JP2001322951A - アルケン類の製造方法 - Google Patents
アルケン類の製造方法Info
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Abstract
する。 【解決手段】 カルボニル基の両α位炭素原子が、橋頭
炭素原子又は水素原子と結合していない炭素原子である
ケトン化合物と、アルキル基が1級アルキル基であり、
かつハロゲン原子が塩素原子又は臭素原子であるアルキ
ルグリニヤール試薬とを反応させ、次いで反応生成物に
脱離剤を反応させる。
Description
ルケン類を製造する方法に関するものである。本発明に
より得られるアルケン類は、カルボン酸と反応させるこ
とにより、カルボン酸の第3級アルコールエステルに誘
導することができる。
製造する方法はいくつか知られている。Journal
of Organic Chemistry.Vo
l.40,929頁(1982年)には、ケトン化合物
とウィティッヒ試薬とを反応させる方法、及びケトン化
合物とメチルリチウムを−78℃で反応させ、次いで同
温度で塩化チオニルを反応させる方法が記載されてい
る。Syn.Let.987頁(1996年)には、ジ
メチルスルホキシドとオキザリルクロリドから−60℃
でスワン酸化試薬を調製し、これをケトン化合物と反応
させたのち、塩化チオニルを反応させる方法が記載され
ている。Synthesis 887頁(1990年)
には、ケトン化合物のカルボニル基をスピロエポキシド
化し、これにリチウムアルキル銅試薬を反応させたの
ち、塩化チオニルを反応させる方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも高価な試薬を
必要としたり、−60℃や−78℃という低温で反応を
行うので、工業的に実施することは困難である。
ケン類を製造する有力な方法の一つと考えられるのは、
グリニヤール試薬を用いる方法である。すなわちケトン
化合物にアルキルグリニヤール試薬を反応させて3級ア
ルコールのマグネシウム塩を生成させ、これに脱離剤、
例えば塩化チオニルを反応させてスルホニル化物を生成
させ、このスルホニル化物から二酸化イオウ及びハロゲ
ン化水素を脱離させることによりアルケン類を製造する
ことができる。しかし報文によれば、この方法はアルケ
ン類の収率が著るしく低い。例えばJournal o
f Organic Chemistry.Vol.5
4,1375頁(1989年)には、2−アダマンタノ
ンにヨウ化メチルマグネシウムを反応させ、次いで塩化
チオニルを反応させた例が記載されているが、目的とす
る2−メチレンアダマンタンの収率は10%にすぎず、
2−ヒドロキシアダマンタンが86%得られている。従
って本発明はグリニヤール試薬を用いてケトン化合物か
らアルケン類を収率よく製造する方法を提供しようとす
るものである。
ニル基の両α位炭素原子が、橋頭炭素原子及び水素原子
と結合していない炭素原子より成る群から選ばれたもの
であるケトン化合物と、式(1)で表されるグリニヤー
ル試薬とを反応させ、次いで反応生成物に脱離剤を反応
させることにより、アルケン類を製造することができ
る。
塩素及び臭素より成る群から選ばれたハロゲン原子を表
す)
おいて、炭素−炭素二重結合を構成する一方の炭素は原
料のケトン化合物のカルボニル基の炭素に由来し、他方
の炭素はグリニヤール試薬のアルキル基の炭素に由来す
る。すなわち本発明では、全体としてみればケトン化合
物のカルボニル基とグリニヤール試薬のアルキル基との
間で炭素−炭素二重結合が形成される。原料のケトン化
合物としては、カルボニル基の両α位炭素原子が、橋頭
炭素原子であるか又は水素原子が結合していない炭素原
子であるものを用いる。そのいくつかを例示すると、2
−アダマンタノン、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−
7−オン、2,2,6,6−テトラメチルシクロヘキサ
ノン、ベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラメチル
ペンタン−3−オン、2,2,5,5−テトラメチルシ
クロペンタノンなどが挙げられる。これらのうち2−ア
ダマンタノンから誘導されるアルケンと(メタ)アクリ
ル酸との反応生成物である(メタ)アクリレートは、フ
ォトレジストの原料として重要である。
原子に塩素原子又は臭素原子と1級アルキル基、すなわ
ちアルキル基の1位の炭素原子に2個の水素原子を有す
るアルキル基とが結合しているものを用いる。マグネシ
ウム原子にヨウ素原子が結合しているグリニヤール試薬
に比して、塩素原子又は臭素原子が結合しているグリニ
ヤール試薬は、高い収率で目的とするアルケン類を与え
る。マグネシウム原子に結合するアルキル基としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基などの低級アルキル基が好ましい。なかで
も好ましいのはメチル基であり、マグネシウム原子にメ
チル基が結合したグリニヤール試薬と脂環式ケトンから
誘導されるエキソメチレン化合物は、医薬、農薬その他
の精密化学品の原料として有用である。グリニヤール試
薬は予じめ調製した純品を用いる代りに、アルキルハラ
イドと金属マグネシウムとからその場で調製して用いる
こともできる。
ール試薬との反応によって生成したアルコキシマグネシ
ウムハライドの酸素−マグネシウム結合を切断してアル
コキシ基と結合し、次いでアルキル基の2位の炭素原子
に結合している水素原子と共に脱離し得る化合物であれ
ば任意のものを用いることができる。通常は塩化チオニ
ル、臭化チオニル、塩化スルフリル、臭化スルフリル、
塩化ホスホリル、臭化ホスホリルなどが用いられる。反
応性及び経済性の観点から、塩化チオニル又は塩化ホス
ホリルを用いるのが好ましい。脱離剤は原料のケトン化
合物と等モルないし若干少なく用いるのが好ましい。脱
離剤の使用量が多すぎるとアルケン類の収率が低下する
傾向がある。
は、常法に従って、含水量が十分に制御された非プロト
ン性溶媒中で行うのが好ましい。溶媒としてはジエチル
エーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなど
の脂肪族エーテル類、1,4−ジオキサン、テトラヒド
ロフランなどの脂環式エーテル類、ジフェニルエーテル
などの芳香族エーテル類などを用いるのが好ましい。こ
れらのエーテル類は脱離剤と反応を起さないので、グリ
ニヤール反応に引続いて、同一溶媒中で脱離剤との反応
を行わせることができる。
媒中にケトン化合物を溶解させた溶液に、不活性ガス雰
囲気下でグリニヤール試薬を添加すればよい。溶液中の
ケトン化合物の濃度は通常0.01〜80重量%、好ま
しくは0.1〜50重量%である。反応温度は通常−6
0〜150℃、好ましくは−20〜100℃であり、反
応時間は通常0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時
間である。また、脱離反応は上記で得られた反応生成液
に、引続き脱離剤を添加して、0.1〜50時間、好ま
しくは0.2〜30時間程度反応させればよい。反応温
度は通常−60〜150℃、好ましくは−20〜100
℃である。なお、脱離反応を塩基性物質の存在下に行う
と、目的とするアルケン類の収率が向上する傾向があ
る。塩基性物質としてはトリエチルアミン、ピリジン、
トリオクチルアミンなどのアミン類や炭酸ナトリウム、
炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などを用いれば
よい。
化アンモニウム水溶液などを加えて反応を停止させ、有
機溶媒で抽出し、抽出液から溶媒を除去して目的とする
アルケン類を取得することができる。取得したアルケン
類は所望により更に精製してそれぞれの用途に供する。
例えば本発明方法により2−アダマンタノンとメチルグ
リニヤール試薬とから得られた2−メチレンアダマンタ
ンを、(メタ)アクリル酸と反応させて(メタ)アクリ
レートとしてフォトレジストの製造に用いる場合には、
2−メチレンアダマンタンを蒸留、再結晶やイオン交換
樹脂処理などにより精製して、金属イオンをできるだけ
除去しておくのが好ましい。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 十分に乾燥し、内部を乾燥窒素で置換した反応器に、乾
燥したテトラヒドロフラン4mLを入れ、これに2−ア
ダマンタノン250mg(1.66mmol)を加えて
溶解させた。反応器を水浴上で冷却しながら、撹拌下に
濃度0.95Mの臭化メチルマグネシウムのテトラヒド
ロフラン溶液2.1mL(2.00mmol)を滴下
し、引続いて室温で1時間撹拌した。次いで反応器を−
25℃に冷却し、塩化チオニル239.9mg(2.0
2mmol)を滴下した。反応器を室温に戻し、引続い
て更に4時間撹拌したのち、飽和塩化アンモニウム水溶
液を加えて反応を停止させた。反応生成液をジエチルエ
ーテルで抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥
したのち、ガスクロマトグラフィーで分析した。その結
果、2−メチレンアダマンタンの収量は0.93mmo
lで、2−アダマンタノン基準の収率は56%であっ
た。
(2.52mmol)、臭化メチルマグネシウムを2.
77mmol用いた以外は、実施例1と全く同様にして
グリニヤール反応を行った。次いで反応器を氷冷温と
し、これに塩化チオニル294.6mg(2.48mm
ol)を滴下したのち、反応器を室温に戻して更に7時
間撹拌した。以後は実施例1と全く同様にして2−メチ
レンアダマンタンを取得した。2−メチレンアダマンタ
ンの収量は1.98mmolで、2−アダマンタノン基
準の収率は79%であった。
(2.02mmol)用いた以外は、実施例1と全く同
様にしてグリニヤール反応を行った。次いで反応器に塩
化チオニル238mg(2.00mmol)を滴下し、
引続いて室温で6.5時間撹拌を続けた。以後は実施例
1と全く同様にして2−メチレンアダマンタンを取得し
た。2−メチレンアダマンタンの収量は1.52mmo
lで、2−アダマンタノン基準の収率は75%であっ
た。
(2.02mmol)用いた以外は、実施例1と全く同
様にしてグリニヤール反応を行った。次いで反応器に炭
酸リチウム449mg(6.08mmol)を添加した
のち、塩化チオニル267.7mg(2.25mmo
l)を滴下し、更に還流下で3時間反応させた。以後は
実施例1と全く同様にして2−メチレンアダマンタンを
取得した。2−メチレンアダマンタンの収量は1.59
mmolで、2−アダマンタノン基準の収率は79%で
あった。
Claims (6)
- 【請求項1】 カルボニル基の両α位炭素原子が、橋頭
炭素原子及び水素原子と結合していない炭素原子より成
る群から選ばれたものであるケトン化合物と、式(1)
で表されるグリニヤール試薬とを反応させ、次いで反応
生成物に脱離剤を反応させることを特徴とするアルケン
類の製造方法。 【化1】RMgX ・・・(1) (式中、Rは1級アルキル基を表し、Xは塩素及び臭素
より成る群から選ばれたハロゲン原子を表す) - 【請求項2】 グリニヤール試薬のハロゲン原子が臭素
であることを特徴とする請求項1記載のアルケン類の製
造方法。 - 【請求項3】 グリニヤール試薬のハロゲン原子が塩素
であることを特徴とする請求項1記載のアルケン類の製
造方法。 - 【請求項4】 グリニヤール試薬のアルキル基がメチル
基であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
に記載のアルケン類の製造方法。 - 【請求項5】 塩基性化合物の存在下に、ケトン化合物
とグリニヤール試薬との反応生成物に脱離剤を反応させ
ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
のアルケン類の製造方法。 - 【請求項6】 脱離剤が塩化チオニル、塩化ホスホリル
及び塩化スルフリルより成る群から選ばれたものである
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
アルケン類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000141086A JP2001322951A (ja) | 2000-05-15 | 2000-05-15 | アルケン類の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP (1) | JP2001322951A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005528450A (ja) * | 2002-06-04 | 2005-09-22 | デーエスエム イーピー アセッツ べー.フェー. | ビニル芳香族化合物を調製するプロセス |
-
2000
- 2000-05-15 JP JP2000141086A patent/JP2001322951A/ja active Pending
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JP2005528450A (ja) * | 2002-06-04 | 2005-09-22 | デーエスエム イーピー アセッツ べー.フェー. | ビニル芳香族化合物を調製するプロセス |
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