JP2001328977A - ビタミンaの製造方法 - Google Patents

ビタミンaの製造方法

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JP2001328977A
JP2001328977A JP2000353960A JP2000353960A JP2001328977A JP 2001328977 A JP2001328977 A JP 2001328977A JP 2000353960 A JP2000353960 A JP 2000353960A JP 2000353960 A JP2000353960 A JP 2000353960A JP 2001328977 A JP2001328977 A JP 2001328977A
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Toshiya Takahashi
寿也 高橋
Shinzo Seko
信三 世古
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビタミンAの製造法を提供すること。 【解決手段】一般式(5) の化合物と一般式(6) の化合物を反応させ一般式(7) の化合物を得、これと塩基を反応させるビタミンAの製
造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、飼料添加
物、食品添加物として重要なビタミンAの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビタミンAの製造方法としてはβ
-イオノン(C13)を出発物質として、側鎖を増炭す
る方法(Pure & Appl. Chem. 66, 1509,(1994))やC1
0スルホン類とC10アルデヒド類のカップリング後、
スルホン基を脱離する方法(特公平4-3388号公報、特公
平5-61265号公報など)が知られている。しかし、前者は
原料であるβ-イオノン(C13)が市場では非常に高
価であり、後者は、C10アルデヒド類の製造工程、特
に酸化工程で極めて高価なアセトアルデヒド誘導体を酸
化剤として用いるなど必ずしも工業的に優れた方法とは
言い難いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下、本
明者らは、工業的有利な製造法を開発すべく鋭意検討し
た結果、C10アルコール類であるゲラニオールやリナ
ロールより容易にかつ安価に製造できるアルコール類か
らビタミンAを工業的有利に製造できることを見出し、
本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式(1) (式中、X1およびX2は相異なりハロゲン原子を示し、
Rは水素原子または水酸基の保護基を示し、波線はE/
Z幾何異性体の混合物を示す。)で示されるジハロゲン
化合物;および一般式(3) (式中、X1はハロゲン原子を示し、R1は水酸基の保護
基を示し、波線は前記と同じ意味を表わす。)で示され
るアルコール類および/または一般式(4) (式中、X1、R1および波線は前記と同じ意味を表わ
す。)で示されるアルコール類にハロゲン化剤を反応さ
せる一般式(5) (式中、X1、X2、R1および波線は前記と同じ意味を
表わす。)で示されるジハロジエン類の製造方法;およ
び一般式(5)で示されるジハロジエン類と一般式
(6) (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
示す。)で示されるスルホン類とを強塩基の存在下に反
応させる一般式(7) (式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表わ
す。)で示されるスルホン誘導体の製造方法;および該
誘導体を塩基と反応させることによるビタミンAを得る
製造方法を提供するものである。なお、本発明では、原
料化合物にシス異性体を含有するために、得られるビタ
ミンAはシス異性体を含むものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。一般式(3)、(4)および(5)における置換
基R1は水酸基の保護基を示し、一般式(1)および一
般式(7)における置換基Rは水素原子または水酸基の
保護基を示す。かかる水酸基の保護基としては、ホルミ
ル、アセチル、エトキシアセチル、フルオロアセチル、
ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロア
セチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ブロ
モアセチル、ジブロモアセチル、トリブロモアセチル、
プロピオニル、2−クロロプロピオニル、3−クロロプ
ロピオニル、ブチリル、2−クロロブチリル、3−クロ
ロブチリル、4−クロロブチリル、2−メチルブチリ
ル、2−エチルブチリル、バレリル、2−メチルバレリ
ル、4−メチルバレリル、ヘキサノイル、イソブチリ
ル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、o−クロ
ロベンゾイル、m−クロロベンゾイル、p−クロロベン
ゾイル、 o−ヒドロキシベンゾイル、m−ヒドロキシ
ベンゾイル、p−ヒドロキシベンゾイル、 o−アセト
キシベンゾイル、 o−メトキシベンゾイル、m−メト
キシベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−ニトロ
ベンゾイル等のアシル基、トリメチルシリル、トリエチ
ルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフ
ェニルシリルなどのシリル基、テトラヒドロピラニル、
メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、1−エトキ
シエチルなどのアルコキシアルキル基、ベンジル基、p
−メトキシベンジル基、t−ブチル基、トリチル基、メ
チル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル
基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられ、通常、ア
セチルが好んで用いられる。
【0006】一般式(6)および(7)における置換基
Arは、置換基を有していてもよいアリール基を示し、
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げら
れ、置換基としては、C1からC5の直鎖または分枝状
のアルキル基、C1からC5の直鎖または分枝状のアル
コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。置
換基Arの具体例としては、例えば、フェニル、ナフチ
ル、o−トリル,m−トリル,p−トリル、o−メトキ
シフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェ
ニル、o−クロロフェニル、m−クロロフェニル、p−
クロロフェニル、o−ブロモフェニル、m−ブロモフェ
ニル、p−ブロモフェニル、o−ヨードフェニル、m−
ヨードフェニル、p−ヨードフェニル、o−フルオロフ
ェニル、m−フルオロフェニル、p−フルオロフェニ
ル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニ
トロフェニル等が挙げられる。
【0007】一般式(1)、(3)、(4)および
(5)で示される化合物におけるX1、X2のハロゲン原
子としては、相異なり塩素原子、臭素原子、沃素原子等
が挙げられる、X1は臭素原子、X2は塩素原子が好まし
い。
【0008】本発明の原料化合物であるアルコール類
(3)および(4)は、下記スキーム1に示すごとく比
較的安価なリナロールやゲラニオールから容易に合成で
きる(特開平11-130730号公報、特開平11-236357号公
報)。 スキーム1もう一方の原料化合物である一般式(6)で
示されるスルホン類は、ChemistryLetters 479 (1975)
に示される方法により合成することができる。
【0009】本発明の一般式(5)で示されるジハロジ
エン類は一般式(3)および/または(4)で示される
アルコール類にハロゲン化剤を反応させることにより製
造することができる。
【0010】ハロゲン化剤としては、第4属遷移金属の
ハロゲン化物、硫黄のハロゲン化物、リンのハロゲン化
物等が挙げられ、第4属遷移金属のハロゲン化物として
は、例えば一般式(8) (式中、Mは第4属遷移金属を、R2は炭素数1から5の
直鎖または分枝状のアルキル基を、aは1、2、3また
は4を示し、X2は前記と同じ意味を表わす。)で示さ
れる第4属遷移金属のハロゲン化物が挙げられる。
【0011】第4属遷移金属のハロゲン化物(8)のM
で示される金属原子としては例えばチタン、ジルコニウ
ム、ハフニウムなどが挙げられる。特に、チタン化合物
は安価なことから工業的には好ましい。第4属遷移金属
のハロゲン化物(8)のR2で示される基としては炭素
数1から5の直鎖もしくは分枝状のアルキル基を示す
が、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プ
ロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルな
どが挙げられる。第4属遷移金属のハロゲン化物(8)
の具体例としては、四塩化チタン、四臭化チタン、ジク
ロロチタニウムジイソプロポキシド、クロロチタニウム
トリイソプロポキシド、四塩化ジルコニウム、四塩化ハ
フニウムなどが挙げられる。かかるハロゲン化剤の使用
量は原料のアルコール類(3)および/または(4)に
対して、0.25〜2モル倍程度、好ましくは、0.5〜1.2モ
ル倍程度である。
【0012】硫黄のハロゲン化物としては、塩化チオニ
ルが、リンのハロゲン化物としてはオキシ塩化リン、三
塩化リン、五塩化リンなどが挙げられる。かかるハロゲ
ン化剤の使用量は原料のアルコール類(3)および/ま
たは(4)に対して、0.25〜2モル倍程度、好ましく
は、0.5〜1.1モル倍程度である。 また、硫黄またはリ
ンのハロゲン化物を使用する場合は、塩基を共存させる
方が好ましい。使用される塩基としては、特に限定され
ず、アミン系有機塩基または無機塩基が挙げられる。具
体例としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジ
ン、3−エチル−4−メチルピリジン、5−エチル−2
−メチルピリジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾ
ール、3−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール、DBU、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミ
ン、t−ブチルジメチルアミン、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。かか
る塩基の使用量は原料のアルコール類(3)および/ま
たは(4)に対して、通常、1〜2モル倍程度である。
【0013】上記反応は、通常、有機溶媒中で実施さ
れ、使用される溶媒としてはジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ア
ニソール等のエーテル系溶媒、n-ヘキサン、シクロヘキ
サン、n-ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
炭化水素系溶媒、 クロロホルム、ジクロロメタン、1,2
-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロ
ベンゼン等のハロゲン系溶媒、またはアセトニトリル、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホス
ホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げら
れる。また、第4属遷移金属のハロゲン化物を用いる場
合は、好ましくはエーテル系溶媒が使用され、中でも、
ジメトキシエタンがより好ましい。これらは単一であっ
ても2種以上の混合溶媒で使用してもよい。
【0014】反応温度は通常、-78℃から溶媒の沸点ま
での範囲内で任意に選択できるが、好ましくは−20〜60
℃程度の範囲である。また、反応時間は、用いるハロゲ
ン化剤の種類ならびに反応温度によって異なるが、通常
1時間から24時間程度の範囲である。
【0015】反応後、通常の後処理、例えば水洗浄、抽
出、各種クロマトグラフィーなどの操作をすることによ
りジハロジエン類(5)を製造することができる。な
お、ジハロジエン類(5)を通常の加水分解操作に付す
ことによりR1が水素原子に変換した化合物が得られ
る。
【0016】本発明の一般式(7)で示されるスルホン
誘導体は、一般式(6)で示されるスルホン類と一般式
(5)で示されるジハロジエン類とを強塩基存在下反応
させることによって得ることができる。使用するジハロ
ジエン類(5)は、EまたはZ幾何異性体、光学活性
体、ラセミ体のいずれであっても、またその混合物であ
ってもよい。
【0017】上記反応に用いる強塩基としては、アルカ
リ金属のアルコキシド、アルカリ金属のヘキサアルキル
ジシラザンなどであり、具体的には、 ナトリウムメト
キシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、
カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリ
ウムt−ブトキシド、ナトリウムヘキサメチルジシラザ
ン、カリウムヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
かかる強塩基の使用量はジハロジエン類(5)に対して
通常、1〜5モル倍程度であり、好ましくは、1〜3モ
ル倍程度である。
【0018】上記反応には、通常、有機溶媒が用いら
れ、かかる溶媒としては、 N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセト
アミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホリックト
リアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ヘキサン、n
-ヘプタン、シクロヘキサン、n−ペンタン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素系溶媒、またはジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソー
ル等のエーテル系溶媒が挙げられる。また2種以上の溶
媒を混合して使用しても良い。
【0019】反応温度は、通常、−78℃から使用する溶
媒の沸点の範囲であるが、-40℃以下がより好ましい。
また、反応時間は、反応で用いる塩基の種類ならびに反
応温度によって異なるが、通常5分から10時間程度の範
囲である。反応後、通常の後処理、例えば抽出、晶析、
各種クロマトグラフィーなどの操作をすることによりス
ルホン誘導体(7)を得ることが出来る。
【0020】かくして得られたスルホン誘導体(7)は
塩基と作用させることによりビタミンAに誘導すること
ができる。また使用するスルホン誘導体(7)はEまた
はZ幾何異性体のいずれであってもよく、その混合物で
あってもよい。また、ラセミ体でも光学活性体であって
もよい。
【0021】上記反応に用いられる塩基としては、アル
カリ金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカ
リ金属のアルコキサイドが用いられ、特にアルカリ金属
の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイドが好ましく
用いられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサ
イド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキシド、ナ
トリウムt−ブトキサイド、カリウムt−ブトキサイド
等が挙げられる。かかる塩基の使用量はスルホン誘導体
(7)に対して通常、1〜20モル倍程度である。
【0022】上記反応には、通常、有機溶媒が用いら
れ、かかる溶媒としては、 n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、シクロヘキサン、n−ペンタン、トルエン、キシレ
ン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル
系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロ
トン性極性溶媒等が挙げられ、特にシクロヘキサンが好
ましい。
【0023】反応温度は、通常、0℃から使用する溶媒
の沸点の範囲であり、好ましくは15℃〜100℃程度
の範囲である。また、反応時間は、反応で用いる塩基の
種類ならびに反応温度によって異なるが、通常1時間か
ら24時間程度の範囲である。
【0024】反応後、通常の後処理操作をすることによ
りシス異性体を含有するビタミンAが得られる。必要に
応じて、晶析、各種クロマトグラフィーなどにより精製
することができる。
【0025】また、得られたビタミンAは常法に従い水
酸基の保護基を導入することができ、例えばアセチル化
することによりビタミンAアセテートを得ることができ
る。
【0026】
【発明の効果】かくして、本発明の方法によれば、医
薬、飼料添加物、食品添加物で重要なビタミンAを安価
にかつ工業的有利に製造することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。
【0028】(実施例1)アルコール(I)(X=Br)0.5
6g(1.94mmol)をジメトキシエタン5mlに溶解させ、攪
拌下、室温で四塩化チタンの1Mトルエン溶液1.94ml(1.
94mmol)をシリンジで滴下した。その後、50℃に昇温
し、6時間攪拌した。反応後、氷水中に反応混合物を注
加し、酢酸エチルで抽出した。有機層は飽和塩化ナトリ
ウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
有機溶媒を留去することにより微黄色オイルとしてジハ
ロゲン化合物(III)と(IV)(X=Br)の9:91の混合
物を収率93%で得た。
【0029】(実施例2〜6)表1に示すアルコール
(1.94mmol)をジメトキシエタン5mlに溶解させ、攪拌
下、室温で四塩化チタンの1Mトルエン溶液1.94ml(1.94
mmol)をシリンジで滴下した。その後、50℃で6時間反
応させ、実施例1と同様に後処理を行った。結果を下記
表に示す。
【表1】 化合物(IV)(X=Br)1 H-NMR(CDCl3):δ 1.72(3H, s), 1.85(3H, s), 2.04(3H, s), 2.45-2.64(2
H, m), 3.92(3H, s),4.57(2H, d, J=7Hz), 4.71(1H, d
d, J=7Hz, 10Hz), 5.43(1H, t, J=7Hz), 5.65(1H,d, J=
9Hz)13 C-NMR(CDCl3):δ 15.4, 16.8, 21.2, 39.4, 48.6, 55.3, 60.6, 123.1, 1
30.9, 135.5, 136.9, 171.1 化合物(IV)(X=Cl)1 H-NMR(CDCl3):δ 1.72(3H, s), 1.82(3H, s), 2.05(3H, s), 2.44-2.63(2
H, m), 3.99(3H,s), 4.58(2H, d, J=7Hz), 4.68-4.76(1
H, m), 5.43(1H, t, J=7Hz), 5.61(1H, d, J=9Hz)13 C-NMR(CDCl3):δ 15.2, 16.9, 21.3, 48.6, 50.9, 55.5, 61.3, 123.3, 1
30.5, 134.4, 135.7, 171.3
【0030】(実施例7)アルコール(I)と(II)(X=B
r)の70:30の混合物0.095g(0.33mmol)、ピリジン27mg
(0.34mmol)をヘキサン5mlに溶解させ、攪拌下、25℃
で塩化チオニル41mg(0.34mmol)を徐々に滴下した。滴
下終了後、同温度で24時間攪拌した。その後、反応混合
液を50mlの氷水中に注加し、ヘキサン層を分離した。ヘ
キサン層を10mlの5%重曹水、20mlの水、および10mlの飽
和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。乾燥後、溶媒を留去することにより、微黄色オイ
ルとしてジハロゲン化合物(III)と(IV)(X=Br)の42:
58の混合物を収率84%で得た。
【0031】(実施例8)アルコール(I)と(II)(X=B
r)の代わりにアルコール(I)と(II)(X=Cl)を用い
た以外は実施例7と同様に反応、後処理を行い、微黄色
オイルとしてジハロゲン化合物(III)と(IV)(X=Cl)
の36:64の混合物を収率84%で得た。
【0032】(実施例9)カリウムt−ブトキシド0.33
g(3.0mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
8mlに溶解した溶液を−60℃に冷却し、スルホン(V)0.
59 g(2.0 mmol)をDMF3mlに溶解した溶液を5分で
滴下し、同温で1時間保温した。次いで、ジハロジエン
(VI)0.34 g(1.0mmol)のDMF溶液3mlを5分間で滴
下し、同温で2時間攪拌した。反応後、飽和塩化アンモ
ニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。得
られた有機層は飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を留去することにより、スルホン
誘導体(V)を含有する粗生成物を得た。得られた粗生
成物を液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ス
ルホン誘導体(VII)の収率は95%であった。
【0033】(実施例10)スルホン(V)0.59 g(2.0
mmol)をテトラヒドロフラン(THF)3mlに溶解した
溶液に−60℃で12%のカリウムヘキサメチルジシラザン
のトルエン溶液3.3ml(2.0mmol)を滴下し、1時間保温し
た。次いで、ジハロジエン(VI)0.34 g(1.0mmol)の
THF溶液3mlを5分間で滴下し、同温で2時間攪拌し
た。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチ
し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層は飽和食塩
水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を
留去することにより、スルホン誘導体(VII)を含有す
る粗生成物を得た。得られた粗生成物を液体クロマトグ
ラフィーにて定量したところ、スルホン誘導体(VII)
の収率は50%であった。
【0034】(実施例11)スルホン誘導体(VII)0.2
0g(0.41mmol)をDMF10mlに溶解後、99%の水酸化カリ
ウム0.16g(2.9mmol)を仕込み、5℃で24時間攪拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液に注加し、酢酸エ
チルにて抽出した。得られた有機層は飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を留去することにより赤色オイ
ルの粗生成物を得た。得られた粗生成物を常法により水
酸基をアセチル化した。得られた粗生成物を液体クロマ
トグラフィーにて定量したところ、ビタミンAアセテー
トの収率は87%であった。
【0035】(実施例12)スルホン誘導体(VII)0.2
0g(0.41mmol)をDMF10mlに溶解後、t-ブチルアルコー
ル30mg(0.41mmol)を添加した以外は実施例11と同様
に反応、後処理を行ったところ、ビタミンAアセテート
の収率は91%であった。
【0036】(実施例13)スルホン誘導体(VII)0.2
0g(0.41mmol)をDMF10mlに溶解後、t-ブチルアルコー
ル30mg (0.41mmol)と塩化ベンジルトリエチルアンモ
ニウム5mg(0.02mmol)を添加した以外は実施例11と同
様に反応、後処理を行ったところ、ビタミンAアセテー
トの収率は92%であった。
【0037】以下に実施例の化合物の構造式を記す。但
し、Tsは、p−トリルスルホニル基を示す。
【0038】
フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC13 AC24 AC30 BA02 BA32 BA33 BA92 BB15 BD70 BE10 BE15 BE51 BE62

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) (式中、X1およびX2は相異なりハロゲン原子を示し、
    Rは水素原子または水酸基の保護基を示し、波線はE/
    Z幾何異性体の混合物を示す。)で示されるジハロゲン
    化合物。
  2. 【請求項2】一般式(3) (式中、X1はハロゲン原子を示し、R1は水酸基の保護
    基を示し、波線は前記と同じ意味を表わす。)で示され
    るアルコール類および/または 一般式(4) (式中、X1、R1および波線は前記と同じ意味を表わ
    す。)で示されるアルコール類にハロゲン化剤を反応さ
    せることを特徴とする、一般式(5) (式中、X1、X2、R1および波線は前記と同じ意味を
    表わす。)で示されるジハロジエン類の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式(5)で示されるジハロジエン類と
    一般式(6) (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
    示す。)で示されるスルホン類とを強塩基の存在下に反
    応させることを特徴とする一般式(7) (式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表わ
    す)で示されるスルホン誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(3)で示されるアルコール類およ
    び/または一般式(4)で示されるアルコール類にハロ
    ゲン化剤を反応させ、一般式(5)で示されるジハロジ
    エン類を得、次いで、得られたジハロジエン類と一般式
    (6)で示されるスルホン類とを強塩基の存在下に反応
    させることを特徴とする一般式(7)で示されるスルホ
    ン誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】一般式(5)で示されるジハロジエン類と
    一般式(6)で示されるスルホン類とを強塩基の存在下
    に反応させ、一般式(7)で示されるスルホン誘導体を
    得、次いで、該誘導体を塩基と反応させることを特徴と
    するビタミンAの製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(3)で示されるアルコール類およ
    び/または一般式(4)で示されるアルコール類にハロ
    ゲン化剤を反応させ、一般式(5)で示されるジハロジ
    エン類を得、次いで、得られたジハロジエン類と一般式
    (6)で示されるスルホン類とを強塩基の存在下に反応
    させ、一般式(7)で示されるスルホン誘導体を得、次
    いで、該誘導体を塩基と反応させることを特徴とするビ
    タミンAの製造方法。
  7. 【請求項7】ハロゲン化剤が、第4属遷移金属のハロゲ
    ン化物である請求項2、4または6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】第4属遷移金属のハロゲン化物が、一般式
    (8) (式中、Mは第4属遷移金属を、R2は炭素数1から5の
    直鎖または分枝状のアルキル基を、aは1、2、3また
    は4を示し、X2は前記と同じ意味を表わす。)で示さ
    れる第4属遷移金属のハロゲン化物である請求項7に記
    載の製造方法。
  9. 【請求項9】Mがチタンである請求項8に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】第4属遷移金属のハロゲン化物が四塩化
    チタンである請求項8に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】第4属遷移金属のハロゲン化物をハロゲ
    ン化剤として使用する際の反応溶媒としてエーテル系溶
    媒単一またはエーテル系溶媒を含む混合溶媒を用いる請
    求項7に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】ハロゲン化剤が、硫黄のハロゲン化物ま
    たはリンのハロゲン化物である請求項2、4または6に
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】硫黄のハロゲン化物が、塩化チオニルで
    ある請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】強塩基が、アルカリ金属のアルコキシド
    またはアルカリ金属のヘキサアルキルジシラザンである
    請求項4、5または6に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】塩基が、アルカリ金属の水酸化物、アル
    カリ金属の水素化物またはアルカリ金属のアルコキシド
    である請求項5または6に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】一般式(5)で示されるジハロジエン類
    のX1が臭素原子で、X2が塩素原子である請求項4、5
    または6に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】R1がアシル基である請求項2、3、
    4、5、6または7に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】一般式(2) (式中、X1およびXは同一または相異なりハロゲン原子
    を示し、Rは前記と同じ意味を表わす。)で示されるジ
    ハロゲン化合物。
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