JP2001328058A - ワイヤソーおよびこれを用いた切断方法 - Google Patents

ワイヤソーおよびこれを用いた切断方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】均一な厚さを有するシリコンウェーハを製造で
きるワイヤソーおよびこれを用いた切断方法を提供す
る。 【解決手段】被切断物7とこの被切断物7を挟んで配置
された一対の多溝ローラ3d、3dとの間に、各々進退
自在に設けられ、被切断物7に当接するワイヤ列4を適
宜押圧して、このワイヤ列4のたるみを調整するたわみ
調整手段8、8を有し、このたわみ調整手段8,8を進
退させることにより、切断工程の開始時にはたわみ調整
手段8,8でワイヤ列4をたわませ、切断工程の後期に
はたわみ調整手段8、8でワイヤ列4を押圧し続け、ワ
イヤ列4のたわみを維持したままの状態で切断が行える
ワイヤソー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤソーに係わ
り、特に被切断物を均一な厚さに切断可能なワイヤソー
に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコンウェーハは、多結晶シリコンか
ら例えばチョクラルスキー法により単結晶のインゴット
を作り、ワイヤソーで所定の厚さに切断されて製造され
る。
【0003】図6に示すように、被切断物であるシリコ
ンインゴットの切断に用いられる従来のワイヤソー41
は、1本のワイヤ42を3個の多溝ローラ43、43
r、43rに巻き付けて、ワイヤ列44を構成し、ワイ
ヤ列44を往復運動させる。そこへ、スラリー(SiC
砥粒を分散させた加工液)を流しながら、シリコンイン
ゴット45をワイヤ列44に押し付けて研磨切断するも
のである。
【0004】ワイヤソー41は、シリコンインゴット4
5がワイヤ列44に押付けられてから、ワイヤ42がた
わみはじめ、ワイヤ42の強度(反力)とワイヤたわみ
のバランスが保たれると一定状態になる。
【0005】しかし、ワイヤソー41は、切断工程の開
始直後(初期)において、ワイヤ42のたわみがある程
度大きくなるまでは、ワイヤ42の反力が小さいことか
ら、シリコンインゴット45の送り量よりもワイヤ42
の切込み量は少なく(シリコンインゴット45の送りが
ワイヤ42のたわみに変わるため)、シリコンインゴッ
ト45に対してワイヤ42が通過する時間が長くなり、
その分シリコンインゴット45が多く除去される。この
現象は、被切断物が円柱形状のシリコンインゴット45
などにおいて極端に現れる。
【0006】さらに、図7に示すように、シリコンイン
ゴット45のように円柱形状の場合は、切断終了部位で
切断長さlが短くなるため、シリコンインゴット45
への切込みが速くなり、除去される量が少なくなる。
【0007】図8に示すように、結果として切断された
シリコンウェーハ46は、切断はじめの部位46sでは
厚さが薄く、終了部位46eでは厚くなる傾向となり、
シリコンウェーハ46の厚さが部位によって異なり、厚
さのバラツキが大きくなり、均一な厚さ(平行度)のシ
リコンウェーハが得られなかった。
【0008】ワイヤのたわみを制御するワイヤソーとし
て、特開平4−122566号公報のワイヤソーがある
が、この開示のワイヤソーは、大きな被切断物を切断す
るために一対のたわみローラ間に大きな間隔を設ける必
要があり、この間隔間にワイヤを支持する非駆動補助案
内ローラを設け、非駆動補助案内ローラがワイヤに付加
的なたわみを与え、大きな被切断物から小さな被切断物
まで切断を可能にしたワイヤソーである。
【0009】このワイヤソーは、非駆動補助案内ローラ
を切断工程の進行に沿って切断方向に移動させるもので
なく、シリコンウェーハの加工はじめ部位の厚さと終了
部位との厚さを等しく切断し均一なシリコンウェーハを
得るワイヤソーではない。
【0010】このため、加工はじめの部位と終了部位と
で、厚さに差異がなく、均一な厚さを有するシリコンウ
ェーハを製造できるワイヤソーおよびこれを用いた切断
方法が要望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した事情
を考慮してなされたもので、加工はじめの部位と終了部
位とで、厚さに差異がなく、均一な厚さを有するシリコ
ンウェーハを製造できるワイヤソーおよびこれを用いた
切断方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、回転自在に設けられ
た複数個の多溝ローラと、これらの多溝ローラ間に張設
されたワイヤ列と、このワイヤ列に被切断物を押圧し切
断するワイヤソーにおいて、被切断物とこの被切断物を
挟んで配置された一対の多溝ローラとの間に、各々進退
自在に設けられ、被切断物に当接するワイヤ列を適宜押
圧して、このワイヤ列のたるみを調整するたわみ調整手
段を有し、このたわみ調整手段を進退させることによ
り、切断工程の開始時にはたわみ調整手段でワイヤ列を
たわませ、切断工程の後期にはたわみ調整手段でワイヤ
列を押圧し続けて、ワイヤ列のたわみを維持したままの
状態で切断が行えることを特徴とするワイヤソーである
ことを要旨としている。
【0013】本願請求項2の発明では、上記たわみ調整
手段はローラであることを特徴とする請求項1に記載の
ワイヤソーであることを要旨としている。
【0014】本願請求項3の発明は、ワイヤ列に被切断
物を押圧し、ワイヤ列を線方向に送りながらワイヤ列と
被切断物間にスラリを供給して、被切断物を切断するす
るワイヤソー切断方法において、切断工程の開始時ワイ
ヤ列をたわませた後切断を開始し、切断工程の後期には
ワイヤ列のたわみを維持したままの状態で切断を行うこ
とを特徴とするワイヤソー切断方法であることを要旨と
している。
【0015】本願請求項4の発明では、上記たわみはロ
ーラにより行うことを特徴とする請求項3に記載のワイ
ヤソー切断方法であることを要旨としている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるワイヤソー
の実施の形態について添付図面に基づき説明する。
【0017】図1に示すように、本発明に係わるワイヤ
ソー1は、1本のワイヤ2を巻き付ける3個の多溝ロー
ラ3、3d、3dを有し、各多溝ローラ3、3d、3d
間に、例えば200μmの直径を有するワイヤ2を巻き
付けワイヤ列4を構成し、このワイヤ列4のワイヤ2を
ワイヤ駆動モータ3aにより駆動されるドライブ側多溝
ローラ3の駆動により往復運動させるようになってい
る。
【0018】また、ワイヤ列4に対向する上方には、送
りモータ5aを有し被切断物を送るフィードユニット5
が設けられており、このフィードユニット5のカーボン
ベース6に接着された被切断物、例えばシリコンインゴ
ット7を、ワイヤ列4に押し付けて研磨切断するように
なっている。
【0019】さらに、フィードユニット5と2個の多溝
ローラ3d、3d間の各々には、たわみ調整手段、例え
ばたわみ調整ローラユニット8が設けられている。
【0020】図2に示すように、このたわみ調整ローラ
ユニット8は、ケーシング8aと、このケーシング8a
にそれぞれ収納されたたわみ調整ローラ8bと、油圧シ
リンダ8cとを有している。
【0021】たわみ調整ローラ8bは油圧シリンダ8c
に取付けられ上下に進退可能になっており、適宜ワイヤ
列4に当接できるようになっている。従って、たわみ調
整ローラ8bを油圧シリンダ8cによって上下に進退さ
せることにより、ワイヤ列4との当接強度を調整し、ワ
イヤ列4のたわみを調整できるようになっている。
【0022】ワイヤ列4の上方にはインゴット7の切断
時にスラリ9をワイヤ列4に供給しスラリポンプ10a
を有するスラリ供給装置10が設けられている。
【0023】さらに、ワイヤソー1には、コンピュータ
11が設けられており、このコンピュータ11は記憶装
置に記憶されたプログラムに従って、ワイヤ駆動モータ
3a、送りモータ5a、油圧シリンダ8c、スラリポン
プ10aを制御し、一連の切断工程を自動的に行うよう
になっている。
【0024】次に、本発明に係わるワイヤソーを用いた
シリコンインゴットの切断方法について説明する。
【0025】最初に、図1に示すように、シリコンイン
ゴット7をカーボンベース6に接着する。次に、コンピ
ュータ11により油圧シリンダ8cを作動させ、図3に
示すように、たわみ調整ローラ8bを降下させて、調整
ローラ8bでワイヤ列4を押圧し、ワイヤ列4を所定量
だけたわませる。
【0026】さらに、コンピュータ11により、ワイヤ
駆動モータ3aを回転させてワイヤ列4を高速で動か
し、スラリポンプ10aを作動させてスラリ9をワイヤ
列4に供給し、送りモータ5aを回転させてシリコンイ
ンゴット7をたわみ調整ローラ8bによりたわんだワイ
ヤ列4に接近させる。次に油圧シリンダ8cを再び作動
させ、たわみ調整ローラ8bを上昇させて、ワイヤ列4
を押圧から開放して、このワイヤ列4をシリコンインゴ
ット7の先端に接触させ、切断を開始し、切断を継続す
る。
【0027】この切断工程の初期(開始直後)におい
て、ワイヤ列4がすでにたわみ調整ローラ8bによりた
わまされているので、切断の中間工程におけるシリコン
インゴット7の中央部位近傍7cの切断と同じワイヤ列
4のたわみ状態で、切断開始直後から安定した切断がで
きる。
【0028】切断工程の後期において、図4に示すよう
に、シリコンインゴット7の切断長さlが短くなり、ワ
イヤ列4のワイヤたわみが急激に小さくなるため、再び
たわみ調整ローラ8bを降下させて、調整ローラ8bで
ワイヤ列4を押圧し、ワイヤ列4を所定量だけたわま
せ、ワイヤ列4のたわみ量が急激に小さくならないよう
に調整ローラ8bでワイヤ列4を押圧しながら切断を継
続する。
【0029】この切断工程の後期においても、ワイヤ列
4がたわみ調整ローラ8bによりたわまされているの
で、切断の中間工程におけるシリコンウェーハ7Wの中
央部位近傍7cの切断と同じワイヤ列4のたわみ状態
で、切断工程の後期も安定した切断ができる。
【0030】従って、ワイヤソー1によって切断された
シリコンウェーハ7Wは、図5に示すように、切断工程
の初期切断部位7sおよび後期切断部位7eも、中期切
断(中央)部位近傍7cと同一の厚さになり、均一な厚
さ(平行度)のシリコンウェーハ7Wが得られる。
【0031】なお、切断工程終了後、ワイヤ列4を切断
されたシリコンウェーハ7W間から抜取るが、シリコン
ウェーハ7W間に付着したスラリにより、ワイヤ列4が
抜き難い場合には、油圧シリンダ8cを作動させ、たわ
み調整ローラ8bを降下させて、ワイヤ列4を押えなが
らシリコンウェーハ7Wを引抜けば、ワイヤ列4のワイ
ヤ2が多溝ローラ3d、3dに食込んで多溝ローラ3
d、3dを傷つけることを防止できるばかりでなく、ワ
イヤ2が伸ばされるのを防止することができる。
【0032】
【発明の効果】本発明に係わるワイヤソーおよびこれを
用いた切断方法によれば、均一な厚さを有するシリコン
ウェーハを製造できるワイヤソーおよびこれを用いた切
断方法を提供することができる。
【0033】すなわち、ワイヤソーは切断物とこの被切
断物を挟んで配置された一対の多溝ローラとの間に、各
々進退自在に設けられ、被切断物に当接するワイヤ列を
適宜押圧して、このワイヤ列のたるみを調整するたわみ
調整手段を有し、このたわみ調整手段を進退させること
により、切断工程の開始時にはたわみ調整手段でワイヤ
列をたわませ、切断工程の後期にはたわみ調整手段でワ
イヤ列を押圧し続け、ワイヤ列のたわみを維持したまま
の状態で切断が行えるので、切断工程の初期切断部位お
よび後期切断部位も、中期切断部位近傍と同一の厚さに
なり、均一な厚さ(平行度)のシリコンウェーハが得ら
れる。
【0034】また、上記たわみ調整手段はローラである
ので、ワイヤ列のたわみの調整を容易にできると共に、
たわみ調整手段によりワイヤを破損させることがない。
【0035】また、ワイヤソー切断方法は、切断工程の
開始時にワイヤ列をたわませた後切断を開始し、切断工
程の後期にはワイヤ列のたわみを維持したままの状態で
切断を行うので、切断工程の初期切断部位および後期切
断部位も、中期切断部位近傍と同一の厚さになり、均一
な厚さのシリコンウェーハが得られる。
【0036】また、上記たわみはローラにより行うの
で、ワイヤ列のたわみの調整を容易に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるワイヤソーの概略図。
【図2】本発明に係わるワイヤソーに用いられるたわみ
調整ローラユニットの説明図。
【図3】本発明のワイヤソー切断方法の切断工程を示す
説明図。
【図4】本発明のワイヤソー切断方法の切断工程を示す
説明図。
【図5】本発明のワイヤソー切断方法により切断された
シリコンウェーハの断面図。
【図6】従来のワイヤソーの概略図。
【図7】従来のワイヤソー切断方法の切断工程を示す説
明図。
【図8】従来のワイヤソー切断方法により切断されたシ
リコンウェーハの断面図。
【符号の説明】
1 ワイヤソー 2 ワイヤ 3 多溝ローラ 3d 多溝ローラ 4 ワイヤ列 5a 送りモータ 5 フィードユニット 6 カーボンベース 7 シリコンインゴット 8 たわみ調整ローラユニット 8a ケーシング 8b たわみ調整ローラ 8c 油圧シリンダ 9 スラリ 10 スラリ供給装置 10a スラリポンプ 11 コンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C058 AA05 AA09 AA12 AA14 AA18 BA02 BA07 BB03 CA01 CB01 DA03 3C069 AA01 BA06 BB03 BC02 CA04 DA06 EA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在に設けられた複数個の多溝ロー
    ラと、これらの多溝ローラ間に張設されたワイヤ列と、
    このワイヤ列に被切断物を押圧し切断するワイヤソーに
    おいて、被切断物とこの被切断物を挟んで配置された一
    対の多溝ローラとの間に、各々進退自在に設けられ、被
    切断物に当接するワイヤ列を適宜押圧して、このワイヤ
    列のたるみを調整するたわみ調整手段を有し、このたわ
    み調整手段を進退させることにより、切断工程の開始時
    にはたわみ調整手段でワイヤ列をたわませ、切断工程の
    後期にはたわみ調整手段でワイヤ列を押圧し続けて、ワ
    イヤ列のたわみを維持したままの状態で切断が行えるこ
    とを特徴とするワイヤソー。
  2. 【請求項2】 上記たわみ調整手段はローラであること
    を特徴とする請求項1に記載のワイヤソー。
  3. 【請求項3】 ワイヤ列に被切断物を押圧し、ワイヤ列
    を線方向に送りながらワイヤ列と被切断物間にスラリを
    供給して、被切断物を切断するするワイヤソー切断方法
    において、切断工程の開始時ワイヤ列をたわませた後切
    断を開始し、切断工程の後期にはワイヤ列のたわみを維
    持したままの状態で切断を行うことを特徴とするワイヤ
    ソー切断方法。
  4. 【請求項4】 上記たわみはローラにより行うことを特
    徴とする請求項3に記載のワイヤソー切断方法。
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