充分満足すべき分散性が得られ
ておらず、複合化するポリマー種の違いによって著しく
影響を受けているのが現状である。
【0004】また、モンモリロナイトやフッ素雲母系膨
潤性粘土鉱物に分散剤を添加して微粒子化を試み、有機
分子中への均一分散を狙った発明についても特許出願が
なされている。それらの例として、分散剤としてポリリ
ン酸塩と多核金属錯塩を用いた特開平10−16818
2号公報や、分散剤としてピロリン酸カリウムを用いた
特開平11−80586号公報が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、重合するだけで機械的強度や耐熱性の優れ
た複合化ポリマー材料が得られるヘテロ凝集体を提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、膨潤性層
状ケイ酸塩と高分子原料とで構成されるヘテロ凝集体を
溶融及び/又は重合することにより、機械的強度と耐熱
性に優れた複合化ポリマー材料が得られることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち、本発明は以下の発明を包含す
る。 (1)膨潤性層状ケイ酸塩と、高分子原料とを含有する
ヘテロ凝集体。 (2)膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁液と、高分子
原料を含有する懸濁液とを混合して得られる前記(1)
に記載のヘテロ凝集体。
【0008】(3)膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁
液と、高分子原料を含有する懸濁液とを混合した後、表
面改質剤を添加して得られる前記(1)又は(2)に記載
のヘテロ凝集体。 (4)高分子原料が、モノマー、オリゴマー、低重合度
ポリマー及びポリマーからなる群から選択される少なく
とも1種である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
ヘテロ凝集体。
【0009】(5)高分子原料がポリエステルの原料で
あり、表面改質剤がスルホフタル酸誘導体及び/又はホ
スホニウム塩誘導体である前記(1)〜(4)のいずれ
かに記載のヘテロ凝集体。 (6)膨潤性層状ケイ酸塩が膨潤性合成雲母である前記
(1)〜(5)のいずれかに記載のヘテロ凝集体。 (7)(1)〜(6)のいずれかに記載のヘテロ凝集体を
溶融及び/又は重合して得られる複合化ポリマー材料。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、前記したように、膨潤
性層状ケイ酸塩と高分子原料とを含むヘテロ凝集体、及
び該ヘテロ凝集体を重合して得られる複合化ポリマー材
料に関するものである。
【0011】本発明のヘテロ凝集体の主原料となる、 :膨潤性層状ケイ酸塩 :高分子原料 及び副原料である :触媒 :表面改質剤 の詳細を下記に示す。
【0012】膨潤性層状ケイ酸塩 膨潤性層状ケイ酸塩の膨潤性とは、水あるいは有機溶媒
中で結晶層間に水或いは有機溶媒が進入して膨潤する意
味であり、主要構成層を構成する元素と層間物質を構成
する元素の種類により膨潤度に差を生じ、所謂自由膨潤
或いは限定膨潤になるもので、本発明ではいずれも使用
できる。それらの膨潤性層状ケイ酸塩は水中で薄片状の
微結晶となって分散する。
【0013】本発明で用いる膨潤性層状ケイ酸塩の結晶
構造は、四面体シート(A)と八面体シート(B)が、
A:B=2:1の割合で組み合わされた主要構成層
(2:1層)と、電荷バランスをとるためにそれらの層
間にある陽イオンよりなる層間物質とよりなるもので、
その陽イオン交換容量は15〜150meq(ミリ当量)
/100gである。また、本発明で用いる膨潤性層状ケ
イ酸塩は、平均粒径0.1〜50μmのものが好まし
く、粒径が大きい場合には粉砕した方が良い。
【0014】本発明で用いる膨潤性層状ケイ酸塩の具体
例としては、例えば、天然又は合成のヘクトライト、サ
ポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロ
ナイト、ノントロナイト、ベントナイト等のスメクタイ
ト族粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、
Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na塩型フッ素テ
ニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母
族粘土鉱物及びバーミキュライト、又はこれらの置換体
や誘導体、或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0015】なお、前記置換体には、層間イオンのNa
イオン、或いはLiイオンの一部がKイオンで置換され
ているもの、四面体シートのSiイオンの一部がMgイ
オンで置換されているものも含まれる。市販品として
は、ラポナイトXLG(英国、ラポート社合成ヘクトラ
イト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社合
成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケ
ル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−
1(クニミネ工業(株)製 サポナイト類似物質)、ベン
ゲル(豊潤洋行(株)販売の天然モンモリロナイト、クニ
ピアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイ
ト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘク
トライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨
潤性雲母)、ソマシフ(ME−100、コープケミカル
(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル
(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル
(株)製合成スメクタイト)等が挙げられる。
【0016】前記膨潤性層状ケイ酸塩の中では、タルク
とケイフッ化アルカリの混合物を加熱処理して得られる
膨潤性合成雲母が好ましく、タルクとケイフッ化ナトリ
ウム及び/又はケイフッ化リチウムを混合した微粉末を
600℃〜1200℃に加熱処理して得られるものが更
に好ましい。具体的には、式(1)で示される膨潤性合
成雲母が挙げられる。
【0017】 (Na,Li)Mg3.0−aSi10(F2.0−c,OH,O) (I) [式中、(Na,Li)は層間にある配位数12の陽
イオン、Mg3.0−bは八面体シートを形成している配
位数6の陽イオン、Siは四面体シートを形成している
配位数4の陽イオンであり、(F2.0−c,OH,O
)のF、OH、Oは陰イオンとして八面体シートに存
在する。なお、“,”は“及び/又は”を表す。また、
a〜eの記号は下記の数値を表す。 0.2≦a≦1.0;0≦b≦0.5;c=d+2e≦1.0;0≦
d≦1.0;0≦e≦0.5] 高分子原料 本発明では、高分子原料とは高分子製造用の原料のこと
をいう。そのような高分子原料としては、ヘテロ凝集体
を形成できるものであれば特に限定されず、具体的に
は、モノマー、オリゴマー、低重合度ポリマー及びポリ
マー等が挙げられる。本発明のヘテロ凝集体では、高分
子原料の1種又は2種以上を使用する。
【0018】本発明では、高分子原料としては熱可塑性
樹脂の原料を使用することが好ましく、具体的には、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエ
ーテル、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、アクリ
ル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリオレフィン(ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)等の高分子
原料が挙げられる。代表的なポリマーであるポリアミド
及びポリエステルのモノマーについて以下に記載する。
【0019】ポリアミドモノマーの具体例としては、6
−アミノ−n−カプロン酸、12−アミノドデカン酸等
のアミノ酸、ヘキサメチレンジアミンのアジピン酸塩等
のナイロン塩、ε−カプロラクタム、ブチロラクタム、
バレロラクタム、カプリルラクタム、ドデカノラクタム
等のラクタム等が挙げられる。
【0020】ポリエステルモノマーの具体例としては、
ジカルボン酸或いはそのジエステルとして、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドテカン
二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、2−クロロテレフタル酸、5−メチルイソフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒド
ロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール
酸、ジメチルテレフタレート、ビスヒドロキシエチルテ
レフタレート(BHET)等、また、ジオール(グリコ
ール)として、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−ビス
(β―ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等が挙げられる。
【0021】オリゴマーや低重合度ポリマーとしては、
ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ
エーテル、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、アク
リル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリオレフィン等のポ
リマーの低分子量体が挙げられ、これらのうちの少なく
とも1種からなるものである。この中でもポリアミド、
ポリエステルのオリゴマー、低重合度ポリマーが汎用に
用いられる。
【0022】具体的には、ポリエステルの場合、芳香族
ポリエステル、脂肪族ポリエステル、不飽和ポリエステ
ルのオリゴマー、低重合度ポリマー、およびアルキド樹
脂であり、ポリエステルモノマーであるジカルボン酸と
ジオールを加圧下にエステル化反応させるか、あるいは
BHETのようなオリゴマーを減圧下に重縮合させて製
造される。またポリエステルを加水分解、熱分解などで
低分子量化したものも用いられる。これらのオリゴマー
や低重合度ポリマーとしては、分子量600〜7,00
0のものが好ましい。これらの高分子原料のうち固体の
ものは粉砕して使用するのが好ましい。
【0023】触媒 ヘテロ凝集を促進し、また得られるヘテロ凝集体を効率
よく重合するために、高分子原料を含有する懸濁液に触
媒を添加するのが好ましい。例えばPET(ポリエチレ
ンテレフタレート)の場合には、触媒として金属塩を使
用することが好ましい。触媒としては溶媒に溶解できる
金属塩であれば特に限定されないが、具体的には ゲル
マニウム塩、アンチモン塩、亜鉛塩、チタンのアルコキ
シド等が挙げられ、アンチモン塩が好ましく、SbCl
が更に好ましい。
【0024】表面改質剤 膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁液と、高分子原料を
含有する懸濁液とを混合した後、高分子と膨潤性層状ケ
イ酸塩との界面での親和性を向上させ、かつヘテロ凝集
を促進させる表面改質剤を添加するのが好ましい。表面
改質剤は高分子と膨潤性層状ケイ酸塩との界面での親和
性とヘテロ凝集を促進させる効果を有するものであれば
特に限定されないが、分散時に、構造中にアニオンを有
するものや、カチオンを有するものが好ましく、そのよ
うな表面改質剤として、フタル酸誘導体、ナフタリンジ
カルボン酸誘導体、ホスホニウム塩誘導体等が挙げられ
る。
【0025】フタル酸からの誘導体としては、ベンゼン
環のH原子をSONaで置換したSITP(スルホイ
ソフタル酸モノナトリウム)や、COOH基のH原子を
メチル基とK原子で置換したTMP(テレフタル酸モノ
メチルカリウム)等が挙げられ、フタル酸ジメチルから
の誘導体としては、ベンゼン環のH原子をSONaで
置換したSIPDM(5−スルホイソフタル酸ジメチル
ナトリウム)やSTPDM(2−スルホテレフタル酸ジ
メチルナトリウム)等が挙げられ、特にフタル酸エステ
ル化合物が好ましく、フタル酸ジメチルからの誘導体が
最も好ましい。ナフタリンジカルボン酸からの誘導体と
しては、ベンゼン環のH原子をSONaで置換したモ
ノスルホ−2,6−ナフタリンジカルボン酸ジメチルナ
トリウムが挙げられる。
【0026】また、ホスホニウム塩誘導体としては、リ
ン原子に、置換又は無置換の、フェニル基、ベンジル
基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の2
価の炭化水素基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、エポキシ基、ビニル結合、エステル結合、
エーテル結合から選ばれた少なくとも1種の化学構造を
含むメチレン鎖を有する基が結合したものが挙げられ、
特に末端にCOOR(Rは炭素数1〜4のアルキル基を
示す)基を有する基が結合したものが好ましく、COO
CH基やCOOC基を有する基が結合したもの
が更に好ましい。
【0027】具体的には、EOTP(3−エトキシカル
ボニル−2−オキソプロピルトリフェニルホスホニウム
クロライド)やMTP(カルボメトキシメチルトリフェ
ニルホスホニウムブロマイド)等が挙げられる。SIPD
M、STPDM、TMP、SITP、EOTP及びMTPの化学構造式を下記
に示す。
【0028】
【化1】
【0029】本発明のヘテロ凝集体を製造する方法を下
記に述べるが、本発明はこれに限定されるものではな
い。本発明のヘテロ凝集体は、膨潤性層状ケイ酸塩と高
分子原料とを含有することを特徴とする。
【0030】本発明のヘテロ凝集体は、好ましくは記
載の膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁液と、記載の
高分子原料を含有する懸濁液とを混合することにより得
られる。これらの懸濁液は以下のようにして得られる。
膨潤性層状ケイ酸塩の懸濁液は、水に懸濁させたものが
好ましく、膨潤性層状ケイ酸塩の添加量は該懸濁液全重
量中0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量
%である。なお、高分子原料に対する膨潤性層状ケイ酸
塩の添加量は、通常0.1〜20重量%であり、好まし
くは0.2〜5重量%である。
【0031】高分子原料は、微粉末にしてそのまま用い
るか又は有機溶媒に懸濁させれば良く、添加量は該懸濁
液全重量中0.1〜100重量%、好ましくは1〜50
重量%である。有機溶媒としては、アルコール類(メタ
ノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール
等)やグリコール類を含む多価アルコール類及びこれら
の混合溶媒が挙げられる。なお、ヘテロ凝集を促進し、
また得られるヘテロ凝集体を効率よく重合するために、
前記の触媒を添加するのが好ましい。触媒を添加する
場合、触媒の添加量は膨潤性層状ケイ酸塩に対して、
0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、更に
好ましくは5〜20重量%である。
【0032】次に、前記記載の膨潤性層状ケイ酸塩を
含有する懸濁液と、前記記載の高分子原料を含有する
懸濁液とを混合する。この混合溶液には、前記記載の
表面改質剤を添加するのが好ましい。表面改質剤を添加
する場合、表面改質剤の添加量は、通常膨潤性層状ケイ
酸塩に対して0.1〜100meq、好ましくは1〜70m
eqであり、更に好ましくは1〜30meqである。
【0033】次に、上記混合溶液を凍結乾燥等により溶
媒を除去して本発明のヘテロ凝集体を得る。このヘテロ
凝集体を公知の方法で溶融及び/又は重合することによ
り、機械的強度と耐熱性の優れた複合化ポリマー材料が
得られる。
【0034】
【実施例】〔製造例 オリゴマーの製法〕ポリエステル
モノマーであるテレフタル酸4.32Kgとエチレング
リコール3.24Kg、酸化アンチモン1.9g、トリ
エチルアミン11mlをエステル製造用15Lオートク
レーブで混合し、窒素雰囲気下2.5Kg/cmに加
圧して260℃に昇温した。該温度で2時間エステル化
反応を行った後、1時間かけて1mmHgまで減圧し、
さらにフルバキュームにして0.5時間重縮合を行った
後、生成したオリゴマーを取り出した。得られたオリゴ
マーをジェットミルで粉砕し、粒径20μm以下、平均
分子量4,000のポリエステルオリゴマーの微粉末を
得た。
【0035】〔実施例1 ヘテロ凝集体A1の合成〕膨
潤性合成雲母(コープケミカル(株)製:ME)の8重
量%スラリー2.5gを水50mlに入れ、30分間攪拌
してME懸濁液を得た。一方、製造例で得たオリゴマー
10gをイソプロピルアルコール(IPA)溶液50m
lに入れ、そこへSbCl 2g/IPA100mlで
調整した溶液1.5mlを添加し、30分間攪拌してオ
リゴマー懸濁液を得た。このオリゴマー懸濁液に、ME
懸濁液と、MEに対して12meq相当量のSIPDMと
を添加して更に30分間攪拌し、その後凍結乾燥してヘ
テロ凝集体A1を得た。
【0036】〔実施例2 ヘテロ凝集体A2の合成〕膨
潤性合成雲母の8重量%スラリーを1.25g、SIP
DMの添加量をMEに対して6meq相当量とした以外
は、実施例1と同様にして、本発明のヘテロ凝集体A2
を得た。
【0037】〔実施例3 ヘテロ凝集体Bの合成〕実施
例1のMEに対して12meq相当量のSIPDMを、M
Eに対して30meq相当量のSTPDMとした以外は、
実施例1と同様にして、本発明のヘテロ凝集体Bを得
た。
【0038】〔実施例4 ヘテロ凝集体Cの合成〕実施
例1のSIPDMを、EOTPとし、SbCl 2g/
IPA100mlで調整した溶液(触媒)を添加しない
以外は、実施例1と同様にして、本発明のヘテロ凝集体
Cを得た。 〔実施例5 ヘテロ凝集体Dの合成〕実施例1のSIP
DMを、TMPとした以外は、実施例1と同様にして、
本発明のヘテロ凝集体Dを得た。
【0039】〔実施例6 ヘテロ凝集体Eの合成〕実施
例1の膨潤性合成雲母(コープケミカル(株)製:M
E)を、天然モンモリロナイト(クニミネ工業(株)販売
のクニピアF)とした以外は、実施例1と同様にして、
本発明のヘテロ凝集体Eを得た。
【0040】〔実施例7 複合化ポリマー材料(PE
T)の合成〕実施例1〜6で製造したヘテロ凝集体A〜
Eを、窒素置換を行った環境下で、275℃で溶解させ
た後、フルバキュームして該温度で4時間保持して重合
させ、本発明の複合化ポリマー材料(PET)A〜Eを
合成した。
【0041】〔比較例1 比較PET A(ブランク)
の合成〕BHETを原料に、公知の方法(BHET法)
で重合して、比較PET A(ブランク)を合成した。 〔比較例2 比較PET B(ME含有)の合成〕膨潤
性合成雲母(ME)2重量部を、BHET 100重量
部に添加し、3分間混合した後、公知の方法(BHET
法)で重合して、比較PET B(ME含有)を合成し
た。
【0042】〔実験例1 分散状態での評価〕PET中
でのフィラーの分散状態を、偏光顕微鏡とXRDにより
評価した。PETのXRD及び偏光顕微鏡観測の結果を
図1〜7に示す。 〔実験例2 機械的強度(曲げ強さ)の測定〕実施例1
〜4のヘテロ凝集体を用いて得られたPET及び比較例
1及び2のPETを、下記の大きさに加工して、機械的
強度[曲げ強さ:δfB(Kgf/cm)]を測定し
た。
【0043】δfB=3PLv/2Wh2 P:試験片が折れた折れたときの荷重(Kgf) L:試験片の長さ 5cm Lv:支点間距離 4cm W:試験片の幅 0.5cm h:試験片の高さ 0.2cm 結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】〔実験結果〕本発明の複合化ポリマー材料
はX線回折で、比較PETに出ている膨潤性層状ケイ酸
塩の積層構造を示す13.39オングストロームのピー
クがなくなっており、本発明の複合化ポリマー材料は、
積層構造がバラバラになりきれいに分散していることが
わかる。(X線回折結果:図1〜7参照) このことは、本発明のヘテロ凝集体を重合させた複合化
ポリマー材料は、ヘテロ凝集させずに膨潤性合成雲母を
添加して重合させた比較PETに比べて、凝集物の粒
(白い点)が激減していることからも確認される。(偏
光顕微鏡観察結果:図1〜7参照) このように本発明の複合化ポリマー材料は、膨潤性層状
ケイ酸塩のポリマーに対する分散性が優れているため、
凝集物の粒を多く含む比較PET A(ブランク)(7
10Kgf/cm)に対して、1.5〜2倍近い曲げ
強さが得られた(表1参照)。また、公知の方法でME
を含有させた比較PET B(ME含有:810Kgf
/cm)に対しても、1.4〜1.6倍の優れた曲げ
強さが得られた。
【0046】
【発明の効果】本発明のヘテロ凝集体は、膨潤性層状ケ
イ酸塩と高分子原料とを均一に分散させることができ、
また品質が安定しているため、接着剤、塗料、各種プラ
スチック製品、繊維製品やこれらを製造する工業プロセ
スの原料として有用である。本発明のヘテロ凝集体を重
合して得られる複合化ポリマー材料は、膨潤性層状ケイ
酸塩が均一に分散しているため、成形性が良好で、かつ
機械的強度、耐熱性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘテロ凝集体A1を用いて得られたPETのX
RDによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察
図である。
【図2】ヘテロ凝集体A2を用いて得られたPETのX
RDによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察
図である。
【図3】ヘテロ凝集体Bを用いて得られたPETのXR
DによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察図
である。
【図4】ヘテロ凝集体Cを用いて得られたPETのXR
DによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察図
である。
【図5】ヘテロ凝集体Dを用いて得られたPETのXR
DによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察図
である。
【図6】ヘテロ凝集体Eを用いて得られたPETのXR
DによるX線回折パターン及び偏光顕微鏡による観察図
である。
【図7】比較PETのXRDによるX線回折パターン及
び偏光顕微鏡による観察図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 聡 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工 業技術院 九州工業技術研究所内 (72)発明者 安部 英一 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工 業技術院 九州工業技術研究所内 (72)発明者 立山 博 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工 業技術院 九州工業技術研究所内 (72)発明者 安孫子 晶優 新潟県新潟市榎町3 コープケミカル株式 会社新素材研究所内 (72)発明者 青山 知裕 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 久保田 冬彦 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 田口 裕朗 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J002 AA001 BB031 BB121 BC031 BG031 CC031 CF031 CF051 CF061 CF071 CF081 CF091 CF101 CF121 CF141 CH001 CK021 CL011 CL031 CL081 DJ006 DJ056 EV257 EW177

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨潤性層状ケイ酸塩と、高分子原料とを
    含有するヘテロ凝集体。
  2. 【請求項2】 膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁液
    と、高分子原料を含有する懸濁液とを混合して得られる
    請求項1記載のヘテロ凝集体。
  3. 【請求項3】 膨潤性層状ケイ酸塩を含有する懸濁液
    と、高分子原料を含有する懸濁液とを混合した後、表面
    改質剤を添加して得られる請求項1又は2記載のヘテロ
    凝集体。
  4. 【請求項4】 高分子原料が、モノマー、オリゴマー、
    低重合度ポリマー及びポリマーからなる群から選択され
    る少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記
    載のヘテロ凝集体。
  5. 【請求項5】 高分子原料がポリエステルの原料であ
    り、表面改質剤がスルホフタル酸誘導体及び/又はホス
    ホニウム塩誘導体である請求項1〜4のいずれか1項記
    載のヘテロ凝集体。
  6. 【請求項6】 膨潤性層状ケイ酸塩が、膨潤性合成雲母
    である請求項1〜5のいずれか1項記載のヘテロ凝集
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載のヘテ
    ロ凝集体を溶融及び/又は重合して得られる複合化ポリ
    マー材料。
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