JP2001321674A - エステル化反応又はエステル交換反応用触媒及びエステルの製法 - Google Patents

エステル化反応又はエステル交換反応用触媒及びエステルの製法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 反応性が著しく速く、反応の進行に従って
触媒が不活性化することを最小限に抑え、かつ反応が一
次反応で進むために酸価がゼロの最終生成物であるエス
テルを得ることが可能になる、エステル化反応及びエス
テル交換反用の触媒を提供する。 【解決手段】 アルコキシチタン、水溶性ポリオール
及び水の混合物又は該混合物の反応生成物から成るゲル
状物であるエステル化反応又はエステル交換反応用触媒
である。さらに上記触媒を用いて、2価の酸に1価のア
ルコール及び2価のポリオールを同時又はそれぞれ単独
に添加して反応させる第1工程、第1工程で生成した生
成物から前記酸と前記アルコールの反応物を分離してポ
リエステルを得る第2工程、第2工程で分離した反応物
を前記第1工程へ再循環させる第3工程からなるエステ
ルの製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エステル化反応
及びエステル交換反応に用いられる触媒並びにこの触媒
を用いたエステルの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エステル化反応及びエステル交換
反応には硫酸等の酸触媒やテトラブトキシチタン等のア
ルコキシチタンなどが用いられてきた。しかし酸触媒は
最終生成物の酸価を下げることが困難であり、またアル
コキシチタン類は反応が遅いという不満足な点を有して
いた。そのため反応性を上げ、触媒残渣の除去を容易に
するために、このアルコキシチタン触媒を更に改良し
て、アルコキシチタンと低分子ポリオールを反応させた
ポリオールポリチタネート(特許第1795216号)
やアルコキシチタンと水を反応させたポリチタン酸(特
許第1885399号)が提案されている。
【0003】アルコキシチタン類を水溶性の多官能のポ
リオールと反応させるとポリオールポリチタネートを生
成し、また水と反応させるとポリチタン酸を生成する。
これらのポリオールポリチタネートやポリチタン酸を触
媒として用いる場合には、これらのポリチタネート/ポ
リチタン酸をアルコール及びは水と反応させて、その表
面に−OH基を生じさせ、これらを活性化する。しか
し、このように活性化しても、反応が進行するにつれ表
面の−OH基が消費され、活性点が消滅して、触媒が不
活性化するという欠点があった。
【0004】一方、ポリ塩化ビニルの可塑剤としてジオ
クチルフタレートが使われて来てその性能は最高のもの
であるが、屋外使用の用途ではその蒸気圧に対応して揮
散してしまうという欠点を有している。そのため揮散し
ない可塑剤として、2価の酸、2価のポリオール及び1
価のアルコールから生成させたポリエステルや複合エス
テルは優れた性能を示し、その可塑化性能は可塑剤の粘
度に対応して同等の可塑性を示すものとして期待されて
いる。
【0005】しかし、従来の触媒を用いてこのようなエ
ステルを製造しようとすると、アルコールが少ないと酸
価が下がらず、エステル化を早くして、低酸価にするた
めにアルコールを多く使うと重合度が上がらない。重合
度を上げてポリエステルを作るために計算量に近い量で
反応を行うために酸価が下がらず、低電気伝導度が要求
される電用品向けでも規格が一桁高く低酸価のポリエス
テルが求められている。一方重合度の低い特定の分子量
を持つ複合エステルではnの数が増えるにつれて級数的
にその数が減少する分子量分布を持ち、分子量の低い分
子の量が多くその結果ジオールを構成成分としないジエ
ステルが多い混合物として製造されるのでそれとの分離
が容易ではない。分離時の熱履歴によりリサイクルに使
用したい成分の酸価が上がるという欠点を改良すること
が極めて困難であった。そのため、上記のようなポリ塩
化ビニルの可塑剤としてのポリエステルや複合エステル
がなかなか実際の生産工程で生産されず、多量の可塑剤
がポリ塩化ビニルから揮散し続けるという環境上の問題
が未解決のまま放置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明におい
ては、エステル化反応及びエステル交換反応において用
いられる上記のような従来のアルコキシチタンに基づく
触媒の欠点を改良して、反応性が著しく速く、反応の進
行に従って触媒が不活性化することを最小限に抑え、か
つ反応が一次反応で進むために酸価がゼロの最終生成物
であるエステルを得ることが可能になる、エステル化反
応及びエステル交換反用の触媒を提供することを目的と
する。酸価を単に下げる目的ではアルコールを過剰に使
用すればよいが、生成物の末端にOH基が残り、従来の
酸、塩基触媒ではできたアルコール基がそのまま残る。
末端OH基が多量に残ったエステル類は先に述べた電気
用途には使用できなくなる。このようにして脱水エステ
ル化反応に優れた触媒活性を有する触媒を目的にして
も、従来持っているエステル交換反応にあたって、その
特有の活性が無くなれば、従来の酸型の触媒と同様であ
るが、エステル化後エステル交換反応を行っても触媒効
果の特徴を失わない触媒であることが望まれる。
【0007】このような目的に対応する触媒は、エステ
ル化反応と同時にエステル交換反応を行って製造する反
応プロセスに使用することができ、従って低酸価かつ低
OH価の生成物をもたらすことができる。更に、このよ
うな触媒を完成させれば、従来の触媒に比べて速く且つ
最終生成物の酸価を低く抑えることができるようなエス
テル化反応及びエステル交換反応を実現することが可能
になり、更にポリ塩化ビニルの可塑剤としての複合エス
テルの製造を可能とし、多量の可塑剤がポリ塩化ビニル
から揮散することを防止して環境上の問題を最小化し、
さらにこのような可塑剤が提供されればポリ塩化ビニル
自体のリサイクルも可能にすることができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の課題は、
アルコキシチタン、水溶性ポリオール及び水の混合物又
は該混合物の反応生成物から成るゲル状物であって、前
記チタン1モルに対する前記水溶性ポリオール及び水の
モル数がそれぞれ5〜20モル及び4〜40モルである
エステル化反応又はエステル交換反応用触媒である。こ
のアルコキシチタンはテトラブトキシチタン、テトライ
ソプロピルオキシチタン又はテトラオクチルオキシチタ
ンであってもよく、またこの水溶性ポリオールはエチレ
ングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコー
ル又はグリセリンであってもよい。本発明の第2の主題
は、この触媒のエステル化反応又はエステル交換反応に
おける使用である。
【0009】本発明の第3の主題は、2価の酸に1価の
アルコール及び2価のポリオールを同時又はそれぞれ単
独に添加して反応させる第1工程、第1工程で生成した
生成物から前記酸と前記アルコールの反応物を分離して
エステルを得る第2工程、第2工程で分離した反応物を
前記第1工程へ再循環させる第3工程からなるエステル
の製法であって、前記第1工程において上記触媒を前記
酸1モルに対して0.01〜10ミリモル、好ましくは
0.05〜5ミリモル、より好ましくは0.1〜5ミリ
モル用いるエステルの製法である。また本発明の第4の
主題は、2価の酸及び1価のアルコールから予め生成さ
せておいたエステル、又は2価の酸、1価のアルコール
及び2価のポリオールから予め生成させておいたエステ
ルを用いて2価のポリオールを反応させる第1工程、第
1工程で生成した生成物から未反応の前記エステルを分
離して、それ以外のエステルを得る第2工程、第2工程
で分離した未反応エステルを前記第1工程へ再循環させ
る第3工程からなるエステルの製法であって、前記第1
工程において上記触媒を前記酸1モルに対して0.05
〜5ミリモル用いるエステルの製法である。なお、本明
細書を通して「エステル」という用語は、後に詳説する
ポリエステル及び複合エステルの双方を含む概念として
用いられる。また、ここで「反応」とはエステル化反応
又はエステル交換反応のみを表す概念並びにエステル化
反応及びエステル交換反応を含む概念の双方を含ものと
して用いられる。これは本発明の触媒がエステル化反応
及びエステル交換反応の双方に対して有効な触媒である
からである。
【0010】これはまた従属する各種のエステル交換反
応の反応形態に関するもので、活性化触媒を使用して製
造されるエステル類中に存在する触媒機能を使って、2
価のポリオール及び/又はその反応生成物との間でエス
テル交換反応をおこなって、複合エステル並びにポリエ
ステル類を製造する方法に関する。この2価の酸はアジ
ピン酸若しくはフタル酸又はこれらの混合物であっても
よく、この1価のアルコールの炭素数が4〜10であっ
てもよく、この2価のポリオールはエチレングルコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、分子量が
1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは
300以下のポリエチレングリコール及び分子量が10
00以下、好ましくは500以下、より好ましくは30
0以下のポリプロピレングリコールから成る群から選択
される少なくとも1種であってもよい。
【0011】本発明においては、ポリオールポリチタネ
ート/ポリチタン酸にポリオール及び/若しくは水を予
め混合するか、又はポリオール及び/若しくは水を反応
(エステル化反応又はエステル交換反応)と同時に添加
して混合系にすることによって、ポリオールポリチタネ
ート/ポリチタン酸に触媒としての活性点を増やすと同
時に、エステル化反応又はエステル交換反応に際してポ
リオールポリチタネートが活性点を包みエステル化によ
って不活性化されるのが防止され活性点の寿命を長くし
て、活性化されたチタン触媒の活性を著しく増大させる
ことを提案する。このような触媒を脱水エステル化反応
に使用すると、この反応は酸濃度の対数に比例して反応
する1次反応で進行するという特徴を有する。
【0012】このようなポリオール水活性化チタンは、
エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレング
リコール、グリセリンその他の水溶性ポリオールを用い
て、アルコキシチタンをポリオール及び水に、チタン1
モルに対してポリオール5〜20モル及び水4〜40モ
ルとなるように溶解させて反応させ、ポリチタネートの
特徴である水過剰分を含むゲル化生成物を得て、溶剤又
は反応に使用するアルコールに懸濁して、反応系に添加
される。
【0013】このような触媒を用いると、図1に示すよ
うに、脱水エステル化は、従来に比べて著しく速い1次
反応で進行し、即ち反応の終点が予測され、測定点以降
一定時間の経過後、実質的に酸価ゼロの生成物を得るこ
とが出来る。この触媒反応を利用して、通常触媒として
用いられる酸類より酸価の低いエステル類を得ることが
できるばかりでなく、酸価の下がらないエステル化物
や、熱劣化等によって酸価があがったエステルを使用し
て容易に酸価を下げることができる。本発明では、次段
エステル交換反応で過剰に使用して回収され、熱分解で
酸価の高くなったジエステル化合物を使用して、容易に
短時間に低酸価にして再使用することができ、ジエステ
ルのリサイクルプロセスが可能になった。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の触媒は、アルコキシチ
タン、水溶性ポリオール及び水の混合物又は該混合物の
反応生成物である。ここでアルコキシチタンはテトラブ
トキシチタン及びその四量体、テトライソプロピルオキ
シチタン、テトラエトキシチタン、テトラオクチルオキ
チチタン等の4官能性テトラアルコキシチタン類、三塩
化チタン、四塩化チタン等のアルコール溶液、オルトチ
タン酸エステル類と呼ばれる化合物等を含むが、テトラ
ブトキシチタン、テトライソプロピルオキシチタン又は
テトラオクチルオキシチタンが好ましく、テトラブトキ
シチタンがより好ましい。水溶性ポリオールは2以上の
水酸基を有する水溶性化合物であれば特に制限は無い
が、エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレ
ングリコール又はグリセリンが好ましい。
【0015】本発明においては、このアルコキシチタン
中のチタン1モルに対する水溶性ポリオールのモル数は
1〜50モル、好ましくは5〜20モル、より好ましく
は8〜15モルであり、また同様に水のモル数は1〜6
0モル、好ましくは4〜40モル、より好ましくは10
〜20モルである。これらを単に室温で又は加熱して混
合するか又は溶媒中で溶解させてもよく、またその混合
順序についても制限は無い。アルコキシチタン、水溶性
ポリオール及び水の混合物は室温で反応しゲル状にな
る。この構造は内部に水を含み外側をポリオールポリチ
タネートのゲルで覆われた球状構造をとると考えられ、
その外表面には多数のOH基が表出し、触媒活性を発揮
するものと考えられる。
【0016】一方、従来知られているように、アルコキ
シチタンとポリオールを混合するとポリオールポリチタ
ネートを生成し、一方アルコキシチタンと水を混合する
とポリチタン酸となり、これらにメタノール及び水を添
加して反応させるとその表面にOH基を持ち触媒活性を
生じる。しかし、本発明の触媒は、このようにして得ら
れた従来技術のポリオールポリチタネート/ポリチタン
酸よりも遥かに強い触媒活性を有するだけでなく(図
1)、経時による触媒の劣化をほとんど生じないもので
ある。このように本発明の触媒は従来想像だにされなか
った効果を有するものである。この優れた効果は上記の
ような特異な構造に起因するものと考えられる。
【0017】本発明におけるエステル類の製造は、本発
明のチタン触媒を使ってエステル化更に主としてエステ
ル交換反応で、複合エステルさらにポリエステル類を製
造するものであるが、当然第一段階のエステル化反応物
を製造するのみでも良く、其の際には製品は単に水を加
えてチタンを濾過除去し、製品にすることが出来る。エ
ステル交換反応については、使用するジオール類とジエ
ステルの反応モル比が重要であって、ジエステル量が多
い程低重合度の低粘度生成物が得られ逆にジオールのモ
ル比が多い程粘度の高く重合度の高い生成物が得られ、
目的生成物の重合度に応じて反応モル比が決められ、ジ
オール成分はジオールジエステルも使用される。
【0018】そのような製造の経過から、ジエステルの
過剰量例えば低粘度製品を目的にジオール1モルに対し
て4モル量を使用すると、2モル量は過剰使用であり、
また2モル量の反応量や更に低い場合でも、未反応で残
存するジエステルは、循環して使用することが必要で、
高温では、前記の触媒に起因する着色の外に熱分解によ
る例えば無水フタル酸の生成等の揮発性酸が出来ること
から、出来るだけ必要十分な熱量で蒸留する減圧濃縮装
置が要求され連続式装置は更に好ましい。本発明者のこ
れまで行って来た複合エステル類の製造方法では、分子
量分布をコントロールして製造する為に末端アルコール
のオクタノールを逐次添加する方法が最善の方法であっ
たが、エステル交換反応の際にジオールを逐次添加して
脱オクタノールを行いながら反応を進めるとオクタノー
ルによる、エステル交換反応の割合を少なくすることが
出来目的物に近い生成物を得ることが出来る。しかしな
がら、より高重合度になるほど、オクタノールによる、
エステル交換反応の関与を避けることが出来なくなっ
て、その結果は目的生成物の分子量分布は、低重合度の
割合が高くまた高重合度の成分も含む生成物(分布の広
い生成物)が出来上がる。
【0019】複合エステル類の脱水エステル化反応さら
にエステル交換反応で得られる複合エステル類生成物の
性質は成分の種類によって幾分異なり、エチレングリコ
ールジエチレングリコールは耐水性能が悪いが微生物崩
壊性添加物となり、炭素数3〜8の一般的なジオールや
ポリプロピレングリコール等は比較的似た性質を示す
が、ジオールの側鎖の影響は耐水性を改善する(特開平
6−172261参照)。一方酸として主として直鎖の
アジピン酸が使われるが、不飽和酸や芳香族酸も使用さ
れる。フタル酸はホモ重合度が上がるにつれて、粘度が
急激に上がるが、部分的に混ぜて製造して可塑剤として
使用すると、耐水性対移行性等の物性が優れたものとな
る。末端基の一価アルコール類は、実施例記載のオクタ
ノールに限定されるものではなく、その他のC4以上の
アルコールが使用され、低級アルコールでは耐水性が悪
く、高級になるほど、長鎖アルコールの影響がでる。そ
の他のアルコール類の一つとして、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテルの使用では、真菌の生育抑制
作用を認めた例もある。
【0020】反応のプロセスについて述べる。記述の如
くアジピン酸のジエステルであるジオクチルアジペート
と、ジオールジエステルをそれぞれ作って、ジエステル
に添加するプロセスの特長は、レトロ化反応と呼ぶn=
2を目的にして、n=1が副生する反応割合を少なくす
る為であるが、その反応はエステル交換反応で生成する
オクタノールが再度反応する為と考えられ、更に進行す
ると脱ジオール反応ともなる。そのレトロ化反応の割合
を少なくする為に添加反応を行い、例えば重合度の高い
ポリエステル類を得る為に有効でジオールジエステルと
ジエステルのモル比によって、任意の重合度のポリエス
テルが得られる。 HOCOACOOH + 2HOXOH → HO(XOCOACOO)XOHHO(XOCOAC
OO)XOH + nROCOACOOR →RO(COACOOXO)nCOACOOR +
ROCOACOOR
【0021】更に異種複合エステルを得る為に有効で、
別々に反応系に添加しても良いが、混ぜたジオールジエ
ステルを添加しても良い。異種複合エステルでは、レト
ロ化反応の経過で、異種2塩基酸ジエステルが副生し分
離が必要になるので、減圧下にオクタノールを除去しな
がらジエステルを添加しエステル交換反応を進めること
が有利になる。異種のジオールジエステルを単独にまた
混合して作り、ジオールジエステルとジエステルの反応
モル比を決め、ジエステル中に添加して反応、エステル
交換反応を行って生成物を得ることが出来る。 nHOCOACOOH + C6H4(CO)2O + 2n+1 HOXOH →nHO(XO
COACOO)nXOH + HO(XOCOC6H4COO)nXOH →+2n(n+1)ROC
OACOOR →RO(COACOOXO)n(COC6H4COOXO)mCOACOOR + R
OCOACOOR
【0022】この添加反応でも急激に添加脱アルコール
を試みても生成するオクタノールの系外への除去が間に
合わないと前記脱ジオール反応や異種酸ジエステル生成
が進んで、分子量が上がらない。一方ホモタイプの複合
エステルの製造では混合物を加熱しながらエステル交換
反応を行ってもよいが、ジオール及びジオールジエステ
ルを添加しながら反応を進める。更にエステルアルコー
ルとジエステル混合物を、脱水エステル化反応で作っ
て、その侭エステル交換反応を行う方法も採用され(特
許第2517245号参照)、この場合もエステルアル
コールとジエステルのモル比を変えることによって、重
合度の異なる生成物を得ることが出来る。 2n+1ROH + n+1HOCOACOOH + HOXOH →ROCOACOOXOH
+ nROCOACOOR →RO(COACOOXO)nCOACOOR + ROCACO
OR
【0023】この反応では引き続いて添加エステル交換
反応を行って、目的物を得ることも出来る。即ち前記エ
ステルアルコールとジエステルの混合物を作った後(A
反応工程)循環して使用するジエステルを加え(B工
程)、温度を一旦140℃程度まで下げて反応モル数を
調節し、温度を徐々に上げながら、減圧度を上げること
によって、エステル交換反応(C工程)を始めることが
できる。200℃25mmHgに保つことによって、エステ
ル交換反応が進み、十分脱アルコールを行って次段の添
加エステル交換(D工程)反応を行う。此の2段階のエ
ステル交換反応の特長は、エステルアルコールとエステ
ルを製造するエステル化反応(A)反応では、反応モル
比に対応して、ジオール成分のモル比の分がアルコール
過剰であって、ジエステル製造時には2割程度のアルコ
ールを過剰に使用してエステル化し、エステル交換反応
の前に過剰のアルコールを除去する工程が必要である
が、全く過剰なアルコールを必要としないで、エステル
化反応(C反応)を行える点である。
【0024】更に後段の添加エステル交換(D)反応は
特に異種複合エステルを製造する際に、レトロ反応が進
み、脱ジオール化が進むと、ジオールは再反応に関与し
ても、副生したジオクチルフタレートは、循環するジエ
ステルに混合して混るので、分離除去工程が必要とな
る。実質的にバッチ反応では、副生するジエステルの再
使用は不可能となり、副生するジエステルの分だけ原価
高となり、採算が取れない製造法となる。複合エステル
の耐水性能が要求されると、単価の高いジオールか異種
複合エステルしかなく、異種複合エステルでは、副生ジ
エステルの再使用が問題であった。この添加エステル交
換反応は、フタル酸のジオールジエステルを添加して反
応を行う。ジオクフタレートになる反応は、構造式を更
に簡略化し、異種酸A及びP、アルコール0、ジオール
Xとして略記した(E)反応が混合液でのエステル交換
や、通常の脱水エステル化反応更に引き続いて揮発分を
少なくする為のエステル交換反応などチタン触媒存在で
は相当の確率で起こる。この反応を添加エステル交換反
応で防止することが出来るので、副生ジエステルを循環
使用することが出来ることになる。
【0025】3ROH + HOCOACOOH + HOXOH → (A)R
OCOACOOXOH + ROCOACOOR →+ ROCOACOOR(B) →RO
(COACOOXO)nCOACOOR + ROCOACOOR(C) →+ HO(XOCOC
6H4COO)XOH → (D)RO(COACOOXO)n(COC6H4COOXO)mCOAC
OOR + ROCOACOOROAO + HOXPXOH + 2OAO + O
→ OAXPO + HOXAO + OAO →OAXOH + OPO + O
AXAO → OPO + OAXAXAO(E) 一方逐次添加脱水エステル化反応の生成物でも、最後に
オクタノールがエステル交換反応を行って、過剰に反応
に使われると、エステルアルコールが生成するので反応
末期にはエステル交換反応を行うことが必要になり、本
プロセスを使うことが出来る。
【0026】複合エステルの可塑剤としての使用では、
異種複合エステルにすることによって、優れた性能が出
るので、特に高分子量にする必要はないが低粘度ほど可
塑化性能が優れた結果になる。従来の電気用途の低揮発
性可塑剤としては、ポリエチレンやその他の樹脂類との
併用があるために可塑剤の樹脂内での移行更にその他の
樹脂への移行性が少ない性質の者が要求され、そのため
には分子量を大きくし、分子量分布のコントロールが比
較的難しいことから、低分子量部分の除去更に必要以上
に高分子量に分子設計され、分子量が2000〜400
0のものが使用されている。従ってその粘度や酸価の低
減が難かしい。本発明者のこれまでの実験結果からは、
直鎖だけでなく、フタル酸の部分的使用は、分子内で鋏
状部分が出来その結果塩化ビニール内(高濃度から低濃
度可塑化物への移行)のみならずポリエチレンヘの移行
も少ない結果となることを知った特開平8−15741
8に記載されている。その外、可塑剤としての用途で
は、高湿度下での使用では特に低分子量のアジペート
は、加水分解され表面が、白化現象が見られ、耐水性が
要求される。此のような目的から前述のフタル酸をユニ
ットで0.3以上含むと改善される。ポリ塩化ビニール
の可塑剤としてジオクチルフタレートが使われて来てそ
の性能は最高のものであったが、屋外使用の用途ではそ
の蒸気圧に対応して揮散してしまう。此のような目的か
らは飛ばない可塑剤として、複合エステルは優れた性能
を示し、可塑化性能は、可塑剤の粘度に対応して同等の
可塑性を示す。DOP50部と同じ堅さを示す可塑剤の
使用割合として、500センチポイズ、重合度4ホモで
は5程度までの複合エステルは52部以下であり、重合
度1では46までに下がる。アジピン酸の含量が増すに
連れて低温特性が増し、耐寒性の用途もあるが、重合度
の増大は悪化する。低分子量の複合エステル程高い可塑
性を示すがn=1を完全に作ることは困難で、可塑剤と
しては要求される性能に対応して製造のし易さ、製造価
格などから選ばれて、製造されると考えられる。
【0027】複合エステル(Complex ester)は一般式 ROCOACOOXOCOACOOR (式中、Rは末端アルコールのアルキル基、Aは主とし
てアジピン酸の酸残基(-CH2CH2CH2CH2-)、Xは使用され
るジオールのアルコール残基(例-CH2CH(CH3)-:プロパ
ンジオール))で表され、従来低温の潤滑油として使用
されてきたが、本発明のエステル類は低酸価低OH価
で、低温特性を示すジオール成分とアジピン酸を使用し
て、その目的使用に優れた特性を示すものと思われる。
本発明者は、通常複合エステル(Composite ester)と
して製造されるエステル類は複合エステル(Complex es
ter)を目標として作ってもRO(COACOOX)nOCOACOOR で示
されるnの数の整数の化合物の混合物として製造され特
に製造方法でその割合が異なる複数ケのものよりなり、
nの数が増すにつれてその割合が級数的に少なくなる組
成物となるので、複合エステル(Composite ester)と
区別してきた。従って分子量は混合組成の平均値で示さ
れ、例えば1.5はn=1とn=2の等モルの混合物を
表すことになる。これまでの実験結果から、RO(COACOO
X)OCOACOOR を目的に製造しても RO(COACOOX)2OCOACOOR
が1モル副生するとnの数が増えた分に相当するモル
数1の ROCOACOOR が生成することが分かっており、こ
のことを利用して、目的生成物の重量から収得生成物の
重量を差し引いた量の ROCOACOOR のモル数を計算し
て、このモル数を引いたモル数の生成物が出来たとして
生成物RO(COACOOX)nOCOACOOR のnの価を計算すると、
生成物の平均分子量が計算される。複合エステル類の分
子量はこのようにして、計算すると、反応は定量的に取
扱うことが出来る。同様にジオールジエステル類の重合
度も原理的には同じであるが、HO(XOCOACOO)nXOHで示さ
れジオールジエステルの反応生成物重量からアジピン酸
エステルの()の理論量を差し引きHOXOHの分子量で割
った価は生成物のモル数を示し、其の逆数は、重合度n
の価を示すとして計算すると、分子量が計算される。尚
実施例には組成式を示した。アジピン酸をAフタル酸を
Pで更にジオール成分を HOXOH 又はXで示し、使用し
た種類によってプロパンジオールはXジプロピレング
リコールはXDPを使用し、その他X2Eを使用した。
更に末端アルコールとして0の記号を使って表現した。
特に組成として重合度が問題になるので、()の次に下
つき数字で重合度を示した。
【0028】
【発明の効果】本発明の触媒は、エステル化反応及びエ
ステル交換反応において、反応性が著しく速く、反応の
進行に従って触媒が不活性化することを最小限に抑え、
かつ反応が一次反応で進むために酸価がゼロの最終生成
物であるエステルを得ることが可能になる。このような
触媒は、従来の触媒に比べて速く且つ最終生成物の酸価
を低く抑えることができるようなエステル化反応及びエ
ステル交換反応を実現することが可能になり、更にポリ
塩化ビニルの可塑剤としての複合エステルの製造を可能
とし、多量の可塑剤がポリ塩化ビニルから揮散すること
を防止して環境上の問題を最小化し、さらにこのような
可塑剤が提供されれば、例えば屋外でポリ塩化ビニルを
用いたとしても可塑剤の揮散による組成の変化が無いた
め、ポリ塩化ビニル自体のリサイクルも可能にすること
ができる。本発明の改良されたチタン活性化触媒を使用
することによって従来に比べて大幅に短い時間内に低酸
価エステル類を製造することが可能になり、反応末期に
酸濃度の一次で反応が進行するので、反応終結の時期を
予測して製造することができる一方、この触媒機能を利
用してエステル交換反応を行うに当たって、リサイクル
して使用されるジエステルを、前処理としてアルコール
共存下短時間加熱して、酸価を下げて使用することが出
来る特長も持っている。揮発分を完全に除去するために
高温(例えば、260℃以上)でこの工程が行われるた
め、この酸価の上昇は避けられない。そのため再使用の
際に酸価を下げることがどうしても必要になるが、製造
時に多量の酸価の高い副生物が出来る場合であっても本
発明の触媒を用いることにより、ジエステルのリサイク
ルを問題なく行うことができる。エステル交換反応に続
いて反応を完結する目的で過剰に使用する二塩基酸ジエ
ステルの蒸留除去を同時に進行させても、十分に目的を
達成することが可能であり、その結果特に生成物の着色
を防止することができるため、本発明の触媒は製品の仕
上げの為にはむしろ非常に重要な技術であり、減圧薄膜
蒸留装置を使用すれば更にその効果が大きい。
【0029】
【実施例】実施例1(アジピン酸またはフタル酸の脱水
エステル化反応) エチレングリコール1.49g(24ミリモル)に水
0.65g(36ミリモル)を加えて混合し、テトラブ
トキシチタンを0.41g(1.2ミリモル)を少量ず
つ加えて混合すると、水を含むゲル状混合物となる。こ
のゲル状ポリオールポリチタン酸触媒にオクタノール1
0gを加え撹拌分散させたポリオール水活性化チタン触
媒を、アジピン酸1モルに対して1.2ミリモル用いて
200〜205℃で反応を行い、反応液の酸価を測定し
酸価より算出される酸モル量の経時変化を図1に示す。
反応の速度は酸の一次反応で、前述の特許記載のポリオ
ールポリチタネートポリチタン酸の場合と同じであった
が、活性は著しく向上し、末期まで速度は変わらず酸濃
度が減少し半減期は11分であった。同様に、上記ポリ
オール水活性化チタン触媒を、フタル酸0.5モルに対
して1.5ミリモル用いて190〜195℃で反応を行
い、反応液の酸価を測定し酸価より算出される酸モル量
の経時変化を図1に示す。反応の速度は酸の一次反応で
同様に半減期は13分であった。
【0030】実施例2 複合エステル類を製造した際前留分として除去されたジ
オクチルアジペートを主とし少量のジオクチルフタレー
トを含み、熱分解で生成した酸を含み酸価0.6を示す
200gのジエステルを、エステル交換反応に使用する
に当たって、予めオクタノール30gを加え、エステル
交換反応の触媒を目的に、エチレングリコール水活性化
チタン触媒1.2ミリモルを加え、200℃で1時間加
熱撹拌した。酸価は30分後に0.2まで下がり、1時
間後酸価は0.1以下実質的にゼロとなり減圧にしてオ
クタノールを除去して、エステル交換反応に入ることが
出来た。
【0031】実施例3 複合エステル−ポリエステルの
製造(ジオールジエステルとジエステルの反応モル比
2:3) アジピン酸0.5モル(73g)とジプロピレングリコ
ール1モル(134g)を脱水エステル化反応装置に入
れ少量のトルエンと共に共沸脱水エステル化反応を行っ
た。1時間後1.8ミリモルの実施例1のエチレングリ
コール水活性化チタン触媒を添加、反応を続け、添加後
1時間で酸価0.14となり、更に30分後反応を終了
し、トルエンを除き、別途反応機に逐次添加してエステ
ル交換反応を行った。即ち予め作ったジオクチルアジペ
ート(DOA)0.75モル(277.5g)を25mm
Hgの水流ポンプ減圧下で、ジオールジエステルを添加1
時間後略計算量のオクタノールを回収した。反応液に冷
却水4mlを加えて撹拌溶剤を加えて放置し、活性白土
を加えて濾過濾液を濃縮蒸留を行って、DOA56gと
蒸留残液282.4gを得た。計算量336.5との差
をDOAモル数とし理論モル数よりDOAモル数を差引
いて得られる反応モル数と理論モル数の割合を出し、そ
の逆数だけ重合度が上がったとして計算すると、重合度
は9.6であり、生成ポリエステルの分子量は2712
であった。
【0032】実施例4(ジオールジエステル:ジエステ
ル反応モル比1:2の反応) アジピン酸0.2モル(29.2g)と無水フタル酸
0.1モル(14.8g)にジプロピレングリコール
0.6モル(80.8g)を入れ少量のトルエンと共に
脱水エステル化反応を始め、1時間後1.2ミリモルの
活性化チタン触媒を加え添加後3時間で酸価(ml/
g)0.11となり更に30分後反応を終えた。別の反
応機で、0.6モルのアジピン酸にオクタノール1.5
モルを加え脱水エステル化を始め、30分後活性化チタ
ン触媒1.1ミリモルを添加し、180〜200℃で、
反応を行った。1時間半後酸価0.03ml/gとなっ
た。減圧でオクタノールを除き、水流ポンプで減圧下に
200℃で、前記ジオールジエステル反応液を添加し
た。1時間半後真空ポンプで0.5mmHgとして生成した
オクタノールは、略計算量の79gであった。冷却後水
4mlを加え80℃で2時間撹拌し、活性白土濾過し、
濾液を濃縮減圧で蒸留してDOA留分52gと生成物2
00.9gを得た。理論量259.4gとの差をDOA
と見なしそのモル数を差し引いた反応モル数を計算理論
モル数との割合を出しその逆数から、重合度は2.11
倍となり分子組成 O(AXDP)3.52(PXDP)0.70AO 分子量1
414が計算された。此のような組成の複合エステルは
耐水性ならびに加熱減量に優れたものであると判断され
る。特開平8−157418に記載の実施例では化学量
論量1:2の実験を行った結果が示されているが、ジオ
ールジエステルの使用で、レトロ反応による脱フタル酸
(DOPの副生が起こる)ならびにジオール成分の脱離
が最小限に押さえられた場合の、生成物の組成を示すこ
とになるが、2.11倍とは、n=1を目的に反応を行
っても生成物はn=2.llを与えるということで、そ
の意味は極端な表現では、重合度3のものが1割含む重
合度2が出来ることを意味している。実際はn=1が沢
山あり、順次nの数が多くなると少なくなる分子量分布
となっている筈である。
【0033】実施例5(異種複合エステルジオールジエ
ステル:ジエステル1:2.5の反応) 無水フタル酸0.66モル(98.7g)にプロピレン
グリコール608gを加え加熱撹拌し、無水物を反応さ
せた後アジピン酸1.33モル(194.7g)を加え
て加熱撹拌し生成する水を除去しながら反応を進め、約
1時間後1.8ミリモルのエチレングリコール水活性化
チタン触媒を加え、2時間後酸価0.07とした。減圧
下にプロパンジオールを除去し残留液として527.2
gのジオールジエステルを得た。76/(527.2/2-192.7)=
1.072HO(XPA)0.661.072(XPP)0.31.072XOH として分
子量282.5が計算される。アジピン酸146gと2
−エチルヘキサノール300gを加熱撹拌し生成する水
を除去しながら脱水エステル化反応を行った。反応開始
1.5時間後1.5ミリモルのエチレングリコール水活
性化チタン触媒のオクタノール懸濁液を加え1時間半後
酸価0.04で反応を終わった。反応液より過剰のオク
タノールを蒸留して除いた後、減圧70mmHg順次圧力を
下げ水流ポンプを使用して減圧下210、180℃に反
応液を保ちながら、ジエステル1モル量に対し前述の分
子量282.5のジオールジエステル0.4モル(11
3g)を滴加した。滴加に応じてオクタノールが生成
し、蒸留除去して略計算量の留出を見てエステル交換反
応を終了した。冷却し100℃前後で、水4mlを加え
撹拌し一夜放置して触媒の加水分解を終えた。トルエン
希釈し活性白土を加え、濾過し次いで濾液を濃縮更に減
圧下0.5mmHgで蒸留して副生するジオクチルアジペー
ト160.2gを得た。残留液として218.8gの異
種複合エステルを得た。理論量の計算値305g−21
8.8=86.2、86.2/370=0.233、反
応して得られたモル数として0.4−0.233=0.
167生成物の重合割合はその逆数n=1/(0.16
7/0.4)=2.39生成物の分子組成はO(Axp)4.11
(PXp)0.8 6AO分子量1312と計算される。特開平8−
157418の例24との比較では、耐水性の外移行性
も十分保持すると考えられる。
【0034】実施例6(異種複合エステルモル比1:
2.85の反応) アジピン酸1.79モル(260g)とオクタノール5
00gの混合液を脱水エステル化反応装置に入れ加熱、
生成する水を除き、1時間後触媒として、1.5ミリモ
ル活性化チタン触媒を使い、反応開始3時間後酸価0.
08とした。前述の実施例2で得たジエステル40gを
追加し1.9モルの液とした後、実施例4で得た分子量
282.5のジオールジエステル0.666モル(18
8g)を210〜180℃/70〜25mmHgで添加脱オ
クタノールエステル交換反応を行った。前と同様後処理
触媒を加水分解後濾過除去し溶剤を除き蒸留して、ジエ
ステル156g残留液として生成物349.8gを得
た。前同様の計算を行ってn=2.685生成物の組成
は O(AXP)4.61(PXP)0.96AO 分子量1425として計算
される。組成ではエステル交換反応時にオクタノールと
一緒にプロパンジオールが出てくるものと思われたが、
確認出来なかった。蒸留時に高温で、長時間経過すると
熱分解による無水フタル酸が、留出管に析出し、耐熱性
は最高250℃で、DOAを循環使用する為には、その
温度以下で蒸留することが必要である。
【0035】実施例7(ジオールジエステルとジエステ
ルの反応モル比1:4) ジプロピレングリコール4モル(536g)と0.26
7モル(39.5g)の無水フタル酸混合液を加熱反応
し無水物を反応させた。0.533モル(78g)のア
ジピン酸を加えて加熱脱水反応を行い1時間後チタン触
媒を加え酸価0.08とした。減圧下120℃以下でジ
プロピレングリコールを除き残留液280.1gを得
た。ジプロピレングリコール27gを加えて補正し分子
量385として取り扱った。DOA300gに前記ジオ
ールジエステルを減圧下に加えエステル交換反応を行
い、0.2モルの添加(モル比1:4)の生成物は、1
62.5g、本発明におけるリサイクル使用される副生
物DOA144.8gであった。生成物の組成は O(AX
DP)1.94(PXDP)0.39AO分子量946と計算される。その
粘度は326センチポイズ耐水性はシートを60℃温水
に浸漬し減量%を測定、DOPの値0.8に対して0.
91、180℃加熱減量はDOP17%に対して2.6
1、柔軟温度は−19.5℃であった。
【0036】実施例8(ジオールジエステル対ジエステ
ル3.37:1) 実施例7に引き続いてDOA300gに0.24モル
(92.3g)の添加エステル交換反応を行った。生成
物の修得量は182.0g本発明における回収リサイク
ル必要量のDOAは127.0gで生成物の組成分子量
はO(AXDP)2.33(PX DP)0.47AO 分子量1062と計算され
る。その粘度は334センチポイズ、耐水性は0.8
9、180℃で2時間の加熱減量は2.03、柔軟温度
は−19.0℃である。
【0037】実施例9(ジオールジエステルとジエステ
ルの反応モル比1:2.89) 実施例7に引き続いて反応モル比を変え300gのDO
Aに0.28モル(92.3g)のジオールジエステル
を添加エステル交換反応を行った。生成物は206.9
gで回収リサイクルして使用すべきDOAは97.5g
であった。生成物の組成はO(AXDP)2.52(PXDP)0.51AO 分
子量1119と計算される。その粘度は393センチポ
イズで、可塑剤として使用したときの可塑化効率は略ジ
オクチルフタレートDOPと同等の51、耐水性テスト
0.69、160℃加熱減量は2.65と大幅に少な
く、柔軟温度−16.5℃であった。実施例7〜9は本
発明者の特開平8−157418記載の実施例である
が、本発明に必要とされるリサイクルに必要な量と、得
られる可塑性能について、明確な結果を記載している
が、当時の組成計算様式を補正して分子量を記載した。
これら実施例7〜9に記載した複合エステルの可塑性能
は非常に良く、対揮発性は非常に優れた特性を示すが、
多量のDOAが副生することが問題である。
【0038】実施例10(エステルアルコールとジエス
テルの反応) アジピン酸0.5モル、2−エチル1,3ヘキサンジオ
ール0.25モル及びオクタノール0.75モルの混合
物を使用して脱水エステル化反応を開始した。1時間後
1.7ミリモルの活性化チタン触媒を添加し添加30分
で酸価1.66、1時間後0.49、1.5時間後酸価
0.05となり、更に30分後反応を終了した。反応終
了後反応機の減圧度を少しづつ上げ、最後は水流ポンプ
で減圧にし、200〜210℃に1.5時間、更に0.
5mmHgで30分保ち、生成するオクタノールを除いた。
反応終了後水を加えて加温撹拌3時間、濾過してチタン
残渣を除き減圧下に蒸留した。DOA留分55.1gと
生成物102.7gを得た。その組成は O(AX2E)2.41AO
分子量は987と計算される。可塑剤として使用した
ときの性能は特開平6−172261に重合度1.5、
2.5を目的に製造した記載があり、可塑性能の外特に
ジオール成分の1、3位の側鎖の影響でエステル基が攻
撃を受けにくくなって耐水性が優れた性能を示し、ホモ
重合体である為粘度も分子量分布も正規分布に近く優れ
たエステルで、可塑剤としても好ましいものである。此
の反応では特にアルコール分が過剰に使用されるので、
酸価を下げる際に問題がなく一挙にエステル化する此の
触媒の使用では、ごく短時間にモル比さえ守れば、各種
の複合エステルを作ることが出来、過剰に使用するジエ
ステルの除去循環使用のみが、問題となり、本発明で
は、ジエステル副生量に見合う量を過剰分として使用
し、エステル交換時に前反応の副生DOAを添加循環し
て使用しようとするものである。
【0039】実施例11 アジピン酸1.2モル(175.2g)、ジプロピレン
グリコール0.6モル(80.4g)及びオクタノール
1.8モル(234g)の混合物を減圧として窒素置換
し、脱水エステル化反応を開始した。180〜200℃
1.5時間後90%の水が蒸留除去された時点で、別途
用意したエチレングリコール水活性化チタン触媒2ミリ
モルのオクタノール懸濁液を添加した。添加後1時間半
で、酸価(ml/g)が0.08になり、更に30分後
反応を終了した。反応液にリサイクル用に用意したジオ
クチルアジペートDOA0.6モル(222g)を添加
して温度を下げ、減圧に切り替え水流ポンプ減圧25mm
Hgとして、温度を上げ200℃に保った。途中オクタノ
ールが蒸留して出始め、1時間後別途用意したジオール
ジエステル液を添加、エステル交換反応を継続した。別
途調整したジオールジエステル液は、0.3モルの無水
フタル酸とジプロピレングリコール0.6モル(80.
4g)の混合液を窒素置換して、少量のトルエンと共に
脱水エステル化反応を200〜210℃前後の温度で行
い反応の末期に0.8ミリモルのエチレングリコール水
活性化チタン触媒を添加し、添加後1時間半後酸価を
0.1以下とし、30分後添加液として使用した。添加
エステル交換反応は、添加を早く行うと、オクタノール
の留出は早くなるが、オクタノールの出る量を見ながら
少量づつ添加した。添加は、約1時間で終わり、最後に
反応機の減圧を0.5mmHgまであげ、DOAの一部とと
もに完全にオクタノールを除去した。除去したオクタノ
ールは略定量的で少量のDOAを含めて152gであっ
た。反応液が100℃になったとき希釈剤のトルエン2
00mlと水6mlを加え撹拌を続けて放置し、次いで
活性白土濾過、濃縮、減圧濃縮蒸留を行って、0.5mm
Hg 液温250℃迄の蒸留分として先のエステル交換反
応で出た分と合わせ、DOA205gを回収した。残留
液として目的複合エステル理論値O(AXDP)2(PXDP)0.66AO
465gになり、対して生成物は408.4gで、計
算される生成物の組成はO(AXDP)3.03(PXDP)1.00AO分子
量1373と計算される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性化チタン触媒を用いたエステル化
反応における酸濃度の変化を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月1日(2001.5.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】この添加反応でも急激に添加脱アルコール
を試みても生成するオクタノールの系外への除去が間に
合わないと前記脱ジオール反応や異種酸ジエステル生成
が進んで、分子量が上がらない。一方ホモタイプの複合
エステルの製造では混合物を加熱しながらエステル交換
反応を行ってもよいが、ジオール及びジオールジエステ
ルを添加しながら反応を進める。更にエステルアルコー
ルとジエステル混合物を、脱水エステル化反応で作っ
て、その侭エステル交換反応を行う方法も採用され(特
許第2517245号参照)、この場合もエステルアル
コールとジエステルのモル比を変えることによって、重
合度の異なる生成物を得ることが出来る。 2n+1ROH + n+1HOCOACOOH + HOXOH →ROCOACOOXOH
+ nROCOACOOR →RO(COACOOXO)nCOACOOR + ROCOAC
OOR
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】複合エステル(Complex ester)は一般式 ROCOACOOXOCOACOOR (式中、Rは末端アルコールのアルキル基、Aは主とし
てアジピン酸の酸残基(-CH2CH2CH2CH2-)、Xは使用され
るジオールのアルコール残基(例-CH2CH(CH3)-:プロパ
ンジオール))で表され、従来低温の潤滑油として使用
されてきたが、本発明のエステル類は低酸価低OH価
で、低温特性を示すジオール成分とアジピン酸を使用し
て、その目的使用に優れた特性を示すものと思われる。
本発明者は、通常複合エステル(Composite ester)と
して製造されるエステル類は複合エステル(Complex es
ter)を目標として作ってもRO(COACOOXO)nCOACOOR で示
されるnの数の整数の化合物の混合物として製造され特
に製造方法でその割合が異なる複数ケのものよりなり、
nの数が増すにつれてその割合が級数的に少なくなる組
成物となるので、複合エステル(Composite ester)と
区別してきた。従って分子量は混合組成の平均値で示さ
れ、例えば1.5はn=1とn=2の等モルの混合物を
表すことになる。これまでの実験結果から、RO(COACOOX
O)COACOOR を目的に製造しても RO(COACOOXO)2COACOOR
が1モル副生するとnの数が増えた分に相当するモル数
1の ROCOACOOR が生成することが分かっており、この
ことを利用して、目的生成物の重量から収得生成物の重
量を差し引いた量の ROCOACOOR のモル数を計算して、
このモル数を引いたモル数の生成物が出来たとして生成
物RO(COACOOXO)nCOACOOR のnの価を計算すると、生成
物の平均分子量が計算される。複合エステル類の分子量
はこのようにして、計算すると、反応は定量的に取扱う
ことが出来る。同様にジオールジエステル類の重合度も
原理的には同じであるが、HO(XOCOACOO)nXOHで示されジ
オールジエステルの反応生成物重量からアジピン酸エス
テルの()の理論量を差し引きHOXOHの分子量で割った
価は生成物のモル数を示し、其の逆数は、重合度nの価
を示すとして計算すると、分子量が計算される。尚実施
例には組成式を示した。アジピン酸をAフタル酸をPで
更にジオール成分を HOXOH 又はXで示し、使用した種
類によってプロパンジオールはXジプロピレングリコ
ールはXDPを使用し、その他X2Eを使用した。更に
末端アルコールとして0の記号を使って表現した。特に
組成として重合度が問題になるので、()の次に下つき
数字で重合度を示した。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月2日(2001.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】この添加反応でも急激に添加脱アルコール
を試みても生成するオクタノールの系外への除去が間に
合わないと前記脱ジオール反応や異種酸ジエステル生成
が進んで、分子量が上がらない。一方ホモタイプの複合
エステルの製造では混合物を加熱しながらエステル交換
反応を行ってもよいが、ジオール及びジオールジエステ
ルを添加しながら反応を進める。更にエステルアルコー
ルとジエステル混合物を、脱水エステル化反応で作っ
て、その侭エステル交換反応を行う方法も採用され(特
許第2517245号参照)、この場合もエステルアル
コールとジエステルのモル比を変えることによって、重
合度の異なる生成物を得ることが出来る。 2n+1ROH + n+1HOCOACOOH + HOXOH →ROCOACOOXOH
+ nROCOACOOR →RO(COACOOXO)nCOACOOR + ROCOAC
OOR
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】複合エステル(Complex ester)は一般式 ROCOACOOXOCOACOOR (式中、Rは末端アルコールのアルキル基、Aは主とし
てアジピン酸の酸残基(-CH2CH2CH2CH2-)、Xは使用され
るジオールのアルコール残基(例-CH2CH(CH3)-:プロパ
ンジオール))で表され、従来低温の潤滑油として使用
されてきたが、本発明のエステル類は低酸価低OH価
で、低温特性を示すジオール成分とアジピン酸を使用し
て、その目的使用に優れた特性を示すものと思われる。
本発明者は、通常複合エステル(Composite ester)と
して製造されるエステル類は複合エステル(Complex es
ter)を目標として作ってもRO(COACOOXO)nCOACOOR で示
されるnの数の整数の化合物の混合物として製造され特
に製造方法でその割合が異なる複数ケのものよりなり、
nの数が増すにつれてその割合が級数的に少なくなる組
成物となるので、複合エステル(Composite ester)と
区別してきた。従って分子量は混合組成の平均値で示さ
れ、例えば1.5はn=1とn=2の等モルの混合物を
表すことになる。これまでの実験結果から、RO(COACOOX
O)COACOOR を目的に製造しても RO(COACOOXO)2COACOOR
が1モル副生するとnの数が増えた分に相当するモル数
1の ROCOACOOR が生成することが分かっており、この
ことを利用して、目的生成物の重量から収得生成物の重
量を差し引いた量の ROCOACOOR のモル数を計算して、
このモル数を引いたモル数の生成物が出来たとして生成
物RO(COACOOXO)nCOACOOR のnの価を計算すると、生成
物の平均分子量が計算される。複合エステル類の分子量
はこのようにして、計算すると、反応は定量的に取扱う
ことが出来る。同様にジオールジエステル類の重合度も
原理的には同じであるが、HO(XOCOACOO)nXOHで示されジ
オールジエステルの反応生成物重量からアジピン酸エス
テルの()の理論量を差し引きHOXOHの分子量で割った
価は生成物のモル数を示し、其の逆数は、重合度nの価
を示すとして計算すると、分子量が計算される。尚実施
例には組成式を示した。アジピン酸をAフタル酸をPで
更にジオール成分を HOXOH 又はXで示し、使用した種
類によってプロパンジオールはXジプロピレングリコ
ールはXDPを使用し、その他X2Eを使用した。更に
末端アルコールとして0の記号を使って表現した。特に
組成として重合度が問題になるので、()の次に下つき
数字で重合度を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/80 C07C 69/80 B C08G 63/85 C08G 63/85 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA06 AA15 BA27A BA27B BA27C BA38 BC50A BC50B BC50C BE01A BE01B BE01C BE06A BE06B BE06C CB75 4H006 AA02 AC48 BA10 BA32 BC34 BD33 BD52 BD70 BS10 BS30 KA03 KA06 4H039 CA66 CD10 CD30 CD90 4J029 AB04 AB07 BA02 BA03 BA05 BF25 CA06 CB04A JB121 JB131 JE182 JF251 KE02 KE03 KE07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシチタン、水溶性ポリオール及
    び水の混合物又は該混合物の反応生成物から成るゲル状
    物であって、前記チタン1モルに対する前記水溶性ポリ
    オール及び水のモル数がそれぞれ5〜20モル及び4〜
    40モルであるエステル化反応又はエステル交換反応用
    触媒。
  2. 【請求項2】 前記アルコキシチタンがテトラブトキシ
    チタン、テトライソプロピルオキシチタン又はテトラオ
    クチルオキシチタンであり、前記水溶性ポリオールがエ
    チレングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリ
    コール又はグリセリンである請求項1に記載の触媒。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の触媒のエステル
    化反応又はエステル交換反応における使用。
  4. 【請求項4】 2価の酸に1価のアルコール及び2価の
    ポリオールを同時又はそれぞれ単独に添加して反応させ
    る第1工程、第1工程で生成した生成物から前記酸と前
    記アルコールの反応物を分離してエステルを得る第2工
    程、第2工程で分離した反応物を前記第1工程へ再循環
    させる第3工程からなるエステルの製法であって、前記
    第1工程において請求項1又は2に記載の触媒を前記酸
    1モルに対して0.05〜5ミリモル用いるエステルの
    製法。
  5. 【請求項5】 2価の酸及び1価のアルコールから予め
    生成させておいたエステル、又は2価の酸、1価のアル
    コール及び2価のポリオールから予め生成させておいた
    エステルを用いて2価のポリオールを反応させる第1工
    程、第1工程で生成した生成物から未反応の前記エステ
    ルを分離して、それ以外のエステルを得る第2工程、第
    2工程で分離した未反応エステルを前記第1工程へ再循
    環させる第3工程からなるエステルの製法であって、前
    記第1工程において請求項1又は2に記載の触媒を前記
    酸1モルに対して0.05〜5ミリモル用いるエステル
    の製法。
  6. 【請求項6】 前記2価の酸がアジピン酸若しくはフタ
    ル酸又はこれらの混合物であり、前記1価のアルコール
    の炭素数が4〜10であり、前記2価のポリオールがエ
    チレングルコール、1,2−プロパンジオール、1,3
    −ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−
    ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
    ール、分子量が500以下のポリエチレングリコール及
    び分子量が500以下のポリプロピレングリコールから
    成る群から選択される少なくとも1種である請求項4又
    は5に記載の製法。
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