JP2001321010A - 養魚装置 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、魚の稚魚、特に淡水魚の稚魚を短期
間に大きく成長させ、かつ、安全に飼育、養魚する養魚
装置を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の養魚装置は、養魚装置内の水中に
存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよび
藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロロ
フィル(μg/L)の量にして10(μg/L)以下に
制御されていることを特徴とするものである。
間に大きく成長させ、かつ、安全に飼育、養魚する養魚
装置を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の養魚装置は、養魚装置内の水中に
存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよび
藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロロ
フィル(μg/L)の量にして10(μg/L)以下に
制御されていることを特徴とするものである。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、魚の稚魚、特に淡
水魚の稚魚を、短期間に、安全に大きく成長させるため
の養魚装置に関するものである。
水魚の稚魚を、短期間に、安全に大きく成長させるため
の養魚装置に関するものである。
【従来の技術】従来から行われている飼育、養魚方法と
しては、池、養魚池、湖沼等の養魚場で行われており、
通常は湖沼、河川、地下水等の水を、養魚場に給水補給
し、給餌する方法で飼育されている。しかし、かかる飼
育、養魚方法において、該養魚場の壁や底に、水生植物
が繁殖する上に、糞や水の腐敗などによる水の汚染が激
しく、一般にはこれらの問題は、自然浄化に委ねるのが
通常であり、ウナギの養殖などでは、せいぜい自動水車
や噴水などによる強制攪拌により、水中に酸素を送り込
んでいる程度にすぎないのが実状である。
しては、池、養魚池、湖沼等の養魚場で行われており、
通常は湖沼、河川、地下水等の水を、養魚場に給水補給
し、給餌する方法で飼育されている。しかし、かかる飼
育、養魚方法において、該養魚場の壁や底に、水生植物
が繁殖する上に、糞や水の腐敗などによる水の汚染が激
しく、一般にはこれらの問題は、自然浄化に委ねるのが
通常であり、ウナギの養殖などでは、せいぜい自動水車
や噴水などによる強制攪拌により、水中に酸素を送り込
んでいる程度にすぎないのが実状である。
【発明が解決しようとする課題】このような養魚場で
は、稚魚が生育、成長する肝心な春から夏場において、
水温が上昇することに起因して、2、3日で水生植物が
繁殖する上に、魚の糞や餌の食べ残し等で、水の腐敗の
速度も大幅に促進されるという問題があった。また、養
殖場では、かかる自動給餌機等により、定期的に魚へ給
餌する方法が採用されているが、餌の種類、形状、量等
は、魚種、魚の大きさ、水温、日照時間等によっても、
量や種類はいろいろ調整されているものの、えてして過
剰に餌を与えてしまうきらいがあり、かかる過剰分の餌
は、どんどん残ってしまい、ついには腐敗分解されるこ
ととなり、それが水の腐敗につながることになったり、
水生植物の繁殖につながったりしていたものである。か
かる残った餌は、腐敗して分解されて、水の富栄養化を
促進し、水中の酸素が大量に消費され、酸素欠乏を促進
する結果、ついには魚が窒息死するという問題が発生し
ていたものである。このような問題は、魚の糞の分解の
過程でも同様に起こっており、やはり魚が窒息死する問
題につながっていたものであった。かかる餌や糞の分解
は、さらにアンモニアの発生を伴い、これが濁りやpH
の増大を惹起し、稚魚の生活環境を大幅に悪化し、その
成長を著しく阻害していたものである。すなわち、稚魚
は、このような環境に置かれると、植物性プランクトン
や藻を食べるようになり、成長源である動物性蛋白質の
魚餌を食わなくなり、成長しなくなるという問題があっ
た。本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、魚の稚
魚、特に淡水魚の稚魚を短期間に大きく成長させ、か
つ、安全に飼育、養魚する養魚装置を提供せんとするも
のである。
は、稚魚が生育、成長する肝心な春から夏場において、
水温が上昇することに起因して、2、3日で水生植物が
繁殖する上に、魚の糞や餌の食べ残し等で、水の腐敗の
速度も大幅に促進されるという問題があった。また、養
殖場では、かかる自動給餌機等により、定期的に魚へ給
餌する方法が採用されているが、餌の種類、形状、量等
は、魚種、魚の大きさ、水温、日照時間等によっても、
量や種類はいろいろ調整されているものの、えてして過
剰に餌を与えてしまうきらいがあり、かかる過剰分の餌
は、どんどん残ってしまい、ついには腐敗分解されるこ
ととなり、それが水の腐敗につながることになったり、
水生植物の繁殖につながったりしていたものである。か
かる残った餌は、腐敗して分解されて、水の富栄養化を
促進し、水中の酸素が大量に消費され、酸素欠乏を促進
する結果、ついには魚が窒息死するという問題が発生し
ていたものである。このような問題は、魚の糞の分解の
過程でも同様に起こっており、やはり魚が窒息死する問
題につながっていたものであった。かかる餌や糞の分解
は、さらにアンモニアの発生を伴い、これが濁りやpH
の増大を惹起し、稚魚の生活環境を大幅に悪化し、その
成長を著しく阻害していたものである。すなわち、稚魚
は、このような環境に置かれると、植物性プランクトン
や藻を食べるようになり、成長源である動物性蛋白質の
魚餌を食わなくなり、成長しなくなるという問題があっ
た。本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、魚の稚
魚、特に淡水魚の稚魚を短期間に大きく成長させ、か
つ、安全に飼育、養魚する養魚装置を提供せんとするも
のである。
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の養魚装置は、養魚装置内の水中
に存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよ
び藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロ
ロフィル(μg/L)の量にして10(μg/L)以下
に制御されていることを特徴とするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の養魚装置は、養魚装置内の水中
に存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよ
び藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロ
ロフィル(μg/L)の量にして10(μg/L)以下
に制御されていることを特徴とするものである。
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり魚の
稚魚、特に淡水魚の稚魚を短期間に大きく成長させ、か
つ、安全に飼育、養魚する養魚装置について、鋭意検討
し、該養魚装置内の水中に存在する水生植物を特定な範
囲内に制御してみたところ、意外にも、かかる課題を一
挙に解決することを究明したものである。ここでクロロ
フィルとは、光合成を行う生物に存在する葉緑体に含ま
れ、マグネシウムを含んだ緑色色素であり、a、b、
c、dの4種が知られているが、代表的なクロロフィル
−aを測定することで、水中に存在する水生植物の量を
正確に知ることができる。なお、本発明では、クロロフ
ィル−aを、以下、単にクロロフィルという。かかるク
ロロフィルは、日本水道協会発行の「上水試験方法−1
993年版」第20項に規定されている「20.2アセ
トン抽出による吸光光度法」に基づいて測定されるもの
である。すなわち、検水を濾過し、濾紙上の沈殿物中の
クロロフィルをアセトンで抽出し、吸光光度分析法によ
り、波長750nm、663nm、645nm、630
nmの各吸光度を測定し、クロロフィルの濃度をもとめ
る。ここでいう水生植物とは、淡水ではアオコ、クロレ
ラ、植物性プランクトンおよび藻類から選ばれた少なく
とも1種の水生植物をいう。本発明者は、魚、特に淡水
魚は、例えばさら水や浄化水に替えたりするなど、水環
境が変わると、糞を頻繁にしたり、活発に泳ぎ回ったり
し、さらに食欲を増進させ、人工餌等でも好んで食べる
習性を持っていることを究明した。すなわち、頻繁に水
環境を変化させることにより、魚、特に淡水魚の食欲を
増進させ、人工餌を効率良く与えて、食欲を満足させ
て、安全に、かつ、確実に飼育、養殖することができる
ところに着眼したものである。しかし、水環境が、水中
に存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよ
び藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロ
ロフィル(μg/L)の量にして10(μg/L)を越
える量存在する場合、端的に言えば、緑水の場合には、
前記したように、魚、特に稚魚は、植物性プランクトン
や藻を食べるようになり、真の餌、特に蛋白質の魚餌を
食わなくなり、成長しなくなる傾向がある。そこで本発
明では、かかる水生植物の量を、クロロフィル(μg/
L)の量にして10(μg/L)以下、より好ましくは
2〜4(μg/L)の範囲に制御した水を使用するもの
である。クロロフィルは、水生植物の葉緑体を測定して
いるものであるから、水中に存在する水生植物の量は、
正確に確認することができる。すなわち、クロロフィル
が10(μg/L)を越える段階において、初めは淡い
緑色から、徐々に濃い緑色化を呈し、たとえば水温20
℃では、3〜4日で20(μg/L)以上にもなり、濃
緑色化してしまうものである。これを便宜上見極める手
段としては、米国環境保護局(EPA)法180.1に
定められている設計および機能基準を満たしている携帯
用濁度計2100P型(ハック社製)を使用して、その
測定値からクロロフィルの量を推定することができる。
該濁度計で測定値3以上でる場合は、概略10μg/L
を越えて、さらには20μg/L以上であると推定され
る。また、該濁度計で測定値1以下の場合では、概略2
μg/L以下であることを示していると推定することが
できる。したがって、たとえば装置内の水が、該濁度計
で測定値3以上を示したときに、浄化を開始し、測定値
1以下となったときに、該浄化作業を停止するという手
段を採用することで、容易に装置内の水のクロロフィル
の量を調整、維持することができる。かかる水浄化手段
としては、漉しとりおよび濾過から選ばれた少なくとも
1種の水浄化手段を採用することができるが、前者の漉
しとり手段としては、該装置内の粗い浮遊物のみを排除
するためにもちいられるもので、たとえば60〜150
メッシュの漉しとり網が好ましく使用されるが、かかる
漉しとり手段では、本発明の特定な水に制御することは
できない。そこで、本発明においては、回転ドラム式連
続濾過装置および中空糸膜精密濾過装置から選ばれた少
なくとも1種の濾過装置を好ましく使用するものであ
る。前者の濾過装置によれば、クロロフィル2〜4μg
/Lに好ましく制御することができ、さらにもっと低い
値に制御したい場合には、後者の濾過装置を使用するこ
とにより、好ましくは2μg/L以下、特に好ましくは
1μg/L以下という最高に浄化した水にまで簡単に提
供することができる。本発明では、前者のみでもよい
が、8割を前者濾過装置で、2割を後者濾過装置で濾過
した水を使用するのが、全体として2〜4μg/L、さ
らには2μg/L以下の水を短時間に提供することがで
きるので好ましい。実際の養魚装置内の水の水生植物の
存在量を、調整、維持するには、前記携帯用濁度計21
00P型(ハック社製)を使用して、たとえば測定値3
以上となったときに、前記濾過装置を始動させて、該測
定値が1以下になるまで稼働させることで容易に達成さ
れる。また、給餌する際にも、給餌時間を1時間と設定
すると、その給餌開始と同時に、該濾過装置を始動さ
せ、給餌時間中稼働させるのがよい。すなわち、魚は、
餌を食すると同時に糞をする習性があるので、浄化は給
餌と同時に行うのが好ましい。本発明の養魚装置には、
通常採用されている酸素供給装置を設置して使用するこ
とができる。かかる酸素供給装置としては、水車式、噴
水式、バブリング式など各種のものが使用される。かか
る酸素供給装置は、夜間において作動させるのが、酸欠
を防ぐ上から好ましい。このように管理された本発明の
該養魚装置内の水は、好ましくはpH6〜9、さらに好
ましくはpH7付近の範囲に制御され、かつ、維持され
ている。なお、稚魚を成長させる上から、魚の糞を観察
して、魚が何を食べているかを知ることも重要なことで
ある。すなわち、人工餌を適量に食べていれば、糞は人
工餌の色をしており、不足していれば、糞の色は、それ
だけ人工餌の色から少しずつ薄くなつてくる。しかし、
緑色水環境下では、クロロフィル測定値にもよるが、概
して、糞の色は黒ぽい緑色をしたものとなる。このよう
な状況から給餌量が適当か不足しているかも容易に判定
することができる。与える餌の量は、給餌時間、水温、
養魚場所の広さ等に影響され、さらに人工餌を食べさせ
ようとして与えても、食べ残し量が多くなるだけである
ということもある。そうすると、かかる食べ残し餌が、
糞とともに分解して、アンモニアの発生を伴い、水の濁
りやpHの増大を惹起し、稚魚の生活環境を大幅に悪化
し、その成長を著しく阻害する。すなわち、稚魚は、こ
のような環境に置かれると、植物性プランクトンや藻を
食べるようになり、真の餌、特に蛋白質の魚餌を食わな
くなり、成長しなくなるのである。本発明は、養魚装置
内の水に含まれるアオコ、クロレラ、植物性プランクト
ン、藻類等の存在量を制御し、これらの水生植物を食べ
る水環境にしないように、前記浄化手段を用いて調整し
て、人工餌をよく食べる水環境を維持することにより、
淡水魚の魚体の成長を著しく促進させることができるも
のである。本発明でいう人工餌としては、市販されてい
るアユ、ニジマス等稚魚育成用配合飼料を用いることが
できる。かかる人工餌としては、動物性飼料、すなわち
動物性蛋白質の配合割合を、できるだけ高い割合にした
飼料が好ましく用いられる。かかる飼料としては、具体
的には、たとえば魚粉やオキアミミール等を主にして、
これに小麦粉や米ぬかを配合したものが使用される。ま
た、生餌を与えるのも好ましく、例えばミジンコ、赤ボ
ウフラ、糸ミミズ等が好ましく用いられる。なお、オキ
アミの冷凍品を用いることもできる。本発明の養魚装置
は、養殖場、養殖池、養殖用水槽など主として陸地内で
構築されている装置は、もちろん、さらに河川湖沼など
の水辺りや沖で構築されたものを含むものである。かか
る養魚装置の少なくとも壁面は、膜、シート、板状物お
よびブロック状物から選ばれた少なくとも1種を用いて
構築することができる。かかる壁面としては、陸地内で
構築する場合には、防水性の素材が使用されるが、水辺
りや沖で構築する場合には、防水性の素材を使用する必
要はなく、ある程度透水性の素材、つまり装置外の水が
そのまま流入するのではなく、濾過されて少量入り込む
程度であれば使用することができ、たとえば、JIS
A−1218に準じて測定される透水係数が、好ましく
は1×10−1〜1×10−2である素材が好ましく使
用される。かかる膜としては、合成樹脂製フィルム、あ
るいは、合成樹脂と布帛との複合膜、好ましくは10〜
100μm程度の薄膜が好ましく使用される。また、シ
ートとしては、前記膜より厚い合成樹脂シート、たとえ
ば合成樹脂と布帛との複合シートの如き繊維補強樹脂シ
ート、さらには繊維構造物からなるシートが好ましく使
用される。かかるシートの中でも前記透水係数を有する
透水性の繊維シートが好ましく使用される。かかる繊維
シートとしては、織物や不織布、さらにこれらの複合シ
ートが、形態安定性の上から、好ましく使用される。こ
こでいうシート、つまり織物や不織布、さらにそれらの
複合シートとしては、ニードルパンチやウォータージェ
ットパンチ、特に後者のウォータージェットパンチされ
たものが比較的高い透水係数を示すので好ましく使用さ
れる。また、板状物としては、木材、鋼材やガラスで構
成されたものが好ましく使用される。次に、ブロックと
しては、コンクリートが好ましく使用される。なお、硬
質素材製壁面で該装置を構築した場合には、該壁表面を
緩衝機能を有する素材で被覆しておくのが、魚の衝突に
よる損害を防止する上から好ましい。かかる該硬質素材
としては、木材、鋼材、合成樹脂、繊維補強樹脂、ガラ
スまたはコンクリートから選ばれた少なくとも1種の素
材が使用される。また、緩衝機能を有する素材として
は、合成樹脂発泡体や繊維シートなど、具体的には稚魚
を通さない程度の粗さのメッシュシートが好ましく使用
される。本発明の養魚装置において、該装置内側に漁網
を張り巡らしておくと、魚を傷つけることなく、そのま
ますくい取って移動させることができるので便利であ
る。この場合、該漁網が、壁面および底面から離れた位
置に、張り巡らしておくと、該漁網が緩衝材の機能を発
揮するので好ましい。また、本発明の該養魚装置を、河
川湖沼などの水辺りや沖に構築した場合、少なくとも一
部の壁面が河川湖沼の中に存在する形で設置されている
構造を有する。すなわち、その典型的な構造は、沖中に
該装置を設置した場合には、四方が浮いた状態で該養魚
装置が構築されている構造を取る。このとき、該養魚装
置の底面は、防水性の素材で構成してもよいが、濾過機
能を有する素材、たとえばJIS A−1218に準じ
て測定される透水係数が1×10−1〜1×10−2で
ある、たとえば織物や不織布、またはこれらの複合素材
で構成するのが好ましい。かかる底面としては、堆積し
た排泄物や残餌、その他廃棄すべき浮遊物を装置外へ移
動廃棄する機能を有する装置を設置するのが、清浄化、
水浄化の上から好ましい。たとえば底面に別の廃棄物移
動用シートを載置させておき、廃棄物が堆積した時点
で、移動させて装置外へ排出させたり、あるいは堆積し
た廃棄物を、水とともに吸引して装置外へ排出させるな
どの手段を採用することができる。なお、本発明のかか
る壁面および底面を構成する材料、さらにその他の部材
や道具、設置装置は、いずれも魚を隠蔽したり、魚を安
心させる上から、濃色、好ましくは岩や藻に類似する色
に着色されたものを使用するのがよい。本発明の養魚装
置を図面により説明する。まず図1は、陸地内に設置す
る養魚装置の一例を示す断面概略図である。充填された
水1は、浄化されたクロロフィル(μg/L)の量にし
て10(μg/L)以下の水である。この装置の壁面2
および底面3は、ともにコンクリート製である。かかる
壁面2や底面3の表面は、緩衝用の弾性材料からなる発
泡シート(図示せず)を被覆しておくのが、稚魚の衝突
事故を防ぐ上から好ましい。この装置の壁面2の底面付
近に、吸水口5とポンプ6、回転ドラム式連続濾過装置
および中空糸膜精密濾過装置を組み合わせて構成された
濾過器7、さらに吸水管8とを有する浄化装置4が設置
されている。この養魚装置内の水や糞、残餌などの廃棄
物は、この浄化装置4を通して浄化されて、再び該装置
内に、返還、供給される。なお、この装置の壁面2の一
方に空気送り込み装置10を取り付けて、常時バブリン
グして、溶存酸素量の補給に努めることが好ましい。ま
た、透水係数が1×10−1〜1×10−2の透水性シ
ート11を、移動可能な構造で底面3に敷設、配備して
おき、さらにかかる移動先に、廃棄物清掃装置12を備
えておくことにより、糞や残餌、その他沈殿物などの廃
棄物を迅速に廃棄処理することができるので好ましい。
図2は、陸地内に設置する養魚装置の他の一例を示す断
面概略図である。この装置の場合は、陸地内の天然池を
そのまま壁面2、底面3として採用した場合であり、好
ましくはこれらの面2、3は、コンクリートで保護補強
されている方が耐久性の上からよい。かかる壁面2や底
面3の表面は、緩衝用の弾性材料からなる発泡シート9
で被覆しておくのが、稚魚の衝突事故を防ぐ上から好ま
しい。充填された水1は、浄化されたクロロフィル(μ
g/L)の量にして10(μg/L)以下の水である。
この装置の壁面2の底面付近に、吸水口5とポンプ6、
回転ドラム式連続濾過装置および中空糸膜精密濾過装置
を組み合わせて構成された濾過器7、さらに吸水管8と
を有する浄化装置4が設置されている。なお、好ましく
は、この養魚装置の壁面、底面に接する形で、緩衝用お
よび移動用漁網(図示せず)が張り巡らされているのが
よい。かかる漁網を配備しておくことによって、装置内
の大がかりな修理、清掃や除藻、さらには大がかりな水
や底面入れ替え作業時に、魚を掬い取ったり、一方に片
寄せたりするのに、有効に役立たせることができる。こ
の装置の壁面2の一方に空気送り込み装置10を取り付
けて、常時バブリングして、溶存酸素量の補給に努める
ことは好ましいことである。なお、本発明の養魚装置
は、河川湖沼の沖に設置することもでき、その場合に
は、たとえば該装置の壁面として、浮力を有する枠体
で、まず外郭を構成し、この枠内に、透水性シートおよ
び不透水性素材から選ばれた少なくとも1種で構成され
た壁面、底面を嵌合させて構築したり、あるいは該壁面
を不透水性素材で構成し、底面は透水性シートで構成し
て構築したり、その逆の構成、つまり該壁面を透水性シ
ートで構成し、底面は不透水性素材で構成して構築する
ことができる。この装置の壁面の底面付近に、吸水口と
ポンプ、濾過器、さらに吸水管とを有する浄化装置が設
置される。なお、これらの養魚装置の壁面と底面から少
し離れた位置に、緩衝用および移動用の漁網が張り巡ら
されているのが好ましい。かかる漁網は、緩衝用の役目
はもちろん、装置内の大がかりな修理、清掃や除藻、さ
らには大がかりな水や底面入れ替え作業時に、魚を掬い
取ったり、一方に片寄せたりするのに、有効に役立たせ
ることができる。また、ここで使用する透水性シート
は、透水係数が1×10−1〜1×10−2のものが好
ましく使用されるが、このシートは、糞や残餌、その他
沈殿物などの廃棄物を廃棄するために、移動可能な構造
を備えたものが好ましく使用される。かかる移動の先に
は、かかる廃棄物を清掃する装置を備えさせておいた
り、さらに該シートを循環使用することができる構造に
しておくのも好ましい。この種の養魚装置は、壁面の一
部が、河川湖沼の中に設ける場合にも応用が効く構造を
有するものであり、たとえば、天然の岸壁を底面として
兼用する構造を採用する場合には、前記漁網を備えてお
くのが、清掃の上から便利である。これらの装置の壁面
の一つに空気送り込み装置を取り付けて、常時または夜
間にバブリングして、溶存酸素量の補給に努めることは
好ましいことである。本発明の養魚装置によれば、稚魚
を2〜3ケ月で、普通の2から3倍の大きさに成長させ
ることができ、かかる成魚ともなれば、もはやブラック
バスの餌食にならずに済むので、漁獲高を大幅に増大さ
せることができる。
稚魚、特に淡水魚の稚魚を短期間に大きく成長させ、か
つ、安全に飼育、養魚する養魚装置について、鋭意検討
し、該養魚装置内の水中に存在する水生植物を特定な範
囲内に制御してみたところ、意外にも、かかる課題を一
挙に解決することを究明したものである。ここでクロロ
フィルとは、光合成を行う生物に存在する葉緑体に含ま
れ、マグネシウムを含んだ緑色色素であり、a、b、
c、dの4種が知られているが、代表的なクロロフィル
−aを測定することで、水中に存在する水生植物の量を
正確に知ることができる。なお、本発明では、クロロフ
ィル−aを、以下、単にクロロフィルという。かかるク
ロロフィルは、日本水道協会発行の「上水試験方法−1
993年版」第20項に規定されている「20.2アセ
トン抽出による吸光光度法」に基づいて測定されるもの
である。すなわち、検水を濾過し、濾紙上の沈殿物中の
クロロフィルをアセトンで抽出し、吸光光度分析法によ
り、波長750nm、663nm、645nm、630
nmの各吸光度を測定し、クロロフィルの濃度をもとめ
る。ここでいう水生植物とは、淡水ではアオコ、クロレ
ラ、植物性プランクトンおよび藻類から選ばれた少なく
とも1種の水生植物をいう。本発明者は、魚、特に淡水
魚は、例えばさら水や浄化水に替えたりするなど、水環
境が変わると、糞を頻繁にしたり、活発に泳ぎ回ったり
し、さらに食欲を増進させ、人工餌等でも好んで食べる
習性を持っていることを究明した。すなわち、頻繁に水
環境を変化させることにより、魚、特に淡水魚の食欲を
増進させ、人工餌を効率良く与えて、食欲を満足させ
て、安全に、かつ、確実に飼育、養殖することができる
ところに着眼したものである。しかし、水環境が、水中
に存在するアオコ、クロレラ、植物性プランクトンおよ
び藻類から選ばれた少なくとも1種の水生植物が、クロ
ロフィル(μg/L)の量にして10(μg/L)を越
える量存在する場合、端的に言えば、緑水の場合には、
前記したように、魚、特に稚魚は、植物性プランクトン
や藻を食べるようになり、真の餌、特に蛋白質の魚餌を
食わなくなり、成長しなくなる傾向がある。そこで本発
明では、かかる水生植物の量を、クロロフィル(μg/
L)の量にして10(μg/L)以下、より好ましくは
2〜4(μg/L)の範囲に制御した水を使用するもの
である。クロロフィルは、水生植物の葉緑体を測定して
いるものであるから、水中に存在する水生植物の量は、
正確に確認することができる。すなわち、クロロフィル
が10(μg/L)を越える段階において、初めは淡い
緑色から、徐々に濃い緑色化を呈し、たとえば水温20
℃では、3〜4日で20(μg/L)以上にもなり、濃
緑色化してしまうものである。これを便宜上見極める手
段としては、米国環境保護局(EPA)法180.1に
定められている設計および機能基準を満たしている携帯
用濁度計2100P型(ハック社製)を使用して、その
測定値からクロロフィルの量を推定することができる。
該濁度計で測定値3以上でる場合は、概略10μg/L
を越えて、さらには20μg/L以上であると推定され
る。また、該濁度計で測定値1以下の場合では、概略2
μg/L以下であることを示していると推定することが
できる。したがって、たとえば装置内の水が、該濁度計
で測定値3以上を示したときに、浄化を開始し、測定値
1以下となったときに、該浄化作業を停止するという手
段を採用することで、容易に装置内の水のクロロフィル
の量を調整、維持することができる。かかる水浄化手段
としては、漉しとりおよび濾過から選ばれた少なくとも
1種の水浄化手段を採用することができるが、前者の漉
しとり手段としては、該装置内の粗い浮遊物のみを排除
するためにもちいられるもので、たとえば60〜150
メッシュの漉しとり網が好ましく使用されるが、かかる
漉しとり手段では、本発明の特定な水に制御することは
できない。そこで、本発明においては、回転ドラム式連
続濾過装置および中空糸膜精密濾過装置から選ばれた少
なくとも1種の濾過装置を好ましく使用するものであ
る。前者の濾過装置によれば、クロロフィル2〜4μg
/Lに好ましく制御することができ、さらにもっと低い
値に制御したい場合には、後者の濾過装置を使用するこ
とにより、好ましくは2μg/L以下、特に好ましくは
1μg/L以下という最高に浄化した水にまで簡単に提
供することができる。本発明では、前者のみでもよい
が、8割を前者濾過装置で、2割を後者濾過装置で濾過
した水を使用するのが、全体として2〜4μg/L、さ
らには2μg/L以下の水を短時間に提供することがで
きるので好ましい。実際の養魚装置内の水の水生植物の
存在量を、調整、維持するには、前記携帯用濁度計21
00P型(ハック社製)を使用して、たとえば測定値3
以上となったときに、前記濾過装置を始動させて、該測
定値が1以下になるまで稼働させることで容易に達成さ
れる。また、給餌する際にも、給餌時間を1時間と設定
すると、その給餌開始と同時に、該濾過装置を始動さ
せ、給餌時間中稼働させるのがよい。すなわち、魚は、
餌を食すると同時に糞をする習性があるので、浄化は給
餌と同時に行うのが好ましい。本発明の養魚装置には、
通常採用されている酸素供給装置を設置して使用するこ
とができる。かかる酸素供給装置としては、水車式、噴
水式、バブリング式など各種のものが使用される。かか
る酸素供給装置は、夜間において作動させるのが、酸欠
を防ぐ上から好ましい。このように管理された本発明の
該養魚装置内の水は、好ましくはpH6〜9、さらに好
ましくはpH7付近の範囲に制御され、かつ、維持され
ている。なお、稚魚を成長させる上から、魚の糞を観察
して、魚が何を食べているかを知ることも重要なことで
ある。すなわち、人工餌を適量に食べていれば、糞は人
工餌の色をしており、不足していれば、糞の色は、それ
だけ人工餌の色から少しずつ薄くなつてくる。しかし、
緑色水環境下では、クロロフィル測定値にもよるが、概
して、糞の色は黒ぽい緑色をしたものとなる。このよう
な状況から給餌量が適当か不足しているかも容易に判定
することができる。与える餌の量は、給餌時間、水温、
養魚場所の広さ等に影響され、さらに人工餌を食べさせ
ようとして与えても、食べ残し量が多くなるだけである
ということもある。そうすると、かかる食べ残し餌が、
糞とともに分解して、アンモニアの発生を伴い、水の濁
りやpHの増大を惹起し、稚魚の生活環境を大幅に悪化
し、その成長を著しく阻害する。すなわち、稚魚は、こ
のような環境に置かれると、植物性プランクトンや藻を
食べるようになり、真の餌、特に蛋白質の魚餌を食わな
くなり、成長しなくなるのである。本発明は、養魚装置
内の水に含まれるアオコ、クロレラ、植物性プランクト
ン、藻類等の存在量を制御し、これらの水生植物を食べ
る水環境にしないように、前記浄化手段を用いて調整し
て、人工餌をよく食べる水環境を維持することにより、
淡水魚の魚体の成長を著しく促進させることができるも
のである。本発明でいう人工餌としては、市販されてい
るアユ、ニジマス等稚魚育成用配合飼料を用いることが
できる。かかる人工餌としては、動物性飼料、すなわち
動物性蛋白質の配合割合を、できるだけ高い割合にした
飼料が好ましく用いられる。かかる飼料としては、具体
的には、たとえば魚粉やオキアミミール等を主にして、
これに小麦粉や米ぬかを配合したものが使用される。ま
た、生餌を与えるのも好ましく、例えばミジンコ、赤ボ
ウフラ、糸ミミズ等が好ましく用いられる。なお、オキ
アミの冷凍品を用いることもできる。本発明の養魚装置
は、養殖場、養殖池、養殖用水槽など主として陸地内で
構築されている装置は、もちろん、さらに河川湖沼など
の水辺りや沖で構築されたものを含むものである。かか
る養魚装置の少なくとも壁面は、膜、シート、板状物お
よびブロック状物から選ばれた少なくとも1種を用いて
構築することができる。かかる壁面としては、陸地内で
構築する場合には、防水性の素材が使用されるが、水辺
りや沖で構築する場合には、防水性の素材を使用する必
要はなく、ある程度透水性の素材、つまり装置外の水が
そのまま流入するのではなく、濾過されて少量入り込む
程度であれば使用することができ、たとえば、JIS
A−1218に準じて測定される透水係数が、好ましく
は1×10−1〜1×10−2である素材が好ましく使
用される。かかる膜としては、合成樹脂製フィルム、あ
るいは、合成樹脂と布帛との複合膜、好ましくは10〜
100μm程度の薄膜が好ましく使用される。また、シ
ートとしては、前記膜より厚い合成樹脂シート、たとえ
ば合成樹脂と布帛との複合シートの如き繊維補強樹脂シ
ート、さらには繊維構造物からなるシートが好ましく使
用される。かかるシートの中でも前記透水係数を有する
透水性の繊維シートが好ましく使用される。かかる繊維
シートとしては、織物や不織布、さらにこれらの複合シ
ートが、形態安定性の上から、好ましく使用される。こ
こでいうシート、つまり織物や不織布、さらにそれらの
複合シートとしては、ニードルパンチやウォータージェ
ットパンチ、特に後者のウォータージェットパンチされ
たものが比較的高い透水係数を示すので好ましく使用さ
れる。また、板状物としては、木材、鋼材やガラスで構
成されたものが好ましく使用される。次に、ブロックと
しては、コンクリートが好ましく使用される。なお、硬
質素材製壁面で該装置を構築した場合には、該壁表面を
緩衝機能を有する素材で被覆しておくのが、魚の衝突に
よる損害を防止する上から好ましい。かかる該硬質素材
としては、木材、鋼材、合成樹脂、繊維補強樹脂、ガラ
スまたはコンクリートから選ばれた少なくとも1種の素
材が使用される。また、緩衝機能を有する素材として
は、合成樹脂発泡体や繊維シートなど、具体的には稚魚
を通さない程度の粗さのメッシュシートが好ましく使用
される。本発明の養魚装置において、該装置内側に漁網
を張り巡らしておくと、魚を傷つけることなく、そのま
ますくい取って移動させることができるので便利であ
る。この場合、該漁網が、壁面および底面から離れた位
置に、張り巡らしておくと、該漁網が緩衝材の機能を発
揮するので好ましい。また、本発明の該養魚装置を、河
川湖沼などの水辺りや沖に構築した場合、少なくとも一
部の壁面が河川湖沼の中に存在する形で設置されている
構造を有する。すなわち、その典型的な構造は、沖中に
該装置を設置した場合には、四方が浮いた状態で該養魚
装置が構築されている構造を取る。このとき、該養魚装
置の底面は、防水性の素材で構成してもよいが、濾過機
能を有する素材、たとえばJIS A−1218に準じ
て測定される透水係数が1×10−1〜1×10−2で
ある、たとえば織物や不織布、またはこれらの複合素材
で構成するのが好ましい。かかる底面としては、堆積し
た排泄物や残餌、その他廃棄すべき浮遊物を装置外へ移
動廃棄する機能を有する装置を設置するのが、清浄化、
水浄化の上から好ましい。たとえば底面に別の廃棄物移
動用シートを載置させておき、廃棄物が堆積した時点
で、移動させて装置外へ排出させたり、あるいは堆積し
た廃棄物を、水とともに吸引して装置外へ排出させるな
どの手段を採用することができる。なお、本発明のかか
る壁面および底面を構成する材料、さらにその他の部材
や道具、設置装置は、いずれも魚を隠蔽したり、魚を安
心させる上から、濃色、好ましくは岩や藻に類似する色
に着色されたものを使用するのがよい。本発明の養魚装
置を図面により説明する。まず図1は、陸地内に設置す
る養魚装置の一例を示す断面概略図である。充填された
水1は、浄化されたクロロフィル(μg/L)の量にし
て10(μg/L)以下の水である。この装置の壁面2
および底面3は、ともにコンクリート製である。かかる
壁面2や底面3の表面は、緩衝用の弾性材料からなる発
泡シート(図示せず)を被覆しておくのが、稚魚の衝突
事故を防ぐ上から好ましい。この装置の壁面2の底面付
近に、吸水口5とポンプ6、回転ドラム式連続濾過装置
および中空糸膜精密濾過装置を組み合わせて構成された
濾過器7、さらに吸水管8とを有する浄化装置4が設置
されている。この養魚装置内の水や糞、残餌などの廃棄
物は、この浄化装置4を通して浄化されて、再び該装置
内に、返還、供給される。なお、この装置の壁面2の一
方に空気送り込み装置10を取り付けて、常時バブリン
グして、溶存酸素量の補給に努めることが好ましい。ま
た、透水係数が1×10−1〜1×10−2の透水性シ
ート11を、移動可能な構造で底面3に敷設、配備して
おき、さらにかかる移動先に、廃棄物清掃装置12を備
えておくことにより、糞や残餌、その他沈殿物などの廃
棄物を迅速に廃棄処理することができるので好ましい。
図2は、陸地内に設置する養魚装置の他の一例を示す断
面概略図である。この装置の場合は、陸地内の天然池を
そのまま壁面2、底面3として採用した場合であり、好
ましくはこれらの面2、3は、コンクリートで保護補強
されている方が耐久性の上からよい。かかる壁面2や底
面3の表面は、緩衝用の弾性材料からなる発泡シート9
で被覆しておくのが、稚魚の衝突事故を防ぐ上から好ま
しい。充填された水1は、浄化されたクロロフィル(μ
g/L)の量にして10(μg/L)以下の水である。
この装置の壁面2の底面付近に、吸水口5とポンプ6、
回転ドラム式連続濾過装置および中空糸膜精密濾過装置
を組み合わせて構成された濾過器7、さらに吸水管8と
を有する浄化装置4が設置されている。なお、好ましく
は、この養魚装置の壁面、底面に接する形で、緩衝用お
よび移動用漁網(図示せず)が張り巡らされているのが
よい。かかる漁網を配備しておくことによって、装置内
の大がかりな修理、清掃や除藻、さらには大がかりな水
や底面入れ替え作業時に、魚を掬い取ったり、一方に片
寄せたりするのに、有効に役立たせることができる。こ
の装置の壁面2の一方に空気送り込み装置10を取り付
けて、常時バブリングして、溶存酸素量の補給に努める
ことは好ましいことである。なお、本発明の養魚装置
は、河川湖沼の沖に設置することもでき、その場合に
は、たとえば該装置の壁面として、浮力を有する枠体
で、まず外郭を構成し、この枠内に、透水性シートおよ
び不透水性素材から選ばれた少なくとも1種で構成され
た壁面、底面を嵌合させて構築したり、あるいは該壁面
を不透水性素材で構成し、底面は透水性シートで構成し
て構築したり、その逆の構成、つまり該壁面を透水性シ
ートで構成し、底面は不透水性素材で構成して構築する
ことができる。この装置の壁面の底面付近に、吸水口と
ポンプ、濾過器、さらに吸水管とを有する浄化装置が設
置される。なお、これらの養魚装置の壁面と底面から少
し離れた位置に、緩衝用および移動用の漁網が張り巡ら
されているのが好ましい。かかる漁網は、緩衝用の役目
はもちろん、装置内の大がかりな修理、清掃や除藻、さ
らには大がかりな水や底面入れ替え作業時に、魚を掬い
取ったり、一方に片寄せたりするのに、有効に役立たせ
ることができる。また、ここで使用する透水性シート
は、透水係数が1×10−1〜1×10−2のものが好
ましく使用されるが、このシートは、糞や残餌、その他
沈殿物などの廃棄物を廃棄するために、移動可能な構造
を備えたものが好ましく使用される。かかる移動の先に
は、かかる廃棄物を清掃する装置を備えさせておいた
り、さらに該シートを循環使用することができる構造に
しておくのも好ましい。この種の養魚装置は、壁面の一
部が、河川湖沼の中に設ける場合にも応用が効く構造を
有するものであり、たとえば、天然の岸壁を底面として
兼用する構造を採用する場合には、前記漁網を備えてお
くのが、清掃の上から便利である。これらの装置の壁面
の一つに空気送り込み装置を取り付けて、常時または夜
間にバブリングして、溶存酸素量の補給に努めることは
好ましいことである。本発明の養魚装置によれば、稚魚
を2〜3ケ月で、普通の2から3倍の大きさに成長させ
ることができ、かかる成魚ともなれば、もはやブラック
バスの餌食にならずに済むので、漁獲高を大幅に増大さ
せることができる。
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。 実施例1、比較例1 図1の構造の養魚装置を2基用意した。これらの装置
は、15m×9m×4mの寸法を有する、容量が900
m3のものを使用した。なお、日射量、水温、天候等
は、自然に任せた水環境の下で飼育して比較した。 飼育条件:試験用淡水魚として、2才魚(前年に生まれ
たニゴロ鮒)平均重量14gの大きさで各150匹用意
した。 餌(人工餌):アユ稚魚用EP−2(大洋飼料(株)
製)を用いた。給餌量は、最初の1〜2ヶ月間は、21
g/1日の給餌量とし、3〜4ヶ月は、27g/1日に
増量した。 飼育期間:5月〜8月の4ヶ月(120日)間実施し
た。 空気送り込み:通常の散気管を用いてコンプレッサーに
より、2m3/分の空気をバブリングして送り込んだ。 まず、実施例1の装置には、水環境として、水道水をカ
ルキ抜きをしたものを充填して使用し、飼育中は、濾過
器として高性能回転ドラム式連続濾過装置(東レ製”ト
レロームRD”)と中空糸膜精密濾過システム(東レ
製”トレキューブ”)を併用して、クロロフィル(μg
/L)の量を2μg/L以下の水に維持した。濾過量
は、前者の濾過装置で8割、後者の濾過システムで2割
の割合で使用して供給した。該濾過器は、装置内の水
を、携帯用濁度計2100P型(ハック社製)を用い
て、8時間毎に測定して、測定値3を示したときに、始
動させて浄化を開始し、該測定値1以下となったとき
に、浄化作業を停止した。この浄化作業後のクロロフィ
ルの量は、概して2μg/L以下の範囲であった。これ
に対して、比較例1の装置には、水環境として、実施例
1と同様に水道水をカルキ抜きをしたものを充填して使
用した。しかし、こちらの装置では、飼育中は、毎夜ネ
ットで廃棄物を除去する以外は、自然に任せた水環境の
下で飼育した。この装置内の水環境は、4日目で、クロ
ロフィル−aの測定値は20μg/Lで、緑色の水であ
った。この緑色の水は、日を追う毎に濃くなり、更水を
補給しても、クロロフィル−aの測定値は40〜60μ
g/Lであった。この比較例1の装置では、食べ残しが
多く、毎夜ネットで、餌の残り、糞等を完全に除去し
た。なお、いずれの装置にも、1週間に一度、2割の水
道水をカルキ抜きをした更水を補給した。飼育の結果と
して、魚体重を測定した。実施例1の魚は、36g〜5
5gの範囲にあり、その大きいものから50匹選んだ平
均は、43gであった。これに対して比較例1の魚は、
15g〜25gの範囲にあり、その大きいものから50
匹選んだ平均は、18gであった。すなわち、実施例1
で飼育した魚は、比較例1で飼育した魚に比して、重さ
にして2〜3倍成長しており、水環境が及ぼす影響が非
常に大きいことがわかった。
説明する。 実施例1、比較例1 図1の構造の養魚装置を2基用意した。これらの装置
は、15m×9m×4mの寸法を有する、容量が900
m3のものを使用した。なお、日射量、水温、天候等
は、自然に任せた水環境の下で飼育して比較した。 飼育条件:試験用淡水魚として、2才魚(前年に生まれ
たニゴロ鮒)平均重量14gの大きさで各150匹用意
した。 餌(人工餌):アユ稚魚用EP−2(大洋飼料(株)
製)を用いた。給餌量は、最初の1〜2ヶ月間は、21
g/1日の給餌量とし、3〜4ヶ月は、27g/1日に
増量した。 飼育期間:5月〜8月の4ヶ月(120日)間実施し
た。 空気送り込み:通常の散気管を用いてコンプレッサーに
より、2m3/分の空気をバブリングして送り込んだ。 まず、実施例1の装置には、水環境として、水道水をカ
ルキ抜きをしたものを充填して使用し、飼育中は、濾過
器として高性能回転ドラム式連続濾過装置(東レ製”ト
レロームRD”)と中空糸膜精密濾過システム(東レ
製”トレキューブ”)を併用して、クロロフィル(μg
/L)の量を2μg/L以下の水に維持した。濾過量
は、前者の濾過装置で8割、後者の濾過システムで2割
の割合で使用して供給した。該濾過器は、装置内の水
を、携帯用濁度計2100P型(ハック社製)を用い
て、8時間毎に測定して、測定値3を示したときに、始
動させて浄化を開始し、該測定値1以下となったとき
に、浄化作業を停止した。この浄化作業後のクロロフィ
ルの量は、概して2μg/L以下の範囲であった。これ
に対して、比較例1の装置には、水環境として、実施例
1と同様に水道水をカルキ抜きをしたものを充填して使
用した。しかし、こちらの装置では、飼育中は、毎夜ネ
ットで廃棄物を除去する以外は、自然に任せた水環境の
下で飼育した。この装置内の水環境は、4日目で、クロ
ロフィル−aの測定値は20μg/Lで、緑色の水であ
った。この緑色の水は、日を追う毎に濃くなり、更水を
補給しても、クロロフィル−aの測定値は40〜60μ
g/Lであった。この比較例1の装置では、食べ残しが
多く、毎夜ネットで、餌の残り、糞等を完全に除去し
た。なお、いずれの装置にも、1週間に一度、2割の水
道水をカルキ抜きをした更水を補給した。飼育の結果と
して、魚体重を測定した。実施例1の魚は、36g〜5
5gの範囲にあり、その大きいものから50匹選んだ平
均は、43gであった。これに対して比較例1の魚は、
15g〜25gの範囲にあり、その大きいものから50
匹選んだ平均は、18gであった。すなわち、実施例1
で飼育した魚は、比較例1で飼育した魚に比して、重さ
にして2〜3倍成長しており、水環境が及ぼす影響が非
常に大きいことがわかった。
【図1】この図は、陸地内に設置する養魚装置の一例を
示す断面概略図である。
示す断面概略図である。
【図2】この図は、陸地内に設置する養魚装置の他の一
例を示す断面概略図である。
例を示す断面概略図である。
1:充填水 2:壁面 3:底面 4:浄化装置 5:吸水口 6:ポンプ 7:濾過器 8:吸水管 9:緩衝用シート 10:空気送り込み装置 11:透水性シート 12:廃棄物清掃装置
Claims (14)
- 【請求項1】養魚装置内の水中に存在するアオコ、クロ
レラ、植物性プランクトンおよび藻類から選ばれた少な
くとも1種の水生植物が、クロロフィル(μg/L)の
量にして10(μg/L)以下に制御されていることを
特徴とする養魚装置。 - 【請求項2】該水生植物の存在量が、クロロフィルにし
て2〜4(μg/L)の範囲内である請求項1記載の養
魚装置。 - 【請求項3】該水生植物を制御する手段が、高性能回転
ドラム式連続濾過装置および中空糸膜精密濾過システム
から選ばれた少なくとも1種の濾過装置を用いてなる水
浄化手段である請求項1または2記載の養魚装置。 - 【請求項4】該養魚装置が、酸素供給手段が設けられた
ものである請求項1〜3のいずれかに記載の養魚装置。 - 【請求項5】該養魚装置内の水が、pH6〜9の範囲に
制御されているものである請求項1〜4のいずれかに記
載の養魚装置。 - 【請求項6】該養魚装置が、陸地、岸辺および沖から選
ばれた少なくとも一つの領域で構築されているものであ
る請求項1〜5のいずれかに記載の養魚装置。 - 【請求項7】該養魚装置が、膜、シート、板状物および
ブロック状物から選ばれた少なくとも1種で、壁面およ
び底面の少なくとも1面を構成して構築されたものであ
る請求項1〜6のいずれかに記載の養魚装置。 - 【請求項8】該壁面および底面の少なくとも1面が、木
材、銅材、合成樹脂、繊維補強樹脂、ガラスおよびコン
クリートから選ばれた少なくとも1種の硬質素材で構成
されているものである請求項7記載の養魚装置。 - 【請求項9】該壁面および底面の少なくとも1面が、透
水性を有するものである請求項7または8記載の養魚装
置。 - 【請求項10】該透水性を有するものが、JIS A−
1218に準じて測定される透水係数が1×10−1〜
1×10−2の範囲の透水性を有するものである請求項
9記載の養魚装置。 - 【請求項11】該壁面および底面の少なくとも1面が、
緩衝機能を有する素材で被覆されているものである請求
項10記載の養魚装置。 - 【請求項12】該養魚装置が、内側に漁網を敷設して有
するものである請求項1〜11のいずれかに記載の養魚
装置。 - 【請求項13】該養魚装置が、陸地内、水辺りおよび沖
から選ばれた少なくとも - 【請求項14】該養魚装置が、堆積した排泄物、残餌お
よび廃棄浮遊物を装置外へ移動廃棄する機能を有する装
置を設けたものである請求項1〜13のいずれかに記載
の養魚装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000188421A JP2001321010A (ja) | 2000-05-18 | 2000-05-18 | 養魚装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000188421A JP2001321010A (ja) | 2000-05-18 | 2000-05-18 | 養魚装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001321010A true JP2001321010A (ja) | 2001-11-20 |
Family
ID=18688208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000188421A Pending JP2001321010A (ja) | 2000-05-18 | 2000-05-18 | 養魚装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001321010A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009201408A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Nagasaki Prefecture | 二枚貝浮遊幼生飼育方法およびその飼育装置 |
WO2019139067A1 (ja) * | 2018-01-13 | 2019-07-18 | 株式会社新日本科学 | 魚類飼育用生簀 |
KR20200020136A (ko) * | 2018-08-16 | 2020-02-26 | 서정수 | 친환경 양식장용 패널 |
-
2000
- 2000-05-18 JP JP2000188421A patent/JP2001321010A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009201408A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Nagasaki Prefecture | 二枚貝浮遊幼生飼育方法およびその飼育装置 |
WO2019139067A1 (ja) * | 2018-01-13 | 2019-07-18 | 株式会社新日本科学 | 魚類飼育用生簀 |
CN111542223A (zh) * | 2018-01-13 | 2020-08-14 | 株式会社新日本科学 | 鱼类繁殖用鱼塘 |
KR20200103768A (ko) * | 2018-01-13 | 2020-09-02 | 신 니뽄 바이오메디칼 라보라토리즈, 엘티디. | 어류 사육용 활어조 |
JPWO2019139067A1 (ja) * | 2018-01-13 | 2021-04-30 | 株式会社新日本科学 | 魚類飼育用生簀 |
JP7164550B2 (ja) | 2018-01-13 | 2022-11-01 | 株式会社新日本科学 | 魚類飼育用生簀 |
KR102462721B1 (ko) | 2018-01-13 | 2022-11-03 | 신 니뽄 바이오메디칼 라보라토리즈, 엘티디. | 어류 사육용 활어조 |
TWI800590B (zh) * | 2018-01-13 | 2023-05-01 | 日商新日本科學股份有限公司 | 魚類繁殖用魚池 |
KR20200020136A (ko) * | 2018-08-16 | 2020-02-26 | 서정수 | 친환경 양식장용 패널 |
KR102196915B1 (ko) * | 2018-08-16 | 2020-12-30 | 서정수 | 친환경 양식장용 패널 |
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