JP2001328344A - 顔料インク用インクジェット被記録媒体 - Google Patents

顔料インク用インクジェット被記録媒体

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JP2001328344A
JP2001328344A JP2000150331A JP2000150331A JP2001328344A JP 2001328344 A JP2001328344 A JP 2001328344A JP 2000150331 A JP2000150331 A JP 2000150331A JP 2000150331 A JP2000150331 A JP 2000150331A JP 2001328344 A JP2001328344 A JP 2001328344A
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pigment
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absorbing layer
pigment ink
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JP2000150331A
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Hideji Oda
秀次 織田
Taku Kajima
卓 鹿嶋
Hiroyuki Onishi
弘幸 大西
Atsushi Sugiyama
淳 杉山
Masaya Shibatani
正也 柴谷
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Seiko Epson Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Seiko Epson Corp
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、顔料インクを用いて記録す
るインクジェット被記録媒体において、高い顔料インク
吸収性を有し、顔料インクの耐摩擦性に優れ、色再現範
囲の広いインクジェット被記録媒体を提供するものであ
る。 【解決手段】 本発明は、少なくとも色材顔料、高沸点
有機溶剤、分散剤、浸透剤及び水を含んでなる顔料イン
クの液滴を表面に吐出し記録を行う顔料インク用インク
ジェット被記録媒体において、支持体上に無機顔料及び
高分子接着剤を含むインク吸収層を設けてなり、該無機
顔料のJIS K5101に規定される吸油量が150
ml/100g以上であり、平均二次粒子径が3.0μ
m以上15μm以下であることを特徴とする。また、ス
チレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂分散剤及びアセ
チレングリコール化合物浸透剤を含有するインクセット
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料インクを用い
て記録するインクジェット被記録媒体に関するものであ
り、更に詳しくは高いインク吸収性を有し、色再現範囲
の良好なインクジェット被記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記
録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、
漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として
種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色イ
ンクジェット方式により形成される画像は、製版方式に
よる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、
遜色のない記録画像を得ることが出来るようになった。
又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術
や印刷技術によるよりも安価であることからフルカラー
画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】インクジェット記録方式で使用される被記
録媒体としては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙や
コーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努
力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細化或
はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上
や用途の拡大に伴い、被記録媒体に対してもより高度な
特性が要求されるようになった。即ち、当該被記録媒体
としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮や
かであること、インクの吸収が早くて印字ドットが重な
った場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしな
いこと、印字ドットの横方向への拡散が均一で必要以上
に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、経
時や環境で画質の変化がないこと例えば、耐光性、耐水
性、耐オゾン性に優れていること等が要求される。
【0004】このような要求に対して、従来からいくつ
かの提案が行われてきた。インク吸収性向上や印字ドッ
トの拡散防止に関しては、特開昭52−9074号公
報、同58−72495号公報等に支持体上にインク吸
収層を設ける方法が、色彩性や鮮鋭性に関しては、特開
昭55−144172号公報にインク吸収層中に染料成
分を吸着する特定の添加剤を用いる方法等が開示されて
いる。又、耐光性、耐水性、耐オゾン性を向上させるた
めに、特開昭60−11389号公報には、塩基性オリ
ゴマーを含有させること、特開昭64−8085号公報
には、基材中又は基材上の塗工層にポリビニルアミン共
重合物を用いること等が開示されている。
【0005】しかしながら、これらの特性に対する要求
は次第に高度になり、厳しくなる一方で、インクジェッ
ト記録装置が安価でしかも鮮鋭性や色彩性といった画像
再現性や色再現性に優れた画像をパーソナルコンピュー
ターレベルで簡単に得ることができるようになったこと
から、インクジェット記録装置は、特定の人に使用され
る特殊な記録装置から汎用の記録装置に変遷してきてい
る。又、画像も印刷物や写真に匹敵するような品質のも
のが容易に得られることから、自作の絵はがきやデジタ
ル写真のプリンタとしての用途にも使われるようになっ
ている。この場合は絵はがきや写真プリントのもつ質感
や触感が要求されるようにもなった。更に、このような
用途においては打込むインク量が多く、基紙にまで達す
るインク溶媒によって記録後のシートに波打ちを生じ、
見栄えが悪くなるという問題も発生している。
【0006】更に、用途の多様化に伴って、ポスターや
POPアートに使用されたり、裏面に粘着剤層を設け
て、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベ
ル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用
ラベル(ステッカー)等のラベル用途に用いられるよう
になった。これらのラベルは広い範囲の被着体に良く接
着し、貼り付け作業が簡単なため、他面に粘着層を介し
て感熱特性、磁気特性、オフセット印刷適性を有するシ
ート等と貼り合わせて複合した機能を付加させることも
可能となる。そのため、切符、定期券、各種カード等、
コンピュータと接続した用途への応用も広がりつつあ
る。
【0007】インクジェット被記録媒体の形態として
は、所謂、上質紙・ボンド紙等に代表される普通紙タイ
プと上質紙等の紙、合成紙、合成樹脂フィルム等の支持
体面上にインク吸収層を設けた塗工タイプに大別され
る。塗工タイプのインクジェット被記録媒体は、塗設さ
れたインク吸収層の種々の特性が印字品質に直接影響す
ることから、吸収性については顔料の比表面積や形状の
選択、色彩性や色濃度等については顔料の透明性や屈折
率の検討、画像品質については塗層構造や表面形状等の
検討、用紙の波打ち等の改善については水中伸度、合成
繊維やガラス繊維の配合といった種々の検討、更には塗
工方法等について種々の検討などがなされてきた。
【0008】又、用途の多様化はインクジェット被記録
媒体の外観に対しても生じており、従来からある普通紙
やマット紙といった光沢のない或いは光沢の低い外観に
加え、アート紙、コート紙、キャスト紙、印画紙等に類
似の光沢を有した外観が求められることもある。これは
インクジェット記録画像が印刷や写真に匹敵する画像品
質を再現できることにより、外観も類似させたいという
要望が生じているためである。
【0009】そこで、光沢表面を備えたインクジェット
被記録媒体としては、塗層が湿潤状態にある間にキャス
ト仕上げして得られるキャスト塗被紙が特開平6−32
0857号公報等に開示されているが、銀塩写真印画紙
と比較するとその表面光沢は極めて低く、銀塩写真の光
沢感、質感が得られるものではない。
【0010】一方、表面光沢性を高めたインクジェット
被記録媒体としては、支持体上に樹脂からなるインク吸
収層を設けたものが提案されている。こうした用途に使
用される樹脂の例としては、例えば特開昭57−381
85号、同62−184879号公報等に開示されてい
るようなポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢
酸ビニル共重合体、特開昭60−168651号、同6
0−171143号、同61−134290号公報に開
示されているようなポリビニルアルコールを主体とする
樹脂組成物、特開昭60−234879号公報に開示さ
れているようなビニルアルコールとオレフィンまたはス
チレンと無水マレイン酸との共重合体、特開昭61−7
4879号公報に開示されているようなポリエチレンオ
キサイドとイソシアネートとの架橋物、特開昭61−1
81679号公報に開示されているようなカルボキシメ
チルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物、
特開昭61−132377号公報に開示されているよう
なポリビニルアルコールにメタクリルアミドをグラフト
化したポリマー、特開昭62−220383号公報に開
示されているようなカルボキシル基を有するアクリル系
ポリマー、特開平4−214382号公報等に開示され
ているようなポリビニルアセタール系ポリマー、特開平
4−282282号、同4−285650号公報に開示
されているような架橋性アクリル系ポリマー等種々のイ
ンク吸収性ポリマーが使用されている。また、特開平4
−282282号、同4−285650号公報等には架
橋性ポリマーから構成されるポリマーマトリックスと吸
収性ポリマーとを併用したインクジェット被記録媒体が
開示されている。しかし、これら樹脂からなるインク吸
収層は、シリカ等の顔料微粒子からなる多孔性のインク
吸収層と比較して、表面光沢性は得られるものの、吸収
速度が遅く、また吸収容量が少ないという欠点を有す
る。
【0011】インク吸収速度が速く、表面光沢性を高め
たインクジェット被記録媒体としては、近年、アルミナ
水和物(カチオン性アルミナ水和物)を用いたものが提
案されており、例えば特開昭60−232990号、同
60−245588号公報、特公平3−24906号公
報、特開平6−199035号、同7−82694号公
報等には、微細な擬ベーマイト形アルミナ水和物を水溶
性バインダーと共に支持体表面に塗工したインクジェッ
ト被記録媒体が開示されている。しかしながら、擬ベー
マイト形アルミナ水和物を用いたインクジェット被記録
媒体は、表面光沢性は非常に高くなるものの、細孔容積
が少ないために、例えば特開平5−24335号公報に
記載されているように、インク吸収容量が少なく、十分
なインク吸収容量を得るためには厚膜塗布が必要であ
る。
【0012】また、例えば特開平10−203006号
公報には、一次粒子径が3nm〜30nmである主とし
て気相法による合成シリカを使用するインクジェット被
記録媒体が開示されている。この場合も充分な吸収容量
を得るために、30μm以上の膜厚が必要とされてい
る。
【0013】他方、吸収性や解像度、及び色濃度等を改
良する提案として、特開平9−95042号公報、特公
平3−26665号公報、特開平10−297079号
公報には、塗工顔料として、比表面積や粒子径更にはロ
ジン−ラムラー分布の均等数nを規定したインクジェッ
ト被記録媒体または被記録媒体用填料が開示されてい
る。
【0014】一方、耐光性や耐水性をインク側から改良
する試みもなされており、染料に比べて耐光性および耐
水性、耐ガス性に優れた顔料は、近年、これらの問題を
改善する目的でインクジェット記録用インク組成物の色
材として利用が検討されている。顔料インクの利点とし
ては上記のような耐光性、耐水性が優れている反面、着
色剤に染料を用いたインクに比べて、耐摩擦性に弱く印
字物汚れ等を防止するために、顔料を被記録媒体上に定
着させる必要があった。
【0015】この課題を解決する為に種々の検討がなさ
れている。定着を行う手段として、水溶性の樹脂をイン
クに混合している例(特開平6−100810号公報、
特開平6−122846号公報)及び被記録媒体内部に
顔料を浸透させる目的で浸透剤を加えた例(特開平6−
116522号公報、特開平4−359072号公報)
及び水溶性樹脂と浸透剤の併用例(特開平6−1350
06号公報)などが挙げられるが、いずれも定着性に不
充分であったり、浸透を促進しすぎた為に色濃度が得ら
れなかったりして実用的ではなかった。また一方で定着
性に配慮しすぎた結果、顔料本来の耐光性、耐ガス性に
劣る顔料インクとなり、これも実用上の弊害となること
が多かった。
【0016】これらの問題を解決するために、インクジ
ェット用顔料インク組成物がWO99/05230に開
示されている。すなわち、シアンインク組成物は、色材
顔料として、C.I.Pigment Blue 15:3を2〜4重量%含
み、マゼンタインク組成物は、色材顔料としてC.I.Pigm
ent Red 122 を3〜5重量%含み、イエローインク組成
物は、色材顔料としてC.I.Pigment Yellow 74を3〜5
重量%含み、ブラックインク組成物は、色材顔料として
カーボンブラックを2〜5重量%含み、オレンジインク
組成物は、C.I.Pigment Orange 43もしくはC.I.Pigment
Orange 36を、好ましくは2〜5重量%含み、グリーン
インク組成物は、C.I.Pigment green 7もしくはC.I.Pig
ment green 36を、好ましくは2〜5重量%含んでな
る。
【0017】更に、これらのインク組成物は、浸透剤と
してアセチレングリコール化合物を0.1〜5重量%含
み、かつ高沸点有機溶剤としてグリセリンとエチレング
リコールモノブチルエーテルを2〜15重量%含み、か
つ水溶性分散剤がスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性
樹脂であって、当該スチレン−(メタ)アクリル酸系水溶
性樹脂を固形分換算で色材顔料に対して0.1〜1重量
部の割合で含んで成るものが挙げられる。このインク組
成物を用いることで、定着性がよく、耐光性、耐ガス性
等の保存性に優れた印字物を提供することが可能となっ
たが、インクを定着させる被記録媒体との性能マッチン
グが不充分であるとインクの性能が充分に発揮されず、
特に銀塩写真並みの画像を目標とした場合、色濃度、色
彩度、色再現範囲などの点で目標を達成するには及ばな
かった。
【0018】このようにこれらインクジェット被記録媒
体の技術やインク組成物の技術では、近年高度に発展し
たインクジェット記録技術、特に耐光性や保存性を改良
するため色材顔料を用いたインク組成物に対応したイン
ク吸収性更には色彩性、色濃度等の要求を満たすには充
分ではなかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、顔料
インクを用いて記録するインクジェット被記録媒体で、
インク吸収性、色材顔料定着性、色再現範囲(後述)の
優れたインクジェット被記録媒体を提供するものであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、顔料イン
クで記録する場合に、高いインク吸収性、色材顔料定着
性を有し、色再現範囲の優れたインクジェット被記録媒
体を鋭意追求した結果、特定の物性を持つ無機顔料を使
用したインク吸収層を設けたインクジェット被記録媒体
に、特定の組成物を含有する顔料インクを用いて記録し
た場合に、上記課題を満足させることを見出し本発明の
インクジェット被記録媒体を完成するに至った。
【0021】即ち、本発明は、少なくとも色材顔料、高
沸点有機溶剤、分散剤、浸透剤及び水を含んでなる顔料
インクの液滴を表面に吐出し記録を行う顔料インク用イ
ンクジェット被記録媒体において、支持体上に無機顔料
及び高分子接着剤を含むインク吸収層を設けてなり、該
無機顔料のJIS K5101に規定される吸油量が1
50ml/100g以上であり、平均二次粒子径が3.
0μm以上15μm以下であることを特徴とする顔料イ
ンク用インクジェット被記録媒体である。
【0022】該インク吸収層に更にカチオン性水溶性樹
脂を含有することは好ましい態様である。
【0023】また顔料インクの分散剤がスチレン−(メ
タ)アクリル酸系水溶性樹脂であり、かつ浸透剤がアセ
チレングリコール化合物であるインクセットによって記
録を行う、顔料インク用インクジェット被記録媒体は好
ましい態様である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明のインクジェット被
記録媒体について、詳細に説明する。
【0025】 本発明において使用出来る支持体として
は、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィ
ルム、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、普通紙、コー
ト紙、トレーシングペーパー等の紙、樹脂被覆紙、合成
紙、粘着紙、粘着フィルム等が用いられるが、ガラス、
アルミニウム箔、蒸着紙、蒸着フィルム、不織布、革製
品、セラミック製品等インク吸収層を設けることができ
る支持体であれば、特に限定されるものではない。
【0026】本発明においてインク吸収層に用いられる
無機顔料としては、顔料試験方法のJIS−K5109
に基づき求めた吸油量が、150ml/100g以上であり、
且つ平均二次粒子径が3.0μm以上15μm以下のも
のである。好ましくは吸油量が200ml/100g以上であ
る。無機顔料としては、合成非晶質シリカ微粒子や、合
成炭酸マグネシウム微粒子等が好ましく、特に好ましく
は合成非晶質シリカ微粒子である。上記の所定の無機顔
料と、本発明で用いられる、色材顔料、高沸点有機溶
剤、分散剤、浸透剤及び水とを少なくとも含んでなる顔
料インク中の液媒体との組み合せにより、吸収性、色彩
性、色濃度などの所望の性能が得られる。
【0027】平均二次粒子径が3.0μm未満である
と、顔料インクの定着性が低下し、黒インクのブロンズ
化現象が発生する。ブロンズ化とは、黒発色が茶色がか
って見えることで、色濃度を低下させ、品質を悪化させ
る。また、平均粒子径が15μmを超えると色濃度が低
下する。これはインク中の色材顔料が無機顔料粒子の裏
側にまで回り込み、表面から見る色材顔料を隠蔽するか
らだと考えられる。特にインク中に浸透剤を含有する場
合は、この粒子径が大きく影響する。吸油量が色再現範
囲等に影響する理由は定かではないが、インク中に含ま
れる高沸点有機溶媒や浸透剤の吸収状態になんらかの影
響があるものと推定される。本発明で使用するインク中
の高沸点有機溶媒や浸透剤の組み合せにおいて、インク
吸収層中の顔料の吸油量が好ましい条件になっているも
のと推定される。
【0028】本発明で好ましく使用される非晶質シリカ
微粒子とは、乾量基準でSiO293%以上、Al23
約5%以下、Na2O約5%以下を含む微粒子であり、
いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや非晶性微粉末
シリカなどがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法は、
乾式法と湿式法に大別され、乾式法には、燃焼法と加熱
法がある。また、湿式法には沈殿法とゲル法と言われる
製造方法がある。乾式燃焼法は一般に、気化させた四塩
化珪素と水素を混合したものを1600〜2000℃で
空気中で燃焼させる方法で気相法ともよばれる。湿式沈
殿法は通常、珪酸ソーダと硫酸等を水溶液中で反応させ
て、SiO2を沈殿させる方法で、反応温度や酸の添加
速度等の条件によりシリカの比表面積(40〜400m
2/g)や一次粒子径(5〜80nm)等を調整するこ
とが出来る。また、乾燥や粉砕条件で二次粒子径やシリ
カ物性が微妙に変化する。湿式ゲル法は一般に珪酸ソー
ダと硫酸の同時添加等で反応させて製造されるもので、
シリカ粒子同士の重合、例えばシラノール基の脱水縮合
等、が進んで三次元的なヒドロゲル構造になったもので
ある。その特徴は、一次粒子が比較的小さいヒドロゲル
構造であるため、比表面積の大きな二次粒子が製造出来
ることであり、その一次粒子(2〜15nm)の大きさ
を反応条件等を変えることにより調整し、吸油量の異な
る二次粒子を製造できる。
【0029】非晶質シリカ微粒子としては、上記の内、
湿式法により合成されたシリカ微粒子が好ましく、吸油
量が150ml/100g以上であり、平均二次粒子径が3.
0μm以上15μm以下の非晶質シリカ微粒子である。
【0030】本発明に用いられる高分子接着剤は、水溶
性あるいは非水溶性の高分子化合物であり、インク吸収
層の構成成分として、インクと親和性を有する化合物で
ある。水溶性高分子化合物としては、例えば、澱粉、酸
化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エス
テル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導
体、各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノ
ール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種
誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白
等の天然高分子、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナト
リウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水
溶性合成高分子が用いられる。また、スチレン−ブタジ
エン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重
合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸
エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合
体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビ
ニル系重合体ラテックス、或はこれら各種重合体のカル
ボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体
ラテックス、ポリウレタン樹脂系ラテックス、メラミン
樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等が挙げられる。
好ましくは、ポリビニルアルコール又はその誘導体であ
る。
【0031】また、非水溶性高分子化合物としては、例
えばエタノール、2−プロパノール等のアルコール類や
これらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水
溶性バインダーがあげられる。この様な非水溶性バイン
ダーとしては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等の
アセタール樹脂を挙げることができ、特にアセタール化
度が5モル%以上20モル%以下の範囲のアセタール樹
脂は、水を多少含有させることができ、非晶質シリカ微
粒子の分散を容易にすることができる為、特に好まし
い。
【0032】これらの高分子接着剤は、単独乃至複数を
併用してもよく、無機顔料に対し、2〜60重量%を添
加する。好ましくは、10〜50重量%を添加する。上
記の添加量の範囲以下では塗膜強度が弱くなり、多すぎ
るとインク吸収性、色彩性、色濃度が低下する。
【0033】本発明ではインク吸収層にカチオン性水溶
性樹脂を含有することも好ましい態様である。本発明で
使用されるカチオン性水溶性樹脂としては、二級アミ
ン、三級アミン、及び四級アンモニウム塩としてポリエ
チレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合
体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、ポリジ
メチルアミノエチルメタクリレート四級塩、ポリジアリ
ルジメチルアンモニウム塩、ジアリルアミンアクリルア
ミド共重合体塩、ポリスチレンの四級アンモニウム塩等
を例示できる。中でも色彩性、色濃度をより好ましい方
向に導くものとして、四級の環状アミンが挙げられる。
また、これらカチオン性樹脂の2種類以上を配合使用す
ることもなんら問題はないし、むしろそれぞれの特徴を
最大限に引出すために積極的に配合することもある。
【0034】これらカチオン性水溶性樹脂は、顔料イン
ク中の色材顔料が分散剤によって液媒体中に分散され、
その表面が負に帯電している為、分散色材顔料を捕捉す
る作用がある。そのためインク中の分散色材顔料は表面
近くに捕捉され、色再現範囲がより広くなるものと考え
られる。また、インク吸収層に用いられている他の素材
(無機顔料や接着剤)との間の屈折率の差が小さいほど
インク吸収層内での光の散乱が緩和されるため、より好
ましい組み合せが存在し、色彩性、色濃度を改良し、ひ
いては色再現範囲を広くするのに役立っているものと考
えられる。
【0035】本発明におけるインク吸収層を形成する塗
工液を塗布する方法は、Eバー塗布、カーテン塗布、ス
トラドホッパー塗布、エクストルージョン塗布、ロール
塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロッドバー塗布
等の各種塗布方法を採用することができる。
【0036】本発明において、インク吸収層の層構成
は、単層であっても積層構成であってもよい。積層構成
の場合、全層が同じ配合の層であってもよいし、他の成
分で構成される層との積層構成であってもよい。
【0037】本発明におけるインク吸収層の塗工量は、
固形分換算で単位平方メートル当たり0.5g以上が必
要であり、本発明のさらなる効果を認めるには、好まし
くは単位平方メートル当たり1.0g以上40g以下で
ある。
【0038】塗工後に乾燥する手段としては、一般の公
知の方法を用いることができ、限定されない。例えば、
熱源により発生した加熱空気を送風した加温器内に搬送
する方法、ヒーター等の熱源近傍を通過させる方法等で
ある。
【0039】更に、本発明に用いられる無機顔料と高分
子接着剤、好ましくはさらにカチオン性水溶性高分子を
含有するインク吸収層を形成する塗工液には、必要に応
じて、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング
剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調整剤、硬
膜剤等の公知の各種添加剤を添加することができる。
【0040】本発明でいう顔料インクとは色材として顔
料を用い、その分散剤及び浸透剤を含有し、その他に
水、高沸点有機溶剤などを含むものを言う。例えばWO
99/05230に開示されている顔料インクがあげら
れる。顔料インクには必要に応じ低沸点有機溶剤が用い
られても良い。顔料インクとは色材に顔料を使用してい
るインクのことで、どのような顔料でも良く、無機顔料
及び有機顔料のいずれでも使用することができ、特に制
限はない。例えば以下のようなものが挙げられる。
【0041】無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄
に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の
公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用
する事が出来る。また、有機顔料としては、アゾ染料
(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレー
トアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシ
アニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキ
ノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオ
インジコ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔
料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレー
ト、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔
料、アニリンブラック等を使用出来る。
【0042】特に黒インクとして使用されるカーボンブ
ラックとしては、例えば、三菱化学製のNo.2300,No.90
0,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA
100,NO.220QB等が、コロンビア社製のRaven5750,Rave
n5250,Raven3500,Raven1255,Raven700等が、キャボ
ット社製のRegal400R,Regal330R,Rega1660R,Mogul
L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch
900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Mon
arch 1400等が、テグッサ社製のColor Black FW1,Colo
r Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,C
olor Black FW200,Color Black S150,Color Black S1
60,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Print
ex V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black
5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用出来
る。
【0043】イエローインクに使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,C.I.Pigment Yell
ow 2,C.I.Pigment Yellow 3,C.I.Pigment Yellow 1
2,C.I.Pigment Yellow 13,C.I.Pigment Yellow 14C,
C.I.Pigment Yellow 16,C.I.Pigment Yellow 17,C.I.
Pigment Yellow 73,C.I.Pigment Yellow 74,C.I.Pigm
ent Yellow 75,C.I.Pigment Yellow 83,C.I.Pigment
Yellow 93,C.I.Pigment Yellow 95,C.I.Pigment Yell
ow 97,C.I.Pigment Yellow 98,C.I.Pigment Yellow 1
14,C.I.Pigment Yellow 128,C.I.Pigment Yellow 12
9,C.I.Pigment Yellow 151,C.I.Pigment Yellow 154
等が挙げられる。
【0044】また、マゼンタインクに使用される顔料と
しては、C.I.Pigment Red 5,C.I.Pigment Red 7,C.I.
Pigment Red 12,C.I.Pigment Red 48(Ca),C.I.Pigmen
t Red 48(Mn),C.I.Pigment Red 57(Ca),C.I.Pigment
Red 57:1,C.I.Pigment Red112,C.I.Pigment Red 12
2,C.I.Pigment Red 123,C.I.Pigment Red 168,C.I.P
igment Red 184,C.I.Pigment Red 202等が挙げられ
る。
【0045】そしてまた、シアンインクに使用される顔
料としては、C.I.Pigment Blue 1,C.I.Pigment Blue
2,C.I.Pigment Blue 3,C.I.Pigment Blue 15:3,C.I.
Pigment Blue 15:34,C.I.Pigment Blue 16,C.I.Pigme
nt Blue 22,C.I.Pigment Blue 60,C.I.Vat Blue 4,
C.I.Vat Blue 60等が挙げられる。
【0046】また上記の顔料を分散させるために、分散
剤を用いる。分散剤の例としては、スチレン−アクリル
酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アク
リル酸アルキルエステル共重合体、ポリアクリル酸ナト
リウム、スチレンアクリル酸共重合体−アンモニウム
塩、ヘキサメタりん酸ソーダなどの高分子分散剤または
界面活性剤等を挙げることが出来る。好ましくはスチレ
ン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂である。
【0047】浸透剤とは、インクの被記録媒体への浸透
性を制御する為に添加するもので、アニオン系界面活性
剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサ
ルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン界面活性
剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポ
リオキシエチレンアルキルアミドなど)、アセチレング
リコール化合物(オルフィンY,サーフィノール82.
104.440.465.485(いずれもAir produc
ts and Chemicals Inc.製))を用いることが出来る。
好ましくはアセチレングリコール系浸透剤である。
【0048】高沸点有機溶媒とは、インクの目詰まりを
防止するためとインクの浸透性補助の為に添加するもの
で、水混和性があって保水性があり、蒸気圧が低く(蒸
気圧0.01nmHg以下が好ましい)、沸点は120℃〜25
0℃のものが好ましく、粘度が2mPa・sから150mPa・
s、表面張力が0.01〜0.1N/m程度のものが好ま
しく用いられる。かかる例としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、1.2.6−
ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリ
コール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチ
ロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル等の多価アルコールのアル
キルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−
2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、トリエタノールアミン等が例である。
【0049】また必要に応じ用いられる低沸点有機溶剤
としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノ
ール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペン
タノール等が挙げられる。
【0050】その他に、顔料インクには樹脂エマルジョ
ン、糖類を加えることが出来る。樹脂エマルジョンとし
ては、例えば(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂、酢酸ビ
ニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル
系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹
脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル系樹脂、架橋スチレ
ン系樹脂、ベンゾグアナアミン系樹脂、フェノール系樹
脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂な
どがあげられ、これらの樹脂は親水性部分と疎水性部分
とを併せ持つ構造であることが望ましい。
【0051】糖としては単糖類、二糖類、オリゴ糖、多
糖類などが挙げられる。具体的な例としてはグルコー
ス、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノ
ース、ガラクトース、アルドン酸、グリシシール、ソル
ビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スク
ロース、トレハロース、マルトトリオース、多糖類に
は、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロース
などを挙げる事が出来る。上記の他にpH調整剤、防腐
剤、防カビ剤、酸化防止剤などを含むことが出来る。
【0052】本発明で使用する顔料インクの特徴は、色
材顔料、高沸点有機溶剤、分散剤、浸透剤及び水を少な
くとも含むものである。分散剤としては、スチレン−
(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂が好ましく、浸透剤とし
ては、アセチレングリコール化合物が好ましい。この特
徴のある顔料インクで本発明の被記録媒体に記録した
時、色再現範囲が特に向上する。その理由は定かではな
いが、分散剤としてスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶
性樹脂及び浸透剤としてアセチレングリコール化合物を
含む顔料インクと被記録媒体中の吸油量が150ml/
100g以上であり、平均粒子径が3.0μm以上15
μm以下の顔料との間に、分散剤や浸透剤の吸収挙動に
何らかの影響があり、色材顔料の浸透がコントロールさ
れているものと考えられる。
【0053】色再現範囲は、インクジェットカラープリ
ンタによって、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イ
エロー)、R(レッド、M+Y),G(グリーン、C+
Y),B(ブルー、C+M)の6色のべた印字を行い、
その色を色彩計(分光光度計)によって測定し、L**
*値を求める。このa*、b*値をx軸にa*値、y軸に
*値をとってプロットし、隣り合った各点を結ぶと六
角形の図形が得られる。これを色再現範囲(色域とか、
演色範囲とも表現される)という。これでは色再現範囲
が大きいか小さいかは図の上では分かるが数値で表わす
ことは出来ない。本発明では、簡易的に色再現範囲を表
わす数値として、Y,M,C,Bk(ブラック)の濃度
の和を用いることとした。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、勿
論これに限定されるものではない。
【0055】<インク吸収層塗工液A>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP78
A:吸油量245ml/100g、平均二次粒子径3.5μ
m:水沢化学社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)25部、カチオン性染料
定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)2
0部を混合し、インク吸収層塗工液Aとした。
【0056】<インク吸収層塗工液B>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ファインシールX
−60:吸油量240ml/100g、平均二次粒子径6.2
μm:トクヤマ社製)100部、シラノール変性ポリビ
ニルアルコール(R1130:クラレ社製)20部、カ
チオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友
化学社製)20部を混合し、インク吸収層塗工液Bとし
た。
【0057】<インク吸収層塗工液C>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP78
F:吸油量220ml/100g、平均二次粒子径12.0μ
m:水沢化学社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)15部、シラノール変性
ポリビニルアルコール(R1130:クラレ社製)15
部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン100
1:住友化学社製)20部を混合し、インク吸収層塗工
液Cとした。
【0058】<インク吸収層塗工液D>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP−5
0:吸油量170ml/100g、平均二次粒子径9.5μ
m:水沢化学社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)15部、シラノール変性
ポリビニルアルコール(R1130:クラレ社製)15
部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン100
1:住友化学社製)20部を混合し、インク吸収層塗工
液Dとした。
【0059】<インク吸収層塗工液E>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ファインシールX
−37:吸油量275ml/100g、平均二次粒子径2.7
μm:トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)25部、カチオン性染料
定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)2
0部を混合し、インク吸収層塗工液Eとした。
【0060】<インク吸収層塗工液F>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ニップシールVN
3:吸油量180〜200ml/100g、平均二次粒子径1
8.0μm:日本シリカ社製)100部、ポリビニルア
ルコール(PVA117:クラレ社製)25部、カチオ
ン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学
社製)20部を混合し、インク吸収層塗工液Fとした。
【0061】<インク吸収層塗工液G>インク吸収層の
塗被組成物は、非晶質シリカ微粒子(ミズカシルP83
2:吸油量145ml/100g、平均二次粒子径2.5μ
m:水沢化学社製)100部、ポリビニルアルコール
(PVA117:クラレ社製)25部、カチオン性染料
定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)2
0部を混合し、インク吸収層塗工液Gとした。
【0062】<インクジェット被記録媒体の作製>塗布
は、支持体としてコート原紙(坪量157g/m2、タ
ルク填料分6%、コブサイズ度9g/m2、酸性紙)
に、ワイヤーバーを用いて上記塗工液A〜Eを乾燥塗工
量10g/m2になるように塗布した。塗布後、90℃
中に10分間放置し乾燥して、表1に記載の実施例及び
比較例用のインクジェット被記録媒体を作製した。
【0063】<インクセット1>以下の顔料をそれぞれ
以下の液媒体に分散させて4色のインク組成物からなる
インクセットを得た。 [顔料] イエローインク:C.I.ピグメントイエロー128 3重量% マゼンタインク:C.I.ピグメントレッド122 3重量% シアンインク:C.I.ピグメントブルー15:3 2重量% ブラックインク:カーボンブラック 4.5重量% [液媒体] スチレン−メタクリル酸共重合体(分散剤) 1.5重量% グランドールPP-1000 (大日本インキ製、スチレンアクリルエマルジョン樹脂) 5重量% マルトース 1重量% グリセリン 10重量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量% アセチレングリコール化合物(サーフィノール465:浸透剤) 1.5重量% イオン交換水 残量 上記インクセット1の物性は、粘度:3.0〜3.8m
Pa・s,表面張力:30〜40N/m、pH:8.0
〜8.8であった。
【0064】<インクセット2>インクセット1におい
て、分散剤であるスチレン−メタクリル酸共重合体をポ
リアクリル酸ソーダに代える以外は同様にして、インク
セット2を得た。
【0065】<インクセット3>インクセット1におい
て、浸透剤(サーフィノール465)を除いた以外は同
様にして、インクセット3を得た。
【0066】これらをEM900C(セイコーエプソン製:イ
ンクジェットプリンター)カートリッジに詰め替えて、
表1に記載のようにインクを用いて出力し、評価してそ
の結果を表1に示した。
【0067】<インク吸収性評価>インク吸収性の評価
は、これらのインクセットを使い、シアンインク、マゼ
ンタインクで重色の矩形パターンを印字し、この印字パ
ターンと未印字部分の境界部分を下記の基準に従って、
目視にて評価した。 ◎:境界部分には滲みが全く認められない ○:境界部分には殆ど滲みが認められない △:境界部分には滲みが認められる ×:境界部分に顕著に滲みが認められる 良好なインク吸収性を示すのは、◎乃至○の評価であ
る。
【0068】<耐摩擦性評価>耐摩擦性の評価は、これ
らのインクセットの内ブラックインクを使い、ベタの矩
形パターンを印字し、爪及び指で擦ってインクの剥離を
評価した。 ○:問題なし △:実用限界 ×:不可
【0069】<色濃度の測定>同様に、イエロー,マゼ
ンタ,シアン,ブラックのべた印刷を行い、記録部分の
画像濃度をマクベス濃度計(Kollorgen Corpration
製、Mcbeth RD919)にて測定した。色濃度は高い程良
い。この4色の濃度の和を色再現範囲と表現する。この
場合の色再現範囲値としては、5.3以上であると好ま
しい範囲である。
【0070】
【表1】
【0071】表1より、吸油量が150m2/100g以
上、平均二次粒径が3.0μm以上で15μm以下の実
施例1、2、3、4は、比較例5、6、7に比べ、同じ
インク(インクセット1)で比較した場合、色再現範囲
が広いことがわかる。インクの高分子分散剤がポリアク
リル酸ソーダである実施例5、6、7、8はスチレン−
(メタ)アクリル酸系分散剤を使用している実施例1、
2、3、4に比べ耐摩擦性でやや低下したが実用限界で
あった。また、浸透剤を含まないインクセット3を使用
した比較例1、2、3、4は、実施例1、2、3、4に
比べ、同じ被記録媒体でも色再現範囲が狭く、耐摩擦性
については不可であった。また、吸油量が200ml/100
g以上の実施例1、2、3は吸油量が170ml/100gの実
施例4に比べ、色再現範囲で若干優位であった。同じこ
とは、実施例5、6、7と実施例8との間にも言える。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、吸
収性がよく、インク顔料定着性(耐摩擦性)に優れ、色
再現範囲の広いインクジェット被記録媒体が供給出来
る。特にスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂分散
剤及びアセチレングリコール化合物浸透剤を含有する顔
料インクを使用する場合の被記録媒体として有用なイン
クジェット被記録媒体が供給出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鹿嶋 卓 東京都千代田区丸の内3−4−2 三菱製 紙株式会社内 (72)発明者 大西 弘幸 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 杉山 淳 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 柴谷 正也 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2H086 BA15 BA33 BA34 BA45 BA47 BA53 BA55 BA59

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも色材顔料、高沸点有機溶剤、
    分散剤、浸透剤及び水を含んでなる顔料インクの液滴を
    表面に吐出し記録を行う顔料インク用インクジェット被
    記録媒体において、支持体上に無機顔料及び高分子接着
    剤を含むインク吸収層を設けてなり、該無機顔料のJI
    S K5101に規定される吸油量が150ml/10
    0g以上であり、平均二次粒子径が3.0μm以上15
    μm以下であることを特徴とする顔料インク用インクジ
    ェット被記録媒体。
  2. 【請求項2】 該インク吸収層に更にカチオン性水溶性
    樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料イ
    ンク用インクジェット被記録媒体。
  3. 【請求項3】 該顔料インクの分散剤がスチレン−(メ
    タ)アクリル酸系水溶性樹脂であり、かつ浸透剤がアセ
    チレングリコール化合物であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の顔料インク用インクジェット被記録媒
    体。
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